JPH0644121B2 - 液晶素子 - Google Patents

液晶素子

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JPH0644121B2
JPH0644121B2 JP26952286A JP26952286A JPH0644121B2 JP H0644121 B2 JPH0644121 B2 JP H0644121B2 JP 26952286 A JP26952286 A JP 26952286A JP 26952286 A JP26952286 A JP 26952286A JP H0644121 B2 JPH0644121 B2 JP H0644121B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、液晶表示素子や液晶−光シャッタ等で用いる
液晶素子、特に強誘電性液晶を用いた液晶素子に関し、
更に詳しくは液晶分子の初期配向状態を改善することに
より、動作特性、記憶特性等を改善した液晶素子に関す
るものである。
背景技術 強誘電性液晶分子の屈折率異方性を利用して偏光素子と
の組み合わせにより透過光線を制御する型の表示素子が
クラーク(Clark)及びラガーウオール(Lagerwall)により
提案されている(特開昭56−107216号公報、米
国特許第4367924号明細書等)。この強誘電性液
晶は、一般に特定の温度域において、カイラルスメクチ
ックC相(SmC)又はH相(SmH)を有し、こ
の状態において、加えられる電界に応答して第1の光学
的安定状態と第2の光学的安定状態のいずれかを取り、
且つ電界の印加のないときはその状態を維持する性質、
すなわち双安定性を有し、また電界の変化に対する応答
も速やかであり、高速ならびに記憶型の表示素子等とし
ての広い利用が期待されている。
本発明者らの研究によれば、上述した強誘電性液晶素子
の双安定性を実現し、且つ良好な閾値特性、スイッチン
グ特性を含む動作特性を実現するためには、一対の基板
間にらせん構造が解除されたカイラルスメクチック相を
有する強誘電性液晶層を配置し、且つ該一対の基板の少
なくとも一方に配向処理、特にラビング、斜方蒸着等の
一軸性配向処理を施すことが好ましいことが見出されて
いる。しかしながら、この型の液晶素子においても得ら
れる双安定性が未だ充分とは云えず、このため動作特
性、記憶特性に問題が残り、実用化の一つの障害となっ
ている。
発明の目的 本発明の主要な目的は、より良好な双安定状態を与える
ことにより、記憶特性を含む動作特性を改善した強誘電
性液晶素子を提供することを目的とする。
発明に概要 本発明者らは、上述の目的で研究した結果、強誘電性液
晶は、従来のTN型液晶には見られないような基板面に
対する鋭敏な感受性を有し、これが一対の基板界面にお
ける液晶分子軸の長軸方向(C−ダイレクタ)の基板面
からの傾き角(チルト角)を異ならせ、その結果、充分
な双安定性が得られないこと;また、この点は、一対の
基板面の状態を従来実現されなかったレベルまで同質化
することによって著しく改善されることが見出された。
本発明の強誘電性液晶素子は、このような知見に基づく
ものであり、より詳しくは、それぞれ電極を有する一対
の基板間にカイラルスメクチック液晶を挾持してなる液
晶素子において、それぞれの基板との界面における液晶
分子の長軸方向の基板界面からの傾き角が等しく、かつ
前記それぞれの基板との界面における液晶分子の長軸方
向がスメクチック層法線を軸として互いに回転対称の位
置にあり、前記一対の基板の液晶と接する界面が互いに
異なる材料の配向膜によって形成されて構成され、かつ
該一対の基板の液晶と接する界面の表面張力の各成分の
うち、一対の基板間で、少なくとも分散成分γdの差が
1.5dyne/cm以下、または極性成分γpの差が3.5dy
ne/cm以下、または水素結合成分γhの差が25dyne/cm
