JPH0645330B2 - エアバック装置付きステアリングホイール - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は、自動車等において、乗員を衝突等の衝撃から
保護するエアバック装置付きのステアリングホイールに
関する。

（従来の技術） 自動車等において、乗員を衝突等の衝撃から保護するエ
アバック装置としては、たとえば実開昭６３−１６０２
５４号公報に示されたものが知られている。

このエアバック装置は、折り畳まれた状態のエアバック
をカバー体で覆い、エアバックにガス発生器からガスを
流入して膨張させるとともに、この膨張途中でカバー体
を破断し、エアバックをカバー体から突出させて展開さ
せることにより、運転者がステアリングホイールのリム
部や前方のガラスに衝突するのを防止するとともに、衝
突の際の衝撃を吸収する働きをする。

また、この種のエアバック装置は、一般的に、ステアリ
ングホイールの製造工場において、ガス発生器、エアバ
ック、カバー体等を組立ててエアバック装置としてユニ
ット化しておき、これを別に製造したステアリングホイ
ール本体とともに自動車の組立工場に運び、自動車の組
立工場において、車体のステアリンクシャフトにステア
リングホイール本体を取付けた後、このステアリングホ
イール本体に対して取付けられる。

このように、エアバック装置は単独で輸送や保管等の取
扱いが行なわれるが、ガス発生器は、エアバックを瞬時
に膨張させて展開させるために作業時において爆発的に
ガスを発生するため、慎重な取扱いが必要とされてい
る。しかし、エアバック装置をステアリングホイール本
体に取付ける前の状態では、ガス発生器の下部が外部に
露出した状態にあり、ショックを受けたり、傷付いたり
しやすく、危険性が高かった。

また、上記のように、ガス発生器は取扱いに注意を必要
とするため、取扱い上の注意等を表示するラベルをエア
バック装置の外部から見える場所に取付ける必要があ
る。このラベルの取付け場所は、ステアリングホイール
本体に取付けられる下面すなわちガス発生器の下面とな
るが、ガス発生器の下面にはガス発生器自体の規格等を
表示する規格表示ラベルが貼られているため、ラベルを
ガス発生器の下面に直接貼り付けることはできず、ラベ
ルはガス発生器の周囲に嵌合して支持するベースプレー
ト等にリベット等の固着部品を用いて固定してガス発生
器の下面側に配置するようにしていた。

（発明が解決しようとする課題） 上記のように、エアバック装置は、ステアリングホイー
ルに組付ける前の状態で、単独で輸送や保管等の取扱い
が行なわれるが、ガス発生器の下部が外部に露出した状
態にあり、ショックを受けたり、傷付けたりしやすく、
危険性が高かった。

また、ガス発生器の取扱い上の注意等を表示するラベル
は、ガス発生器の周囲に嵌合して支持するベースプレー
ト等にリベット等の固着部品を用いて固定することによ
り、ガス発生器の下面側に配置するため、ラベルの固定
のためにリベット等の固着部品や、その固着部品を止め
る治具を別に必要とし、しかも、組立て構造によっては
ベースプレートにラベルがガス発生器よりも先に取付け
られるため、ラベルをまくりながらガス発生器をベース
プレートに取付けなければならず、組立作業性が悪かっ
た。

本発明は、このような点を解決しようとするもので、エ
アバック装置の下面から露出するガス発生器を保護し、
かつ、ラベルを別の固着部品を用いずに取付けられ、組
立作業性のよいエアバック装置付きステアリングホイー
ルを提供することを目的とするものである。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段） 本発明は、ガス発生器18の上部に常時は折り畳まれた状
態とされガス発生器18からのガスの流入により膨張する
エアバック14を配設し、このエアバック14を覆い膨張時
に破断される弾性材からなるカバー体21を配設したエア
バック装置付きステアリングホイールにおいて、エアバ
ック装置11のガス発生器18の下部を覆う保護カバー31を
設け、この保護カバー31にラベル37の取付片39が挿入さ
れる挿入部45を設けるとともに、この挿入部45に挿入さ
れたラベル37の取付片39に係合して保持する保持体44を
変位可能に一体に設けたものである。

（作用） 本発明では、保護カバー31によりガス発生器18の下部を
保護し、また、ラベル37の取付片39を保護カバー31の挿
入部45に挿入するとともに保持体44で係合保持させて取
付け、ラベル37を保護カバー31と共にエアバック装置11
に一体的に取付ける。

（実施例） 以下、本発明の一実施例の構成を第１図ないし第４図を
参照して説明する。

第２図は自動車のステアリングホイールを示し、このス
テアリングホイールは、円環状のリム部１の中央部に複
数のスポーク部２を介してボス部３が設けられている。
そして、このボス部３は、第１図に示すように、図示し
ないステアリングシャフトに嵌着して固定される金属製
の円筒状のボス４を有し、このボス４の上部にボスプレ
ート５が溶接固定されている。

