JPH0639679U - 鉄クローラ用ゴム履板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゴムパットの接着層へのショック伝達を緩和
し、耐久性の向上を図る。 【構成】 鉄クローラのシュー2 踏面2Aに、クローラ幅
方向に延びる補強リブ5が突設され、かつゴムパット3
が加硫接着されたゴム履板1 であって、ゴムパット3 内
にクローラ幅方向中央部分を除いて、スチールコード、
キャンバス等の補強材4 を一層又は複数層に埋入一体化
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、農業機械、建設機械等に使用される鉄クローラ用ゴム履板に関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

図１５、図１６に示すように、鉄クローラ101 は、シュープレート11に連設し たシューリンク12同士をピン13により連結して無端状としたものが多用されてお り、作業車のフレーム14に装着した駆動用スプロケット15及び遊転輪16に巻掛け られ、ガイド輪体17がシューリンク12の上縁に対して転動するように構成されて いる。なお、シュープレート11（履板ともいう）は、シューリンク12下面にボル ト18により着脱可能に取付けられている。

【０００３】 ところで、鉄クローラは、走行中に生じる騒音が大きく、舗装路面を傷め、高 速化できないうえ、乗心地が悪いという難点がある。 従来、鉄クローラの上記難点を解消するために、シュープレート11の踏面11A に、図１７〜図２０に示すように、クローラ幅方向に延びる複数条の補強リブ22 が設けられると共に、ゴムパット19を加硫接着し、かつシューリンク12への取付 ボルト孔21を設けたゴム履板20が提案されている（例えば実開平３−７７７９４ 号公報参照）。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

従来の上記ゴム履板20は、鉄クローラの長所を生かしかつ欠点を解消しうるも のであるが、走行中におけるショックがゴムパット19の接着層まで伝わり、剥離 を促進させるほか、ゴムパット19のクローラ幅方向両端部が、石、コンクリート 片等角ばった固体を踏んだとき、ピンチ状態となって、ゴムパット19の端部が欠 けたり傷つき易く、端部のシュー踏面11A とゴムパット19の間から水が侵入して 錆が発生し、これがシュー11とゴムパット19の接着層間に侵入して、ゴムパット 19がシュープレート11から剥離するという問題があるため、普及していない。

【０００５】 本考案は、上述のような実状に鑑みてなされたもので、その目的とするところ は、ゴムパットの接着層へのショック伝達を緩和し、耐久性の向上を図ることが できる鉄クローラ用ゴム履板を提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。 即ち、本考案は、鉄クローラのシュー踏面に、クローラ幅方向に延びる補強リ ブが突設され、かつゴムパットが加硫接着されたゴム履板であって、前記ゴムパ ット内に中央部分を除いて、スチールコード、キャンバス等の補強材が埋入され ていることを特徴としている。

【０００７】 また、本考案は、前記補強材が１又は複数層に埋入されていることを特徴とし ている。

【０００８】

【作用】

本考案によれば、走行中はもとより、特にゴム履板が石、コンクリート片等の 固体を踏んだときのショックが、補強材により緩和され、ゴムパット接着層への ショック伝達が防止されるほか、石、コンクリート片等の角ばった固体等を踏ん だ際、ピンチ状態を緩和でき、ゴムパットが欠けたり剥離するのを防止できる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。 図１〜図４は本考案の第１実施例を示し、ゴム履板1 は略長方形の金属製シュ ー2 、ゴムパット3 、補強材（スチールコード）4 とからなり、シュー2 の踏面 2Aには、クローラ幅方向（シュー長手方向）に延びる複数条（本例では３条）の 補強用リブ5 が設けられ、中央部には４個の取付ボルト孔6 が設けられている。

【００１０】 そして、前記シュー2 の各補強用リブ5 間には、中央部分を除くクローラ幅方 向両端部において、クローラ幅方向長さＬの約３分の１の長さL1にわたってスチ ールコードからなる前記補強材4 を、シュー踏面2Aに近い位置に一層だけ埋入し たゴムパット3 が、シュー踏面2Aに加硫接着され、シュー2 と一体化されている 。

