JPH0645731B2 - エチレン系共重合体組成物 - Google Patents

エチレン系共重合体組成物

Info

Publication number
JPH0645731B2
JPH0645731B2 JP61177390A JP17739086A JPH0645731B2 JP H0645731 B2 JPH0645731 B2 JP H0645731B2 JP 61177390 A JP61177390 A JP 61177390A JP 17739086 A JP17739086 A JP 17739086A JP H0645731 B2 JPH0645731 B2 JP H0645731B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copolymer
ethylene
temperature side
molecular weight
ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP61177390A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6333449A (ja
Inventor
敏 山下
文男 森川
徹 柴田
禎英 山崎
Original Assignee
日本合成ゴム株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本合成ゴム株式会社 filed Critical 日本合成ゴム株式会社
Priority to JP61177390A priority Critical patent/JPH0645731B2/ja
Publication of JPS6333449A publication Critical patent/JPS6333449A/ja
Publication of JPH0645731B2 publication Critical patent/JPH0645731B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はエチレン系共重合体組成物に関し、さらに詳し
くは高エチレン含量のエチレン・1−ブテン共重合体に
エチレンの長連鎖に基づく結晶性を付与することによ
り、透明性、加工性および耐衝撃性に加えて機械的強度
をも向上させたエチレン系共重合体組成物に関する。
(従来の技術) エチレンと1−ブテンとの共重合体は、単体でまたは他
の重合体と混合されてフィルム、テープ、シート、中空
成形品、射出成形品等に成形加工されて使用され、また
樹脂改質剤としても優れており、該共重合体を配合した
樹脂は自動車部品、電線等に広く使用されている。
従来エチレン・ブテン共重合体として種々の共重合体が
提案されてきたが、いずれも透明性および加工性を向上
させると機械的強度等が不足し、これらの性能を要求す
る分野での使用がかなり制限されている。そのため機械
的強度を改良する試みもなされてきたが、機械的強度を
改良すると逆に耐衝撃性、加工性および透明性を悪化さ
せることになり、そこで前記各特性をバランスよく兼ね
備えたエチレン系共重合体の開発が各分野から要望され
てきた。
またポリオレフィン樹脂改質剤として用いる場合には、
樹脂中での共重合体の分散性および樹脂との結合性が樹
脂改質の重要な要因になるが、結晶性の小さいエチレン
系共重合体を用いると、樹脂との結合性が弱いため、充
分に耐衝撃性を向上させることができなかった。そのた
めポリオレフィン樹脂との結合性がよく、耐衝撃性を向
上せしめる樹脂改質剤の出現が望まれていた。
この要望を実現するため、例えば特開昭60−8801
6号公報には、広い組成分布を持ち、DSC(示差走査
型熱量計)で求められる融点を複数個有するエチレン共
重合体が透明性、耐衝撃性、耐熱性および低温ヒートシ
ール性をバランスよく兼持していることが述べられてい
る。しかしながら、本発明者らの検討によれば、該共重
合体は耐熱性、機械的強度および低温ヒートシール性を
バランスよく兼持させようとして、かえって従来のエチ
レン共重合体よりも透明性および耐衝撃性が悪化してお
り、さらにポリオレフィン樹脂改質剤として使用した場
合にも樹脂との結合性は改良されても耐衝撃性の向上の
点では不満足なものであった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は、前記従来技術の欠点を除去し、透明
性、加工性、耐衝撃性および機械的強度をバランスよく
