JPH0635640U - 極薄簡易型ボールベアリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ボールベアリングの厚さを極薄型とするとと
もに、組立が非常に容易でコストダウンを可能とし、か
つ部品の仕上りが高精度となり取付方法も容易なものと
する。 【構成】 ボール２を転動させるレース面３を内周面に
有する外輪１と、この外輪１の内周面に隙間をおいて挿
入されるフランジ部４ａを一方に有するとともに、その
外周面を前記外輪１のレース面３に対応するレース面５
とする内輪４と、これら内輪４と外輪１とのレース面
３，５内を転動する複数個のボール２と、前記内輪４の
内径に隙間なく挿通される軸部７ａを有するとともに、
一端に前記外輪１の内周面に隙間をおいて挿入されるフ
ランジ部６を有するシャフト７とよりなり、前記外輪１
および内輪４のレース面３，５に配設されたボール２を
内輪４およびシャフト７のフランジ部６にて支承した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、極薄簡易型ボールベアリングの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のボールベアリング20は、図７に示すように、内輪21の外周面にボール22 の外周に相当するレース面21ａを設け、この内輪21と同心円をなすリング状の外 輪23を設け、外輪23の内側に内輪21の外周面に設けたレース面23ａを形成し、こ の内外輪21,23 の各レース面内に複数個のボール22を等間隔に配設して構成され ていた。そして、ボール22を等間隔に配設するためのリテーナ24を設け、ボール 22および前記レース面21a,23a 内に塵等が入ってボール22のころがり接触を損な うことのないようにシール部材25が設けられていた。

【０００３】 このようなボールベアリング20の組立にあっては、治具内に内輪21と外輪23と の各レース面21a,23a を対応するように置き、内輪21もしくは外輪23のいずれか 一方をずらして偏心させ、この偏心により対応するレース面21a,23a の隙間内に 複数個のボール22を入れ、前記偏心した内外輪21,23 の一方を同心円となるよう に移動させ、前記ボール22を等配分してリテーナ24を被せ、次に反対側の面より もう一方のリテーナを被せてカシメて前記ボール22を等配分保持させておき、オ イルまたはグリース等の潤滑剤を封入してシール部材25を取付け、組み上げてい た。

【０００４】 このように組立られたボールベアリング20は、内輪21内に挿入される別部材の 取付ねじ26により取付本体部材27に螺着固定し、取付本体部材27を固定すること により外輪23側を回転自在としていた。また、図８に示すように、外輪23の外側 に固定部材28を取付て固定し、前記取付本体部材27側を回転自在となるように使 用していた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記構成によるボールベアリングにおいては、組立工数が多く コスト高になるとともに、取付けにあたっては取付ねじが必要であり、ボールベ アリングを保持した状態で取付ねじによって取付けるための作業が煩雑であった 。加えて、従来のボールベアリングでは、外輪および内輪の幅方向の厚さはボー ル径の略４倍程度を必要とし、重量も大きいため小型で極薄型のボールベアリン グを製作することは困難であった。

【０００６】 本考案は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ボー ルベアリングの厚さを極薄型とするとともに、組立が非常に容易でコストダウン を可能とし、かつ部品の仕上りが高精度となり取付方法も容易な極薄簡易型ボー ルベアリングを提供しようとすることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、ボールを転動させるレース面を内周面に 有する外輪と、この外輪の内周面に隙間をおいて挿入されるフランジ部を一方に 有するとともに、その外周面を前記外輪のレース面に対応するレース面とする内 輪と、これら内輪と外輪とのレース面内を転動する複数個のボールと、前記内輪 の内径に隙間なく挿通される軸部を有するとともに、一端に外輪の内周面に隙間 をおいて挿入されるフランジ部を有するシャフトとよりなり、前記外輪および内 輪のレース面に配設されたボールを内輪およびシャフトのフランジ部にて支承し たことを特徴とする。

【０００８】

【作用】

上記のように構成した本考案の極薄簡易型ボールベアリングは、外輪と内輪と を軸方向に若干ズラして配置し、治具を用いてボールを隙間内に挿入した後、内 輪を外輪の中心に移動させることによってボールは内外輪のレース面内に収納さ れる。そこでシャフトの軸部を内輪の内径内に圧入、もしくは接着剤等を塗布し てシャフトを内輪の内径内に圧入すれば、シャフトのフランジ部がボール転動可 能に保持するのでボールベアリングは容易に組立てられる。このシャフトの軸部 側を取付部材に固定すれば外輪は回転自在となり、外輪側を固定すればシャフト は回転軸として使用することができる。