【００１１】 前記ゴムパット3 には、シュー2 の取付ボルト孔6 に対応して、ボルト頭又は ナットを嵌入させうる孔7 が設けられている。 前記補強材4 は、補強用リブ5 間にこれの長手方向に平行にかつ一層埋入され ているが、スチールコードを二層又は三層に埋入することができ、また、補強材 4 としてキャンバス等の補強布を用い、これを一層又は複数層埋入してもよい。

【００１２】 上記第１実施例において、走行中におけるショックは、ゴムパット3 内に埋入 された補強材4 により緩和され、ゴムパット3 の接着層に伝達するのが防止され 、接着強度を確保できるほか、ゴムパット3 が石やコンクリート片等を踏んでも 、ピンチ状態になるのを避けうると共に、欠けたり剥がれるのが防止され、錆の 侵入を防げ、耐久性が向上する。

【００１３】 図５、図６は本考案の第２実施例を示し、補強材4 を補強用リブ5 の外側（ゴ ムパット3 の接地面側) に埋入した点で、前記第１実施例と異なっている。第２ 実施例によれば、補強用リブ5 とゴムパット3 の接着層へのショック伝達が緩和 され、第１実施例よりもさらに耐久性が向上する。 なお、第２実施例において、補強材4 としてはスチールコード、キャンバス等 を使用できるうえ、一層又は複数層とすることができ、さらにスチールコードの 場合、一層目と二層目は直交状又は斜交差状に配置することができる。

【００１４】 図７〜図９は本考案の第３実施例を示し、第１実施例と異なるところは、ゴム パット3 のクローラ幅方向両端部を表層3Aと裏層3Bの二層とし、裏層3B内に補強 用リブ5 間に位置して補強材4 （キャンバス）が埋入されている点であり、ゴム パット3 の表層3,3Aは耐摩耗性に優れた軟質ゴム（ゴム硬度65〜75度) とし、裏 層3Bは撓みの少ない硬質ゴム（ゴム硬度80〜90度) とされている。

【００１５】 なお、表層3Aの高さH1はシュー高さＨより若干低くされ、裏層3Bの高さH2はシ ュー高さＨよりも若干高くされ、補強用リブ5 を硬質ゴム層で覆っている。 第３実施例によれば、ゴムパット3 特に裏層3Bの剥離防止はもとより、ピンチ 状態におけるゴムパット3 の欠けや切り傷を防止でき、耐久性を向上させること ができる。なお、補強材4 としては、スチールコード或いはカットファイバーと することができ、さらに、補強材4 の埋入個所を表層3A又は表裏層間とすること ができる。

【００１６】 図１０は本考案の第４実施例の要部を示し、第１実施例と異なるところは、シ ュー2 の各リブ5 のクローラ幅方向両端部に夫々１又は複数の切欠部8 を設け、 該切欠部8 にゴムパット3 の一部3Cを嵌まり込ませて加硫接着した点である。な お、両端に残った補強リブ5Aの長さL3は、10〜30mmとされている。 この第４実施例によれば、ゴムパット3 の接着面積及び接着強度が増大し、ゴ ムパット3 がクローラ幅方向端部から剥がれるのが防止され、錆の侵入を妨げる 等の付加的効果が期待できる。

【００１７】 図１１は本考案の第５実施例の要部を示し、第２実施例と異なるところは、補 強リブ5 のクローラ幅方向両端部に端を残すことなく切除して切欠部9 を設けた 点であり、切欠部9 の長さL4は10〜30mmとされている。この第５実施例において も、第４実施例の付加的効果と同等の付加的効果がある。 図１２は、本考案第６実施例の要部を示し、第１実施例と異なるところは、シ ュー2 のクローラ幅方向両端に半円形又は台形等の切欠部10を設けた点であり、 該切欠部10にゴムパット3 の一部が喰い込むので、接着面積及び接着強度が増大 し、ゴムパット3 が端部から剥がれるのを防止でき、ピンチ状態での欠けや切り 傷を減少させることができる付加的効果がある。

