JPH063822Y2 - 残留ガス排出機構を備えたエアゾール装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は残留ガス排出機構を備えたエアゾール装置に関
し、さらに詳しくは、きわめて容易かつ安全にエアゾー
ル装置の残留ガスを排出することができる便利で安全性
に優れた前記のエアゾール装置に関する。

〔従来の技術〕

一般に、エアゾール装置は、エアゾール罐内に内容物と
ともにガスを充満し、充満したガスのガス圧で、エアゾ
ール罐に取りつけたノズルの噴出口から内容物を噴霧状
に噴出するようにしており、化粧品、殺虫剤、薬液等を
噴霧状に噴出させるときなどに広く使用されている。

しかしながら、このようなエアゾール装置は、通常、使
用後であってもガスが完全に排出されないまま廃棄さ
れ、さらに不要になったり、長年使用せずに古くなった
りしてガスを残留したまま廃棄される場合もあり、廃棄
されたまま放置されると、残留ガスによって爆発事故が
生じる危険がある。

そこで、このようなエアゾール装置の残留ガスによる爆
発事故などを防ぐため、エアゾール装置の残留ガス抜き
装置が種々考案されており、たとえば、エアゾール罐の
底壁に種々のガス抜き孔開口機構を設けることが行われ
ている。（実公昭６２−２５２３２号、実開昭６１−９
０７７５号、実開昭６２−３８８７５号、実開昭６２−
１１７７４号） 〔考案が解決しようとする問題点〕 ところが、従来のエアゾール装置の残留ガス抜き装置
は、いずれもエアゾール罐の底壁にガス抜き孔の開口機
構を設け、ガスを抜くとき新たなガス抜き孔を設けるも
のであるため、この新たなガス抜き孔を設ける際、残留
ガスや内容物がエアゾール罐内のガス圧で飛び散る場合
があり危険がともなう。またエアゾール装置の構造も複
雑になり、取扱に不便で、コストも高くなる。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、かかる現状に鑑み種々検討を行った結果なさ
れたもので、エアゾール罐の上端に突出した噴出管の外
周壁に軸心方向の突条あるいは嵌合溝を設け、噴出管に
嵌着するノズルの内周壁に噴出管の外周壁に設けた軸心
方向の突条あるいは嵌合溝と嵌合する軸心方向の嵌合溝
あるいは突条を設けて、ノズルを噴出管に着脱自在に嵌
着し、エアゾール罐に被嵌する蓋体の天板下面を、ノズ
ルの内周壁に設けた嵌合溝あるいは突条を噴出管の外周
壁に設けた突条あるいは嵌合溝と嵌合させて噴出管に嵌
着したときのノズルの上端より高く、ノズルの内周壁に
設けた嵌合溝あるいは突条を噴出管の外周壁に設けた突
条あるいは嵌合溝と嵌合させずに噴出管に嵌着したとき
のノズルの上端より低くすることによって、きわめて容
易かつ安全にエアゾール装置の残留ガスが排出されるよ
うにしたものである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を示す図面に基づいて説明する。

第１図および第２図において、１はエアゾール罐であっ
て、中央上端から噴出管２を突出し、噴出管２の外周壁
に軸心方向の突条３を突設している。

４はこの噴出管２に着脱自在に嵌着したノズルで、噴出
管２の外周壁に突設した突条３を嵌合する軸心方向の嵌
合溝５を内周壁に設けて噴出管２に嵌着している。

６はエアゾール罐１に被嵌する蓋体で、下端内周面に突
設した突設縁７を、エアゾール罐１の上端周縁に形成さ
れた鍔縁８に係合してエアゾール罐１に被嵌される。こ
のようにエアゾール罐１に被嵌された蓋体６は、第１図
に示すように天板下面を、ノズル４の内周壁に設けた嵌
合溝５を噴出管２の外周壁に設けた突条３と嵌合させて
噴出管２に嵌着したときのノズル４の上端より高く、ノ
ズル４の内周壁に設けた嵌合溝５を噴出管２の外周壁に
設けた突条３と嵌合させずに噴射管２に嵌着したときの
ノズル４の上端より低くしている。９は蓋体６の天板に
設けた透孔である。

