JPH0635518B2 - セルロ−ス系ド−ブ - Google Patents
セルロ−ス系ド−ブInfo
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- JPH0635518B2 JPH0635518B2 JP60068566A JP6856685A JPH0635518B2 JP H0635518 B2 JPH0635518 B2 JP H0635518B2 JP 60068566 A JP60068566 A JP 60068566A JP 6856685 A JP6856685 A JP 6856685A JP H0635518 B2 JPH0635518 B2 JP H0635518B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、成形に適するセルロース系ドープであって、
セルロース誘導体を有効に製造するためのドープに関す
る。
セルロース誘導体を有効に製造するためのドープに関す
る。
一般に、再生セルロースの成形物はセルロースをある種
の方法で溶媒に溶解し、そのドープを押出し機を用い
て、非溶媒や再生溶媒中に投入することに依って製造さ
れる。上記の目的に工業的に利用されるセルロースの溶
解方法は現在でも、1890年代終りに発見された銅ア
ンモニア法とビスコース法だけである。これらの方法で
得たドープ中のセルロースはセルロースがそのままの型
で溶解しているのではなく、ある種のセルロース誘導体
として溶解している特徴がある。従って、セルロースに
戻すにはいわゆる再生という操作が必要である。しか
も、上記のいずれのドープを製造する工程でも、またそ
れらドープからの成形に際しても、重金属の大量の排
出,毒性気体の発生等作業環境的見地からも、また公害
の見地からも問題点が多い。この他、工業的には用いら
れてはないが、セルロースを溶解する方法として、金属
鎖体、例えば、カドキセン(カドミウム/エチレンジア
ミン/アルカリ)、コオキセン(コバルト/エチレンジ
アミン/アルカリ)、ジンコセン(亜鉛/エチレンジア
ミン/アルカリ)、ニオキセン(ニッケル/エチレンジ
アミン/アルカリ)、EWNN(鉄/酒石酸/アルカリ)を
用いる方法が知られている。しかしながら、いずれも、
重合属、アミン等の毒性成分を大量に使用する点や経済
性の点で銅アンモニア法やビスコース法を凌賀するもの
ではない。特に二硫化炭素をセルロースを構成するグル
コース残基あたり約0.85モル(セルロースに対し35重
量%)と大量に用いるビスコース法は、現在の再生セル
ロース工業では、圧倒的に多数の企業が採用している。
しかしながら、上記の観点からビスコース法の工業的在
続する危惧する事が殴米で起きている。その顕著な表わ
れは1960年代〜1970年代にかけての多くの企業
のビスコース事業(レーヨン事業)からの撤退である。
これら工業的に既存の溶解方法への反省として、セルロ
ースを直接有機溶媒に溶解し、繊維や膜製造プロセスを
クローズド化して新規な再生セルロース成形品を得よう
とする研究が1970年代より、カナダ,米国を中心になさ
れてきた。その結果、実に多くの溶解方法が見い出され
たが、いずれも複雑な多成分系溶媒づあり、溶媒自体の
コスト高,毒性,爆発性,回収困難性等のため実用化さ
れた例をみないのが現状である。更に、残念ながら、セ
ルロースを溶解するに際し新しく発見された溶解方法
は、殆んどすべて、セルロースをある種の誘導体の形に
して、その誘導体を結果的に溶解しているという点で、
ビスコース法や銅アンモニア法と大差のない発想しかな
かった。例えば、ジメチルスルホキシド法の場合セルロ
ースはメチロールセルロースとして溶解しているし、ジ
メチルホルムアミド/N2O4法では、セルロースナイトラ
イトとして溶解する。SO2/アミン法、ジメチルホルム
アミド/クロラール法等も同様である。このようなセル
ロースの溶解技術の歴史をみても判るように、セルロー
スを単純で安価な溶媒に溶解するのは至難の技である。
の方法で溶媒に溶解し、そのドープを押出し機を用い
て、非溶媒や再生溶媒中に投入することに依って製造さ
れる。上記の目的に工業的に利用されるセルロースの溶
解方法は現在でも、1890年代終りに発見された銅ア
ンモニア法とビスコース法だけである。これらの方法で
得たドープ中のセルロースはセルロースがそのままの型
