JPH063849A

JPH063849A - 静電荷像現像用トナー

Info

Publication number: JPH063849A
Application number: JP4159785A
Authority: JP
Inventors: Shuichi Maeda; 修一前田; Shohachi Morita; 章八森田; Akihiko Yanagihori; 昭彦柳堀
Original assignee: Mitsubishi Kasei Corp
Current assignee: Mitsubishi Kasei Corp
Priority date: 1992-06-18
Filing date: 1992-06-18
Publication date: 1994-01-14

Abstract

(57)【要約】【構成】バインダー樹脂及び着色剤を含有してなる静
電荷像現像用トナーにおいて、該トナーが、サーモトロ
ピック液晶化合物を含有することを特徴とする静電荷像
現像用トナー。【効果】定着性（低温定着性、定着強度、耐オフセッ
ト性）および耐ブロッキング性が極めてバランス良く優
れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、静電荷像現像用トナー
に関する。更に詳しくは、定着性（低温定着性、定着強
度、耐オフセット性）に優れ、しかも耐ブロッキング性
に優れた静電荷像現像用トナーに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、電子写真法を利用した複写機にお
いて、セレン、有機光導電体を有する感光体に形成され
る静電潜像を乾式現像法によって可視化するために、バ
インダー樹脂中に着色剤等の添加剤が分散されたトナー
が用いられている。上記現像方法は、帯電、露光により
上記感光体上に形成された静電潜像を上記トナーで現像
し、現像したトナー像を転写紙等の支持体に転写すると
ともに、加熱ローラーおよび／または加圧ローラーによ
り上記トナー像を支持体に定着させ、上記静電潜像を可
視化している。そして、上記トナー像を支持体に転写し
た後、感光体上に残留するトナーをクリーニングするた
めに、クリーニング部材によって感光体上の残留するト
ナーを掻き取って、次の画像形成プロセスに備えてい
る。上記トナーはバインダー樹脂中に着色剤、必要に応
じ電荷制御剤、磁性粒子等のトナー特性付与剤が分散し
た１〜３０μｍの粒径の樹脂粒子であり、かかるトナー
はキャリアと混合して現像剤を形成する２成分現像剤、
トナーのみによる１成分現像剤として静電潜像の現像に
用いられる。

【０００３】これらトナーは現像工程においては、原稿
画像を忠実に再現する為、現像器内でトナーは優れた流
動性を示し、各トナー粒子の帯電量を均一にし、末帯電
および弱帯電粒子による潜像以外へのトナーの付着によ
るカブリの発生および過剰帯電粒子による現像器内での
トナーの蓄積や潜像への付着量の減少による画像濃度の
低下を防止する必要がある。また、鮮明な画像を得る上
で定着工程においては転写材上に速やかに定着し、そし
てトナーが定着ローラー表面に転移して、以後定着工程
を通過する転写材をローラー上のトナーによって汚す、
所謂オフセット現像を発生しないことが必要である。

【０００４】さらに、トナーは保存時あるいは運搬時等
にブロッキングするような事があってはならない。この
ようなトナーは、流動性、帯電性等が著しく劣化してお
り、もはや現像剤としての機能を果たすことが出来な
い。そこで、トナーの主要成分であるバインダー樹脂に
は微妙な硬度及び熱溶融特性が要求され、着色剤等が分
散されたバインダー樹脂を粉砕・分級して得られるトナ
ーは、現像器内の攪拌による機械的衝撃に対して微粉を
発生することなく、またトナー自体が凝集することなく
良好な流動性を示すことが必要であり、また定着時には
低温で速やかに溶融すること、そして溶融時に溶融トー
が凝集性を示すことが必要である。これらの性能を全て
満足するバインダー樹脂を設計することは極めて困難で
あり、特に定着性と耐オフセット性・耐ブロッキング性
は相反する性能である為両者の性能を両立することは至
難の技である。

