JPH0638912Y2

JPH0638912Y2 - 消波構造物

Info

Publication number: JPH0638912Y2
Application number: JP1989128572U
Authority: JP
Inventors: 弘佐藤; 千明丹羽; 修一郎源波; 喜大川井; 竜三田沢; 博志米倉; 勝公清水; 哲志清川; 和光高梨; 巧大山; 信孝今村; 佳伸米山; 守那須; 和彦高橋; 孝信樫内
Original assignee: Shimizu Corp
Current assignee: Shimizu Corp
Priority date: 1989-11-02
Filing date: 1989-11-02
Publication date: 1994-10-12
Anticipated expiration: 2004-10-12
Also published as: JPH0369022U

Description

【考案の詳細な説明】［産業上の利用分野］この考案は、海水浄化の機能を有し、海浜近くにおいて
部材を組み立てることにより簡単に構築できる消波構造
物に関するものである。

［従来の技術］従来、外海からの波を遮断するものとして消波提が広く
知られている。消波堤は海浜等の沿岸に設けられ、水面
露出部で外海からの波の伝搬をさえぎる構造物で、従来
の消波堤は一般的には、捨石堤、直立堤、混成堤の３種
に分類される。このうち混成堤は基礎動洗掘防止上、石
塊またはコンクリート塊を海底に捨て込んで基礎とし、
その上に現場打ちコンクリートやコンクリート方塊等か
らなる壁体を設けたものである。混成堤は、波が壁面で
反射し重複波を生ぜしめるために砕け波の割合が低くな
り、壁体への衝撃度が弱まり安定性に優れたものとな
る。したがって、合理的かつ経済的な構造が期待できる
ので最も多用されている消波堤である。

また、沖合に潮流条件を考慮して構築しなければならな
い場合には、多数のコンクリートブロック等を多数積み
重ねて消波堤とすることが行なわれている。

［考案が解決しようとする課題］ところで、最近、海岸付近のレジャー施設の増加に伴
い、比較的波が弱い海浜近くに簡単に設置することがで
き、ある程度の強度、耐久性、浄化機能を有する安価な
消波堤の要求が増加している。しかし、従来の様々な消
波堤は、港湾内を静穏に保つための護岸用がおもな目的
であるから、外海の荒波を遮断するためには大規模な構
造物とならざるを得ず、工期が長期間にわたり、工費も
非常に高額なものになる。したがって、従来の消波堤で
は簡便性と工費の点で要求に答えることが難しく、実現
するまでには至っていない。

この考案は上記の事情に鑑みてなされたもので、比較的
波が弱い海浜近くに簡単に設置することができ、強度、
耐久性、浄化機能を有する安価な消波構造物を提供する
ものである。

［課題を解決するための手段］上記課題を解決するために、この考案は次の様な消波構
造物を採用した。すなわち、海浜近くに設置して外海か
らの波の伝搬をさえぎる消波構造物であって、海浜近く
に海岸線にほぼ平行をなして千鳥状に配置され、下端部
が海底に打ち込まれ上端部が水面上に達する多数の柱体
と、これら柱体に支持され、ジグザグ状に折曲されてこ
れら柱体間に連続的に掛け渡され、海底から離間して水
面下から水面上に至る変形可能な帯状体とからなる消波
構造物である。

［作用］この考案によれば、帯状体が、変形可能であり、しかも
海外線にほぼ平行をなして連続的かつジグザグ状に折曲
されることになるため、外海からの波をもらさずに、砕
くことなく反射させ、しかも重複波を生じさせることに
なり、よって波の干渉を生じさせ、内海への波の伝搬を
遮断する。また、海水に含まれる有機物や汚濁物質等
は、帯状体に付着する藻類や、微小動物等の海洋生物や
微生物等により効果的に分解され、浄化される。

［実施例］第１図及び第２図は、この考案の一実施例を示す図であ
る。

これらの図において、符号１はこの考案に係る消波構造
物である。この消波構造物１は、海岸付近の海域を静穏
化する目的で、海浜沿岸に設けられるもので、多数の柱
体2,2,・・と、帯状体３とから構成されるものである。

柱体２は、例えば、海水による腐食を防止するために表
面に防錆加工がなされた長尺の鋼管からなるものであ
る。柱体2,2,・・は海浜近くに海岸線４とほぼ平行に千
鳥状に配置されている。柱体２の下端部2aは海底に打ち
込まれ、上端部2bは水面上に露出している。