で溶解しているのではなく、ある種のセルロース誘導体
として溶解している特徴がある。従って、セルロースに
戻すにはいわゆる再生という操作が必要である。しか
も、上記のいずれのドープを製造する工程でも、またそ
れらドープからの成形に際しても、重金属の大量の排
出,毒性気体の発生等作業環境的見地からも、また公害
の見地からも問題点が多い。この他、工業的には用いら
れてはないが、セルロースを溶解する方法として、金属
鎖体、例えば、カドキセン(カドミウム/エチレンジア
ミン/アルカリ)、コオキセン(コバルト/エチレンジ
アミン/アルカリ)、ジンコセン(亜鉛/エチレンジア
ミン/アルカリ)、ニオキセン(ニッケル/エチレンジ
アミン/アルカリ)、EWNN(鉄/酒石酸/アルカリ)を
用いる方法が知られている。しかしながら、いずれも、
重合属、アミン等の毒性成分を大量に使用する点や経済
性の点で銅アンモニア法やビスコース法を凌賀するもの
ではない。特に二硫化炭素をセルロースを構成するグル
コース残基あたり約0.85モル(セルロースに対し35重
量%)と大量に用いるビスコース法は、現在の再生セル
ロース工業では、圧倒的に多数の企業が採用している。
しかしながら、上記の観点からビスコース法の工業的在
続する危惧する事が殴米で起きている。その顕著な表わ
れは1960年代〜1970年代にかけての多くの企業
のビスコース事業(レーヨン事業)からの撤退である。
これら工業的に既存の溶解方法への反省として、セルロ
ースを直接有機溶媒に溶解し、繊維や膜製造プロセスを
クローズド化して新規な再生セルロース成形品を得よう
とする研究が1970年代より、カナダ,米国を中心になさ
れてきた。その結果、実に多くの溶解方法が見い出され
たが、いずれも複雑な多成分系溶媒づあり、溶媒自体の
コスト高,毒性,爆発性,回収困難性等のため実用化さ
れた例をみないのが現状である。更に、残念ながら、セ
ルロースを溶解するに際し新しく発見された溶解方法
は、殆んどすべて、セルロースをある種の誘導体の形に
して、その誘導体を結果的に溶解しているという点で、
ビスコース法や銅アンモニア法と大差のない発想しかな
かった。例えば、ジメチルスルホキシド法の場合セルロ
ースはメチロールセルロースとして溶解しているし、ジ
メチルホルムアミド/N2O4法では、セルロースナイトラ
イトとして溶解する。SO2/アミン法、ジメチルホルム
アミド/クロラール法等も同様である。このようなセル
ロースの溶解技術の歴史をみても判るように、セルロー
スを単純で安価な溶媒に溶解するのは至難の技である。
他方、セルロースは重合度(以下、「DP」と略す)が
極端に小さくなると(例えば、DP10)アルカリは
勿論、熱ジメチルスルホキシドに溶解することは知られ
ている。その重合度は20以下であって、とてもセルロ
ース成形品として充分な機械特性を持ちえず、利用でき
るものではない。極低重合度セルロースがアルカリ等に
溶けるのは、セルロースに特徴的な高分子性、例えば水
素結合等で規定される分子形態が失なわれるからであ
る。また、10重量%付近の苛性ソーダ水溶液は重合度
の高いセルロースに対し強い膨潤作用をもつことも周知
の事実である。
極端に小さくなると(例えば、DP10)アルカリは
勿論、熱ジメチルスルホキシドに溶解することは知られ
ている。その重合度は20以下であって、とてもセルロ
ース成形品として充分な機械特性を持ちえず、利用でき
るものではない。極低重合度セルロースがアルカリ等に
溶けるのは、セルロースに特徴的な高分子性、例えば水
素結合等で規定される分子形態が失なわれるからであ
る。また、10重量%付近の苛性ソーダ水溶液は重合度
の高いセルロースに対し強い膨潤作用をもつことも周知
の事実である。
ジャーナル・オブ・プラクト・ケム(Journal of Prakt
Chem.)、N.F.,158,233(1941)には天然
セルロース,マーセル化セルロース,再沈殿(多分,再
生)したセルロースの10重量%苛性ソーダ水溶液に対
する溶解性が示されている。溶解条件、ポリマー濃度等
全く記述がないが、それに依ると、天然,マーセル化セ
ルロースは重合度(DP)=400迄、再沈殿されたセ
ルロースはDP=1200迄可溶とされている。しかし
ながら、これらの記述ははかなりの任意性が含まれる
し、また、可溶といっても強度膨潤したゲルをも含めて
いたと予想される。本発明者が追試した結果、−5℃〜
