JPH0634788A - 燃焼度測定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、放射線検出器の受ける放射線損傷
を低減するとともに、放射能汚染を除去することなく放
射線検出器を容易に校正可能とすることを目的とする。 【構成】 水中の所定位置に浸漬された測定対象とする
使用済核燃料２の燃焼度を放射線により測定する燃焼度
測定装置において、一端が閉塞されると共に他端が開口
され、開口端側を水面上に出して配設された検出器ガイ
ド管１１と、検出器ガイド管１１の内部に開口端側から
挿入して移動自在に設けられ、当該ガイド管内の規定位
置に装着されて使用済核燃料２からの放射線を検出する
放射線検出器４と、放射線検出器４からの検出信号に基
づいて所定の処理を行ない、使用済核燃料の燃焼度を計
測する計測装置６とを備えて成ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば原子力発電所等
における使用済核燃料の燃焼度の測定に利用される燃焼
度測定装置に係り、特に検出器の放射線損傷を低減させ
る技術を設けた燃焼度測定装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、原子力発電所や研究炉等では、使
用済核燃料の燃焼度を確認するために、原子炉内での燃
焼度を基に、計算機による計算コードで燃焼度を推定す
る方式が広く用いられており、この方式によると、原子
炉から取り出した直後の使用済核燃料の燃焼度を推定す
ることができる。

【０００３】一方、この使用済核燃料は、所定の期間、
液体（冷却水）を収容した燃料貯蔵プール内に収納され
ることにより、放射線を遮蔽しながら冷却される。ここ
で、上記所定の期間が過ぎると、当該使用済核燃料は再
処理工程に回されるが、その前に安全等を図るために燃
焼度を再確認したいという要求がある。

【０００４】この要求を満たす技術として、燃料貯蔵プ
ール内に収納されている使用済核燃料から放出される放
射能を検出することにより、使用済核燃料の燃焼度を測
定する燃焼度測定装置が最近考えられてきている。

【０００５】図３は、この種の燃焼度測定装置の構成例
を示す概略図である。この燃焼度測定装置は、水を収納
した燃料貯蔵プール内に配置された固定台１と、この固
定台１に固定されて、測定対象物としての使用済核燃料
２を内部に支持する核燃料支持体３と、固定台１に固定
されて使用済核燃料２から放出されるγ線および中性子
線等の放射線を検出する放射線検出器４ａ，４ｂと、燃
料貯蔵プール外で放射線検出器４からケーブル５を介し
て上記放射能の強度やエネルギ情報等を示す検出信号を
受けると、この検出信号に基づいて所定の処理を行い、
使用済核燃料２の燃焼度を計測する計測装置６とで構成
されている。

【０００６】ここで、当該燃焼度測定装置は、まず固定
台１をクレーン等で設置した後に、このクレーンを用い
て、使用済核燃料２を核燃料支持体３の片端にある燃料
棒装荷口３ａから核燃料支持体３内に装荷することによ
り、設置している。

【０００７】しかしながら、以上のような燃焼度測定装
置においては、使用済核燃料２が固定台１に設置されて
いる間、この使用済核燃料２の表面付近から放出される
放射能によって、放射線検出器４ａ，４ｂおよびケーブ
ル５が、１時間当り１０⁵ 〜１０⁶ rad 程度の放射線損
傷を受け続けるので、１０時間〜１００時間程度経過す
ると、測定時間の長短に拘らず、放射線検出器４ａ，４
ｂおよびケーブルが損傷して使用不能となるという問題
がある。

【０００８】また、放射線検出器４ａ，４ｂの保守点検
時には、固定台１を燃料貯蔵プールからその都度取り出
さなければならず、これらの放射能汚染の除去が必要と
なる。さらに、これら放射線検出器４ａ，４ｂは、放射
能汚染を除去しないと校正できないので、校正作業に手
間がかかるという問題がある。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の燃焼度測定装置においては、測定を行なわない場合で
も放射線検出器が放射線損傷を受けるばかりでなく、保
守点検時には、放射能汚染の除去を必要とするため放射
線検出器を容易に校正できないという問題があった。

【００１０】本発明は上記実情を考慮してなされたもの
で、放射線検出器の受ける放射線損傷を低減するととも
に、放射能汚染を除去することなく放射線検出器を容易
に校正可能な燃焼度測定装置を提供することを目的とす
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、水中の所定位置に浸漬された測定対象物の燃焼度を
放射線により測定する燃焼度測定装置において、一端が
閉塞されると共に他端が開口され、開口端側を水面上に
出して配設された検出器ガイド管と、検出器ガイド管の
内部に開口端側から挿入して移動自在に設けられ、当該
ガイド管内の規定位置に装着されて測定対象物からの放
射線を検出する放射線検出器と、放射線検出器からの検
出信号に基づいて所定の処理を行ない、測定対象物の燃
焼度を計測する計測手段とを備えて成る燃焼度測定装置
である。

