JPH0645220A - 投影露光装置 - Google Patents

投影露光装置

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JPH0645220A
JPH0645220A JP4217339A JP21733992A JPH0645220A JP H0645220 A JPH0645220 A JP H0645220A JP 4217339 A JP4217339 A JP 4217339A JP 21733992 A JP21733992 A JP 21733992A JP H0645220 A JPH0645220 A JP H0645220A
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JP
Japan
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reticle
pattern
optical system
glass substrate
mask
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JP4217339A
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English (en)
Inventor
Shigeru Hirukawa
茂 蛭川
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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Publication of JPH0645220A publication Critical patent/JPH0645220A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/70058Mask illumination systems

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 σ値が大きい複雑な照明光学系を使用するこ
となく、高解像度で且つ深い焦点深度を得ると共に、レ
チクルが交換されても煩雑な調整を不要とする。 【構成】 レチクルRの上に自己保持部材18を介して
ガラス基板17を載置し、ガラス基板17の裏面に回折
格子パターンRGを形成する。回折格子パターンRGに
より、照明光学系からの照明光ILを傾斜させてレチク
ルRに入射させ、レチクルRのパターンを投影光学系P
Lを介してウエハW上に露光する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば半導体素子又は
液晶表示素子等をリソグラフィ技術を用いて製造する際
にマスクパターンを感光基板に転写するために使用され
る投影露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば半導体素子又は液晶表示素子等を
リソグラフィ技術を用いて製造する際に、フォトマスク
又はレチクル等(以下、「レチクル」と総称する)のパ
ターンを露光光で照明する照明光学系とそのパターンの
像を感光基板としてのウエハ上に結像して露光する投影
光学系とを有する投影露光装置が使用されている。従来
の投影露光装置では、レチクル上のパターンが存在する
面のフーリエ変換面となる照明光学系の面(以下、「照
明光学系の瞳面」という)又はその近傍の面内におい
て、照明光束を照明光学系の光軸を中心としたほぼ円形
(あるいは矩形)領域に制限してレチクルを照明する構
成を採っていた。このため、照明光束はレチクルに対し
てほぼ垂直に近い角度で入射しており、このとき、レチ
クルパターンから発生する0次回折光と±1次回折光と
がレチクル側でなす角度θは、露光光の波長をλ(μ
m)、レチクルパターンのピッチをPとすると、次式か
ら求められる。 sinθ=λ/P
【0003】斯かる従来の投影露光装置において、透過
部と遮光部のみからなるレチクル(以下、「通常レチク
ル」という)を使用する場合、投影光学系のレチクル側
の開口数をNAR とすると、sinθ=NAR が成立し
ているので、ウエハ上で解像できるレチクルパターンの
微細度(最小パターンピッチ)Pmin は、上記の式より
次のようになる。 Pmin ≒λ/NAR
【0004】また、最小パターンサイズはピッチPの半
分であるから、最小パターンサイズは0.5×λ/NA
R 程度となるが、実際のフォトリソグラフィ工程では、
ウエハの湾曲、プロセスによるウエハの段差等の影響又
はフォトレジスト自体の厚さのために、或る程度の焦点
深度が必要となる。このため、実用的な最小解像パター
ンサイズは、プロセスk(通常0.6〜0.8程度)を
用いてk×λ/NARとして表される。また、投影光学
系のウエハ側の開口数をNAとすると、投影光学系の最
良結像面の焦点深度は±λ/NA2 である。
【0005】以上のことから、従来の投影露光装置にお
いてより微細なパターンを露光転写するためには、より
短い波長の露光光(エキシマレーザー光等)を使用する
か、あるいはより開口数の大きな投影光学系を使用する
必要があった。しかしながら、露光光の波長を短波長化
することは現時点では困難である。また、投影光学系の
開口数は現状でも既に理論的限界に近く、これ以上の大
開口化は困難である。仮に、現状以上の大開口化が可能
であるとしても、装置が大型化して高価になる上、±λ
/NA2 で定まる焦点深度は開口数の増加に従って急激
に減少するため、実使用に必要な焦点深度が小さくなり
過ぎるといった問題がある。
【0006】これに関して、最近では照明条件の最適化
又は露光方法の工夫等によって微細パターンの転写を行
う試みがなされている。例えば特定線幅のレチクルパタ
ーンに対して最適な照明光学系の開口数との組み合せを
選択することによって、解像度や焦点深度を向上させる
方法が提案されている。また、照明光学系の瞳面又はそ
の近傍面内における照明光束の光量分布(以下「2次光
源形状」という)を輪帯状に規定してレチクルパターン
に照明光束を照射する輪帯照明法、又はレチクルパター
ンの周期性に対応して特定方向から照明光束を所定角度
だけ傾斜させて照射する傾斜照明法等も提案されてい
る。この傾斜照明法は2次光源形状を或る程度変形する
ことと等価であり、照明光学系の瞳面での2次光源の分
布位置に対応してレチクルへの照明光の入射角度が定ま
る。
【0007】また、そのように輪帯状に規定した2次光
源形状ではなく、2次光源形状を部分的に制限して一層
変形した光源(以下「変形光源」という)を使用する投
影露光装置が、特開平4−101148号公報、特開平
4−180612号公報、特開平4−180613号公