5℃で、10重量%の苛性ソーダに対するセルロースの
溶解性はポリマー濃度と重合度に影響をうけ、例えばD
P=360の天然セルロース(綿リンター)の場合、遠
心分離(20000回転,46分)しゲルを取り除く操作を
するとポリマー濃度0.5%でも全部が溶解することはな
かった。従って、ジャーナル・オブ・プラクト・ケム
(Journal of Prakt Chem.),N.F.,158,233
(1941)に記載される“可溶”という意味は、低濃
度でしかもゲルを含んだものと判断され、工業的に利用
できるものではない。これらの点は、アルカリがセルロ
ースのラテラルオーダー毎の分別溶解に用いられた事実
(例えば、“高分子物質の精製と化学反応”,p128
〜132.高分子学会編、昭和33年、共立出版)から
も知られる。これはセルロースの分子量と分子鎖の集合
状態によりアルカリに溶ける部分と不溶な部分に分ける
操作であって、前者の溶ける部分はゲルも含めたもので
ある。これらの事実は、溶解したい重合度の高いセルロ
ースを殆んど100%溶解し、しかも、セルロースを高
濃度に、単一組成のアルカリに溶解することが技術的に
極めて困難であることを示している。事実、セルロース
工業の歴史上;かかるセルロース/アルカリ溶液が成形
用ドープとして利用されたことはない。
Chem.)、N.F.,158,233(1941)には天然
セルロース,マーセル化セルロース,再沈殿(多分,再
生)したセルロースの10重量%苛性ソーダ水溶液に対
する溶解性が示されている。溶解条件、ポリマー濃度等
全く記述がないが、それに依ると、天然,マーセル化セ
ルロースは重合度(DP)=400迄、再沈殿されたセ
ルロースはDP=1200迄可溶とされている。しかし
ながら、これらの記述ははかなりの任意性が含まれる
し、また、可溶といっても強度膨潤したゲルをも含めて
いたと予想される。本発明者が追試した結果、−5℃〜
5℃で、10重量%の苛性ソーダに対するセルロースの
溶解性はポリマー濃度と重合度に影響をうけ、例えばD
P=360の天然セルロース(綿リンター)の場合、遠
心分離(20000回転,46分)しゲルを取り除く操作を
するとポリマー濃度0.5%でも全部が溶解することはな
かった。従って、ジャーナル・オブ・プラクト・ケム
(Journal of Prakt Chem.),N.F.,158,233
(1941)に記載される“可溶”という意味は、低濃
度でしかもゲルを含んだものと判断され、工業的に利用
できるものではない。これらの点は、アルカリがセルロ
ースのラテラルオーダー毎の分別溶解に用いられた事実
(例えば、“高分子物質の精製と化学反応”,p128
〜132.高分子学会編、昭和33年、共立出版)から
も知られる。これはセルロースの分子量と分子鎖の集合
状態によりアルカリに溶ける部分と不溶な部分に分ける
操作であって、前者の溶ける部分はゲルも含めたもので
ある。これらの事実は、溶解したい重合度の高いセルロ
ースを殆んど100%溶解し、しかも、セルロースを高
濃度に、単一組成のアルカリに溶解することが技術的に
極めて困難であることを示している。事実、セルロース
工業の歴史上;かかるセルロース/アルカリ溶液が成形
用ドープとして利用されたことはない。
これらの従来技術を鋭意考慮し、本発明者らは、あらか
じめ構造を制御する前処理を受けた比較的高重合度のセ
ルロースを高濃度に溶解したアルカリドープを提案した
(特願昭58−149148)。しかしながら、このドープも
極めて長期間の保存や熱の作用によりゲル化する欠点を
持っている。
じめ構造を制御する前処理を受けた比較的高重合度のセ
ルロースを高濃度に溶解したアルカリドープを提案した
(特願昭58−149148)。しかしながら、このドープも
極めて長期間の保存や熱の作用によりゲル化する欠点を
持っている。
他方、従来、セルロースエーテルを製造するに当って
は、セルロースはあらかじめアルカリで処理され、これ
にエーテル化剤を加えて反応せしめる。いわゆる固液ま
たは、固体/気体反応という不均一反応が採られるのが
一般であって、この場合、反応剤の有効利用率は高々8
0%で、40〜70%程度が普通である。従って、反応
剤の有効利用という立場からは決して、満足の行くもの
ではない。このため、前記した新しいセルロースの溶媒
を用いて、均一系で、かかる反応を試みようとする例が
いくつか知られているが、セルロースのエーテル化に際
