JPH0644920A - シャドウマスク用金属薄板およびその製造方法 - Google Patents

シャドウマスク用金属薄板およびその製造方法

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JPH0644920A
JPH0644920A JP21640892A JP21640892A JPH0644920A JP H0644920 A JPH0644920 A JP H0644920A JP 21640892 A JP21640892 A JP 21640892A JP 21640892 A JP21640892 A JP 21640892A JP H0644920 A JPH0644920 A JP H0644920A
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JP21640892A
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English (en)
Inventor
Tadashi Inoue
正 井上
Kazuaki Matsumoto
和明 松本
Kiyoshi Tsuru
清 鶴
Hirohisa Haishi
裕久 拝司
Kichiya Kashiwazaki
吉弥 柏崎
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 カラーテレビ受像管に使用されるシャドウマ
スク用金属薄板に関し、異種材料を積層させた複合体の
シャドウマスク用金属薄板およびその製造方法を提供す
る。 【構成】 内層部を挟んで形成される外層部を配した3
層構造とし、基材としては低熱膨脹合金を用い、更に、
相手材としては、安価で所要の黒化処理性とプレス成形
性(プレス成形時の透過ムラ発生防止)等を満足するよ
うなAIキルド鋼等非時効性鋼を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラーテレビの受像管
に使用されるシャドウマスク用金属薄板に関し、異種材
料を積層させた複合体のシャドウマスク用金属薄板およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、カラーテレビの高品位化に伴い、
上述の色ずれの発生が問題になっており、これを防止す
るために、シャドウマスクの材料として、熱膨脹係数の
小さいFe−Ni系インバー合金が注目されている。しかし
このインバー合金は高価なNiを30〜45wt%含有して
いるために、材料コストが高いという問題がある。
【0003】また、前記Niは酸化しにくい元素であるた
め、シャドウマスクの製造工程で、材料表面に熱放散の
促進および防錆のために形成する酸化膜(以降、黒化膜
と呼ぶ)が不均一になりやすく、またその黒色度が不充
分であって熱輻射率が低いために熱放散性に劣っている
という問題を改善する方法として、特開昭62−826
30号公報が開示されている。即ち、この技術は内層部
にインバー合金を該内層部を挾む外層部に軟鋼を配した
3層構造のシャドウマスク部材において、内層部に対す
る外層部体積の比が0.15〜0.5とすることにより、イ
ンバー合金の両表面部分を軟鋼により代替するものであ
る。この技術によれば、材料コストは低減し、かつ表面
は黒化処理性の優れた軟鋼であるため、黒化処理性もイ
ンバー合金に比べて優れた低熱膨脹のシャドウマスク部
材を提供することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した先行
技術によるインバー合金と軟鋼の複合体の薄板は、フォ
トエッチング性、プレス成形性およびガス放出特性が劣
っている。即ち、プレス成形性の劣化はプレス成形時の
伸びムラの形で発生し、特にプレス成形後のマスクでは
著しい透過ムラが発生しており、またフォトエッチング
性の劣化は、エッチング孔形状がマスク内で部分的に著
しく乱れるものであり、その孔形状不良は従来のシャド
ウマスク材では見られなかった著しいものであった。