以下であることを特徴とするものである。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に詳細
に説明する。
発明の具体的説明 本発明の主要な特徴の説明の前に、強誘電性液晶素子の
概要を説明することが適当であろう。
本発明で用いる強誘電性液晶としては、加えられる電界
に応じて第1の光学的安定状態と第2の光学的安定状態
とのいずれかを取る、すなわち電界に対する双安定状態
を取り得る液晶、特にカイラルスメクチック液晶が用い
られる。なかでも、カイラルスメクチックC相(SmC
)又はH相(SmH)の液晶が適している。この強
誘電性液晶については、“ル・ジュルナル・ド・フィズ
ィク・レトルズ”36(L−69)1975、「強誘電性
液晶」(“LE JOURNAL DE PHYSIQUE LETTRES”36(L
−69)1975、「Ferroelectric Liquid Crystal
s」);“アプライド・フィズィクス・レターズ”36
(11)1980、「液晶のサブ・マイクロ秒双安定スイッ
チング」(“Applied Physics Letters”36(11)19
80、「Submicro Second Bi-stable Electrooptic Swi
tching in Liquid Crystals」);“固体物理”16(14
1)1981「液晶」等に記載されており、本発明ではこ
れらに開示された強誘電性液晶を用いることができる。
より具体的には、本発明法に用いられる強誘電性液晶化
合物の例としては、デシロキシベンジリデン−p′−ア
ミノ−2−メチルブチルシンナメート(DOBAMB
C)、ヘキシルオキシベンジリデン−p′−アミノ−2
−クロロプロピルシンナメート(HOBACPC)およ
び4−o−(2−メチル)−ブチルレゾルシリデン−
4′−オクチルアニリン(MBRA8)等が挙げられ
る。
これらの材料を用いて、素子を構成する場合、液晶化合
物が、SmC相又はSmH相となるような温度状態
に保持する為、必要に応じて素子をヒーターが埋め込ま
れた銅ブロック等により支持することができる。
第2図は、強誘電性液晶セルの例を模式的に描いたもの
である。21aと21bは、In、SnO、I
TO(Indium-Tin Oxide)等の透明電極がコートされた基
板(ガラス板)であり、その間に液晶分子層22がラス
面に垂直になるよう配向したSmC相の液晶が封入さ
れている。太線で示した線23が液晶分子を表わしてお
り、この液晶分子23は、その分子に直交した方向に双
極子モーメント(P)24を有している。基板21a
と21b上の電極間に一定の閾値以上の電圧を印加する
と、液晶分子23のらせん構造がほどけ、双極子モーメ
ント(P)24はすべて電界方向に向くよう、液晶分
子23の配向方向を変えることができる。液晶分子23
は細長い形状を有しており、その長軸方向と短軸方向で
屈折率異方性を示し、従って例えばガラス面の上下に互
いにクロスニコルの位置関係に配置した偏光子を置け
ば、電圧印加極性によって光学特性が変わる液晶光学変
調素子となることは、容易に理解される。さらに液晶セ
ルの厚さを充分に薄くした場合(例えば1μ)には、第
3図に示すように電界を印していない状態でも液晶素子
のらせん構造は、ほどけ、その双極子モーメントPa又
はPbは上向き(24a)又は下向(24b)のどちら
かの状態をとる。このようなセルに第2図に示す如く一
定の閾値以上の極性の異る電界Ea又はEbを付与する
と、双極子モーメントは電界Ea又はEbの電界ベクト
ルに対応して上向き24a又は、下向き24bと向きを
変え、それに応じて液晶分子は第1の安定状態23aか
あるいは第2の安定状態23bの何れか1方に配向す
る。
このような強誘電性液晶を光学変調素子として用いるこ
との利点は2つある。第1に、応答速度が極めて速いこ
と、第2に液晶分子の配向が双安定性を有することであ
る。第2の点を例えば、第3図によって説明すると、電
