JPH0637559B2 - グラフト共重合体を製造する方法 - Google Patents

グラフト共重合体を製造する方法

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JPH0637559B2
JPH0637559B2 JP22956086A JP22956086A JPH0637559B2 JP H0637559 B2 JPH0637559 B2 JP H0637559B2 JP 22956086 A JP22956086 A JP 22956086A JP 22956086 A JP22956086 A JP 22956086A JP H0637559 B2 JPH0637559 B2 JP H0637559B2
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清英 松井
裕 長瀬
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、主鎖がポリ二置換アセチレン、側鎖がポリオ
ルガノシロキサンからなるポリ二置換アセチレン/ポリ
オルガノシロキサングラフト共重合体の新規な製造方法
に関するものである。
本発明の製造方法により得られるグラフト共重合体は、
例えば、気体混合物あるいは液体混合物の分離に際し透
過性及び分離性の両方に優れ、しかも極めて優れた膜強
度を有する、高性能の分離膜を提供する素材として有用
である。特に、該共重合体は、空気中の酸素ガスを濃縮
しうる酸素透過量が大きくしかも優れた分離性と膜強度
を有する、選択性気体分離膜を提供する素材として有用
である。更に、該共重合体は、浸透気化法(パーペーパ
レーシヨン法)による水−アルコール混合物等の水−有
機液体混合物から有機液体を優先的に透過し、しかも透
過性及び選択性に優れた膜を提供する素材としても有用
である。
〔従来の技術〕
ポリ(1−トリメチルシリルプロピン)に代表されるポ
リ二置換アセチレンは気体及び液体混合物の分離特性に
優れ、かつ薄膜化への成形が可能な分離膜素材として知
られている。例えば、ポリ(1−トリメチルシリルプロ
ピン)より形成される膜は、酸素透過係数PO2が4〜
7×10−7cm3(STP)・cm/cm2・sec・cmHgと既存の高分子
膜の中で最大のPO2を示し、酸素と窒素の分離係数P
O2/PN2は1.7〜1.8である〔ジヤーナル オブ ア
メリカン ケミカル ソサイエテイ(J.Am.Chem.Soc)
第105巻、第7473頁(1983)及びジヤーナル オ
ブ アプライド ポリマー サイエンス(J.Appl.Poly
m.Sci.)第30巻、第1605頁(1985)参照〕。
また、同膜をパーペーパレーシヨン法による水−エタノ
ール混合液の分離に用いた場合、約7重量%エタノール
水溶液を48重量%エタノール水溶液にまで濃縮でき、
分離係数▲αエタノール ▼は約12であり、その透過
速度は約7×10−4g・m/m2・hrであることが本発明者
等により見出されている。〔マクロモレクラーレ ヘミ
ーラピツド コミユニケーシヨン(Makromol.Chem.,Rap
id Commun.)第7巻、第43頁(1986)参照〕。
しかしながら、上記の膜を酸素分離膜あるいはエタノー
ル分離膜として使用するには、いずれの場合もそのまま
では分離係数が不充分であり、更に長時間の使用に際し
て透過係数が低下するという欠点を有している。
一方、ポリ二置換アセチレンにポリオルガノシロキサン
を導入して得られる共重合体も分離膜素材として提案さ
れている。その製造方法として、ポリ二置換アセチレン
と側鎖又は末端に複数のSi-H結合を有するポリオルガノ
シロキサンとを反応させる方法が知られている(特開昭
59−59211号及び同60−208332号各公報
参照)。しかしながら、この方法では多官能性のポリオ
ルガノシロキサンを用いるために架橋化等により生成物
が溶媒に不溶化する恐れがあり、可溶性の共重合体を得
るにはポリオルガノシロキサン成分の導入率に限界があ
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
したがつて、この方法では高い気体透過係数を有する膜
素材を得ることはできない。また、実際に片末端にSi-H
結合を1個有するポリオルガノシロキサンを用いてポリ
二置換アセチレンと反応させたところ、ポリオルガノシ
ロキサンはほとんど導入されなかつた(比較例2参
照)。
本発明は、側鎖にポリオルガノシロキサンを有するポリ
二置換アセチレン/ポリオルガノシロキサングラフト共
重合体を製造するに当つて、以上述べたような従来法に
おける問題点を解決するために行われたものである。す
なわち、本発明の目的は、短工程でかつ中間体として不
安定な化合物を用いずに、しすも生成物の分子量低下を
招くことなくポリオルガノシロキサン成分の導入率を任
意にコントロールできるような製造方法を提供すること
にある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明を概説すれば、本発明は、ヒドロシリル化触媒の
存在下、側鎖に炭素−炭素二重結合を有する基をもつポ
リ二置換アセチレンと、下記一般式I: (式中、R〜Rは同一又は異なり、アルキル基、置
換アルキル基、フエニル基又は置換フエニル基であり、
及びRは繰返し単位ごとに任意に異なつていても
よい。mは2以上の整数である)で表わされるポリオル
ガノシロキサンとを反応させることを特徴とする側鎖に
ポリオルガノシロキサンを有するポリ二置換アセチレン
/ポリオルガノシロキサングラフト共重合体の製造方法
に関するものである。
ここで用いる炭素−炭素二重結合を有する基をもつポリ
二置換アセチレンの具体的な態様としては、下記一般式
II: (式中、Aはアルキル基、置換アルキル基、フエニル
基、置換フエニル基又は式-SiR8R9R10で表わされる基で
あり、繰返し単位ごとに任意に異なつていてもよい。た
だし、R〜R10は同一又は異なり、アルキル基、置
換アルキル基、フエニル基又は置換フエニル基であ
る。)で表わされる繰返し単位、及び下記一般式III: (式中、Aは前記と同様であり、Yは炭素−炭素二重結
合を有する基である)で表わされる繰返し単位よりなる
共重合体を挙げることができる。
上記の炭素−炭素二重結合を有する基としては、ジオル
ガノビニルシリル基、ジオルガノアリルシリル基、ジオ
ルガノ(ビニルフエニル)シリル基、ビニルフエニル
基、(ビニルフエニル)メチル基、ビニル基、ビニルア
ルキル基を好適に用いることができる。具体的には -CH=CH2、 -CH2CH=CH2、-CH2CH2CH=CH2 等を例示することができる。