するアルカリ触媒はいうまでもなく必要なため、却って
反応系を複雑にするとともに、前記したように、溶媒系
自体高価である等の欠点がある。従って、セルロースを
溶解する溶媒系がそのまま触媒系として作用する系が望
まれる。
は、セルロースはあらかじめアルカリで処理され、これ
にエーテル化剤を加えて反応せしめる。いわゆる固液ま
たは、固体/気体反応という不均一反応が採られるのが
一般であって、この場合、反応剤の有効利用率は高々8
0%で、40〜70%程度が普通である。従って、反応
剤の有効利用という立場からは決して、満足の行くもの
ではない。このため、前記した新しいセルロースの溶媒
を用いて、均一系で、かかる反応を試みようとする例が
いくつか知られているが、セルロースのエーテル化に際
するアルカリ触媒はいうまでもなく必要なため、却って
反応系を複雑にするとともに、前記したように、溶媒系
自体高価である等の欠点がある。従って、セルロースを
溶解する溶媒系がそのまま触媒系として作用する系が望
まれる。
本発明者等は、かかる二つの独立な従来技術の欠点を鋭
意考察し、上記二つの欠点を統括的に解消する方法につ
き鋭意検討し本発明に至ったものである。
意考察し、上記二つの欠点を統括的に解消する方法につ
き鋭意検討し本発明に至ったものである。
本発明の目的は、基本的には成形に適した極めて安定な
セルロース系ドープを与えると同時に、セルロースから
セルロースエーテルを得る際に使用する反応剤の有効利
用率を飛躍的に改良したドープを提供するにある。
セルロース系ドープを与えると同時に、セルロースから
セルロースエーテルを得る際に使用する反応剤の有効利
用率を飛躍的に改良したドープを提供するにある。
本発明のセルロース系ドープは、基本的にはセルロース
を含有するアルカリ性ドープに−12℃〜40℃におい
て、セルロースのエーテル化剤をセルロースを構成する
グルコース残基当り0.01モル以上混合してなるものであ
る。
を含有するアルカリ性ドープに−12℃〜40℃におい
て、セルロースのエーテル化剤をセルロースを構成する
グルコース残基当り0.01モル以上混合してなるものであ
る。
本発明で用いるセルロースとしては、木材パルプ、綿、
それらの酸加水分解物、塩素や過酸化水素で処理したも
の、高温・高圧下にエクストルーダー処理したもの、爆
砕処理を行なったもの、一たん溶媒に溶解し、種々の方
法で再生したもの、ボールミル破砕したもの、超音波処
理したもの等が挙げられる。一般に、その重合度は70
0以下であるが、それ以上の重合度のものでも、アルカ
リに可溶な部分だけを遠心分離等によって分離した溶液
であっても構わない。特に、ある程度の重合度をもって
(例えば、500位)、高濃度(5重量%以上)にセル
ロースを溶解しない場合は、上記した処理によって、分
子内水素結合性の弱くなったセルロースを用いることが
できる(特願昭58−149148参照)。
それらの酸加水分解物、塩素や過酸化水素で処理したも
の、高温・高圧下にエクストルーダー処理したもの、爆
砕処理を行なったもの、一たん溶媒に溶解し、種々の方
法で再生したもの、ボールミル破砕したもの、超音波処
理したもの等が挙げられる。一般に、その重合度は70
0以下であるが、それ以上の重合度のものでも、アルカ
リに可溶な部分だけを遠心分離等によって分離した溶液
であっても構わない。特に、ある程度の重合度をもって
(例えば、500位)、高濃度(5重量%以上)にセル
ロースを溶解しない場合は、上記した処理によって、分
子内水素結合性の弱くなったセルロースを用いることが
できる(特願昭58−149148参照)。
溶解に用いるアルカリは、苛性ソーダ,水酸化リチウ
ム、苛性カリであって、最終的に2〜2.5モル/の強
度に調整することが望ましい。セルロースのアルカリ溶
液は、以下のように調製される。即ち、2〜2.5モル/
のアルカリ水溶液をあらかじめ−12℃〜25℃に調
温し、セルロースを浸漬し、5分〜18時間放置后、ま
たは浸漬と同時に10℃以下で混合、撹拌,溶解する方
法、または3.5〜5モル/のアルカリ水溶液とセルロ
ースを−12℃〜25℃で混合し、撹拌後、稀アルカリ
で10℃以下で稀釈・混合溶解後、最終的にアルカリ強
度を2〜2.5モル/に調整することによって行なわれ
る。
ム、苛性カリであって、最終的に2〜2.5モル/の強
度に調整することが望ましい。セルロースのアルカリ溶
液は、以下のように調製される。即ち、2〜2.5モル/
