JPH063589A - 単玉両面非球面レンズ - Google Patents

単玉両面非球面レンズ

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JPH063589A
JPH063589A JP18634292A JP18634292A JPH063589A JP H063589 A JPH063589 A JP H063589A JP 18634292 A JP18634292 A JP 18634292A JP 18634292 A JP18634292 A JP 18634292A JP H063589 A JPH063589 A JP H063589A
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Kenichi Sato
佐藤  賢一
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 倍率の色収差等の収差を改善し、解像度の高
い撮影状態を得ると共に、小さな径の撮影レンズを提供
する。 【構成】 両面が非球面とされており、凸面に形成され
た第1面11が物体側に向けられ、かつ第2面12の基
準曲率と第1面11の基準曲率の比R2 /R1 が1.0
〜2.5の範囲で設定された単玉撮影レンズ10を設
け、この単玉撮影レンズ10の物体側に絞り14を配置
する。上記単玉撮影レンズ10の第1面11は周辺へい
くに従い正のパワーが大きくなるように、第2面12は
周辺へいくに従って負のパワーが大きくなるようにして
非球面とする。この非球面と絞り14の位置により倍率
の色収差が除去され、またこのとき残るコマ収差も非球
面構成により改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は単玉両面非球面レンズ、
特に簡易カメラやCCTV等に使用される撮影レンズ装
置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】レンズ付きフィルム等の簡易カメラ等で
は、撮影レンズとして単玉レンズが用いられており、こ
れらの単玉レンズは複雑な組合せレンズよりも簡易な構
成を達成している。また、性能の点では単玉レンズは実
用上十分であるが、組合せレンズに比べるとやや劣るこ
とになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の単玉
撮影レンズでは、凸面を物体側に向けたタイプが多いが
(特開昭63−199313号公報、特開平2−106
710号公報)、これらの撮影レンズにおいては色収差
(倍率の色収差)等が十分に除去されておらず、解像度
を改善する余地が残されている。
【0004】図6には、従来の撮影レンズ装置の一例が
示されており、これによれば、撮影レンズ1はメニスカ
ス形状の凸面が物体側を向くように配設され、この撮影
レンズ1の後段に絞り2が配置されている。しかし、こ
の撮影レンズ1においても、色収差等の除去が不十分で
ある。
【0005】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、両面非球面レンズを用いることに
より、倍率の色収差等の収差を改善し、解像度の高い撮
影状態を得ることができる単玉両面非球面レンズを提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1請求項の発明に係る単玉両面非球面レンズは、
両面を非球面とした正メニスカスレンズからなる単玉撮
影レンズであって、物体側に向けられた第1面を凸面、
第2面を凹面とし、かつ第2面の近軸曲率半径と第1面
の近軸曲率半径の比を1.0〜2.5の範囲で設定し、
この単玉撮影レンズより物体側に絞りを配置したことを
特徴とする。上記の場合、上記単玉撮影レンズの第1面
は周辺へいくに従い正のパワーが大きくなり、第2面は
周辺へいくに従って負のパワーが大きくなる非球面とす
ることが好ましい。
【0007】
【作用】上記の構成によれば、凸面を物体側に向けた第
1面を持つ正メニスカスレンズにおいて、第1面の近軸
曲率半径をR1 、第2面の近軸曲率半径をR2 として、
1.0<R2 /R1 <2.5の範囲に設定し、絞りをレ
ンズより物体側に配置し、かつ第1面の非球面形状を周
辺へいくに従い正のパワーが増すように、第2面の非球
面形状については周辺へいくに従って負のパワーが増す
ようにすると、以下の2つのことが達成される。
【0008】即ち、倍率の色収差に関しては、大きな画
角で入射する光線の主光線はレンズの外縁部を通り、非
球面の形状から、第1面では正のパワーが強い所を通
り、第2面では負のパワーが強い所を通ることになる。
そして、絞りをレンズより物体側に配置したことによ
り、主光線の第2面における光線高さが第1面の光線高
さより高くなる。そのため、非球面による効果では、第
1面よりも第2面の方が大きく作用し、従ってプラスの
倍率の色収差を低減することができ、広い画角度に対し
て、倍率の色収差の発生を抑えることが可能となる。
【0009】また、コマ収差に関しては、ある角度で入
射する光束において、主光線周辺のアッパーレイ、アン
ダーレイでは、第1面での光線高さと、第2面での光線
高さが異なる。そのため、主光線から大きく離れた両端
の周辺光線では、第1面と第2面での非球面効果が異な
り、アッパーレイ、アンダーレイを同時に収差補正で
き、広い画角に対してコマ収差を補正することが可能と
なる。
【0010】
【実施例】図1には、実施例に係る単玉両面非球面レン
ズの構成が示されており、図の単玉の撮影レンズ10は
第1面11が凸面、第2面12が凹面に形成された正メ
ニスカスレンズで、この凸面である第1面11が物体側
を向くように配置されている。この撮影レンズ10の第
1面11及び第2面12は、非球面とされるが、第2面
12の近軸曲率半径(非球面の基準となる光軸近傍の曲
率半径)R2 と第1面11の近軸曲率半径R1 の比R2
/R1 が1.0〜2.5の範囲(1.0<R2 /R1 <
2.5)で設定される。そして、図2に示されるよう
に、レンズ周辺において、第1面11では周辺にいくに
従って正のパワーが大きくなる方向201へ曲げられ、
第2面では周辺にいくに従って負のパワーが大きくなる
方向202へ曲げられ、これにより非球面とされる。
【0011】上記撮影レンズ10は、簡易カメラにおい
ては、例えば直径4mm前後、厚さD2 =1.5〜3.