前記一般式(II)及び(III)で表わされる繰返し単位より
なる共重合体は、各々対応するモノマーを共重合させる
ことにより得ることもできるが、分子量の高い共重合体
を得るためには前記一般式(II)よりなるポリ二置換アセ
チレンに高分子反応を利用して炭素−炭素二重結合を有
する基を導入する方法が好ましい。すなわち、前記一般
式(II)よりなるポリ二置換アセチレンを強塩基と反応さ
せた後、例えば BrCH−CH=CH、C−CHCH=C
、 Br−CHCHCH=CH 等の炭素−炭素二重結合を有するハロゲン化合物と反応
させることにより、前記一般式(II)及び(III)で表わさ
れる繰返し単位よりなる共重合体を合成することができ
る。ここで用いる強塩基としてはn−ブチルリチウム、
リチウムビストリメチルシリルアミド等の有機リチウム
化合物が好ましく、反応はテトラヒドロフラン等の有機
溶媒中において通常0℃付近で1〜2時間程度行うこと
により、目的とする共重合体を分子量低下を伴うことな
く合成することができる(参考例2及び4参照)。
また、前記一般式(II)よりなるポリ二置換アセチレンと
しては、例えばポリ(2−ヘキシン)、ポリ(4−メチ
ル−2−ペンチン)、ポリ(4−メチル−2−ヘキシ
ン)、ポリ(2−オクチン)、ポリ(5−メチル−2−
オクチン)、ポリ(2−デシン)、ポリ(1−フエニル
プロピン)、ポリ(1−ペンタフルオロフエニルプロピ
ン)、ポリ(1−トリメチルシリルプロピン)、ポリ
〔1−(エチルジメチルシリル)プロピン〕、ポリ〔1
−(プロピルジメチルシリル)プロピン〕、ポリ〔1−
(トリエチルシリル)プロピン〕、ポリ〔1−(3,3,3
−トリフルオロプロピルジメチルシリル)プロピン〕、
ポリ〔1−(3,3,3−トリフルオロプロピルジエチルシ
リル)プロピン〕、ポリ〔1−(トリメチルシリルメチ
ルジメチルシリル)プロピン〕、ポリ〔1−(トリメチ
ルシリルエチルジメチルシリル)プロピン〕、ポリ〔1
−(フエニルジメチルシリル)プロピン〕、ポリ〔1−
(ペンタフルオロフエニルジメチルシリル)プロピ
ン〕、ポリ〔1−(β−フエネチルジメチルシリル)プ
ロピン〕等を挙げることができる。また、上記重合体を
構成するポリ二置換アセチレンの繰返し単位の少なくと
も2種以上の組合せからなる共重合体も、出発原料とし
て例示することができる。
前記一般式(II)で表わされる繰返し単位からなるポリ二
置換アセチレンを得る方法としては、原料となる1種又
は2種以上の二置換アセチレン化合物を周期表V族又は
VI族遷移金属であるタンタル、モリブデン、タングステ
ンあるいはニオブのハロゲン化物、例えば、五塩化タン
タル、五塩化ニオブ、五塩化モリブデン、六塩化タング
ステン、五臭化タンタル、五臭化ニオブなどを触媒とし
て、有機溶媒中で通常30〜100℃の温度で2〜36
時間重合させることにより得られる。溶媒としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレンどの芳香族炭化水素、シク
ロヘキサンなどの脂環式炭化水素、クロロホルム、1,2
−ジクロロエタン、四塩化炭素などの塩素系溶剤などを
用いることができる。また、上記の触媒を主触媒とし、
第2成分としてアルミニウム、ケイ素、スズ、アンチモ
ンなどを含む有機金属化合物、例えば、トリメチルアル
ミニウム、トリエチルアルミニウム、ヒドロシラン誘導
体、テトラフエニルスズ、テトラ−n−ブチルスズ、ト
リフエニルアンチモンなどを助触媒として用いて目的と
する重合体を得ることもできる。
本発明の製造方法で用いる前記一般式(I)で表わされる
ポリオルガノシロキサンは、例えば、下記の反応式で示
すごとく、三置換シラノールに等モル量のアルキルリチ
ウム化合物(RLi)を加えることにより得られるシラノ
レートアニオンを開始剤として、シクロシロキサン化合
物をリビング開環重合させた後に、Si-H結合を1個有す
るジオルガノハロゲノシラン化合物を用いて反応を停止
させて合成することができる(参考例3〜5参照)。
(式中、R〜Rは同一又は異なり、アルキル基、置
換アルキル基、フエニル基又は置換フエニル基であり、
Rは炭素数1〜6のアルキル基、Xはハロゲンである。
ただし、R及びRは繰返し単位ごとに任意に異なつ
ていてもよい。また、nは3〜6の整数、pは1以上の
整数であり、npは前記一般式(I)中のmに等しい)。
また、上記の反応において開始剤としてはシラノレート
アニオンの代りにアルキルリチウム化合物を用いても前
記一般式(I)で表わされるポリオルガノシロキサンを定
量的に合成することが可能であり、その場合、片末端
〔前記一般式(I)中のR〕には用いたアルキルリチウ
ム化合物のアルキル基Rが導入される。
(式中、R〜R及びn、pは前記と同様であり、R
はアルキル基である。ただし、np−1は前記一般式
(I)中のmに等しい) すなわち、この場合には一般式(I)中のR及びR
各々R及びRと同一となる。
ここで用いるアルキルリチウム化合物(上記式中のRL
i)としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−
ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリ
チウム、n−ヘキシルリチウム等を例示することができ
る。
前記のポリオルガノシロキサンを合成する際に用いる下
記一般式IV: (式中、R〜Rは前記と同様である)で表わされる
三置換シラノールとしては、トリメチルシラノール、ト
リエチルシラノール、3−クロロプロピルジメチルシラ
ノール、3,3,3−トリフルオロプロピルジメチルシラー
ル、ジフエニルメチルシラノール、トリフエニルシラノ
ール、ペンタフルオロフエニルジメチルシラノール等を
例示することができる。また、下記一般式V: (式中、R、R及びnは前記と同様である)で表わ
されるシクロシロキサン化合物としては、 等を例示することができる。また、これらのシクロシロ
キサン化合物の2種以上の混合物を用いてもよい。停止
剤として用いる下記一般式VI: (式中、R、R及びXは前記と同様である)で表わ
されるジオルガノハロゲノシラン化合物としては、ジメ
チルクロロシラン、ジエチルクロロシラン、メチルオク
チルクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチ
ルクロロシラン、フエニルメチルクロロシラン、ジフエ
ニルクロロシラン、ペンタフルオロフエニルメチルクロ
ロシラン等を例示することができる。
前述の方法により前記一般式(I)で表わされるポリオル
ガノシロキサンを合成するに当つては溶媒中で行うこと
が好ましく、用いる溶媒の例としてはテトラヒドロフラ
ン、ジエチルエーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン、ベンゼン等の有機溶媒が挙げられる。また、この反
応はアルゴンや窒素等の不活性雰囲気下で行うのが望ま
しい。
反応は通常室温で行い、反応時間は各々の反応段階で異
なるが、前記一般式(IV)で表わされる三置換シラノール
とアルキルリチウム化合物との反応は15分間以上、前
記一般式(V)で表わされるシクロシロキサン化合物のリ
ビング開環重合反応は2時間以上、より好ましくは10
時間以上、前記一般式(VI)で表わされるジオルガノハロ
ゲノシラン化合物を加える停止反応は30分間以上それ
ぞれ行うことにより、好適に反応が進行する。
以上述べたように、前記一般式(I)で表わされるポリオ
ルガノシロキサンは同一容器内で各々の反応試薬を連続
的に加えることにより簡便に合成することが可能であ
る。更に、前記の反応で用いる前記一般式(V)で表わさ
れるシクロシロキサン化合物の量を調整することにより
前記一般式(I)で表わされるポリオルガノシロキサンの
平均重合度をコントロールすることができる。
本発明の製造方法において、側鎖に炭素−炭素二重結合
を有する基をもつポリ二置換アセチレンと前記一般式
(I)で表わされるポリオルガノシロキサンとの反応に当
つてはヒドロシリル化触媒の使用が必須であり、ヒドロ
シリル化触媒としては塩化白金酸(HPtC・6
O)を用いるのが最も一般的であるが、その他にも
パラジウムやロジウムを含む金属錯体が使用可能であ
る。例えば、(PhP)Pd,(PhP)Pd
,(PhCN)PdC,(PhP)
hC,(PhPH)RhC,(PhP)
(CO)RhC,〔(CP〕(CO)
RhCなどを触媒として用いることができる。用いる
触媒の量は、通常炭素−炭素二重結合を有する基に対し
て1/100〜1/1000当量程度で充分である。こ
の反応は溶媒中で行うのが好ましく、溶媒としては、ヘ
キサン、ベンゼン、トルエン、アセトン、トリクロロエ
チレン、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)な
どを用いることができる。反応温度は、40℃〜100
℃の温度範囲で行い、またアルゴンや窒素等の不活性気
体雰囲気下で行うのが望ましい。また、反応時間は通常
2時間以上、より好ましくは10時間以上行うことによ
り反応は完結する。
本発明の製造方法は、以上述べたように、側鎖に炭素−
炭素二重結合を有する基をもつポリ二置換アセチレン及
び前記一般式(I)で表わされる片末端にSi-H結合を1個
有するポリオルガノシロキサンを用いることにより1工
程で反応を完結することが可能で、工業的に極めて容易
に目的とするグラフト共重合体を製造することができ
る。
本発明の製造方法により得られるグラフト共重合体にお
ける主鎖のポリ二置換アセチレンの繰返し単位と側鎖の
ポリオルガノシロキサンの繰返し単位との組成比は、前
述の製造方法において、前記一般式(I)で表わされるポ
リオルガノシロキサンの量及び平均重合度を調整する
ことにより、前者の繰返し単位と後者の繰返し単位との
モル比を99/1から10/90の範囲で任意に制御す
ることができる。ただし、本発明のグラフト共重合体を
分離膜として用いる場合には膜の透過性、分離性、透過
安定性及び強度の点で前述のモル比は60/40から2
0/80の範囲にあることが好ましい。
また、本発明の製造方法により得られるグラフト共重合
体の分子量は製膜後の強度の点で大きいことが好まし
く、1万以上、特に好ましくは10万以上である。
本発明の製造方法より得られるグラフト共重合体はトル
エン、ベンゼン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族
系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレ
ン等のハロゲン化炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキ
サン、シクロヘキセン等の炭化水素系溶媒あるいはテト
ラヒドロフラン等のエーテル系溶媒に可溶で、アルコー
ル類又は水に対して不溶である。
本発明の製造方法より得られるグラフト共重合体は、後
に参考例として述べるように、空気からの酸素富化等に
用いる気体分離膜及び水−アルコール混合物等の分離に
用いる液体分離膜として極めて優れた分離特性を有する
膜素材となりうることが判明した(参考例8及び9参
照)。また、その他にも絶縁材料等の各種電子材料ある
いはその他の機能性高分子材料としての応用が可能であ
る。
本発明の製造方法より得られるグラフト共重合体より膜
を作製する方法としては、特に限定されることなく公知
あるいは周知の手段を用いることができる。例えば、キ
ヤスト溶液から金属上、ガラス板上、水面上などで溶媒
を蒸発させて製膜することができる。また、多孔質の支
持体を重合体溶液に浸漬したのちに引上げたり、溶液を
塗布、乾燥させるなどの方法も採用することができる。
このようにして得られる膜は、平膜、管状膜、中空糸膜
などいかなる形態においても用いることができる。
〔実施例〕
以下に、参考例、実施例及び比較例により本発明を更に
詳しく説明するが本発明はこれら実施例に限定されな
い。
参考例1 ポリ(1−トリメチルシリルプロピン)の合
成 1−トリメチルシリルプロピン28.4gをトルエン200
mに溶解し、五塩化タンタルを1.6g加えステンレス
製重合管中にて脱気封管後、80℃で24時間振とう
し、粘ちようなゲル状重合体を得た。この重合体をトル
エンに溶解させ、多量のメタノール中に数回再沈殿を繰
返し、得られた白色繊維状固体を真空下60℃にて乾燥
した。収量は27.2g(収率95.8%)であつた。得られた
重合体について、赤外吸収(IR)、1H-NMR、13C-NMR
測定及び元素分析を行い、目的とするポリ(1−トリメ
チルシリルプロピン)であることを確認した。また、ゲ
ルパーミエーシヨンクロマトグラフイー(GPC)測定
の結果、その数平均分子量及び重量平均分子量はポリス
チレン換算値でそれぞれ2.62×10、7.77×10
あつた。
参考例2 ビニルジメチルシリル化ポリ(1−トリメチ
ルシリルプロピン)の合成 参考例1で得られたポリ(1−トリメチルシリルプロピ
ン)20.0gを充分に脱水したテトラヒドロフラン1.2
に溶解し、アルゴンガス気流下にて0℃に冷却した後、
n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6mo/)50.
0mを加え更に1時間かくはんを続けたところ反応溶
液が赤色を呈した。次に、ビニルジメチルクロロシラン
25mを加え室温にて30分間かくはんし、反応溶液
が消色するのを確認した後、反応溶液をメタノール10
に注ぎ白色のポリマーを沈殿させた。得られたポリマ
ーを再びトルエン1.0に溶解し、メタノール10に
注ぎ、再沈殿を行い、更に同様に数回再沈殿を繰返すこ
とによりポリマーを精製した。得られたポリマーの収量
は20.6gであつた。
GPC測定による数平均分子量及び重量平均分子量はポ
リスチレン換算値でそれぞれ2.14×10、7.45×10
であつた。
得られたポリマーのIRスペクトル、1H-NMRスペクトル
及び元素分析の結果は次のとおりであつた。
IRスペクトル(cm−1);2980(s)、2920
(s)、1640(w:ビニル基による特性吸収)、1
565(s)、1433(m)、1370(m)、13
70(m)、1250(s:シリル基上のメチル基の特
性吸収)、1180(m)、1030(m)、1006
(m)、915(m)、840(s)、750(s)、
685(m)、630(m)1 H-NMRスペクトル、δ(CDC,ppm):0.10(シ
リル基上のメチル及びメチレン基のプロトンピーク)、
1.70(シリル基上以外のメチル基のプロトンピーク)、
5.60及び5.90(ビニル基のプロトンピーク) 元素分析値(%);C:63.49、H:10.73 以上の結果より、生成ポリマーは繰返し単位が 及び からなるポリ(1−トリメチルシリルプロピン)のビニ
ルジメチルシリル化物であることを確認した。また、元
素分析値の炭素含量より前者の繰返し単位と後者の繰返
し単位とのモル比を算出したところ85/15であつ
た。
参考例3 片末端にSi-H結合を有するポリジメチルシロ
キサンの合成1 トリメチルシラノール7.2g(0.157mol)を乾燥THF
200mに溶解し、アルゴンガス気流下にてn−ブチ
ルリチウムヘキサン溶液(1.6mol/)50.0mを加え
た。10分間かくはんした後、更にヘキサメチルシクロ
トリシロキサン93.4gを乾燥THF200mに溶解し
た溶液を加え、アルゴンガス気流下で室温にて21時間
かくはんした。この溶液に停止剤としてジメチルクロロ
シラン30.0mを加え、リビング重合を停止した。
次に減圧下で溶媒を除去した後生成した塩をろ別し、0.
1mmHg以下の真空下で150℃にて3時間加熱して未反
応のシクロシロキサン及び過剰の停止剤を除去したとこ
ろ、無色透明な粘性液体102.4gを与えた。得られた、
ポリマーについてIR測定、NMR測定を行い、その構
造が であることを確認した。
また平均重合度はNMRにおけるプロトン比基準で約
20.8であつた。
実施例1 ポリ(1−トリメチルシリルプロピン)/ポ
リジメチルシロキサングラフト共重合体の合成1 参考例2で得られたビニルジメチルシリル化ポリ(1−
トリメチルシリルプロピン)3.0gと、参考例3で得ら
れた片末端にSi-H結合を有するポリジメチルシロキサン
3.0gをトルエン300mに溶解し、アルゴン気流下
にて塩化白金酸イソプロピルアルコール溶液(0.1mol/
)60μを加え80℃にて18時間かくはんを続け
た。次に、反応溶液をメタノール3に注ぐことにより
白色のポリマーを得た。得られたポリマーを再びトルエ
ン300mに溶解し、エタノール4に再沈殿を数回
繰返すことにより精製を行つた。収量は4.2gであつ
た。
得られたポリマーのIRスペクトル、13C-NMRスペクト
ル及び元素分析の結果は次のとおりであつた。
IRスペクトル(cm-1);2980(s)、2920
(s)、1565(s)、1433(m)、1370
(m、主鎖ポリトリメチルシリルプロピン上のメチル基
の特性吸収)、1260(s、側鎖ポリジメチルシロキ
サン上のメチル基の特性吸収)、1250(s、主鎖主
鎖ポリトリメチルシリルプロピン上のトリメチルシリル
基の特性吸収)、1180(m)、1100(s、シロ
キサン結合の特性吸収)、1020(s)、915
(m)、840(s)、800(s)、750(s)、
685(m)、630(m)13 C-NMRスペクトル(CDC、δppm):1.3(側鎖
ポリジメチルシロキサン上のメチル基の炭素ピーク)、
2.2(側鎖のポリジメチルシロキサンが結合したメチレ
ン基の炭素ピーク)、3.2(主鎖ポリトリメチルシリル
プロピン上のトリメチルシリル基の炭素ピーク)、26.5
(主鎖ポリトリメチルシリルプロピン上のメチル基の炭
素ピーク)、139.4(主鎖ポリトリメチルシリルプロピ
ンの主鎖骨格の炭素ピーク)、151.8(主鎖ポリトリメ
チルシリルプロピンの主鎖骨格の炭素ピーク) 元素分析値(%):C:51.27、H:9.89 またこのポリマーについてGPC測定を行つたところ、
数平均分子量及び重量平均分子量はポリスチレン換算値
でそれぞれ2.33×10、7.52×10であつた。
以上の結果から、得られたポリマーは主鎖がポリ(1−
トリメチルシリルプロピン)、側鎖がポリジメチルシロ
キサンからなるポリ(1−トリメチルシリルプロピン)
/ポリジメチルシロキサングラフト共重合体であること
を確認した。また、元素分析値の炭素含量より主鎖ポリ
(1−トリメチルシリルプロピン)の繰返し単位と側鎖
ポリジメチルシロキサンの繰返し単位とのモル比を算出
したところ49/51であつた。熱機械分析における動
的ヤング率の温度変化より求めた軟化温度は230℃で
あつた。
参考例4 片末端にSi-H結合を有するポリジメチルシロ
キサンの合成2 参考例3において、トリメチルシラノールを3.7g、n
−ブチルリチウムヘキサン溶液26m、ジメチルクロ
ロシラン20mとした以外は参考例3と全く同様な操
作を行い、その構造が であるポリジメチルシロキサン97.8gを得た。
実施例2 ポリ(1−トリメチルシリルプロピン)/ポ
リジメチルシロキサングラフト共重合体の合成2 実施例1において、参考例3で得られたポリジメチルシ
ロキサンの代りに参考例4で得られたポリジメチルシロ
キサン4.0gを用いた以外は実施例1と全く同様な操作
を行い白色ポリマー4.5gを得た。
得られたポリマーのIRスペクトル及び13C-NMRは実施
例1の結果と同様であり、また元素分析結果は以下のと
おりであつた。
元素分析値(%);C:46.35、H:9.28 このポリマーについてGPC測定を行つたところ、数平
均分子量及び重量平均分子量はポリスチレン換算値でそ
れぞれ2.83×10、7.77×10であつた。
したがつて、得られたポリマーは実施例1と同様な構造
を有するポリ(1−トリメチルシリルプロピン)/ポリ
ジメチルシロキサングラフト共重合体であることが確認
された。また、元素分析値の炭素含量より、主鎖ポリ
(1−トリメチルシリルプロピン)の繰返し単位と、側
鎖ポリジメチルシロキサンの繰返し単位とのモル比を算
出したところ34/66であつた。軟化温度は207℃
であつた。
参考例5 片末端にSi-H結合を有するポリジメチルシロ
キサンの合成3 参考例3において、トリメチルシラノールを1.8g、n
−ブチルリチウムヘキサン溶液13m、ジメチルクロ
ロシラン10m(0.275mol)とした以外は参考例3と
全く同様な操作を行い、その構造が であるポリジメチルシロキサン96.4gを得た。
実施例3 ポリ(1−トリメチルシリルプロピン)/ポ
リジメチルシロキサングラフト共重合体の合成3 実施例1において、参考例3で得られたポリジメチルシ
ロキサンの代りに参考例5で得られたポリジメチルシロ
キサン5.0gを用いた以外は実施例1と全く同様な操作
を行い白色ポリマー5.2gを得た。
得られたポリマーのIRスペクトル及び13C-NMRは実施
例1の結果と同様であり、また元素分析結果は以下のと
おりであつた。
元素分析値(%);C:43.49、H:9.31 このポリマーについてGPC測定を行つたところ、数平
均分子量及び重量平均分子量はポリスチレン換算値でそ
れぞれ3.84×10、8.01×10であつた。
したがつて、得られたポリマーは実施例1と同様な構造
を有するポリ(1−トリメチルシリルプロピン)/ポリ
ジメチルシロキサングラフト共重合体であることが確認
された。また、元素分析値の炭素含量より、主鎖ポリ
(1−トリメチルシリルプロピン)の繰返し単位と、側
鎖ポリジメチルシロキサンの繰返し単位とのモル比を算
出したところ26/74であつた。軟化温度は181℃
であつた。
参考例6 ポリ(1−フエニルプロピン)の合成 1−フエニルプロピン44.3gをトルエン400mに溶
解し、五塩化タンタル2.7gを加えステンレス製重合管
中にて脱気封管後、80℃で6時間振とうし、粘ちよう
なゲル状重合体を得た。この重合体をトルエンに溶解さ
せ、多量のメタノール中に数回再沈殿を繰返し、得られ
た白色繊維状固体を真空下60℃にて乾燥した。収量は
38.2g(収率86.2%)であつた。得られた重合体につい
て、IR、1H-NMR、13C-NMR測定及び元素分析を行い、
目的とするポリ(1−フエニルプロピン)であることを
確認した。また、GPC測定の結果、その数平均分子量
及び重量平均分子量はポリスチレン換算値でそれぞれ、
2.15×10、5.53×10であつた。
参考例7 ビニルジメチルシリル化ポリ(1−フエニル
プロピン)の合成 参考例2において、ポリ(1−トリメチルシリルプロピ
ン)の代りに参考例6で得られたポリ(1−フエニルプ
ロピン)10.0gを用い、それ以外は参考例2と同じ操作
を行つたところ白色ポリマー10.2gが得られた。
GPC測定による数平均分子量及び重量平均分子量はポ
リスチレン換算値でそれぞれ2.10×10、5.34×10
であつた。
得られたポリマーのIRスペクトル、1H-NMRスペクトル
及び元素分析の結果は次のとおりであつた。
IRスペクトル(cm-1);3070(s)、3040
(s)、2980(s)、2950(s)、2930
(s)、2860(m)、1950(w)、1880
(w)、1800(w)、1600(m)、1495
(s)、1438(s)、1366(s)、1250
(m、シリル基上のメチル基の特性吸収)、1180
(w)、1155(w)、1090(m)、1075
(m)、1030(s)、905(m)、838
(s)、820(s)、770(s)、700(s)、
620(w)1 H-NMRスペクトル、δ(CDC、ppm):0.28(シ
リル基上のメチル基及びメチレン基のプロトンピー
ク)、1.38(シリル基上以外のメチル基のプロトンピー
ク)、5.60及び5.90(ビニル基のプロトンピーク)、6.
95(フエニル基のプロトンピーク) 元素分析値(%):C:89.86、H:7.11 以上の結果より、生成ポリマーは繰返し単位が 及び からなるポリ(1−フエニルプロピン)のビニルジメチ
ルシリル化物であることを確認した。また、元素分析値
の炭素含量より前者の繰返し単位と後者の繰返し単位と
のモル比を算出したところ87/13であつた。
実施例4 ポリ(1−フエニルプロピン)/ポリジメチ
ルシロキサングラフト共重合体の合成 参考例7で得られたビニルジメチルシリル化ポリ(1−
フエニルプロピン)3.0gと、参考例4で得られた片末
端にSi-H結合を有するポリジメチルシロキサン4.0gを
トルエン300mに溶解し、アルゴン気流下にて塩化
白金酸イソプロピルアルコール溶液(0.1mol/)60
μを加え80℃にて18時間かくはんを続けた。次
に、反応溶液をメタノール3に注ぐことにより白色ポ
リマーを得た。得られたポリマーを再びトルエン300
mに溶解し、エタノール4に再沈殿を繰返すことに
より精製を行つた。収量は4.5gであつた。
得られたポリマーのIRスペクトル、1H-NMRスペクトル
及び元素分析の結果は次のとおりであつた。
IRスペクトル(cm-1);3100(m)、3070
(S)、3040(m)、2980(s)、2920
(s)、2860(m)、1950(w)、1890
(w)、1800(w)、1600〔s、主鎖ポリ(1
−フエニルプロピン)のフエニル基の特性吸収〕、15
00(s)、1440(s)、1415(m)、137
0(s)、1260(s、側鎖ポリジメチルシロキサン
のメチル基の特性吸収)、1100(s、シロキサン結
合の特性吸収)、1020(s、シロキサン結合の特性
吸収)、910(w)、860(s)、800(s)、
770(s)、695(s)1 H-NMRスペクトル、δ(CDC、ppm):0.10(側
鎖ポリジメチルシロキサンのメチル基のプロトンピー
ク)、160〔主鎖ポリ(1−フエニルプロピン)のメ
チル基のプロトンピーク〕、6.90〔主鎖ポリ(1−フエ
ニルプロピン)のフエニル基のプロトンピーク〕 元素分析値(%):C:62.70、H:7.74 また、このポリマーについてGPC測定を行つたとこ
ろ、数平均分子量及び重量平均分子量はポリスチレン換
算値でそれぞれ2.45×10、5.80×10であつた。
以上の結果から、得られたポリマーは主鎖がポリ(1−
フエニルプロピン)、側鎖がポリジメチルシロキサンか
らなるポリ(1−フエニルプロピン)/ポリジメチルシ
ロキサングラフト共重合体であることを確認した。ま
た、元素分析値の炭素含量より、主鎖ポリ(1−フエニ
ルプロピン)の繰返し単位と側鎖ポリジメチルシロキサ
ンの繰返し単位とのモル比を算出したところ39/61
であつた。軟化温度は131℃であつた。
参考例8 酸素/窒素透過実験結果 実施例1〜4で得られたポリマーをそれぞれトルエンに
溶解した後ガラス板上に流延し、トルエンをゆつくりと
蒸発除去したところ、それぞれ膜厚が20〜30μmの
丈夫な均質膜が得られた。これらの膜を気体透過装置に
装着し、25℃における酸素及び窒素の透過係数を測定
した。その結果を表1に示す。
表1からわかるように、本発明の製造方法により得られ
たグラフト共重合体から形成される膜は、酸素及び窒素
の選択透過性に優れた気体分離素材となり得る。
参考例9 水/エタノール透過実験結果 実施例1〜4で得られたグラフト共重合体をトルエンに
溶解した後テフロン板上に流延、トルエンをゆつくりと
蒸発除去することにより膜厚が20〜30μmの均一で
透明かつ強度のある膜を作成した。得られた膜をステン
レス製浸透気化法用セル(パーベーパレーシヨンセル)
に挟み込み透過側を0.5mmHgの減圧にし水−エタノール
混合物の透過を行つた。膜を透過した混合液組成はTC
D−ガスクロマトグラフイーにより検出し透過速度P
(g・m/m2・hr)及び選択性αを下記式により求め
た。
以上のような透過実験を供給液組成を変えて数回行い、
各々の場合のP及びαを測定した。実施例1〜4で得ら
れたグラフト共重合体から作成した膜を用いた測定結果
をそれぞれ下記表2〜5に示す。
以上のように、本発明の製造方法により得られたグラフ
ト共重合体から形成される膜は、水/エタノール混合液
の透過においても優れたエタノール選択透過性を有して
いることがわかる。
比較例1 従来法によるポリ(1−トリメチルシリルプ
ロピン)/ポリジメチルシロキサングラフト共重合体の
合成と酸素/窒素透過実験結果 参考例1で得られたポリ(1−トリメチルシリルプロピ
ン)4.0gを充分に脱水したシクロヘキサン500m
に溶解し、アルゴンガス気流下60℃に加熱した後、N,
N,N′,N′−テトラメチレンジアミン2.9m、n−ブ
チルリチウムヘキサン溶液(1.60mol/)11.6mを
加え、1時間かくはんを続けたところ反応溶液が赤色を
呈した。次に、反応溶液の温度を室温まで冷却しヘキサ
メチルシクロトリシロキサン46.6gを充分に脱水したT
HF300mに溶解した溶液を一度に加え室温にて1
5時間かくはんを続け、更にトリメチルクロロシラン5
0mを加え反応を停止した。この反応溶液をメタノー
ル5に注ぐことにより白色のポリマーを得た。得られ
たポリマーを再びトルエン500mに溶解し、エタノ
ール5に再沈殿を数回繰返すことにより精製した。収
量は5.6gであつた。
得られたポリマーのIRスペクトル及び13C-NMRスペク
トルは実施例1と同様であり、また元素分析の結果は以
下のとおりであつた。
元素分析値(%):C:45.42、H:9.50 したがつて、ここで得られたポリマーは実施例1と同様
な構造を有するポリ(1−トリメチルシリルプロピン)
/(ポリジメチルシロキサングラフト共重合体である。
しかしながら、GPC測定による数平均分子量及び重量
平均分子量はポリスチレン換算値でそれぞれ1.81×10
、5.40×10であり、原料ポリマーに比べ低下して
いた。また、元素分析値の炭素含量から求めた主鎖ポリ
(1−トリメチルシリルプロピン)の繰返し単位と側鎖
ポリジメチルシロキサンの繰返し単位とのモル比は31
/69であつた。
更に、ここで得られたグラフト共重合体から参考例8の
方法で膜を作製し、25℃における酸素及び窒素の透過
係数PO2及びPN2はそれぞれ、 となり、表1の共重合体組成が近い実施例2及び3の結
果と比べるとPO2は低い値となつた。
比較例2 ポリ二置換アセチレンと片末端にSi-H結合を
1個有するポリジメチルシロキサンとの反応 参考例1及び6で得られたポリ(1−トリメチルシリル
プロピン)及びポリ(1−フエニルプロピン)をそれぞ
れ2.0gずつトルエン200mに溶解し、参考例3で
得られた式 で表わされる構造を有するポリジメチルシロキサン2.0
gを加え、更に塩化白金酸イソプロピルアルコール溶液
(0.1mol/)を40μ加え80℃にて17時間各々
反応を行つた。次に、それぞれの溶液をメタノール1
に注ぎ、生成するポリマーを更にトルエン200mに
溶解した後エタノール2に再沈殿を繰返した。
このようにして得られたポリマーについてIRスペクト
ル、1H-NMRスペクトル、元素分析を行つたところ、両者
共に原料のポリ(1−トリメチルシリルプロピン)及び
ポリ(1−フエニルプロピン)と全く同様なパターンを
示した。したがつて、この方法ではポリジメチルシロキ
サン鎖を導入することはできなかつた。
参考例10 片末端にSi-H結合を有するポリジメチルシ
ロキサンの合成4 n−オクチルジメチルクロロシラン20mを無水エー
テル50mに溶解し、その溶液をアルゴン雰囲気下0
℃にて、水100m及びエーテル50mを混合し激
しくかくはんした溶液中にゆつくりと1時間かけて滴下
した。分液漏斗にてエーテル層を分取し、脱水後、減圧
下でエーテルを除去したところ、n−オクチルジメチル
シラノール13.31gを得た。構造はIRスペクトル、1H-
NMRスペクトル及びマススペクトルにより確認した。
得られたn−オクチルジメチルシラノール4.0g(21.2m
mol)を乾燥THF20mに溶解し、アルゴンガス気
流下にてn−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6mol/
)13.3m(21.3mmol)を加えた。20分間かくはん
した後、更にヘキサメチルシクロトリシロキサン9.5g
(42.5mmol)を乾燥THF40mに溶解した溶液を加
え、室温で18時間かくはんした。この溶液に停止剤と
してジメチルクロロシラン25mを加え、リビング重
合を停止すると共に片末端にヒドロシリル基を導入し
た。
次、減圧下で溶媒を除去した後生成した塩を別し、0.
1mmHg以下の真空下で120℃にて2時間加熱して未反
応のシクロシロキサン及び過剰の停止剤を除去したとこ
ろ、無色透明な粘性液体10.75gを与えた。この生成物
について、IR測定及び1H-NMR測定を行い、その構造が で表わされるポリオルガノシロキサンであることを確認
した。また、平均重合度は1H-NMRにおけるプロトン比
基準で約6.7であつた。
実施例5 ポリ(1−トリメチルシリルプロピン)/ポ
リジメチルシロキサングラフト共重合体の合成4 実施例1において、参考例3で得られたポリジメチルシ
ロキサンの代りに参考例10で得られたポリジメチルシ
ロキサン3.0gを用いた以外は実施例1と全く同様な操
作を行い白色ポリマー3.7gを得た。
得られたポリマーのIRスペクトル、1H-NMRスペクトル
及び元素分析の結果は次のとおりであつた。
IRスペクトル(cm-1);2980(s)、2920
(s)、2850(m;側鎖ポリジメチルシロキサン末
端の長鎖アルキル基の特性吸収)、1565(s)、1
433(m)、1370(m、主鎖ポリトリメチルシリ
ルプロピン上のメチル基の特性吸収)、1260(s、
側鎖ポリジメチルシロキサン上のメチル基の特性吸
収)、1250(s、主鎖ポリトリメチルシリルプロピ
ン上のメチル基の特性吸収)、1180(m)、110
0(s、シロキサン結合の特性吸収)、1020
(s)、915(m)、840(s)、800(s)、
750(s)、685(m)、630(m)1 H-NMRスペクトル(CDC、δppm):0.10(側鎖
ポリジメチルシロキサンのメチル基のプロトンピー
ク)、0.20(主鎖ポリトリメチルシリルプロピンのトリ
メチルシリル基のプロトンピーク)、1.32(側鎖ポリジ
メチルシロキサン末端の長鎖アルキル基のプロトンピー
ク)、1.61(主鎖ポリトリメチルシリルプロピンのメチ
ル基のプロトンピーク) 元素分析値(%);C:53.67、H:9.61 このポリマーについてGPC測定を行つたところ、数平
均分子量及び重量平均分子量はポリスチレン換算値でそ
れぞれ3.21×10、9.22×10であつた。
以上の結果から、得られたポリマーは主鎖がポリ(1−
トリメチルシリルプロピン)、側鎖が式 で表わされるポリジメチルシロキサンからなるポリ(1
−トリメチルシリルプロピン)/ポリジメチルシロキサ
ングラフト共重合体であることを確認した。
また、元素分析値の炭素含量より主鎖ポリ(1−トリメ
チルシリルプロピン)の繰返し単位と側鎖ポリジメチル
シロキサンの繰返し単位とのモル比を算出したところ8
2/18であつた。熱機械分析における動的ヤング率の
温度変化より求めた軟化温度は253℃であつた。
参考例11 片末端にSi-H結合を有するポリジメチルシ
ロキサンの合成5 n−オクダデシルジメチルクロロシラン40mを無水
エーテル100mに溶解し、その溶液をアルゴン雰囲
気下0℃にて、水100m及びエーテル50mを混
合し激しくかくはんした溶液中にゆつくりと1時間半か
けて滴下した。分液漏斗にてエーテル層を分取し脱水
後、減圧下でエーテルを除去したところ、n−オクタデ
シルジメチルシラノール29.3gを得た。構造はIRスペ
クトル、1H-NMRスペクトル及びマススペクトルにより確
認した。
得られたn−オクタデシルジメチルシラノール10.0g
(30.4mmol)を乾燥THF40mに溶解し、アルゴン
ガス気流下にてn−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6m
ol/)20.0m(32.0mmol)を加えた。20分間かく
はんした後、更にヘキサメチルシクロトリシロキサン1
3.6g(60.8mmol)を乾燥THF80mに溶解した溶
液を加え、室温で18時間かくはんした。この溶液に停
止剤としてジメチルクロロシラン34mを加え、リビ
ング重合を停止すると共に片末端にヒドロシリル基を導
入した。
次に減圧下で溶媒を除去した後、生成した塩を別し、
0.1mmHg以下の真空下で120℃にて2時間加熱して未
反応のシクロシロキサン及び過剰の停止剤を除去したと
ころ、無色透明な粘性液体19.7gを与えた。この生成物
について、IR測定および1H-NMR測定を行い、その構造
で表わされるポリオルガノシロキサンであることを確認
した。また、平均重合度は1H-NMRおけるプロトン比基
準で約5.1であつた。
実施例6 ポリ(1−トリメチルシリルプロピン)/ポ
リジメチルシロキサングラフト共重合体の合成5 実施例1において、参考例3で得られたポリジメチルシ
ロキサンの代りに参考例11で得られたポリジメチルシ
ロキサン3.0gを用いた以外は実施例1と全く同様な操
作を行い白色ポリマー3.8gを得た。
得られたポリマーのIRスペクトル及び1H-NMRスペクト
ルは実施例5の結果と同様であり、また元素分析結果は
以下のとおりであつた。
元素分析値(%);C:55.57、H:9.69 このポリマーについてGPC測定を行つたところ、数平
均分子量及び重量平均分子量はポリスチレン換算値でそ
れぞれ2.80×10、8.58×10であつた。
以上の結果から、得られたポリマーは主鎖がポリ(1−
トリメチルシリルプロピン)、側鎖が式 で表わされるポリジメチルシロキサンからなるポリ(1
−トリメチルシリルプロピン)/ポリジメチルシロキサ
ングラフト共重合体であることを確認した。
また、元素分析値の炭素含量より主鎖ポリ(1−トリメ
チルシリルプロピン)の繰返し単位と側鎖ポリジメチル
シロキサンの繰返し単位とのモル比を算出したところ7
3/27であつた。熱機械分析における動的ヤング率の
温度変化より求めた軟化温度は248℃であつた。
参考例12 水/エタノール透過実験結果2 実施例5及び6で得られたポリマーをそれぞれトルエン
に溶解した後テフロン板上に流延し、トルエンをゆつく
りと蒸発除去したところ、膜厚がそれぞれ19μm及び
25μmの丈夫な均質膜が得られた。これらの膜につい
て、参考例9で述べた方法により50℃におけるパーベ
ーパレーシヨン法による水/エタノール混合物の透過実
験を行つた。実施例5および6で得られたグラフト共重
合体から作成した膜を用いた測定結果をそれぞれ下記表
6及び7に示す。
〔発明の効果〕 以上述べたように、本発明の製造方法により、優れた選
択分離特性を有する強じんな膜を形成しうるポリ二置換
アセチレン/ポリオルガノシロキサングラフト共重合体
を、簡便にしかも高収率で製造することができる。ま
た、本発明の製造方法は原料となるポリ二置換アセチレ
ンの分子量を低下させることなく、更に用途に合せて任
意のポリオルガノシロキサン含有量を有する上記グラフ
ト共重合体を製造しうるという特徴を併せ持つている。
また、本発明の製造方法により得られるグラフト共重合
体から形成される膜を用いて、空気からの酸素富化等種
々の気体混合物の分離又は濃縮、あるいは水−アルコー
ル混合物等種々の液体混合物の分離又は濃縮を極めて効
率良く行うことが可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒドロシリル化触媒の存在下、側鎖に炭素
    −炭素二重結合を有する基をもつポリ二置換アセチレン
    と、下記一般式I: (式中、R〜Rは同一又は異なり、アルキル基、置
    換アルキル基、フエニル基又は置換フエニル基であり、
    及びRは繰返し単位ごとに任意に異なつていても
    よい。mは2以上の整数である)で表わされるポリオル
    ガノシロキサンとを反応させることを特徴とする側鎖に
    ポリオルガノシロキサンを有するポリ二置換アセチレン
    /ポリオルガノシロキサングラフト共重合体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】該側鎖に炭素−炭素二重結合を有する基を
    もつポリ二置換アセチレンが、下記一般式II: で表わされる繰返し単位、及び下記一般式III: で表わされる繰返し単位(各式中、Aはアルキル基、置
    換アルキル基、フエニル基、置換フエニル基又は式−S
    iR10で表わされる基であり、繰返し単位ご
    とに任意に異なつていてもよい。ただし、R〜R10
    は同一又は異なり、アルキル基、置換アルキル基、フエ
    ニル基又は置換フエニル基である。また、Yは炭素−炭
    素二重結合を有する基である)よりなる共重合体である
    特許請求の範囲第1項記載のグラフト共重合体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】該炭素−炭素二重結合を有する基が、ジオ
    ルガノビニルシリル基、ジオルガノアリルシリル基、ジ
    オルガノ(ビニルフエニル)シリル基、ビニルフエニル
    基、(ビニルフエニル)メチル基、ビニル基又はビニル
    アルキル基である特許請求の範囲第1項又は第2項記載
    のグラフト共重合体の製造方法。
JP22956086A 1985-11-14 1986-09-30 グラフト共重合体を製造する方法 Expired - Lifetime JPH0637559B2 (ja)

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