しかして、第１図に示すように、噴出管２の外周壁に突
設した突条３とノズル４の内周壁に設けた嵌合溝５を嵌
合させて、ノズル４を噴出管２に嵌着した場合は、ノズ
ル４の上端が蓋体６に当接することもないが、第２図に
示すように、ノズル４を噴出管２から外して回転させた
後再び噴出管２に嵌着すると、噴出管２の突条３とノズ
ル４の嵌合溝５とが嵌合せず、ノズル４の内周壁端面が
噴出管２の突条３上端面に当接して、この突条３の長さ
だけノズル４が噴出管２に浅く嵌着され、ノズル４の上
端が蓋体６の天板下面より高くなる。従って、蓋体６を
エアゾール罐１に被嵌すると、蓋体６の天板下面でノズ
ル４が下方に押圧摺動された状態で保持され、ノズル４
からエアゾール罐１内の残留ガスが安全に排出されるま
で噴出される。

第３図は本考案残留ガス排出機構を備えたエアゾール装
置の他の実施例を示したもので、蓋体６の内部にリング
壁１０を蓋体６の天板から垂設した以外は第１図および
第２図に示したエアゾール装置と同様にして構成されて
いる。このように第３図に示すエアゾール装置は、蓋体
６の内部にリング壁１０が設けられているため、ノズル
４が蓋体６の天板下面に押圧摺動されて、エアゾール罐
１内の残留ガスが噴出される際、噴出流がリング壁１０
に衝突して噴出流中に含まれる液滴が液体となり、リン
グ壁１０を伝って下方のエアゾール罐１の上端凹所に落
下する。そしてガスのみが蓋体６の天板に設けた透孔９
から外気中に排出される。

なお、噴出管２の外周壁に突設する突条３とノズル４の
内周壁に設ける嵌合溝５は、少なくとも１以上設ければ
よく、数は特に限定されない。また、残留ガスの量が少
ない場合は、蓋体６の天板に透孔９を設けなくても残留
ガスが排出されるが、残留ガスの量が多い場合は、蓋体
６内に残留ガスが充満して蓋体６が吹き飛ぶこともある
ため、蓋体６の周壁に少なくとも１以上の透孔を穿設し
ておくことが好ましく、この透孔９は蓋体６の天板に限
らず周壁のいかなる位置に設けてもよい。

第４図および第５図は本考案残留ガス排出機構を備えた
エアゾール装置のその他の実施例を示したもので、この
エアゾール装置は、エアゾール罐１の中央上端に突出し
た噴出管１１の下部に段部１２を設けて下部外周壁１３
の外径を大きくし、この外径を大きくした下部外周壁１
３に心軸方向の嵌合溝１４を設けている。

１５は噴出管１１に嵌着したノズルで、噴出管１１の上
端に当接する段部１６を設け、さらに下方に段部１７を
設けて内径を大きくした下部内周壁１８に、噴出管１１
の下部外周壁１３に設けた嵌合溝１４に嵌合する軸心方
向の突条１９を設けている。

エアゾール罐１に被嵌する蓋体６は、第１図および第２
図に示す蓋体と同じ構造で、エアゾール罐１に被嵌さ
れ、第４図に示すように天板下面を、ノズル１５の下部
内周壁１８に設けた突条１９を噴出管１１の下部外周壁
１３に設けた嵌合溝１４と嵌合させて噴出管１１に嵌着
したときのノズル１５の上端より高く、ノズル１５の下
部内周壁１８に設けた突条１９を噴出管１１の下部外周
壁１３に設けた嵌合溝１４と嵌合させずに噴出管１１に
嵌着したときのノズル１５の上端より低くしている。

しかして、第４図に示すように、噴出管１１の下部外周
壁１３に設けた嵌合溝１４にノズル１５の下部内周壁１
８に突設した突条１９を嵌合させて、ノズル１５を噴出
管１１に嵌着した場合は、ノズル１５の上端が蓋体６に
当接することもないが、第５図に示すように、ノズル１
５を噴出管１１から外して回転させた後再び噴出管１１
に嵌着すると、噴出管１１の嵌合溝１４とノズル１５の
突条１９とが嵌合せず、ノズル１５の突条１９下端面が
噴出管１１の段部１２上端面に当接して、この突条１９
の長さだけノズル１５が噴出管１１に浅く嵌着され、ノ
ズル１５の上端が蓋体６の天板下面より高くなる。従っ
て、蓋体６をエアゾール罐１に被嵌すると、蓋体６の天
板下面でノズル１５が下方に押圧摺動された状態で保持
され、ノズル１５からエアゾール罐１内の残留ガスが完
全に排出されるまで噴出される。

なお、第３図に示す実施例と同様に蓋体６の内部にリン
グ壁を設けてもよく、また前記実施例と同様に噴出管１
１の下部外周壁１３に設ける嵌合溝１４とノズル１５の
下部内周壁１８に突設する突条１９の数も限定されず、
さらに蓋体６に設ける透孔９も蓋体６の天板に限らず周
壁のいかなる位置に設けてもよい。

