JPH0636757B2 - 体液に含有される成分の測定方法およびそれに用いる試薬 - Google Patents

体液に含有される成分の測定方法およびそれに用いる試薬

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JPH0636757B2
JPH0636757B2 JP13050486A JP13050486A JPH0636757B2 JP H0636757 B2 JPH0636757 B2 JP H0636757B2 JP 13050486 A JP13050486 A JP 13050486A JP 13050486 A JP13050486 A JP 13050486A JP H0636757 B2 JPH0636757 B2 JP H0636757B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は体液中の所定の成分を簡便かつ効果的に測定す
る方法およびそれに用いる試薬に関する。
(従来の技術) 体液に微量に含有される成分を測定することにより各種
疾患の存在や健康状態をチェックすることが行われてい
る。例えば、胆汁に含有される胆汁酸は血液,尿などの
体液中に微量含有され,その含有量は肝胆道系疾患によ
り変化することが知られており,特に血液中の胆汁酸量
はこのような疾患の鋭敏なマーカーとなる。このような
例として,乳児の胆道閉塞症においては血液中もしくは
尿中の胆汁酸量が増加することが知られている。胆道閉
塞症は乳児約1万人あたり1人という高率で発生してお
り,患者は迅速な手術が必要とされる。疾病の認知が遅
れた場合には死亡率も高い。このような疾患を早期発見
するためにも体液中,特に,血液中の胆汁酸を集団検診
時などに精度良く測定することが望まれる。
胆汁酸を含有する試料溶液中の胆汁酸量を測定する方法
は,例えば,特公昭59-13197号,特開昭56-144096号お
よび特開昭56-151499号公報に開示されている。それに
よれば,まず,胆汁酸を含む試料を酸性下で熱処理し
(特公昭59-13197号公報),あるいは,オキサミド酸,
ピルビン酸などを添加して(特開昭56-144096号公報,
特開昭56-151499号公報)乳酸脱水素酵素(LDH)などの,
測定を妨害する酵素を失活させる。次いで,これに3α
−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3α−HS
D),ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+),
ジアホラーゼおよびテトラゾリウム塩を含有する反応用
溶液をpH8〜9のアルカリ条件下で反応させる。胆汁酸
の水酸基は3α−HSDの存在下でNAD+と反応してカルボ
ニル基となり次のようにケト型の胆汁酸を生じる。
NADHはジアホラーゼの存在下で電子受容性の色原体であ
るテトラゾリウム塩と反応して次のようにホルマザンを
生じる。NADHは再び酸化されてNAD+となる。テトラゾリ
ウム塩の代わりにレザズリンを用いてもよく,この場合
はレゾルフィンが生成する。
生じたホルマザン(レゾルフィン)のモル数はNADHのモ
ル数(つまり,胆汁酸のモル数)に相当する。そのた
め,このホルマザンの吸光度(レゾルフィンの螢光強
度)を測定することにより胆汁酸を定量することが可能
である。
このような方法により試料中の胆汁酸を感度良く測定す
ることできるが,溶液系での反応を利用した測定法であ
るため煩雑な操作を必要とする。そのため,マススクリ
ーニングや簡便に胆汁酸を検出するためには不適当であ
る。測定のために高価な吸光度測定装置などが必要であ
ることも欠点である。
このような欠点を解決するため,発明者は,上記方法に
おいて使用する試薬を適当な緩衝液(例えば、pH7.0リ
ン酸緩衝液)に溶解し,これを濾紙などの高分子素材か
らなる担体上に含浸・凍結乾燥して試験紙を作製し,胆
汁酸の半定量を試みた。しかし,上記テトラゾリウム塩
が不安定であるため凍結乾燥を行っても試験紙自体が約
16時間で赤紫〜紫色に発色する。さらに,時間経過とと
