JPH10312750A - 電子管用電子銃の支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 陰極線管のネック部内に電子銃を高精度で位
置決めすることができ、そしてその作業が極めて容易に
行うことができる電子銃の支持装置を得ること。 【解決手段】 電子銃２を陰極線管のネック部の内壁５
に両者の中心軸が一致して装着できるように、電子銃２
の第５グリッド３のフランジ部４に溶接される位置決め
部材１０Ａを溶接部１１と支持部１２の他に、両者間
に、前記溶接部１１の平面に対して直角に折り曲げられ
た形成された取付け基準部１３とで構成し、この位置決
め部材１０Ａをフランジ部４に取り付けるに当たって、
取付け基準部１３をフランジ部４の端面にあてがい、溶
接部１１をフランジ部４の平面に接触させた状態で、そ
のフランジ部４と溶接部１１とを溶接して、電子銃２を
支持できるように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電子管、特にカラ
ーテレビジョン用陰極線管に組み込まれる電子銃の支持
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】先ず、従来技術の電子管用電子銃の支持
装置を図を用いて説明する。なお、以下の説明では電子
管としてカラーテレビジョン用陰極線管（以下、単に
「陰極線管」と記す）を採り上げ、その陰極線管に組み
込まれる電子銃の支持装置を説明する。図３は陰極線管
のネック部に装着される電子銃に取り付けられた状態の
従来技術の電子銃の支持装置の一部断面側面図であり、
そして図４は図３に示した電子銃の支持部材部分の一部
を拡大して示した断面側面図である。

【０００３】図３及び図４に示したように、従来技術の
電子銃の支持装置１は、電子銃２の一部を構成し、その
最先端部に取り付けられている円筒状の第５グリッド３
の端部に、その中心軸Ｌｏに直角に折り曲げられた状態
で形成されたフランジ部４に、後記する構造の位置決め
部材１０の一端部が溶接された状態で構成されている。

【０００４】前記位置決め部材１０は、例えば、イコン
ネルのような金属製の弾力性のある板バネ状のものであ
って、図４に拡大して示したように、その一端部が溶接
部１１であって、これに続いて前記電子銃の中心軸Ｌｏ
に対して外方に、そして前記フランジ部４に溶接した場
合に、そのフランジ部４より更に前方に折り曲げられた
状態の連結部１２ａと、更にこれに続き、端部が外方に
膨出した膨出部１２Ｂとからなる支持部１２とから構成
されている。前記連結部１２ａの折り曲げ角度はフラン
ジ部４の平面に対して９０°未満の角度である。この連
結部１２ａはフランジ部４から前記９０°未満の角度で
直接折り曲げられている。

【０００５】前記のような構造の位置決め部材１０は、
その溶接部１１が第５グリッド３のフランジ部４の、例
えば、４ヵ所に等間隔を開けて溶接される。これらの位
置決め部材１０の溶接に当たっては、図３に示したよう
に、左手で電子銃２を、右手で位置決め部材１０を持
ち、前記溶接部１１と連結部１２ａとの折り曲げ部分を
位置決め基準にして、その溶接部１１を第５グリッド３
本体側のフランジ部４の平面に密着させ、その上方から
上部電極２１をあてがい、第５グリッド３のフランジ部
４側から下部電極２２をあてがって、抵抗溶接が行われ
ている。そしてこれら位置決め部材１０の溶接に当たっ
ては、図３に示したように、電子銃２の中心軸Ｌｏから
の陰極線管のネック部の内壁５と前記膨出部１２Ｂとの
接触点までの寸法Ｌがいずれの位置決め部材１０の溶接
においても一致していることが肝要である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、位置決め部
材１０の前記位置決め基準が甘いため、前記各寸法Ｌを
出しにくく、これらが矢印Ｘ方向にずれることが往々に
してあり、前記寸法Ｌがずれることによって陰極線管の
中心軸と電子銃２の中心軸Ｌｏとがずれ、従って、電子
ビームの軌道と陰極線管の蛍光面の露光位置がずれ（ミ
スランディング）てしまうため、手直しを行わなければ
ならなかった。また、前記ずれが大きい場合には不良品
として廃棄されている。このように従来技術の位置決め
部材１０では、前記ずれを回避することは難しく、従っ
て、作業性が非常に悪かった。

【０００７】従って、本発明は前記のような課題を解決
しようとするものであって、陰極線管のネック部内に電
子銃を高精度で位置決めすることができ、そしてその作
業が極めて容易に行うことができる電子銃の支持装置を
得ることを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の電子銃の支持装置は、電子銃の一部を構成
する最先端部のグリッドの端部に形成された或る厚さの
フランジ部に外方に開いた状態で複数本の位置決め部材
を等間隔で溶接して一体化し、この位置決め部材付き電
子銃を電子管のネック部内に装着した場合に前記電子銃
のセンタリングを行う電子銃の支持装置において、前記
位置決め部材は、その一端部を溶接部とし、これに続い
て前記電子銃の長軸方向に対して外方に、そして前記フ
ランジ部より更に前方に折り曲げられている連結部と更
にこれに続き、端部が外方に膨出した接触部とからなる
支持部とで構成されており、更に前記溶接部に続く前記
連結部の前記フランジ部の厚さにほぼ相当する長さ部分
が前記フランジ部の平面に対して直角に折り曲げられて
取付け基準部が形成されており、前記取付け基準部を前
記フランジ部の端面に当てがって前記溶接部をフランジ
部に接触させ、このような接触状態で前記溶接部を前記
フランジ部に溶接して構成し、前記課題を解決してい
る。

