JPH0646703Y2 - 熱転写形印画装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、プラテンに巻回された記録用紙とサーマルヘ
ッドとの間に介在される、熱転写用インクが塗布された
熱転写用シート体を、前記サーマルヘッドによって選択
的に加熱して記録を行う熱転写形印画装置に関する。

背景技術 たとえば、１フィールド分の映像信号によって表される
静止映像を、記録用紙に熱転写方式によって記録するよ
うに構成されたサーマルプリンタにおいては、プラテン
に臨み、その長手方向に複数の発熱抵抗体が線状に形成
されたサーマルヘッドが設けられている。このようなサ
ーマルプリンタにおいて用いられるインクシートは、ポ
リエチレンテレフタレートなどによって構成されるベー
スフイルムの一方側の表面に、熱溶融性または熱昇華性
のインクが塗布された構成となっている。また記録用紙
は、たとえば基紙にポリエルテルテレフタレートなどの
受容層がコーティングされた印画紙となっている。

インクシートは種々の材質、厚さのものが用いられ、同
一色であってもインクシートの種類が異なる場合におい
ては、サーマルヘッドにおける加熱条件が変化されなけ
ればならない。このようなことは、印画紙に関しても同
様である。したがってインクシートおよび印画紙には、
その種類を示す識別情報が予め形成されており、このよ
うな識別情報をサーマルプリンタにおいて、たとえば光
学的に検出することによって、サーマルヘッドにおける
加熱条件などが設定される。

またインクシートと印画紙とは、その特性が互いに適合
するものを用いなければ、たとえば色再現性の悪化な
ど、印画品質の劣化の原因となる。したがってサーマル
プリンタを用いる場合において、印画紙の特性とインク
シートの特性とが適合することが確認されることが望ま
しい。

典型的な先行技術では、サーマルプリンタに印画紙を装
填した場合において、光学的な読取り装置などにによっ
て印画紙の種類およびインクシートの種類が検出され、
この検出されたそれぞれの種類が、サーマルプリンタの
本体に設けられる表示部において表示されるようにして
いる。操作者はこの表示内容に基づいて、印画紙の特性
とインクシートの特性とが適合するかどうかを判断する
ことができる。

考案が解決しようとする問題点 上述の先行技術においては、印画紙およびインクシート
のそれぞれの種類は表示され、操作者はこれを認識する
ことができるけれども、双方の特性が一致しているかど
うかは、操作者の判断に委ねられている。

本考案の目的は、記録用紙の種類と熱転写用シート体の
種類とが適合するかどうかが容易に認識され、したがっ
てその操作性が格段に向上される熱転写形印画装置を提
供することである。

問題点を解決するための手段 本考案は、プラテンに巻回された記録用紙に、一方表面
に熱転写用インクを塗布した熱転写用シート体を背後か
らサーマルヘッドで加熱して記録を行う熱転写形印画装
置において、 上記記録用紙および熱転写用シート体には、それぞれの
種類を識別する識別情報が付され、 各識別情報の検出手段と、 各検出手段の出力を比較し、比較結果に基づいて上記記
録用紙の種類と上記熱転写シート体の種類とが適合する
場合には印画動作を行わせ、不適合の場合には印画動作
を行わせないように制御する制御手段とを含むことを特
徴とする熱転写形印画装置である。

作用 本考案においては、記録用紙および熱転写用シート体に
付される識別情報は、各識別情報に対応して設けられる
検出手段によって検出される。各検出手段の出力は、制
御手段において比較され、この比較結果に基づいて、記
録用紙の種類と熱転写用シート体の種類とが適合するか
どうかが判別される。記録用紙の種類と熱転写用シート
体との種類とが適合する場合には印画動作が行われ、不
適合な場合には印画動作は行われない。

実施例 第２図は、本考案の一実施例であるサーマルプリンタ１
の基本的な構成を示す断面図である。記録用紙である印
画紙２は、給紙口３から操作者によって挿入される。印
画紙２は、後述のようにその端部にたとえばバーコード
などによって実現され、その種類を表す識別情報が形成
されており、この識別情報は、前記給紙口３の下方側に
位置する検出手段である用紙判断センサ４によって読取
られる。印画紙２は、給紙ローラ５によってプラテン６
の近傍まで搬送されて、該プラテン６に図示しない構成
によって圧接され、プラテン６の第２図示矢符R1方向の
回転によって、印画開始位置まで搬送される。印画紙２
をプラテン６の近傍まで導くための案内板15には、用紙
判別センサ４によって、印画紙２に形成される識別情報
が読取られるように、透孔（図示せず）が形成されてい
る。

