JPH0635002B2 - 高炭素含有マルテンサイト系ステンレス鋼の軽負荷熱間圧延方法 - Google Patents

高炭素含有マルテンサイト系ステンレス鋼の軽負荷熱間圧延方法

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JPH0635002B2
JPH0635002B2 JP27642285A JP27642285A JPH0635002B2 JP H0635002 B2 JPH0635002 B2 JP H0635002B2 JP 27642285 A JP27642285 A JP 27642285A JP 27642285 A JP27642285 A JP 27642285A JP H0635002 B2 JPH0635002 B2 JP H0635002B2
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鉄也 島田
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高炭素含有マルテンサイト系ステンレス鋼の
熱間圧延方法に関するものである。
刃物用のマルテンサイト系ステンレス鋼には、主として
13%Cr−0.3%C(SUS420J2)鋼が適用されてい
る。しかし、この鋼を用いた刃物は切れ味が必ずしも良
くないため、逆に「ステンレス鋼の刃物は切れない。」
との風評が立つ一因となっている。ところで、刃物の切
れ味や耐久性は刃先の硬さに比例するものであるから、
0.3%程度のC含有量の鋼では刃物としての硬さが不
足するのは当然で、C含有量を炭素鋼の刃物のレベルま
で増量すれば、ステンレス鋼であっても十分な品質評価
を受けられるのである。しかるに、高品質が期待できる
0.5%以上のCを含有する高炭素含有マルテンサイト
系ステンレス鋼は、熱間加工などの製造が著しく困難な
ために非効率的な方法しか適用できないのが実情であ
る。中でも熱間圧延工程は、圧延負荷が他のステンレス
鋼などと比べて異常に高いために圧下率は上げられず、
幅の広い鋼板は圧延できず、かつ連続熱延ができないな
ど、製造に離渋している状態である。その結果著しく高
価な材料とならざるを得ないため、焼き入れ硬度が高く
品質も優れているにもかかわらず、わずかに一部が高級
刃物として用いられているにすぎない。
従って、高級刃物用などに用いられている高炭素含有マ
ルテンサイト系ステンレス鋼の熱間圧延工程を簡略化す
ることは工業的に非常に要望されていたものである。
(従来の技術) 殆んどの鋼は圧延温度が高くなればなる程変形抵抗は低
下するので、できるだけ高温状態で圧延することが圧延
負荷を軽減する方法であることは当業者にとって常識で
ある。しかし、製造性や品質上の制約から必ずしも自由
に加熱温度を高くすることはできないこともまた良く知
られている。例えば、1250℃を超える加熱を行なえば変
形抵抗は低く圧延の負荷も小さくてすむが、大半の鋼種
が結晶粒の粗大化を起こして靭性が低下する。加えて
0.5%以上のCを含有する高炭素含有マルテンサイト
系ステンレス鋼は、凝固完了温度が約1250℃と低いため
赤熱脆性の懸念があり、1250℃以上には高温加熱ができ
なかった。このように加熱温度を上げられないことか
ら、圧延の幅を狭くしたり、鋳片、鋼片の厚さを薄くし
たり、あるいは加熱熱圧延を繰り返して対処せざるを得
なかった。従って、圧延終了後に巻取処理を必要とする
連続熱延は、熱延終了温度を高く保つ必要があるため、
実質的な圧延可能温度範囲が非常に狭く、適用できなか
った。このため、従来はリバース型の熱延機によって製
造していたのである。もちろん、大きなミルパワーを有
する熱延機であれば圧延は可能であるが、他の鋼に比べ
てとびぬけて硬い高炭素含有マルテンサイト系ステンレ
ス鋼のためだけに設置するには莫大な設備費用を必要と
することから、現実的な対応とはなり得ない。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、高炭素含有マルテンサイト系ステンレス鋼の
熱間圧延において、品質を劣化させることなく、容易に
圧延可能とする軽負荷熱間圧延方法を提供することを目
的とするものである。
(問題点を解決するための手段) 第1図は、0.6%のCを含有する17Crステンレス鋼
と通常のSUS430鋼である0.06%のCを含有する17
Crステンレス鋼の高温での引っ張り強度を示した図であ
る。通常の圧延温度領域である 900〜1200℃を含めて、
0.6%のCを含有する17Crステンレス鋼はかなり強
度が高いことがわかる。
本発明者らは、第1図に示したとおり、0.6%のCを
含有する17Crステンレス鋼の変形抵抗は1250℃を超え
ると殆んど0となり、0.06%のCを含有する17Cr
ステンレス鋼よりむしろ低い値を示すことを見い出し
た。これは1250℃を超えると融点を超えて一部が溶融す
る半溶融状態になるためであると考えられる。しかし、
1250℃以上に加熱して半溶融状態になることはとりもな
おさず赤熱脆性の懸念があるということであり、従来の
常識に従えば圧延できない条件であるということにな
る。現実に、1250℃以上の温度域に加熱して圧延するこ
とは、現状では当業者にとって明らかに常識をはずれた
ものである。本発明は、従来の常識に逆らって1250℃以
上の温度に加熱すると変形抵抗が殆んど0となるという
現象を利用することで、圧延負荷を激減させるというも
のである。
以下に、調査結果に基づいて述べる。
前述したとおり、高炭素含有マルテンサイト系ステンレ
ス鋼の変形抵抗が殆んど0となりかつSUS430鋼の変形抵
抗より低下する温度領域は、組織上半溶融状態となる領
域である。従って、当然結晶粒の粗大化による常温での
靭性低下と赤熱脆性が起こることが懸念される。
本発明者らは結晶粒の粗大化現象を詳細に検討したとこ
ろ、高温程粗大化傾向は高いものの、半溶融状態では粗
大化の速度は必ずしも大きくないことを見い出した。即
ち、0.5%以上のCと10%以上のCrを含有するステ
ンレス鋼では、1250℃以上の温度域に加熱し半溶融状態
で圧延すれば、最終製品の結晶粒はそれ程粗大化せず実
用上靭性の低下もないことが確認された。
次に、本発明者らは0.5%以上のCを含有する高炭素
含有マルテンサイト系ステンレス鋼を1250℃以上のの半
溶融状態に加熱しても、必ずしも常に赤熱脆性による割
れを起こすわけではないことを経験している。従って、
条件さえ選べば1250℃以上の半溶融状態に加熱しても赤
熱脆性による割れの懸念なく本発明を適用できる。
さらに、この事実に基づいて赤熱脆性割れに至る機構を
検討した結果、熱間での溶融に起因する亀裂は溶融部分
が表面に露出しているために起こるものでり、内層が半
溶融状態であっても表面され半溶融状態でなければ、赤
熱脆性による割れは起こらないということを見い出し
た。この知見に基づいて、鋳片ないし鋳片の表面を融点
が1450℃以上である鋼板で覆って圧延する方法を考案し
た。この方法により、いかなる条件下でも赤熱脆性の懸
念なく半溶融状態での圧延が可能になる。もちろん、表
面を覆うのに用いた鋼板は、圧延終了後に除去すれば良
いのである。例えば、後工程の酸洗時に溶解除去する方
法もあるし、刃物にする際の研削時に同時に除去する方
法もある。
以上の結果、本発明を創案したもので、その要旨とする
ところは、C:0.5%以上1.5%以下、Cr:10
%以上25%以下を含有する高炭素含有マルテンサイト
系ステンレス鋼の熱間圧延において、圧延前の鋼片また
は鋳片の表面を融点が1450℃以上の鋼板で覆って加
熱し、少なくとも1パス以上を1250℃以上1450
℃以下の温度域で圧延することを特徴とする高炭素含有
マルテンサイト系ステンレス鋼の軽負荷熱間圧延方法に
ある。
次に、成分および製造条件の限定理由について述べる。
C含有量は、0.5%未満では熱間変形抵抗がそれ程高
くなく従来方法でも製造が可能な上、焼き入れ硬度が十
分ではなく特性的に炭素鋼の刃物に比べて劣ることから
0.5%を下限とした。また、1.5%超では硬化程度
には変化がないにもかかわらず加工が著しく困難である
ことから上限を1.5%とする。
Cr含有量は、10%未満ではステンレス鋼としての基本
的な耐食性に欠けるため、10%を下限とした。また、
Cr含有量が25%を超えると焼入硬化が困難となるので
上限を25%とする。
また、高炭素含有マルテンサイト系ステンレス鋼が半溶
融状態になって、変形抵抗が通常のSUS430鋼より低下し
てほとんど0となるのは、また結晶粒の粗大化を防止で
きるのは第1図にも示したとおり1250℃以上であるの
で、圧下を加える必要条件の下限温度を1250℃とした。
しかし、1450℃以上となると溶融相が増加して実用上固
体と同様に扱うのは困難なので、1450℃を上限とした。
さらに、半溶融状態になる1250℃以上で加熱しても、そ
の温度域を逸脱して圧下するならば即ち1250℃未満に冷
却して圧下するならば軽負荷の効果は得られないが、た
とえば1パスでも1250℃以上で圧下を行なうならば軽負
荷の効果が得られるので、1パス以上の圧下を限定条件
とした。
圧延前の鋼片または鋳片の表面を覆う鋼板は、1450
℃までに局部的にでも溶融しては効果が得られないの
で、融点が1450℃以上の鋼材に限定する。
以上示したとおり、高炭素含有マルテンサイト系ステン
レス鋼は1250℃以上に加熱すると変形抵抗が著しく低下
し、むしろ通常のSUS430鋼などの低Cステンレス鋼の変
形抵抗より低下すること、そしてさらにC含有量を0.
5%以上に限定すれば、結晶粒の粗大化や靭性の劣化な
ど1250℃以上で加熱することによる品質劣化が抑制可能
なことが確認された。この結果、当業者にとって明らか
に常識をはずれる条件である1250℃以上1450℃以下の温
度域に加熱して圧延する高炭素含有マルテンサイト系ス
テンレス鋼の製造方法を発明したものである。
(実施例) 0.6%のC、0.5%のMn、0.5%のSi、16.6
%のCrおよび不可避不純物からなる厚さ68mmの17Cr
高炭素含有マルテンサイト系ステンレス鋼鋳片の表面を
市販の厚さ2mmのSUS430鋼で覆い、その後1350℃に2時
間加熱均熱して熱間圧延を行なった。その際の各パス毎
の全厚さ、圧下率および変形抵抗の値を第1表に示し
た。2パス目までが1250℃以上の温度域であるが、1250
℃未満の3パス目以降に比べて、かなり低い変形抵抗で
あることがわかる。さらに、圧延終了後の厚さ8mmの熱
延板を780℃4時間の球状化焼鈍後片面約300μm
酸洗し、次いで5mmまで冷延した。しかるのち、1050℃
10min空冷の焼入れ処理を行ったところ、従来工程材
となんら変わりなく硬度がHRC で59以上となった。
(発明の効果) 以上示したとおり、従来高炭素含有マルテンサイト系ス
テンレス鋼の熱間圧延は圧延負荷が高いために離渋して
いたが、本発明方法によって、加熱温度の上昇に伴う燃
料コストの上昇はあるものの、圧延負荷が飛躍的に軽く
なって熱間圧延が容易になる。この結果、圧延前の鋳片
や鋼片の大型化、幅の拡大が可能になるのみならず連続
熱延への適用が可能になるなど、歩留まや生産効率の大
幅な向上が期待できる。
このように、本発明による工業的利益は著しく大きいも
のである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、0.6%のCを含有する17Crステンレス鋼
と0.06%のCを含有する17Crステンレス鋼(SUS43
0)の高温での引張り強度を示した図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.5%以上1.5%以下、Cr:1
    0%以上25%以下を含有する高炭素含有マルテンサイ
    ト系ステンレス鋼の熱間圧延において、圧延前の鋼片ま
    たは鋳片の表面を融点が1450℃以上の鋼板で覆って
    加熱し、少なくとも1パス以上を1250℃以上145
    0℃以下の温度域で圧延することを特徴とする高炭素含
    有マルテンサイト系ステンレス鋼の軽負荷熱間圧延方
    法。
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JPH0673686B2 (ja) * 1989-10-06 1994-09-21 住友金属工業株式会社 マルテンサイト系ステンレス鋼の圧延方法

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