JPH0639544Y2 - 移植機における苗載台の苗ストッパ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、田植機や藺草移植機、畑作移植機等の移植機
の苗載台に載置された植付苗の下降停止をする苗ストツ
パ装置に関するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする問題点］ 一般に、この種移植機においては、傾斜状の苗載台に植
付苗を載置し、傾斜下端部に設けられる苗掻取り口から
植付爪によつて単位植付苗株宛の植付苗を掻取つて圃場
に植付けるようになつている。ところで苗植付けに際
し、畦際での植付け作業を行うような場合、植付け条を
減じて条合わせすることがあり、そこで苗載台には苗ス
トツパを設けて植付け苗の下降を停止できるようにして
いる。しかるに従来の苗ストツパは、苗送り体の縦送り
始端側よりも傾斜下手側で下降停止させるようになつて
いたから、苗送り体による縦送り作用を受けて停止状態
の植付け苗の根部が損傷するという欠点がある。そこで
苗ストツパの停止位置を苗送り体の縦送り始端位置より
も上手側とすることも考えられるが、この場合には、苗
ストツパ時、苗送り体の縦送り始端位置よりも下手側に
設けた苗検知センサが苗無し状態の検知をして警報が発
せられるという欠点が有る。このためさらに苗検知セン
サを苗ストツパ位置よりも上手側に配することが考えら
れるが、この場合には、苗検知位置が苗載台の中央位置
寄りになつてしまい植付け苗の残りがまだ充分あるのに
警報が発せられてしまうという欠点がある。

［問題を解決する手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑み、これらの欠点を一掃
することができる移植機における苗載台の苗ストツパ装
置を提供することを目的として創案されたものであつ
て、傾斜状の苗載台を設けてなる移植機において、前記
苗載台に、植付け苗を傾斜下手側に強制縦送りする苗送
り体と、少なくとも苗送り体の縦送り始端位置よりも傾
斜下手側に配されていて縦送りされる植付け苗の検知を
する苗検知センサと、上記縦送り始端位置よりも傾斜上
手側で植付け苗の下端縁を受けて下降停止をするストツ
パ姿勢とこれを解除する姿勢とに変姿セツトできる苗ス
トツパとを設けると共に、該苗ストツパには、植付け苗
が苗ストツパによつて停止保持されたことに感応して苗
検知センサを苗検知状態にセツトする苗感応作動体を設
けたことを特徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、苗送り体の縦送り
始端位置よりも上手側で苗停止する様にし、かつこれよ
りも下手側に苗検知センサを配したものであつても、苗
ストツパ時において苗検知センサを苗検知状態にセツト
することができるようにしたものである。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図
面において、１は乗用型田植機の走行機体であつて、該
走行機体１の後部には苗植付け部２が昇降自在に設けら
れている。そしてこの苗植付け部２には、左右方向に間
歇的に往復移動する苗載台３、該苗載台３に載置された
植付け苗を苗受け体４に設けた苗掻取り口から掻き取る
植付爪５、滑走フロート６等の部材装置が設けられてい
ることは何れも従来通りである。

前記苗載台３は前高後低状に傾斜しているが、その各苗
載せ部の傾斜下手側には、ベルト式の苗送り体７の一対
が左右に併設されている。そして両苗送り体７の間に苗
検知センサ８が設けられており、そしてこの位置で山形
状をしたセンサ杆8aが植付け苗に押圧された場合に苗検
知状態となり、これが解除されて苗載置面より大きく突
出した状態で苗無し検知状態となるように設定されてい
る。さらに各苗載せ部を仕切る仕切り壁3aにはブラケツ
ト９が固定されているが、このブラケツト９には苗葉受
け体9a、苗押え体9bが一体的に設けられている。さらに
ブラケツト９に突設した支持片9cには苗ストツパ10の基
端部が回動自在に枢支されている。そしてこの苗ストツ
パ10は、第４図に実線で示すストツパ姿勢と仮想線で示
す収納姿勢とに揺動変姿できるようになつているが、前
記ストツパ姿勢とした場合に、左右のストツパ部10aが
苗送り体７の縦送り始端位置よりも僅かに傾斜上手側に
セツトされ、この位置で植付け苗ｐの下降停止を行うよ
うになつている。

前記左右のストツパ部10aの間は凹形状になつており、
ここに位置決め用のワツシヤ11が左右方向移動規制され
る状態で取付けされている。12は板状部材によつて形成
される苗感応作動体であつて、該苗感応作動体12の基端
部には当て板13が下側から当てがわれ、ビス14を用いて
苗ストツパ10に対して自由揺動自在に枢支されることに
なるが、当て板13には前記ワツシヤ11に対応する孔13b
が開口されており、これによつて左右方向の位置決めが
成されている。この作動体12からは苗載台３の傾斜下手
側に向いて作動片12bが延設され、前記センサ杆8aに上
側からオーバーラツプするよう構成されている。また当
て板13からは、植付け苗Ｐの下端縁に対向する感応片13
aが立上り状に延設されているが、この感応片13aは、植
付け苗Ｐに接当していない状態では、作動片12bが苗無
し検知状態のセンサ杆8aに接当支持されてストツパ部10
aのストツパ位置よりも傾斜上手側に臨んだＡ位置に位
置している。一方、植付け苗Ｐが苗ストツパ10によつて
下降停止されている状態では、感応片13aが植付け苗Ｐ
に押圧されて苗ストツパ面と略面一状と成るようにＢ位
置に揺動変姿し、これによつて作動変12bがセンサ杆8a
を押圧して下降させ、苗検知センサ８を苗検知状態に切
換るように設定されている。さらにこの作動体12は、上
記植付け苗Ｐに押圧される状態からさらにＣ位置まで揺
動することができるよう設定されていて、作動範囲に余
裕をもたされている。

