JPH05217839A - 投影露光装置 - Google Patents

投影露光装置

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JPH05217839A
JPH05217839A JP4019140A JP1914092A JPH05217839A JP H05217839 A JPH05217839 A JP H05217839A JP 4019140 A JP4019140 A JP 4019140A JP 1914092 A JP1914092 A JP 1914092A JP H05217839 A JPH05217839 A JP H05217839A
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JP
Japan
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pattern
light
reticle
diffraction grating
optical system
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Application number
JP4019140A
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English (en)
Inventor
Naomasa Shiraishi
直正 白石
Shigeru Hirukawa
茂 蛭川
Masaomi Kameyama
雅臣 亀山
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
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Priority to US08/473,995 priority patent/US6249335B1/en
Pending legal-status Critical Current

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    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/70Microphotolithographic exposure; Apparatus therefor
    • G03F7/70058Mask illumination systems

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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 σ値の小さな照明光学系を有する投影露光装
置においても、照明光の均一性や光量を損なうことなく
高解像度、大焦点深度を実現する。また、擬似的にσ値
可変を可能とする。 【構成】 レチクルRの入射側にΔtだけ離して所定ピ
ッチの回折格子パターンRGを設け、パターンRGから
発生する±1次回折光L1 、L2 をレチクルRに対して
所定角度ψだけ傾けて対称的に入射する。パターンRG
とパターンRGとは所定間隔だけ離して配置し、回折光
1 、L2 の半影ボケを遮光する遮光部(23、LS
B)を設けた。バターンRGはパターンRPに応じて最
適となるように、又はσ値を可変とするように交換部材
26により交換可能となっており、σ値は0.1〜0.
3程度に設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子や液晶表示
素子製造のリソグラフィ工程で使用されるマスクのパタ
ーンを感光基板に転写する投影露光装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の装置においては、レチク
ル上のパターンが存在する面のフーリエ変換面となる照
明光学系の面(以後、照明光学系の瞳面と称す)、もし
くはその近傍の面内において、照明光束を照明光学系の
光軸を中心としたほぼ円形(あるいは矩形)に制限して
レチクルを照明する構成を採っていた。このため、照明
光束はレチクルに対してほぼ垂直に近い角度で入射して
おり、このとき、レチクルパターンから発生する0次回
折光と±1次回折光とのなす角θ(レチクル側)は、露
光光の波長をλ(μm)、投影光学系のレチクル側開口
数をNAとすると、 sinθ=λ/Pにより決まる。
【0003】ところで、上記の如き従来の露光方法にお
いて、透過部と遮光部のみからなるレチクル(以後、通
常レチクルと称す)を使用する場合、ウエハ上に解像で
きるレチクルパターンの微細度(最小パターンピッチ)
Pは、 sinθ=NAR より、P≒λ/NAR なる関係式
で与えられる。これより、最小パターンサイズはピッチ
Pの半分であるから、最小パターンサイズは0.5×λ
/NA程度となるが、実際のフォトリソグラフィ工程で
はウエハの湾曲、プロセスによるウエハの段差等の影
響、またはフォトレジスト自体の厚さのために、ある程
度の焦点深度が必要となる。このため、実用的な最小解
像パターンサイズは、k×λ/NAとして表される。こ
こで、kはプロセス係数と呼ばれ、通常0.6〜0.8
程度である。
【0004】以上のことから、従来の露光方法において
より微細なパターンを露光転写するためには、より短い
波長の露光用光源(エキシマレーザ光源等)を使用する
か、あるいはより開口数の大きな投影光学系を使用する
必要があった。しかしながら、露光光源を現在より短波
長化することは、エキシマレーザ光源等のランニングコ
ストが上昇すること、短波長領域では光の吸収が大きく
なるのでレジストの開発が困難であること等の理由によ
り現時点では難しい。また、投影光学系の開口数は現状
でも既に理論的限界に近く、これ以上の大開口化はほぼ
絶望的である。仮に現状以上の大開口化が可能であると
しても、装置が大型化して高価になる上、±λ/NA2
で定まる焦点深度は開口数の増加に伴って急激に減少す
るため、実使用に必要な焦点深度がより小さくなり、実
用的な露光装置となり得ないといった問題がある。
【0005】そこで、レチクルの回路パターンの透過部
分のうち、特定の部分からの透過光の位相を、他の透過
部からの透過光に対してπ(rad) だけずらす、位相シフ
ター(誘電体薄膜等)を備えた位相シフトレチクルを使
用することも提案されている。位相シフトレチクルにつ
いては、例えば特公昭62−50811号公報に開示さ
れており、この位相シフトレチクルを使用すると、通常
レチクルを使用する場合に比べてより微細なパターンの
転写が可能となる。すなわち、解像力を向上させる効果
がある。
【0006】また、最近では照明条件の最適化、あるい
は露光方法の工夫等によって微細パターンの転写を可能
とする試みがなされており、例えば特定線幅のパターン
に対して最適な照明光学系の開口数と投影光学系の開口
数(N.A.)との組み合わせをパターン線幅毎に選択する
ことによって、解像度や焦点深度を向上させる方法が提
案されている。さらに、照明光学系の瞳面、もしくはそ
の近傍面内における照明光束の光量分布(以下「2次光
源形状」という」)を輪帯状に規定し、レチクルパター
ンに照明光束を照射する輪帯照明法、あるいはレチクル
パターンの周期性に対応して特定方向から照明光束を所
定角度だけ傾斜させて照射する傾斜照明法等も提案され
ている。
【0007】この傾斜照明法は2次光源形状を変形する
ことと等価であり、レチクルへの照明光の入射角度は、
照明光学系の瞳面での位置に相当する。ここで、2次光
源の形状として、輪帯状の他に、2次光源形状を部分的
に制限し、一層変形した形状(以下「変形光源」とい
う)にする技術が報告されている(1991年秋期応用
物理学会にて)。
【0008】これらの方法により、投影光学系の解像度
や焦点深度をこれまでの円形状の2次光源形状の場合に
比べて改善することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の如
き従来の技術において、位相シフトレチクルについては
その製造工程が複雑になる分コストも高く、また検査及
び修正方法も未だ確立されていないなど、多くの問題が
残されている。また、輪帯照明法や傾斜照明法では照明