兼備したエチレン系共重合体組成物を提供することにあ
る。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは鋭意検討した結果、高エチレン含有量の共
重合体中に特定のエチレンの長連鎖を含有させることに
より、透明性、加工性、耐衝撃性および機械的強度をバ
ランスよく兼備できること、さらにこの共重合体を5〜
50重量%含有する樹脂組成物が、樹脂と共重合体との
結合性を有し、耐衝撃性を向上させることができること
を見出して本発明に到達した。
本発明は、エチレンと1−ブテンを主重合単位とし、下
記(A)〜(E)の要件を満する、実質上線状構造を有
するエチレン系共重合体(イ)と、結晶性ポリプロピレ
ン(ロ)とを含み、(イ)と(ロ)の混合比率((イ)
/(ロ))が50/50〜5/95(重量比)であるこ
とを特徴とするエチレン系共重合体組成物である。
(A)共重合体中のエチレン含量が85〜95モル%で
あること、 (B)重量平均分子量が3万〜20万であること、 (C)GPC(Gel Permeation Chr
omatograph)で測定した分子量分布が単一の
ピークで、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)との比Mw/Mnが2〜5であること、 (D)示差走査型熱量計で求められる融点が高温側と低
温側の2個存在し、高温側融点(Th)が115〜12
5℃、低温側融点(Tl)が40〜90℃に存在するこ
と、 (E)示差走査型熱量計で求められる115℃以上の温
度における結晶融解熱量(Hh)の全結晶融解熱量(H
t)に対する割合が0.015≦Hh/Ht≦0.15
であること。
前記条件(A)〜(E)を欠く共重合体を用いる樹脂組
成物の場合には、充分な耐衝撃性の向上は得られない。
本発明のエチレン系共重合体は、エチレンと1−ブテン
を主重合単位とするが、エチレンおよび1−ブテンと他
のα−オレフィンとの混合成分であってもよい。他のα
−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペ
ンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。
本発明のエチレン系共重合体中のエチレン含量は85〜
95モル%である。95モル%を越える場合には共重合
体のランダム特性および透明性が著しく損なわれ、樹脂
組成物とした場合の耐衝撃性を得るととができない。一
方、85モル%未満の場合には本発明の特徴とするDS
C融点が示すエチレンの長連鎖に基づく結晶部分が見出
せず、目的とする機械的強度の改良を達成することがで
ない。また樹脂(例えばポリプロピレン)と共重合体と
の結晶同士の相互作用が得られず、組成物の耐衝撃性を
従来以上に向上させることができないことがある。
本発明のエチレン系共重合体の重量平均分子量は3〜2
0万であり、GPC(Gel Permeation
Chromatograph)で測定した分子量分布は
単一ピークで、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)とのMw/Mnは2〜5である。Mw/Mnが
2未満の共重合体は製造が困難であり、また5を越える
と、ポリマ表面のベタ付き等を生じる。
さらに本発明のエチレン系共重合体の特徴を最も表わす
ものとして、共重合体のエチレン連鎖による部分結晶性
の尺度であるDSC融点および結晶融解熱量がある。す
なわち本発明のエチレン系共重合体では、示差走査型熱
量計(DSC)で求められる融点(DSC融点)が高温
側と低温側の2個存在する。かつ高温側融点(Th)は
115〜125℃に存在し、この融点を示す吸熱ピーク
はエチレンの長連鎖による結晶部分に基づくものであ
る。また低温側融点(Tl)は40〜90℃に存在し、
この融点を示す吸熱ピークはエチレン・α−オレフィン
共重合体の微結晶に基づくものである。さらに示差走査
型熱量計で求められる110℃以上の結晶融解熱量(H
h)の全結晶融解熱量(Ht)に対する割合が0.01
5≦Hh/Ht≦0.15である。低温側融点(Tl)
が存在しなかったり、またTl>90℃の場合には共重
合体ランダム性は極めて乏しく、ランダム共重合体とし
ての特性が失なわれ、結晶性が高く耐衝撃性が著しく劣
化する。Tl<40℃では共重合体の結晶性が低すぎ
て、強度が著しく低下してしまう。また高温側融点(T
h)が存在しない場合には、本発明の目的のひとつであ
る機械的強度の改良は達成されない。Th<115℃で