叙述の如く構成された本考案の実施例において、通常の
苗植付け作業を行う場合には、苗ストツパ10を収納姿勢
にセツトして全条での苗植付けを行うことになるが、畦
際作業等の如く条合わせを行う場合に、適宜選択される
苗ストツパ10をストツパ姿勢にセツトして植付け苗Ｐの
下手側への下降規制をすれば良く、これによつて条抜け
した状態での苗植付け作業を行えることになる。

この様に本考案においては、苗ストツパ10によつて植付
け苗Ｐの下降規制を行えるものであるが、その苗ストツ
パ位置は、苗送り体７の縦送り始端位置よりも傾斜上手
側となつているので、苗ストツプ時に、苗送り体７の縦
送り作動によつて植付け苗Ｐの根部が損傷を受けること
が無い。しかもこのものは、苗検知センサ８が苗送り体
７と並列する位置に設けられていて、植付け苗が消費さ
れ、その残量が適当量となつた場合に、苗無し状態を検
知し、これによつてブザー、警告灯等による警報を発し
て作業者に報知することになる。しかも苗検知センサ８
は、前述した苗ストツプ状態において、植付け苗Ｐがセ
ンサ杆8aを押圧しないにも拘らず苗検知状態に維持され
て警報を発することが無い。つまりこのものは苗ストツ
プ状態とした場合に、苗感応作動体12は、感応片13aが
下降停止された植付け苗の下端部に押圧接当されて揺動
し、これによつて作動片12bがセンサ杆8aを苗検知状態
となるよう押圧せしめることになる。この結果苗検知セ
ンサ８は、植付け苗Ｐが無いにも拘らず苗検知状態とな
つて警報が発せられることは無い。このため作業者は、
苗ストツプ時において警報が発せられているときは、真
に植付け苗の残量が少なくなつた（無くなつた）場合で
あると判断することができて、従来のように警報に惑わ
されること無く空植えのない植付け作業を行うことがで
きる。

しかもこのものは、苗感応作動体12の左右方向の位置決
めが無されているため、機体振動等によつてずれてしま
う不具合を有効に防止できるという利点が有つて、信頼
性に富んだものにできる。この位置決めの手段として種
々の機構が考えられるが、例えば第７図、第８図に示す
第二実施例の場合の如く当て板13の位置決め片15を設
け、該位置決め片15の先端部を苗ストツパ10に設けた小
径部10eに係合させるようにしても構成することができ
るものである。

また苗感応作動体12は、苗ストツパ時において前述した
苗感応状態となつた姿勢よりもさらにＣ位置まで揺動で
きるよう作動範囲に余裕をもたされているので、感応作
動に無理が無く、しかも植付け苗Ｐが傾斜下手側に迫り
出して来たとしてもこれに有効に対処できて、部材の保
護が計れることになる。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたものであ
るから、苗ストツパは苗送り体の縦送り始端位置よりも
上手側で植付け苗の下降停止をして、植付け苗の根部が
苗送り体の送り作用によつて損傷しないように配慮さ
れ、また苗検知センサは前記縦送り始端位置よりも下手
側で苗検知をして、植付け苗の残量が適当量となつたこ
とを検知できるように配慮されたものであるが、苗スト
ツパによつて苗送り停止状態とした場合に、苗検知セン
サには植付け苗が無いにも拘らず、ストツパ状態となつ
ている植付け苗に感応して作動する苗感応作動体が苗検
知センサに作用して、これを苗検知状態にセツトするこ
とになる。この結果、植付け苗が有るにも拘らず単に下
降停止されているだけで警報が発せられるような不具合
が回避されて、苗ストツパ作業時において、苗ストツパ
をしていない他条の植付け苗が無くなつて真に警報を発
したい場合にのみ警報が発せられることとなつて、苗補
給を適格に報知し、空植えのない植付け作業を行うこと
ができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る移植機における苗載台の苗ストツ
パ装置の実施例を示したものであつて、第１図は乗用型
田植機の側面図、第２図は苗載台の要部斜視図、第３図
は苗載台の要部平面図、第４図は苗載台の要部縦断側面
図、第５図は苗載台の要部縦断正面図、第６図は苗感応
作動体の取付け状態を示す分解斜視図、第７図は第二実
施例の苗載台の要部平面図、第８図は同上要部断面図で
ある。 図中、３は苗載台、７は苗送り体、８は苗検知センサ、
10は苗ストツパ、12は苗感応作動体である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】傾斜状の苗載台を設けてなる移植機におい
   て、前記苗載台に、植付け苗を傾斜下手側に強制縦送り
   する苗送り体と、少なくとも苗送り体の縦送り始端位置
   よりも傾斜下手側に配されていて縦送りされる植付け苗
   の検知をする苗検知センサと、上記縦送り始端位置より
   も傾斜上手側で植付け苗の下端縁を受けて下降停止をす
   るストツパ姿勢とこれを解除する姿勢とに変姿セツトで
   きる苗ストツパとを設けると共に、該苗ストツパには、
   植付け苗が苗ストツパによつて停止保持されたことに感
   応して苗検知センサを苗検知状態にセツトする苗感応作
   動体を設けたことを特徴とする移植機における苗載台の
   苗ストツパ装置。