JPH0634761B2 - 耳たぶ穿孔器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はいわゆるピアスのための耳たぶ穿孔器に関する
ものである。

（従来の技術） ピアス式のイヤリングを用いるため耳たぶに穿孔を行な
う器具は公知であり、例えば特公昭５９−３０４０１号
を挙げることができる。この発明のものは使用時まで無
菌状態が保たれるように密封されたカートリッジを用い
るプランジャ構造の器具の１種で、相対摺動可能に組合
わされた支持部材と作動部とから成るプランジャアセン
ブリの先端部にカートリッジをセットし、作動部の押圧
操作でピアス針を耳たぶに刺通する構成を持っている。

このため前記の発明の器具では、器具を操作する指の力
がそのまま耳たぶにピアス針を刺通す力である。このた
め操作する者の動作により刺通す時間が長くも短くもな
り、熟練の度合いがそれを左右することになる。しかし
耳たぶの抵抗に打勝って、ピアス針を望ましい方向へ刺
通するのは、指先の押圧操作では困難な作業である。

これに対し特開昭52−68574 号の発明はピアス針を打ち
出すプランジャの付勢のためにばねを用いる技術を開示
しているが、そのばねをチャージするためにはトリガー
即ち引き金を引かねばならない。しかもプランジャを射
出させるリリーストリガーも前記チャージトリガーに併
設してある。従って一旦プランジャばねをチャージした
あとにトリガーを引くとプランジャが射出されてしま
い、ピアス針がセットしてあればそれをも打ち出して無
駄になるおそれがありまた危険でもある。

特開昭63−300704号の発明の場合、射出軸に相当する箭
を解放させるレバーは引き金ではないが、箭のばねを蓄
力するために引き金即ち握りを引く操作が不可欠であ
る。しかし蓄力後に握りを操作すると、その引張り柱が
環状肩面に接触するので、この肩面を有する箭は外力を
受けて不安定な状態になり、安全とはいえない。

本発明は前記の点に着目してなされたものでその課題
は、蓄圧されたばねの弾力によって瞬間的にピアス針を
刺通すことができ、熟練を不要化するとともに、誤捜査
による無駄や危険を排除することにある。

（技術的手段） 前記課題を解決するため本発明は、本体１内の下部に組
込まれた前後動可能な引き具２と、引き具２と本体１の
間に設けられ、引き具２を戻す方向へ作用する第１ばね
３と、本体内の上部に前後動可能に組込まれた射出軸４
と、該射出軸４と本体１の間に設けられ、該軸４を射出
方向へ付勢する第２ばね５と、その弾性力に抗して射出
軸４を後方へ移動させるための射出軸４に一体的に設け
られ、移動方向に沿って本体１に形成された長孔28より
外部に突出したノブ27と、射出軸４を第２ばね５に抗し
て後退させたときに、射出軸４に形成された係止部６と
係合するように、ばね付勢されて本体内に設けられ、本
体外に設けられた操作レバ８によって係合が解除される
係止部材７と、ピアス針と止具を内蔵した前後２部材1
1、12から成るカートリッジが、ピアス針の軸方向か射
出軸方向に一致させて取付けられるように、射出軸上の
本体前部に設けられたカートリッジ装着部９と、カート
リッジの前部材11と係合してこれを後部材12へ接近させ
るための前記引き具２と一体的に設けられた摺動部材10
とにより耳たぶ穿孔器を構成したものである。

射出軸４はピアス針を実際に打出す部材であり、第２の
ばね５の勢力を受けているが、射出時まで操作レバ８と
係合して待機状態に保たれる。該レバ８と射出軸４との
係合はそれが確実になされ、かつ係合解除が該レバ８の
ワンタッチ操作でなし得る限り任意の係合構造を取り入
れることができる。操作レバ８は実施例では左右各別に
設けたものを示したが、右側のみ或いは左側のみでも良
い。また操作レバ８はワンタッチ操作式である点に鑑
み、実際にピアス針を射出するまでは、不意の操作を避
けるために、安全装置60をレバー操作に関連させて設
け、これを外さない限り操作レバ８が動かないようにす
ることができる。安全装置60としては、本体１に取付け
られて直線的に或いは回転的に移動し、操作レバ８と係
合、離脱する構造のものならばその構造を問わず目的を
達する。

（実施例） 以下図面を参照して説明すると、本体１は左右２部分1
3、14を組合せる中空な構造体で、下部は握り15になっ
ており、その前面は開口していて、そこから前方に突出
する、操作端16を有する引き具２が前後動可能に組込ま
れている。17、18は本体各部の前部中位に、前後方向に
形成された断面略コ字状の摺動溝で、引き具２の上部に
一体的に形成された摺動部材10が係合する。19は引き具
内に設けられた棒状のばね受、20はその延長上の本体内
に設けられた棒状のばね受で、引き具２を戻す方向へ作
用する第１ばね３の両端を支える。21は本体内に設けら
れたストッパで、引き具２の後部と当り、摺動限界を規
定する。