上記ボス部３の上部にエアバック装置11が配設されてい
る。このエアバック装置11は、上記ボスプレート５上に
図示しない取付手段を介して固定部材としてのベースプ
レート12が取付けられ、このベースプレート12の円形の
開口部13の周辺部上に、エアバック14の円形の開口部15
の周辺部が円環状の固定板16で押さえ付けられ、図示し
ない複数個のボルトが挿入されてナット17（第３図に示
す）により締付け固定され、そして、エアバック14は常
時は折り畳まれた状態に配置されている。

また、上記ベースプレート12の開口部９にガス発生器18
が配設され、このガス発生器18の外周のフランジ部19が
上記ベースプレート12の下面に接合され、上記固定板1
6、エアバック14、ベースプレート12を介してボルトが
挿入されてナット17により締付け固定されている。な
お、このガス発生器18のエアバック14の内部に嵌合する
上部周面には、ガスがエアバック14内に吹出す複数の吹
出口20が設けられている。また、このガス発生器18の下
面には、ガス発生器自体の規格等を表示する規格表示ラ
ベルが貼り付けられている。

また、上記ベースプレート12の縁部に上記エアバック14
を覆ってカバー体21が固定されている。このカバー体21
は、弾性体により一体に形成され、そして、上面部にエ
アバック14の膨脹に伴って破断される肉薄部22が形成さ
れている。

上記エアバック装置11の下面に露出するガス発生器18の
下部を覆って保護カバー31が取付けられている。この保
護カバー31は、透過性を有する合成樹脂にて一体成形さ
れ、ガス発生器18の下面を覆う下面部32と、ガス発生器
18の周面を覆う周面部33と、この周面部33の上端外縁部
の矩形状のフランジ部34とを備え、このフランジ部34が
ガス発生器18のフランジ部19の下面に接合され、上記固
定板16、エアバック14、ベースプレート12、ガス発生器
18のフランジ部19に挿通されたボルトが、第３図のよう
に、フランジ部34の四隅の通孔35に挿入され、このボル
トにフランジ部34の下面側からナット17が螺着されるこ
とにより、エアバック14やガス発生器18等と一体的に締
付け固定される。なお、下面部32および周面部33には、
ガス発生器18の下面中央から引き出される電気配線を保
護カバー31の外側に引き出すための配線引出部36が設け
られている。

また、上記保護カバー31には、第３図および第４図に示
すように（これらの各図に示される保護カバーは第１図
に対して上下逆になっている）、ガス発生器18を有する
エアバック装置11の取扱い上の注意等を表示するラベル
37が取付けられるラベル取付部41が一体に設けられてい
る。

このラベル取付部41は、周面部33に取付枠42が設けられ
ているとともに、この取付枠42にヒンジ部43を介して保
持体44が保護カバー31の内側に侵入回動可能に連設され
ている。

そして、上記取付枠42には、内側には横長溝状の挿入部
45が上下方向に貫通形成され、この挿入部45内の取付枠
42の内壁面に円形の突起46が横方向に並んで複数突設さ
れているとともに、挿入部45の開口端面の両側に下面部
32から一対の突部47が突設され、この突部47間に嵌合溝
48が設けられている。

また、上記保持体44は、取付枠42の挿入部45中に侵入可
能とする横幅に形成され、取付枠42にヒンジ部43を介し
て水平部49が連結され、この水平部49の先端からほぼＬ
字状に垂直部50および水平部51が連設されている。この
垂直部50には、取付枠42の各突起46の外側に嵌合可能と
する嵌合溝孔52が複数設けられているとともに、両側に
補強リブ53が設けられ、また、水平部51の先端中央部
に、取付枠42の突部47間の嵌合溝48に嵌合して下面部32
に係着する係着爪54が設けられている。そして、成形時
には、第３図に示す状態、第４図に２点鎖線で示す状態
で一体成形される。

なお、上記ヒンジ部43は、幅方向全域に渡って形成され
た肉薄部55で保持体44を折曲げ可能としている。

上記ラベル37は、本体部38から上記挿入部45に挿入可能
とする取付片39がほぼＬ字状に折曲され、この取付片39
に上記各突起46の外側に嵌合可能とする複数の嵌合孔39
aが設けられている。なお、この嵌合孔39aの内縁部は、
突起46の外周面に食い付くように波形に設けられてい
る。

そうして、ラベル37を保護カバーに取付けるには、ま
ず、ラベル37の取付片39を保護カバー31のラベル取付部
41の挿入部45に挿入し、取付片39の各嵌合孔39aを各突
起46の外側に圧入嵌合する。

次に、第３図および第４図に矢印にて示すように、保持
体44を保護カバー31の内側へヒンジ部43を支点として回
動させ、その保持体44を取付枠42の内側に嵌合させるこ
とにより、保持体44の各嵌合溝孔52を各突起46の外側に
嵌合し、保持体44の水平部51を取付枠42の突部47の下面
部に当接嵌合し、水平部51の先端の係着爪54を取付枠42
の突部47間の嵌合溝48に嵌合して下面部32に係着し、保
持体44を第４図に示す回動状態に固定する。

これにより、ラベル37の取付片39は取付枠42の内壁面と
保持体44の垂直部50との間で挟持され、ラベル37の本体
部38が保護カバー31の下面部32に離間対向した状態に支
持される。

