JPH06379A - 酸化触媒とその製造方法 - Google Patents

酸化触媒とその製造方法

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JPH06379A
JPH06379A JP18747692A JP18747692A JPH06379A JP H06379 A JPH06379 A JP H06379A JP 18747692 A JP18747692 A JP 18747692A JP 18747692 A JP18747692 A JP 18747692A JP H06379 A JPH06379 A JP H06379A
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Matsunori Sawada
松範 沢田
Keiko Asada
桂子 麻田
Minoru Ogiso
稔 小木曽
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基体と被覆の密着性が良く、触媒能力の高い
液相酸化触媒及び該触媒の製造方法を提供すること。 【構成】 金属基体上に、白金とモリブデン及び/又は
タングステンの共析被覆を有する液相酸化触媒、及び該
共析被覆をメッキを施すことにより作成する酸化触媒の
製造方法。さらには金属基体と、白金とモリブデン及び
/又はタングステンの共析被覆の中間に金メッキ被覆を
有する酸化触媒及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液相酸化触媒に係わ
り、とくに還元性を有する廃液等を酸化処理するに好適
な酸化触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】過酸化水素水やヒドラジンなどの還元剤
を含む配管洗浄剤は、ボイラーや冷却水配管などに蓄積
するスケールを除く目的で数々の事業所において用いら
れている。配管洗浄後は、廃液として放流される。しか
し、廃液は化学的酸素要求量(COD)を増大させるた
め、大量に使用した場合には、次亜塩素酸ソーダなどに
より酸化処理をするなどの無害化処理をする必要があ
る。薬品による酸化処理法は、薬品や酸化処理設備など
の処理がかさむため、近年では触媒による処理として、
ステンレスなどの金属基体上にパラジウムや白金の被覆
を施した酸化触媒による処理が実用化されつつある。
【0003】従来、前述の用途として用いる触媒は、ス
テンレスなどの金属基材上に塩化白金酸などの触媒層形
成物質とアルミナ等のガラス成分をバインダーとして塗
布し、焼成ののち触媒を得る焼き付け法によるものが一
般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記焼き付け
法には、焼成時に塩化水素や塩素などの有害ガスが発生
するなどの問題点があること、焼き付け温度や配合比な
どの条件に触媒性能が左右されることがあり、組成の変
更など、触媒能力を向上させるには多くの制約があっ
た。発明者は、白金メッキにより触媒性の付与を試みた
が、白金ブラックメッキにおいては、焼き付け法による
ものとほぼ同等もしくはやや高い触媒性能を得ることが
できたが、白金層と金属基材との密着がわるく金属基材
から触媒層の剥落が生じ実用に耐えるものではなかっ
た。また通常の白金メッキにおいては、密着性において
は良いものの充分な触媒能を得ることはできなかった。
また、配管洗浄後の廃液には、過酸化水素水やヒドラジ
ン等を含む配管洗浄剤の他に、塩酸系の配管洗浄剤が使
用されるケースもあり、ランニング等の面で十分な耐性
を兼ね備える必要がある。
【0005】本発明は、メッキ法による優れた触媒能力
を有する酸化触媒とその製造法を提供するものであり、
とくに還元性を有する廃液等を酸化処理するに好適な酸
化触媒として発明されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来法の
欠点を解決するために成されたもので、その構成は金属
基体上に白金とモリブデン及び/又はタングステンの共
析被覆を有する液相酸化触媒であり、その製造方法は、
金属基体を前処理した後、白金とモリブデン及び/又は
タングステンの共析電気メッキ被覆を施すことにより達
成される。また金属基体と、白金とモリブデン及び/又