【0005】更に、前記先行技術による薄板材のガス放
出特性は、従来のシャドウマスク材に比べて著しく劣る
ものであった。これらの性能劣化を調査した結果、プレ
ス成形性の劣化は、前記した先行技術の外層材である軟
鋼が時効性を有するため、プレス前焼鈍後で降伏伸びを
示すこと、および前記した先行技術で特徴とする100
0℃×1時間といった高温のプレス前焼鈍後でインバー
合金と軟鋼の間で強度の差が大きいことに起因して材料
が不均一変形し、透過ムラが発生することが明らかとな
った。更に、プレス成形性不良には上記した外層材の材
料強度特性に加えて、インバー合金と軟鋼の接合界面の
不良も関与していることも判明した。即ち、前記した不
均一変形による透過ムラ発生部以外の場所でも、エッチ
ング孔の極部的な異常変形が発生していた。その部位を
詳細に調査した結果、インバー合金と軟鋼の界面で接合
不良が観察され、この界面付近では酸化物や不純物が相
当量見られた。このことから、エッチング孔の極部的な
異常変形は接合不良の界面も存在により引き起こされて
いることも判明した。
【0006】更にはフォトエッチング性、ガス放出性劣
化の問題も、インバー合金と軟鋼の接合界面不良が主な
原因であることが判明した。つまり、エッチング性の劣
化は接合が不良の界面部分でエッチング液が入りこみ、
異常腐食が発生することにより生じていた。また、ガス
放出性の劣化は前記した接合が不良の界面部分に残留ま
たは付着したガス成分やエッチング液または酸化物と軟
鋼との界面に吸着したガス成分や軟鋼中に含有されるC
等がガス化することにより生じることが明らかとなっ
た。
【0007】このようなことから、従来においては安価
で黒化処理性が優れ、かつ優れたフォトエッチング性、
プレス成形性、ガス放散性を有するシャドウマスク用金
属薄板およびその製造方法が強く望まれているが、かか
る合金薄板およびその製造方法は未だ得られるに到って
いない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記したような
従来技術における課題を解決することについて検討を重
ね、異種材料を積層させた複合体の金属薄板において、
その内層部を低熱膨脹合金、かつ該内層部を挾む外層部
を特定の組成の合金又は鋼とし、更には内層部に対する
外層部体積の比率および該両外層部体積の比率を特定の
範囲内とすることにより、黒化処理性、フォトエッチン
グ性、プレス成形性、ガス放散性の優れ、かつ材料費が
安価なシャドウマスク用金属薄板およびその製造方法を
得ることに成功したものであって、以下の如くである。
【0009】 内層部として低熱膨脹合金を有し、該
内層部を挾んで形成される外層部を配した3層構造の金
属薄板であって、前記外層部が非時効性鋼であることを
特徴としたシャドウマスク用金属薄板。
【0010】 外層部が非時効性鋼であり、内層部に
対する該外層部一方の体積の比が0.01〜0.7であるこ
とを特徴とする前記に記載のシャドウマスク用金属薄
板。
【0011】 内層部に対する外層部一方の体積の比
が0.01〜0.5であることを特徴とする前記または
に記載のシャドウマスク用金属薄板。
【0012】 低熱膨脹合金がFe−Ni系インバー合金
である前記〜に記載のシャドウマスク用金属薄板。
【0013】 低熱膨脹合金がFe−Ni−Co系スーパー
インバー合金である前記〜に記載のシャドウマスク
用金属薄板。
【0014】 非時効性鋼としてアルミキルド鋼は、
C:0.004wt%以下、N:0.010wt%以下、sol.A
l:0.01〜0.08wt%、Mn:0.01〜0.30wt%、
O:0.0050wt%以下を含有し、残部がFeおよび不可
避的不純物からなることを特徴とする前記〜に記載
のシャドウマスク用金属薄板。
【0015】 非時効性鋼としてアルミキルド鋼は、
C:0.020wt%以下、N:0.010wt%以下、sol.A
l:0.01〜0.08wt%、Mn:0.01〜0.30wt%、
O:0.0050wt%以下、Ti、Nb、Bの何れか1種また
は2種以上が0.002〜0.20wt%を含有し、残部がFe
および不可避的不純物からなることを特徴とする前記