光学系の構成が複雑になってコストが上昇するといった
問題がある。
【0010】さらに、変形2次光源形状の形成は2次光
源面(特にフライアイレンズの射出面)に、変形絞りを
配置することで実現していた。このため、かなりの光量
を遮光することとなり、大幅に照度(照明パワー)が低
下するという問題点がある。また、変形絞りはフライア
イレンズ中の有効なレンズエレメント数を減少させるた
め、フライアイレンズ本来の照明均一化、平均化効果を
低下させ、レチクル面、及びウェハ面での照度均一性を
悪化させるという問題点もある。
【0011】また、照明光学系の開口数と投影光学系の
開口数の比、いわゆるσ値(コヒーレンスファクター)
が、σ≧0.8程度でないと変形光源の効果を充分に引
き出すことは難しく、σ値の大きい照明光学系が必要で
ある。ところが、大σ値の照明光学系は、設計、製造と
もに困難であり、また、実際に製造しても大型化し、か
つ、コスト的にも高価となるという問題点がある。
【0012】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
で、位相シフトレチクルや大σ値の照明光学系を必要と
せず、比較的σ値の小さな照明光学系を用いて高解像度
かつ大焦点深度の投影露光を光量損失や照度均一化を低
下させることなく実現する投影露光装置を得ることを目
的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記問題点の解決の為に
本発明では、光源(1)からの照明光をほぼ均一な強度
分布に成形するとともに、均一な照明光をマスク(R)
に照射するための照明光学系(3、4、7、11、1
2)と、マスクに形成された微細パターン(RP)の像
を感光基板(W)に結像投影するための投影光学系(P
L)とを備えた投影露光装置において、微細パターンに
対して照明光の少なくとも一部を所定角度だけ偏向させ
る偏向部材(14、RG)と、投影光学系と偏向部材と
の間に設けられ、偏向部材による光束の広がりを遮光す
る遮光部材(23、LSB)とを備え、偏向部材を微細
パターンの入射側に所定間隔(Δt)だけ離して配置し
た。また、複数の偏向部材を備え、交換可能とすること
により、微細パターンに対して最適化を図ったり、コヒ
ーレンスファクター(σ値)を可変とした。
【0014】
【作用】本発明によれば、レチクルパターンに対して照
明光の入射側(光源側)に所定間隔だけ離して偏向部材
を設けたので、従来レチクルをそのまま使用して、高解
像度、大焦点深度を従来通りの小さなσ値の照明光学系
で実現することができる。
【0015】本発明の原理を簡単に説明する。偏向部材
として、例えば回折格子パターンを用いることとし、当
該パターンの周期(ピッチ)方向とレチクルパターンの
ピッチ方向とがほぼ一致するように配置する(図1参
照)。このとき、照明光ILが光軸AXに対して角度ψ
(レチクルパターンのピッチPR から一義的に定められ
る角度)だけ傾いてレチクルパターンRP1 に入射す
る。このとき、回折格子パターンRG1 は照明光ILを
角度ψだけ偏向(回折)させる必要があるため、そのピ
ッチPG をPG =2×PR なる関係に定めておく。
【0016】この結果、従来通りのσ値の小さな照明光
学系を採用しても、回折格子パターンRG1 からは回折
角ψ(sinψ=λ/PG =λ/2PR )で±1次回折光L
1 、L2 が発生し、これらの回折光L1 、L2 は角度ψ
だけ傾いてレチクルパターンRP1 に照射されることに
なる。これにより、レチクルパターンRP1 から発生す
る0次回折光D0 と1次回折光Dm とが角度ψ0 (sinψ
0 =λ/PR =2 sinψ)をもって投影光学系PLの瞳
面Epに入射する、換言すれば0次回折光D0と1次回
折光Dm とはその光軸AXに対する角度(射出角)がと
もにψとなって発生することになり、従来のレチクルを
そのまま利用しながらも、高解像度のパターン転写が可
能となる。尚、回折格子パターンRG1 からの±1次回
折光L1、L2 は光軸AXに対して対称的に傾いてレチ
クルパターンRP1 に照射されるので、例えばレチクル
パターンRP1 が1次元のラインアンドスペースパター
ンの場合、投影光学系PLの瞳面Epにおける照度分
布、すわなちレチクルパターンRP1 からの回折光が通
過する2つの部分領域の各照度をほぼ等しくすることが
できる。特に回折格子パターンRG1 を位相型回折格子
とし、露光波長λ、ピッチPG のもとで最適化されてい
るとき、回折格子パターンRG1 からの0次光の発生を
防止して±1次回折光L1 、L2 のみを発生させること
が可能となり、原理的には傾斜照明法と全く等しくな
る。
【0017】一方、偏向部材を交換して、0次光の発生
を残した場合には、0次光を含めた全回折光がレチクル
パターンを照明することになり、見掛け上照明光学系の
コヒーレンスファクター(σ値)を増大させる効果が得
られ、σ値を可変とすることができる。ここで、図11
を参照して傾斜照明により、焦点深度が大きくなる理由
を説明する。図11に示すような傾斜照明を行うと、照
明光ILはレチクルパターンRP1 により回折され、光
軸AXに対してψだけ傾いた方向に進む0次回折光
0、0次回折光に対してθP だけ傾いて進む+1次回
折光DP 、及び0次回折光D 0 に対してθm だけ傾いて
進む−1次回折光Dm を発生する。ここで、+1次回折
光DP は光軸AXに対して(θP +ψ)の方向に進行
し、−1次回折光Dm は光軸AXに対して(θm −ψ)
の方向に進行する。このとき、レチクルパターンのピッ
チをPR とすると、回折角θP 、θm は次式で表され
る。尚、ここでは+1次回折光DP と−1次回折光Dm
の両方が投影光学系PLの瞳面Epを通過しているもの
とする。
【0018】
【数1】sin(θP +ψ)− sinψ=λ/PR sin(θm −ψ)+ sinψ=λ/PR ところで、レチクルパターンRP1 の微細化に伴って回
折角が増大すると、sin(θP +ψ)>NAR の関係にな
ってくる(NAR :投影光学系PLのレチクル側開口
数)。しかし、照明光ILが光軸AXに対して傾いて入
射すると、このときの回折角でも−1次回折光Dm は、
投影光学系PLに入射可能となる。すなわち、sin(θm
−ψ)<NAR の関係になる。
【0019】従って、ウエハW上には0次回折光D0
−1次回折光Dm との2光束によるレチクルパターンR
1 の像が生じる。このときの解像限界は、sin(θm
ψ)=NAR となるときであり、従って、転写可能な最
小パターンのレチクル側でのピッチは次式で表される。
【0020】
【数2】PR =λ/(NAR+sinψ) 一例として、 sinψを0.5×NAR 程度に定めるとす
れば、転写可能なレチクル上のパターンの最小ピッチは
次式で表される。
【0021】
【数3】 PR =λ/(NAR+0.5NAR) =2λ/3NAR 一方、上述した如く照明光の瞳面Ep上での光量分布が
光軸AXを中心とする円形領域内である従来の垂直照明
の場合、解像限界はPR ≒λ/NAR であった。従っ
て、傾斜照明法では従来の垂直照明より高い解像度が実
現できることがわかる。
【0022】ところで、次にレチクルパターンに対して
特定の入射角で照明光を照射することで、焦点深度も大
きくなる理由について簡単に説明する。ウエハWが投影
光学系PLの焦点位置(最良結像面)に一致している場
合には、レチクルパターンRP1 中の1点を出てウエハ
W上の一点に達する各回折光成分は、投影光学系PLの
どの部分を通るものであっても全て等しい光路長を有す
る。このため、従来のように0次回折光成分が投影光学
系PLの瞳面Epのほぼ中心(光軸近傍)を通過する場
合でも、0次回折光成分とその他の回折光成分とで光路
長は相等しく、相互の波面収差も零である。
【0023】しかし、ウエハWが投影光学系PLの焦点
位置に一致していないデフォーカス状態の場合、斜めに
入射する高次の回折光成分の光路長は光軸近傍を通る0
次回折光成分に対して焦点前方(投影光学系PLから遠
ざかる方)では短く、焦点後方(投影光学系PLに近づ
く方)では長くなり、その差は入射角の差に応じたもの
となる。従って、0次、±1次、・・・・の各回折光成分は
相互に波面収差を形成して、焦点位置の前後におけるボ
ケを生じることとなる。
【0024】前述のデフォーカスによる波面収差は、ウ