【０００９】従って、本発明の電子銃の支持装置によれ
ば、位置決め部材に取付け基準部が形成されているた
め、位置決め部材を電子銃の中心軸に対して高精度に、
そして極めて容易に取り付けることができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図１及び図２を用いて、本
発明の電子銃の支持装置の実施例を説明する。図１は陰
極線管のネック部に装着される電子銃に取り付けられた
状態の本発明の電子銃の支持装置の一部断面側面図であ
り、そして図２は図１に示した電子銃の支持部材部分の
一部を拡大して示した断面側面図である。なお、従来技
術の電子銃の支持装置の構成部分と同一の構成部分には
同一の符号を付して説明する。

【００１１】符号１Ａは本発明の電子銃の支持装置を指
す。本発明の電子銃の支持装置１Ａも従来技術のものと
同様に、電子銃２の一部を構成し、その最先端部に取り
付けられている円筒状の第５グリッド３の端部に、その
中心軸Ｌｏに直角に折り曲げられた状態で形成されたフ
ランジ部４に、後記する構造の位置決め部材１０Ａの一
端部が溶接された状態で構成されている。

【００１２】前記位置決め部材１０Ａは、本発明におい
ても、例えば、イコンネルのような金属製の弾力性のあ
る板バネ状のものを用い、図２に拡大して示したよう
に、その一端部は溶接部１１であって、これに続いて前
記電子銃２の中心軸Ｌｏに対して外方に、そして前記フ
ランジ部４に溶接した場合に、そのフランジ部４より更
に前方に折り曲げられた状態の取付け基準部１３とこれ
に続く支持部１２とから構成されている。

【００１３】前記取付け基準部１３は前記溶接部１１の
平面に対して９０°に折り曲げられて形成されている。
そしてその長さはフランジ部４の厚さにほぼ相当する長
さとする。折り曲げられた角の内面側にはフランジ部４
の第５グリッド３側稜の逃げ１４が形成されている。そ
してこの取付け基準部１３の下端に続いて電子銃２の中
心軸Ｌｏに対して外方に末広がりで前記連結部１２Ａと
膨出部１２Ｂとからなる支持部１２が形成されている。

【００１４】このような構造の位置決め部材１０Ａを用
いると、この位置決め部材１０Ａを前記フランジ部４に
高精度で取り付けることができる。即ち、図２に示した
ように下部電極２２の上にフランジ部４を載せ、そして
図１に示したように、例えば、右手で位置決め部材１０
Ａを持ち、そのフランジ部４の上に位置決め部材１０Ａ
の溶接部１１を接触させ、そして同時に前記取付け基準
部１３をフランジ部４の端面にあてがい、このようなフ
ランジ部４に対する位置決め部材１０Ａの接触状態で、
従来技術と同様に左手で上部電極２１を持ち、その上部
電極２１と下部電極２２とで前記溶接部１１を前記フラ
ンジ部４に溶接する。

【００１５】かくして、位置決め部材１０Ａが取付け基
準部１３の存在により矢印Ｘ方向に殆どずれることなく
高精度で、しかも極めて容易にフランジ部４に取り付け
ることができる。

【００１６】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明の電子管
用電子銃の支持装置を用いれば、電子銃製造工程におけ
る作業効率、歩留り共に大幅に向上した。また、陰極線
管の組立工程においては、陰極線管のネック部の内壁の
所定の位置に陰極線管の中心軸と電子銃の中心軸Ｌｏと
を極めて高精度で一致させた状態で組み立てることがで
き、ビームランディング、ピュリティシフトなどの一層
の改善を計ることができ、高品質の陰極線管を得ること
ができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】 陰極線管のネック部に装着される電子銃に取
り付けられた状態の本発明の電子銃の支持装置の一部断
面側面図である。

【図２】 図１に示した電子銃の支持部材部分の一部を
拡大して示した断面側面図である。

【図３】 陰極線管のネック部に装着される電子銃に取
り付けられた状態の従来技術の電子銃の支持装置の一部
断面側面図である。

【図４】 図３に示した電子銃の支持部材部分の一部を
拡大して示した断面側面図である。

【符号の説明】

１Ａ…本発明の電子管用電子銃の支持装置、２…電子
銃、３…第５グリッド、４…フランジ部、５…陰極線管
のネック部の内壁、１０Ａ…位置決め部材、１１…溶接
部、１２…支持部、１２Ａ…連結部、１２Ｂ…膨出部、
１３…取付け基準部、１４…逃げ、２１…上部電極、２
２…下部電極

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電子銃の一部を構成する最先端部のグリ
   ッドの端部に形成された或る厚さのフランジ部に外方に
   開いた状態で複数本の位置決め部材を等間隔で溶接して
   一体化し、この位置決め部材付き電子銃を電子管のネッ
   ク部内に装着した場合に前記電子銃のセンタリングを行
   う電子管用電子銃の支持装置において、 前記位置決め部材は、その一端部を溶接部とし、これに
   続いて前記電子銃の長軸方向に対して外方に、そして前
   記フランジ部より更に前方に折り曲げられている連結部
   と更にこれに続き、端部が外方に膨出した接触部とから
   なる支持部とで構成されており、 更に前記溶接部に続く前記連結部の前記フランジ部の厚
   さにほぼ相当する長さ部分が前記フランジ部の平面に対
   して直角に折り曲げられて取付け基準部が形成されてお
   り、 前記取付け基準部を前記フランジ部の端面に当てがって
   前記溶接部をフランジ部に接触させ、このような接触状
   態で前記溶接部を前記フランジ部に溶接して構成されて
   いることを特徴とする電子管用電子銃の支持装置。