〜に記載のシャドウマスク用金属薄板。
【0016】 前記〜に記載のシャドウマスク用
金属薄板を製造するに際し、内層部材と該内層部材を挾
む両外層部材の接合を熱間または冷間圧延工程で行い、
以降冷間圧延、焼鈍を1回ないし複数回繰返し行うこと
を特徴とするシャドウマスク用金属薄板の製造方法。
【0017】 前記〜に記載のシャドウマスク用
金属薄板を製造するに際し、内層部材と該内層部材を挾
む両外層部材の接合を鋳造工程または肉盛溶接で行い、
以降熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を1回ないし複数回繰返
し行うことを特徴とするシャドウマスク用金属薄板の製
造方法。
【0018】
【作用】この発明のシャドウマスク用金属薄板は、低熱
膨脹であることが基本であり、基材としては低熱膨脹合
金を用い、更に、相手材としては、安価で所要の黒化処
理性とプレス成形性(プレス成形時の透過ムラ発生防
止)等を満足するようなAlキルド鋼等非時効性鋼を用い
た。
【0019】前記の低熱膨脹合金として下記表1に化学
成分組成のFe−Ni系インバー合金、または下記表2に示
す化学成分組成のFe−Ni−Co系スーパーインバー合金を
使用する。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】前記した外層部に配する鉄合金又は鋼は、
内層の低熱膨脹合金とともにプレス成形が施される時、
透過ムラの発生(不均一変形)を抑制するため、非時効
性とする必要がある。即ち、外層部にAlキルド鋼を用い
る場合には下記(1),(2)に示す成分の鋼とするこ
とが好ましい。
【0023】(1)C:0.004%以下、N:0.010
%以下、sol.Al:0.01〜0.08%、Mn:0.01〜0.3
0%、O:0.0050%以下、残部鉄および不可避的不
純物からなる非時効性アルミキルド鋼。 または、(2)C:0.020%以下、N:0.010%以
下、sol.Al:0.01〜0.08%、Mn:0.01〜0.30
%、O:0.0050%以下、TiとNbとBの1種または2
種以上:0.002〜0.20%、残部鉄および不可避的不
純物からなる非時効性アルミキルド鋼。
【0024】また、本発明によるものは外層部に広く他
の成分形の非時効性鋼を用いることも可能で、この場合
には次に示す成分とすることが適切である。即ち、Al、
Ni、P、Mn、Co、Cu、Tiのうちの少なくとも1つ:0.1
〜20%、および、残部鉄および不可避的不純物からな
る非時効性の鋼。
【0025】上記したAlキルド鋼および非時効性鋼を外
層部に配置することにより、黒化処理時に均一で優れた
熱放散性を有する黒化膜を形成することができ、シャド
ウマスクとして使用する際にマスクの温度上昇が小さ
く、マスク自体の熱膨脹も小さくすることができ、ブラ
ウン管時のマスクのふくらみ(ドーミング)による色ず
れも抑制できる。
【0026】上記低熱膨脹合金とAlキルド鋼等非時効性
鋼を用いる場合、所要の黒化処理性を満足させるため
に、内層部に低熱膨脹合金を、また外層部にAlキルド鋼
又は鉄合金を配した3層構造とした。
【0027】本発明では前記のように低熱膨脹合金とAl
キルド鋼等を用いた3層構造とし、かつ低熱膨脹合金か
らなる内層部体積に対するAlキルド鋼等からなる外層部
体積の比を0.01〜0.7とすることにより前記目的を達
成することができる。即ち、図1は外層部体積の比とマ
スクのドーミング量の関係を示したものである。ドーミ
ング量は後述する実施例1にて調べたと同様の方法で行
なっている。外層部の比が0.01以上で黒化処理性は良
好で、0.7以下で従来の軟鋼シャドウマスクのドーミン
グ量の1/2以下となっている。よって、本発明では従
来の軟鋼シャドウマスクより低いドーミング量が得られ
る外層部の比として0.01〜0.7を定めた。なお、外層
部の比がこの範囲内にあっても、比率を高めることによ
り、材料コストの低減を図ることができる。
【0028】また、内層部を挾む両外層部の一方の体積
の比率は0.01〜0.5の範囲とすることにより、本発明
で意図するドーミング性能(従来の軟鋼シャドウマスク
のドーミング量の1/2以下)および所要のプレス成形
性が得られる。
【0029】本発明のシャドウマスク用金属薄板の製造
方法については、前記したような所定の化学成分を有す
る低熱膨脹合金および非時効性鋼を溶製し、以降、鋳造
−熱間圧延(分塊圧延、厚板圧延、熱延の少なくとも1
つ以上の工程の組み合わせ)−疵取り−冷間圧延・焼鈍
(1回ないし複数回繰返す)によりシャドウマスク用金
属薄板を得る工程において、前記の低熱膨脹合金素材お
よび非時効性鋼素材の接合を上記した鋳造工程、熱間圧
延工程、冷間工程で行なうか、熱間圧延工程の前(分塊
圧延、厚板圧延、熱延の何れの前でも可)で爆着法によ
り行なうことにより、本発明で特徴とするシャドウマス
ク用金属薄板を製造し得る。また前記製造工程において
熱間圧延工程の前(分塊圧延、厚板圧延、熱延の何れの
前でも可)で低熱膨脹合金素材の表面に非時効性鋼を肉
盛り溶接することにより形成する方法によっても、本発
明で特徴とするシャドウマスク用金属薄板を製造し得
る。
【0030】内層部材と外層部材との接合を熱間圧延工
程で行う場合の温度条件は900℃〜1250℃程度と
するのことが好ましく、また冷間圧延工程で行う場合の
温度条件は200℃以下、好ましくは150℃以下であ
る。
【0031】またこれらの接合を行うに当たってはアル
ゴンガス、窒素ガス、水素ガスあるいはそれらの混合ガ
スを用いて実施することが好ましい。
【0032】上記したような製造方法により、本発明で
特徴とするシャドウマスク用金属薄板を得る場合、特に
低熱膨脹合金素材と非時効性鋼を接合する際の界面の接
合を全面にわたり均一且つ健全に行なうことが優れたフ
ォトエッチング性、プレス成形性、ガス放散性を得るた
めに必要である。
【0033】即ち、上記の製造法の中で、熱間圧延工程
で前記した素材を接合する場合には、素材(鋼塊、CC
スラブ、厚板圧延スラブ、分塊圧延スラブ)の表面手入
れを十分に行ない、接合不良の原因となる介在物、酸化
物等の除去を行なうこと、更には接合する素材を組み立
て、端部を溶接し、接合部分を真空引きする際の真空度
を10-1Torr以下、より好ましくは10-3Torr以下にす
ることにより、以降の熱間圧延時に接合された界面の接
合を全面にわたり均一に健全に行なうことができ、本発
明で意図するフォトエッチング性、プレス成形性、ガス
放散性を得ることができる。
【0034】冷間圧延工程で前記素材を接合する場合に
は、素材(熱延コイル、冷延コイル、冷延・焼鈍コイ
ル)の表面手入れを十分に行ない、接合不良となる介在
物、酸化物等の除去を行なうこと、更には接合する素材
を冷間圧着前に表面を清浄にし活性状態にするような前
処理(ブラッシング等)を施すことにより、界面の接合
を全面にわたり均一に健全に行なうことができ、本発明
で意図するフォトエッチング性、プレス成形性、ガス放
散性を得しめる。
【0035】また、鋳造工程で前記素材を接合する場合
や熱間圧延工程の前(分塊圧延、厚板圧延、熱延の何れ
の前でも可)で爆着法により接合を行なう場合でも、素
材の表面に介在物、酸化物等が存在しないように素材の
表面手入れを行うこと、更には接合時に酸化物が新たに
形成されないように非酸化雰囲気中で接合を行うことに
より界面の接合を全面にわたって均一且つ健全に行うこ
とができ、本発明で意図するフォトエッチング性、プレ
ス成形性およびガス放散性を得ることができる。
【0036】更に前記した肉盛り溶接にて低熱膨脹合金
の表面に非時効性鋼を接合する場合でも、素材の表面手
入れを十分に行い、接合不良の原因となる介在物、酸化
物等の除去を行うこと、溶接時に酸化物が新たに形成さ
れないように非酸化雰囲気中で接合を行うことにより、
界面の接合を全面にわたり均一且つ健全に行うことがで
き、本発明で意図するフォトエッチング性、プレス成形
性、ガス放散性を得ることができる。また肉盛り溶接の
場合には、肉盛り部の厚さ精度が悪いため、肉盛り溶接
後に溶接部の厚さが所定の一定の厚さとなるように、表
面を研削することが必要である。
【0037】なお本発明によるシャドウマスク用金属薄
板を製造する際には、内層材である低熱膨脹合金素材の
外層材である非時効性鋼は、接合の後に経る製造工程中
で、一部除去されることは許容される。この場合でもシ
ャドウマスク用に供せられる板厚においては、外層部の
体積が内層部に対して0.01〜0.7の範囲であることが
必要であることは言うまでもない。
【0038】
【実施例】次に、この発明を実施例により比較例と対比
しながら更に詳細に説明すると、以下の如くである。即
ち本発明者等は下記する表3および表4に示す化学成分
組成の低熱膨脹合金、非時効性鋼を溶製した。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】次に、下記する表5に示すように内層部お
よび外層部の材料をそれぞれ表3、表4の中から選び、
表中に示した接合方法にて内層が低熱膨脹合金、外層が
非時効性鋼の3層構造の金属薄板(サンプル No.1〜1
2)を作製した。内層部に対する外層部体積の比、両外
層部の体積の比率は表5、表6に示す通りである。
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】製造方法について説明すると、サンプル N
o.10は表6に示す方法にて接合ののち、表面手入れ−
分塊圧延−疵取り−熱延−疵取り−冷間圧延−焼鈍−冷
間圧延−歪取り焼鈍により金属薄板を得たものである。
また、サンプル No.1およびNo.4は鋳造(造塊)−分
塊圧延−疵取り−厚板圧延により得たスラブをそれぞれ
表5、表6に示す方法にて接合ののち、表面手入れ−熱
延−疵取り−冷間圧延−焼鈍−冷間圧延−歪取り焼鈍に
より金属薄板を得た。
【0045】さらに、サンプル No.2および No.3は鋳
造(CC)−分塊圧延により得たスラブをそれぞれ表5
に示す方法にて接合ののち、表面手入れ−分塊圧延−疵
取り−熱延−疵取り−冷間圧延・焼鈍(2回繰返す)−
冷間圧延−歪取り焼鈍により金属薄板を得た。一方サン
プル No.6は鋳造(CC)−疵取り−熱延により得た熱
延コイルをそれぞれ表5に示す方法にて接合ののち、冷
間圧延・焼鈍(2回繰返す)−冷間圧延−歪取り焼鈍に
より金属薄板を得た。
【0046】サンプル No.5、 No.8および No.9は鋳
造(CC)−疵取り−熱延−疵取り−冷間圧延により得
た冷延コイルを表5、表6に示す方法にて接合したの
ち、焼鈍−冷間圧延−焼鈍−冷間圧延−歪取り焼鈍によ
り金属薄板を得た。これに対し、サンプル No.7は鋳造
(造塊)−分塊圧延−疵取り−熱延−疵取り−冷間圧延
−焼鈍により得た冷延・焼鈍コイルを表5に示す方法に
て接合ののち、以降冷間圧延−焼鈍−冷間圧延−歪取り
焼鈍により金属薄板を得た。
【0047】サンプル No.11は鋳造(CC)で得たス
ラブを表6に示す方法にて接合してから分塊圧延−疵取
り−熱延−疵取り−冷間圧延・焼鈍(2回繰返す)−冷
間圧延−歪取り焼鈍により金属薄板を得た。また、サン
プル No.12は材料Bを鋳造(造塊)−分塊圧延により
得た分塊スラブを表6に示す方法にて接合ののち、熱延
−疵取り−冷間圧延・焼鈍(2回繰返す)−冷間圧延−
歪取り焼鈍により金属薄板を得た。
【0048】これらに対し、サンプル No.13および N
o.14は、それぞれ通常の方法にて鋳造(CC)−熱延
−疵取り−冷間圧延・焼鈍(1回繰返す)−冷間圧延−
歪取り焼鈍により製造された薄板サンプルである。
【0049】また、上記したサンプルに加えて、特開昭
62−82630で特徴とする材料も作製し、比較材と
して用いた。即ち、インバー合金(36%Ni−Fe)と軟
鋼(C:0.08%、Mn:0.3%、Si:0.03%、Fe:Ba
l.)をそれぞれ通常の溶解法により溶解し、熱間圧延お
よび冷間圧延により(外層体積/内層体積)が0.5の材
料を得、これを比較材(サンプル No.15)とした。
【0050】上記したように得られたサンプル No.1〜
15の各材について、まずフォトエッチングを施し、エ
ッチング穿孔状態を観察することによりフォトエッチン
グ性を評価した。次に、エッチング後のマスクを800
℃にて焼鈍し、温間プレスを行い、プレス成形後の透過
ムラ発生状況を観察することによりプレス成形性を評価
した。
【0051】さらに黒化処理を行い、黒化膜の色調を観
察することにより黒化処理性を評価した。黒化処理後の
シャドウマスク材料を真空雰囲気中で電子ビームを照射
し、加熱による変位を計測しドーミング量とした。ま
た、ガス放出特性は上記の黒化処理後のサンプルを真空
下で850℃×5分加熱し、5分経過後の真空度の劣化
状況を測定することによって評価した。
【0052】表5から明らかなように、サンプル No.
1、2、5、6、7、9、10、11、12、16の各
材は本発明で特徴とする成分を有する材料を用い、内層
と該内層を挾む外層からなる3層とし、(外層体積/内
層体積)および両外層部の体積の比率を本発明範囲とな
るように、本発明で特徴とする製造方法により作製され
たものであり、何れもドーミング量はサンプル No.13
の軟鋼による通常材の1/2以下と小さく、黒化処理
性、フォトエッチング性、プレス成形性、ガス放出特性
も優れている。特にこれらのサンプルは、サンプル No.
14のインバーの通常材に比べて黒化処理性が優れてい
る。
【0053】これに対して、サンプル No.3の材料は、
接合時の真空引きが1Torrと本発明例であるサンプル N
o.1および No.2に比べて高く、またサンプル No.8は
疵取りを行わずに接合したものであるが、フォトエッチ
ング性、プレス成形性、ガス放出特性が劣っている。こ
のサンプルの接合界面を詳細に調査した結果、層状の酸
化物が多数存在しており、このような接合界面の不健全
部でエッチング孔形状が不良となり、かつ界面の剥離が
生じ、プレス成形時不均一変形による透過ムラも発生
し、ガス放出特性調査時に真空度を主に劣化させたガス
組成も界面異常部で検出された元素と一致していた。
【0054】このように本発明で特徴とするフォトエッ
チング性、プレス成形性、ガス放出特性を得るために
は、内層部と外層部の界面における接合を全面にわたり
健全に行うことが極めて重要であることが理解される。
また、本実施例で用いた材料C〜Mの各材料は前記のプ
レス成形前の焼鈍後でも降伏伸びは示さず、十分な非時
効性を示した。
【0055】また、サンプル No.15は前記した評価方
法により性能を評価した結果、ドーミング量は11μm
で黒化処理性も優れていたが、フォトエッチング性は劣
り(表6中の評価で×)、プレス成形性も劣っていて
(表6中の評価で×)、ガス放出特性も劣っていた(表
6中の評価で×)。サンプルを調査した結果、接合界面
で層状の酸化物が多数に存在しており、この接合界面の
不健全部でエッチング孔形状が不良になり、かつ界面の
剥離も生じ、プレス成形時に不均一変形が起こったこと
により透過ムラも発生しており、ガス放出特性調査時に
真空度を主に劣化させたガス組成も界面異常部で検出さ
れた元素と一致していた。
【0056】さらに、このサンプル No.15のプレス成
形後においては、マスク全面に特に著しい透過ムラが発
生していた。同じ熱履歴を経た外層の軟鋼の降伏伸びは
6.0%あり、このように時効性を示すことがこの材料で
特に著しい透過ムラを発生させたと推定される。
【0057】以上示したように、本発明で特徴とする成
分を有する材料を用い、所定の構成および構成比で積層
させた複合体の金属薄板とすることにより、ドーミング
量を通常の軟鋼に比較して1/2以下とし、更に黒化処
理性を通常のインバー合金に比べて優れたものとするこ
とが可能であり、更には接合界面の健全性(清浄性)を
全面にわたり保つことによりフォトエッチング性、プレ
ス成形性、ガス放出特性を優れたものにすることができ
ることを理解される。
【0058】また、本発明による金属薄板はエッチング
原板の段階で内層材および外層材とも十分に軟質化(ビ
ッカース硬度で140以下)している場合には、プレス
成形前の焼鈍は省略することが可能である。この場合で
も外層材に本発明で特徴とする非時効性鋼を用いること
により、本発明で意図するフォトエッチング性、プレス
成形性、ガス放出特性、ドーミング性、黒化処理性はす
べて有効に発揮される。
【0059】
【発明の効果】以上説明したような本発明によるとき
は、ドーミング量を大幅に低減せしめ、黒化処理性につ
いても通常のインバー合金に比較して充分に優れ、フォ
トエッチング性、プレス成形性、ガス放散特性などにお
いても卓越したシャドウマスク用金属薄板を提供し、ま
たその好ましい製造方法を得しめるものであって、それ
らにより工業的に有用な高価がもたらされることは明ら
かであって、その効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】内層部に対する外層部体積の比とドーミング量
の関係および黒化処理性の関係を併せて示した図表であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C22C 38/00 302 R (72)発明者 拝司 裕久 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 柏崎 吉弥 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内層部として低熱膨脹合金を有し、該内
    層部を挾んで形成される外層部を配した3層構造の金属
    薄板であって、前記外層部が非時効性鋼であることを特
    徴としたシャドウマスク用金属薄板。
  2. 【請求項2】 外層部が非時効性鋼であり、内層部に対
    する該外層部一方の体積の比が0.01〜0.7であること
    を特徴とする請求項1に記載のシャドウマスク用金属薄
    板。
  3. 【請求項3】 内層部に対する外層部一方の体積の比が
    0.01〜0.5であることを特徴とする請求項1または2
    に記載のシャドウマスク用金属薄板。
  4. 【請求項4】 低熱膨脹合金がFe−Ni系インバー合金で
    ある請求項1〜3に記載のシャドウマスク用金属薄板。
  5. 【請求項5】 低熱膨脹合金がFe−Ni−Co系スーパーイ
    ンバー合金である請求項1〜3に記載のシャドウマスク
    用金属薄板。
  6. 【請求項6】 非時効性鋼としてアルミキルド鋼は、
    C:0.004wt%以下、N:0.010wt%以下、sol.A
    l:0.01〜0.08wt%、Mn:0.01〜0.30wt%、
    O:0.0050wt%以下を含有し、残部がFeおよび不可
    避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜5に記
    載のシャドウマスク用金属薄板。
  7. 【請求項7】 非時効性鋼はアルミキルド鋼であって、
    C:0.020wt%以下、N:0.010wt%以下、sol.A
    l:0.01〜0.08wt%、Mn:0.01〜0.30wt%、
    O:0.0050wt%以下、Ti、Nb、Bの何れか1種また
    は2種以上が0.002〜0.20wt%を含有し、残部がFe
    および不可避的不純物からなることを特徴とする請求項
    1〜5に記載のシャドウマスク用金属薄板。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7に記載のシャドウマスク用
    金属薄板を製造するに際し、内層部材と該内層部材を挾
    む両外層部材の接合を熱間または冷間圧延工程で行い、
    以降冷間圧延、焼鈍を1回ないし複数回繰返し行うこと
    を特徴とするシャドウマスク用金属薄板の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7に記載のシャドウマスク用
    金属薄板を製造するに際し、内層部材と該内層部材を挾
    む両外層部材の接合を鋳造工程または肉盛溶接で行い、
    以降熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を1回ないし複数回繰返
    し行うことを特徴とするシャドウマスク用金属薄板の製
    造方法。
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