エハWの焦点位置からのずれ量をΔF、各回折光成分が
−(負)側に入射するときの入射角θw の正弦をr(=
sinθw ) とすると、ΔFr2 /2で与えられる量であ
る。このとき、rは各回折光成分の瞳面Epでの光軸A
Xからの距離を表わす。従来の投影型露光装置(ステッ
パー)では、0次回折光D0 は光軸AXの近傍を通るの
でr(0次)=0となる。一方、±1次回折光DP 、D
m は、r(1次)=M・λ/PR となる(Mは投影光学
系の結像倍率)。従って、0次回折光D0 と±1次回折
光DP 、Dm とのデフォーカスによる波面収差は、ΔF
・M2(λ/PR )2/2となる。
【0025】一方、本発明における投影型露光装置で
は、図11に示すように0次回折光成分D0 は光軸AX
から角度ψだけ傾いた方向に発生するから、瞳面Epに
おける0次回折光成分の光軸AXからの距離は、r(0
次)=M・ sinψである。さらに、−1次回折光成分D
m の瞳面における光軸からの距離はr(−1次)=M・
sin(θm −ψ)となる。そしてこのとき、 sinψ=sin
m −ψ)となれば、0次回折光成分D0 と−1次回
折光成分Dm のデフォーカスによる相対的な波面収差は
零となり、ウエハWが焦点位置より光軸方向に若干ずれ
てもパターンRP1 の像ボケは従来程大きく生じないこ
とになる。すなわち、焦点深度が増大することになる。
また、上記数式2のようにsin(θm −ψ)+ sinψ=λ
/PRであることから、照明光束ILのレチクルRへの
入射角ψを、ピッチPR のパターンに対して sinψ=λ
/2PR (=λ/PG )なる関係に定めれば、焦点深度
を極めて増大させることが可能である。
【0026】本発明では、上記の如く偏向部材によって
sinψ=λ/2PR なる関係を達成しているので、大焦
点深度も得られることになる。
【0027】
【実施例】図1を参照して本発明の第1の実施例につい
て説明する。水銀ランプ1から射出した照明光ILは楕
円鏡2、リレーレンズ系3を経て、フライアイレンズ4
に入射する。フライアイレンズ4の射出面4aはレチク
ルパターンに対するフーリエ変換面となっており、射出
面4a近傍には開口絞り5が設けられている。開口絞り
5は照明光学系の開口数NAIL、すなわちσ値(投影光
学系の開口数NAR と照明光学系の開口数NAILとの
比)を規定するための絞りであり、駆動部6によりその
開口部の大きさが可変となる。本実施例ではσ値(コヒ
ーレンスファクター)が0.1〜0.3程度となるよう
にその開口径が定められている。
【0028】さて、フライアイレンズ4からの照明光I
Lは、リレーレンズ7を経て、視野絞り(レチクルブラ
インド)8に達する。視野絞り8はレチクルパターンR
1とほぼ共役な位置に設けられており、この視野絞り
8の開口部を駆動部9により可変とすることでレチクル
パターン上での照明エリアを任意に変更可能となる。視
野絞り8を通過した光束ILはミラー10、コンデンサ
ーレンズ11、12を介してミラー13に達し、ミラー
13でほぼ垂直に下方に反射された後、裏面(レチクル
側の面)に回折格子パターン(本発明の偏向部材)RG
1 が形成されたガラス基板14を介して、レチクルRに
照射される。ガラス基板14は照明光ILに対して透明
な基板であり、回折格子パターンRG1 は石英基板等の
ガラス基板14の表面(片面)上に所定のピッチで設け
られている位相格子である。位相格子パターンRG1
誘電体薄膜をパターンニングしたもので、デューティは
1:1であり、そのピッチについての詳細は後述する。
ここで、位相格子の製造にあたってはガラス基板14自
体をエッチング加工して段差を形成し、位相差を付けて
もよく、或いはガラス基板面中の特定部の屈折率を変え
てもよい。屈折率を変える方法としては例えばイオン打
ち込み等を行えばよい。
【0029】さて、ガラス基板14にほぼ垂直に入射し
た照明光ILは回折格子パターンRG1 を照射する。露
光光ILがほぼ垂直に位相格子型の回折格子パターンR
1に照射されると、パターンRG1 からは±1次回折
光L1 、L2 のみが発生し、ここで回折された±1次回
折光は、投影光学系PLの光軸AXに対して所定角度傾
いて遮光部LSBで囲まれたパターン領域PA内に形成
されたレチクルパターンRP1 に入射する。ここで、位
相型格子を用いたのは,遮光部と透光部とのみからなる
回折格子パターンでは、解像力向上や焦点深度増大に好
ましくない0次回折光を発生させないためである。
【0030】ガラス基板14は保持部材16上に保持さ
れ、駆動部18により投影光学系PLの光軸AXとほぼ
垂直な面内で2次元移動、及び回転可能である。さらに
ガラス基板14は駆動素子(ピエゾ素子等)17により
光軸AX方向に移動可能であり、駆動素子17は駆動部
19により駆動される。また、レチクルRはレチクルス
テージ15上に載置されており、駆動部20により投影
光学系PLの光軸AXとほぼ垂直な面内で2次元移動、
及び回転可能である。本実施例では駆動系18、または
駆動部20により、ガラス基板14がレチクルRに対し
て相対移動、及び相対回転可能に構成されており、例え
ばレチクルパターンの周期性に応じて基板14を回転さ
せることで、レチクルパターンと回折格子パターンとの
周期方向をほぼ一致させることが可能となっている。こ
の移動量、及び回転量に関する情報は、ガラス基板1
4、及びレチクルR上に設けられたアライメント用のマ
ーク(不図示)をマーク検出系25(X方向のみ図示)
により検出する等により得ることができる。基板14と
レチクルRとの間には回折格子パターンRG1 からの回
折光の半影ぼけ(詳細後述)を遮光するための可動遮光
部23が設けられており、光軸AXに対して垂直な面内
での可動遮光部23の位置は駆動部24により移動され
る。第1制御系22にはマーク検出系25からの情報も
入力され、駆動部19の他、駆動部18、20、24も
制御する。尚、マーク検出系25がレチクルR上のアラ
イメントマークを検出する際には、可動遮光部23は退
避されているものとする。
【0031】さらに、ガラス基板14を含み、互いにピ
ッチが異なる1次元または2次元の位相型回折格子パタ
ーンを有する複数のガラス基板と複数の保持部材が交換
部材26に設けられており、駆動系27によって任意の
ガラス基板が照明光路中に配置されるように構成されて
いる。交換部材26は回転ターレット板であり、ここに
は保持部材16を介して、互いに異なるピッチの回折格
子パターンが設けられた複数のガラス板が載置されてお
り、ターレット板を駆動することによりガラス板(回折
格子パターン)が交換可能となっている。
【0032】従って、レチクルパターンのピッチに応じ
てガラス基板を交換することにより、レチクルパターン
に対して最適ピッチ(詳細後述)を有する回折格子パタ
ーンを照明光路中に配置することが可能となっている。
さて、パターン領域PAを通過した照明光ILは、両側
テレセントリックな投影光学系PLに入射し、投影光学
系PLはレチクルRのレチクルパターンRP1の投影像
を、表面にレジスト層が形成され、ウエハW上に投影
(結像)する。尚、本実施例では投影光学系PLの瞳面
Ep、もしくはその近傍面内には可変開口絞り28が設
けられており、これによって投影光学系PLの開口数N
Aを変更できるように構成されている。ウエハWはその
表面が最良結像面とほぼ一致するようにウエハステージ
29上に保持されており、ウエハステージ29はモータ
30により光軸方向(Z方向)に微動可能であるととも
に、ステップ・アンド・リピート方式で2次元移動可能
に構成されている。そして、ウエハW上の1つのショッ
ト領域に対するレチクルRの転写露光が終了すると、次
のショット位置までステッピングされる。尚、ウエハス
テージ29の2次元的な位置は不図示の干渉計によっ
て、例えば0.01μm程度の分解能で常時検出され
る。
【0033】ところで、図1には装置全体を統括制御す
る主制御装置31と、レチクルRが投影光学系PLの直
上に搬送される途中でレチクルパターンの脇に形成され
た名称を表すバーコードBCを読み取るバーコードリー
ダ32が設けられている。主制御装置31内には、この
投影露光装置(例えばステッパー)で扱うべき複数枚の
レチクルの名称と、各名称に対応したステッパーの動作
パラメータとが予め登録されている。そして、主制御装