【００１２】請求項２に記載の発明は、水中の所定位置
に浸漬された測定対象物の燃焼度を放射線により測定す
る燃焼度測定装置において、検出器容器内に密閉収納し
て設けられ、測定対象物からの放射線を検出する放射線
検出器と、一端側が水面上に出して配設され、検出器容
器を移動自在にガイドする検出器容器ガイド部材と、放
射線検出器からの検出信号に基づいて所定の処理を行な
い、前記測定対象物の燃焼度を計測する計測手段とを備
えて成る燃焼度測定装置である。

【００１３】

【作用】従って、請求項１に記載の発明の燃焼度測定装
置においては、水中の所定位置に浸漬された測定対象物
の燃焼度測定の際に、検出器ガイド管の内部に挿入され
た放射線検出器が規定位置に装着される。

【００１４】これにより、燃焼度が測定される時だけ、
測定対象物と放射線検出器が近距離の位置関係に置かれ
るので、放射線検出器、および検出信号を計測手段に伝
えるケーブルの受ける放射線損傷が低減される。さら
に、放射線検出器およびケーブルは水に触れないため、
保守点検時における放射能汚染の除去が不要となり、校
正作業が容易に行なわれる。

【００１５】また、請求項２に記載の発明の燃焼度測定
装置においては、水中の所定位置に浸漬された測定対象
物の燃焼度測定の際に、検出器容器内に密閉収納された
放射線検出器が検出器容器ガイド部材上で移動されて規
定位置に装着される。

【００１６】これにより、燃焼度が測定される時だけ、
測定対象物と放射線検出器が近距離の位置関係に置かれ
るので、放射線検出器の受ける放射線損傷が低減され
る。また、放射線検出器は水に触れないため、保守点検
時における放射能汚染の除去が不要となり、校正作業が
比較的容易に行なわれる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図１は、本発明の第１の実施例に係る燃焼
度測定装置の構成を示す概略図であり、図３と同一部分
には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここで
は異なる部分についてのみ述べる。

【００１８】本実施例の燃焼度測定装置は、放射線検出
器４ａ，４ｂおよびケーブル５の受ける放射線損傷を低
減させるとともに、放射線検出器４ａ，４ｂの校正を容
易に行うことができるようにしたものである。

【００１９】すなわち、具体的には図１に示すように、
固定台１に、検出器ガイド管１１を支持する検出器ガイ
ド支持台１２を設け、この検出器ガイド支持台１２に検
出器ガイド管１１を固定すると共に、固定台１から外し
た放射線検出器４ａ，４ｂを検出器ガイド管１１内で移
動させる構成としている。

【００２０】ここで、検出器ガイド管１１は、一端が閉
塞されると共に他端が開口され、この開口端側を水面上
に出して配設されるものであり、ここでは、前記検出器
ガイド支持台１２によって固定台１に閉塞側の一端（以
下、閉塞端という）を固定すると共に、開口端を水面上
に出し、かつ内部では挿入された放射線検出器４ａ，４
ｂおよびケーブル５を移動自在に保持すると共に、放射
線検出器４ａ，４ｂを規定位置に案内する構成のものと
している。次に、以上のように構成した本実施例の燃焼
度測定装置の動作について説明する。

【００２１】図１において、まず、燃料支持体３および
検出器ガイド支持台１２が備えられた固定台１が、クレ
ーン等により、予め燃料貯蔵プール内の所定位置に配置
される。次に、この燃料貯蔵プール内に貯蔵されている
使用済核燃料２が、クレーンにより燃料棒装荷口３ａか
ら核燃料支持体３内に装荷される。さらに、検出器ガイ
ド管１１の閉塞端が、検出器ガイド支持台１２に固定さ
れる。なお、この固定作業は始めの１回のみ行なわれ、
測定が行われない時も、検出器ガイド管１１は検出器ガ
イド支持台１２に固定されたままにされる。

【００２２】このような状態で、検出器ガイド管１１の
内側に放射線検出器４ａ，４ｂが挿入され、これら放射
線検出器４ａ，４ｂに接続されているケーブル５が所定
の長さだけ繰り出されることにより、放射線検出器４
ａ，４ｂが、核燃料支持体３の近くの放射線が検出され
る規定位置に装着される。