もに着色度が進むため,このような方法で得られた試験
紙を用いて胆汁酸を検出することはできない。
このような,胆汁酸などの体液中に含まれる所定の成分
を測定するべく,試験紙を用いる方法を採用すれば,簡
単かつ迅速に目的とする成分を測定しうると考えられ
る。しかしながら,溶液中で行われる反応系をそのまま
試験紙に適用するのは難しい。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記従来の欠点を解決するものであり,その目
的とするところは,体液中に含まれる所定の成分を,試
験紙を用いて簡便にかつ精度良く測定しうる方法および
それに用いる試薬を提供することにある。本発明の他の
目的は,肝胆道系疾患の重要なマーカーである体液中の
胆汁酸の量を試験紙を用いて簡便にかつ精度良く測定し
うる方法およびそれに用いる試薬を提供することにあ
る。
(問題点を解決するための手段および作用) 本発明の体液に含有される成分の測定方法は,(1)体液
に含有される所定の成分を測定するための、酵素、補酵
素および色原体からなる被測定成分測定用薬剤を担体に
担持させて試験紙を調整するにあたり、酵素および補酵
素を有機塩類および無機塩類を含有しない精製水に溶解
し、該溶液を担体に含浸させ、凍結乾燥した後、有機溶
媒に溶解した色原体を該担体に含浸、乾燥して試験紙を
調整する工程,(2)該被測定成分測定用薬剤と体液中の
被測定成分との酵素反応を最適条件に設定するための緩
衝液を試料液に添加する工程,および(3)該試料液を前
記試験紙に付与し、該試験紙を発色させる工程を包含
し,そのことにより上記目的が達成される。
本発明の体液に含有される成分の測定用試薬は,(1)体
液に含有される所定の成分を測定するための、酵素、補
酵素および色原体からなる被測定成分測定用薬剤を担体
に担持させるにあたり、前記酵素および補酵素を有機塩
類および無機塩類を含有しない精製水に溶解し、該溶液
を担体に含浸させ、凍結乾燥した後、有機溶媒に溶解し
た色原体を該担体に含浸、乾燥することにより形成され
た試験紙,および(2)該被測定成分測定用薬剤と体液中
の被測定成分との酵素反応を最適条件に設定するための
緩衝液を有し,そのことにより上記目的が達成される。
本発明に用いられる体液中の所定の成分を測定するため
の試験紙は,該被測定成分と反応して発色しうる被測定
成分測定用薬剤を高分子素材からなる担体に担持させる
ことにより得られる。このような担体としては,天然も
しくは合成繊維からなる抄紙や不織布のほかメンブレン
フィルターなどが用いられる。試料が尿または血清であ
る場合には,市販の濾紙など天然もしくは合成繊維から
なる抄紙や不織布が好適に用いられる。試料が全血であ
る場合には,合成繊維からなる抄紙や不織布,メンブレ
ンフィルターなどが好適に用いられる。メンブレンフィ
ルターとしては,穴径が0.1〜0.4μmの酢酸セルロース
系の膜が好ましい。合成紙としては,例えば,積水化学
工業(株)製のセルポア(親水性タイプ)が好適であ
る。
被測定成分測定用薬剤は,被測定成分の種類によりその
組成が異なる。例えば,被測定成分が胆汁酸である場合
には、被測定成分測定用薬剤としては,NAD+,3α−HS
D,ジアホラーゼおよびテトラゾリウム塩が用いられ
る。胆汁酸測定用試験紙を製造する場合には,まず,NA
D+,3α−HSDおよびジアホラーゼを有機塩類および無
機塩類を含有しない精製水に溶解した水溶液を調製す
る。これを上記担体に含浸させた後,凍結乾燥を行う。
ここで用いられる酵素の由来は特に限定されないが,耐
有機溶剤性,経時安定性などに優れた酵素が好ましい。
このような酵素として,3α−HSDとしてシュードモナ
ス テストステローニ(Pseudomonas testosteroni)由来
のものが,そしてジアホラーゼとしてはバチルスステア
ロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)由来
のものが好適に用いられる。NAD+の代わりにニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチドフォスフェイト(NADP+)が