置31はバーコードリーダ32がレチクルバーコードB
Cを読み取ると、その名称に対応した動作パラメータの
1つとして、予め登録されているパターン情報(パター
ンピッチやピッチ方向等)に最も見合ったガラス基板を
交換部材26の中から1つ選択する。主制御系装置31
は、所定のガラス基板がレチクルR上に設定されるよう
に、駆動指令を駆動系27に出力して交換部材26を駆
動するとともに、第1制御系22を介してレチクルパタ
ーンと回折格子パターンとの周期方向がほぼ一致するよ
うにガラス基板を回転させる。尚、ガラス基板を回転さ
せる際、第1制御系19は前述のマーク検出系25から
の情報に基づいて駆動系18の駆動を制御する。この情
報はマーク検出系25の他に、駆動系18に設けられた
ロータリーエンコーダ(不図示)の出力情報、あるいは
ガラス基板とレチクルの各々に設けられたパターンを直
接観察するためのパターン検出系(不図示)からの出力
情報を用いてもよい。
【0034】さらに、上記名称に対応した動作パラメー
タとして、先に選択されたガラス基板(すなわちレチク
ルパターン)のもとでの、開口絞り5、視野絞り8、可
動遮光部23、可変開口絞り28の最適な設定条件等も
登録されており、この条件設定もガラス基板の設定と同
時に行われる。これによって、レチクルステージ15に
載置されたレチクルRに対して最適なガラス基板(回折
格子パターン)が正確に設定されることになる。パター
ン情報の入力はバーコードリーダに限るものではなく、
キーボード等により、オペレータが入力するようにして
もよい。
【0035】さて、図2は、回折格子状パターンR
1 、及びレチクルR付近の拡大図である。回折格子状
パターンRG1 から発生した±1次回折光L1 、L2
レチクルRと垂直な方向(投影光学系の光軸AX方向)
に対して互いに角度ψ(sinψ=λ/PG 、λ:露光光の
波長)だけ傾いて対称的にレチクルパターンRP1 に入
射することになる。この結果、レチクルパターンRP1
から発生する±1次回折光のいずれか一方と0次回折光
とが、投影光学系PL中のレチクルパターンに対するフ
ーリエ変換面(以下、投影光学系の瞳面と称す)Ep、
もしくはその近傍の面内で、投影光学系の光軸AXから
ほぼ等距離だけ離れた2つの部分領域SP1、SP2
通過し(図3(c)参照)、高解像度と大焦点深度とが
得られることになる。このとき、図2においてレチクル
パターンRP1 の一点に着目すると、パターンRP1
らは回折光L1 による0次回折光L1(0)と回折光L2
よる−1次回折光L2(-1) とが同一方向に発生するとと
もに、回折光L1 による+1次回折光L1(+1) と回折光
2 による0次回折光L2(0)とが同一方向に発生するこ
とになる。これは、レチクルパターンRP1 に対して±
1次回折光L1 、L2 の各々が対称的に傾斜して照射さ
れるためである。従って、投影光学系の瞳面Epでの照
度分布、すなわち回折光L1(0)とL2(-1) とが通過する
部分領域(例えばSP1)と、回折光L1(+1) とL2(0)と
が通過する部分領域(例えばSP2)との各照度がほぼ等
しくなり、これによってレジスト像にだれ等が生じるこ
とがなくなる。尚、回折格子パターンRG1 への入射角
も垂直のみでなく、垂直を中心としてある範囲(照明光
の開口数NAIL)を持つが、この場合発生する回折光も
上記のψ方向を中心としてNAILの範囲を有する。
【0036】本発明は前述の回折格子パターン等の偏向
部材をレチクルR近傍に設けることにより、原理的には
傾斜照明と等価な照明を実現させたものである。さて、
上述した如く本実施例ではレチクルRの近傍に設けられ
たガラス板14のガラス面に回折格子パターンRG1
形成しているが、レチクルRと垂直な方向(投影光学系
の光軸AX方向)に関するレチクルパターンRP1 と回
折格子パターンRG1 との間隔Δtは狭い方が良い。こ
れはパターンRG1 の半影ぼけの影響等を除去するため
である。そこで、レチクルパターンに対する傾斜照明を
実現するための間隔Δt(最小値)について説明する。
【0037】レチクルパターンRP1 に対する照明光
(±1次回折光)の入射角NA0(= sinψ)、照明光学
系の開口数NAILのもとで、パターンRP1 への照明光
の最大、最小入射角(正弦)NA1 、NA2 は次式で表
される。
【0038】
【数4】NA1 =NA0 −NAIL NA2 =NA0 +NAIL ところで、間隔(デフォーカス量に相当)Δtのもとで
の光軸近傍を通る光に対する入射角NA1 、NA2 の光
の各光路差k1 、k2 は次式で表される。
【0039】
【数5】k1 =Δt・NA1 2/2 k2 =Δt・NA2 2/2 従って、光路差k1 とk2 との差が露光波長λ程度より
長ければ、回折格子パターンRG1 の像コントラストは
ほぼ零となる。すなわち、次式を満足すれば良い。
【0040】
【数6】k2 −k1 =Δt(NA2 2−NA1 2)/2≧λ ここで、上記数式4から次式が得られる。
【0041】
【数7】NA2 2−NA1 2=4NA0 ・NAIL また、PG ・NA0 =λが成り立つことから、上記数式
6は次式のように表される。
【0042】
【数8】2Δt・(λ/PG )・NAIL≧λ 従って、レチクルRのパターン面と回折格子パターンR
1 の形成面との間隔Δtは、次式を満足すれば良いこ
となる。
【0043】
【数9】Δt≧PG /2NAIL 次に、レチクルパターンRP1 と回折格子パターンRG
1 の詳細を図3にしめす。図3を参照して一次元のレチ
クルパターンRP1 に対して最適となる回折格子パター
ンRG1 の一例を説明する。図3(A)はピッチP1
並ぶレチクルパターン(クロムパターン)RP1 であ
り、図3(B)はピッチP2 =2×P1 で並ぶ位相格子
パターンRG1 である。図2において、レチクルRの下
面には図3(A)のレチクルパターンRP1 が設けられ
ており、このような周期性パターンに対しては前述の如
くsinψ=λ/2P1 となる入射角で照明を行うと、
焦点深度が増大する。従って、レチクルR近傍にある回
折格子パターンRG1 よりの回折光を上記と同様な角度
ψで発生させればよい。すなわち、P2 =2P1 (si
nψ=λ/2P1 =λ/P2 、∴P2 =2P1 )であれ
ば周期パターンRP1の焦点深度を最大とすることがで
き、図3(B)の回折格子パターンRG1 はこの条件を
満たしている。このとき、レチクルパターンRP1 と回
折格子パターンRG1 とは、互いにほぼ平行となるよう
に配置され、回折格子パターンRG1 の周期(ピッチ)
方向とレチクルパターンRP1 の周期(ピッチ)方向と
がほぼ一致するようにガラス板14とレチクルRとを相
対移動させる。また、本実施例では位相型回折格子を用
いることとし、レチクルRの屈折率をnとしたとき、回
折格子の溝の深さdを
【0044】
【数式10】d(n−1)=λ/2 としたので、位相シフト部を透過する光の位相がπ、或
いは(2m−1)πだけシフトし、また、幅のデューテ
ィを1:1としたので0次光は相殺され、回折格子パタ
ーンRG1 からは±1次回折光のみが発生することにな
る(ここで、mは自然数である)。尚、露光動作中にレ
チクルRを回転させる場合は、回折格子パターンRG1
の周期(ピッチ)方向とレチクルパターンRP1 の周期
(ピッチ)方向とを合わせたあと、ガラス板14とレチ
クルRとを一体に回転させるようにしてもよい。ここ
で、回折格子パターンRG1 のデューティ比は任意で構
わないが、0次、及び2次回折光の発生を防止する上で
1:1に定めておくことが望ましい。
【0045】図3(C)はレチクルRに入射する照明光
の入射角度をレチクルRのフーリエ変換面(例えば図1
中のフライアイレンズ4の射出面4a又は面32)で表
したものである。円SP1 、SP2 は図3(B)に示す
位相格子パターンRG1 (位相差π)を透過した照明光
のレチクル入射角度(面32上での位置)を表すもので
ある。このときSP1 、SP2 の中心の光軸AXからの
距離(開口数)l1 はλ/P2 である。すなわち、図3
(A)の位相格子パターンRG1 をレチクルの上に付加
することは、2次光源形状を図3(C)の2つの円SP
1 、SP2 内に制限する変形光源と等価である。そし
て、このような条件でレチクルを傾斜照明することによ
り、投影光学系の瞳面Ep上を通過する0次光と±1次