【０００５】そこで、従来からバインダー樹脂として使
用される重合体の分子量及び分子量分布について多くの
提案がなされている。例えば、特開昭５６−１６１４４
号公報においては分子量が１０³〜×８×１０⁴及び１
０⁵〜８×１０⁶の各々の領域に少なくとも１つの極大
値をもつバインダー樹脂を使用することが提案されてい
る。しかしながら、上記公報によるトナーは確かに現像
器内での耐衝撃性や流動性等についてはある程度の効果
が得られるものの、転写材への定着性等に耐オフセット
性については未だ満足のいく結果が得られていない。ま
た、数平均分子量が１０００〜４０００の低温融解、高
流動性樹脂を５０〜９５重量％含有するトナーが提案さ
れているが（特公昭５９−１０７３６０号公報）、耐オ
フセット性、耐ブロッキング性になお問題を残してい
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決して、定着性（低温定着性、定着強度、耐オフセット
性）、耐ブロッキング性に優れたトナーを提供すべく鋭
意検討の結果、バンダー樹脂中にサーモトロピック液晶
化合物を含有せしめることによりトナーの耐オフセット
性、耐ブロッキング性を損なわずに低温定着性、定着強
度を大幅に向上させることができることを見いだした。

【０００７】すなわち、本発明の要旨は、バインダー樹
脂及び着色剤を含有してなる静電荷像現像用トナーにお
いて、該トナーがサーモトロピック液晶化合物を含有す
ることを特徴とする静電荷像現像用トナーに存する。以
下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いるサーモト
ロピック液晶化合物とは、サーモトロピック液晶（結晶
を加熱したとき、融点と透明点の間に出現する外観上濁
った粘稠な流動性のある状態）を形成し得る化合物を言
う。

【０００８】サーモトロピック液晶化合物は各種樹脂と
の相溶性に優れる為、ブレンド時の相分離に由来するカ
ーボンブラック、帯電制御剤の分散不良が生じない。こ
の為、画質に優れ、エージング時の帯電量が極めて安定
なトナーを供給することができる。本発明で用いるサー
モトロピック液晶化合物としては、例えば１）アゾメチン系化合物（シッフ塩基化合物）

【０００９】

【化１】

【００１０】（式中、Ｒ，Ｒ′はアルキル基を示す。）２）アゾキシ系化合物

【００１１】

【化２】

【００１２】（式中、Ｒ，Ｒ′はアルキル基を示す。）３）シアノビフェニル系化合物

【００１３】

【化３】

【００１４】（式中、Ｒはアルキル基を示す。）４）安息香酸エステル系化合物

【００１５】

【化４】

【００１６】（式中、Ｒ，Ｒ′はアルキル基を示す。）５）シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル系化合
物

【００１７】

【化５】

【００１８】（式中、Ｒ，Ｒ′はアルキル基を示す。）６）シアノフェニルシクロヘキサン系化合物

【００１９】

【化６】

【００２０】（式中、Ｒはアルキル基を示す。）７）置換フェニルピリミジン系化合物

【００２１】

【化７】

【００２２】（式中、Ｒ，Ｒ′はアルキル基を示す。）８）フェニルジオキサン系化合物

【００２３】

【化８】

【００２４】（式中、Ｒはアルキル基を示す。）９）トラン系液晶化合物

【００２５】

【化９】

【００２６】（式中、Ｒ，Ｒ′はアルキル基を示す。）１０）アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル系化合
物

【００２７】

【化１０】

【００２８】（式中、Ｒはアルキル基を示す。）等が挙
げられる。これらのサーモトロピック液晶化合物の中で
好ましいものとしては下記一般式〔Ｉ〕又は〔II〕

【００２９】

【化１１】

【００３０】（式中、Ｒ¹，Ｒ²，Ｒ³、及びＲ⁴はそ
れぞれ、アルキル基，アルコシル基，又は、シアノ基を
示す。）で表わされるアゾメチン系化合物が挙げられ
る。本発明のサーモトロピック液晶化合物と共に用いら
れるバインダー樹脂はスチレン系樹脂、ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂をはじめとする公知の樹脂が用いられ
る。

【００３１】サーモトロピック液晶化合物の含有量は、
バインダー樹脂中０．２〜１０％が好ましく、特に好ま
しくは、２〜５％である。熱液晶化合物の含有量が０．
２％未満であるとその効果は小さく、また１０％を越え
るとトナーの過粉砕が生じる。本発明のトナーに用いる
着色剤としては、公知のものが全て使用でき、例えば、
カーボンブラック、ニグロシン、ベンジシンイエロー、
キナクリドン、ローダミンＢ、フタロシアニンブルー等
がある。

【００３２】本発明トナーは、乾式１成分現像剤及び２
成分現像剤のいずれにも使用でき、１成分の磁性体とし
ては、フェライト、マグネタイト等をはじめとする鉄、
コバルト、ニッケル等の強磁性を示す合金、或は化合物
または強磁性元素を含まないが適当に熱処理することに
よって強磁性を示すようになる合金、例えは、マンガン
−銅−アルミニウムあるいはマンガン−銅−スズ等のマ
ンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合
金、または二酸化クロム等を挙げることが出来る。磁性
体は、平均粒径０．３〜３０μｍの微粉末の形でバイン
ダー樹脂中に均一に分散される。磁性体粒子の含有量
は、バインダー１００重量部当り２０〜７０重量部好ま
しくは４０〜７０重量部が望ましい。

【００３３】トナーの帯電制御は、バインダー樹脂、着
色剤自体で行っても良いが、必要に応じて帯電性制御剤
を併用しても良い。正帯電性制御剤として、４級アンモ
ニウム塩、塩基性・電子供与性の有機物質、負帯電性制
御剤として、金属キレート類、含金染料、酸性もしくは
電子求引性の有機物質等を用いることができる。帯電制
御剤の添加量はバインダー樹脂の帯電性、着色剤の添加
量・分散方法を含めた製造方法、その他の添加剤の帯電
性等の条件を考慮した上で決めることができるが、バイ
ンダー樹脂１００重量部に対して０．１〜１０重量部が
適当である。この他、金属酸化物等の無機粒子や前記有
機物質で表面処理した無機物質を用いても良い。これら
帯電制御剤は、バインダー樹脂中に混合添加して用いて
も、トナー粒子表面に付着させた形で用いても良い。

【００３４】さらにまた、固体電解質、高分子電解質、
電荷移動錯体、酸化スズ等の金属酸化物等の導電体、半
導体、あるいは強誘電体、磁性体等を添加しトナーの電
気的性質を制御することができる。この他、トナー中に
は熱特性・物理特性等を調整する目的で各種可塑剤・離
型剤等の助剤を添加することも可能である。その添加量
は、バインダー樹脂１００重量部に対して０．１〜１０
重量部が適当である。

【００３５】さらに、トナー粒子にたいして、Ｔｉ
Ｏ₂、Ａｌ₂Ｏ₃、ＳｉＯ₂等の微粉末を添加し、これ
らを用いてトナー粒子表面を被覆せしめることによって
トナー流動性・耐凝集性の向上を図ることができる。そ
の添加量は、バインダー樹脂１００重量部に対して０．
１〜１０重量部が好ましい。本発明のトナーの製造方法
には、従来から用いられている各種トナー製造法が適用
できるが、例えば一般的製造法として次の例が挙げられ
る。まず、樹脂、着色剤（場合により帯電制御剤等）を
ボールミル、Ｖ型混合機、Ｓ型混合機、ヘンシェルミキ
サー等で均一に分散する。次いで分散物を双腕ニーダ
ー、加圧ニーダ等で溶融混練する。該混合物をハンマー
ミル、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機で粉砕し、
さらに得られた粉体を風力分級機等で分級する。

【００３６】得られたトナーは、キャリアと混合して電
子写真用現像剤を形成させ、従来から実施されている電
子写真法による複写に用いることができる。なお、キャ
リアは、公知の鉄粉系、フェライト系キャリア等の磁性
物質またはそれらの表面にコーティングを施したものを
トナー１部に対して１０部〜１００部用いることが好ま
しい。

【００３７】

【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
るが、本発明は、これらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、実施例中の「部」は、「重量部」を表す。実施例１バインダー樹脂として架橋系スチレンアクリル樹脂Ａ９
０部と下記構造式

【００３８】

【化１２】

【００３９】で表わされるアゾメチン系サーモトロピッ
ク液晶化合物５部、ビスコール５５０Ｐ（三洋化成
（株）製、ポリプロピレンワックス）３部、カーボンブ
ラック＃３０（三菱化成（株）製）ボントロンＮ−０４
（オリエント化成製、ニグロシン染料）２．０重量部を
混合した後、二軸押出機を用いて溶融混練した。冷却
後、ハンマーミルにより粗粉砕し、次いで超音速ジェッ
トミル粉砕機にて微粉砕した。得られた粉体を風力分級
機で分級し平均粒径１０．３μｍのトナーＡを得た。

【００４０】実施例２架橋系スチレンアクリル樹脂Ａを６０部用い、サーモト
ロピック液晶化合物として下記構造式

【００４１】

【化１３】

【００４２】で表わされるアゾメチン系サーモトロピッ
ク液晶化合物１部を用いる以外は実施例１と同様にして
平均粒径１０．３μｍのトナーＢを得た。

【００４３】実施例３バインダー樹脂として非架橋スチレンアクリル樹脂Ｂ７
０部を用い、サーモトロピック液晶化合物として下記構
造式

【００４４】

【化１４】

【００４５】で表わされるアゾメチン系サーモトロピッ
ク液晶化合物２部を用いる以外は実施例１と同様にして
平径粒径１０．３μｍのトナーＣを得た。

【００４６】実施例４バインダー樹脂として架橋系ポリエステルＣ７０部を用
いサーモトロピック液晶化合物として下記構造式

【００４７】

【化１５】

【００４８】で表わされるアゾメチン系サーモトロピッ
ク液晶化合物２部を用いる以外は実施例１と同様にし
て、平均粒径１０．３μｍのトナーＤを得た。

【００４９】（比較例１）バインダー樹脂として架橋系
スチレンアクリル樹脂Ａ１００部を用い、サーモトロピ
ック液晶化合物を用いない以外は実施例１と同様にして
平均粒径１０．３μｍのトナーＥを得た。

【００５０】（比較例２）バインダー樹脂として非架橋
系スチレンアクリル樹脂Ｂ１００部を用い、サーモトロ
ピック液晶化合物を用いない以外は実施例１と同様にし
て平均粒径１０．３μｍのトナーＦを得た。

【００５１】（比較例３）バインダー樹脂として架橋系
ポリエステルＣ１００部を用い、サーモトロピック液晶
化合物を用いない以外は実施例１と同様にして平均粒径
１０．３μｍのトナーＧを得た。

【００５２】（比較例４）バインダー樹脂として、架橋
系スチレンアクリル樹脂Ａ６０部とアセトフェノン系ケ
トン樹脂ハロン１１０Ｈ（本州化学（株）製）４０部を
用い、サーモトロピック液晶化合物を用いない以外は実
施例１と同様にして平均粒径１０．３μｍのトナーＨを
得た。本発明において定着性（定着下限温度、高温オフ
セット発生温度、定着強度）テストは次のような方法で
行った。

【００５３】定着下限温度、高温オフセット発生温度：
ロール回転数が４００ｍｍ／ｓの定着機のロール温度を
変えながら現像未定着試料を通紙して行った。定着下限
温度は定着トナーが剥離しない最も低い温度とし、高温
オフセット発生温度はローラーにオフセット付着するト
ナーが発生した温度とした。

【００５４】定着強度：ロール回転数が４００ｍｍ／
ｓ、ロール温度が１９０℃の定着機を用い現像未定着試
料を通紙し定着させ、形成された定着画像に対し摩擦堅
牢度試験を行い、トナーの剥離前と剥離後の定着画像の
画像濃度を反射濃度計により測定し

【００５５】

【数１】

【００５６】耐ブロッキング性テスト：トナーを一定圧
力をかけた状態で５０℃〜２日間放置し凝集の程度を評
価した。上記、トナーＡ〜Ｈと平均粒径５０〜８０μｍ
のフェライトキャリアを混合してトナー濃度４．０％の
現像剤とし定着性（定着下限温度、高温オフセット発生
温度、定着強度）テスト及び耐ブロッキング性テストを
行った結果を表１に示す。

【００５７】

【表１】

【００５８】以上のように、サーモトロピック液晶化合
物を含有するトナーは該化合物を含有しないトナーに比
べ、定着下限温度、定着強度に関し、その性能が大幅に
向上していることがわかった。

【００５９】

【発明の効果】表からも明らかな様に本発明によれば定
着性（低温定着性、定着強度、耐オフセット性）および
耐ブロッキング性が極めてバランス良く優れたトナーが
得られる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】バインダー樹脂及び着色剤を含有してな
る静電荷像現像用トナーにおいて、該トナーが、サーモ
トロピック液晶化合物を含有することを特徴とする静電
荷像現像用トナー。