プラテン６に臨んで、その長手方向に複数の発熱抵抗体
14が線状に形成されたサーマルヘッド７が配設される。
サーマルヘッド７の端部には、検出手段であるインクシ
ート検知センサ８が設けられている。また、サーマルヘ
ッド７とプラテン６との間には、熱転写用シート体であ
るインクシート９が介在される。該インクシート９の一
方の端部は、巻取り側ボビン10に係止されており、他方
側の端部は供給側ボビン11に係止されている。前記巻取
り側ボビン10が矢符R2方向に回転駆動されると、インク
シート９は、矢符R3方向に搬送される。

インクシート９は、たとえばポリエチレンテレフィタレ
ートなどの透明なベースフィルムのプラテン６に臨む表
面に、昇華性のインクが塗布された構成となっている。
前記ベースフィルム上に塗布されるインクは、たとえば
イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクであって、
インクシート９が矢符R3方向に搬送されることによっ
て、各色のインクが塗布されたインク部分が、同順にか
つ循環的に表れることになる。前記各インク部分の矢符
R3方向下流側の端部附近には、それに続くインク部分が
何色のインクが塗布されたインク部分であるかを示す、
たとえばバーコードなどのマーキングが形成されてい
る。前述のインクシート検知センサ８では、このマーキ
ングが読取られることになる。

インクシート９の巻取り側ボビン10に係止される側の端
部付近、すなわちインクシート９の使用開始直後に表れ
る部分には、該インクシート９の種類を表すための識別
情報が形成されている。この識別情報は、たとえばバー
コードなどであって、インクシート９の使用にあたって
前記識別情報は、インクシート検知センサ８によって読
取られる。この読取られた識別情報は、次にインクシー
トを交換するまでの期間において、サーマルプリンタ１
内の記憶装置（図示せず）に記憶されている。

用紙判別センサ４において検出される印画紙２の種類
が、サーマルプリンタ１内の記憶装置に保持されている
識別情報に対応するインクシート９の種類と適合しない
場合において、サーマルプリンタ１は印画動作を行わ
ず、挿入された印画紙２は、プラテン６の矢符R1方向お
よび矢符R4方向の回転によって排紙口12に導かれ、排紙
ローラ13の回転によってサーマルプリンタ１外に排紙さ
れる。これによって、印画紙２とインクシート９との不
適合による不所望な印画状態、および印画紙２へのイン
クの過剰な付着による紙詰まりなどが防がれる。

用紙判別センサ４によって検出される印画紙２の種類
が、インクシート９の種類に適合する場合において、印
画紙２がプラテン６の矢符R1方向の回転によって印画開
始位置まで搬送された後、インクシート９は巻取り側ボ
ビン10の矢符R2方向の回転によって、インクシート検知
センサ８によってイエローのインク部分の開始位置を示
すマーキングが検出されるまで、矢符R3方向に搬送され
る。この後、サーマルヘッド７は図示しない構成によっ
てインクシート９、印画紙２を介してプラテン６に圧着
され、この後、サーマルヘッド７の発熱抵抗体14には選
択的に電圧が印加される。このときプラテン６は矢符R1
方向に回転駆動され、また巻取り側ボビン10は矢符R2方
向に回転駆動されている。

このようにして、イエローに関する印画が終了するとサ
ーマルヘッド７はプラテン６から離れ、この後、プラテ
ン６は矢符R4方向に回転し、印画紙２を印画開始位置ま
で後退させる。このとき巻取り側ボビン10の回転によっ
てインクシート９は、インクシート検知センサ８によっ
てマゼンタのインク部分の先頭位置を示すマーキングが
検出されるまで、矢符R3方向に搬送される。このような
インクシート９の搬送動作が終了すると、サーマルヘッ
ド７は、再びプラテン６に圧着されてマゼンタに関する
印画出力が開始される。同様にしてシアンに関する印画
が行われ、このシアンに関する印画の終了の後に、印画
紙２は排紙口12を介して排紙される。