光のどちらか一方とが光軸AXから等距離となる。
【0046】一方、破線円SP0 はフーリエ変換面(こ
こでは面32)におけるσ絞り6の像であり、その半径
rは照明系の開口数(角度の正弦)を表し、σ値と関連
している。すなわち、投影光学系のレチクル側開口数を
NAR とすると、r=NAR×σである。ここで、垂直
に入射する光束があるとしたならば、図中の円SP0
位置に相当する領域を通過する。
【0047】ところで、図2に示すように、レチクルパ
ターンRPと回折格子パターンRGには前述の如く間隔
Δt(Δt=d1+d2、d1:レチクル上面と回折格
子パターンとの距離、d2:レチクル厚)があるため、
照明エリアの端部においては、レチクルパターンRP1
上で回折による半影ボケD1が生じてしまう。この様子
を図4に示す。図4でB1は回折格子パターンRG1
での照明光量分布を示し、B2はレチクルパターンPR
1 上での照明光量分布を示している。ここで、横軸は位
置を表し、縦軸は光量を示している。この照明光量分布
位置は前述の視野絞り8の可変にともなって変動する。
B1の明暗境界における幅W0は視野絞り8の共役面、
すなわち、レチクルパターンRP1 と回折格子パターン
RG1 との光軸AX方向との距離によるデフォーカスボ
ケである。一方、レチクルパターンRP1 上での照明光
量はB2の如くなり、その半影幅W1は半影幅W0に比
べて広くなる。これは,図に示す回折光L1 (L2 )の
半影ボケによるものであり、半影幅W1はほぼ
【0048】
【数式11】W1=(2×λ/P2 +2NAIL)×(d
1+d2/n)(n:レチクルの屈折率)となる。 次に図5を参照して、この半影による影響を防止するこ
とについて述べる(便宜上図5の説明ではΔtは固定値
として説明する)。半影の影響を防止するためには、回
折格子パターンRG1 の形成領域GAを、X、Y方向の
各々でパターン領域PAよりW1/2程度広げておく必
要がある。これに伴って、前述の如く照度分布の位置は
移動し、レチクルパターンRP1 の形成領域全てに渡っ
て、±1次回折光L1 、L2 が対称的に照射され、かつ
照度が均一となる。尚、視野絞り8もこれに合わせてW
1/2程度相当分だけ広げておく必要がある。
【0049】また、半影の影響を防止するためには、遮
光部材が必要であり、例えばレチクルパターンRP1
必要領域の外周に、幅W1の遮光帯(遮光パターン)を
設けておく等の必要がある。ここで、遮光帯はレチクル
上に設けておく必要はなく、回折格子パターンRG1
投影レンズPLとの間、例えば回折格子パターンRG 1
とレチクルRとの間に遮光板23を設けてもよい。本実
施例の装置(図1)では、可動遮光板23が設けられて
おり、その幅はW1以上となっていて半影ぼけをカット
できる。さらに、この可動遮光板23は視野絞り8に連
動して(W1/2程度の差に相当するオフッセットをも
ったまま連動して)可動となっており、回路パターンR
1 のピッチやパターン領域の大きさが異なり、かつ遮
光帯が補正されていないレチクルに対しても対応可能と
なっている。これにより、回折格子パターンRG1 で回
折された光が、レチクルパターンRP1 形成領域以外
の、かつ透明部分を通過した光が投影レンズPLに入射
するのを防ぐことができる。
【0050】また、ここではΔtを固定値として説明し
たが、半影幅W1の許容値を予め決めておき、半影幅W
1が許容値以下となるように間隔Δtを、回折格子パタ
ーンのピッチに合わせて数式11から求めるようにして
もよい。次に、図6を参照して本発明の第2の実施例に
ついて説明する。本実施例では、レチクルパターンとし
て2次元の周期性パターンを用いる場合について述べ
る。図6(A)においてレチクルパターンRP2 は、遮
光材(クロム等)で形成されたX、Y方向にピッチ
RX、PRYを持つ2次元周期パターンである。また、回
折格子パターンRG2 は、透過光の位相をその膜厚に応
じて所定量だけずらす位相シフト材(例えばSOG等)
で形成された矩形パターンPSが、X、Y方向にピッチ
GX、PGYで繰り返し配列されたもの(デューティ比は
1:1)であり、換言すれば矩形パターン(位相シフト
部)PSと光透過部(ガラス裸面部)とが市松格子状に
配列されたものである。ここでは特にピッチPGX、PGY
がPGX=2PRx、PGY=2PRYなる関係に定められてい
る。また、この場合にはいずれか一方の方向に関するピ
ッチ及びその方向が上記条件を満足するように形成すれ
ば良い。さらに回折格子パターンRG2 は、上記の如く
レチクルパターンRP2 に対してそのピッチPG 及びピ
ッチ方向のみを正確に設定しておくだけで良く、回折格
子パターンRG1 がレチクルパターンRP1 に対してX
Y平面内で相対的にシフト(位置ずれ)していても構わ
ない。但し、互いのピッチ方向を一致させるため、当然
ながら相対回転誤差はほぼ零にしておく必要がある。
【0051】また、本実施例では位相シフト材を用いて
いるので、矩形パターンPSの膜厚(第1の実施例での
溝の深さdに相当)は上記数式10を満足するように定
めておくことが望ましい。上記数式10を満足すれば、
位相シフト部を透過する光の位相が光透過部を通過する
光の位相に対してπだけシフトし、回折格子パターンR
2 からは±1次回折光のみが発生することになる。
【0052】これにより、露光光ILがほぼ垂直に回折
格子パターンRG2 に照射されると、パターンRG2
らはX、Y方向の各々に関して2組の±1次回折光
3 、L 3'、L4 、L4'のみが発生し、2組の±1次回
折光の各々はレチクル1と垂直な方向(投影光学系の光
軸方向)に対して互いに角度ψ(sinψ=λ/PG )だけ
傾いて対称的にレチクルパターンRP2 に入射すること
になる。図6(C)は図3(C)と同様に、レチクルパ
ターンRP2 に入射する照明光の角度範囲(2次光源形
状)を示したものであり、角度範囲は光軸AXと領域S
3 、SP4 、SP 5 、SP6 の位置となる。図6
(A)のX、Y方向と図6(C)のX、Y方向が対応し
ているとすると、l2 はλ/PGXとなり、l3 はλ/P
GYとなる。この結果、レチクルパターンRP2 から発生
する±1次回折光のいずれか一方と0次回折光とは、投
影光学系の瞳面Ep内で、投影光学系の光軸AXからほ
ぼ等距離だけ離れた4つの部分領域を通過し、高解像度
と大焦点深度とが得られることになる。このとき、4つ
の部分領域の各照度はほぼ等しくなっている。ここで、
回折格子パターンRG2 のデューティ比は任意で構わな
いが、高次回折光の発生を防止する上で1:1に定めて
おくことが望ましい。また、回折格子パターンRG2
他の形成条件、例えばレチクルパターンRP2 との間
隔、その形成領域の大きさ、及びパターン面に設けられ
る遮光帯の幅等の条件については、上記第1の実施例と
同様であるので、その詳しい説明は省略するが、レチク
ルパターンRP2のピッチがX、Y方向で異なれば、回
折格子パターンのピッチもX、Y方向で異なることとな
り、前述の遮光体の幅や回折格子パターン領域を拡げる
幅もX、Y方向で異なる。例えば、回折格子パターン
(レチクルパターン)のX方向のピッチがY方向よりも
小さい時は、遮光体の幅や回折格子パターン領域を拡げ
るX方向の幅はY方向の幅に比べて大きくなる。
【0053】ここで、本発明の如く、レチクル近傍に回
折格子パターンRG1 を設ける場合と、従来の如く実際
の2次光源形状を変形する場合とを比較してみる。従来
法により実際に2次光源形状を変形する場合は、ほぼ均
一で太い光束径を持つ照明光束を遮光板により、図6
(C)中のSP3 〜SP6 に示すごとき部分のみを選択
して2次光源としていた。従って、光量損失が多く、レ
チクル面上の照度は大幅に低下する。また、図6(C)
に示す如き、4光束が領域SP3 〜SP6 を通過させる
ために、照明光学系は大きな開口数を必要としており、
図6(C)中の半径r0 (領域SP3 〜SP6 と光軸A
Xとの距離)より大きな開口数が必要だからである。
【0054】これに対して、本発明においては、照明光
束ははじめから、細い光束径をもつ照明光束(σ値=
0.1〜0.3程度)で十分あり、レチクルR近傍に設
けた回折格子パターンで変形光源と等価な照明を実現し
ている。このため、遮光板は不要であり、かつ光量損失
は少ない。さらに、光束が細い(開口数r)ため、照明