結晶化しているエチレン連鎖が短いために共重合体の強
度は不満足であり、また共重合体と樹脂成分との結合性
も弱く、樹脂改質効果も不十である。またTh>125
℃のエチレン・1−ブテンランダム共重合体は製造困難
である。またHh/Ht<0.015の場合にはポリエ
チレンの部分結晶性が少なすぎて機械的強度を充分に改
良することはできず、一方Hh/Ht>0.15の場合
には逆に結晶性が高すぎて透明性、耐衝撃性および加工
性を悪化させてしまう。このようにHh/Htが上記の
条件を満足しない共重合体を用いて得られるポリプロピ
レン樹脂組成物では、充分な耐衝撃性は得られない。
このように前記(A)〜(E)の要件を満足する本発明
のエチレン系共重合体は従来知られていない新規な共重
合体であり、従来公知のエチレン系共重合体とは異な
る。例えば特開昭60−88016号公報に記載された
エチレン共重合体は、低温融点の値が高く、非常に結晶
性の高い共重合体である点で本発明の共重合体とは異な
る。このため、本発明の共重合体は、透明性、加工性、
耐衝撃性および機械的強度をバランスよく兼備したもの
となる。さらに本発明は、この共重合体を結晶性のポリ
オレフィンに含有させることにより、後述の耐衝撃性に
優れた樹脂組成物が得られる。
本発明のエチレン系共重合体は、例えば重合触媒とし
て、可溶性バナジウム化合物および有機アルミニウム化
合物の、組成比(モル比)10/1〜200/1の割合
からなる触媒を用い、エチレンと1−ブテン(他のα−
オレフィンとの混合成分でもよい)とを、重合温度−2
0〜80℃で共重合させることにより製造される。
上記可溶性バナジウム化合物としては、例えばオキシ三
塩化バナジウム、四塩化バナジウム、アルキルバナデー
ト、オキシ三塩化バナジウムとアルコールとの反応混合
物、オキシ塩化バナジウムとアルコール以外の電子供与
体(アミン類、ケトン類、エーテル類等)との反応混合
物等が挙げられ、好ましくはオキシ三塩化バナジウム、
四塩化バナジウム、アルキルバナデート(例えばエチル
バナデート、n−プロピルバナデート、イソプロピルバ
ナデート、n−ブチルバナデート、sec−ブチルバナ
デート、2−エチルヘキシルバナデート等)、オキシ三
塩化バナジウムとアルコール(例えばエチルアルコー
ル、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、t−ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコ
ール等)とのROH/V=1/1〜3/1(モル比)の
反応混合物が用いられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば一般式RnA
lX3−n(式中Rはアルキル基、Xはハロゲン原子、
nは1≦n≦3の整数を意味する)で表わされるハロゲ
ン化有機アルミニウム化合物、例えばエチルアルミニウ
ムジクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチル
セスキアルミニウムクロリド、イソブチルセスキアルミ
ニウムクロリド等、好ましくはエチルセスキアルミニウ
ムクロリドが用いられる。またこれらの2種以上を組合
わせた混合物を用いることもできる。
バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物との組成比
(モル比)は、Al/V=10/1〜200/1、好ま
しくは10/1〜150/1である。本発明のエチレン
系共重合体は、幅広いAl/Vの範囲で製造可能である
が、Al/Vが10/1より小さい場合には分子量分布
(GPC測定におけるMw/Mnで示される)がブロー
ドになり、成形物の表面ベタ付き性が悪化し、また触媒
活性の低下のために多量のバナジウム化合物を使用する
必要があり、共重合体中にバナジウム金属の酸化物が多
く残り、最終製品の色相を悪化させる。一方Al/Vが
200/1より大きい場合には、バナジウム化合物の還
元が進みすぎるため重合活性が低下し、さらにα−オレ
フィンの共重合体も低下してしまい、目的とする共重合
体が得られない。
本発明に用いられる触媒系にはさらに必要に応じて活性
向上剤を添加することもできる。活性向上剤としては、
例えばトリクロロ酢酸エステル、2,3,4,4−テト
ラクロルブテン酸エステル等の多ハロゲン化合物が用い
られる。その他必要に応じてアルコール類、ケトン類、
アミン類等の電子供与体を、前記バナジウム化合物また