第１図は、サーマルプリンタ１の用紙判別センサ４およ
びインクシート検知センサ８に関連する部分の基本的な
構成を示すブロック図である。用紙判別センサ４は印画
紙２に形成される、たとえばバーコードなどの識別情報
を光学的に読取ってデータ変換回路20に与える。またイ
ンクシート検知センサ８も同様に、その出力がデータ変
換回路21に与えられる。データ変換回路20,21では、用
紙判別センサ４、インクシート検知センサ８の出力に基
づいて読取られた識別情報に対応するデジタルデータが
作成され、これら２つのデジタルデータは、いずれも制
御手段である制御部22に与えられる。インクシート９の
使用開始直後に、インクシート検知センサ８において読
取られるインクシート９の種類を表す識別情報は、制御
部22内に含まれるメモリ23に保持されている。

制御部22では、データ変換回路20から印画紙２の種類に
対応するデータが与えられると、該与えられたデータと
メモリ23がその内部に保持するインクシート９の種類を
表すデータとの比較が行われる。この比較結果に基づい
て制御部22は、印画紙２がインクシート９に適合するか
否かを表す判別信号Ｐを出力する。この判別信号Ｐは、
たとえば印画紙２がインクシート９に適合する場合には
ローレベル、印画紙２がインクシート９に適合しない場
合にはハイレベルの信号であってもよい。判別信号Ｐが
ハイレベルである場合において、サーマルプリンタ１で
は印画動作が行われず、挿入された印画紙２は、印画が
行われないままサーマルプリンタ１外に排出される。判
別信号Ｐがローレベルである場合においては、通常の印
画動作が行われる。

判別信号Ｐはまた表示部24にも与えられ、該判別信号Ｐ
がハイレベルである場合においては「不適合」に対応す
る表示が行われ、判別信号Ｐがローレベルである場合に
おいては、このような表示は行われない。

表示部24には、さらに表示駆動回路25,26からの信号が
与えられている。表示駆動回路25には、データ変換回路
20の出力が与えられており、これによって表示部24では
印画紙２の種類を表す表示が行われる。表示駆動回路26
には、制御部22からメモリ23の記憶内容が与えられてお
り、これによって表示部24においてはインクシート９の
種類に関する表示もまた行われている。

第３図は、印画紙２に形成される識別情報の一例を示す
図である。印画紙２は、サーマルプリンタ１の給紙口３
に対して矢符R11方向または矢符R12方向に挿入される。
識別情報は、たとえば第３図において参照符31,32で示
される位置に形成され、これらはたとえばバーコードで
あってもよい。参照符31,32の位置に形成される識別情
報は、印画紙２が給紙ローラ５によってサーマルプリン
タ１内に搬送される過程において、用紙判別センサ４に
よって読取られる。したがってたとえば用紙判別センサ
４は、単数の発光素子と受光素子との対から成るバーコ
ードリーダなどによって実現される。

第４図は、インクシート９の巻取り側ボビン10に係止さ
れる端部付近の構成を簡略化して示す平面図である。イ
ンクシート９には、その一方側の表面にイエローのイン
クが塗布されたイエローインク部分Ｙ、マゼンタのイン
クが塗布されたマゼンタインク部分Ｍ、およびシアンの
インクが塗布されたシアンインク部分Ｃが、同順に循環
的に形成されている。巻取り側ボビン10の回転によって
インクシート９は、矢符R13方向に搬送される。イエロ
ーインク部分Ｙの矢符R13方向下流側には、たとえばバ
ーコードなどによって実現され、それに続くインク部分
が、イエローインク部分Ｙであることを示すマーキング
MYが形成されている。同様に、マゼンタインク部分Ｍに
関連してマーキングMMが形成され、シアンインク部分Ｃ
に関連してマーキングMCが形成されている。

インクシート９が矢符R13方向に搬送されると、たとえ
ばイエローインク部分Ｙに先立ってマーキングMYが表れ
るため、このマーキングMYを第２図のインクシート検知
センサ８によって読取ることにより、スエローインク部
分Ｙの先頭位置を知ることができる。マゼンタインク部
分Ｍおよびシアンインク部分Ｃに関しても同様である。

インクシート９において、最初のイエローインク部分Ｙ
に関連して設けられるマーキングMYと巻取り側ボビン10
との間には、バーコードなどによって実現される識別情
報35が形成されている。この識別情報35はインクシート
９の種類を示すものであって、この識別情報35がインク
シート９の使用開始直後において、インクシート検知セ
ンサ８によって読取られることにより、制御部22のメモ
リ23内にはインクシート９の種類に対応するデータが格
納されることになる。

以上のように本実施例においては、インクシート９の使
用開始直後の期間において、インクシート検知センサ８
によってインクシート９に形成されている識別情報35が
読取られ、この識別情報に対応するデータがメモリ23に
格納される。操作者によってサーマルプリンタ１に印画
紙２が挿入されると、用紙判別センサ４において、前記
印画紙２の表面に形成されている識別情報が読取られ、
この識別情報はデータ変換回路20を介して制御部22に与
えられる。

制御部22では、メモリ23に格納されている前述のインク
シート９の種類に関するデータと、印画紙２の識別情報
に対応するデータとの比較を行い、操作者によって挿入
された印画紙２が、インクシート９の種類に適合するか
どうかが判断される。制御部22はこの判断結果に基づい
て判別信号Ｐを出力し、これによって印画紙２がインク
シート９の種類に適合しない場合においては、表示部24
ではたとえば「不適合」などの表示が行われ、印画紙２
は印画が行われないままサーマルプリンタ１外に排出さ
れる。

これによって操作者は、印画紙２とインクシート９の特
性の不適合を容易に確認することができ、また両者の特
性が適合しない場合においては印画出力が行われないの
で、不所望な印画状態となったり、インクが印画紙に大
量に付着し、印画紙が排出できなくなるなどの事態が未
然に防がれることになる。

第５図は、本考案の他の実施例において用いられるイン
クシートが収納されたインクカセット40の基本的な構成
を示す斜視図である。サーマルプリンタに装填されるイ
ンクシートは、前述のように、その両端がそれぞれ巻取
り側ボビン、供給側ボビンに係止されており、未使用の
状態においては大部分が供給側ボビンに巻回された状態
となっており、そのような状態で、インクカセット40に
収納されている。

インクカセット40内に収納されたインクシートには、そ
の巻取り側ボビンに係止される端部付近には、バーコー
ドなどの識別情報が形成されていない。本実施例におい
て用いられるインクカセット40には、その内部に収納さ
れたインクシートの種類の判別のために、その巻取り側
ボビン側の端部付近に、突部41が形成される。この突部
41はたとえば３箇所に形成され、この突部の有無によっ
て８種類の情報を表すことができる。したがって、イン
クシートの種類に対応して、突部41を配設することによ
り、８種類のインクシートの種類を表すことができる。
この突部41に関連して、サーマルプリンタ内でたとえば
発光素子と受光素子との対を３組設け、インクカセット
40における突部41の配設態様を検出することにより、イ
ンクカセット40に収納されたインクシートの種類を知る
ことができる。

また突部41に関連して、たとえばリミットスイッチなど
を設けることによっても、インクカセット40に収納され
るインクシートの種類を認識することが可能となる。以
上のように本実施例では、インクシートには特徴がな
く、インクカセット40に識別情報に対応する突部41を設
けたことに特徴がある。これによって、前述の第１実施
例では、インクシート検知センサ８は、たとえばバーコ
ードリータなどによって構成しなければならないけれど
も、本実施例ではイエロー、マゼンタ、シアンの３種類
のインクの先頭位置を示すための３種類のマーキングの
検出だけが必要とされるため、インクシート検知センサ
の構成は、第１実施例に比較して格段に簡略化される。

効果 以上のように本考案に従えば、記録用紙の種類と熱転写
用シート体の種類との適合、不適合が容易に認識される
ようになり、転写形印画装置において、不所望な印画状
態となることが未然に防がれるようになり、その操作性
は格段に向上される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例であるサーマルプリンタ１の
用紙判別センサ４およびインクシート検知センサ８に関
連する部分の基本的な構成を示すブロック図、第２図は
前記サーマルプリンタ１の基本的な構成を示す断面図、
第３図は印画紙２の平面図、第４図はインクシート９の
平面図、第５図は本考案の他の実施例において用いられ
るインクカセット40の斜視図である。 １……サーマルプリンタ、２……印画紙、４……用紙判
別センサ、６……プラテン、７……サーマルヘッド、８
……インクシート検知センサ、９……インクシート、24
……表示部、25,26……表示駆動部、35……識別情報、4
0……インクカセット、41……突部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】プラテンに巻回された記録用紙に、一方表
   面に熱転写用インクを塗布した熱転写用シート体を背後
   からサーマルヘッドで加熱して記録を行う熱転写形印画
   装置において、 上記記録用紙および熱転写用シート体には、それぞれの
   種類を識別する識別情報が付され、 各識別情報の検出手段と、 各検出手段の出力を比較し、比較結果に基づいて上記記
   録用紙の種類と上記熱転写シート体の種類とが適合する
   場合には印画動作を行わせ、不適合の場合には印画動作
   を行わせないように制御する制御手段とを含むことを特
   徴とする熱転写形印画装置。