界Eaを印加すると液晶分子は第1の安定状態23aに
配向するが、この状態は電界を切っても安定である。
又、逆向きの電界Ebを印加すると、液晶分子は第2の
安定状態23bに配向して、その分子の向きを変える
が、やはり電界を切ってもこの状態に留っている。この
ような応答速度の速さと、双安定性が有効に実現される
には、セルとしては出来るだけ薄い方が好ましく、一般
的には、0.5μ〜20μ、特に1μ〜5μが適してい
る、この種の強誘電性液晶を用いたマトリクス電極構造
を有する液晶−電気光学装置は、例えばクラークとラガ
バルにより、米国特許第4367924号明細書で提案
されている。
以上において、双安定性強誘電性液晶素子の概略を理想
的なモデルで説明した。ここにおいて、先にも述べたよ
うに双安定性を実現し、且つ良好な閾値特性、記憶特性
を含む動作特性を与えるための一つの方法として基板
に、配向処理、特にラビング、斜方蒸着等の一軸性配向
処理を施すことが好ましい。しかしながら現実には、実
現される双安定性が不完全であり、動作特性の改良も充
分とは云えない。
第4図(a)に、従来の強誘電性液晶セルにおける液晶分
子の配列モデル、第4図(b)にその付加説明図を示す。
図中の円は、本来、らせん構造を有するカイラルスメク
チックC相(SmC相)のコーンを、スメクチックの
層法線の側から見たものである。ここで第4図(a)の中
心から伸びる は液晶分子の長軸を層平面に投影した図でC−ダイレク
ターと呼ばれる。
また、矢印(↑)は自発分極の向きを示す。また、第4
図のように、上下界面での分子の傾く角(チルト角)を
、fとする。
本発明者らの研究によれば、従来のセルについては、第
4図に示すように、界面分子の傾きfとfが回転対
称の位置となっていない。このため、従来は、強誘電性
液晶の安定状態(メモリー性の強い状態)と準安定状態
(メモリー性の弱い状態とからなる不完全な双安定状態
が得られているに過ぎなかった。この点を、以下に、よ
り詳しく説明する。
第4図(b)は、下および上の界面における分子のチルト
角fとfを同一円上に重ねて示したものである。こ
こでC−ダイレクターの位置をψと示すことにすると、
液晶分子の一方の配向状態(第4図(a)の安定状態)に
ついては、 ψ(z)=f+(f−f)・z/d (1) と示される。ここでZ軸に沿う位置座標zは、第4図
(a)に示したように、下基板から上基板へ向かって増加
するように選ばれ、下界面でZ=0、上界面でZ=dと
した。また、他方の状態(第4図(a)の準安定状態)
は、 ψ(z)=f+(f−2π−f)・z/d (2) と示される。
ここで、ψ(z)で示される状態のねじれ量は、ψ(z)
で示されるねじれ量より明らかに小さい。したがって、
弾性エネルギーは、ψ(z)の方がψ(z)より小さく、
ψ(z)の方が安定となる。したがって、ψ(z)で記述
された第2図(a)の右側が安定状態であり、ψ(z)で記
述される第2図(a)の左側が準安定状態となる。
より定量的に言えば、ψ(z)をコーン上の分子の回転角
とするとき、分子の弾性エネルギーは で与えられる。ψ(z)に対しては となり、ψ(z)に対しては F=(f−2π−f・B1/2d (5) となる。また、 F−F=2π{2π−2(+2−f)}・B1/
2d (6) だから、ψ(z)とψ(z)の弾性エネルギーが等しくな
るのは、f−f=πでf+fが回転対称の位置
にある時だけである。
したがって、従来の界面分子にチルト角fとfが回
転対称の位置にない配向方向では、一方の安定状態が他
方より一層安定である単安定現象が発生しやすく、完全
な双安定性を得にくかった。
これに対し第1図に、本発明の実施例における分子配列
モデルを示す。この例は、電極間に、強誘電性液晶を挾
持してなる液晶素子において、上下基板界面における分
子長軸の基板平面からの傾き角度が等しく、かつ分子位
置が、スメクチック層法線のまわりの回転対称の位置に
あることを特徴とする。
第1図中の円及び記号 及び(↑)は第2図と同様である。
第1図と同様に、上下界面でのチルト角をf、f
すると、この例では、fとfが回転対称の位置にあ
る。
第1図の実施例では、配向膜界面の極性と、式(1)で示
した自発分極の相互作用によって、コーン上の分子が、
下から上まで徐々に、回転した配向状態である。ここ
で、第1図に示した双安定の2状態は回転方向が逆とな
っている。
本発明により、C−ダイレクターの回転方向が異なる2
つの状態間で、ねじれ量は同じとなり、2つの状態の弾
性エネルギーはともに等しく安定となる。これによっ
て、本発明では、完全な双安定性が実現される。
より具体的なセルの例について説明する。
比較例 第5図に示すような従来型の液晶セルを形成した。
すなわち、厚さが1.1mmのガラス基板51a上に、線
幅50μ、ピッチ12.5μで厚さが1000ÅのIT
O(Indium Tin Oxide)製ストライプ電極52aを形成
し、次いで厚さ1000ÅのSiO絶縁膜53aを蒸
着により形成した後、その上にポリイミド形成液(日立
化成工業(株)製「PIQ」ポリイミド、不揮発分濃
度:14.5wt%)を塗布し、硬化して厚さ1000Å
の配向膜54aを形成した。
次いで、同様なポリイミド膜を厚さ2μに形成し、未硬
化状態で、その上にポジ型レジスト溶液(Shiple
y社製の“AZ1350”)を塗布してレジスト層を形
成した後、ITO電極間の全面にマスクが位置する様に
マスク幅12.5μマスク部のピッチ50μのストライ
プ状マスクを用いて露光した。次いで、テトラメチルア
ンモニウムハイドロオキサイド含有の現像液“MF31
2”で現像して露光部のレジスト膜とポリイミド膜を除
去し、しかる後にレジストマスクを除去してポリイミド
の硬化条件下で加熱硬化させて、スペーサ部材55aを
形成させた後、ストライプスペーサの延長方向と平行に
ビロードにより100g/cm2の圧力を印加しつつラビン
グ処理を施した(下電極板)。
他方、1500Åの膜厚をもち、線幅50μがピッチ1
2.5μで形成されたITOストライプ電極パターン5
2bを有する厚さ0.2mmの薄板ガラス基板51b上
に、前述と同様の800Åのポリイミド膜からなる配向
膜を形成した。次いで、ITOストライプ電極線の稜線
と平行方向に前述のポリイミド膜にラビング処理を施し
た(上電極板)。
この上下の電極板をそれぞれのITOストライプパター
ンが直交し、ラビング方向が互いに平行となる様に重ね
合せ、その周辺をエポキシ系接着剤でシーリングした
後、注入口からカイラルスメクチック相を示す等方相下
の液晶(チッソ社製CS1013)56を注入し、除冷
(0.5℃/時間)下でセル内にカイラルスメクチック
C相を生じさせた。
チッソ社製の「CS−1013」の相転移点は、以下の
とおりであった。
SmC:カイラルスメクチック相、 SmA:スメクチックA相、Ch:コレステリック
相、Iso.:等方相。
こうして調製した強誘電性液晶セルをクロスニコル状態
の一対の偏光板で挾持し、±10V、500μsecのパ
ルス電界を印加してスイッチングを行った。スイッチン
グにより得られる2つのメモリー状態について、クロス
ニコルを維持しつつ一対の偏光板を回転させ、それぞれ
最暗状態が得られる見かけの分子軸位置のラビング方向
(SmA軸)からの角度θaを測定し、これから両基板
に対するチルト角を略算した。
略算は、次のようにして行った。すなわち、SmC
コーン上の分子と、スメクチック層法線のなす角をθと
すると、セルを上から見た時の分子軸の平均<ψ>は、
次式で与えられる。
この(7)式を用い、各種のfとfを用いて、<ψ>
をψ<<z>とψ(z)に対し計算し、<ψ>(平均
分子軸理論により、θa)が見かけの分子軸の測定値
と一致するfおよびf(すなわちψ(z)およびψ
(z))をもって界面チルト角とした。
上記のようにして形成した5種の比較セルについてのθ
aの測定値ならびに、下ならびに上基板に対するチルト
角f、fの値を、後記参考例1〜2および実施例の
結果とともに、次表1に記す。
上記の略算に用いた平均分子軸理論は、比較的粗い近似
であるため、上記で得られたチルト角f、fは絶対
値として必ずしも正しくないが、上表の結果は、比較例
のセルに、おける二つのメモリー状態が、ラビング方向
に対して大きく異なる分配角を与える見かけ分子軸方向
θaを示し、これがチルト角f、fの大きな差異に
相当していることは明らかである。
上記で得られた比較セルにおいては、右側のメモリー状
態が半永久的に安定であり、左側のメモリー状態は、電
界除去後、約20〜70msecで右側の状態に移行する
ことが確認された。
上述のようなチルト角の差異による不完全な双安定状態
が得られるのは、液晶分子に作用する基板の状態が上下
基板で不均一であるからである。本発明者らによれば、
基板の強誘電性液晶に対する作用は、TN液晶に対する
それに比べて極めて強く、はるかに厳密な制御が必要で
ある。例えば強誘電性液晶に対する基板の作用に影響す
る因子には、以下のようなものがある。
(1)配向膜の材質、一軸性配向の種類(ラビング、斜
め蒸着)、 (2)ラビング材の種類、 (3)スペーサの形成等の配向膜に施される処理、 (4)配向膜の厚さ、 (5)ガラス基板の厚さ、等。
例えば、ガラス基板の厚さが、配向作用に影響する理由
は次の通りである。すなわち、強誘電性液晶素子につい
て、良好な動作特性を得るためには、前述したように液
晶層厚が1〜5μというように薄いことが好ましい。こ
のような薄い液晶層厚を大面積にわたって安定に形成す
るためには、基板の厚さも、例えば0.2mmというよう
に薄い方が好ましい。そして、他方の基板が1.1mmと
いうように、上下基板の厚さが異なる場合に、同一のラ
ビング装置により同一の圧力でラビング処理を行うと、
基板の可撓性の差異等によりラビング効果が異ってくる
と考えられる。更に上記比較例のように、露光ならびに
エッチングによりスペーサを形成する場合には、これら
処理の配向膜に対する影響が、片側基板にのみ働いて、
上下基板間で配向特性の差異として現われる。この意味
で、露光ならびにエッチングによるスペーサの形成より
は、ビーズならびに繊維のような散布型のスペーサの方
が好ましく、また、片側基板への散布よりは、両側基板
への散布の方が好ましい。本発明においては、基板の作
用に影響する上記(1)〜(5)等の要因のうち、少なくとも
(1)〜(4)が、上下基板について同一ないし対称であるこ
とが好ましく、より好ましくは上下基板に施される処理
を可能な限り同一とする。
参考例1 上下基板として、厚さが等しく0.7mmのガラス基板5
1a、51bを用いたこと、上側基板にも厚さが100
0ÅのSiO絶縁膜を設けたこと、上下基板について
交互にストライプ状スペーサ55a、55bを設けたこ
と、以外は比較例と同様にして液晶セルを作成した。こ
のセルは、±10V、500μsecのパルス電界により
良好なスイッチング駆動が可能であり、比較例と同様な
θaの測定ならびにf、fの略算を行った結果、前
記表1に併記するように、θaは左右の両メモリー状態
について、ともに7°と、ラビング方向(SmA軸)に
対して振り分けないし等角度分配となり、f、f
それぞれ30°、210°と略算され、上下界面のチル
ト角がスメクチック層法線に対し回転対称の位置にある
ことが判明した。
また、左右のメモリー状態は、電界除去後3日後におい
ても、その状態を維持した。
参考例2 ビーズスペーサの持つ良好な対称性を利用して、上下基
板の構造上の対称性を若干緩和した第7図に示すセルを
作成した。
すなわち、上記参考例1において、ポリイミドのエッチ
ングによるストライプスペーサの代りに、径0.7μm
の均一なアルミナビーズを、上下基板にほぼ同等に散布
してスペーサとしたこと;上側基板については、SiO
絶縁膜を省略したこと; を除いては同様にして、液晶セルを作成した。このセル
は、±10V、 500μsecの、パルス電界により、
参考例1とほぼ同様に良好なスイッチング駆動が可能で
あり、比較例と同様なθaの測定ならびにf、f
略算を行った結果、前記表1に併記するように、θaは
左右の両メモリー状態について、それぞれ7°および7
°と、ラビング方向(SmA軸)に対してほぼ振り分け
ないし等角度分配となり、f、fはそれぞれ30
°、210°と略算され、上下界面のチルト角がスメク
チック層法線に対しほぼ回転対称の位置にあることが判
明した。
また、左右のメモリー状態は、電界除去後3日後におい
ても、その状態を維持した。
上記においては、本発明の液晶セルにおいて、上下の基
板界面でのチルト角が、スメクチック層法線に対してほ
ぼ回転対称にある例(いわゆるスプレー配向)について
示した。しかし、本発明の対称処理を通じての界面チル
ト角の均一化による双安定性の向上は、例えばセル厚
3.8μm、液晶として、チッソ社製CS1014を用
いることにより得られる上下基板界面でのチルト角が界
面に対してほぼ面対称(いわゆる準ユニフォーム配向)
の場合にも適用可能である。
実施例 本実施例は、配向材料が、上下基板で異なる強誘電性液
晶セルにおいて、液晶と接する界面の表面張力(日本接
着協会誌、Vol.8、NO.3、1972、P131〜
P141、Fowkes式の拡張と高分子固体の表面張力の評
価、参照)の各成分のうち、少なくとも、分散成分のγ
の差が上下界面で1.5dyne/cm以下、あるいは、極
性成分のγの差が3.5dyne/cm以下あるいは、水素
結合成分の差が25dyne/cm以下であることの効果を示
す例である(なお、本明細書においては、上記参照文献
において固体表面張力(γあるいはγならびに液体
表面張力(γあるいはγ)について、上添字a、
b、cを付して(例えばγ 、γ 、γ のよう
に)表記されることもある表面張力の分散成分γ)、
極性成分(γ)および水素結合成分(γ)を、それ
ぞれ、包括的に(また、特に液体で接する固体表面張力
の成分について)、γ、γ、γとして表現してい
る)。
特に、上基板の配向膜54bをポリエチレンオキシド、
下基板の配向膜54aをポリビニルアルコール(クラレ
社R2105)とすることを除いて、参考例2と同様に
液晶セルを作成した。このセルは±10V 500μse
cのパルス電界により、実施例1とほぼ同様に良好なス
イッチング駆動が可能であり、比較例と同様なθaの測
定ならびにf、fの略算を行った結果、前記表1に
併記するように、θaは左右の両メモリー状態につい
て、それぞれ7°および7°と、ラビング方向(SmA
軸)に対して振り分けないし等角度分配となり、f
はそれぞれ30°、210と略算され、上下界面の
チルト角がスメクチック層法線に対しほぼ回転対称の位
置にあることが判明した。
また、左右のメモリー状態は、電界除去後3日後におい
ても、その状態を維持した。
ここで、このセルと同様に作成された上下の基板の液晶
と接する側の表面張力を実施したところ、ポリエチレン
オキシドの塗布された側は分散成分γ=37.1dyne
/cm、極性成分γ=6.3dyne/cm、水素結合成分γ
=32.8dyne/cm、またポリビニルアルコールの塗布
された側はγ=37.3dyne/cm、γ=3.4dyne/
cm、γ=13.8dyne/cmであった。
これに対して、液晶と接する界面の表面張力の各成分の
うち、少なくとも、γの差が上下界面で1.5dyne/c
m以下、あるいは極性成分γの差が3.5dyne/cm以
下、あるいは水素結合成分の差が25dyne/cm以下では
ないセル、例えば上基板の配向膜54bをポリエチレン
オキシド、下基板の配向膜54aを高密度ポリエチレン
とすることを除いて、実施例2と同様に作成した液晶セ
ルでは、全面が強い単安定であった。
ここで高密度ポリエチレンの塗布された側の基板の液晶
と接する側の表面張力を実測したところ、γ=35.
5dyne/cm、γ=2.6dyne/cm、γ=1.9dyne/c
mであった。
発明の効果 上記したように、本発明によれば上下基板の対称要素を
制御することにより、基板界面でのチルト角の均一化を
通じて、双安定性、ならびにメモリー特性を含む動作特
性の改善された強誘電性液晶素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の強誘電性液晶セルの一例(スプレー配
向)における分子配列モデル、第2図および第3図はそ
れぞれらせん構造および非らせん構造の強誘電性液晶を
用いた液晶素子の理想状態を模式的に表わす斜視図であ
る。第4図(a)は従来の不完全な双安定性を有する強誘
電性液晶セルの分子配列モデル、第4図(b)はその付加
説明図である。第5図は比較例の液晶素子の厚さ方向断
面図である。第6図および第7図は、それぞれ本発明の
実施例にかかる液晶素子の厚さ方向断面図である。 51a、51b……上下基板 52a、52b……上下ストライプ電極 53a、53b……上下絶縁膜 54a、54b……上下配向膜 55a、55b……上下ストライプスペーサ 56……強誘電性液晶 57……ビーズスペーサ f、f……上下基板界面におけるチルト角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪山 明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−131911(JP,A) 特開 昭61−252532(JP,A) 特開 昭61−198130(JP,A) 特開 昭62−192724(JP,A) 特開 昭63−73223(JP,A) 特開 昭63−52122(JP,A) 特表 平1−501174(JP,A) Japanese Jaurnal o f Applied Physics,24 (1985)P.893−895 JAPAN DISPLAY,1986 P.456−458

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれ電極を有する一対の基板間にカイ
    ラルスメクチック液晶を挾持してなる液晶素子におい
    て、それぞれの基板との界面における液晶分子の長軸方
    向の基板界面からの傾き角が等しく、かつ前記それぞれ
    の基板との界面における液晶分子の長軸方向がスメクチ
    ック層法線を軸として互いに回転対称の位置にあり、前
    記一対の基板の液晶と接する界面が互いに異なる材料の
    配向膜によって形成されて構成され、かつ該一対の基板
    の液晶と接する界面の表面張力の各成分のうち、一対の
    基板間で、少なくとも分散成分γdの差が1.5dyne/cm
    以下、または極性成分γpの差が3.5dyne/cm以下、ま
    たは水素結合成分γhの差が25dyne/cm以下であること
    を特徴とする液晶素子。
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US5076671A (en) * 1988-12-22 1991-12-31 Canon Kabushiki Kaisha Liquid crystal device having two bistable orientation states in the chiral smectic temperature range
AU628953B2 (en) * 1989-04-03 1992-09-24 Canon Kabushiki Kaisha Liquid crystal apparatus
JP2808962B2 (ja) * 1991-08-19 1998-10-08 松下電器産業株式会社 液晶パネルの配向不良抑制方法及び表示装置

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JAPANDISPLAY,1986P.456−458
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