は前記アルミニウム化合物と予め混合してまたは同時に
添加して使用することもできる。
本発明において重合に際し用いられる重合溶媒として
は、炭素数3〜10の脂肪族炭化水素化合物、炭素数1
〜5のハロゲン化脂肪族炭化水素化合物が挙げられ、例
えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、デカン、プロピレン、1−ブテン、ヘキ
セン、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、塩化エ
チレン等、好ましくはn−ヘキサン、n−ヘプタンが用
いられる。
重合温度は−20〜80℃、好ましくは10〜60℃で
ある。−20℃より低い場合には冷却に多量のエネルギ
ーが必要となる等経済的な面で不利益となる。一方、8
0℃より高い場合には重合活性が低下し、さらにα−オ
レフィンの共重合性が低下してしまい、目的とする共重
合体が得られない。
重合の際の単位バナジウム触媒当たり、ブテン−1モノ
マー量は1500〜20000(モル比)の範囲である
ことが好ましい。1500未満ではブテン−1濃度が低
すぎ、組成コントロールが困難であり、また20000
をこえると液相中のブテン−1濃度が高く目的とするエ
チレン長連鎖を得ることはできない。
本発明の共重合体製造において重合形態は、スラリ重
合、均一溶液重合のいずれでもよいが、好ましくはスラ
リ重合が行なわれる。均一溶液重合では該共重合体がポ
リエチレンの結晶を持つことから重合温度をかなり上昇
させなければならない。また重合は回分式または連続式
のいずれでもよい。反応器は単一または複数個を直列ま
たは並列に連結し、原料オレフィンを別にまたは予め混
合して導入する。反応温度の維持は外部冷却法、溶媒、
モノマーの蒸発潜熱の利用等により行なわれる。圧力は
減圧下(100mmHg)ないし加圧下(50気圧程度)
に保持される。分子量の制御は先に述べた触媒組成比、
触媒量、触媒種、重合温度等よってもある程度可能であ
るが、さらに水素等の分子量制御剤を用いて行なうこと
もできる。生成した共重合体の反応媒体および未反応モ
ノマーからの分離、使用触媒の活性停止、触媒残渣の除
去、共重合体の乾燥、造粒等の成形などは、公知法より
行なわれる。
このようにして得られる本発明のエチレン系共重合体
(イ)は、結晶性ポリプロピレン(ロ)と、(イ)と
(ロ)との重量比((イ)/(ロ))が50/50〜5
/95となるように混合して本発明のエチレン系共重合
体組成物とされる。さらに目的に応じて他のオレフィン
(共)重合体ゴム、カルボン酸類のグラフト等で変性さ
れた変性オレフィン(共)重合体類等と、さらに場合に
より有機系、無機系のフィラー、繊維等の補強剤と混合
し、積層等の手段を施してフィルム、テープ、シート、
中空成形品、射出成形品等として使用される。
本発明に用いる結晶性ポリプロピレン(ロ)には結晶性
のポリプロピレンホモポリマーのほか、エチレンおよび
/またはプロピレン以外のα−オレフィン20重量%以
下を含有する結晶性プロピレン共重合体も含まれる。
このエチレン系共重合体樹脂組成物中のエチレン系共重
合体(イ)の含有割合は、5〜50重量%、好ましくは
10〜40重量%である。エチレン系共重合体(イ)の
含有割合が5重量%より少ない場合には、低温での耐衝
撃性が低く、一方50重量%を越える場合には、剛性お
よび機械的強度が低下する。
本発明のエチレン系共重合体組成物は、例えばポリプロ
ピレン樹脂と共重合体とを混合することにより製造され
る。例えば本発明の新規エチレン系共重合体とポリプロ
ピレンとを押出機、ニーダーブレンダー、バンバリーミ
キサー等を用いて混合するか、または前記エチレン系共
重合体に任意量のポリプロピレンをバンバリーミキサ
ー、ニーダーブレンダーを用いて混合し、常法によりペ
レット状とし、最終的に共重合体とポリプロピレンとの
割合が目的とする値となるように該ペレットとポリプロ
ピレンとを投入し、成形物を得るなどの方法がある。ま
た特願昭58−181377号に開示された方法によっ
ても目的とする本発明の樹脂組成物を得ることができ
る。
本発明の樹脂組成物には、さらに必要に応じて酸化止
剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色剤等の補助添加成分
を添加することもできる。また本発明の樹脂組成物に
は、例えば炭酸カルシウム、カオリン、タルク、アスベ
スト、ガラス繊維等の充填剤、本発明で用いられている
共重合体以外のオレフィン系共重合体(例えばEPR
