JPH0645190Y2 - 熱交換器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は熱交換器に関し、特に高温流体を密封するメカ
ニカルシールの密封端面冷却のために循環する封液の冷
却に好適な熱交換器に関する。

（従来の技術） この種の熱交換器として、第４図に示すように、ケーシ
ング１の一端開口1aが蓋体２によって着脱可能に閉蓋さ
れ、蓋体２の内面に取付けられた筒状仕切部材３によっ
てケーシング１の内部が中央空間部４と外環状通路５に
仕切られるとともに、筒状仕切部材３の外周にコイル状
伝熱管６を巻装し、該伝熱管６の両端部6A,6Bが蓋体２
を貫通して当該蓋体２に保持された構成のものが知られ
ている。

この熱交換器では、ケーシング１の他端に形成した第１
ポート７から冷媒、つまり被熱源流体が導入され、この
導入初期において、ケーシング１の中央空間部４に存在
していた空気は筒状仕切部材３に形成した透孔3aから外
環状通路５に押し出され、また外環状通路５に存在して
いた空気は、前記中央空間部４から外環状通路５に押し
出された空気とともに第２ポート８を通って排気され、
ケーシング１の内部が被熱源流体に置換される。そし
て、その後、第１ポート７から導入される被熱源流体の
殆どは通路断面積の小さい外環状通路５を通り、したが
って流速を高めて第２ポート８へ至り、ここから導出さ
れる。

一方、例えば高温流体を密封するメカニカルシールの密
封端面を冷却するために循環させる封液等の熱媒、つま
り熱源流体は、コイル状伝熱管６の一端面6A側から導入
され、他端部6B側から導出される。したがって、この熱
源流体と被熱源流体とで伝熱効率の高い熱交換がケーシ
ング１内においてなされる。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、前述の熱交換器では、ケーシング１の内面、
筒状仕切部材３の内外両面およびコイル状伝熱管６の外
周面に対して、経時的に水垢、即ち被熱源流体垢等の異
物が付着し、特にコイル状伝熱管６の外周面に付着した
異物は伝熱効率を著しく低下させ、熱交換器の信頼性を
損うことになる。したがって、定期的に清掃を行って前
記異物を除去する必要がある。

この清掃は、蓋体２をケーシング１から取り外し、例え
ば高圧洗浄流体をケーシング１の内面、蓋体２と一体化
されているコイル状伝熱管６の外周面および筒状仕切部
材３の内外両面に噴射することによってなされる。

しかし、筒状仕切部材３の一端が溶接W₁によって蓋体２
に固着され、しかも、コイル状伝熱管６の両端部6A,6B
も、第５図に示すように、蓋体２を貫通して溶接W₂によ
って蓋体２に固着保持されているから、コイル状伝熱管
６が筒状仕切部材３に巻装されたままの状態で両者3,6
の清掃を行わなければならない。そのために、コイル状
伝熱管６と筒状仕切部材３との間の小さい隙間に介在し
ている水垢等の異物を除去することが困難である問題点
を有している。

本考案はこのような事情に鑑みなされたもので、筒状仕
切部材とその外周に巻装される伝熱管との間に介在する
異物の除去が容易になされ清掃作業性の向上を図ること
ができる熱交換器を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、前記目的を達成するために、筒状仕切部材の
外周に巻装され、かつケーシングの一端開口を着脱可能
に閉塞する蓋体を貫通した伝熱管の両端部に、径外方向
へ張出す軸移動規制部材を着脱可能に外嵌固定し、該軸
移動規制部材を前記蓋体と該蓋体に着脱可能に取付けら
れた押圧部材とで挾着保持したものである。

（作用） 本考案において、伝熱管の両端部に着脱可能に外嵌固定
されている軸移動規制部材が、蓋体と該蓋体に着脱可能
に取付けられた押圧部材によって挾着保持されること
で、伝熱管が筒状仕切部材の外周に巻装された組立状態
を得られる。

また、押圧部材を蓋体から取外し、ついで軸移動規制部
材を伝熱管の両端部ら取外すことで、伝熱管を蓋体から
分離させることができる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本考案を適用した熱交換器の一例を示す縦断側
面図であり、前記第４図および第５図の熱交換器と同一
または相当部分に同一符号を付し、その説明は省略す
る。ケーシング１と蓋体２は円周方向に等間隔で配設さ
れたスタッドボルト９およびこれに螺締されるナット10
により着脱可能になっている。そして、伝熱管６の両端
部6A,6Bは、第２図に示すように蓋体２に対して着脱可
能に取付けられている。但し、一端部6Aと他端部6Bは同
一構造によって取付けられているから、第２図では一端
部6Aのみを示している。

即ち、蓋体２には、伝熱管６の一端部6Aを挿通させる貫
通孔11が内面側、つまりケーシング１に対向する側から
穿設され、この貫通孔11から蓋体２の外面側に向って段
階的に拡径する第１ないし第４の孔11A,11B,11C,11Dを
穿設してある。そして、第２の孔11Bと第４の孔11Dには
雌ねじ部11b,11dが形成されている。

伝熱管６の一端部6A（勿論他端部6Bも）には、その外周
に周溝12が形成されており、この周溝12が第２の孔11B
内に位置するように、一端部6Aが蓋体２の内面側から貫
通孔11に対して密に挿通される。そして、第１の孔11A
の奥部にゴム等の弾性材によってなる環状のシール部材
13が挿入され、その前面に金属または硬質合成樹脂によ
ってなる環状のリテーナ14が挿入されている。また、周
溝12には、例えばスナップリングまたは２ツ割リング等
の軸移動規制部材15が着脱可能に外嵌固定されるととも
に、金属製の環状体によってなる押圧部材16の中心孔16
Aに伝熱管６の一端部6Aを挿通し、かつ外周雄ねじ部16a
を第２の孔11Bの雌ねじ部11bにねじ締することによっ
て、押圧部材16の押圧面16Bで軸移動規制部材15をリテ
ーナ14側に押圧している。即ち、軸移動規制部材15がリ
テーナ14およびシール部材13を介して蓋体２と、該蓋体
２に着脱可能に取付けられた押圧部材16の押圧面16Bと
で挾着保持された構成になっている。また、前記押圧部
材16を第２の孔11Bにねじ締めすることによって軸移動
規制部材15に負荷される蓋体２の内面側方向への押圧力
は、リテーナ14を介して環状のシール部材13を押圧す
る。その結果、環状のシール部材13は軸方向の厚みが小
さくなって、第１の孔11Aの底面11aに圧接するととも
に、径方向の内外周への膨出せんとして伝熱管６の外周
面および第１の孔11Aの内周面に圧接してシール性を確
保し、ケーシング１内に導入される被熱源流体の外部漏
洩と、第４の孔11Dの雌ねじ部11dに螺合されたソケット
17を介して伝熱管６に導入または導出される熱源流体の
ケーシング１内への浸入を確実に防止する。図中18はシ
ール部材で、ソケット17と蓋体２とのシール性を確保し
ている。

前記構成において、第１図に示すように、ケーシング１
の一端開口1aを蓋体２によって閉蓋した状態では、前記
従来例と同様に熱交換がなされる。

つぎに、清掃時等において伝熱管６を蓋体２から取外す
手順に付いて説明する。

まず、第１図のナット10をボルト９から取外して蓋体２
をケーシング１から分離させ、伝熱管６および筒状仕切
部材３をケーシング１から引き出す。つぎに、第２図の
ソケット17を蓋体２から取外し、ついで押圧部材16を蓋
体２から取外す。即ち、ソケット17と押圧部材16をねじ
戻し回動させて、第４の孔11Dおよび第２の孔11Bからそ
れぞれ抜取る。つづいて、軸移動規制部材15を周溝12か
ら取外し、しかるのちに、伝熱管６の一端部6Aを矢印ａ
方向に、また蓋体２を矢印ｂ方向に相対移動させること
で、伝熱管６を蓋体２から取外すことができる。勿論、
伝熱管６の他端部6Bも、前記一端部6Aと同様の手順によ
って蓋体２から取外し、これによって、伝熱管６と蓋体
２が分解される。したがって、伝熱管６の外周面および
筒状仕切部材３の外面に付着している水垢、即ち、被熱
源流体垢等の異物を、きわめて容易に清掃除去すること
ができる。

尚、清掃後の組立は、前記分解時の逆手順によってなさ
れることはいうまでもない。

第３図は本考案を適用した熱交換器の他の例を示し、前
記実施例と同一または相当部分に同一符号を付し、その
説明を省略する。この実施例では筒状仕切部材３が二重
に構成され、小径の筒状仕切部材3Aがケーシング１に、
また大径の筒状仕切部材3Bが蓋体２にそれぞれ溶接によ
って固着されている。そして、コイル状伝熱管６も、二
重の筒状仕切部材3A,3Bの外周に巻装し得るように、二
重に巻回されている。

このような構成の熱交換器において、前記第１実施例と
同様に伝熱管６のみが着脱されることで、被熱源流体垢
等の異物を除去する作業がより一層容易になる。

（考案の効果） 以上のように、本考案によれば、蓋体を貫通した伝熱管
の両端部に径外方向へ張出す軸移動規制部材を着脱可能
に外嵌固定し、該軸移動規制部材を前記蓋体と該蓋体に
着脱可能に取付けられた押圧部材とで挾着保持した構成
しているから、伝熱管を蓋体に対して強固に固定できる
のは勿論のこと、蓋体に対する伝熱管の着脱が簡単にな
されるので、定期的に行われる清掃作業時において、コ
イル状伝熱管を蓋体から取外すことで、特に伝熱管およ
び筒状仕切部材に付着している被熱源流体垢等の異物を
きわめて容易に除去することができ、清掃作業性の著し
い向上を実現できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の実施例を示すもので、第
１図は本考案を適用した熱交換器の一例を示す縦断側面
図、第２図は要部の拡大断面図、第３図は本考案を適用
した熱交換器の他の例を示す縦断側面図、第４図は従来
例の縦断側面図、第５図は従来の伝熱管取付構造を示す
拡大断面図である。 １…ケーシング 1a…一端開口 ２…蓋体 ３…筒状仕切部材 ６…伝熱管 6A…一端部 6B…他端部 15…軸移動規制部材 16…押圧部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ケーシングの一端開口を着脱可能に閉蓋す
   る蓋体と、該蓋体に取付けられ前記一端開口の閉蓋時に
   前記ケーシングに挿入される筒状仕切部材と、該筒状仕
   切部材の外周に巻装されかつ両端部が前記蓋体を貫通し
   て当該蓋体に保持された伝熱管とを具備した熱交換器に
   おいて、前記伝熱管の両端部に径外方向へ張出す軸移動
   規制部材が着脱可能に外嵌固定され、該軸移動規制部材
   が前記蓋体と該蓋体に着脱可能に取付けられた押圧部材
   とで挟着保持されていることを特徴とする熱交換器。