用いられてもよい。NADP+もNAD+と同様に補酵素として
働き,還元されると還元型ニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチドフォスフェイト(NADPH)を生じる。3α−HSD
およびジアホラーゼは担体100cm2あたりそれぞれ0.1〜1
0000IUの割合で,NAD+(以下,NAD+はNADP+であっても
よく,NADHはNADPHであってもよい)は0.1〜100mgの割
合で担持される。過少であると胆汁酸による発色が充分
におこらず,過剰であるとその分解生成物により酵素反
応が阻害される。
ここで使用される精製水としては,例えば,脱塩水(脱
イオン水、蒸留水等が挙げられ、特に蒸留水が好まし
い。3α−HSDは活性至適pHが弱アルカリ性であるた
め,酵素反応のうえからは弱アルカリ性緩衝液を使用す
るのが好ましいと考えられる。しかし,発明者らが種々
の条件下で実験を行ったところ,含有される塩濃度が高
いほど得られる試験紙の下地の発色が顕著であることが
わかった。例えばpH8.5のリン酸緩衝液を用いて得られ
た試験紙を室温に保存すると,約1週間で下地の発色が
起こる。脱塩水を用いることにより,このような下地の
発色は抑制される。
上記水溶液中に添加剤が含有されていてもよい。添加剤
としては酵素や補酵素の活性化剤や安定化剤が挙げられ
る。酵素活性化剤としては,例えばトリトンX-100(商
品名)などの界面活性剤が好適に用いられる。そして酵
素安定化剤としては,例えばウシ血清アルブミン(BSA)
などの蛋白質が好適に用いられる。上記界面活性剤や蛋
白質が添加されていると,NAD+や酵素(3α−HSDおよ
びジアホラーゼ)がこれら化合物に包含される。このよ
うな界面活性剤や蛋白質は,後述のテトラゾリウム塩を
担持させる工程で使用される非水溶媒に溶解しないた
め,非水溶液中の色原体であるテトラゾリウム塩と上記
酵素や補酵素が直接接触するのが避けられる。その結
果,下地の発色がより効果的に抑制される。
さらに,添加剤として増粘剤が含有されていてもよい。
増粘剤により,いわゆる窓枠現象が抑制される。窓枠現
象とは,例えば,上記水溶液を担体に含浸させて乾燥さ
せるときに水溶液中の溶質が担体周辺部に移動して濃縮
されたり,得られた試験紙に検体溶液を滴下したときに
試験紙に含有されているNAD+,3α−HSDなどの試薬が
試験紙周辺部に移行して濃縮される現象をいう。このよ
うな窓枠現象が起こると胆汁酸の測定が正確になされな
い。上記増粘剤としては,メチルセルロース,ポリエチ
レングリコール(PEG)などが挙げられる。増粘剤が含ま
れると担体(試験紙)に含浸された液相の粘度が増大す
るため溶質の移動が抑制され,その結果,窓枠現象が抑
制される。上記酵素活性化剤,酵素安定化剤,増粘剤な
どの添加剤はそれぞれ担体100cm2あたり200mg以下,好
ましくは1〜100mgの割合で担持される。
このように酵素などを含む水溶液が含浸された担体の凍
結乾燥工程では,充分に水分を除去することが重要であ
る。担体に水分が残留していると次工程で担持されるテ
トラゾリウム塩の安定性が極端に低下する。
次に,上記凍結乾燥後の担体にテトラゾリウム塩を非水
溶媒に溶解させた溶液を含浸させる。テトラゾリウム塩
としては,ニトロテトラゾリウムブルー(NTB)もしくは
ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)と呼ばれる3・3′
−(3・3′−ジメトキシ−4・4′−ビフェニレン)
−ビス〔2−(p−ニトロフェニル)−5−フェニル−
2H−テトラゾリウムクロライドが好適に用いられる。
非水溶媒は,テトラゾリウム塩を溶解させることが可能
であればよく,メタノール,エタノールなどのアルコー
ル類;酢酸エチルなどが用いられる。テトラゾリウム塩
は担体100cm2あたり0.1〜500mgの割合で担持される。過
少であると胆汁酸による発色が充分におこらず,過剰で
あると溶媒に溶けにくくなり,また下地の色が濃くなる