【０００９】 また、外輪と内輪側のフランジ部との隙間、および外輪とシャフト側のフラン ジ部との隙間を予め小さく設定しておくことにより、シール部材等を用いること なく防塵が可能となる。さらに、外輪はレース面を設けるだけの幅方向の厚みが あれば、ボールベアリングとしての機能を果せることから極薄型のボールベアリ ングが得られる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図１ないし図６によって説明する。図１（ａ）にお いて、外輪１はリング状に形成されており、内周面１ａの幅方向の中心にはボー ル２を転動させるレース面３が設けられている。このレース面３はボール２の外 周に一致する円形の溝状になっている。ボール２は完全な真円球体で前記レース 面３内を抵抗なく転動するようになっている。

【００１１】 内輪４はフランジ付円筒体で、フランジ部４ａの外周は前記外輪１の内周面１ ａの径より僅かに小さく形成されており、内周面１ａ内に収容されるようになっ ている。このフランジ部４ａより延設された円筒部４ｂは前記外輪１のレース面 ３に対応する位置が内輪４のレース面５となるように仕上げられ、円筒部４ｂの 径はボール２にころがり接触するに必要な大きさに形成されている。

【００１２】 この内輪４の内側には挿通孔内径４ｃが設けられており、この挿通孔４ｃには 一端にフランジ部６を有するシャフト７が取付けられる。シャフト７は円柱状の 軸部７ａを有し、この軸部７ａは前記挿通孔４ｃに圧入されるように形成してあ る。この軸部７ａの端面には、底孔７ｂが設けられていて、図示していない別の 部材との接続孔となっている。

【００１３】 この軸部７ａの別の一端には、フランジ部６がその外径を内輪４のフランジ部 ４ａと同じ大きさに形成されており、外輪１の内周面１ａ内に収納されるように 形成してある。そして、このフランジ部６とシャフト７の突き合わせ部分にはテ ーパ面６ａが設けてあり、前記内輪４のフランジ４ａとシャフトのフランジ部６ との対応面内にはボール２の側面が支承されるようになっている。この支承によ って、ボール２の転動は何等の制約も受けることはない。

【００１４】 また、図１（ｂ）は、他の変形例を示すもので、この例ではシャフト７は段付 き円柱状を成している。すなわち、シャフト７は、一端に軸部７ａと他端にフラ ンジ部６およびテーパ面６ａを有すると共に、中間に段部７ｂを有し、この段部 ７ｂがボール２を転動させるレース面となっている。そして、シャフト７の軸部 ７ａにはフランジ４ａ’が圧入され、段部７ｂの端面に当接されている。 なお、前記と同様に、シャフト７のフランジ部６は内輪４の外径と同じ大きさ に形成され、かつ外輪１の内周面１ａ内に収納されている。

【００１５】 上記のように構成された極薄簡易型ボールベアリング８を組み立てるには、図 １（ａ）の場合を例にとると、図１（ｃ）に示されるように、固定台１５と可動 台１６を図の位置にセットすると共に、その中にシャフト７と外輪１を配置する 。次に、ボール２をシャフト７と外輪１の間の隙間に投入する。このとき、ボー ルの数は通常０．１〜１個分の隙間ができる数とするが、これでボール２は容易 に転送面内に配置される。なお、念のため、可動台１６を上下に動かしたり回転 させれば、ボール２は確実に整列配置されることになる。

【００１６】 続いて、内輪４を押え治具１７および圧入治具１８でシャフト７の軸部７ａに 圧入または挿入（接着）する。そして、ボール２の側面は内輪４のフランジ部４ ａとシヤト７のフランジ部６の内側対応面に支承されて回転自在に保持される。

【００１７】 ここで、外輪１の幅方向である厚さはレース面３を持たせるだけの厚みで十分 であり、内輪４のフランジ部４ａとシャフト７のフランジ部６の厚さも極薄く形 成できることから、極薄型のボールベアリングを作ることが可能である。また、 組立の容易さと加工性の容易さから、簡易型のボールベアリングとしての特徴が 生じ、従来のボールベアリングに見られない特徴を有することが明白である。

【００１８】 図２は内輪４Ａの形状を一部変更したもので、内輪４ａのフランジ部４Ａａと レース面５を形成する円筒部４Ａｂとの突き合わせ部分に、シャフト７のフラン ジ部６に設けたテーパ面６ａと同様のテーパ部４Ａｄを設け、ボール２の支承性 を向上させたものである。上記以外の部品はいずれも図１に説明したものと同じ ものであり、重複するのでその詳細は割愛する。

【００１９】 図３は極薄簡易型ボールベアリングの別の実施例で、この極薄簡易型ボールベ アリング10は、外輪１とボール２はいずれも図１（ａ）（ｂ）および図２のもの と同じである。内輪11は略円錐台形の筒状体で、大径部はフランジ状の円形であ り、小径部は外輪１のレース面３の中心線上に及ぶ円形である。これら大径部と 小径部の間はテーパ状に形成されており、大径部の形は外輪１の内周面１ａより 僅かに小さく、小径部の径は大径部からの略60°テーパの線と外輪１のレース面 の中心線との交点に合わせてある。このような内輪11の中心部分( 大径部の中心 と小径部の中心とを結ぶ中心) には、後述するシャフト12を挿通させる挿通孔13 が設けられている。

【００２０】 シャフト12は、前記内輪11の挿通孔( 内径)13 内に圧入される軸部とフランジ 部14とにより構成されている。フランジ部14は小径部14ａが内輪11の小径部に等 しく、内輪11のテーパと等しいテーパをもって大径部14ｂに到る円錐台形に構成 されている。前記内輪11のテーパとシャフト14のテーパ面とは断面Ｖ字形をなし てボール２のレース面を構成している。

【００２１】 このような構成において、外輪１内に内輪11を組合せ複数個のボール２を内外 輪の隙間に入れ、内輪11の挿通孔( 内径)13 内にシャフト12を圧入し、内輪11の 小径部とシャフト12のフランジ部14の小径部を外輪１のレース面３の中心に合わ せると極薄簡易型ボールベアリング10が簡単に組立てられる。

【００２２】 図４ないし図６はいずれも外輪のレース面の形状を示したもので、図４はＶ溝 によるもの、図５は台形溝によるもの、図６は長方形溝によるものであって、何 れの形状によるレース面の外輪を用いても前記の各内輪およびシャフトと組合せ 使用することができる。以上説明した極薄簡易型ボールベアリングは、レース面 を有する外輪の内周面内に一方にフランジ部を有する内輪を設け、内輪の内径に 組合わせるシャフトとフランジ部によってボールを支承するという技術思想は、 各種の設計変更を伴うことができることを示唆しており、そのような設計変更は いずれも本願の技術範囲に含まれるものである。

【００２３】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の極薄簡易型ボールベアリングは、ボールを転動 させるレース面を内周面に有する外輪と、この外輪の内周面に隙間をおいて挿入 されるフランジ部を一方に有するとともに、その外周面を前記外輪のレース面に 対応するレース面とする内輪と、これら内輪と外輪とのレース面内を転動する複 数個のボールと、前記内輪の内径に隙間なく挿入される軸部を有するとともに、 一端に外輪の内周面に隙間をおいて挿入されるフランジ部を有するシャフトとよ りなり、前記外輪と内輪のレース面に配設されたボールを内輪およびシャフトの フランジ部にて支承するようにしたので、ボールベアリングの厚さ（幅方向）を 極薄型とするとともに、組立が非常に容易でコストダウンを可能とし、かつ部品 の仕上りが高精度となり取付方法も容易な極薄簡易型ボールベアリングとして用 いられる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は極薄簡易型ボールベアリングの断面
図、（ｂ）はその変形例を示す図、（ｃ）は組立て方法
を示す図である。

【図２】内輪の一部にテーパ面を設けた極薄簡易型ボー
ルベアリングの断面図である。

【図３】内輪とシャフトにレース面を設けた極薄簡易型
ボールベアリングの断面図である。

【図４】Ｖ字溝のレース面を有する外輪の断面図であ
る。

【図５】台形溝のレース面を有する外輪の断面図であ
る。

【図６】長方形溝のレース面を有する外輪の断面図であ
る。

【図７】従来のボールベアリングの断面図である。

【図８】従来のボールベアリングの取付時の断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 外輪 ２ ボール ３ レース面（外輪の） ４，４Ａ，11 内輪 ４ａ，４Ａａ フランジ部（内輪の） ５ レース面（内輪の） ６，14 フランジ部( シャフトの) ８，10 極薄簡易型ボールベアリング

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【手続補正書】

【提出日】平成５年１月２２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図２】

【図３】

【図４】

【図５】

【図６】

【図７】

【図８】

【図１】

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボール（２）を転動させるレース面
   （３）を内周面に有する外輪（１）と、この外輪（１）
   の内周面に隙間をおいて挿入されるフランジ部（４ａ）
   を一方に有するとともに、その外周面を前記外輪のレー
   ス面（３）に対応するレース面（５）とする内輪（４）
   と、これら内輪（４）と外輪（１）とのレース面（３，
   ５）内を転動する複数個のボール（２）と、前記内輪
   （４）の内径に隙間なく挿通される軸部（７ａ）を有す
   るとともに、一端に前記外輪（１）の内周面に隙間をお
   いて挿入されるフランジ部（６）を有するシャフト
   （７）とよりなり、前記外輪（１）および内輪（４）の
   レース面（３，５）に配設されたボール（２）を内輪
   （４）およびシャフト（７）のフランジ部（６）にて支
   承したことを特徴とする極薄簡易型ボールベアリング。