はタングステンの共析被覆の間に平間層として金被覆層
を有する物も用いられ、その製造方法としては、金属基
体に金メッキを施した後、白金とモリブデン及び/又は
タングステンの共析電気メッキを施すことにより達成さ
れる。上記のような構成をとることにより、本発明の酸
化触媒は、純白金メッキでは得られなかった、優れた酸
化触媒能力を有するようになる。また本発明製造方法は
メッキ法を用いるため、従来用いられていた焼き付け法
による有害ガスの発生の問題も解消することができた。
【0007】白金メッキ中に共析されるモリブデン及び
/又はタングステンの含有量は特に限定されるものでは
ないが、白金メッキ中のモリブデン及び/又はタングス
テンの含有量が増加するに従い、金属基材との密着力が
低下する傾向がある。金メッキを施すと、密着力を向上
させることが出来るばかりでなく、さらにランニング面
での十分な耐性を兼ね備えることができる。また金属基
材の選定にあたっては、ステンレス、チタニウムやタン
タル等の高耐食性材料の使用がランニングの面で好まし
いが、銅や真鍮等の材料においても触媒の能力に差はな
く、使用条件により適宜に選択すれば良い。さらに形状
においては、平板よりも接触面が増やせる網状がより好
ましい。
【0008】
【実施例1】本実施例は、白金−モリブテンの共析メッ
キを行う迄のメッキ工程について示す。直径 0.3mmのス
テンレス線よりなる、35メッシュの網(50mm×50mm)
を、電解脱脂剤(日本エレクトロプレイティング・エン
ジニヤース社製:イートレックス#12)の5%水溶液中
において60℃、電圧5V、で60秒間電解脱脂をおこな
い、水洗ののち6規定塩酸水溶液に30秒間浸漬、さらに
水洗ののち、金ストライクメッキ浴(日本エレクトロプ
レイティング・エンジニヤース社製:オーロボンドTC
L)により、50℃、電圧2Vで60秒間金メッキを行っ
た。その後水洗し、5%硫酸水溶液に30秒間浸漬、水洗
の工程を経て以下に示す白金−モリブデン合金メッキ浴
にて、下記条件でメッキを行い、所望の白金−モリブデ
ン共析メッキ被覆を得た。 (メッキ浴) 塩化白金酸 10.0g モリブデン酸ナトリウム 4.0g リン酸緩衝液 少々
【0009】以上を 800mlの水に溶解した後、20%水酸
化ナトリウム溶液にてpHを調整し、最終的に水で1000
mlに希釈した。 (メッキ条件) 温度 60℃ 電流密度 0.6A/dm2 メッキ時間 10分間 得られたメッキ被覆は、モリブデン 1.1重量%、白金9
8.9重量%の共析メッキ被覆であった。
【0010】
【実施例2】実施例1にて白金塩の種類、白金の量、モ
リブデン酸ナトリウムの量、メッキ時電流密度およびメ
ッキ時間を表1のように変化させ白金−モリブデン共析
メッキを行った。そのとき得られたメッキ皮膜の組成を
表1に示す。
【0011】
【実施例3】実施例1で白金塩の種類、白金の量を変化
させ、モリブデン酸ナトリウムの替わりにタングステン
酸ナトリウム及び、モリブデン酸ナトリウムとタングス
テン酸ナトリウムの両者を加えた浴にてメッキを行っ
た。表1のとおりタングステン酸ナトリウム及びモリブ
デン酸ナトリウムの量、メッキ時電流密度、メッキ時間
を変化させて白金−タングステンあるいは白金−モリブ
デン−タングステンの共析メッキを行った。そのとき得
られたメッキ皮膜の組成を表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【従来例】ステンレス上に白金被覆を焼き付法にて作成
した。白金の液としてはポリビニルアルコールを含む塩
化白金酸溶液(白金濃度:50g/l)を用いた。この液
へアルミニウムを 1.0重量%含むステンレス鋼を浸漬し
100℃30分間予備乾燥の後、 700℃の炉中で4時間熱処
理を行い、熱分解により白金を析出させた。
【0014】
【比較例1】実施例1で用いたのと同じステンレス線メ
ッシュ網に白金ブラックめっきを行った。実施例1と同
様の前処理を行った後、以下に示す浴を用いて下記条件
でメッキを行い白金ブラックめっきを得た。 (メッキ浴) 塩化白金酸 1.5g/l 塩酸 20g/l (メッキ条件) 温度 室温 電流密度 2.0A/dm2 時間 10分間 なおサンプルは同じ条件で2枚作成し、サンプル番号を
それぞれ1番及び2番とした。
【0015】
【比較例2】実施例1にて、白金−モリブデン合金メッ
キ浴の替わりに純白金メッキ浴(日本エレクトロプレイ
ティング・エンジニヤース社製プラタネックス、および
田中貴金属工業社製PT−HS−1)を用いてメッキを
行った。メッキ条件は以下のとおりであった。 白金メッキ1 : プラタネックス(白金10g/l)使
用 電流密度 1.0A/dm2 温度 50 ℃ メッキ時間 10分間 白金メッキ2 : PT−HS−1(白金10g/l)使
用 電流密度 1.0A/dm2 温度 50 ℃ メッキ時間 10分間
【0016】
【比較例3】白金にモリブデン20重量%含有する厚さ5
mm、2cm角の合金片を用意した。
【0017】
【比較例4】白金にタングステン20重量%含有する厚さ
5mm、2cm角の合金片を用意した。
【0018】以上実施例1、実施例2、実施例3、従来
例、比較例1および比較例2で得られた物を用いて酸化
触媒能およびピールテスト測定を行った。その結果を表
2に示す。なお酸化触媒能力は酸素発生速度で表した。
測定は 3.5%の過酸化水素水に被測定物を常温にて投入
し、発生する酸素量を測定した。またピールテストは、
日本工業規格 H-8504に示される引きはがし試験方法の
うち、テープ試験方法により行った。
【0019】
【表2】
【0020】
【実施例4】実施例2及び実施例3にて得られたメッキ
触媒のうち、白金−タングステン4.4重量%及び白金−
モリブデン 4.8重量%の皮膜の中間層に金めっき層が有
る場合と無い場合の密着力測定を行った。測定は市販の
粘着テープを張り付け剥がすピールテストにより行い、
メッキ直後の物、下記耐食性加速試験1及び2の試験後
の皮膜を測定した。結果を表3に示す。 加速試験条件1 : 濃塩酸1容に対し、水20容の混合
液にサンプルを10時間浸漬。 加速試験条件2 : 水酸化カリウム5重量%及び塩化
カリウム5重量%の混合液を50℃に加温したものに10日
間浸漬。
【0021】
【表3】
【0022】
【発明の効果】以上のように本発明の酸化触媒は、被覆
と金属基体の密着力が良く、また酸化触媒能力は、従来
用いられている焼き付け法で作成した物に比べても格段
に向上しており、還元性を有する廃液等の処理に好適な
ものである。また本発明の製造方法によれば、塩素等の
有害ガスの発生もなく、作業性の向上にもつながるもの
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材上に、白金とモリブデン及び/
    又はタングステンの共析被覆を有する液相酸化触媒。
  2. 【請求項2】 金属基材と、白金とモリブテン及び/又
    はタングステンの共析被覆の間に中間層として金被覆層
    を有することを特徴とする請求項1に記載の液相酸化触
    媒。
  3. 【請求項3】 金属基材を、前処理の後、白金とモリブ
    テン及び/又はタングステンの共析電気メッキを施すこ
    とを特徴とする液相酸化触媒の製造方法。
  4. 【請求項4】 白金とモリブテン及び/又はタングステ
    ンの共析電気メッキに先立ち、金属基材上に金メッキを
    施すことを特徴とする請求項3に記載の液相酸化触媒の
    製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003071621A2 (en) * 2002-02-20 2003-08-28 Symyx Technologies, Inc. Fuel cell electrocatalyst of pt-mo-ni/fe/sn/w
JP2004516922A (ja) * 2000-10-02 2004-06-10 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 制御された無電解メッキにより得られる白金族金属の担持触媒

Cited By (3)

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WO2003071621A3 (en) * 2002-02-20 2004-12-02 Symyx Technologies Inc Fuel cell electrocatalyst of pt-mo-ni/fe/sn/w

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