光学系もコンパクトにできるというメリットがある。一
方、解像度向上、焦点深度増大の効果は、従来の変形光
源と同等に得られる。
【0055】ところで、本発明で使用する回折格子、特
に位相型回折格子であるが、これはいわゆるシフター遮
光型の位相シフトレチクルと基本的構造はかわらない。
ただし、位相シフトレチクルは位相型格子がレチクル面
(ウェハ共役面)にあるため、シフター(位相格子)の
欠陥がそのままウェハに転写されてしまうという問題点
がある。欠陥のない位相シフトレチクルの製造は極めて
難しく、現在の技術では実用化は困難であると考えられ
る。これに対して、本発明で使用する回折格子パターン
は、レチクル面より前述のΔtだけ離れた位置(ウェハ
共役面からずれた位置)に設けられており、欠陥や格子
パターン自身がウェハ上に転写されるおそれは全くな
い。
【0056】これを図7を用いて説明する。位相格子上
の1点S1 を通る光束は±1次光Ia、Ibとなってレ
チクルパターンRPを照明する。さらに、S1 に入射す
る光束は照明光の開口数NAILだけの解像範囲をもつの
で、レチクルパターン上では±1次の各光束についてそ
れぞれ2NAIL(d1 +d2 /n)の範囲D41、D42
広がる。従って、例えS1 に欠陥があったとしても、そ
の像はレチクルパターンRP上ではきわめてボケたもの
となり、事実上(実用上)影響はなくなる。図7(B)
は逆にレチクルパターンRP上のR1 に到達する光束の
様子を示すが、Iin1 ,Iin2 、の光束がR1 に達する
ことになり、位相格子上の欠陥は平均化されて影響がな
いことがわかる。図7でI0 、D40、Iin0 、I0 ’は
0次光の発生のある場合を示している。
【0057】一方、格子パターンそのものの転写である
が、照明光束がある程度の太さを有している(開口数>
0を有する)ことと、レチクルパターンRPと回折格子
パターンRGが前述の如く充分離れていることを考慮す
ると、これも全く問題がない。例えば、実際の投影露光
装置の場合について実際の定数を用いて考えてみると、
ウェハ側NAW =0.5、レチクル側NAR =0.1、
レチクルパターンピッチ=3.5μm、λ=0.365
μm(i線)、σ=0.3(すなわち、NAIL=レチク
ル側NAR ×σ=0.03)とすると、望ましい回折格
子ピッチは7.0μmであり、回折角ψはsinψ=
0.0521である。このとき、この位相回折格子の焦
点深度はプロキシミティー露光機の焦点深度とほぼ同等
の値であり、光路差=λとして、2λ/(0.0521
+0.03)2 −(0.0521−0.03)2 =11
7μmである。
【0058】従って、レチクルパターンRPと回折格子
パターンRGは空気間で117μm以上離れていれば、
格子そのものの転写はない。実際はレチクルの厚さだけ
で2mm程度あり、空気換算では1.3mm(1300
μm)にも及ぶので、レチクルRと離れた設けた回折格
子パターンRGの転写は全く心配ない。
【0059】次に、図8を参照して本発明の第3の実施
例を説明する。本実施例では、互いにピッチの異なる複
数個(図6では2個)の1次元のラインアンドスペース
パターン群から成るレチクルパターンRP3 を用いる場
合について述べる。レチクルパターンRP3 はX方向の
ピッチがPR2、PR3で配列された2組の1次元のライン
アンドスペースパターン群RP3a、RP3bで構成されて
いる。この場合、本実施例の回折格子パターンRG3
1次元(X方向)の回折格子パターンRG3(デューティ
比は1:1)であり、そのピッチPG3がPG3=2PR3
る関係に定められている。回折格子パターンRG3 は、
その周期方向がレチクルパターンRP3の周期方向(図
ではX方向)とほぼ一致するように配置される。尚、回
折格子パターンRG3 は位相型回折格子であっても、位
相シフト材で形成しても良く、ここでは位相型回折格子
とし、上記数式10を満足しているものとする。これよ
り、回折格子パターンRG3 からは±1次回折光のみが
発生することになる。
【0060】この結果、第1の実施例と同様に回折格子
パターンRG3 から発生する±1次回折光が、レチクル
Rと垂直な方向(投影光学系の光軸方向)に対して互い
に角度ψ(sinψ=λ/PG3)だけ傾いて対称的にレチク
ルパターンRP3 に入射することになり、高解像度と大
焦点深度とが得られることになる。本実施例ではピッチ
G3をPG3=2PR3なる関係に定めているため、ライン
アンドスペースパターン群RP3bに対しては照明光の傾
斜照明条件(入射角ψ)の最適化が行われないが、パタ
ーン群RP3bにおいても十分な高解像度と大焦点深度と
が得られる。
【0061】ここで、本実施例では複数個のラインアン
ドスペースパターン群に対して、回折格子パターンRG
3 のピッチPG3を特定のパターン群についてのみ最適化
する、すなわちピッチPG3をただ1つの値に定めること
としたが、複数個のラインアンドスペースパターン群の
各々に対応して、ピッチ(及びピッチ方向)が最適化さ
れた複数の回折格子パターンが設けられた偏向部材を備
えておき、レチクルパターンに応じて交換可能とするよ
うにしてもよい。また、上記実施例では1次元のライン
アンドスペースパターンについて述べたが、2次元の周
期性パターンに対しても全く同様に適用できる。また、
例えば微細な周期性パターンRPS に対してのみ回折格
子パターンRGを設けて傾斜照明を行い、比較的粗いパ
ターンRPB に対しては従来通りの垂直照明を行うだけ
でも良い。この場合には、ウエハ上でのパターンR
S 、RPB の各像の照度が大きく異なり得るため、減
光フィルターを用いてパターンRPB に照射される照明
光の照度を予め低く設定する、あるいは薄膜の蒸着によ
りパターンRPB の形成領域の光透過率を低くしておく
ことが望ましく、これによってパターンRPS 、RPB
のいずれに対しても最適露光量で露光することが可能と
なる。また、パターンRPB に対してはオーバー露光と
なることから、予めパターンRPB の線幅を、パターン
RPB に対する最適露光量に対応して設計値より太く形
成しておくだけでも良い。
【0062】次に本発明の第4の実施例について説明す
る。ところで、前述の第1〜第3の実施例のような回折
格子パターンをレチクルに応じて製造するにはコストと
時間を要するが、1台の投影露光装置において使用する
レチクルパターンのピッチは、一般にその解像度に応じ
てほぼ一定の値となっている。解像度はNAと波長から
求まるので、本実施例は、倍率と解像度から実用上充分
な回折格子パターンのピッチを定めるものである。
【0063】例えば、投影光学系のウェハ側開口数をN
W =0.5とすると、i線の場合、解像度は0.35
μmL/S程度であり、投影倍率を1/5とすると、使
用されるレチクルパターンのピッチはほぼ0.70μm
×5=3.5μm前後となる。従って、7μmピッチの
回折格子を設けておくだけでも実用上、充分な効果を有
することになる。
【0064】次に、図9を参照して本発明の第5の実施
例について説明する。本実施例では、回折格子パターン
RGで疑似的にσ値を可変とするものである。図9
(A)に示すようにレチクルRには比較的粗い2次元の
パターンRP5bが形成されている。一方、図8(B)に
示すように傾斜照明による効果が小さい2次元パターン
RP5bに対応して2次元の位相型回折格子パターンRG
5bが、回折格子パターン(偏向部材)RG5 として形成
されている。
【0065】ここでは見掛け上2次元パターンRP5b
対する照明光学系のσ値を大きくするといった効果を得
るため、回折格子パターンRG5bから0次回折光も発生
するように、回折格子パターンRG5bのデューティ比を
1:3程度に定めておく。従って、回折格子パターンR
5bに対して照明光がほぼ垂直に照射されると、当該パ
ターンRG5bからは±1次回折光とともに0次回折光も
発生し、これらの回折光は2次元パターンRP5bを照射
する。このときの投影光学系の瞳面Epでの照度分布を
図10に示す。図10に示すように、2次元パターンR
5bからは種々の次数の回折光が発生しており、これに
よって照明光学系中に空間フィルターを配置してその開
口径を変化させることを行うことなく、2次元パターン
RP5bに対して照明光学系のσ値を増大させる効果が得
られる。ここで、回折格子パターンRG5bの溝の深さ
