JPH0642525A - 内燃機関のコンロッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 別途に位置決めピン等を設けることなく、キ
ャップとコンロッド本体部とを正確に位置決めし、かつ
組立時の作業性を向上させる。 【構成】 コンロッド本体部１とキャップ２との分割面
４はコンロッド中心線Ｌに対し傾斜しているが、軸受メ
タル３の分割面５は中止線Ｌに直交する。軸受メタル３
の周方向端部には、互いに係合可能な突起片と切欠部と
があり、その係合によって両軸受メタル３の位置決めお
よび仮止めがなされる。軸受メタル３外周面には、コン
ロッド本体部１の凹部１１およびキャップ２の凹部１２
の双方に亙って嵌合する凸部１０が形成されており、こ
れによってキャップ２が位置決めされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、内燃機関のコンロッ
ド、特に大端部におけるコンロッド本体部とキャップと
の分割面がコンロッド中心線に対し斜めに設けられたコ
ンロッドの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】図８に示すように、大端部におけるコン
ロッド本体部２１とキャップ２２との分割面２３がコン
ロッド中心線Ｌに対し斜めに傾いたコンロッドが知られ
ている（例えば実開昭６０−１２８０２２号公報等）。
このものでは、半円形に２分割されている軸受メタル２
４，２４の分割面２５が、コンロッド中心線Ｌに対し直
交するように配置されており、上記のコンロッド本体部
２１，キャップ２２の分割面２３とは一致しない。そし
て、軸受メタル２４，２４の周方向端部に、外周側に膨
らんだ凸部２６が形成されているとともに、コンロッド
本体部２１およびキャップ２２の内周面に、上記凸部２
６と嵌合する凹部２７が形成されている。この凸部２６
と凹部２７との嵌合によって軸受メタル２４，２４が軸
方向に位置決めされ、かつ回転が防止される。また、ボ
ルト２８によって結合されるキャップ２２をコンロッド
本体部２１に対し軸方向に位置決めするために、コンロ
ッド本体部２１側に位置決めピン２９が植設されている
とともに、該位置決めピン２９と嵌合する位置決め孔３
０がキャップ２２側に形成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の構成におい
ては、コンロッド本体部２１とキャップ２２との位置決
めのために別途に位置決めピン２９，位置決め孔３０を
設けているため、コストが嵩むという不具合がある。ま
た一対の軸受メタル２４，２４同士は直接には位置決め
されておらず、しかも真円状に合わせた状態で仮止めで
きないので、作業能率が悪いという欠点がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は、コンロッド
本体部とキャップとの分割面がコンロッド中心線に対し
斜めに設けられるとともに、軸受メタルの分割面がコン
ロッド中心線に対し直交する内燃機関のコンロッドにお
いて、上記軸受メタルの周方向端部に、互いに係合可能
な仮組み用の突起片および切欠部を形成するとともに、
各軸受メタル外周面のコンロッド本体部とキャップとの
分割面に対応する部位に、両者に亙るように凸部を部分
的に形成し、かつ上記コンロッド本体部およびキャップ
の内周面には、上記凸部と嵌合する凹部を形成したこと
を特徴としている。

【０００５】

【作用】一対の軸受メタルは真円状に合わせた状態で周
方向端部の突起片と切欠部とが係合し、軸方向に位置決
めされるとともに、互いに仮止めされる。そして、この
軸受メタルの凸部がコンロッド本体部およびキャップの
凹部に嵌合する。このとき、上記凸部は、コンロッド本
体部およびキャップの双方に亙って嵌合するので、キャ
ップがコンロッド本体部に対し軸方向に位置決めされ
る。

【０００６】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明する。

【０００７】図１はこの発明に係るコンロッド全体の構
成を示している。このコンロッドは、大端部においてコ
ンロッド本体部１とキャップ２とに２分割されており、
その内周面に、やはり２分割された軸受メタル３が組み
込まれている。上記コンロッド本体部１とキャップ２と
の分割面４は、コンロッド中心線Ｌに対し斜めに傾いて
設けられている。これに対し、軸受メタル３の分割面５
は、面圧が高くなる部分を避けるために、コンロッド中
心線Ｌに対し直交するように設けられている。また、こ
の実施例では、キャップ結合用ボルトとしてＵ字形ボル
ト６がコンロッド本体部１に鋳ぐるみされており、キャ
ップ２を貫通した雄ねじ部６ａにナット７がそれぞれ螺
合している。このＵ字形ボルト６とキャップ２の貫通孔
との間には誤差吸収のために僅かな間隙があり、キャッ
プ２が多少動くようになっているが、上記ナット７によ
りキャップ２をコンロッド本体部１に結合した状態で、
両者一体に内周面の機械加工がなされている。

【０００８】軸受メタル３は、図２に示すように半円形
をなしており、その周方向端部の一方に仮組み用の突起
片８が、他方に切欠部９が形成されている。上記突起片
８は、軸受メタル３の円弧に沿って延長されたもので、
図３に詳示するように、一定幅Ｓ１でもって略矩形状に
延びており、かつその先端部左右には、係止部８ａがそ
れぞれ設けられている。この係止部８ａは、突起片８一
般部の側面８ｂよりも数１０μｍ程度幅方向に突出して
いる。そして、係止部８ａの内側は切り欠かれており、
各係止部８ａが内側へ撓み変形できるようになってい
る。また他方の切欠部９は、図４に詳示するように、突
起片８と同一の幅Ｓ１でもって略矩形に切り欠かれてお
り、かつその開口部９ａは係止部８ａを案内するために
テーパ状になっている。また、切欠部９の底部側には、
上記係止部８ａが係合可能な凹部９ｂが左右に半円形に
広がった形で形成されている。尚、この切欠部９の長さ
Ｓ３は、突起片８の長さＳ２より僅かに短く設定されて
いる。

