JPH0641055U - 円筒形スパイラル電池の正極構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 円筒形スパイラル電池において、パンチドメ
タルを正極集電体とした場合、非パンチング面上の正極
合剤の接合強度が弱いことに起因する不都合を解消し、
電池性能を損なわない円筒形スパイラル電池を提供す
る。 【構成】 帯状金属板の長手方向両側を非パンチング部
分２とし、残余の箇所をパンチング部分３とした正極集
電体１に対して、パンチング部分３の表裏両面にのみ正
極合剤層を形成する。更に、正極合剤層の幅は負極シー
ト幅と略同程度とする。 【効果】 結着強度が弱い非パンチング部分２の正極合
剤は除去されているから、電池組立中や組立後に、該部
分の合剤剥離や剥離合剤による内部短絡の虞はない。ま
た、正極合剤幅と負極シート幅とが略同程度であるの
で、反応表面積的には従来と変わりがないことになるか
ら、非パンチング部分２に正極合剤層がなくても電池性
能は損なわれない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、円筒形スパイラル電池などに使用されるシート状の正極構造に関す るものである。

【０００２】

【従来の技術】

円筒形スパイラル電池は、シート状の正極と負極とがセパレータを介して渦巻 状に巻回され、この電極群を電池缶に収納することによって構成される。

【０００３】 上記した正極は、帯状金属板の長手方向両側を非パンチング部分とし、残余の 箇所をパンチング部分としたパンチドメタルを集電体とし、導電剤、可塑剤、結 着剤などと共に二酸化マンガン粉末を混練して得た高粘度合剤を押出成形法によ ってこの集電体の表裏両面に塗着し、ついで熱分解により結着剤等の不要成分を 除去した後、規定寸法に圧延・裁断することによって得られている。電池組立に 供するには、更に、合剤の一部を掻き取って正極リード板を溶接し、該溶接面と 末端の裁断箇所とに絶縁テープを貼付被覆している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記のようにパンチドメタルで正極集電体を構成すると、パンチング孔を通じ て表裏両面の正極合剤層が接続するので必要とする接着強度を発揮でき、裁断時 のバリも０．１mm程度の大きさに押さえられるが、非パンチング面上の正極合剤 は絡み付くところがないため剥離し易いし、また、剥離しかけた正極合剤が負極 缶内面と接触して内部短絡を起すことがあった。そこで、図４のように、正極集 電体１には正規のパンチング孔４以外に、一部切欠のパンチング孔４ａが長手方 向両側縁に並ぶように全面に穿設することで、正極合剤層両側端部における接着 強度を増大させる試みがあるが、この場合には一部切欠のパンチング孔４ａのエ ッジ部分が立った状態となって、恰も大きなバリが生じたのと同様な不都合を生 じることになった。

【０００５】 本考案が解決しようとする課題は、パンチドメタルを正極集電体とした場合、 非パンチング面上の正極合剤の接合強度が弱いことに起因して生じた上記不都合 を解消し、電池性能を損なわないようにすることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、帯状金属板の長手方向両側を非パンチング部分とし、残余の箇所を パンチング部分とした正極集電体と、その正極集電体のパンチング部分の表裏両 面にのみ形成された正極合剤層とからなり、非パンチング部分には正極合剤が除 去されていることを特徴とする。

【０００７】 上記した正極合剤層の幅は負極シート幅と略同程度とする。

【０００８】

【作 用】

正極合剤層は集電体のパンチング部分にのみ形成され、集電体と接合強度が弱 くて剥離の虞がある非パンチング部分には形成していないから、正極合剤剥離の 心配や剥離合剤に起因する内部短絡の虞はない。

【０００９】 パンチング部分に形成された正極合剤層の幅を負極シート幅と略同程度とすれ ば、非パンチング部分に正極合剤層を形成していなくとも電池性能が損なわれる といったことがないようにできる。

【００１０】

【実施例】

本考案を、直径１６mm, 高さ３３mmの円筒状渦巻形リチウム電池を例に説明す る。図１の平面図に示した正極集電体１は、厚さ０．１mm、幅２６mmのＳＵＳ製 パンチドメタルであって、長手方向両縁端から幅２５mmに亘って非パンチング部 分２が形成され、この非パンチング部分２を除いた残余の箇所に直径１．８mmの 多数の孔４を千鳥状に１０列穿設することでパンチング部分３としたものである 。上記した正極集電体１のパンチング部分３の表裏両面には、図２のように、正 極合剤５の層が形成され、非パンチング部分２には正極合剤５の層が形成されて いない。

【００１１】 このような正極合剤層の形成は、従来法に従って、二酸化マンガンを主成分と する高粘度合剤を押出成形法によって正極集電体１に塗着後、熱分解により可塑 剤等の不用成分を除去してから、規定寸法に圧延、裁断し、更に、非パンチング 部分２の面に接着している合剤を剥ぎ取る工程を付加することによって達成され る。

【００１２】 これを電池組立に供する際には、従来品と同様にして、正極リード板取付箇所 に当たる部分の合剤を掻き取り、該部に正極リード板を溶接し、その溶接部及び 末端の裁断部に夫々絶縁テープを貼付けて被覆する。

【００１３】 図３に、上記シート状正極合剤を用いて組立てた円筒状渦巻形リチウム電池の 断面図を示す。６は正極、７は負極、８はセパレータである。非パンチング部分 ２に正極合剤層５がないが、従来と変わりない反応表面積を得るため、正極合剤 層５の幅は負極７のシート幅と略同程度にしている。

【００１４】

【考案の効果】

本考案によれば、結着強度が弱い非パンチング部分の正極合剤は除去されてい るから、電池組立中や組立後に、該部分の合剤剥離や剥離合剤による内部短絡の 虞はない。

【００１５】 また、正極合剤幅を負極シート幅と略同程度にすれば、反応表面積的には従来 と変わりがないことになるから、非パンチング部分に正極合剤層がないから電池 性能が損なわれるといったことはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】正極集電体の平面図である。

【図２】図１の正極集電体を用いて得た、本考案の正極
の側面図である。

【図３】図２の正極を用いて得た電池の断面図である。

【図４】従来の正極集電体の平面図である。

【符号の説明】

１ 正極集電体 ２ 非パンチング部分 ３ パンチング部分 ４ 孔 ５ 正極合剤層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 浜田 浩 東京都港区新橋５丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 帯状金属板の長手方向両側を非パンチン
   グ部分とし、残余の箇所をパンチング部分とした正極集
   電体と、その正極集電体のパンチング部分の表裏両面に
   のみ形成された正極合剤層とからなり、非パンチング部
   分には正極合剤が除去されていることを特徴とする円筒
   形スパイラル電池の正極構造。
2. 【請求項２】 上記正極合剤層の幅は負極シート幅と略
   同程度としたことを特徴とする請求項１に記載の円筒形
   スパイラル電池の正極構造。