射出軸４は本体内の上部に前後動可能に組込まれる。22
は該当部分の本体内に形成された軸収容部で、この前端
は射出軸４の先端部23を突出させる射出口24となってお
り、後部は第２ばね５のばね受25になっている。26は射
出軸５の後部のばね受を示す。この射出軸４の上側面に
は蓄力ノブ27が突設され、これを通過させる長孔28が本
体上面に形成されている。

射出軸４を蓄圧状態で停止させるための係止部６が軸下
側面に形成されており、その前側に係合する突部29を有
する係止部材７は軸収容部22の隔壁に形成された孔30よ
り収容部内へ出没するように本体１に軸支されている。
該係止部材７は、引き具２の上部にあったその抑えを兼
ねるばね受31との間に設けられたばね32によって係合方
向へ付勢され、また左右に突軸33、34を有していて、こ
れらは窓口35、36より本体外へ突出し、そこに取付けら
れた操作レバ８（特に左を８Ｌ，右は８Ｒで示す。）の
操作によって射出軸４との係合が解除される。

射出軸24の両側の本体１には、後述するカートリッジＣ
の後部材12の係止片40を係合してセットする係止溝37が
カートリッジ装着部９として形成され、カートリッジＣ
の前部材11は前記摺動部材10の先端部上面に形成された
凹穴38に係合する。前述のカートリッジＣはピアス針41
を後部材12に、止具42を前部材11に夫々組込んだ状態で
密封された無菌型のもので使い捨てられ、前部材11は前
記凹穴38に係合するピン43を下面に突設した延片44が後
方に突出しており、該延片44は後部材12の下部に設けら
れた係合溝45に係合して相互に接近、離間可能である。
ピアス針41は後部材12の射出軸上に位置する収容孔46に
組込まれ、止具42は前部材11の溝47にピアス針４と同軸
にかつ上へ引抜き可能に組込まれている。48はピアス針
41を停止させている部材で、射出軸４の前進によって破
断する。なお、49は引き具２のストッパを示す。以上の
穿孔器50自体、使い捨て用に形成することができる。

前記の操作レバ８は、蓄圧された第２ばね５の勢力に抗
して射出軸４に係合しているが、外力により動かされる
おそれがある。そこでピアス針41の射出準備が完了する
までは操作レバ８が不意に動かされないように安全装置
60を設けることができ、その例を第７図乃至第16図に示
す。例示の装置60は、左右の操作レバ８Ｌ，８Ｒの押上
げを不可とするため夫々の下部にロック位置61があり、
押下げ可とする後方に作動位置があるように本体前後方
向に設けられたスライド溝63と、該溝63に係合して前後
方向へ移動し、安全レバ８Ｌ、８Ｒに係合、離脱する安
全子64（特に左を64Ｌ、右は64Ｒで示す。）とから成
る。左右の安全子64Ｌ、64Ｒは連動部材65により一体化
されていても（第15図）、夫々がスライド溝63に係合す
る係合片66を持っていても良い（第16図）。67はスライ
ド溝63の下に突設された、安全子64のガイド突条を示
す。第７図〜第16図中他の構成は第１図〜第６図のもの
と全く同じで良いので符号を援用し説明を省略する。

このように構成された耳たぶ穿孔器50を使用するには次
のようにする。最初この器具は第３図に示す状態にあ
り、引き具２は第１ばね３によって前進した位置にあ
る。次いで、射出軸４を第２ばね５を一杯に圧縮した後
退位置までノブ27によって後退させる（第４図）。そこ
で、密封されたカートリッジＣを取り出し、前後両部材
11、12を離間させて、摺動部材10の凹欠38と本体の係止
溝37にピン43と係止片40を夫々係合してセットする（第
４図）。この状態では前後両部材11、12は十分離れてい
る。

次いで第５図に示すように、耳たぶＹに穿孔器50を近付
けて、耳たぶを前後部材11、12間に位置させ、引き具２
を引くと前部材11が後部材12に向って摺動し、耳たぶＹ
を両部材11、12で挾み、その結果穿孔器を耳たぶの穿孔
位置に対して正しく向けて固定することができる。耳た
ぶの固定の強さは引き具２を引き加減によって調節され
る。勿論カートリッジＣは衛生的に清浄であり、耳たぶ
Ｙも消毒されているものとする。

安全装置60を設けた突孔器の場合は、カートリッジＣを
セットした段階或いは、次の耳たぶＹをカートリッジＣ
の前後両部材11、12間に位置させた段階で、安全子64を
作動位置62へ後退させ、操作レバ８の操作が可能な態勢
とする。左右の安全子64Ｌ、64Ｒが別々に動く場合は、
両方供作動位置62まで動かしておく（第９図〜第12
図）。