【０００９】従って、同一の形状をなす一対の軸受メタ
ル３は、突起片８が切欠部９に圧入すると、突起片８の
係止部８ａが内側へ撓み、かつ凹部９ｂで左右に広がっ
て係合するので、互いに一体に結合される。つまり軸方
向に正確に位置決めされ、かつ同時に仮止めされること
になる。

【００１０】また、各軸受メタル３の側縁の一部に、外
周側へ突出し矩形の凸部１０が形成されている。この凸
部１０は、コンロッド本体部１とキャップ２との分割面
４に対応する部位に設けられており、特に、コンロッド
本体部１とキャップ２との双方に亙って位置するように
形成されている。そして、コンロッド本体部１の内周面
には、図５に示すように、その周方向端部において、上
記凸部１０の一部が嵌合する凹部１１が斜めに形成され
ている。またキャップ２の内周面には、図６に示すよう
に、その周方向端部において、上記凸部１０の一部が嵌
合する凹部１２が斜めに形成されている。上記のコンロ
ッド本体部１側の凹部１１とキャップ２側の凹部１２と
は、両者の結合状態では、互いに一体となり、凸部１０
全体が嵌合するようになっている。尚、上記凹部１１，
１２は、前述したようにキャップ２をコンロッド本体部
１に結合した状態で内周面を加工した後に、両者一体に
機械加工されている。

【００１１】上記のように構成されたコンロッドを図示
せぬクランクピンに取り付けるには、先ずクランクピン
を挟んで一対の軸受メタル３を配し、かつ互いに突起片
８と切欠部９とを圧入させる。これにより、一対の軸受
メタル３が仮止めされる。そして、この軸受メタル３の
凸部１０が凹部１１，１２に合致するようにしながらコ
ンロッド本体部１とキャップ２とを組み合わせ、かつナ
ット７を締め付けて両者を結合する。すなわち、上記構
成では、突起片８と切欠部９との結合によって両軸受メ
タル３の軸方向の位置決めが正確になされ、かつこの軸
受メタル３の一対の凸部１０を基準としてコンロッド本
体部１とキャップ２とが位置決めされるので、コンロッ
ド本体部１とキャップ２とは内周面や凹部１１，１２の
加工を行った際の結合状態に正しく保たれる。従って、
従来の位置決めピンのような格別な位置決め手段が不要
であり、かつ軸受メタル３同士を仮止めできることから
作業性が大幅に向上する。また、軸受メタル３の回転は
凸部１０と凹部１１，１２との嵌合によって防止され
る。

【００１２】次に、図７はこの発明の異なる実施例を示
すもので、この実施例ではキャップ結合用ボルトとして
一対の六角ボルト１３を用いており、これがキャップ２
を貫通し、かつコンロッド本体部１側の雌ねじ１４に螺
合している。この場合にも、ボルト２とキャップ２の貫
通孔との間には僅かな間隙があるが、前述した実施例と
同様に、突起片８と切欠部９の係合および凸部１０と凹
部１１，１２の嵌合によって、コンロッド本体部１とキ
ャップ２とが正確に位置決めされる。

【００１３】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、この発明
に係る内燃機関のコンロッドにおいては、軸受メタル外
周面の凸部とコンロッド本体部，キャップの凹部との嵌
合によって、軸受メタルが回り止めされると同時に、コ
ンロッド本体部とキャップとが正確に位置決めされるの
で、従来の位置決めピンや位置決め孔といった格別な位
置決め手段が不要となり、構成の簡略化ならびにコスト
の低減が図れる。また、一対の軸受メタルがクランクピ
ンを挟んだ仮組み状態で保持できるため、作業能率が向
上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るコンロッドの一実施例を示す一
部切欠断面図。

【図２】軸受メタルの４面図。

【図３】この軸受メタルの突起片の拡大図。

【図４】同じく切欠部の拡大図。

【図５】コンロッド本体部の内周面を示す平面図。

【図６】キャップの内周面を示す平面図。

【図７】この発明に係るコンロッドの異なる実施例を示
す一部切欠断面図。

【図８】従来のコンロッドの一例を示す一部切欠断面
図。

【符号の説明】

１…コンロッド本体部 ２…キャップ ３…軸受メタル ６…Ｕ字形ボルト ８…突起片 ９…切欠部 １０…凸部 １１，１２…凹部 １３…六角ボルト

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンロッド本体部とキャップとの分割面
   がコンロッド中心線に対し斜めに設けられるとともに、
   軸受メタルの分割面がコンロッド中心線に対し直交する
   内燃機関のコンロッドにおいて、上記軸受メタルの周方
   向端部に、互いに係合可能な仮組み用の突起片および切
   欠部を形成するとともに、各軸受メタル外周面のコンロ
   ッド本体部とキャップとの分割面に対応する部位に、両
   者に亙るように凸部を部分的に形成し、かつ上記コンロ
   ッド本体部およびキャップの内周面には、上記凸部と嵌
   合する凹部を形成したことを特徴とする内燃機関のコン
   ロッド。
2. 【請求項２】 上記キャップを固定するキャップ結合用
   ボルトがコンロッド本体部に鋳ぐるみされたＵ字形ボル
   トであることを特徴とする請求項１記載の内燃機関のコ
   ンロッド。
3. 【請求項３】 上記キャップを固定するキャップ結合用
   ボルトがコンロッド本体部側の雌ねじと螺合するボルト
   であることを特徴とする請求項１記載の内燃機関のコン
   ロッド。