JPH0645216U - 防鼡電線・ケーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造時のシクロヘキシミドの損失を防ぎ使用
時において高い防鼡効果を長期間発揮する防鼡電線・ケ
ーブルを提供する。 【構成】 電線・ケーブルの内部シースの外周上にシク
ロヘキシミドを含有したマイクロカプセルからなる層を
設け、その外側に鉛ラミネートテープ層及び外部シース
を順次設けた防鼡電線・ケーブル。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は防鼡電線・ケーブルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

防鼡電線・ケーブルの１種に、鼡の忌避剤であるシクロヘキシミドを使用した ものがある。このシクロヘキシミドは熱や塩素によって容易に分解するため、電 線やケーブルの絶縁体やシースを形成する樹脂材料に混合して押出し加工を行う と、加工時の熱で殆んど分解してしまい、防鼡効果が得られない。このため、従 来はシクロヘキシミドの溶液をマイクロカプセルに封入し、これを絶縁体やシー スを形成する樹脂材料に混合して押出し加工を行って、防鼡電線あるいは防鼡ケ ーブルとしていた。

【０００３】 図２は従来の防鼡電線・ケーブルの一例の横断面図である。図面に示すように 、導体上にポリエチレン、塩化ビニル等の絶縁層を有する絶縁線心の複数本を集 合したケーブルコア11の外側に、ポリエチレン、塩化ビニル等のケーブルシース 12が施され、その外周上にシクロヘキシミドを含有したマイクロカプセルを混合 した防鼡樹脂層13を押出し加工等により施して構成されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このような従来の防鼡電線・ケーブルにおいては、樹脂材料の押出し加工時に おけるマイクロカプセルの混合の段階で、シクロヘキシミドの溶液を封入したマ イクロカプセルが漬され、その結果マイクロカプセルの製造時に封入しておいた シクロヘキシミドの40〜50％が損失されるという問題点がある。又シクロヘキシ ミドは水溶性であるため、電線・ケーブルの使用時において、ケーブルシース絶 縁層への透過水でシクロヘキシミドが流出して、防鼡効果が経年的に低下すると いう問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述の問題点を解消し、製造時のシクロヘキシミドの損失を防ぎ使用 時において高い防鼡効果を長期間発揮する防鼡電線・ケーブルを提供するもので 、その特徴は電線・ケーブルの内部シースの外周上にシクロヘキシミドを含有し たマイクロカプセルからなる層を設け、その外側に鉛ラミネートテープ層及び外 部シースを順次設けた防鼡電線ケーブルにある。

【０００６】

【実施例】

図１は本考案の防鼡電線・ケーブルの具体例の横断面図である。図面に示すよ うに、導体上にポリエチレン、塩化ビニル等の絶縁層を有する絶縁線心の複数本 を集合したケーブルコア１の外側に内部シース２が形成されており、その外周上 にはシクロヘキシミドを封入したマイクロカプセルよりなる層３が設けられてお り、さらに、その外側には鉛テープラミネート層４及び外部シース５が順次設け られている。

【０００７】 前記内部シース７及び外部シース５は、ポリエチレンや塩化ビニル等のプラス チック材料の押出し加工によって形成される。シクロヘキシミドを封入したマイ クロカプセルからなる層３は、例えば内部シース２の外表面にあらかじめ接着剤 を塗布し、その上にマイクロカプセルを塗布することにより形成できる。鉛ラミ ネートテープ層４は鉛箔の片面にプラスチックフイルムを積層したテープを、プ ラスチック面を外側にしてマイクロカプセル層３上に縦添えし、その側縁の合せ 目を接着することにより形成し、その上に押出し加工される外部シース５の押出 し時の熱により外部シースと一体化される。なお、前記マイクロカプセルよりな る層３は鉛ラミネートテープの片面に、接着剤によりマイクロカプセルをあらか じめ塗布しておき、これをマイクロカプセルよりなる層３が内面になるように内 部シース２上に縦添えすることによっても形成できる。

【０００８】

【作用】

上述したように、本考案の防鼡電線・ケーブルにおいては、シクロヘキシミド を封入したマイクロカプセルを樹脂材料に混合して押出し加工するのではなく、 そのまま内部シースの外周上に塗布するため、電線やケーブルの製造時にマイク ロカプセルを漬すことがない。そのため、高価な防鼡剤であるシクロヘキシミド のロスを見込む必要がなくなり、従来に比して安価な防鼡電線・ケーブルを供給 できる。

【０００９】 又シクロヘキシミドを封入したマイクロカプセルで形成された層の外周上に、 鉛テープラミネート層を設けることにより、金属である鉛がマイクロカプセルで 形成された層への、外部からの水分の侵入を飛躍的に低減する。このため、シク ロヘキシミドの流失を防止でき、防鼡効果の経年的な低下を大幅に改善する。

【００１０】 さらに、鉛ラミネートテープ層を設けることにより、外部シース押出し加工時 の外力及び熱からシクロヘキシミドを封入したマイクロカプセルの破壊及びシク ロヘキシミドの分解を防止する。ただし鉛ラミネートテープ層は約50μｍと非常 に薄いため、その外側に外部シースを設けることにより、鉛ラミネートテープ層 の布設時等における外傷の発生を防止することができる。

【００１１】

【実験例】

図１に示す本考案の構造と、図２の従来構造について、シクロヘキシミドの含 量減衰率の比較を加速試験で行った。結果は表１の通りであり、従来構造に比し 、本考案の構造がシクロヘキシミドの含量減衰を飛躍的に改善できることが確認 できた。

【００１２】

【表１】

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の防鼡電線・ケーブルによれば、電線やケーブル の製造時及び使用時におけるシクロヘキシミドの損失が少なく、残存率が高いた め、長期寿命が要求される建造物や外部からの水の透過が懸念される屋外及び水 場廻りで使用される防鼡電線・ケーブルに使用するとき、極めて効果的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の防鼡電線・ケーブルの具体例の横断面
図である。

【図２】従来の防鼡電線・ケーブルの一例の横断面図で
ある。

【符号の説明】

１ ケーブルコア ２ 内部シース ３ マイクロカプセル層 ４ 鉛ラミネートテープ層 ５ 外部シース

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電線・ケーブルの内部シースの外周上に
   シクロヘキシミドを含有したマイクロカプセルからなる
   層を設け、その外側に鉛ラミネートテープ層及び外部シ
   ースを順次設けてなる防鼡電線・ケーブル。