報で提案されている。これらの方法により、投影光学系
の解像度や焦点深度をこれまでの円形の2次光源形状の
光源を用いる場合に比べて改善することができる。但
し、従来はその変形光源を用いた照明光の実現は、照明
光学系内部の2次光源位置を変更することにより行われ
ていた。
【0008】図8はその変形光源を用いた投影露光装置
の光学系の概略を示し、この図8において、図示省略し
た光源から射出された照明光ILが開口絞り1に照射さ
れてる。その開口絞り1には光軸AXから偏心した位置
に軸対称に1対の開口1a及び1bが形成されており、
開口1a及び1bから射出された照明光IL1及びIL
2がそれぞれコンデンサーレンズ2を介してレチクルR
のパターン3上に照射されている。その開口絞り1の配
置面はコンデンサーレンズ2に関してレチクルRのパタ
ーン3のフーリエ変換面(照明光学系の瞳面)となって
いる。従って、開口1a及び1bはその照明光学系の2
次光源とみなすことができる。それら2次光源、即ち開
口1a及び1bが光軸AXから偏心しているので、開口
1a及び1bから射出された照明光IL1及びIL2の
主光線はそれぞれレチクルRに対して入射角ψで傾斜し
て入射する。
【0009】レチクルR上に描画されたパターン3は図
8の紙面に平行な方向にピッチPのライン・アンド・ス
ペースパターンであるとする。先ず、開口絞り1の開口
1bからの照明光IL2の主光線は、コンデンサーレン
ズ2を経て入射角ψでレチクルRに入射する。これに応
じてレチクルRのパターン3からは、0次回折光D0、
±1次回折光Dp,Dm及びより高次の回折光成分が、
パターンのピッチに応じて定まる方向に射出される。
【0010】照明光IL2は両側テレセントリックな投
影光学系PLの光軸AXに角度ψだけ傾いてレチクルR
に入射するので、0次回折光D0もまた光軸AXに対し
て角度ψだけ傾いた方向に射出され、−1次回折光Dm
は0次回折光D0に対して光軸AX側に角度θmだけ傾
いてパターン3から射出され、+1次回折光Dpは0次
回折光D0に対して光軸AXから離れる方向に角度θp
だけ傾いて射出される。従って、+1次回折光Dpは光
軸AXに対して角度(θp+ψ)の方向に進行し、−1
次回折光Dmは光軸AXに対して反対側に角度(θm−
ψ)の方向に進行する。照明光の波長をλとすると、そ
れら回折角θp及びθmはそれぞれ次のようになる。 sin(θp+ψ)−sinψ=λ/P (1) sin(θm−ψ)+sinψ=λ/P (2)
【0011】ここで、+1回折光Dp及び−1次回折光
Dmの両方が投影光学系PLの瞳面の絞り(瞳)を透過
しているものとする。そして、レチクルRのパターン3
が微細化してピッチPが小さくなり回折角が増大する
と、先ず角度(θp+ψ)の方向に進行する+1次回折
光Dpが投影光学系PLの瞳面の絞りを透過できなくな
る。即ち、投影光学系PLの入射側の開口数をNAR
すると、sin(θp+ψ)>NAR の関係になってく
る。しかしながら、この場合でも−1次回折光Dmに関
してはsin(θm−ψ)<NAR が成立し、その−1
次回折光Dmは投影光学系PLの瞳を通過する。
【0012】従って、投影光学系PLの下方のウエハW
上には0次回折光D0と−1次回折光Dpとの干渉縞、
即ちレチクルRのパターン3の像が形成される。このと
きの解像限界は、次式が成立するときである。 sin(θm−ψ)=NAR (3) 従って、レチクルRのパターン3のピッチPの転写可能
な最小値Pmin は次のようになる。 NAR +sinψ=λ/Pmin (4) Pmin =λ/(NAR +sinψ) (5)
【0013】一例として、(5)式のsinψを0.5
×NAR 程度に定めるとすれば、レチクルRのパターン
3の転写可能な最小ピッチPmin は次のようになる。 Pmin =λ/(NAR +0.5NAR ) =2λ/(3NAR ) (6) 一方、投影光学系PLの瞳上での照度分布が光軸AXを
中心とする円形領域である従来の照明光学系の場合に
は、転写可能な最小ピッチPmin は約λ/NARであ
る。従って、変形光源による照明法により従来の投影露
光装置より高い解像度が得られることが分かる。
【0014】次に、0次回折光D0と−1次回折光Dm
とを用いてウエハW上に結像することにより、焦点深度
も深くなる理由について説明する。図8において、投影
光学系PLのレチクルRからウエハWへの倍率をM、ウ
エハWに対する0次回折光D0の入射角をα0とする
と、sinα0=sinψ/Mである。また、−1次回
折光Dmの入射角をαmとすると、sinαm=sin
(θm−ψ)/Mである。この場合、sinψ≒sin
(θm−ψ)が成立している。従って、ウエハWの露光
面のデフォーカス量をΔFとすると、0次回折光D0に
よる波面収差であるΔF・sin2 α0/2と−1次回
折光Dmによる波面収差であるΔF・sin2 αm/2
とはほぼ等しくなり、焦点深度が増大する。
【0015】また、照明光IL2のレチクルRへの入射
角ψが回折角θmの1/2になるように、即ちsinψ
=sin(θm−ψ)=NAR が成立するようにする
と、(4)式より次式が成立する。 sinψ=λ/(2・Pmin ) (7) この場合には、ウエハW上での0次回折光D0の入射角
α0と、−1次回折光Dmの入射角αmとが一致して、
焦点深度は非常に長くなる。また、(7)式が成り立つ
ときには、(5)式より転写可能な最小ピッチPmin
λ/(2・NAR )となり、(6)式よりも更に解像度
が向上している。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記の投影露光装置の
ように、開口絞り1等の変形絞りにより照明光学系内の
2次光源の位置を光軸AXに対して偏心させることによ
り、変形光源を実現する方式では、レチクルに対する照
明光束の最大入射角度が大きくなる(コヒーレンスファ
クター(所謂σ値)で0.8程度に相当する)。従っ
て、このように大きいσ値の照明光学系は複雑であり、
装置の大型化及び高コスト化を招くという不都合があ
る。
【0017】また、そのような変形絞りを用いる方式で
は遮光される露光光の量が大きくなり、ウエハW上での
照度(照明パワー)が低下する傾向がある。但し、開口
絞り1の代わりにそれぞれフライアイレンズ等よりなる
複数のオプティカルインテグレータを配置する方式も提
案されているが、この方式では照度の低下はかなり少な
くなっている。更に、近時は半導体素子等を製造するた
めに多くのレチクルのパターンが順次ウエハ上に転写さ
れるため、レチクルが交換された際に複雑な調整が必要
とされるのは好ましくない。
【0018】本発明は斯かる点に鑑み、σ値が大きい複
雑な照明光学系を使用することなく、高解像度で且つ深
い焦点深度でレチクルのパターンを投影光学系を介して