【００２３】これら放射線検出器４ａ，４ｂで検出され
た放射線の検出信号は、ケーブル５を介して燃料貯蔵プ
ール外の足場上に設置された計測装置６に送られる。そ
して、計測装置６では、この検出信号に基づいて所定の
処理が行なわれ、使用済核燃料の燃焼度が計測される。

【００２４】上述したように、本実施例の燃焼度測定装
置では、検出器ガイド管１１を設けて、使用済核燃料２
の燃焼度の測定時のみ、放射線検出器４ａ，４ｂを使用
済核燃料２の近くに設置するようにしているので、放射
線検出器４ａ，４ｂおよびケーブル５が受ける放射線損
傷を必要最小限にすることができると共に、放射線検出
器４ａ，４ｂおよびケーブル５の寿命を延ばすことがで
きる。

【００２５】また、これら放射線検出器４ａ，４ｂおよ
びケーブル５は、検出器ガイド管１１の内側に挿入され
ることにより、燃料貯蔵プールの水に触れずにすむの
で、保守点検時の放射能汚染の除去作業が不要となると
ともに、放射線検出器４ａ，４ｂの校正を容易に行うこ
とができる。さらに、放射線検出器４ａ，４ｂは、防水
構造にする必要がないので、安価に製作することができ
る。

【００２６】次に、本発明に係る燃焼度測定装置の第２
の実施例について図面を用いて説明する。図２は、この
ような燃焼度測定装置の他の構成例を示す概略図であ
り、図１と同一部分には同一符号を付してその詳しい説
明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。

【００２７】本実施例の燃焼度測定装置は、比較的簡単
な構成で、放射線検出器４ａ，４ｂの放射線損傷を低減
させると共に、放射能汚染の除去作業を不要とさせるも
のである。

【００２８】すなわち、具体的には、放射線検出器４
ａ，４ｂを検出器容器２１に密閉収納し、一方で検出器
ガイド支持台１２を省略し、かつ検出器ガイド管１１に
代えて、一端側が水面上に出して配設された検出器容器
ガイド部材２２を設け、この検出器容器ガイド部材２２
に前記検出器容器２１を移動自在にガイドさせる構成と
している。次に、以上のように構成した本実施例の燃焼
度測定装置の動作について説明する。

【００２９】まず、燃料支持体３および検出器容器ガイ
ド部材２２が備えられた固定台１が、クレーン等によ
り、予め燃料貯蔵プール内に配置される。次に、この燃
料貯蔵プール内に貯蔵されている使用済核燃料２が、ク
レーンにより燃料棒装荷口３ａから核燃料支持体３内に
装荷される。さらに、放射線検出器４ａ，４ｂが検出器
容器２１内に挿入されると共に、この検出器容器２１が
前記検出器容器ガイド部材２２に取り付けられる。

【００３０】このような状態で、検出器容器２１が検出
器容器ガイド部材２２に沿って送り出され、検出器容器
２１内部の放射線検出器４ａ，４ｂに接続されているケ
ーブル５が、所定の長さだけ繰り出された時に上記の送
り出しが停止されることにより、放射線検出器４ａ，４
ｂは、核燃料支持体３の近くの放射線が検出される規定
位置に装着される。以下、前記図１の実施例の場合と同
様の処理が行なわれ、使用済核燃料２の燃焼度が計測さ
れる。

【００３１】上述したように、第２の実施例の燃焼度測
定装置では、使用済核燃料２の燃焼度の測定時のみ、放
射線検出器４ａ，４ｂを、検出器容器２１内に密閉収納
し、この検出器容器２１ごと検出器容器ガイド部材２２
に沿って移動させて放射線を検出する規定位置に装着す
るようにしているので、比較的簡単な構成で、放射線検
出器４ａ，４ｂの放射線損傷を低減させると共に、放射
能汚染の除去作業を不要とさせることができる。

【００３２】なお、上記各実施例では、ケーブル５を繰
り出した長さに基づいて、放射線検出器４ａ，４ｂを規
定位置に装着する場合について説明したが、これに限ら
ず、検出器ガイド管１１および検出器容器ガイド部材２
２における規定位置にリミットスイッチ、光電スイッ
チ、位置検出センサ等を設けて、放射線検出器を精度よ
く設置したり、または検出器ガイド管１１，検出器容器
ガイド部材２２に凹凸等をつけて、規定位置より先に検
出器４ａ，４ｂが進めないような構成としても、本発明
を同様に実施できるものである。