等)、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロ
ニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂、エチレン
−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリブタジエン樹脂等のゴ
ム、樹脂などを配合することもでき、その添加量は本発
明の樹脂組成物10重量部に対して0〜30重量部が好
ましい。
(発明の効果) 本発明によるエチレン系共重合体は、従来のエチレン共
重合体と異なり、透明性、耐衝撃性および機械的強度を
バランスよく兼備しており、このためフィルム、シート
等の用途に好適である。また本発明のエチレン系共重合
体は加工性も良好であるため各種成形加工品材料等とし
ても使用することができる。
また本発明のエチレン系共重合体と結晶性ポリプロピレ
ン樹脂とを特定割合で含有する組成物は耐衝撃性に優れ
たものであり、自動車バンパー、各種自動車部品、電
線、電気機器等に使用することができる。
(実施例) 以下、実施例により本発明を詳説する。
なお本発明のエチレン系共重合体を特定するために次に
示す分析手段および物性評価方法が用いられた。
(エチレン含量) エチレン・α−オレフィン共重合体をH−NMRおよ
13C−NMRを用いてエチレン/α−オレフィン組
成比を求め、赤外分析で検量線を作成した。この検量線
をもとにして各実施例で得られる共重合体の組成を求め
た。
(Mw/Mn) 竹内著「ゲルパーミェーションクロマトグラフ」(丸善
(株)刊)に準じて次のようにして測定した。
(1)分子量既知の標準ポリスチレン(東洋ソーダ
(株)製、単散ポリスチレン)を使用し、分子量Mとそ
のGPC(Gel Permeation Chrom
atograph)カウントを測定し、分子量MとEV
(Elution Volume)との相関図更正曲線
を作図する。このとき濃度は0.02重量%とする。標
準ポリスチレンによる更正曲線をユニバーサル法により
EBMの更正曲線に補正する。
(2)SPC測定法により試料のGPCパターンをと
り、前記(1)によりMを求める。その際のサンプル調
製条件およびGPC測定条件は以下のとおりである。
(サンプル調製条件) (a)o−ジクロルベンゼン溶媒に老化防止剤として
2,6−ジ−t−ブチル−クレゾールを0.08%添加
し、溶解する。
(b)試料を0.1%になるようにo−ジクロルベンゼ
ンとともに三角フラスコに分取する。
(c)三角フラスコを120℃に加温し、約60分間撹
拌して溶解させる。
(d)(c)で得られた溶媒をGPCにかける。なおG
PC装置内で自動的に0.5ミクロンの焼結フィルタで
濾過させる。
(GPC測定条件) (a)装置 :Waters社製150C型 (b)カラム :東洋ソーダ(株)製Hタイプ (c)サンプル量:500マイクロl (d)温度 :120℃ (e)流速 :1ml/分 (f)カラム総理論段数:1*10 2*10 (アセトンによる測定値) (示差走査型熱量計による融点および結晶融解熱量の測
定方法) 示差走査型熱量計はDupont社製 910型 De
ferential Scanning Calolimeter(以下、DSCと略称する)を
用い、記録計はDupont社製 990型 Ther
mal Analyzerを用いた。サンプル量は10
±0.1mg、Referenceとしてはα−アルミナ
を用いた。測定はサンプルおよびReferenceを
DSCに装填し、180℃まで加温し、その後1分間に
10℃の一定速度で−100℃まで冷却する。次いで1
分間に20℃の一定昇温速度で分析する。得られる代表
的なDSCパターンを第1図に示す。
第1図においてTlおよびThをDSC融点と称し、本
発明のエチレン系共重合体の有する高温側融点はTh
を、また低温側融点はTlを指し、これらのDSC融点
は各々の点における温度座標軸より読み取られる。
(結晶の吸熱量の計算) 第1図における低温側ベースラインA〜Bの接線(a)
を求める。次いでTg部分と考えられる吸熱ピークB〜
Cの接線(b)を求める。接線(a)と(b)の交点を
(ア)とし、(ア)より垂線(c)を描く。次いで次式
(1)に従ってhを求める。
h(mm)=2.25×S(mg) (1) (ただし、hはDSCチャート原寸における(ア)から
の距離(mm)、Sはサンプル量(mg)) (ア)からの垂線(c)に沿って距離hの位置に水平線
(d)を描く。水平線(d)と吸熱カーブとの交点