感光基板上に転写できる投影露光装置を提供することを
目的とする。更に、本発明はレチクルが交換された場合
でも、特に複雑な調整等を行うことなく高解像度且つ深
い焦点深度が得られる投影露光装置を提供することを目
的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明による投影露光装
置は、例えば図1に示す如く、光源(4)からの照明光
(IL)により均一な照度でマスク(R)を照明する照
明光学系(7,10,14,15)と、そのマスク
(R)のパターンの像を感光基板(W)上に結像して投
影する投影光学系(PL)とを備えた投影露光装置にお
いて、そのマスク(R)からその照明光学系側に所定間
隔だけ離して配置され、且つその照明光学系からそのマ
スク(R)に対して照射される照明光の少なくとも一部
の照明光のそのマスク(R)に対する入射角をその照明
光学系の光軸(AX)に対して傾斜させる偏向部材(1
7)と、その偏向部材(17)側に装着され、その偏向
部材(17)とそのマスク(R)との間隔をその所定の
間隔に保つための自己保持用の固定部材(18)とを設
けたものである。
【0020】この場合、そのマスク(R)をそのマスク
(R)の周縁部の支持領域で支持するマスク保持部材
(19)を設け、その自己保持用の固定部材(18)に
そのマスク(R)の支持領域に対向する領域でそのマス
ク(R)に接触する脚部(例えば図6の40a〜40
d)を設けることが望ましい。
【0021】
【作用】斯かる本発明によれば、偏向部材(17)によ
り照明光学系(7,10,14,15)からの照明光
(IL)の少なくとも一部がその光軸(AX)に対して
傾斜し、この傾斜した照明光(IL)がマスク(R)に
入射する。従って、従来のように光軸から偏心した2次
光源を用いてマスク(R)を照明するのと等価になり、
高解像度且つ深い焦点深度でマスク(R)のパターンが
感光基板(W)上に転写される。この場合、照明光学系
中には偏心した2次光源を形成する必要がなく、小さな
σ値(例えば0.1〜0.3程度)の照明光学系を使用
するだけでよい。
【0022】図3を参照して本発明の原理をより詳細に
説明する。簡単のため、マスク(R)のパターンとして
は、ピッチP1のライン・アンド・スペースパターンを
仮定して、偏向部材(17)としてマスク(R)のパタ
ーンとピッチ方向が同一のピッチP2の位相型の回折格
子パターンを仮定する。このとき、偏向部材(17)に
垂直に照明光(IL)が入射すると、偏向部材(17)
から光軸に対して角度φだけ傾斜して射出された回折光
IL1及び1L2がマスク(R)に入射する。回折光I
L1がマスク(R)に入射すると、マスク(R)からは
0次回折光D0及び−1次回折光Dmが射出される。図
8を参照して既に説明したように、0次回折光D0の傾
斜角と−1次回折光Dmの傾斜角とが等しいときに焦点
深度が最も深くなる。
【0023】この場合、照明光ILの波長をλとする
と、偏向部材(17)側では次の関係が成立している。 P2・sinφ=λ (8) また、マスク(R)側では0次回折光D0と−1次回折
光Dmとの間の回折角をθmとすると、(2)式より次
の関係が成立している。 P1・sin(θm−φ)+P1・sinφ=λ
(9)
【0024】そして、0次回折光D0の傾斜角と−1次
回折光Dmの傾斜角とを等しくするには、(9)式で、
θm=2φとすると、次の関係が得られる。 P2=2・P1 (10)
【0025】即ち、偏向部材(17)のピッチP2をマ
スク(R)のパターンのピッチP1の2倍に設定する
と、焦点深度を最も深くすることができる。また、それ
ら0次回折光D0及び−1次回折光Dmを用いてそのマ
スク(R)のパターンの像を結像することにより、図8
の変形光源を用いた場合と同様に高い解像度が得られ
る。なお、図3に示すように、偏向部材(17)からの
±1次回折光IL1,IL2は光軸AXに対して対称的
に傾いてマスク(R)のパターンに照射されるので、そ
のパターンが1次元のライン・アンド・スペースパター
ンである場合、投影光学系(PL)の瞳面における照度
分布、即ちそのマスク(R)のパターンからの回折光が
通過する2つの領域の照度がそれぞれほぼ等しくなる。
また、偏向部材(17)が位相型の回折格子パターンで
ある場合には、その位相型の回折格子の溝の深さ、デュ
ーティ比等を最適化することにより、その偏向部材(1
7)からの0次光の発生を抑制して、±1次回折光IL
1,IL2のみを発生させることができ、原理的に図8
の変形光源を用いた場合の照明光と全く等しい照明光が
得られる。
【0026】一方、偏向部材(17)として0次光が発
生するものを使用した場合には、0次光を含めた全回折
光がマスク(R)のパターンを照明することになり、見
かけ上、照明光学系のσ値(コヒーレンシィファクタ
ー)を増大させる効果が得られ、実質的にσ値を可変と
することができる。
【0027】また、本発明では例えば図1に示すよう
に、その偏向部材(17)とそのマスク(R)との間隔
をその所定の間隔に保つための自己保持用の固定部材
(18)が設けられている。従って、マスク(R)が交
換されたような場合でも、マスク(R)の上にその固定
部材(18)を介して偏向部材(17)を載置するだけ
で、マスク(R)と偏向部材(17)との間隔は容易に
所定の値に設定される。
【0028】また、例えば図5に示すように、マスク
(R)をマスク(R)の周縁部の支持領域で支持するマ
スク保持部材(19)を設け、その自己保持用の固定部
材(18)にそのマスク(R)の支持領域に対向する領
域でマスク(R)に接触する脚部(40a〜40d)を
設けた場合には、偏向部材(17)の重量はマスク保持
部材(19)で支持されているマスク(R)上の領域に
かかる。従って、マスク(R)に撓みが生ずることがな
く、投影光学系(PL)の結像面で見かけ上の歪曲収差
が悪化したり、像面湾曲が発生したりすることがない。
【0029】
【実施例】以下、本発明による投影露光装置の一実施例
につき図1〜図7を参照して説明する。図1は本例の投
影露光装置の概略構成を示し、この図1において、水銀
ランプ4から射出された照明光(露光光)ILは、楕円
鏡5及びリレーレンズ系6を経てオプティカルインテグ
レータとしてのフライアイレンズ7に入射する。フライ
アイレンズ7の射出面7aはレチクルのパターン形成面
に対するフーリエ変換面となっており、射出面7aの近
傍に可変の開口絞り8が設けられている。開口絞り8は
照明光学系のレチクル側の開口数NAIL、ひいてはコヒ
ーレンシィファクターとしてのσ値(照明光学系の開口
数NAILと投影光学系のレチクル側の開口数NAR との
比)を調整するための絞りであり、駆動部9によりその
開口絞り8の開口部の大きさを変えることができる。本
実施例でのσ値の設定範囲は、一例として0.1〜0.