は、前述の数式10を満たすように設定すればよい。ま
た、上述した如くデューティ比を面積比にして1:3程
度に設定しておけば、±1次回折光のいずれか一方と0
次回折光との強度比をほぼ1:1にすることが可能であ
る。
【0066】さらに、実際の照明光学系の開口数NAIL
(σ値で表すと、σ≦0.1〜0.3程度)に対して、
粗いレチクルパターンRP5bの露光に際して必要とされ
る照明光学系の開口数をNARPとし、回折格子パターン
RG5bのX、Y方向の各ピッチが等しいものとしてその
ピッチをPR5とすると、回折格子パターンRG5bから発
生する1次回折光の回折角ψ5 は、次式を満足する。
【0067】
【数12】PR5・sinψ5=λ このとき、 sinψ5 とNAIL、NARPとの間には、次式
が成り立っている。
【0068】
【数13】NARP=NAIL+sinψ5 従って、回折格子パターンRG5bのピッチPR5は、次式
を満足するように定めれば良い。
【0069】
【数14】PR5=λ/(NARP−NAIL) 以上の構成により本実施例では、2次元パターンRP5b
に対して、照明光学系のσ値が0.1〜0.3程度であ
っても、疑似的に大きなσ値で照明することができ、大
焦点深度が得られることになる。このときの回折格子の
形状は位相差≠(2n−1)πの位相格子であっても、
透過率格子であってもよい。また、そのデューティも任
意でよい。また、レチクルパターンのうち、微細なパタ
ーンと比較的粗いパターンが混在している場合は、比較
的粗いパターンに対してのみσ値を増大させるように回
折格子パターンを形成し、照明視野内で部分的にσ値を
変化させるようにしても良い。
【0070】さらに、積極的に0次回折光を発生させる
ことで、疑似的にσ値の大きな通常照明(入射角度特定
がほぼ円形状)を実現することができる。このような回
折格子を装置内に複数備え、かつ、交換して使用するこ
とにより、疑似的にσ可変の照明系を実現することもで
きる。次に、前述の第1〜第5の実施例における回折格
子パターンの最適化について説明する。
【0071】前述の露光装置(図1)においては、前述
の第1〜第5の実施例に示したような回折格子パターン
が設けられた複数のガラス基板が不図示の保管部に設け
られている。前述の如く、バーコードリーダ32(図
1)がレチクルバーコードBCからパターン情報(パタ
ーンピッチやピッチ方向)を読み取ると、複数のガラス
板の中から最適な回折格子パターンが形成されたガラス
板を選択する。最適化の条件はレチクルパターンのピッ
チやピッチ方向に応じて最適な回折格子パターンを選択
し、交換部材26を駆動させることにより最適化を図
る。尚、交換部材はターレット板に限らず、スライダー
であってもよく、また、保管部より保持部16へ各々搬
送するようにしてもよい。また、第5の実施例のように
疑似的にσ値を可変としたり、疑似的にσ値の大きな通
常照明とする場合は、レチクルバーコードBCには図9
(B)のようなパターンを選択する情報をピッチ情報と
は別に登録しておいてもよい。また、レチクルパターン
に応じて回折格子パターンを製造し、レチクル一体に装
置に装填して使用してよい。また、回折格子を照明光路
からとり除いて、通常照明と傾斜照明との切替えするよ
うに使用してもよいことはいうまでもない。また、いず
れの実施例においても、回折格子パターン(偏向部材)
によって照明光束を傾斜させてレチクルパターンに照射
する傾斜照明法について述べていたが、例えば回折格子
パターンを複数の方向に配列することによって、レチク
ルパターンに対して輪帯照明を行うことも可能である。
【0072】この際、前述の如く、開口絞り5、視野絞
り8、可動遮光部23の最適条件もレチクルバーコート
の情報から設定する。また、前述の回折格子パターンと
レチクルパターンとの間隔Δtの情報は主制御系31
が、レチクルバーコートの情報から求めるようにしても
よいし、Δt情報を予めレチクルバーコードに登録して
おいてもよい。
【0073】尚、これで設定された照明系のσ値を変更
する場合は、これに伴い、間隔Δtや視野絞り8、可動
遮光部23の設定条件も変わるが、この場合は主制御系
31は、変更後の設定条件を算出し、これに合わせて各
駆動部を制御すればよい。ここで、本装置には基板14
とレチクルRとの光軸AX方向の間隔を検出するギャッ
プセンサ21が設けられており(図1参照)、駆動素子
17の制御精度をチエックできるようになっている。
【0074】また、投影光学系の開口数を変化させる、
特に小さくするときは、レチクルパターンからの回折光
がその瞳面を通過できなくなり得る。そこで、投影光学
系の開口数の変化に応じて回折格子パターン(偏向部
材)を交換可能に構成し、ピッチが異なる回折格子パタ
ーンを用いることでレチクルパターンへの照明光の入射
角を変化させることが望ましい。
【0075】また、一般的に変形光源を用いる場合、2
次光源中の1つの光源領域、例えば、図3(C)中の領
域SP1 の半径(開口数)は投影光学系PLのレチクル
側開口数の0.3倍程度以下であることが好ましい。光
源領域がこれ以上大きいと解像度や焦点深度の向上の効
果が得にくくなり、一方、あまり小さくなると回折格子
の欠陥の影響が無視できなくなる。このため、本発明で
は開口絞り5の大きさをσ値が0.1〜0.3程度とな
るように設定するとよい。
【0076】また、前述の如く回折格子パターンRGを
光路から除去して、通常の装置として使用する場合には
σ値が0.6から0.7となる方が、解像度、焦点深度
の点有利なので、傾斜照明と通常照明とを切り換える場
合、0.1≦σ≦0.7までσ値の可変範囲を有する装
置であることが望ましい。σ値の可変は開口絞りにより
可変としてもよいし、前述の如く、装置としてのσ値は
傾斜照明に適切な0.1〜0.3程度で固定としてお
き、σ値が疑似的に大きくなような回折格子パターンR
Gを選択するようにしてもよい。
【0077】また、開口絞りの大きさを単純に可変とす
ると、絞りによる光量ロスが発生する。このため、リレ
ーレンズをズーム系としてフライアイレンズに入射する
光束をσ絞りに合わせて最適な値となるように、その径
を拡大または縮小するようにしてもよい。さらに孤立パ
ターン、例えば1本のラインパターンまたはスペースパ
ターン等に対しては、回折格子パターン(偏向部材)か
ら0次回折光を発生させることが有効である。また、回
折格子パターン(偏向部材)から0次回折光を発生させ
ることは、例えば5本のラインアンドスペースパターン
を露光するとき、その両端のレジスト像で生じる膜べり
を低減できるといった効果も得られる。
【0078】ところで、以上の各実施例では偏向部材と
して位相型回折格子(ガラス基板にエッチングにより凹
凸にて形成したもの、または位相シフト材にて形成した
もの等)を用いていたが、例えば振幅型回折格子を設け
ても良く、この場合にも±1次回折光が発生するので、
解像力・焦点深度の向上が見込める。また、偏向部材と
して断面形状が正弦波状の凹凸を、その1周期をレチク
ルパターンのピッチの約2倍に定めてガラス基板に形成
するようにしても構わない。レチクルパターンが2次元
パターンのときは、上記正弦波状の凹凸を有する2組の
格子板を、互いに正弦波の進行方向が2次元パターンの
周期性に応じて交差するように重ねて配置すれば良い。
または、1枚のガラス基板の表面と裏面とに2組の正弦
波状の回折格子を形成するようにしても構わない。さら
に偏向部材として、断面形状が三角波状の凹凸を、上記
と同様にガラス基板に形成しても良い。また、偏向部材
として微細なフレネルゾーンプレートを多数敷き詰めた
ものを用いても構わない。また、回折格子パターンより
発生する0次回折光をなくすために、位相差を(2mー
1)π(mは自然数)とする位相格子としたが、回折格
子は位相格子に限定されるものではない。
【0079】尚、各実施例のレチクルの露光に際して使
用するレジストはポジ型であっても、ネガ型であっても
良い。さらに回折格子パターン(偏向部材)をレチクル
のガラス面に設けておいてもよい。また、ペリクル枠等
を利用して、回折格子パターンが形成されたガラス基板
をレチクルに近接して載置(固定)するようにしても良
い。あるいは照明光学系にリレーレンズ系を配置し、こ
のリレーレンズ系によって、例えばレチクルパターン面
とほぼ共役な面内から所定量だけずらして、回折格子パ