この状態で、操作レバ８Ｌ、８Ｒのいずれかを押下げる
と、係止部材７が射出軸４の係止部６から外れ、蓄圧さ
れた第２ばね５の弾力で射出軸４が一気に前進し、ピア
ス針41を射出するので、ピアス針41は瞬時に耳たぶＹを
貫通して止具42に針先が嵌合することとなる（第６
図）。ピアス針41の射出時、射出軸４の先端部23が収容
孔46内に進入し、ピアス針41はヘッドで停止部材48を破
壊して射出される。

（効果） 本発明は以上の如く構成されかつ作用するものであるか
ら、射出軸４の後退により第２ばね５を蓄圧したあと、
本体１を握った片手で引き具２を引きしめることによ
り、本体にセットしてあるカートリッジの前後両部材1
1、12で耳たぶＹを挾持し、それによって刺通方向を固
定できるので、ピアス装置位置を的確に決められ、操作
レバ８を操作し蓄圧された第２ばね５の弾力によって瞬
間的な動作でピアス針を耳たぶに刺通することができ、
従って熟練者でなくても理想的な穿孔が安定して行なえ
る。

特に本発明によれば、引き具２は耳たぶを挾持する作用
を司どるだけで、それを操作してもピアス針を打ち出さ
れることはないから、誤って引き具２に触れ、ピアス針
に無駄にしたり射出させる危険があるという問題が解決
される。しかも射出軸４を射出させるための操作レバ８
に安全装置60を設けたときは２重に安全性が高められる
という効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので第１図は第１実施例
の斜視図、第２図は分解斜視図、第３図乃至第６図は作
動状態を説明する断面図、第７図は安全装置を設けた第
２実施例の斜視図、第８図は分解斜視図、第９図乃至第
12図は作動状態を説明する断面図、第13図、第14図は安
全装置操作前後の側面図、第15図、第16図は安全子の取
付例を示す断面図である。 である。 １……本体、２……引き具、３……第１ばね、４……射
出軸、５……第２ばね、６……係止部、７……係止部
材、８……操作レバ、９……装着部、10……摺動部材、
11……前部材、12……後部材、27……蓄力ノブ、41……
ピアス針、60……安全装置、61……ロック位置、62……
作動位置、63……スライド溝、64……安全子。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】本体１内の下部に組込まれた前後動可能な
   引き具２と、引き具２と本体１の間に設けられ、引き具
   ２を戻す方向へ作用する第１ばね３と、本体内の上部に
   前後動可能に組込まれた射出軸４と、該射出軸４と本体
   １の間に設けられ、該軸４を射出方向へ付勢する第２ば
   ね５と、その弾性力に抗して射出軸４を後方へ移動させ
   るための射出軸４に一体的に設けられ、移動方向に沿っ
   て本体１に形成された長孔28より外部に突出したノブ27
   と、射出軸４を第２ばね５に抗して後退させたときに、
   射出軸４に形成された係止部６と係合するように、ばね
   付勢されて本体内に設けられ、本体外に設けられた操作
   レバ８によって係合が解除される係止部材７と、ピアス
   針と止具を内蔵した前後２部材11、12から成るカートリ
   ッジが、ピアス針の軸方向と射出軸方向とを一致させて
   取付けられるように、射出軸上の本体前部に設けられた
   カートリッジ装着部９と、カートリッジの前部材11と係
   合してこれを後部材12へ接近させるための前記引き具２
   と一体的に設けられた摺動部材10とを備えた耳たぶ穿孔
   器。
2. 【請求項２】操作レバ８は、本体１の左右両側に２個設
   けられ、左手または右手のいずれによっても操作できる
   ように構成された請求項第１項記載の耳たぶ穿孔器。
3. 【請求項３】第１ばね３によって前方へ付勢された摺動
   部材10をカートリッジ装着に必要な長さだけ本体前端か
   ら突出した位置で停止させるためのストッパ49を摺動部
   材10に設けた請求項第１項記載の耳たぶ穿孔器。
4. 【請求項４】操作レバ８が動かないように該レバ８と係
   合するロック位置61と、操作レバ８と係合しないように
   その操作範囲外の作動位置62との間を移動可能に、本体
   １に設けられた安全装置60を備えた請求項第１項記載の
   耳たぶ穿孔器。
5. 【請求項５】安全装置60は、ロック位置61から作動位置
   62へ直線的に延びた本体上のスライド溝63と、該溝63に
   嵌合して移動し、操作レバ８に係合離脱する安全子64と
   から成る請求項第１項記載の耳たぶ穿孔器。