のアルカリ水溶液をあらかじめ−12℃〜25℃に調
温し、セルロースを浸漬し、5分〜18時間放置后、ま
たは浸漬と同時に10℃以下で混合、撹拌,溶解する方
法、または3.5〜5モル/のアルカリ水溶液とセルロ
ースを−12℃〜25℃で混合し、撹拌後、稀アルカリ
で10℃以下で稀釈・混合溶解後、最終的にアルカリ強
度を2〜2.5モル/に調整することによって行なわれ
る。
セルロース濃度は限定的ではないが、成形,誘導体化を
意図する場合、3重量%以上溶解されていることが好ま
しい。かかる溶液は一般的には、40℃以上で容易にゲ
ル化するものである。従って、反応剤は、上記溶液中に
40℃以下、好ましくは−12℃〜10℃の条件下に混
合し、約20分以上混合撹拌する。反応剤の添加が、上
記セルロース系ドープの安定化を目的とする場合、溶解
しているセルロースを構成するグルコース残基当り0.01
〜0.1モルで充分である。また、より高置換度の誘導体
として、成形したい場合にはより多量の反応剤を加えれ
ば良い。反応剤添加量の上限はない。基本的には、得ら
れる誘導体の性能を考慮して決定すればよい。エーテル
化剤は一般に高温にて速やかにセルロースへの反応と同
時に副反応を起こすが、特に本発明のように、−12℃
〜10℃で添加された場合、驚くべきことに副反応を起
し難く、例えば、アクリロニトリルを反応剤として用い
ると、場合によってはその90%以上がセルロースと有
効に反応するという好結果をもたらす。
意図する場合、3重量%以上溶解されていることが好ま
しい。かかる溶液は一般的には、40℃以上で容易にゲ
ル化するものである。従って、反応剤は、上記溶液中に
40℃以下、好ましくは−12℃〜10℃の条件下に混
合し、約20分以上混合撹拌する。反応剤の添加が、上
記セルロース系ドープの安定化を目的とする場合、溶解
しているセルロースを構成するグルコース残基当り0.01
〜0.1モルで充分である。また、より高置換度の誘導体
として、成形したい場合にはより多量の反応剤を加えれ
ば良い。反応剤添加量の上限はない。基本的には、得ら
れる誘導体の性能を考慮して決定すればよい。エーテル
化剤は一般に高温にて速やかにセルロースへの反応と同
時に副反応を起こすが、特に本発明のように、−12℃
〜10℃で添加された場合、驚くべきことに副反応を起
し難く、例えば、アクリロニトリルを反応剤として用い
ると、場合によってはその90%以上がセルロースと有
効に反応するという好結果をもたらす。
反応剤としては、セルロースの水酸基と反応してセルロ
ースエーテルを形成するものが用いられる。例えばビニ
ル系化合物は、その二重結合に対して水酸基が付加反応
を起こし、セルロースの酸素原子にメチレン基が結合し
たエーテルとなる。この場合、ビニル系化合物として
は、アクリルアミド、アクリロニトリルなどのように、
極性基を持つものが反応の容易性からみて好ましいが、
反応条件を選べばこれに限定されるものではない。ま
た、モノクロル酢酸モノフロロ酢酸、モノクロルプロピ
オン酸などのハロゲン化カルボン酸は、ハロゲン原子が
水酸基と置換反応を起こして、カルボキシメチルセルロ
ース、カルボキシエチルセルロース等のセルロースエー
テルを形成する。あるいは、エチレンオキシド、プロピ
レンオキシド、等のアルキレンオキシドは開環反応によ
り、ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピルセルロー
スなどのエーテルを形成し、ジメチル硫酸等のジアルキ
ル硫酸はメチルセルロース等のアルキルセルローズを形
成する。
ースエーテルを形成するものが用いられる。例えばビニ
ル系化合物は、その二重結合に対して水酸基が付加反応
を起こし、セルロースの酸素原子にメチレン基が結合し
たエーテルとなる。この場合、ビニル系化合物として
は、アクリルアミド、アクリロニトリルなどのように、
極性基を持つものが反応の容易性からみて好ましいが、
反応条件を選べばこれに限定されるものではない。ま
た、モノクロル酢酸モノフロロ酢酸、モノクロルプロピ
オン酸などのハロゲン化カルボン酸は、ハロゲン原子が
水酸基と置換反応を起こして、カルボキシメチルセルロ
ース、カルボキシエチルセルロース等のセルロースエー
テルを形成する。あるいは、エチレンオキシド、プロピ
レンオキシド、等のアルキレンオキシドは開環反応によ