〔作用〕

本考案エアゾール装置はこのようにして構成され、通
常、エアゾール罐１内の内容物をエアゾール罐１内に充
満したガスのガス圧によって、適度に噴霧状に噴出する
ときは、ノズルの内周壁に設けた嵌合溝あるいは突条
を、エアゾール罐の上端に突出した噴出管の外周壁に設
けた軸心方向の突条あるいは嵌合溝に嵌合させて嵌着
し、ノズルを下方へ適度に押圧して降下し、エアゾール
罐１内の内容物を適度に噴霧状に噴出する。そして、エ
アゾール罐１内の内容物をほとんど噴出した後、あるい
は途中で使用を中止してエアゾール装置を廃棄する場合
は、ノズルの内周壁に設けた嵌合溝あるいは突条を、エ
アゾール罐の上端に突出した噴出管の外周壁に設けた軸
心方向の突条あるいは嵌合溝に嵌合されずに嵌着し、こ
のときのノズルの上端より天板下面を低くした蓋体をエ
アゾール罐に被嵌し、第２図および第５図に示すよう
に、ノズルを蓋体の天板下面で下方に押圧摺動する。

このノズルの下方摺動によりエアゾール罐１内に充満し
たガスは止まらずに噴出し、エアゾール罐１内の内容物
およびガスが完全に排出される。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案にあっては、エアゾール罐
の上端に突出した噴出管の外周壁に軸心方向の突条ある
いは嵌合溝を設け、噴出管に嵌着するノズルの内周壁に
噴出管の外周壁に設けた軸心方向の突条あるいは嵌合溝
と嵌合する軸心方向の嵌合溝あるいは突条を設けて、ノ
ズルを噴出管に着脱自在に嵌着し、エアゾール罐に被嵌
する蓋体の天板下面を、ノズルの内周壁に設けた嵌合溝
あるいは突条を噴出管の外周壁に設けた突条あるいは嵌
合溝と嵌合させて噴出管に嵌着したときのノズルの上端
より高く、これらの嵌合溝と突条を嵌合させずにノズル
を噴出管に嵌着したときのノズルの上端より低くしてい
るため、ノズルの内周壁に設けた嵌合溝あるいは突条
を、エアゾール罐の上端に突出した噴出管の外周壁に設
けた軸心方向の突条あるいは嵌合溝に嵌合させずに嵌着
し、このときのノズルの上端より天板下面を低くした蓋
体をエアゾール罐に被嵌すれば、ノズルを蓋体の天板下
面で下方に押圧摺動して、エアゾール罐内に充満したガ
スを完全に排出されるまで噴出することができ、エアゾ
ール罐内の内容物およびガスを完全に排出させることが
できる。従って、エアゾール装置を使用後、あるいは途
中で使用を中止してエアゾール装置を廃棄する場合、エ
アゾール罐内に充満したガスを、エアゾール罐に取りつ
けたノズルを通して完全に排出することができ、極めて
容易かつ安全にエアゾール罐内に充満したガスを排出す
ることができる。また構造が極めて簡単で安価なコスト
で製造することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案残留ガス排出機構を備えたエアゾール装
置の一実施例を示す要部断面図、第２図は同装置の残留
ガス排出時の状態を示す要部断面図、第３図は同他の実
施例の残留ガス排出時の状態を示す要部断面図、第４図
は同その他の実施例の要部断面図、第５図は第４図に示
す装置の残留ガス排出時の状態を示す要部断面図であ
る。 １…エアゾール罐、２，１１…噴出管、３，１９…突
条、４，１５…ノズル、５，１４…嵌合溝、６…蓋体、
７…突設縁、８…鍔縁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エアゾール罐の上端に突出した噴出管の外
   周壁に軸心方向の突条あるいは嵌合溝を設け、噴出管に
   嵌着するノズルの内周壁に噴出管の外周壁に設けた軸心
   方向の突条あるいは嵌合溝と嵌合する軸心方向の嵌合溝
   あるいは突条を設けて、ノズルを噴出管に着脱自在に嵌
   着し、エアゾール罐に被嵌する蓋体の天板下面を、ノズ
   ルの内周壁に設けた嵌合溝あるいは突条を噴出管の外周
   壁に設けた突条あるいは嵌合溝と嵌合させて噴出管に嵌
   着したときのノズルの上端より高く、ノズルの内周壁に
   設けた嵌合溝あるいは突条を噴出管の外周壁に設けた突
   条あるいは嵌合溝と嵌合させずに噴出管に嵌着したとき
   のノズルの上端より低くしたことを特徴とする残留ガス
   排出機構を備えたエアゾール装置