0程度の大きさで形成され、また近軸曲率半径R1 、R
2 は、設定される焦点距離f、レンズ材料(硝子、プラ
スチック等)の屈折率nを考慮して決定されることにな
り、条件に応じて各種の組合せ設定が可能である。
【0012】また、図1に示されるように、上記撮影レ
ンズ10の物体側で第1面11から距離D1 の位置に絞
り14が配設され、第2面12から距離D3 の位置に結
像面であるフィルム15が配置される。即ち、従来の単
玉レンズでは光の各波長で屈折率が異なることにより、
像面側で倍率の色収差が生じる。ここで、この倍率の色
収差を除くためには、各像高に集る各波長の主光線を結
像面上で一点に集める必要がある。そして、各波長の主
光線が集る位置と結像面との位置関係は、両面非球面の
撮影レンズ10での絞り14の位置を前後させることに
よって変えることができる。従って、本発明では非球面
の撮影レンズ10を用いた場合のフィルム面15におい
て各波長の主光線が一点に集められる位置に、即ち上記
距離D1の位置に絞り14を配置し、倍率の色収差を除
去している。しかし、この場合にはコマ収差(点像の場
合彗星状に広がる収差)が残るという問題がある。
【0013】そこで、本発明はこのコマ収差も上述した
両面非球面により解決するようにしており、実施例では
撮影レンズ10の凸面である第1面を物体側へ向け、上
記近軸曲率半径比R2 /R1 を1.0〜2.5の範囲に
設定する。そして、第1面では周辺へいくに従って正の
パワーが大きくなり、第2面では周辺へいくに従って負
のパワーが大きくなる非球面とすることによって、高次
のコマ収差を除去することができたものである。このと
き、近軸曲率半径比R2 /R1 が1.0以下では、各面
でのパワーを大きくしなければならず、加工し難いとい
う問題がある。また、近軸曲率半径比が2.5以上では
両面を非球面とした効果が得られず、上記の収差を良好
に補正することができないことになる。
【0014】次に、実施例の構成の一例を示す。即ち、
図1において、レンズ直径4.2mm、第1面11の近軸
曲率半径R1 =6.9039mm、第2面12の近軸曲率半径
R2=7.9290mm、R2 /R1 =1.148で、焦点距離f=
62.67mm、F値(FNO)=15.0、距離D1 =1.3mm、
厚さD2 =2.3mm、距離D3 =55.40mmとなってい
る。また、硝材としては、d線(黄色ヘリウムの波長、
587.56nm)における屈折率nd =1.490231、分散νd
=57.5のものを用いることができる。更に、非球面は、
次の数式にて求めることができる。
【0015】
【数1】
【0016】上記式において、第1面11の非球面につ
いては、a2 =9.8790394×10-4、a3 =2.1136114×10
-5、a4 =-3.9899681×10-7、a5 =-3.2388885×10
-10、k=-1.0574141、c=1/R1 =0.14485を代入す
ることにより、また第2面12については、a2 =-7.5
554230×10-4、a3 =-1.2685853×10-4、a4 =1.3506
674×10-7、a5 =9.0864517×10-11 、k=6.872214
9、c=1/R2 =0.12612を代入することにより求めら
れる。
【0017】図3には、上記条件の単玉両面非球面レン
ズにより測定した色収差(横収差)の状態が示されてい
る。この図は、タンジェンシャル(子午的)光線につい
ての結果であり、d線(587.56nm)及びg線(青色水
銀;435.84nm)を用いて、結像面の中心位置(A)、
この中心から端部へ5割の位置(B)、7割の位置
(C)、端部位置(D)の順に示した分布曲線である。
これによれば、d線とg線との差が小さく、色収差が良
好に除去されていることが分かる。
【0018】図4には、実施例における他の収差の状態
が示されており、これは像面であるフィルム面15を湾
曲させ(曲率半径R=125mm)、焦点距離f=6