【００３３】また、上記第１の実施例では、検出器ガイ
ド管１１を検出器ガイド支持台１２に固定する場合につ
いて説明したが、これに限らず、当初から固定台１に一
体的に検出器ガイド管１１を設ける構成としても、本発
明を同様に実施できるものである。

【００３４】さらにまた、検出器ガイド管１１または検
出容器ガイド部材２２を固定台１に固定する場合につい
て説明したが、これに限らず、固定台１に固定しないで
水中に吊り下げ、またはプール底面に固定するような構
成としても、本発明を同様に実施できるものである。

【００３５】また、上記各実施例では、使用済核燃料２
をプール底面の核燃料支持体３内に収納する場合につい
て説明したが、測定対象物として使用済核燃料以外のも
のを用い、また測定対象物を水中に吊り下げるような構
成としても、本発明を同様に実施できるものである。

【００３６】また、上記第１の実施例では、検出器ガイ
ド管１１の内側に単に放射線検出器４ａ，４ｂを挿入す
る場合について説明したが、これに限らず、放射線検出
器４ａ，４ｂの移動を容易にするように、検出器ガイド
管１１の内側に放射線検出器の移動用レールを設ける構
成としても、本発明を同様に実施できるものである。

【００３７】また、上記第１の実施例では、検出器ガイ
ド管１１の内側に単に放射線検出器４ａ，４ｂを挿入す
る場合について説明したが、これに限らず、使用済核燃
料２から放出される放射能が当該パイプ１１内を通過し
て足場付近等の燃料貯蔵プール外に放出される量を少な
くするように、放射線検出器４ａ，４ｂの他に、放射線
を遮蔽する放射線遮蔽材を充填または挿入する構成とし
ても、本発明を同様に実施できるものである。

【００３８】また、第１の実施例では、検出器ガイド管
１１が比較的直線状の場合について説明したが、これに
限らず、使用済核燃料２から放出される放射能が当該パ
イプ１１内を通過して足場付近等の燃料貯蔵プール外に
放出される量を少なくするように、検出器ガイド管１１
をケーブル５が曲げられる範囲で長手方向にＳ字型また
はらせん状型等にする構成としても、本発明を同様に実
施できるものである。その他、本発明はその要旨を逸脱
しない範囲で種々変形して実施することが可能である。

【００３９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、水
中の所定位置に浸漬された測定対象物の燃焼度を測定す
る際に、検出器ガイド管または検出器容器により放射線
検出器が水に触れないように測定対象物と当該放射線検
出器とが近距離に配置するようにしているので、放射線
検出器の受ける放射線損傷を低減するとともに、放射能
汚染を除去することなく放射線検出器を容易に校正可能
な燃焼度測定装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係る燃焼度測定装置の
構成を示す概略図。

【図２】本発明の第２の実施例に係る燃焼度測定装置の
構成を示す概略図。

【図３】従来の燃焼度測定装置の構成を示す概略図。

【符号の説明】

１…固定台、２…使用済核燃料、３…核燃料支持体、３
ａ…燃料棒装荷口３ａ、４ａ，４ｂ…検出器、５…ケー
ブル、６…計測装置、１１…検出器ガイド管、１２…検
出器ガイド支持台、２１…検出器容器、２２…検出器容
器ガイド部材。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水中の所定位置に浸漬された測定対象物
   の燃焼度を放射線により測定する燃焼度測定装置におい
   て、 一端が閉塞されると共に他端が開口され、前記開口端側
   を水面上に出して配設された検出器ガイド管と、 前記検出器ガイド管の内部に開口端側から挿入して移動
   自在に設けられ、当該ガイド管内の規定位置に装着され
   て前記測定対象物からの放射線を検出する放射線検出器
   と、 前記放射線検出器からの検出信号に基づいて所定の処理
   を行ない、前記測定対象物の燃焼度を計測する計測手段
   と、 を備えて成ることを特徴とする燃焼度測定装置。
2. 【請求項２】 水中の所定位置に浸漬された測定対象物
   の燃焼度を放射線により測定する燃焼度測定装置におい
   て、 検出器容器内に密閉収納して設けられ、前記測定対象物
   からの放射線を検出する放射線検出器と、 一端側が水面上に出して配設され、前記検出器容器を移
   動自在にガイドする検出器容器ガイド部材と、 前記放射線検出器からの検出信号に基づいて所定の処理
   を行ない、前記測定対象物の燃焼度を計測する計測手段
   と、 を備えて成ることを特徴とする燃焼度測定装置。