り、ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピルセルロー
スなどのエーテルを形成し、ジメチル硫酸等のジアルキ
ル硫酸はメチルセルロース等のアルキルセルローズを形
成する。
本発明の方法によれば、長期間の保存や熱によってゲル
化し難いドープが得られ、このドープから力学的性質に
すぐれた成形物が得られる。またエーテル化剤の反応効
率が著しく高い。
化し難いドープが得られ、このドープから力学的性質に
すぐれた成形物が得られる。またエーテル化剤の反応効
率が著しく高い。
以下、本発明を実施例について具体的に説明する。
実施例1 本実施例は、セルロースアルカリ溶液にエーテル化剤を
添加することにより、溶解状態が良好でゲル化し難いセ
ルロース系ドープを得る方法で開示する。
添加することにより、溶解状態が良好でゲル化し難いセ
ルロース系ドープを得る方法で開示する。
木材パルプ(アラスカパルプ)を5Nの硫酸に浸漬し、
60℃で3時間放置した後、とり出して、水洗,乾燥す
る。得られた酸加水分解セルロースは重合度約400で
ある。この酸加水分解セルロース150gを、2850
gの9.1重量%カセイソーダ水溶液に、混合し、混合液
を4℃に保ちながら1時間放置し、しかる後、4℃に保
ちながらヘンシェル型溶解機で1時間撹拌する。このセ
ルロースアルカリ水溶液に各種のエーテル化剤を加え、
同様に4℃に保ちながら1時間撹拌し、その後20℃
で、1日、3日、10日間放置したときのドープの肉眼
及び光学顕微鏡のクロスニコル下で観察したときの溶解
状態を表1に示す。
60℃で3時間放置した後、とり出して、水洗,乾燥す
る。得られた酸加水分解セルロースは重合度約400で
ある。この酸加水分解セルロース150gを、2850
gの9.1重量%カセイソーダ水溶液に、混合し、混合液
を4℃に保ちながら1時間放置し、しかる後、4℃に保
ちながらヘンシェル型溶解機で1時間撹拌する。このセ
ルロースアルカリ水溶液に各種のエーテル化剤を加え、
同様に4℃に保ちながら1時間撹拌し、その後20℃
で、1日、3日、10日間放置したときのドープの肉眼
及び光学顕微鏡のクロスニコル下で観察したときの溶解
状態を表1に示す。
ただし、表1中肉眼での溶解状態は、「〇:良好で透明
かつ流動する、△:半透明かつ流動する、×:不透明、
スラリー状、G:ゲル」の記号で示す。また、光学顕微
鏡観察の結果は、「〇:未溶解粒子なし、△:若干の未
溶解粒子がある。×:多数の未溶解粒子がある」の記号
で示す。
かつ流動する、△:半透明かつ流動する、×:不透明、
スラリー状、G:ゲル」の記号で示す。また、光学顕微
鏡観察の結果は、「〇:未溶解粒子なし、△:若干の未
溶解粒子がある。×:多数の未溶解粒子がある」の記号
で示す。
表1中のドープを、ガラス板上に流延し、2重量%硫酸
に浸漬した場合、比較例に示した2例のドープでは、フ
ィルム状に凝固するものの、失透しており、また、もろ
く、引っ張り、折り曲げのいずれにも弱いのに対し、本
発明によるドープは、透明で、伸度のある、強じんなフ
ィルムを形成した。
に浸漬した場合、比較例に示した2例のドープでは、フ
ィルム状に凝固するものの、失透しており、また、もろ
く、引っ張り、折り曲げのいずれにも弱いのに対し、本
発明によるドープは、透明で、伸度のある、強じんなフ
ィルムを形成した。
実施例2 本実施例は、セルロースアルカリ溶液にエーテル化剤を
添加する方法で、セルロース誘導体の合成の反応効率を
著しく高める方法を開示する。
添加する方法で、セルロース誘導体の合成の反応効率を
著しく高める方法を開示する。
実施例1と同様の方法で調製したセルロースを原料に、
以下の2通りの方法でセルロース系ドープを調製した。
a)実施例1と同様の方法でエーテル化剤を加えて1日
後のもの(本発明)、b)セルロース100重量部を1
8重量%カセイソーダ水溶液1000部に浸漬し、25
℃1時間放置した後、圧搾し280重量部のアルカリセ
ルロース固体とし、これを撹拌しながらエーテル化剤を
加え、40℃で1時間撹拌し続ける。しかる後、172
0重量部の8重量%カセイソーダ水溶液を加え、4℃で
2時間撹拌しながら1日放置したもの(比較例)。
以下の2通りの方法でセルロース系ドープを調製した。
a)実施例1と同様の方法でエーテル化剤を加えて1日
後のもの(本発明)、b)セルロース100重量部を1
8重量%カセイソーダ水溶液1000部に浸漬し、25