3程度である。
【0030】開口絞り8の開口から射出された照明光I
Lは、リレーレンズ10を経て可変の視野絞り(レチク
ルブラインド)11に達する。視野絞り11はレチクル
のパターンとほぼ共役な位置に設けられており、この視
野絞り11の開口部を駆動部12により任意の形状に設
定することでレチクルのパターン領域上での照明領域を
任意に設定できる。視野絞り11の開口を通過した照明
光ILは、ミラー13、コンデンサーレンズ14及びコ
ンデンサーレンズ15を経てミラー16に達し、ミラー
16で反射された照明光ILは、裏面(レチクル側の
面)に回折格子パターンRGが形成されたガラス基板1
7を経てレチクルRのパターン領域PAを照明する。
【0031】ガラス基板17は照明光ILに対して透明
な石英基板等からなる基板であり、回折格子パターンR
Gはそのガラス基板17の裏面上に所定のピッチで1次
元的又は2次元的に形成された位相格子である。位相格
子よりなる回折格子パターンRGは、ガラス基板17の
裏面に誘電体薄膜をパターニングしたものであり、その
パターン形状についての詳細は後述する。なお、位相格
子よりなる回折格子パターンRGを形成するためには、
ガラス基板17自体をエッチング加工して段差を形成す
ることにより位相差を付けてもよく、あるいは例えばイ
オン打ち込み等によりガラス基板17の裏面の特定部の
屈折率を変えるようにしてもよい。
【0032】この場合、ミラー16で反射された照明光
ILはガラス基板17の回折格子パターンRGにほぼ垂
直に入射する。本例ではその位相型の回折格子パターン
RGの形状を0次光が消えるようにしておくことが望ま
しい。このためには、誘電体薄膜を形成した領域を通過
した照明光ILの位相とガラス基板領域を通過した照明
光ILの位相との差を180°にすると共に、その回折
格子パターンRGのデューティ比を1:1にすればよ
い。これにより回折格子パターンRGからは±1次回折
光のみが発生し、この発生された±1次回折光は、投影
光学系PLの光軸AXに対して所定角度傾斜してレチク
ルR上のパターン領域PA及びこのパターン領域PAを
囲む遮光部LSP上に入射する。但し、ガラス基板17
を透過する0次回折光をも使用するような場合には、そ
の回折格子パターンRGのデューティ比を1:1以外の
値にしてもよい。
【0033】また、本実施例ではガラス基板17の裏面
の周縁部には自己保持部材18が取り付けられ、この自
己保持部材18を介してレチクルR上にガラス基板17
が載置されている。そして、レチクルRはレチクルホル
ダー19上に載置され、駆動部20でそのレチクルホル
ダー19を動かすことにより、レチクルRを投影光学系
PLの光軸AXに垂直な面内で2次元的に移動させると
共に回転させることができる。そのガラス基板17の裏
面の自己保持部材18の構成については後述する。
【0034】21は第1制御系、22は装置全体の動作
を制御する主制御系を示し、主制御系22は第1制御系
21を介して駆動部20の動作を制御する。また、23
はX方向用のマーク検出系を示し、このマーク検出系2
3がガラス基板17の上方に移動自在に配置されてい
る。ガラス基板17及びレチクルRにはそれぞれアライ
メント用のマークが形成されており、マーク検出系23
によりそれらマークを検出することにより、ガラス基板
17とレチクルRとの相対的な位置関係を検出すること
ができる。また、そのマーク検出系23によりレチクル
Rのウエハステージ側の座標系に対する位置関係をも検
出することができる。この検出された位置関係の情報が
第1制御系21に供給される。第1制御系21は図示省
略された駆動部を用いて、そのガラス基板17の回折格
子パターンRGとレチクルRのパターンとの周期方向の
調整を行う。但し、ガラス基板17の裏面の自己保持部
材18に位置決め部を設けて、その位置決め部18をレ
チクルR上に載置したときに自動的に位置関係が所定の
状態になるようにした場合には、そのガラス基板17の
回折格子パターンRGとレチクルRのパターンとの周期
方向の調整を行う必要がない。
【0035】24は搬送用のアームを示し、このアーム
24によりガラス基板17及び自己保持部材18がレチ
クルR上に運ばれる。この搬送動作の詳細も後述する。
また、25はバーコードリーダを示し、レチクルRがレ
チクルホルダー19上に搬送される途中で、そのレチク
ルRのパターン領域PAの脇に形成されそのレチクルR
の名称を表すバーコードBCがそのバーコードリーダ2
5で読み取られ、この読み取られたバーコードBCの情
報が主制御系22に供給される。主制御系22は、その
バーコードBCが示す名称に対応した動作パラメータの
1つとして、予め登録されているパターン情報(パター
ンピッチ、ピッチ方向等)に最も適したガラス基板17
を選択して、この選択されたガラス基板17をアーム2
4等を介してレチクルR上に載置する。
【0036】更に、そのバーコードBCが示すレチクル
Rの名称に対応した動作パラメータとして、そのレチク
ルRのパターン及び先に選択されたガラス基板17のも
とでの、開口絞り8、視野絞り11及び投影光学系PL
の可変開口絞り等の最適な設定条件等も登録されてお
り、これらの条件設定もガラス基板17の設定と同時に
行われる。なお、レチクルRのパターン情報の入力は、
バーコードリーダ25に限られるものではなく、キーボ
ード等によりオペレータが入力するようにしてもよい。
【0037】さて、レチクルRのパターン領域PAを透
過した照明光ILは、両側テレセントリックな投影光学
系PLに入射し、そのパターン領域PAのパターンの像
が投影光学系PLを介して表面にレジスト層が形成され
たウエハW上に投影される。その投影光学系PLの瞳面
EP又はその近傍の面内には可変開口絞り25が設けら
れており、その可変開口絞り25の開口径を調整するこ
とにより、投影光学系PLのウエハW側の開口数NAを
変更することができる。ウエハWはその表面が投影光学
系PLの最良結像面にほぼ合致するようにウエハステー
ジ26上に保持され、ウエハステージ26は光軸AX方
向にウエハWを位置決めするZステージ及び光軸AXに
垂直な面内で例えばステップアンドリピート方式でウエ