ターン(偏向部材)を設けるようにしても良い。また、
異物付着防止の透明基板を回折格子パターンに密着して
設けてもよい。尚、本発明によるフォトマスクを適用可
能な露光装置は、投影光学系を有するものであれば良
く、さらに投影光学系は屈折型、反射型、あるいはこれ
らを組み合わせた型のいずれであっても良い。
【0080】前述の実施例では、光源1は水銀ランプや
エキシマレーザ光源であるとしたが、他の光源であって
もよい。また、露光光の波長域は投影光学系PL、及び
照明光学系の色収差補正状況によって、単色、準単色、
広帯域が選択されるが、本発明で使用する回折格子パタ
ーンは基本的に単色、準単色、広帯域のいずれの波長域
の露光でも使用可能である。例えば、λ1 の露光光はピ
ッチP1 のレチクルパターンにsinψ1 =λ1 /2P
1 で入射するように、回折格子パターンのピッチをP2
=2P1 (sinψ=λ1 /P2 )とするが、λ2 の露
光光に対してはsinψ2 =λ2 /2P1 、sinψ2
=λ2 /Pとなり、P2 =2P1 の関係はこれらから定
められる関係であり、露光波長が異なっても回折格子ピ
ッチを変更する必要はない。
【0081】以上の通り第1〜第5の実施例では、照明
光路中に回折格子パターン(光偏向部材)を設けること
で、レチクルパターンに対する傾斜照明を実現するた
め、照明光学系の改良を行うことなく、しかも従来のレ
チクルをそのまま利用して高解像度、大焦点深度を達成
することが可能となる。尚、以上の第2〜第5の実施例
では偏向部材としての回折格子パターンのピッチ以外の
他の形成条件、例えばレチクルパターンとの間隔(Δ
t)、その形成領域の大きさ、及びパターン面に設けら
れる遮光帯の幅等の条件について特に述べていなかった
が、いずれの条件も第1の実施例と全く同様に定めれば
良い。
【0082】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、光偏向部
材を感光基板とほぼ共役な面、もしくはその近傍から僅
かに離して追加するだけで、投影光学系の解像度、及び
焦点深度を実現することができる。また、解像度、及び
焦点深度をコヒーレンスファクターの小さな照明系で実
現することができ、照明光学系が安価で製造のし易いも
のとなり、露光装置のコストが低減する。
【0083】さらに、光偏向部材を適当に選択すること
によりコヒーレンスファクターを可変とすることが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による投影露光装置の構
成を示す図、
【図2】図1の装置におけるレチクルR近傍の拡大図、
【図3】本発明の第1の実施例による(A)一次元のレ
チクルパターンを示す図、(B)(A)のパターンに最
適な回折格子パターンを示す図、(C)(B)の回折格
子パターンによる回折光の角度範囲を、照明光学系の瞳
面上の領域位置で表した図、
【図4】図3(B)の回折格子パターンからの回折光の
半影ボケを示す図、
【図5】図4の半影ボケをカットするための遮光帯、及
び可動遮光部を示す図、
【図6】本発明の第2の実施例による(A)二次元のレ
チクルパターンを示す図、(B)(A)のパターンに最
適な回折格子パターンを示す図、(C)(B)の回折格
子パターンによる回折光の角度範囲を、照明光学系の瞳
面上の領域位置で表した図、
【図7】本発明の第1、第2の実施例による回折格子パ
ターンの像がウエハ上に転写されない理由を説明する
図、
【図8】本発明の第3の実施例を説明する図、
【図9】本発明の第5の実施例による(A)比較的粗い
レチクルパターンを説明する図、(B)(A)のパター
ンを擬似的にσ値を大きくして照明するための回折格子
パターンを示す図、
【図10】図9(B)の回折格子パターンからの回折光
による投影光学系の瞳面での分布を示す図、
【図11】傾斜照明により高解像度、大焦点深度が得ら
れる原理を説明する図である。
【符号の説明】
1…光源 4…フライアイレンズ 3、7、11、12…レンズ系 14…ガラス板 17…駆動素子 21…ギャップセンサ 22…第1制御系 23…可動遮光部 31…主制御系 32…バーコードリーダ PL…投影レンズ LSB…遮光帯 R…レチクル W…ウエハ IL…照明光

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源からの照明光をほぼ均一な強度分布
    に成形するとともに、該均一な照明光をマスクに照射す
    るための照明光学系と、前記マスクに形成された微細パ
    ターンの像を感光基板に結像投影するための投影光学系
    とを備えた投影露光装置において、 前記微細パターンの入射側に所定間隔だけ離して配置さ
    れ、かつ前記照明光が入射したとき、該入射光の少なく
    とも一部を前記微細パターンに対して所定角度だけ偏向
    させる偏向部材を有し、 前記入射光の前記偏光部材への入射領域を前記微細パタ
    ーンの照明領域より所定量大きくしたことを特徴とする
    投影露光装置。
  2. 【請求項2】 前記投影光学系と前記偏向部材との間に
    設けられ、前記偏向部材による光束の広がりを遮光する
    遮光部材を有することを特徴とする請求項1記載の投影
    露光装置。
  3. 【請求項3】 前記照明光学系のコヒーレンスファクタ
    ーを0.1から0.3程度に定めたことを特徴とする請
    求項1記載の投影露光装置。
  4. 【請求項4】 前記偏向部材は、前記照明光に対してほ
    ぼ透明な基板に形成された回折格子状パターンであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の投影露光装置。
  5. 【請求項5】 前記照明光学系の開口数をNAIL、前記
    回折格子パターンのピッチをPG としたとき、前記光軸
    方向にかんする前記微細パターンと前記回折格子パター
    ンとの間隔を、 Δt≧PG /2NAIL なる関係で定まるΔtとすることを特徴とする請求項4
    記載の投影露光装置。
  6. 【請求項6】 前記回折格子状パターンのピッチは前記
    投影光学系の解像度、及び投影光学系の倍率に応じて定
    められていることを特徴とする請求項4記載の投影露光
    装置。
  7. 【請求項7】 前記照明光学系のコヒーレンスファクタ
    ーの可変機構を有することを特徴とする請求項1記載の
    投影露光装置。
  8. 【請求項8】 前記偏向部材は、前記照明光の偏向量が
    互いに異なる少なくとも2つの偏向部材からなり、 前記少なくとも2つの偏向部材を前記微細パターンに応
    じて交換する交換手段を有することを特徴とする請求項
    1記載の投影露光装置。
  9. 【請求項9】 前記照明光学系中の照明光束径を可変と
    する可変開口絞りを有し、該可変開口絞りの調整と前記
    偏向部材の交換との少なくとも一方に基づいて、前記照
    明光学系のコヒーレンスファクターを0.1から0.7
    程度にまで可変とする調整手段を有することを特徴とす
    る請求項8記載の投影露光装置。
JP4019140A 1992-01-17 1992-02-04 投影露光装置 Pending JPH05217839A (ja)

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US08/473,995 US6249335B1 (en) 1992-01-17 1995-06-07 Photo-mask and method of exposing and projection-exposing apparatus

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6352800B1 (en) 1999-10-01 2002-03-05 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Reticle for use in exposing semiconductor, method of producing the reticle, and semiconductor device
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