℃1時間放置した後、圧搾し280重量部のアルカリセ
ルロース固体とし、これを撹拌しながらエーテル化剤を
加え、40℃で1時間撹拌し続ける。しかる後、172
0重量部の8重量%カセイソーダ水溶液を加え、4℃で
2時間撹拌しながら1日放置したもの(比較例)。
表2に各種のエーテル化剤を反応に用いたときの、ドー
プの溶解状態及びドープをメタノール液で凝固洗浄して
得られたセルロース誘導体の置換度、またそれから計算
したエーテル化剤の反応効率を示す(溶解状態を示す記
号は実施例1と同じ)。ここで、置換度とは、セルロー
スを構成するグルコース残基1個あたりの、平均の置換
基の数を示す。
プの溶解状態及びドープをメタノール液で凝固洗浄して
得られたセルロース誘導体の置換度、またそれから計算
したエーテル化剤の反応効率を示す(溶解状態を示す記
号は実施例1と同じ)。ここで、置換度とは、セルロー
スを構成するグルコース残基1個あたりの、平均の置換
基の数を示す。
表2から明らかに、本発明の方法によるドープは、溶解
状態が良好で、エーテル化剤の反応効率が高い。
状態が良好で、エーテル化剤の反応効率が高い。
Claims (3)
- 【請求項1】セルロースを含有するアルカリ溶液に−1
2℃〜40℃で、セルロースエーテルを形成する反応剤
をセルロースを構成するグルコース残基当り0.01モル以
上添加してなることを特徴とする成形に適するセルロー
ス系ドープ - 【請求項2】アルカリが水酸化リチウムおよび/または
水酸化ナトリウムである特許請求の範囲第1項記載のド
ープ - 【請求項3】反応剤がビニル系化合物、ハロゲン化カル
ボン酸又はその塩、アルキレンオキシド、ジアルキル硫
酸の中から選ばれた少くとも一種である特許請求の範囲
第1項記載のドープ
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60068566A JPH0635518B2 (ja) | 1985-04-02 | 1985-04-02 | セルロ−ス系ド−ブ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60068566A JPH0635518B2 (ja) | 1985-04-02 | 1985-04-02 | セルロ−ス系ド−ブ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61228038A JPS61228038A (ja) | 1986-10-11 |
JPH0635518B2 true JPH0635518B2 (ja) | 1994-05-11 |
Family
ID=13377439
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60068566A Expired - Lifetime JPH0635518B2 (ja) | 1985-04-02 | 1985-04-02 | セルロ−ス系ド−ブ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0635518B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57123234A (en) * | 1981-01-23 | 1982-07-31 | Nippon T-Paul:Kk | Molecular degradation inhibitor for water-soluble polymeric compound in aqueous alkali solution |
JPS581701A (ja) * | 1981-06-25 | 1983-01-07 | Taiyo Kagaku Kk | 吸水体の製造法 |
JPS6042438A (ja) * | 1983-08-17 | 1985-03-06 | Asahi Chem Ind Co Ltd | セルロ−スド−プ |
-
1985
- 1985-04-02 JP JP60068566A patent/JPH0635518B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61228038A (ja) | 1986-10-11 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |