JPH0638369Y2

JPH0638369Y2 - 陰極線管

Info

Publication number: JPH0638369Y2
Application number: JP9614388U
Authority: JP
Inventors: 邦彦柳井
Original assignee: Sony Corp
Current assignee: Sony Corp
Priority date: 1988-07-20
Filing date: 1988-07-20
Publication date: 1994-10-05
Anticipated expiration: 2003-07-20
Also published as: JPH0218260U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は、アノードボタンの内側にゲッター装置を装着
して成る陰極線管に関する。

〔考案の概要〕

本考案は、アノードボタンにゲッター装置を装着した陰
極線管において、アノードボタンに圧入固定した支持板
の一端に形成した爪部とアノードボタン間にゲッタース
プリングを支持し、ゲッタースプリングの爪部係止部及
びアノードボタン係合部間の距離l₂と、支持板のアノー
ドボタンとの固定部及び爪部間の距離l₁との関係をl₂≦
l₁に選定して爪部の傾斜により生ずるアノードボタン方
向の分力でゲッタースプリングを支持固定して構成する
ことにより、ゲッター装置の取付状態を堅牢にして振動
を受けても動かないようにすると共に、ゲッタースプリ
ングの支持板への装着を容易ならしめるようにしたもの
である。

〔従来の技術〕

陰極線管においては、管体内の真空度を維持するために
ゲッターが必要である。一般にゲッター支持方法に第９
図に示すように電子銃（２）に取着する方法がとられて
いる。第９図はカラー陰極線管に適用した場合で、同図
中、（１）は管体、（３）はそのパネル内面に形成され
たカラー螢光面、（４）は色選別機構、（５）はアノー
ドボタンを示す。電子銃（２）はR,G,Bに対応する３本
のカソード（図示せず）に対して共通に第１グリッド
G₁，第２グリッドG₂，第３グリッドG₃，第４グリッドG₄
及び第５グリッドG₅が順次配列され、第５グリッドG₅の
後段に内側偏向電極板（6a）（6b）と外側偏向電極板
（6c）（6d）を有する静電コンバージェンス手段（６）
が配される。第３グリッドG₃及び第５グリッドG₅、内側
偏向電極板（6a）（6b）にはアノードボタン（５）より
内装導電膜（７）及び導電接触子（８）を介してアノー
ド電圧HVが与えられ、外側偏向電極板（6c）（6d）には
分割抵抗板（９）を介してアノード電圧HVより数百Ｖ低
いコンバージェンス電圧CVが与えられる。そして、この
電子銃（２）のコンバージェンス手段（６）に、遊端に
ゲッター材を入れたゲッター容器（11）を溶接したアン
テナスプリング（12）が溶接される。

このゲッター支持方法では、電子銃（２）をネック部
（1n）内に挿入する際の電子銃の曲がり（例えばアンテ
ナスプリング（12）のスプリング力による電子銃（２）
の離軸等）の問題、或いは完成後に管内で放電が生じた
場合に直接アンテナスプリング（12）を通して大電流が
流れセット等の回路部に影響を及ぼす問題等がある。

これを改善するために、例えば第10図に示すようにゲッ
ター支持をアノードボタン（５）に於て行うゲッター支
持方法が考えられている。このゲッター装置（13）は、
第11図及び第12図に示すようにアノードボタン（５）の
軸部（5a）に圧入固定される支持板（14）と、この支持
板（14）に支持されるゲッター容器（11）を取付けたゲ
ッタースプリング（15）とから構成される。支持板（1
4）は、その中央にアノードボタンの軸部（5a）に圧入
される挿入孔（16）を有し、挿入孔（16）の周囲に放射
状の切り込（17）で形成された複数のクランプ爪（18）
が設けられ、又一方の端辺に端に向かって広がり奥端に
ゲッタースプリング（15）の係合ピン（19）と係合する
係合部（20a）を有した三角溝（20）が形成されて成
る。ゲッタースプリング（15）は、一端にゲッター容器
（11）を取付けると共に中間部に係合ピン（19）を溶接
して形成される。

そして、アノードボタン（５）の軸部（5a）に支持板
（14）の挿入孔（16）を圧入し、クランプ爪（18）によ
って支持板（14）を軸部（5a）に固定した後、ゲッター
スプリング（15）の係合ピン（19）を支持板（14）の三
角溝（20）の係合部（20a）に係止させると共に他端（1
5A）を軸部（5a）上に当接させめてゲッター装置（13）
のアノードボタン（５）への取付けが完了する。このゲ
ッター支持方法によれば、第９図のゲッター支持方法の
場合の問題点は解消される。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし乍ら、第10図乃至第12図に示すゲッター支持方法
においては次のような問題点があった。

（ｉ）ゲッタースプリング（15）に係合ピン（19）を溶
接する為に組立工程が多くなり、また部品精度も低下し
且つコスト高となる。

（ii）支持板（14）とゲッタースプリング（15）とのク
リアランスが小さいために取付けしにくい欠点がある。

（iii）ゲッター装置（13）を取付けた状態で例えば振
動を受けた時にその係合ピン（19）の係合部分を中心に
ゲッタースプリング（15）が回転方向に揺動する。この
揺動で内装導電膜（７）がこすれて剥離する懼がある。

（iv）ゲッター装置（13）の取付信頼性が低い為に、取
付後に内視鏡により全数検査の必要がある。

本考案は、上述の点に鑑み、ゲッター装置のアノードボ
タンへの装着を容易にし、且つゲッター装置の取付状態
を堅牢にして振動を受けてもゲッター装置が動かないよ
うにした陰極線管を提供するものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の陰極線管は、管体内に臨むアノードボタン
（５）に圧入固定した支持板（32）と、この支持板（3
2）の一端に形成した爪部（37）とアノードボタン
（５）との間で支持されるゲッタースプリング（33）か
らなるゲッター装置を具備して成るもので、特にゲッタ
ー装置として、そのゲッタースプリング（33）の爪部
（37）との係止部（42）及びアノードボタン（５）との
係合部（40）間の距離l₂を、支持板（32）のアノードボ
タン（５）との固定部（34）及び爪部（37）間の距離l₁
と等しいか、或はこれより小に選定し（l₂≦l₁）、爪部
（37）の傾斜により生ずるアノードボタン方向の分力で
ゲッタースプリングを爪部及びアノードボタン間に支持
固定するように構成する。

支持板（32）は中央にクランプ爪（36）に囲まれた挿入
孔（34）が形成され、且つその一端の両側に所定角度で
折曲された２つの傾斜する爪部が設けられて成る。支持
板（32）は挿入孔（34）をアノードボタン（５）の軸部
に圧入することによってクランプ爪（36）で強固にアノ
ードボタン（５）に固定する。ゲッタースプリング（3
3）は幅広部分（38）と之より延長する幅狭部分（39）
を有して成り幅狭部分（39）の延長端にゲッター容器
（43）が取付けられる。幅狭部分（39）は支持板（32）
の２つの爪部（37）間を通過し得る幅に形成される。又
幅広部分（38）においては、その端部にアノードボタン
の軸部に係合する係合部即ち二股状部（41）が形成さ
れ、幅狭部分（39）との境の幅広端縁（42a），（42b）
が支持板の爪部（37）に係止されるように形成される。

そして、この場合、前述したようにゲッタースプリング
の二股状部（即ちアノードボタンとの係合部）（41）と
幅広端縁（即ち爪部（37）との係止部）（42a）間の距
離l₂は、支持板の爪部（37）と挿入孔（即ちアノードボ
タン）との固定部（34）間の距離l₁と等しいか、或はl₁
より小に選定される。

〔作用〕

アノードボタン（５）に圧入固定された支持板（32）に
対してゲッタースプリング（33）を装着する際、ゲッタ
ースプリング（33）の二股状部（41）と幅広端縁（42
a）間の距離l₂と、支持板（32）の爪部（37）と挿入孔
（34）間の距離l₁の関係がl₂≦l₁であるために、クリア
ランスが大きく、ゲッタースプリング（33）を爪部（3
7）及びアノードボタン（５）間に容易に装着すること
ができる。そして、この装着後、管体（１）のファンネ
ル部が彎曲していることによって、第２図に示すように
ゲッタースプリング（33）の延長端に管壁に略垂直な方
向の力Ｆが作用する。この力Ｆによりゲッタースプリン
グ（33）の幅広端縁（42a）も略垂直方向に変位する
が、このとき爪部（37）の傾斜によりゲッタースプリン
グ（33）はアノードボタン方向への分力Ｅを受けてアノ
ードボタン方向へ変位する。その結果、ゲッタースプリ
ング（33）は爪部（37）の傾斜部とアノードボタン
（５）間において弾性的に且つ強固に支持固定される。
従って、振動等を受けても容易に動くことはない。ま
た、部品が単純化され、部品間の結合状態が単純化さ
れ、取付けの信頼性が向上する。

〔実施例〕

以下、第１図乃至第８図を用いて本考案の一実施例を説
明する。

第１図は本例によるカラー陰極線管の概略図であり、前
述の第10図と対応する部分に同一符号を付して重複説明
は省略するも、（１）は管体、（２）は電子銃、（３）
はカラー螢光面、（４）は色選別機構、（５）はアノー
ドボタンを示す。又、（31）はアノードボタン（５）に
取着された本考案に係るゲッター装置を示す。

本例においては、特にゲッター装置（31）を第２図及び
第３図に示すようにアノードボタン（５）の管体内に臨
む軸部（5a）に固定される支持板（32）と、この支持板
（32）及びアノードボタンの軸部（5a）間で支持固定さ
れるゲッタースプリング（33）とから構成される。支持
板（32）は、中央にアノードボタンの軸部（5a）が圧入
し得る挿入孔（34）を有し、その挿入孔（34）の周囲に
放射状の切り込み（35）によって複数のクランプ爪（3
6）が形成され、又、一端の両側に間隔ｄを置いて夫々
表面に所定の角度θ例えばθ＝45°に傾斜して折曲した
１対の爪部（37）〔（37a）及び（37b）〕が形成されて
なる（第４図及び第５図参照）。

ゲッタースプリング（33）は、幅W₁を有する幅広部分
（38）と之より延長して少なくとも幅広部分より所定長
さにわたって幅W₂を有する幅狭部分（39）とを有し、幅
広部分（38）の端部にアノードボタンの軸部（5a）に係
合する溝部（40）を形成する如き二股状部（41）を形成
して成る。幅狭部分（39）の幅W₂は支持板（32）の爪部
（37a）及び（37b）間を通過し得る幅に設定されるもの
で、この場合、支持板（32）の爪部（37a）及び（37b）
間の間隔ｄとほぼ等しくするを可とする。幅広部分（3
8）の幅狭部分（39）との境の幅広端縁（42a）及び（42
b）は後述で明らかとなるように支持板（32）の爪部（3
7a）及び（37b）を係止する係止部となる。又、幅広端
縁（42a），（42b）と二股状部（41）間の距離l₂は支持
板（32）の挿入孔（34）の縁と爪部（37）間の距離l₁と
等しいか、或はl₁より小（l₂≦l₁）に選定される。例え
ばl₂＋（０〜0.5mm）＝l₁となるようにする。そしてこ
のゲッタースプリング（33）の延長部にゲッター材を入
れるゲッター容器（43）が溶接等により取付けられる。
この例では、大型管に適用されるもので、２個のゲッタ
ー容器（43）が取付けられる（第６図及び第７図参
照）。

かかるゲッター装置（31）をアノードボタン（５）に取
着するには次のように行う。先ず、支持板（32）の挿入
孔（34）をアノードボタン（５）の軸部（5a）に圧入し
て支持板（32）を軸部（5a）に固定する。このとき、ク
ランプ爪（36）によって支持板（32）は軸部（5a）に強
固に固定される。次に、ゲッター容器（43）を取付けた
ゲッタースプリング（33）の幅狭部分（39）が支持板
（32）の両爪部（37a）及び（37b）間を通過するように
して両幅広端縁（42a）及び（42b）を支持板（32）の各
爪部（37a），（37b）に嵌め込んで後、二股状部（41）
の溝部（40）を軸部（5a）に係合する。

このとき、l₂≦l₁の関係があるため、ゲッタースプリン
グ（33）は支持板（32）の爪部（37）とアノードボタン
の軸部（5a）間に容易に係合される。そして、ゲッター
スプリング（33）を係合した後、第２図に示すように管
体のファンネル壁面が彎曲していることにより、ゲッタ
ースプリング（33）の延長端に対してファンネル壁面に
略垂直方向の力Ｆが作用し、この力Ｆによりゲッタース
プリング（33）の幅広端縁（42a）が略垂直方向Ｃへ変
位する。このとき、爪部（37）は傾斜しているので、幅
広端縁（42a）の接点Ｅにおいてゲッタースプリング（3
3）はアノードボタン（５）に向うＤ方向への分力を受
けてＤ方向へ変位し、アノードボタンの軸部（5a）を弾
性的に押し付けることになり、安定して支持板（32）と
軸部（5a）間に支持固定される。ゲッタースプリング
（33）を取付外す場合は、二股状部（41）を上方に軽く
引けば簡単に取り外せる。

なお、支持板（32）をアノードボタンの軸部（5a）に圧
入した後、例えばフリッタブルゲッターを使用する場合
はファンネル単体でゲッタースプリング（33）を組み込
み、又通常のゲターを使用する場合はフリットシール後
にネック部より治具又は挿入機を使用してゲッタースプ
リング（33）を取付ける。

支持板（32）に取付けられたゲッタースプリング（33）
はゲッター容器（43）が第２図のＡ方向（管体内壁より
浮く方向）に移動する力が加わった場合、ゲッタースプ
リング（33）のＥ点（即ち爪部（37）との係止部）が支
点となって二股状部（41）側にＢ′方向（下方）の力が
加わるため外れることはない。又、二股状部（41）側で
のＢ方向の力はアノードボタン部分でのゲッタースプリ
ングの重量がほとんどないため外力を加えない限り外れ
ることはない。又、第３図に示すように、ゲッタースプ
リング（33）に対する横方向（回転）D-D′或いはE-E′
の力についても支持板（32）の爪部（37）間に幅狭部分
が挟持されているために外れない。

かかる本構成によれば、構成部品が単純化され、組立て
も単純化されることにより、部品精度が向上し、且つ低
減が図れる。また、取付け状態では堅牢に固定されるた
め振動に対しても回転等の移動がない。

そして、特に本構成においてはゲッタースプリング（3
3）の取付けが簡単となる。因みに、上述の構成におい
てl₂＞l₁とし、ゲッタースプリング（33）を支持板（3
2）の爪部（37）との係止部を支点に弾性的にアノード
ボタンの軸部（5a）に押し付けて固定する構造も考えら
れるが、このときには、第８図に示すように、取付け時
にゲッタースプリングの二股状部（41）を側を上方に反
らして嵌合するようになすが、クリアランスが無いため
に二股状部（41）を開放したとき、途中で引っかかりゲ
ッタースプリングの溝部（40）がスムーズに軸部（5a）
に嵌合せず、嵌合ミスが多発する。之に対し、本構成で
はl₂≦l₁であるのでこのような嵌合ミスは生ぜず、容
易，確実に嵌合させることができる。同時に支持板（3
2）及びゲッタースプリング（33）の部品精度を下げる
ことができるので、支持板（32）及びゲッタースプリン
グは作り易く安価に得られる。

このように取付信頼性が向上するためゲッタースプリン
グの取付後の検査も簡素化される。さらに、アノードボ
タンは従来の構造のものを使用することができる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、アノードボタンへのゲッター装置の装
着を容易、且つ確実にすることができ、装着時の信頼性
が向上する。そして、取付状態がより堅牢となるため
に、ガタがなくなり振動に対しても回転等の移動がな
い。また、取付信頼性が向上するために取付後の検査を
簡素化することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による陰極線管の概略的断面図、第２図
及び第３図はその要部断面図及び平面図、第４図及び第
５図は本考案に係るゲッター装置を構成する支持板の平
面図及び側面図、第６図及び第７図は本考案に係るゲッ
ター装置を構成するゲッタースプリングの平面図及び側
面図、第８図は本考案の説明に供する断面図、第９図は
従来のゲッター支持方法の一例を用いた陰極線管の概略
的断面図、第10図は従来のゲッター支持方法の他の例を
用いた陰極線管の概略的断面図、第11図及び第12図は第
10図の要部の断面図及び平面図である。（５）はアノードボタン、（31）はゲッター装置、（3
2）は支持板、（33）はゲッタースプリングである。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】管体内に臨むアノードボタンに圧入固定さ
れた支持板と、該支持板の一端の爪部と前記アノードボ
タンとの間で支持されるゲッタースプリングとからな
り、前記ゲッタースプリングの前記爪部との係止部及び前記
アノードボタンとの係合部間の距離が、前記支持板の前
記アノードボタンとの固定部及び前記爪部間の距離と等
しいか或はこれより小に選定され、前記爪部の傾斜により生ずる前記アノードボタン方向の
分力で前記ゲッタースプリングが支持固定されるゲッタ
ー装置を具備して成る陰極線管。