(イ)を求める。
交点(イ)より高温側ベースラインD〜E部との接線
(e)を描く。接線(e)とベースラインとの接点
(ウ)を求める。接線(e)と吸熱カーブで囲まれた斜
線部分が全結晶融解熱量に相当する。続いて110℃の
位置で吸熱部分を分割し、110℃以上の吸熱部分を高
温側吸熱量として取扱った。全結晶融解熱量および高温
側結晶融解熱量は各々の面(第1図の斜線部分)を求
め、インジウム(Dupont社DSC用標準試料)を
基準にして算出した。
(その他の物性の測定方法) (1)メルトフローインデックス JIS K 6758に従った。
(2)破断点強度および伸び JIS K 6301の引張り試験法に基づき、温度2
5℃、引張り速度500mm/分で測定された。
(3)アイゾット衝撃強度 JIS K 7110に従った。
(4)成形物の表面ベタ付き性 前記(2)で用いた引張り試験用成形シートの表面肌の
感触より下記基準で示した。
ベタ付きが全く感じられない試料:◎ ベタ付きがほとんど感じられない試料:〇 ベタ付きがやや感じられる試料:△ ベタ付きが明らかに感じられる試料:× (5)透明性 本発明のエチレン系共重合体およびそのポリプロピレン
樹脂組成物をそれぞれ0.5mmのシートに成形した後、
各実施例および比較例の試料間で比較して下記基準で示
した。
非常に透明性に優れている試料:◎ 透明性がよい試料:〇 透明性が劣る試料:× 実施例1 内容量48の連続重合装置をNガスで充分に置換し
た後、エチルセスキアルミニウムクロリド12.9g/
Hr、オキシ三塩化バナジウム0.3g/Hr、n−ヘ
キサン18/Hrおよび1−ブテン1540g/Hr
を連続供給し、水素を6N/Hの流量で吹込み、20
℃に維持し、圧力が3.0kg/cm2Gになるようにエチ
レンを連続供給して共重合を行なった。なお滞留時間は
1時間とした。重合の結果、本発明のエチレン系共重合
体900g/Hrが得られ、得られた共重合体の分析お
よび物性評価の結果を第1表に示した。
実施例2 実施例1と同様の装置を用い、エチルセスキアルミニウ
ムクロリドを4.3g/Hr、1−ブテンを700g/
Hrで連続供給し、圧力を3.5kg/cm2Gになるよう
にエチレンを連続供給し、その他は実施例1と同様に処
理して得られた共重合体の分析および物性評価の結果を
第1表に示した。
実施例3 実施例1と同様の装置を用い、圧力を2.8kg/cm2
になるようにエチレンを連続供給し、その他は実施例1
と同様に処理して得られた共重合体の分析および物性評
価の結果を第1表に示した。
比較例1および2 実施例1と同様の装置を用い、それぞれ圧力を2.0kg
/cm2G(比較例1)および5.0kg/cm2G(比較例
2)になるようにエチレンを連続供給し、その他は実施
例1と同様に処理して得られた共重合体の分析および物
性評価の結果を第1表に示した。
エチレン含量が70重量%未満の比較例1の場合には実
施例の場合に比べて破断点強度が劣り、またMw/Mn
が大きくなり、表面のベタ付きが感じられた。また95
重量%を越える比較例2の場合には透明性が低下した。
比較例3 実施例1と同様の装置を用い、n−ヘキサンを20/
Hr、1−ブテンを1000kg/Hrで連続供給し、圧
力2.0kg/cm2Gになるようにエチレンを連続供給
し、その他は実施例1と同様に処理して得られた共重合
体の分析および物性評価の結果を第1表に示した。
得られた共重合体は、DSC測定で120℃に見られる
ポリエチレンの部分結晶が見られず、破断点強度が劣っ
ていた。
比較例4 実施例1と同様の装置を用い、n−ヘキサンを18/
Hr、1−ブテンを2160g/Hrで連続供給し、圧
力を8.8kg/cm2Gになるようにエチレンを連続供給
し、その他は実施例1と同様に処理して得られた共重合
体の分析および物性評価の結果を第1表に示した。
得られた共重合体はポリエチレンの結晶が多く、透明性
が悪く、また柔軟性にも劣っていた。
比較例5 実施例1と同様の装置を用い、エチルセスキアルミニウ
ムクロリドを1.1g/Hrで連続供給し、その他は実
施例1と同様に処理して得られた共重合体の分析および
物性評価の結果を第1表に示した。
得られた共重合体はGPC測定でMw/Mnが6.1と
大きく、表面のベタ付きが感じられた。
実施例4〜6 実施例1で得られた共重合体(イ)と結晶性ポリプロピ
レン樹脂(三菱油化(株)製、ノーブレンBC−4)
(ロ)との(イ)/(ロ)=20/80、5/95、5
0/50の重量比の混合物650gを、内容量1のニ