ハWを位置決めするXYステージ等より構成されてい
る。主制御系22は駆動部27を介してウエハステージ
26の位置決め動作を制御する。そのウエハステージ2
6の2次元的な座標は図示省略したレーザー干渉計によ
って例えば0.01μm程度の分解能で常時検出され、
ウエハW上の1つのショット領域に対するレチクルRの
パターンの露光が終了すると、ウエハステージ26は次
にショット位置までステッピング移動される。
【0038】次に、本例のガラス基板17の裏面に形成
される回折格子パターンRGの例及びそのガラス基板1
7とレチクルRとの間隔、即ち自己保持部材18の高さ
の条件等について説明する。 [レチクルRのパターンが1次元パターンの場合]先
ず、図2(a)に示すように、レチクルRのパターン領
域PAのパターンが遮光部29と光透過部30とをX方
向にピッチP1で配列して得られたライン・アンド・ス
ペースパターン31である場合には、ガラス基板17の
裏面の回折格子パターンRGとしては、図2(b)に示
すように、誘電体薄膜の堆積部32とガラス基板部33
とがX方向にピッチP2で形成された位相格子34を使
用する。この場合、位相格子34のピッチP2はライン
・アンド・スペースパターン31のピッチP1の2倍に
設定する。従って、次式が成立する。 P2=2・P1 (11)
【0039】また、その堆積部32の屈折率をn′、照
明光ILの波長をλとすると、その堆積部32とガラス
基板部33との高さの差をd(図3参照)とすると、次
式が成立するように高さの差dを設定する。 d(n′−1)=λ/2 (12) これは堆積部32とガラス基板部33とを透過する照明
光の位相が180°異なることを意味する。また、回折
格子パターンRGとしての位相格子34の堆積部32と
ガラス基板部33とのデューティ比は1:1になるよう
にする。これにより、図3に示すように、ガラス基板1
7に照明光ILが垂直に入射すると、0次回折光が消え
て、±1次回折光IL1,IL2だけが回折格子パター
ンRGから射出される。
【0040】図3はガラス基板17及びレチクルRを側
面から見た状態を示し、この図3において、位相格子3
4から射出された±1次回折光IL1,IL2は、照明
光ILの波長をλとして、投影光学系PLの光軸AXに
対してレチクルRのパターン31のピッチ方向に互いに
角度φ(sinφ=λ/P2)だけ傾いてレチクルRの
パターンに入射する。そして、+1次回折光IL2に着
目すると、この+1次回折光IL2の照射により、レチ
クルRのパターン31からは0次回折光D0及び−1次
回折光Dmが射出される。同様に−1次回折光IL1の
照射により、レチクルRのパターン31からは0次回折
光D0′及び+1次回折光Dm′が射出される。
【0041】その入射角φの0次回折光D0と−1次回
折光Dmとの間の角度をθmとすると、(11)式の関
係より、θm=2φとなる。即ち、0次回折光D0と−
1次回折光Dmとが投影光学系PLの光軸AXに対して
対称に射出されるが、このようにレチクルRから射出さ
れる回折光の状態は、図8で示すように変形光源を用い
た場合と同じである。従って、本例によれば、小さいα
値の照明光学系を用いているにも拘らず、変形光源を用
いたσ値の大きな照明光学系を用いた場合と同様に、高
解像度及び大焦点深度が得られる。
【0042】また、レチクルRからの0次回折光D0及
び+1次回折光Dm′は投影光学系PLの瞳面EP上の
第1領域を通過し、−1次回折光Dm及び0次回折光D
0′は投影光学系PLの瞳面EP上の光軸AXに関して
第1領域と対称な第2領域を通過する。この場合、ガラ
ス基板17の位相格子34からは±1次回折光IL1,
IL2が対称的に等しい強度で射出されている。従っ
て、投影光学系PLの瞳面EP上では回折光が光軸AX
に関して対称で且つほぼ等しい照度で分布する。これに
よりウエハWのレジスト層に転写される像にだれ等が生
じることがなくなる。なお、照明光学系の開口数NAIL
は0ではないため、図3のガラス基板17へ入射する照
明光ILの入射角も正確には開口数NAILで定まる範囲
内に分布している。従って、例えばレチクルRのパター
ン31から発生する0次回折光D0も、光軸AXに対す
る傾斜角φを中心として開口数NAILで定まる範囲内に
分布している。レチクルRから射出される他の回折光も
同様にそれぞれ開口数NAILで定まる範囲内に分布して
いる。
【0043】次に、図3に示すように、本例ではガラス
基板17の位相格子34とレチクルRのパターン31と
が投影光学系PLの光軸方向に間隔tだけ離れて配置さ
れているが、ガラス基板17からの±1次回折光IL
1,IL2の射出角が異なることによるレチクルR上で
の半影ぼけの幅W1を小さくするためには、その間隔t
は狭い方がよい。しかしながら、その間隔tが小さすぎ
ると、ガラス基板17側の位相格子34の欠陥等による
悪影響が現れる。そこで、その間隔tの最小値を以下で
求める。
【0044】先ず、レチクルRのパターン31に対する
+1次回折光IL2の入射角φを開口数NA0(=si
nφ)に換算する。照明光学系の開口数はNAILである
ため、レチクルRのパターン31への+1次回折光IL
2の入射角の最大値及び最小値の開口数へのそれぞれの
換算値NA1及びNA2は次のようになる。 NA1=NA0−NAIL (13) NA2=NA0+NAIL (14)
【0045】ところで、間隔tはガラス基板17の位相
格子34からのデフォーカス量に相当する。そして、そ
れら入射角がNA1及びNA2の光のそれぞれの光路差
k1及びk2は次のようになる。 k1=t・NA12 /2 (15) k2=t・NA22 /2 (16)
【0046】また、光路差k1と光路差k2との差が照
明光ILの波長λ程度より長ければ、位相格子34のレ
チクルRのパターン31上での像のコントラストはほぼ
零となり、位相格子34のパターンの欠陥等の影響がな
くなる。このための条件は以下の通りである。 k2−k1=t(NA22 −NA12 )/2≧λ (17)
【0047】ここで、(13)式及び(14)式より次
式が得られる。 NA22 −NA12 =4NA0・NAIL (18) また、P2・NA0=λが成り立つことから、(17)
式は次のように変形される。 2t・(λ/P2)・NAIL≧λ (19) 従って、レチクルRの位相格子34の面とレチクルRの
パターン31の面との間隔tの最小値tmin は次のよう
になる。 t≧tmin =P2/(2NAIL) (20)
【0048】その最小値tmin は一例として、空気間で
117μmであり、レチクルRの厚さは例えば2mm
(空気換算で1.3mm)である。従って、ガラス基板
17をレチクルRに密着させても、そのガラス基板17
の回折格子パターンRGが転写される虞はない。また、
図3において、レチクルRの厚さをd1、レチクルRの
屈折率をn、ガラス基板17とレチクルRとの間隔をG
とすると、この間隔Gは次のようになる。 G=t−d1/n (21) また、この間隔Gは図1における自己保持部材18の高
さでもある。従って、(20)式よりその自己保持部材
18の厚さGの最小値Gmin は次のようになる。 G≧Gmin =P2/(2NAIL)−d1/n (22)
【0049】ところで、図3に示すように、ガラス基板
17の位相格子34とレチクルRのパターン31とは間
隔tだけ離れているので、レチクルR上の照明エリアの
端部においては、+1次回折光IL2と−1次回折光I
L1との照明領域のずれによる幅W1の半影ぼけが生じ
てしまう。この半影ぼけの幅W1は、ほぼ次のようにな
る。 W1=2(sinφ+NAIL)(G+d1/n) (23)
【0050】図1を参照して、この半影による影響を防
止する方法について説明する。そのためには、ガラス基
板17の裏面の回折格子パターンRGの形成領域をX方
向及びY方向でそれぞれレチクルRのパターン領域PA
より幅W1/2だけ広げておけばよい。これにより、レ
チクルRのパターン領域PAの全領域にガラス基板17
からの±1次回折光が等しい照度で且つ対称に照射され
る。また、視野絞り111もこれに合わせて広げておく
必要がある。また、半影ぼけの影響を防止するために、
レチクルRのパターン領域PAの外周には遮光帯LSP
が形成されているが、その遮光帯LSPの幅はW1以上
にする必要がある。但し、遮光帯LSPをレチクルR上
に形成する代わりに、例えばガラス基板17とレチクル
Rとの間の自己保持部材18の内部に遮光板を設けても
よく、更にレチクルRの投影光学系PL側に可変の視野
絞りを配置してもよい。
【0051】[レチクルRのパターンが2次元パターン
の場合]次に、レチクルRのパターン領域PAに図4
(a)に示すように、2次元の周期的パターンが形成さ
れている場合について説明する。そのレチクルR上のパ
ターンは遮光部35と光透過部36とをX方向にピッチ
P1Xで、Y方向にピッチP1Yで形成したものであ
る。これに対応して、ガラス基板17の回折格子パター
ンRGとしては、図4(b)に示すように、誘電体薄膜
(例えばSOG等)等の位相シフト部37とガラス基板
部38とをX方向にピッチP2Xで、且つY方向にピッ
チP2Yで市松格子状に配列した位相格子を用いる。ま
た、その回折格子パターンRGのデューティ比は1:1
であり、位相シフト部37を透過した照明光の位相とガ
ラス基板部38を透過した照明光の位相との差は180
°である。これによりその回折格子パターンRGからの
0次回折光及び2次回折光の発生が抑制される。更に、
その回折格子パターンRGのピッチP2X,P2Yとそ
のレチクルRのパターンのピッチP1X,P1Yとの関
係を次のように設定する。 P2X=2・P1X,P2Y=2・P1Y (24)
【0052】なお、実際にはX方向又はY方向の何れか
一方の方向に関するピッチ及びその方向が上記条件を満
たしていれば良い。更に、ガラス基板17の回折格子パ
ターンRGは、レチクルRのパターンに対してピッチ及
びピッチ方向のみを正確に設定しておくだけで良く、回
折格子パターンRGがレチクルRのパターンに対してX
Y平面内で相対的にシフト(位置ずれ)していても問題
ない。但し、互いのピッチ方向を一致させるため、当然
ながら相対回転誤差はほぼ零にしておく必要がある。
【0053】図4(b)のガラス基板17の回折格子パ
ターンRGに照明光ILがほぼ垂直に照射されると、そ
の回折格子パターンRGからはX方向に±1次で且つY
方向に±1次の4個の回折光が射出される。即ち、X方
向にi次でY方向にj次の回折光の次数を(i,j)次
で表すと、2次元の回折格子パターンRGからは(+
1,+1)次、(+1,−1)次、(−1,+1)次及
び(−1,−1)次の回折光が射出される。そして、図
4(c)が図1のレチクルRのパターン領域PAの照明
光学系側のフーリエ変換面28を示すものとして、図1
のガラス基板17の回折格子パターンRGから射出され
る回折光をそのフーリエ変換面28でフーリエ変換して
得られた仮想的な照度分布は、図4の4個の円形領域S
P3〜SP6に分布する。また、光軸AX上の領域SP
0は、照明光学系から射出された照明光ILが通過する
領域である。しかしながら、その領域SP0を通過した
ガラス基板17でカットされるので、レチクルRから見
ると、あたかもそのフーリエ変換面28上に4個の偏心
した領域SP3〜SP5よりなる2次光源があるのと等
価である。
【0054】図4(c)のX方向,Y方向がそれぞれ図
4(a)のX方向,Y方向に対応しているものとする
と、領域SP3〜SP6のX方向の光軸AXからの距離
W2及びY方向の光軸AXからの距離W3の角度換算値
はそれぞれ次のようになる。 W2=λ/P2X,W3=λ/P2Y (25) この結果、図4(a)のパターン領域PAのパターンか
ら発生する±1次回折光の何れか一方と0次回折光とは
図1の投影光学系PLの瞳面EP内で光軸AXからほぼ
等距離だけ離れた4つの小領域を通過し、高解像度及び
大焦点深度が得られる。また、それら4つの小領域の各
照度はほぼ等しくなっている。
【0055】なお、ガラス基板17の2次元の回折格子
パターンRGのデューティ比は1:1以外にしてもよ
い。また、その回折格子パターンRGの他の形成条件、
例えばレチクルRのパターンとの間隔、その回折格子パ
ターンRGの形成領域の大きさ及びレチクルR側に設け
る遮光帯の幅等の条件については、上記のレチクルRの
パターンが1次元パターンの場合と同様である。但し、
図4(a)のレチクルRのパターンのX方向のピッチP
1XとY方向のピッチP1Yとが異なると、図4(b)
のガラス基板17の回折格子パターンRGのX方向のピ
ッチP2XとY方向のピッチP2Yとも異なることにな
り、前述の遮光帯の幅や回折格子パターンRGの領域を
広げる幅もX方向とY方向とで異なるようになる。
【0056】ここで、本例のように、レチクルRの近傍
のガラス基板17に回折格子パターンRGを形成する方
式と、従来例のように実際の2次光源形状を変形する場
合とを比較してみる。従来例により実際に2次光源形状
を変形する場合は、実際に図4(c)の領域SP3〜S
P6に分布している2次光源が形成される。従って、照
明光学系の開口数としてはそれら領域SP3〜SP6を
囲む半径r0 に対応するσ値を有する大きな開口数が必
要となる。これに対して、本例では照明光学系の開口数
としては、図4(c)の中央の領域SP0に対応する
0.1〜0.3程度のσ値に対応する小さな開口数で十
分である。従って、小型の照明光学系を用いて、従来の
変形光源を用いた方式と同等の高解像度及び深い焦点深
度が得られる。
【0057】次に、図1のガラス基板17に装着された
自己保持部材18について詳細に説明する。図5は図1
のガラス基板17、自己保持部材18、レチクルR及び
レチクルホルダー19の分解斜視図であり、この図5に
示すように、矩形の枠状のレチクルホルダー19の4隅
には接触部19a〜19dが形成され、これら接触部1
9a〜19d上にレチクルRの4隅が載置される。それ
ら接触部19a〜19dには例えば真空吸着用の孔が形
成され、レチクルRは真空吸着によりレチクルホルダー
19の接触部19a〜19d上に吸着される。
【0058】また、ガラス基板17の裏面、即ち回折格
子パターンの形成面には金属製の矩形枠状のフレーム3
9が接着されている。また、そのフレーム39の4隅の
底部にそれぞれ脚部40a〜40d(40dは図5には
現れていない)が形成されており、そのフレーム39及
び脚部40a〜40dより自己保持部材18が構成され
ている。更に、フレーム39の側壁の内側は、その回折
格子パターンから発生する回折光が当たらないように、
外側に開いた形状をしていることが望ましい。そして、
ガラス基板17をレチクルR上に設定するときには、そ
のフレーム39の脚部40a〜40dの底面がそのレチ
クルRの4隅に接触するようにする。この場合、レチク
ルフレーム19の4隅の接触部19a〜19dとそのフ
レーム39の脚部40a〜40dとがレチクルRを挟ん
で対向している。これにより、ガラス基板17及びフレ
ーム39の重量はレチクルホルダー19の接触部19a
〜19dに支持されて、レチクルRの撓みが無くなる。
【0059】次に、図6(a)はガラス基板17の表面
からの斜視図、図6(b)はガラス基板17の裏面から
の斜視図であり、これら図6(a)及び(b)に示すよ
うに、フレーム39はガラス基板17の側面から間隔g
だけ内側に固定されており、そのフレーム39の内部に
回折格子パターンRGが形成されている。また、そのガ
ラス基板17の表面から脚部40a〜40dの底部まで
の高さGの最小値は(2)式で規定されている。但し、
通常はその高さGの最小値は0であり、その高さGは低
い方がよい。
【0060】次に、図7を参照して本例の投影露光装置
に対する回折格子パターンRGが形成されたガラス基板
17の搬送方法の一例につき説明する。図7は本実施例
の投影露光装置のレチクル搬送系の概念図であり、この
図7において、光軸AXは図1の投影光学系PLの光軸
そのものである。41は回折格子パターンRGが形成さ
れたガラス基板17のケースであり、ケース41には可
動式の蓋42が取り付けられている。また、このケース
41はレチクル用のケースの集合体であるレチクルライ
ブラリの一角に設置されているものである。また、レチ
クルRにはパターン面に対する塵等の付着を防止するた
めの薄い膜(ペリクル膜)が張設された矩形の枠状のペ
リクルフレームが装着されていることがあるが、本例の
ガラス基板17には通常のペリクルフレームとは異なる
フレーム39が装着されている。従って、そのケース4
1は、ガラス基板17をそのフレーム39の脚部40a
〜40dで保持する形式であることが望ましい。
【0061】図7において、レチクルは図示省略したケ
ースより第1アーム43、第2アーム44及び第3アー
ム24を介して図1のレチクルホルダー19上に搬送さ
れる。本例ではそれらアーム43,44及び24を介し
てケース41から回折格子パターンが形成されたガラス
基板17をも図1のレチクルRの上に搬送する。この場
合、第1アーム43は幅waの突き出し部43a及び4
3bを備えてコの字型に形成され、第2アーム44はレ
チクル又はガラス基板17の4隅に対応する4個の爪部
44a〜44d(図7には44dは現れていない)を備
え、第3アーム24も幅waの突き出し部43a及び4
3bを備えている。その第1アーム43の突き出し部4
3a及び43bの幅waは、図6(b)に示すガラス基
板17の側面とフレーム39との間隔gよりも狭く設定
されている。これにより、その突き出し部43a及び4
3bをガラス基板17と脚部40a〜40dとの間に差
し込んでその回折格子パターンRGが形成されたガラス
基板17を安定に搬送できる。
【0062】図7のケース41の内部からガラス基板1
7を図1のレチクルRの上に搬送するには、先ず、ケー
ス41の蓋42を開けて第1アーム43の突き出し部4
3a及び43bにそのガラス基板17を載せて、その第
1アーム43でそのガラス基板17を取り出す。そし
て、その第1アーム43を移動してそのガラス基板17
を第2アーム44の爪部44a〜44dに渡す。その
後、その第2アーム44が移動してそのガラス基板17
を第3アーム24の突き出し部24a及び24bに渡
し、第3アーム24がそのガラス基板17を図1のレチ
クルRの上に載置する。この際に、ガラス基板17には
図5に示すように自己保持部材18が装着されているの