帯状体３は、例えば、海水中において引張り強度、耐久
性共に優れた帯状の布からなるもので、表面には有機物
の分解作用を有する微生物や藻類、微小動物等の海洋生
物が付着している。この帯状体３は柱体2,2,・・に支持
され、ジグザグ状に折曲されてこれら柱体2,2,・・間に
掛け渡され緊張されている。柱体２に掛け渡される帯状
体３は、海底から離間して水面下から水面上に至る位置
にある。

上記の構成からなる消波構造物１を海浜沿岸に設置する
場合、第１図及び第２図に示す様に柱体2,2,・・を海浜
近くに海岸線とほぼ平行に千鳥状に設置し、柱体2,2,・
・の上端部2bが水面上に露出する様に高さを調節する。
ジグザグ状に折曲する様に帯状体３を柱体2,2,・・に掛
け渡し、帯状体３の長手方向の両端部3a,3bを互いに離
間する方向に緊張し、両端の柱体2,2に固定する。

次に、上記の消波構造物１の作用等について説明する。

まず、第１図に示す様に外海Ａから内海Ｂに向って打ち
寄せる波は、帯状体３に当たって砕けることなく反射
し、重複波を生ぜしめる。したがって内海Ｂ側の海面は
凪の状態を保ち続けることができる。

また、海水に含まれる有機物や汚濁物質は帯状体３に付
着している微生物や海洋生物により分解され浄化され
る。

ここで、柱体2,2,・・を海浜近くに千鳥状に設置し、ジ
グザグ状に折曲する様に帯状体３を柱体2,2,・・に掛け
渡し固定することとしたので、帯状体３にかかる引張力
を分散することができ、外海Ａからの波を遮断し内海Ｂ
の海面を凪の状態に保つことができ、静穏海域を形成す
ることが可能になる。また、帯状体３は海底から離間し
ているので、海水の流動が可能となり滞留することがな
い。また、帯状体３には微生物や海洋生物等が付着して
いるので、海水中の有機物や汚濁物質等はこれらの微生
物や海洋生物等により分解され浄化される。

また、構造が簡単なので、海浜近くに簡単に設置するこ
とができ、費用も安価である。

更に、この消波構造物１は種々の方向に複数個連設し、
長大の構造物とすることができる。

以上により、強度、耐久性、浄化機能を有する安価な消
波構造物１を海浜近くに簡単に設置することが可能にな
る。

［考案の効果］この考案によれば、帯状体が、変形可能であり、しかも
海岸線にほぼ平行をなして連続的かつジグザグ状に折曲
されることになるため、外海からの波をもらさずに、砕
くことなく反射させ、しかも重複波を生じさせることに
なり、よって、波の干渉を生じさせ、内海への波の伝搬
を遮断することができ、内海の海面を凪の状態を保つこ
とができて、静穏海域を内海全体に形成することが可能
となる。しかも、帯状体にかかる引張力を分散できる。
また、帯状体は海底から離間しているので、海水の流動
が可能となり滞留することがない。また、帯状体には微
生物や海洋生物等が付着しているので、海水中の有機物
や汚濁物質等はこれらの微生物や海洋生物等により分解
され浄化される。また、構造が簡単なので、海浜近くに
簡単に設置することができ、費用も安価である。

以上により、強度、耐久性、浄化機能を有する安価な消
波構造物を海浜近くに簡単に設置することが可能にな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はこの考案の一実施例を示す図であっ
て、第１図は消波構造物の全体斜視図、第２図は消波構
造物の平面図である。１……消波構造物、２……柱体、３……帯状体、Ａ……外海、Ｂ……内海。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者川井喜大東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)考案者田沢竜三東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)考案者米倉博志東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)考案者清水勝公東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)考案者清川哲志東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)考案者高梨和光東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)考案者大山巧東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)考案者今村信孝東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)考案者米山佳伸東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)考案者那須守東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)考案者高橋和彦東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (72)考案者樫内孝信東京都中央区京橋２丁目16番１号清水建設株式会社内 (56)参考文献特開昭56−48414（ＪＰ，Ａ)

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】海浜近くに設置して外海からの波の伝搬を
さえぎる消波構造物であって、海浜近くに海岸線にほぼ
平行をなして千鳥状に配置され、下端部が海底に打ち込
まれ上端部が水面上に達する多数の柱体と、これら柱体
に支持され、ジグザグ状に折曲されてこれら柱体間に連
続的に掛け渡され、海底から離間して水面下から水面上
に至る変形可能な帯状体とからなることを特徴とする消
波構造物。