ので色調の変色の判別が難しくなる。テトラゾリウム塩
溶液を含浸させた担体は速やかに,好ましくは凍結乾燥
により,乾燥される。このようにして得られた試験紙
は,適当な大きさの細片に裁断しプラスチックフィルム
製のスティックの端に接着させて利用に供せられる。
本発明に用いられる緩衝液は,試験紙に担持された被測
定成分測定用薬剤と被測定成分とを最適条件で酵素反応
させる機能を有する。被測定成分が胆汁酸である場合に
は,例えば,1mmol/〜1mol/のピロリン酸緩衝
液(ph7.5)などが好適に用いられる。このような緩衝液
を試料液に添加すると,例えばpHが中性付近から大きく
外れる貯留尿などを検体として用いても,pHが中性付近
に設定されるため,最適条件で酵素反応が行われ,その
ために,正確な測定値を得ることができる。緩衝液の添
加量は試料液の濃度やpHなどにより異なる。緩衝液を加
えた後の最終pHが6.0〜9.0,好ましくは6.8〜7.5となる
ように緩衝液が添加される。このようなpH範囲において
は,酵素の失活が起こらず,かつ胆汁酸と被測定成分測
定用薬剤との酵素反応が円滑に行われる。既述のように
3α−HSDの活性至適pHは弱アルカリ性でさるが,上記p
H範囲であれば弱酸性であってもNAD+から生じるNADHが
ただちにテトラゾリウムと反応して消費されるため,NA
D+→NADHの反応が円滑に進行する。しかし,pH条件を高
く設定するほうが反応の進行は速やかである。
上記酵素反応を妨害する他の酵素が検体中に存在する場
合は,これを阻害する阻害剤を上記緩衝液中に含有させ
ることも可能である。例えば,血清中には上記胆汁酸を
測定するための酵素反応を妨害するLDHが存在するた
め,LDH阻害剤としてオキサミン酸やピルビン酸を含有
する緩衝液が用いられる。
体液中の,例えば胆汁酸を測定するには,検体を含む試
料液に上記緩衝液を加えてpHを上記範囲に設定する。こ
れを上記試験紙に含浸させると,胆汁酸は3α−HSDの
存在下でNAD+と反応してケト型の胆汁酸となりNAD+はNA
DHとなる。NADHはジアホラーゼの存在下でテトラゾリウ
ム塩と反応してホルマザンを生じる。これは,従来の技
術の項で述べた反応機構と同様である。試料を含浸させ
た後,通常,1〜300秒でホルマザンが生じ発色がおこ
る。生じるホルマザンの量は胆汁酸の量に対応するた
め,発色の度合を目視観察することにより,試料に含有
される胆汁酸の概量を知ることができる。目視観察する
代わりに反射吸光装置などを利用した光学的方法によれ
ばさらに正確に発色の度合を測定することが可能であ
る。
本発明によれば,このように,体液中の所定の被測定成
分を測定しうる試験紙と緩衝液とを有する試薬を用い
て,体液に含有される成分の正確な測定がなされる。特
に,これまで試験紙を用いて簡便に測定することの困難
であった胆汁酸の測定が効果的になされうる。胆汁酸測
定用試験紙においては,胆汁酸測定用薬剤のひとつであ
りホルマザンを生じる色源体であるテトラゾリウム塩を
非水状態で担体上に担持させることができ,かつ担体に
塩類が担持されないため,試験紙の保存中にテトラゾリ
ウム塩が変化して下地が発色することがない。得られた
試験紙は,例えば,4℃で6ケ月以上にわたり安定に保
存することが可能である。胆汁酸の測定時には,反応条
件設定用薬剤が加えられるため胆汁酸と被測定成分測定
用薬剤とが最適条件下で反応し,短時間で試験紙が発色
する。試料中の胆汁酸量に応じて発色度合が変わるた
め,これを観察することにより胆汁酸量を知ることがで
きる。このような方法によれば簡単な操作で短時間のう
ちに,しかも安価に胆汁酸量を測定することができる。
そのため,集団検診やベッドサイドでの緊急検査に好適
に用いられる。体液中の胆汁酸を測定することにより肝
胆道系疾患を早期発見することが可能である。本発明は
体液に含有される胆汁酸以外の各種成分の測定にも利用
されうる。
(実施例) 以下に本発明を実施例につき説明する。
実施例1 (A)胆汁酸測定用試験紙の調製:3α−HSD 163IU,ジア
ホラーゼ6800IU,β−NAD+10.2mg,PEG 16mg,BSA 100m
gおよびTriton X(商品名)10μを蒸留水10mに溶
解した。この水溶液を300cm2の濾紙(Whatman NO.3)に含
浸させ,凍結乾燥した。次に,ニトロブルーテトラゾリ
ウム(和光純薬社製NTB)の0.034w/w%エタノール溶液
を調製し,これを上記凍結乾燥後の濾紙に含浸させた
後,速やかに乾燥させた。このようにして得られた試験
紙を6mm×10mmの小片に切断し,6mm×60mmのポリスチ
レンフィルム製のスティックの端に両面テープで接着し
て試験紙片を得た。得られた試験紙を6ケ月間保存した
が下地の発色は認められなかった。
(B)反応条件設定用薬剤(緩衝液)の調製:0.1mol/
のピロリン酸ナトリウム水溶液に50%硫酸を添加し,
pHを7.5に調整した(緩衝液1)。
(C)比色表の作成:生理食塩水に人血清アルブミンを4
%の割合で溶解させた溶液に胆汁酸(グリココール酸ナ
トリウム)をその濃度が,それぞれ,0,25,50,100
および200μmol/になるように添加し標準試料溶液を
得た。これらの標準試料溶液1mに(B)項で得られた
緩衝液1を50μの割合でそれぞれ添加した。緩衝液が
加えられた濃度既知の標準試料溶液を(A)項で得られた
試験紙片にそれぞれ25μずつ含浸させた。余分な試料
溶液を除き,1〜2分後にその色度を目視観察したとこ
ろ,表1に示す結果が得られた。この試験紙を用いて胆
汁酸の測定が正確になされうることがわかった。
実施例2 (A)胆汁酸測定用試験紙の調製:実施例1(A)項と同様の
方法で試験紙の調製を行った。
(B)反応条件設定用薬剤(緩衝液)の調製:実施例1(B)
項と同様である。さらに,緩衝液1にピルビン酸ナトリ
ウムを1mmol/となるように添加し,緩衝液2を得
た。
(C)胆汁酸の測定:検査試料として胆道閉塞症児の尿
(サンプル1),正常人血清(サンプル2および3),
肝炎患者血清(サンプル4および5)を準備した。これ
らに含有される胆汁酸を,本実施例(A)項で得られた試
験紙を用い,実施例1(C)項で定めた基準に従って測定
した。ただし,検査試料が尿であるサンプル1の測定に
は緩衝液1を,検査試料が血清であるサンプル2〜5の
測定には,緩衝液2を用いた。別に,これらの試料をエ
ンバザイル(第一化学薬品(株)製)を用いて溶液法に
より測定し,正確な胆汁酸濃度を算出した。それぞれの
結果を表2に示す。
表2から本発明方法による測定結果は,従来の溶液法に
よる結果とよく対応しており,このような方法により胆
汁酸が比較的高精度に検出されうる。
比較例1 3α−HSD 50IU,ジアホラーゼ50IU,β−NAD+10mgおよ
びニトロブルーテトラリゾウム10mgをpH8.0の20mMリン
酸バッファー10mに溶解した。この溶液を縦10cm,横
10cmの濾紙(東洋濾紙NO.2)に含浸させ,ただちに凍
結乾燥した。得れた試験紙を6mm×10mmの小片に切断
し,6mm×60mmのポリスチレンフィルム製スティックの
端に両面テープで接着して試験紙片を得た。得られた試
験紙を24時間保存したところ,下地の発色が認められ
た。下地発色の度合は実施例1(B)項の比色表では
(+)に相当する。このように下地が発色するため,本
比較例の試験紙は胆汁酸の測定には使用できない。
比較例2 蒸留水の代わりに10mMのピロリン酸緩衝液(pH8.0)を用
いたこと以外は実施例1(A)項と同様に操作して試験紙
片を得た。この試験紙片を保存したところ,約1週間で
下地の発色が認められた。この試験紙を用いての胆汁酸
の正確な測定は困難であるが,約200μmol/以上の高
濃度の胆汁酸の検出は可能であった。
比較例3 (A)胆汁酸測定用試験紙の調製:実施例1(A)項と同様の
方法で試験紙の調製を行った。
(B)胆汁酸の測定:検査試料として胆道閉塞症児の尿
(サンプル1),正常人血清(サンプル2および3),
肝炎患者血清(サンプル4および5),そして肝硬変患
者の尿(pH4.5)(サンプル6)を準備した。これらの検
査試料に実施例1または2で用いた緩衝液を加えること
なく,直接本実施例(A)項で得られた試験紙を付与し,
実施例1(C)項で定めた基準に従って胆汁酸を測定し
た。別に,これらの試料をエンバザイル(第一化学薬品
(株)製)を用いて溶液法により測定し,正確な胆汁酸
濃度を算出した。それぞれの結果を表3に示す。
表3から,緩衝液を用いない場合においても比較的良好
な結果が得られるが,サンプル6のようにpHが中性領域
から大きく外れた試料では正確な測定結果が得られにく
いことがわかる。
(発明の効果) 本発明によれば,このように,体液中の所定の被測定成
分を測定しうる試験紙と緩衝液とを有する試薬を用いて
体液に含有される成分の正確な測定がなされる。特に,
これまで試験紙を用いて簡便に測定することの困難であ
った胆汁酸の測定が効果的になされうる。胆汁酸測定用
試験紙は長期間安定に保存され得,例えば,経時的に成
分が変化して下地が発色することがない。試験紙を用い
て安価に胆汁酸の測定が行われるため,集団検診などで
肝胆道系疾患を早期に発見することが可能である。ベッ
ドサイドでの緊急時の検査にも利用価値が高い。本発明
は体液に含有される胆汁酸以外の各種成分の測定にも利
用されうる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)体液に含有される所定の成分を測定す
    るための、酵素、補酵素および色原体からなる被測定成
    分測定用薬剤を担体に担持させて試験紙を調整するにあ
    たり、酵素および補酵素を有機塩類および無機塩類を含
    有しない精製水に溶解し、該溶液を担体に含浸させ、凍
    結乾燥した後、有機溶媒に溶解した色原体を該担体に含
    浸、乾燥して試験紙を調整する工程, (2)該被測定成分測定用薬剤と体液中の被測定成分との
    酵素反応を最適条件に設定するための緩衝液を試料液に
    添加する工程,および (3)該試料液を前記試験紙に付与し、該試験紙を発色さ
    せる工程, を包含する体液に含有される成分の測定方法。
  2. 【請求項2】前記被測定成分が胆汁酸である特許請求の
    範囲第1項に記載の測定方法。
  3. 【請求項3】前記酵素が3α−ヒドロキシステロイドデ
    ヒドロゲナーゼおよびジアホラーゼのうち少なくとも一
    種であり、補酵素がニコチンアミドアデニンジヌクレオ
    チドであり、色原体がテトラゾリウム塩である特許請求
    の範囲第2項に記載の測定方法。
  4. 【請求項4】前記緩衝液が前記酵素反応を妨害する他の
    酵素の阻害剤を含有する特許請求の範囲第1項に記載の
    測定方法。
  5. 【請求項5】体液に含有される所定の成分を測定するた
    めの、酵素、補酵素および色原体からなる被測定成分測
    定用薬剤を担体に担持させるにあたり、前記酵素および
    補酵素を有機塩類および無機塩類を含有しない精製水に
    溶解し、該溶液を担体に含浸させ、凍結乾燥した後、有
    機溶媒に溶解した色原体を該担体に含浸、乾燥すること
    により形成された試験紙,および (2)該被測定成分測定用薬剤と体液中の被測定成分との
    酵素反応を最適条件に設定するための緩衝液 を有する体液に含有される成分の測定用試薬。
  6. 【請求項6】前記被測定成分が胆汁酸である特許請求の
    範囲第5項に記載の試薬。
  7. 【請求項7】前記酵素が3α−ヒドロキシステロイドデ
    ヒドロゲナーゼおよびジアホラーゼのうち少なくとも一
    種であり、補酵素がニコチンアミドアデニンジヌクレオ
    チドであり、色原体がテトラゾリウム塩である特許請求
    の範囲第6項に記載の試薬。
  8. 【請求項8】前記緩衝液が前記酵素反応を妨害する他の
    酵素の阻害剤を含有する特許請求の範囲第5項に記載の
    試薬。
JP13050486A 1986-06-05 1986-06-05 体液に含有される成分の測定方法およびそれに用いる試薬 Expired - Lifetime JPH0636757B2 (ja)

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