で、ガラス基板17はその自己保持部材18を介してレ
チクルR上に載置される。
【0063】以上のような自己保持部材18を装着した
ガラス基板17をレチクル搬送系を用いてレチクルR上
に載置して露光を行ったところ、解像力及び焦点深度の
向上が見られた。また、図5に示すように、ガラス基板
17及び自己保持部材18の重量は脚部40a〜40d
を介してそのままレチクルホルダー19の接触部19a
〜19dで受けられるので、レチクルRが撓むことがな
く、図1の投影光学系PLの投影像の歪曲収差や像面湾
曲の変化は認められなかった。
【0064】また、図1において、レチクルRに対して
ガラス基板17は固定されていないため、ガラス基板1
7を一旦図7のケース41に戻した後、レチクルRを別
のレチクルに交換し、その後そのガラス基板17を再度
そのレチクル上に載置して露光を行ったところ、前と同
様に解像力及び焦点深度の向上が見られた。
【0065】なお、ガラス基板17及び自己保持部材1
8の構成は上述実施例に限定されず、回折格子が形成さ
れた基板にギャップ設定用の脚部が装着され、その形状
がレチクル搬送系で搬送可能であり、更にレチクルホル
ダー19の接触部(レチクル保持部)19a〜19dに
回折格子が形成された基板の重量が加わるような形状で
あればよい。また、その自己保持部材18の脚部40a
〜40dの材質は発塵が少ない材質であればよい。この
ように、本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要
旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、偏向部材により照明光
を傾斜させることにより、変形光源を使用した場合と等
価な状態でマスクを照明することができるので、σ値が
大きい複雑な照明光学系を使用することなく、高解像度
で且つ深い焦点深度でレチクル等のマスクのパターンを
投影光学系を介して感光基板上に転写できる利点があ
る。更に、その偏向部材に間隔設定用の自己保持用の固
定部材が設けられているので、マスクを変更した場合で
も迅速且つ容易にその偏向部材の設定を行うことができ
る。
【0067】また、そのマスクをそのマスクの周縁部の
支持領域で支持するマスク保持部材を設け、その自己保
持用の固定部材にそのマスクの支持領域に対向する領域
でそのマスクに接触する脚部を設けた場合には、その偏
向部材と自己保持用の固定部材の重量をそのままそのマ
スク保持部材で受けることができ、マスクが撓むことが
ない。従って、投影光学系の投影像の歪曲収差や像面湾
曲の状態変化が極めて小さい利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による投影露光装置の一実施例の全体を
示す概略構成図である。
【図2】(a)は実施例のレチクルRのパターンの一例
を示す平面図、(b)は図2(a)のレチクルパターン
に対応するガラス基板17側の回折格子パターンRGを
示す平面図である。
【図3】図2(a)のレチクルRと図2(b)のガラス
基板17とを示す拡大側面図である。
【図4】(a)は実施例のレチクルRのパターンの他の
例を示す平面図、(b)は図4(a)のレチクルパター
ンに対応するガラス基板17側の回折格子パターンRG
を示す平面図、(c)はフーリエ変換面28における仮
想的な照度分布を示す線図である。
【図5】実施例のガラス基板17からレチクルホルダー
19までの装着状態を示す斜視図である。
【図6】(a)は実施例のガラス基板17を上方から見
た場合の斜視図、(b)はそのガラス基板17を底部か
ら見た場合の斜視図である。
【図7】実施例のレチクル及び回折格子パターンが形成
されたガラス基板の搬送系を示す斜視図である。
【図8】変形光源を用いた投影露光装置の光学系の一例
を示す概略構成図である。
【符号の説明】
4 光源 7 フライアイレンズ 8 開口絞り 11 視野絞り 14,15 コンデンサーレンズ 17 ガラス基板 18 自己保持部材 19 レチクルホルダー 19a〜19d 接触部 R レチクル PL 投影光学系 W ウエハ RG 回折格子パターン 22 主制御系 24 第3アーム 31 ライン・アンド・スペースパターン 34 位相格子 39 フレーム 40a〜40d 脚部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源からの照明光により均一な照度でマ
    スクを照明する照明光学系と、前記マスクのパターンの
    像を感光基板上に結像して投影する投影光学系とを備え
    た投影露光装置において、 前記マスクから前記照明光学系側に所定間隔だけ離して
    配置され、且つ前記照明光学系から前記マスクに対して
    照射される前記照明光の少なくとも一部の照明光の前記
    マスクに対する入射角を前記照明光学系の光軸に対して
    傾斜させる偏向部材と、 前記偏向部材側に装着され、前記偏向部材と前記マスク
    との間隔を前記所定の間隔に保つための自己保持用の固
    定部材とを設けた事を特徴とする投影露光装置。
  2. 【請求項2】 前記マスクを前記マスクの周縁部の支持
    領域で支持するマスク保持部材を設け、 前記自己保持用の固定部材に前記マスクの支持領域に対
    向する領域で前記マスクに接触する脚部を設けた事を特
    徴とする請求項1記載の投影露光装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004029806A (ja) * 2002-06-22 2004-01-29 Samsung Electronics Co Ltd 変形照明を提供する位相格子パターン設計方法及びこれを利用したフォトマスク製造方法
US6998551B2 (en) 2004-03-17 2006-02-14 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Switch apparatus

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