2.67mm、F値=15.0で白色光の下に測定した
結果である。図(A)は、球面収差の変化をF値に対応
させて求めたもので、d線の変化は点線で示した正弦条
件に沿った変化となっている。図(B)は、像面湾曲を
フィルム面15の中心0mmから対角線方向にフィルム
端部21.63mmまで求めたもので、サジタル(球欠
的)光線の像面S、タンジェンシャル(子午的)光線の
像面Tは両者共にフィルム面15の端部へいく程やや大
きくなるが、許容範囲内であり、一方非点隔差(両者の
差)は小さくなっている。また、図(C)は、歪曲収差
を図(B)と同様に求めたもので、歪曲収差は非常に小
さいものとなっている。
【0019】図5には、像面(フィルム面)をフラット
にした場合の他の収差の状態が示されており、これは、
焦点距離f=55.74mm、F値=15.0で白色光
の下に測定した結果である。図(A)は、球面収差の変
化であり、d線の変化は点線で示した正弦条件に沿った
変化となっている。図(B)は、像面湾曲の状態であ
り、サジタル光線の像面S、タンジェンシャル光線の像
面Tは、フィルム面15の端部において少し大きくなる
が、許容範囲内の変化となっている。また、図(C)
は、歪曲収差の変化であり、歪曲収差は図4と同様に小
さく抑えられている。
【0020】以上のように、実施例では色収差、高次の
コマ収差を改善すると同時に、他の収差も良好に除去さ
れたレンズ装置を得ることができる。この単玉両面非球
面レンズは、簡易カメラだけに限らず、ITV(工業用
テレビジョン)或いはCCTV( Closed-Circuit Tele
vision)のカメラに適用することができ、これらの撮影
レンズとして用いることによって、解像度の高い写真や
映像を得ることが可能となる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
両面を非球面として形成した正メニスカスの単玉撮影レ
ンズであって、その凸面を物体側に向け、かつ第2面の
近軸曲率半径と第1面の近軸曲率半径の比を1.0〜
2.5の範囲で設定し、上記非球面は例えば第1面は周
辺へいくに従い正のパワーが大きくなり、第2面は周辺
へいくに従って負のパワーが大きくなるようにし、この
単玉撮影レンズより物体側に絞りを配置したので、色収
差、コマ収差等の各収差が良好に改善され、解像度の高
い写真、映像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る単玉両面非球面レンズの
構成を示す図である。
【図2】実施例の非球面の状態を示す説明図である。
【図3】実施例の撮影レンズで測定された色収差(横収
差)の状態を示す特性図である。
【図4】像面に曲率が持たされている場合の他の収差の
状態を示す特性図である。
【図5】像面がフラットの場合の他の収差の状態を示す
特性図である。
【図6】従来の単玉非球面レンズの一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1,10 … 撮影レンズ、 2,14 … 絞り、 15 … フィルム面、 11 … 第1面、 12 … 第2面。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両面を非球面とした正メニスカスレンズ
    からなる単玉撮影レンズであって、物体側に向けられた
    第1面を凸面、第2面を凹面とし、かつ第2面の近軸曲
    率半径と第1面の近軸曲率半径の比を1.0〜2.5の
    範囲で設定し、この単玉撮影レンズより物体側に絞りを
    配置した単玉両面非球面レンズ。
  2. 【請求項2】 上記単玉撮影レンズの第1面は周辺へい
    くに従い正のパワーが大きくなり、第2面は周辺へいく
    に従って負のパワーが大きくなる非球面としたことを特
    徴とする上記第1請求項記載の単玉両面非球面レンズ。
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