ーダーを用いて予熱温度150℃、混練時間5分間で混
練りしてポリプロピレン樹脂組成物を得た。次いで直ち
に50℃のロールを用いてシートにした後、カッターを
用いて角ペレットを得、この角ペレットのメルトインデ
ックスを測定した。残った角ペレットを日本製鋼所
(株)製6.5オンス インラインスクリュータイプの
射出成形機を用いてテストピースを作成した。
射出成形条件は第2表のとおりである。
得られた樹脂組成物の物性評価の結果を第3表に示し
た。
比較例6〜8 それぞれ比較例3〜5で得られたエチレン系共重合体を
用い、その他は実施例4と同様に処理してポリプロピレ
ン樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価の
結果を第3表に示した。
比較例7の場合には実施例4の場合に比べて耐衝撃性が
劣り、また比較例6および8の場合には破断点強度が低
下していた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のエチレン系共重合体の代表的なDS
Cパターンを示す図面である。 Th……高温側融点、Tl……低温側融点。
フロントページの続き (72)発明者 山崎 禎英 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−20309(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレンと1−ブテンを主重合単位とし、
    下記(A)〜(E)の要件を満足する実質上線状構造を
    有するエチレン系共重合体(イ)と、結晶性ポリプロピ
    レン(ロ)とを含み、(イ)と(ロ)の混合比率
    ((イ)/(ロ))が50/50〜5/95(重量比)
    であることを特徴とするエチレン系共重合体組成物、 (A)共重合体中のエチレン含量が85〜95モル%で
    あること、 (B)重量平均分子量が3万〜20万であること、 (C)GPCで測定した分子量分布が単一のピークで、
    かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と
    の比Mw/Mnが2〜5であること、 (D)示差走査型熱量計で求められる融点が高温側と低
    温側の2個存在し、高温側融点(Th)が115〜12
    5℃、低温側融点(Tl)が40〜90℃に存在するこ
    と、 (E)示差走査型熱量計で求められる115℃以上の温
    度における結晶融解熱量(Hh)の全結晶融解熱量(H
    t)に対する割合が0.015≦Hh/Ht≦0.15
    であること。
JP61177390A 1986-07-28 1986-07-28 エチレン系共重合体組成物 Expired - Fee Related JPH0645731B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61177390A JPH0645731B2 (ja) 1986-07-28 1986-07-28 エチレン系共重合体組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP61177390A JPH0645731B2 (ja) 1986-07-28 1986-07-28 エチレン系共重合体組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6333449A JPS6333449A (ja) 1988-02-13
JPH0645731B2 true JPH0645731B2 (ja) 1994-06-15

Family

ID=16030101

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP61177390A Expired - Fee Related JPH0645731B2 (ja) 1986-07-28 1986-07-28 エチレン系共重合体組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0645731B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5268220A (en) * 1989-05-11 1993-12-07 Nippon Petrochemicals Company, Limited Polypropylene film
CA2048296C (en) * 1990-08-13 2002-09-24 Henry G. Schirmer Blends of polypropylene and ethylene copolymer and films made from the blend
US5231151A (en) * 1991-01-18 1993-07-27 The Dow Chemical Company Silica supported transition metal catalyst
KR102516747B1 (ko) * 2019-09-30 2023-04-03 주식회사 엘지화학 폴리프로필렌계 복합재
JP7462731B2 (ja) * 2019-09-30 2024-04-05 エルジー・ケム・リミテッド ポリプロピレン系複合材

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5838459B2 (ja) * 1976-02-06 1983-08-23 三井化学株式会社 透明性および耐衝撃性の良好なポリプロピレン組成物
JPS6088016A (ja) * 1983-10-21 1985-05-17 Mitsui Petrochem Ind Ltd エチレン共重合体
JPH072812B2 (ja) * 1986-07-11 1995-01-18 日本合成ゴム株式会社 エチレン系共重合体およびその製造法

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6333449A (ja) 1988-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2582749B1 (en) Crystalline block composites as compatibilizers
US4390666A (en) Polyethylene blend composition
EP2436703B1 (en) Comb architecture olefin block copolymers
JP3045548B2 (ja) ポリエチレン組成物
US8785554B2 (en) Crystalline block composites as compatibilizers
EP2582747B1 (en) Crystalline block composites as compatibilizers
JPH0565373A (ja) ポリエチレン組成物
PT690891E (pt) Composicoes polimericas com base em lldpe altamente processaveis
JPH0448804B2 (ja)
EP0444606B1 (en) Ethylene/pentene-1 copolymer, process for the preparation of the same, and ethylene/pentene-1 copolymer composition
CA2043656A1 (en) Thermoplastic resin composition
JPH0645731B2 (ja) エチレン系共重合体組成物
JPH07103280B2 (ja) 自動車内外装部品用ポリプロピレン樹脂組成物
JP3372074B2 (ja) ポリエチレン組成物
JPH072812B2 (ja) エチレン系共重合体およびその製造法
JPH0649287A (ja) エチレン重合体組成物
JP3313485B2 (ja) 無機充填剤含有樹脂組成物
JPH0987330A (ja) エチレン系三元共重合体及び組成物
JP2549617B2 (ja) ポリオレフイン組成物
JP3416880B2 (ja) 樹脂組成物
JP2001206994A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物及び成形体
WO2024073577A1 (en) Polyolefin compositions with excellent impact strength and light transmittance
JPH0699530B2 (ja) ゴム変性熱可塑性樹脂の製造方法
JPH0339089B2 (ja)
JPS61181849A (ja) エチレン−α−オレフイン系共重合ゴム組成物

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees