JPH0645963Y2 - Ｘ線スポツトフイルム装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、二次放射線絞りと、選択的に使用可能な散
乱放射線格子と、Ｘ線フィルムカセットを導入可能なカ
セット収容孔とを備えたＸ線スポットフィルム装置に関
する。

［従来の技術］ 二次放射線絞りが二つの絞り板を有し、これらの絞り板
が相互に平行な面上に配置され、調節装置により互いに
すれ違うように位置調節可能なかかるＸ線スポットフィ
ルム装置は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第2842659
号公報に記載されている。その際検査対象物が接触する
Ｘ線スポットフィルム装置のケースの壁とＸ線フィルム
カセットのための収容孔との間には、重なり合って続く
複数の面上に二次放射線絞りの絞り板と散乱放射線格子
とが配置されているので、検査対象物の内部の撮影すべ
き対象とフィルム面との間には比較的大きい距離が存在
する。このことは撮影すべき対称のＸ線写真の品質に不
利に働き、その不鮮明さは周知のようにフィルム面から
撮影すべき対象までの距離と共に増大する。

［考案が解決しようとする課題］ この考案は前記の種類のＸ線スポットフィルム装置を、
不鮮明さを少なくするためにフィルム面から撮影すべき
対象までの距離ができるだけ小さくなるように、改良す
ることを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この目的はこの考案に基づき、絞り板が各一つの絞り孔
を有し、それぞれ一方の絞り板の絞り孔をそれぞれ他方
の絞り板により少なくとも部分的に覆うことができるよ
うにし、また絞り板のうちの一つの絞り孔が散乱放射線
格子を備えることにより達成される。

［作用効果］ 散乱放射線格子はこの考案によればもともと存在する絞
り板のうちの一つの中に組み込まれるので、選択的に散
乱放射線格子無しに作られた絞り孔か又は散乱放射線格
子を備えた絞り孔がＸ線フィルムカセットの前に置かれ
るように、絞り板を調節装置により調節することができ
るので、散乱放射線格子は従来の技術による場合とは異
なって放射線路の方向に付加的な組み込み空間を必要と
しない。それにより撮影すべき対象はこの考案に基づく
Ｘ線スポットフィルム装置の場合には、従来の技術の場
合よりフィルム面からの距離は小さい。この考案に基づ
くＸ線スポットフィルム装置の場合には、それぞれＸ線
フィルムカセットの前に置かれた絞り孔を他の絞り板の
位置調節により少なくとも部分的に覆うことができるの
で、絞り孔の大きさをそれぞれ作成すべきＸ線写真のフ
ォーマットに適合できる。

［実施態様］ この考案の一実施態様によれば、調節装置は絞り板と共
に一平面上に配置されている。この方策により調節装置
が、撮影すべき対象とフィルム面との間の達成可能な距
離に不利な影響を与えないことが保証される。

この考案の別の実施態様に基づき絞り板が相互に向かい
合う面により直接重なり合って滑動するときに、撮影す
べき対象とフィルム面との間の特に小さい距離を得るこ
とができる。その際操作力をできるだけ小さく保つため
に、絞り板が他の絞り板に向かう側の面上に低摩擦の被
膜を有するようにすることができる。絞り板の十分な案
内を保証するために、絞り板の両側にその運動方向に延
びるＵ字形の案内レールを設けることができ、これら案
内レールはそれぞれ両絞り板をレールの平行な脚により
囲み、かつレールの他の脚により運動方向に対し横から
案内する。絞り板を直接重ね合わせて滑動させることが
得策でないように思われる場合には、絞り板の両側にそ
の運動方向に延びるＴ字形の案内レールを設けることが
でき、その際案内レールはそのウェヴによりそれぞれ絞
り板の間に入り込み、そのフランジにより絞り板をその
運動方向に対し横から案内する。絞り板が少なくとも運
動方向に直角なその寸法に等しい広がりをその運動方向
に有するときには、案内レールの中での絞り板の傾斜に
よる固渋を特に容易に避けることができる。

この考案の更に別の実施態様によれば、絞り板のための
調節装置が二つの引張り具を備え、引張り具の両端がそ
れぞれ異なる絞り板に固定され、引張り具のそれぞれ絞
り板に取り付けられた部分が相互に平行に延び、かつ引
張り具のそれぞれ一つの絞り板に取り付けられた部分が
相互に反対向きに延び、その際引張り具のうちの一つが
駆動可能である。絞り板の同期した位置調節を可能にす
る調節装置のかかる構成により、容易に調節装置を絞り
板と共に共通な一平面上に配置することができるので、
調節装置に起因して撮影すべき対象とフィルム面との間
隔が増大することはない。

この考案の一実施態様によれば、散乱放射線格子は絞り
の運動方向に平行に延びる帯状の複数の薄板を有する。
この方策により散乱放射線格子がＸ線スポットフィルム
装置と協働するＸ線管に対して一定の距離を有するとい
う前提のもとに、一定に集束された散乱放射線格子を使
用できることが保証されるが、このことは例えば絞り板
の運動方向に直角に延びる薄板の場合には不可能であ
る。

この考案の更に別の実施態様によれば、二次放射線絞り
とカセット収容孔との間に低摩擦の材料から形成された
中間壁がＸ線フィルムカセットの案内のために設けられ
る。

［実施例］ 次にこの考案に基づくＸ線スポットフィルム装置の一実
施例を示す図面により、この発明を詳細に説明する。

第１図及び第２図にはこの考案に基づくＸ線スポットフ
ィルム装置が示され、この装置は第１図に示すように全
体に符号１を付けたケースを有し、このケースの中には
Ｘ線に対し非透過性の材料から成る二つの絞り板２、３
とカセット収容孔４とを備えた二次放射線絞りが設けら
れ、カセット収容孔４の中には第１図には示されず第２
図に破線で示したＸ線フィルムカセット５が導入可能で
ある。ケース１はＸ線撮影の実施中に検査対象物が接触
する後壁６と中間壁７と前壁８とを有し、その際少なく
とも後壁６と中間壁７とがＸ線を透過する材料から成
る。絞り板２、３は後壁６と中間壁７との間に設けら
れ、一方中間壁７は前壁８と共にカセット収容孔４を画
成する。ケース１は更に枠９を有し、この枠を用いてＸ
線スポットフィルム装置をＸ線検査装置に取り付けるこ
とができる。枠９には絞り板２、３のための二つの案内
部10が取り付けられ、案内部10は同時に後壁６と中間壁
７とを支持する。前壁８は折り曲げ部11を介して枠９に
固定されている。

見やすくするためにケース１が省略されている第２図に
関連して第１図に示すように、絞り板２、３は相互に平
行な平面上に配置され調節装置を備えている。調節装置
は二つの引張り具すなわちロープ12、13を備え、これら
のロープの両端はそれぞれ異なる絞り板２、３に固定さ
れている。すなわちロープ12、13はそれぞれその一端を
絞り板２にまた他端を絞り板３に固定されている。絞り
板２、３に取り付けられたロープ12、13の部分17、18又
は19、20はそれぞれ相互に平行に延び、その際図示の実
施例の場合には全ての部分17ないし20が相互に平行に延
びている。更にロープ12、13の絞り板２に取り付けられ
た部分17、19と絞り板３に取り付けられた部分18、20と
がそれぞれ相互に反対方向に延びている。ロープ13は電
動機により駆動可能なロープ車21の周りに巻き付けられ
ている。それゆえに絞り板２、３はロープ車21の回動に
よりそれぞれ異なる方向に同期して、互いにすれ違うこ
とができるように位置調節可能である。ロープ12、13は
それぞれその一端を絞り板２にまたその他端を絞り板３
に固定され、絞り板２、３は異なる平面上に置かれてい
るので、第１図に案内ローラ15aと相応の回転軸22によ
り例示するように、案内ローラ14aないし16bの回転軸は
ロープ12又は13の支障の無い走行のために必要な量だけ
傾斜されている。その他の点では位置調節装置全体は、
第１図に示すように絞り板２、３と共に共通な一平面上
に置かれている。

Ｘ線フィルムカセット５をカセット収容孔４の中へ導入
するために、歯付きベルト23を有する電動機駆動の搬送
装置が設けられている。歯付きベルト23はカセット収容
孔４のすぐ横に配置された二つのプーリを介して、ベル
トのカセット収容孔に向かう側のスパン25がＸ線フィル
ムカセット５の運動方向に平行に延びるように導かれ、
これらのプーリのうちの一つが電動機により駆動可能で
あり、また第１図にはプーリ24だけが示されている。歯
付きベルト23のスパン25と向かい合って、カセット収容
孔４の他方の側面上には第１図に示されていない押し付
けローラが設けられている。Ｘ線フィルムカセット５が
カセット収容孔４の中に導入されると直ちに、例えばＸ
線フィルムカセット５により作動される光検出器を介し
て歯付きベルト23のための駆動電動機が始動されるの
で、歯付きベルト23のスパン25と押し付けローラとの間
に受け入れられたＸ線フィルムカセットがカセット収容
孔４の中へ引き込まれる。Ｘ線撮影が行われた後にＸ線
フィルムカセット５はカセット収容孔４から電動機によ
り搬出される。

第２図に示すように絞り板２、３はそれぞれ絞り孔26又
は27を備えており、その際絞り板２の絞り孔26は散乱放
射線格子28を備え、第２図には数枚しか示されていない
が格子の薄板は絞り板２、３の運動方向に延びている。
絞り板２、３を互いにすれ違うことができるように位置
調節できる前記の調節装置を用いて、第２図に関連して
第３図及び第４図に示すように選択的に絞り孔26又は絞
り孔27をＸ線フィルムカセット５の前に位置決めするこ
とが可能であるので、選択的に散乱放射線格子を用いた
又は用いないＸ線撮影を実施できる。更に絞り板２、３
相互の同期した位置調節可能性により、絞り板２又は３
のそれぞれＸ線フィルムカセット５の前に置かれた絞り
孔26又は27をそれぞれ他方の絞り板３又は２により少な
くとも部分的に覆うことができるので、絞り孔26又は27
の大きさをそれぞれのＸ線写真のフォーマットに適合で
きる。

この考案に基づくＸ線スポットフィルム装置の前記の構
成により、ケース１の後壁６とカセット収容孔４すなわ
ちフィルム面との間の距離が従来の技術に比べて非常に
小さい。なぜならば散乱放射線格子28のための特別な平
面が必要なく、絞り板２、３が相互に僅かな距離を置い
て配置されているからである。従って撮影すべき対象と
第３図及び第４図に示されたフィルム面FEとの間の間隔
が従来の技術に比べて減少されるので、鮮明なＸ線撮影
が可能である。

第１図及び第２図に示した案内部10により分かるよう
に、案内部10はそれぞれＴ字形の案内レール29を有し、
その際案内レール29はそのウェブ30によりそれぞれ絞り
板２、３の間に入り込み、かつそのフランジ31により絞
り板２、３を運動方向に対し横から案内する。更に絞り
板２、３は、少なくともその運動方向に直角なその広が
りに等しい広がりをその運動方向に有するので、絞り板
２、３の軽快な案内が保証される。絞り板２、３が配置
されている平面に対して垂直方向の絞り板の案内は、案
内レール29のウェブ30によるほかにケース１の後壁６と
中間壁７とにより行われる。中間壁７は低摩擦の材料か
ら成り、同時にＸ線フィルムカセット５のための案内部
を形成する。

第５図に示すように絞り板２、３は前記の実施例とは異
なって、相互に向かい合う面により直接重なり合って滑
るようにすることができる。その際絞り板２、３の位置
調節を妨げる摩擦抵抗を減らすために、絞り板２は絞り
板３に向かう側の面に低摩擦の被膜32を備えている。絞
り板２、３の案内のために絞り板の両側に運動方向に延
びるＵ字形の案内レール33が案内部10に設けられる。複
数の案内部のうち第５図には一つの案内部だけが示さ
れ、それぞれ両絞り板２、３をレールの平行な脚34によ
り囲み、かつレールの他方の脚35により運動方向に対し
て横から案内する。

絞り板２、３のための調節装置と案内部10との前記の構
成は単に例示的なものであり、この考案の枠内で変更可
能である。例えば絞り板２、３が相互に同期して位置調
節可能であることは必ずしも必要でない。絞り板２、３
が各一つの絞り孔26又は27を有し、一方の絞り板２又は
３の絞り孔26又は27をそれぞれ他方の絞り板３又は２に
より少なくとも部分的に覆うことができることと、一方
の絞り板２の絞り孔26が散乱放射線格子28を備えている
こととがこの考案にとって重要である。なぜならばこれ
らの方策により撮影すべき対象とフィルム面との間ので
きるだけ小さい距離が保証されるからである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に基づくＸ線スポットフィルム装置の
一実施例の放射線路に平行な部分断面図、第２図は第１
図に示す装置の放射線路方向から見た断面図、第３図及
び第４図はそれぞれ第２図に示す装置の異なる作動状態
における第２図の上方から見た要部断面図、第５図は第
１図に示す絞り板案内部の異なる実施例の要部断面図で
ある。 ２、３……絞り板 ４……カセット収容孔 ５……Ｘ線フィルムカセット ７……中間壁 12、13……引張り具（ロープ） 14a、14b、15a、15b、16a、16b……案内ローラ 17ないし20……引張り具の部分 21……ロープ車 26、27……絞り孔 28……散乱放射線格子 29、33……案内レール 30……ウェブ 31……フランジ 32……被膜 34、35……脚

Claims (10)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】二次放射線絞りと、選択的に使用可能な散
   乱放射格子（28）と、Ｘ線フィルムカセット（５）を導
   入可能なカセット収容孔（４）とを備え、二次放射線絞
   りが二つの絞り板（２、３）を有し、これらの絞り板が
   相互に平行な面上に配置され、調節装置（12、13、14
   a、14b、15a、15b、16a、16b、21）により互いにすれ違
   うように位置調節可能なＸ線スポットフィルム装置にお
   いて、絞り板（２、３）が各一つの絞り孔（26、27）を
   有し、それぞれ一方の絞り板（２、３）の絞り孔（26、
   27）をそれぞれ他方の絞り板（３、２）により少なくと
   も部分的に覆うことができるようにし、また一方の絞り
   板（２）の絞り孔（26）が散乱放射線格子（28）を備え
   ることを特徴とするＸ線スポットフィルム装置。
2. 【請求項２】調節装置（12、13、14a、14b、15a、15b、
   16a、16b、21）が絞り板（２、３）と共に共通な一平面
   上に配置されていることを特徴とする請求項１記載の装
   置。
3. 【請求項３】絞り板（２、３）が相互に向かい合う面に
   より直接重なり合って滑動することを特徴とする請求項
   １又は２記載の装置。
4. 【請求項４】一方の絞り板（２）が他方の絞り板（３）
   に向かう側の面に低摩擦の被膜（32）を有することを特
   徴とする請求項３記載の装置。
5. 【請求項５】絞り板（２、３）の両側に運動方向に延び
   るＵ字形の案内レール（33）が設けられ、これらの案内
   レールがそれぞれ両絞り板（２、３）をレールの平行な
   脚（34）により囲み、かつレールの他方の脚（35）によ
   り絞り板の運動方向に対し横から案内することを特徴と
   する請求項３又は４記載の装置。
6. 【請求項６】絞り板（２、３）の両側にその運動方向に
   延びるＴ字形の案内レール（29）が設けられ、その際案
   内レール（29）がそれぞれレールのウェブ（30）により
   絞り板（２、３）の間に入り込み、かつレールのフラン
   ジ（31）により絞り板（２、３）をその運動方向に対し
   横から案内することを特徴とする請求項１又は２記載の
   装置。
7. 【請求項７】絞り板（２、３）が、少なくとも運動方向
   に対し直角の絞り板寸法に等しい広がりを、その運動方
   向に有することを特徴とする請求項５又は６記載の装
   置。
8. 【請求項８】絞り板（２、３）のための調節装置が二つ
   の引張り具（12、13）を備え、引張り具の両端がそれぞ
   れ異なる絞り板（２、３）に固定され、引張り具のそれ
   ぞれ絞り板（２、３）に取り付けられた部分（17、18;1
   9、20）が相互に平行に延び、かつ引張り具（12、13）
   のそれぞれ一つの絞り板（２、３）に取り付けられた部
   分（17、19;18、20）が相互に反対向きに延び、その際
   引張り具のうちの一つ（13）が駆動可能であることを特
   徴とする請求項１ないし７の一つに記載の装置。
9. 【請求項９】散乱放射線格子（28）が、絞り板（２、
   ３）の運動方向に平行に延びる帯状の複数の薄板を有す
   ることを特徴とする請求項１ないし８の一つに記載の装
   置。
10. 【請求項１０】二次放射線絞りとカセット収容孔（４）
    との間に、低摩擦の材料から構成された中間壁（７）が
    Ｘ線フィルムカセット（５）の案内のために設けられて
    いることを特徴とする請求項１ないし９の一つに記載の
    装置。