JPH0642953U - エッジプレート昇降装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】エッジプレートに付着した付着物を除去するこ
とが可能なエッジプレート昇降装置を提供する。 【構成】エッジプレート３を上下方向移動自在に保持す
る保持枠体４と、エッジプレート３がワイピングガスを
遮蔽する位置と、鋼帯１幅方向両端外方の離間位置との
間を移動できるように枠体４を水平移動させる水平移動
機構と、エッジプレート３面に平行な回転面を有する回
転ローラー５を設けたエッジプレート３と、保持枠体４
の鋼帯１からの後退・前進に伴い、回転ローラー５が当
接しつつ上方・下方に転動させてエッジプレート３を上
昇・下降させるための傾斜台７を有する水平移動機構部
支持架台１５と、保持枠体４に具設され、エッジプレー
ト３の上昇に伴い、エッジプレート３の鋼帯１側端面に
摺接するスクレーピングプレート４ａとを有する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、連続溶融メッキ設備、特に連続溶融亜鉛メッキ、連続溶融アルミニ ウムメッキ等の溶融メッキ設備において、鋼帯エッジ部のメッキ付着量が鋼帯中 央部より多くなる、いわゆるエッジオーバーコートを防止するために使用するエ ッジプレートの昇降装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

連続溶融メッキの付着量の制御は、鋼帯をメッキ浴から引き上げられた鋼帯に 向けて、ワイピングノズルからワイピングガスを吹き付けることにより行われて いるが、鋼帯の表裏面にそれぞれ対向して設置された２つのワイピングノズルか ら相対向する方向に噴出されたガスは、鋼帯エッジ部近傍で衝突しガスの乱流を 起こし、鋼帯エッジ部での溶融金属の絞り力を低下させ、過剰な溶融金属が付着 するいわゆるエッジオーバーコートを発生させる。

【０００３】 そこで従来、かかるエッジオーバーコートを防止する方法として、例えば特開 昭63−105955号公報に記載されているようなエッジプレートをワイピングガスが 衝突する部分に挿入・設置して、ワイピングガス同士の衝突を回避させる方法が 採られている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記公報に記載のエッジプレートでは、ワイピングノズルによ り絞られた溶融金属の一部が鋼帯とエッジプレートとの間でスプラッシュとなっ てエッジプレートの鋼帯側端面の下部に付着凝固し、それが再び飛散して鋼帯を 汚すことがある。

【０００５】 かかる場合、上記エッジプレートを取り外してその付着物を除去すればよいの であるが、除去作業の都度エッジプレートを取り外したり、取りつけたりするこ とは極めて面倒な作業である上、エッジプレートの取りつけ位置についても極め て慎重に位置決めしなければならず操作が煩雑化する。また、生産性の低下を招 くことにもなる。

【０００６】 そこで、本考案の課題は、極めて簡単な操作により、エッジプレートに付着し た付着物を除去することが可能なエッジプレート昇降装置を提供することにある 。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記課題は、鋼帯がメッキ液に浸漬された後鉛直上方に引き上げられ、対向す るワイピングノズル間を搬送される際に、鋼帯の幅方向両端縁近接位置であって 上記両ノズルからのワイピングガスを遮蔽する位置に設置したエッジプレートに よりメッキ液のエッジオーバーコートを防止する装置において、 そのエッジプレートを上下方向移動自在に保持する保持枠体と、そのエッジプ レートが上記したガスを遮蔽する位置と鋼帯幅方向両端外方の離間位置との間を 移動できるように上記枠体を水平移動させる水平移動機構部と、表裏面のうちの 少なくとも一方の面の適宜位置にその面に平行な回転面を有する回転ローラーを 設けたエッジプレートと、前記保持枠体の鋼帯からの後退・前進に伴い、前記回 転ローラーが当接しつつ上方・下方に転動することによってエッジプレートを上 昇・下降させるための傾斜台を側方に有する水平移動機構部支持架台と、前記保 持枠体に具設され、前記エッジプレートの上昇に伴い、少なくともその一部がエ ッジプレートの鋼帯側端面に摺接するスクレーピングプレートとを有することで 解決できる。

【０００８】

【作用】

本考案では、エッジプレートの鋼帯側端面の下部に付着した付着物を除去しよ うとするときには、エッジプレート保持枠体をその支持架台に対して鋼帯幅方向 外方に水平移動させる。この移動に伴ってエッジプレート面上の回転ローラーが 水平移動機構部支持架台側面の傾斜台の下部位置に当接し、さらに移動させると 回転ローラーがこの傾斜面を上昇するとともに、この回転ローラーと一体のエッ ジプレートも前記保持枠体に保持されつつ上方所定位置まで移動する。このよう にエッジプレートが上方に移動する過程において、前記保持枠体に具設されたス クレーピングプレートがエッジプレートの鋼帯側端面に摺接することにより付着 物を掻き落とすので、エッジプレートの付着物の除去が容易に行える。

【０００９】 次に、再度もとのエッジプレート装着位置までもどしたいときには、保持枠体 を支持架台に対して鋼帯方向に近接させれば、前記傾斜台に沿って回転ローラー が下降しそれに伴い、エッジプレートが水平移動し、かつ下降して鋼帯幅方向近 接位置にまで近づき、エッジオーバーコート防止の作用をなしうる状態に配置さ れることになる。 このように、本考案によれば、エッジプレートの昇降が極めて簡単な操作で行 える。

【００１０】

【実施例】

以下本考案を実施例により具体的に説明する。 図１、図２は、本考案にかかるエッジプレート昇降装置の移動状態を説明する ための側面図および正面図である。図示しないメッキ液に浸漬された被メッキ鋼 帯１は上方に引き上げられ、鋼帯１を挟むように設置された２つのワイピングノ ズル２からの噴出ガスにより、過剰量のメッキ液を除去される。この際、鋼帯１ の幅方向両端部においてガスの衝突による幅方向両端部でのメッキ液の不均一な 付着を防止するため、エッジプレート３が、そのプレート面が鋼帯１の幅方向に 延長した面内に存在するように設けられている。

【００１１】 上記エッジプレート３は、図１に示すように、外枠４内を上下に摺動自在に構 成されており、その上端部にはリブ３ａを有するとともに、下端部には外皮３ｂ が取り付けられている。また、エッジプレート３の表面および裏面の適所でかつ 表裏面の対応する位置に、回転ローラ５がエッジプレート３の面に平行に回転し うるように設けられている。

【００１２】 一方、１５は水平移動機構支持架台であり、梁２１に支持されている。この水 平移動機構支持架台１５には、ストッパー７が固設されており、上記エッジプレ ート３を鋼帯１の外方向に後退させたとき、上記リブ３ａがこのストッパー７に 係合したときがエッジプレート３の最低位置となるように構成されている。

【００１３】 他方、４ａは前記外枠４の鋼帯１側に具設されたスクレーピングプレートであ り、このスクレーピングプレート４ａは、エッジプレート３を上方に移動させる 過程で、エッジプレート３の鋼帯１側端面に摺接するようになっている。

【００１４】 次に、図２〜図４により、前記外枠４およびエッジプレート３の鋼帯１の両端 幅方向への進退機構について述べる。

【００１５】 鋼帯１の表裏側には、鋼帯幅方向に沿う２本のガイドレール８、８が配設され 、このガイドレール８、８上を走行する走行体９、９を介して、前記外枠４を吊 持する移動ブロック１２が跨設されている。前記ガイドレール８および走行体９ の組み合わせとしては、たとえば公知のＬＭガイド（ＴＨＫ社製）などを好適に 用いることができる。前記ガイドレール８、８には、使用環境を考慮し、スライ ド性の維持のために走行体９、９以外の部分を包囲する蛇腹の耐熱性レールカバ ー８ａを設けるのが望ましい。 前記移動ブロック１２の鋼帯１側面には、鋼帯１のエッジと当接する接触ロー ラー２５が固設されており、鋼帯１の走行ガイドとともに、この接触ローラー２ ５により前記外枠４と鋼帯エッジとのギャップを調節している。また、前記走行 体９、９の一方側には、コプリング用ローラー１０が取付けられ、このコプリン グ用ローラー１０に巻かれたコプリング１１の他端が、図示されない対となる一 方の装置のコプリング用ローラーと連結されることにより、鋼帯１に対して一定 の押圧力が確保されている。前記コプリング１１とは、ＯＮＫ（大阪熱処理株式 会社）社製の定荷重用の板バネであり、ローラー１０に密着渦巻状に巻かれた薄 板バネの他端を離間した位置に固定した状態で、その離間距離を変化させても、 図７に示されるように、伸びにかかわらず一定荷重を作用させることができるた め、たとえば鋼帯１の板幅に変化があっても、前記移動ブロック１２の鋼帯１に 対する押圧力を一定に保持することができる。なお、前記コプリング１１に代え てゼンマイおよび線巻バネ等を使用することもできるが、図７に示されるように 、ゼンマイおよび線巻バネの場合は、伸びの増加に伴って荷重が増加するため、 押圧力は逐次変化することとなる。

【００１６】 他方の走行体９は、連結材１３を介して、並設されたロッドレスシリンダー１ ４と連結されている。ロッドレスシリンダー１４は、エアシリンダーの一種で、 詳細には図７に示されるように、中空のシリンダーボックス内部に移動自在の仕 切り板１６が収容されており、この仕切り板１６が、両端に設けられたエア吸入 孔１４ａ、１４ｂからのエアの出し入れにより移動し、この仕切り板１６の移動 に伴って、シリンダーボックス外部に設けられた磁石板１７が左右に移動するも のである。したがって、この磁石板１７と前記連結材１３を介して連結されてい る走行体９を、ひいては外枠４（およびエッジプレート３）を鋼帯１から自由に 離隔させることができるようになっている。なお、１８はワイピングノズル２の 交換時などに、前記外枠４およびエッジプレート３を後退させるための把手であ る。

【００１７】 また、７は図２に示すように、前記ロッドレスシリンダー１４、ガイドレール ８、走行体９からなる水平移動機構部を支持する水平移動機構部支持架台１５の 側面に、鋼帯幅方向に平行に設けた、エッジプレート３昇降用の傾斜台であり、 前記回転ローラー５と係合してエッジプレート３を上下動させるためのものであ る。

【００１８】 次に本考案装置の使用方法について説明する。 まず、本考案にかかるエッジプレートの使用時、すなわちエッジオーバーコー ト防止作業時には、図３に示すように、エッジプレート３を鋼帯１の幅方向端部 に近接させる。このときエッジプレート３は最低位置に下りた状態となり、ワイ ピングノズル２と同一の水平位置でかつ、対向するワイピングノズル２、２間に 挿入されている。この状態で鋼帯１を上方に搬送させることにより、エッジプレ ート３によるワイピングガスの衝突を防止し、前述のような過剰な溶融金属の除 去作業が行われる。

【００１９】 さて、エッジプレート３に付着した付着物の除去作業を行う場合には、まず、 上述のエッジオーバーコート防止作業を中断して、図４に示すように、ロッドレ スシリンダー１４の作動により、鋼帯１の巾方向両端外方に移動させる。これに より、エッジプレート３上に突設された軸に取り付けられた前記回転ローラー５ を傾斜台７の最下部に当接させ、さらに移動を続けることにより、回転ローラー ５を傾斜台７に沿って上昇させて、エッジプレート３を上方に移動させる。この とき、図５に示すように、外枠４に具設されたスクレーピングプレート４ａがエ ッジプレート３の鋼帯１側端面に摺接することにより、エッジプレート３の付着 物Ｘが掻き落とされ、もってエッジプレート３の付着物Ｘを容易に除去でき、エ ッジプレート３使用時の品質への影響が減少できる。

【００２０】 また、上述の付着物の除去作業を終え、再びエッジプレート３を装着しようと する時には、鋼帯エッジ近接位置でかつワイピングノズル２の端部位置まで保持 枠体４を移動させれば、傾斜台７に当接した状態で回転ローラーを下降させこれ に伴って、エッジプレート３を下降させることにより、極めて簡単にエッジプレ ート３を所定の位置に配置させることができる。

【００２１】

【考案の効果】

以上の通り、本考案によれば、エッジプレートを鋼帯幅方向に水平かつ上下に 移動自在とすることで、エッジプレートの付着物の除去を容易かつ安全に行える 。

【００２２】 また、本考案では、特別な駆動装置をもたなくとも、手作業によりエッジプレ ートを左右移動できる装置であるから、設備費が安価である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る昇降装置の作動状態の説明図であ
る。

【図２】本考案の装置の側面図である。

【図３】本考案装置を鋼帯に近接させた状態の斜視図で
ある。

【図４】本考案装置を鋼帯から離間させた状態の斜視図
である。

【図５】スクレーピングプレートの作動状態の説明図で
ある。

【図６】本考案装置におけるコップリングの斜視図であ
る。

【図７】コプリングにかかる荷重と伸びとの関係を示す
図である。

【図８】ロッドレスシリンダの概要説明図である。

【符号の説明】

１…鋼帯、２…ワイピングノズル、３…エッジプレー
ト、４…エッジプレート保持枠体、４ａ…スクレーピン
グプレート、５…回転ローラー、７…傾斜台、８…ガイ
ドレール、９…走行体、１０…コプリング用ローラー、
１１…コプリング、１２…移動ブロック、１４…ロッド
レスシリンダ、１５…水平移動機構部支持架台。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】鋼帯がメッキ液に浸漬された後鉛直上方に
   引き上げられ、対向するワイピングノズル間を搬送され
   る際に、鋼帯の幅方向両端縁近接位置であって上記両ノ
   ズルからのワイピングガスを遮蔽する位置に設置したエ
   ッジプレートによりメッキ液のエッジオーバーコートを
   防止する装置において、 そのエッジプレートを上下方向移動自在に保持する保持
   枠体と、そのエッジプレートが上記したガスを遮蔽する
   位置と鋼帯幅方向両端外方の離間位置との間を移動でき
   るように上記枠体を水平移動させる水平移動機構部と、
   表裏面のうちの少なくとも一方の面の適宜位置にその面
   に平行な回転面を有する回転ローラーを設けたエッジプ
   レートと、前記保持枠体の鋼帯からの後退・前進に伴
   い、前記回転ローラーが当接しつつ上方・下方に転動す
   ることによってエッジプレートを上昇・下降させるため
   の傾斜台を側方に有する水平移動機構部支持架台と、前
   記保持枠体に具設され、前記エッジプレートの上昇に伴
   い、少なくともその一部がエッジプレートの鋼帯側端面
   に摺接するスクレーピングプレートとからなることを特
   徴とするエッジプレート昇降装置。