なお、保護カバー31の内側に嵌合した保持体44は、ガス
発生器18の嵌合領域の外側にある。

そして、第１図のように、ラベル37が取付けられた保護
カバー31をガス発生器18の下部を覆って嵌合し、エアバ
ック14やガス発生器18等と共に複数のボルトおよびナッ
ト17によって一体的に締付け固定し、エアバック装置11
を組立てる。

したがって、ガス発生器18を有するエアバック装置11の
取扱い上の注意を表示するラベル37を、リベットやねじ
等の固着部品を別に用いずに保護カバー31に取付け、こ
の保護カバー31をガス発生器18を覆って取付けることに
より、エアバック装置11に一緒に装着することができ、
作業性がよい。

なお、保護カバー31の内側にガス発生器18の下部が嵌合
するため、保持体44の保持解除方向への回動を規制し、
ラベル37を脱落するのを防止できる。

また、保護カバー31の下面部32に対向して支持されたラ
ベル37の本体部38をめくることにより、透明な保護カバ
ー31の下面部32を通じてガス発生器18の下面に貼り付け
られている規格表示ラベルを確認することができる。

また、このエアバック装置11は、ステアリングホイール
の製造工場において、ユニット化され、別に製造したス
テアリングホイール本体とともに自動車の組立工場に運
ばれ、自動車の組立工場において、車体のステアリンク
シャフトにステアリングホイール本体を取付けた後、こ
のステアリングホイール本体に対して取付けられる。

そのため、単独での輸送や保管等の取扱いが行なわれる
が、このエアバック装置11の単独の取扱いの際に、その
ガス発生器18の上部がカバー体21によって保護されると
ともに、ガス発生器18の下部が保護カバー31によって保
護されているので、ガス発生器18が、ショックを受けた
り、傷付いたりする心配がなく、安全性が高いものとな
っている。

そして、自動車に取付けられたステアリングホイールの
エアバック装置11は、自動車の衝突等の際の衝撃によ
り、ガス発生器18からガスが急激に発生し、このガスが
吹出口20からエアバック14の内部に流入し、これによっ
てエアバック14が急速に展開され、このエアバック14の
展開の途中で、その膨張圧によりカバー体21の肉薄部22
が破断され、エアバック14が運転者に向かって展開し、
運転者がステアリングホイールのリム部１や前方のガラ
スに衝突するのを防止するとともに、衝突の際の衝撃を
吸収する。

また、保護カバー31のラベル取付部41は、第５図および
第６図に示す構造でもよい。すなわち、保護カバー31の
下面部32よりも取付枠42を突出させ、その取付枠42の突
出縁部からほぼＬ字状の押え片61を挿入部45の開口端上
に複数突設する。そして、ラベル37の取付片39を押え片
61と下面部32との間から挿入部45に挿入し、保持体44を
取付枠42の内側に回動嵌合し、保持体44の先端の係着爪
54を下面部32に係着して止める。これにより、ラベル37
の取付片39を取付枠42の内壁面と保持体44の垂直部50と
の間で挟持し、かつ、ラベル37の取付片39を取付枠42の
押え片61と保持体44の水平部51との間で折り曲げ、ラベ
ル37の本体部38を保護カバー31の下面部32に離間対向し
た状態に支持する。

この場合、ラベル37の本体部38と取付片39とは平行のま
までよく、ラベル37の折り曲げ工程を削減することがで
きる。なお、係着爪54が嵌合するための開口部62を設け
る必要があるが、嵌合孔39a等と同時に打ち抜き形成で
きるので、製造工程が増加することはない。

〔発明の効果〕

本発明によれば、保護カバーによりガス発生器の下部を
保護するため、安全性が高く、また、ラベルの取付片を
保護カバーに一体に設けた保持体によって取付けること
ができるため、別の固着部品を用いる必要がなく、しか
も、ラベルを保護カバーと共にエアバック装置に一体的
に取付けることができ、組立作業性を向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のステアリングホイールの一実施例を示
す断面図、第２図はその平面図、第３図は保護カバーの
裏面則から見た斜視図、第４図はその一部の断面図、第
５図は本発明の他の実施例を示す保護カバーの裏面側か
ら見た斜視図、第６図はその一部の断面図である。 11……エアバック装置、14……エアバック、18……ガス
発生器、21……カバー体、31……保護カバー、37……ラ
ベル、39……取付片、44……保持体、45……挿入部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガス発生器の上部に常時は折り畳まれた状
   態とされガス発生器からのガスの流入により膨張するエ
   アバックを配設し、このエアバックを覆い膨張時に破断
   される弾性材からなるカバー体を配設したエアバック装
   置付きステアリングホイールにおいて、 上記エアバック装置のガス発生器の下部を覆う保護カバ
   ーを設け、この保護カバーにラベルの取付片が挿入され
   る挿入部を設けるとともに、この挿入部に挿入されたラ
   ベルの取付片に係合して保持する保持体を変位可能に一
   体に設けたことを特徴とするエアバック装置付きステア
   リングホイール。