【００１８】 図１３は、本考案の第７実施例の要部を示し、第１実施例と異なるところは、 シュー2 のクローラ幅方向両端を切除して長さを短くし（５〜30mm程度) 、その 端面2Bをゴムパット3 の端部3Dで覆った点であり、ゴムパット端部3Dの厚さＴは ５〜30mmとしてある。本第７実施例においてもゴムパット3 の剥離防止及びショ ック緩和を図ることができ、ゴムパット端部3Dのピンチ状態をなくして耐久性を 向上させることができる。

【００１９】 図１４は本考案の第８実施例の要部を示し、第７実施例と異なるところは、ゴ ムパット3 のクローラ幅方向両端部に表層3Aと裏層3Bからなる二層構造を採用す ると共に、表層3Aに補強材4 を埋入し、さらに補強リブ5 の両端に切欠部9 を設 けた点であり、走行中におけるショックがシュー2 とゴムパット裏層3Bとの接着 層に伝達するのを防止し、ゴムパット3 の剥離、切り傷や欠けを防ぎ、ピンチ状 態をなくして大幅に耐久性の向上が図れる。

【００２０】 なお、第８実施例におけるゴムパット3 の表層3A及び裏層3Bは、第３実施例と 同様に軟質ゴム及び硬質ゴムとから成っている。また第８実施例においても、シ ュー2 の両端に第６実施例と同じように切欠部10を設けることができ、さらに、 第４実施例の切欠部8 を前記切欠部9 に代えて設けることができる。

【００２１】

【考案の効果】

本考案は、上述のように、鉄クローラのシュー踏面に、クローラ幅方向に延び る補強リブが突設され、かつゴムパットが加硫接着されたゴム履板であって、前 記ゴムパット内に中央部分を除いて、スチールコード、キャンバス等の補強材が 埋入されていることを特徴とするものであるから、ゴムパットの接着層へのショ ック伝達を緩和し、耐久性の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例を示す接地面側からみた平
面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線矢視断面図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線断面図である。

【図４】図１のＣ−Ｃ線断面図である。

【図５】同第２実施例の要部を示す一部破断（図１のＡ
−Ａ線矢視相当）正面図である。

【図６】図５のＤ−Ｄ線断面図である。

【図７】同第３実施例の接地面側からみた平面図であ
る。

【図８】図７のＥ−Ｅ線矢視断面図である。

【図９】図７のＦ−Ｆ線断面図である。

【図１０】同第４実施例の要部を示す一部破断（図１の
Ａ−Ａ線矢視相当）正面図である。

【図１１】同第５実施例の要部を示す一部破断（図１の
Ａ−Ａ線矢視相当）正面図である。

【図１２】同第６実施例の接地面側からみた平面図であ
る。

【図１３】同第７実施例の要部を示す一部破断（図１の
Ａ−Ａ線矢視相当）正面図である。

【図１４】同第８実施例の要部を示す一部破断（図１の
Ａ−Ａ線矢視相当）正面図である。

【図１５】作業車の支持フレームに装着された鉄クロー
ラを示す側面図である。

【図１６】鉄クローラの一部拡大側面図である。

【図１７】従来のゴム履板の接地面側からみた平面図で
ある。

【図１８】図１７のＧ−Ｇ線矢視断面図である。

【図１９】図１７のＨ−Ｈ線断面図である。

【図２０】図１７のＩ−Ｉ線断面図である。

【符号の説明】

１ ゴム履板 ２ シュー 2A シュー踏面 ３ ゴムパット ４ 補強材 ５ 補強用リブ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄クローラのシュー踏面に、クローラ幅
   方向に延びる補強リブが突設され、かつゴムパットが加
   硫接着されたゴム履板であって、前記ゴムパット内に中
   央部分を除いて、スチールコード、キャンバス等の補強
   材が埋入されていることを特徴とする鉄クローラ用ゴム
   履板。
2. 【請求項２】 前記補強材が１又は複数層に埋入されて
   いることを特徴とする請求項１の鉄クローラ用ゴム履
   板。