JPH06347602A - 染色プラスチックレンズ及びその製造方法 - Google Patents

染色プラスチックレンズ及びその製造方法

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JPH06347602A
JPH06347602A JP5140852A JP14085293A JPH06347602A JP H06347602 A JPH06347602 A JP H06347602A JP 5140852 A JP5140852 A JP 5140852A JP 14085293 A JP14085293 A JP 14085293A JP H06347602 A JPH06347602 A JP H06347602A
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JP
Japan
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plastic lens
dyeing
lens
compound
base material
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JP5140852A
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English (en)
Inventor
Hiroko Kawamura
裕子 川村
Ichirou Ono
五千郎 小野
Yukihiro Nagira
行宏 柳楽
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】染色が困難である疎水性プラスチックレンズを
適当な染色速度で、均一にムラなく、安定したプラスチ
ックレンズの染色を行う方法を提供する。 【構成】水酸基を有するベンゾフェノン系化合物、水酸
基を有するベンゾトリアゾール系化合物及びサリシレー
ト系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の溶液
に、プラスチックレンズ基材を浸漬して後、該プラスチ
ックレンズ基材に染色処理を行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、色調が安定したプラス
チックレンズ及び、プラスチックレンズを時間をかけず
に均一にムラなく、安定した色調で染色する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは、成形が容易なこ
と、軽くて割れにくいこと、染色により容易に着色が可
能であることなどの特徴を持つことから、近年、光学レ
ンズ、とりわけ、眼鏡用レンズとして広く用いられるよ
うになっている。この中で、現在もっとも広く普及して
いる樹脂としては、ジエチレンビスアリルカーボネート
(以下、CR−39と略称する)をラジカル重合させた
ものがある。この樹脂は、耐衝撃性に優れていること、
軽量であること、染色性に優れていること、切削性およ
び研磨性などの加工性が良好であることなど、種々の特
徴を有している。
【0003】しかしながら、屈折率が、無機レンズでは
D=1.5〜1.9であるのに対して、nD=1.50
と小さく、ガラスレンズと同等の光学性を得るために
は、レンズの中心厚、コバ厚、および曲率を大きくする
必要があり、全体的に肉厚になることが避けられない。
このため、強度の矯正用レンズでは、プラスチックの特
徴である軽量性が生かせないのみならず、見かけが悪く
なるため、より屈折率の高いレンズ用樹脂が数多く開発
され、実用化されている。
【0004】しかし、従来の染色方法、つまり、分散染
料を界面活性剤とともに、水中に分散させて染色液を調
整し、この染色液にプラスチックレンズを加熱下に浸漬
するといういわゆる浸漬染色方法では、こうした高屈折
率の光学樹脂材料の多くは、その構造特性として芳香環
またはハロゲン等を含むため、疎水性であり、CR−3
9と比較して、染色しにくいという欠点を有している。
【0005】眼鏡用プラスチックレンズは、面精度を維
持するためには、吸水率の低いことが好ましいのである
が、浸漬染色方法で染色するためには、水分散染料によ
く染まるように、ある程度の吸水率が必要であるとい
う、二律背反したことがらが必要とされている。
【0006】従って、構造中に芳香環あるいはハロゲン
等を含むため、これまで染色しにくいとされたレンズに
対しては、染色助剤またはハロゲン化ベンゼン、マレイ
ン酸、リン酸水素ナトリウム、フェノール系化合物等を
キャリヤーとして添加した染色液に浸漬して、染色性を
改良している。
【0007】また、こうした問題点を解決するために、
特開平3−249617号公報では、プラスチックレン
ズを分散型染料水溶液に浸漬して染色するに際し、予め
プラスチックレンズの表面をフェノール系化合物の有機
溶剤溶液で処理することを特徴とするプラスチックレン
ズの染色方法が行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、高屈折率化を
目的として開発された眼鏡用プラスチックレンズのよう
に、構造中に芳香環あるいはハロゲン等を含む、疎水性
のレンズに対し、浸漬染色方法を用いて染色を行う際、
分散型染料水溶液中にキャリヤーを添加する方法では、
染色性が改良されて染色速度は速くなり、染まるように
はなるが、色調ムラおよび濃度ムラが酷く、使用に堪え
るものではなかった。また、こうして染色されたプラス
チックレンズは、耐光性及び耐候性が悪いという問題点
がある。
【0009】特開平3−249617号公報で行われて
いる方法では、フェノール系化合物はかなりの毒性を含
んでおり、取扱いに注意を要する。そのため生産現場で
使用するのは難しく、実用には不向きである。
【0010】本発明は、上記したような従来技術の問題
点を解決し、鋭意研究したものであり、プラスチックレ
ンズの高屈折率化に伴い、プラスチックレンズ用樹脂が
染色が困難である、芳香環やハロゲン等を含む疎水性プ
ラスチックレンズを時間をかけずに適当な染色速度で、
均一にムラなく、安定したプラスチックレンズの染色を
行う方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、染色が困難な
プラスチックレンズであっても、多種多様な色で均一に
安定したムラのない染色ができる方法を提供する。
【0012】本発明では、プラスチックレンズを浸漬染
色方法で染色する前に、予め水酸基を有するベンゾフェ
ノン系化合物、水酸基を有するベンゾトリアゾール系化
合物、またはサリシレート系化合物の溶液に浸漬するこ
とにより、均一でムラのない染色されたプラスチックレ
ンズを得る方法である。
【0013】即ち、本発明は、水酸基を有するベンゾフ
ェノン系化合物、水酸基を有するベンゾトリアゾール系
化合物及びサリシレート系化合物から選ばれる少なくと
も1種の化合物の溶液に、プラスチックレンズ基材を浸
漬して後、該プラスチックレンズ基材に染色処理を行う
ことを特徴とする染色プラスチックレンズの製造方法を
提供する。
【0014】本発明で使用されるプラスチックレンズ基
材は、特に限定されないが、疎水性のプラスチックレン
ズ基材の場合に特に効果を発揮する。
【0015】例えば、ポリメチルメタクリレート及びそ
の共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体、セ
ルロースアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテ
レフタレート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、テトラブロモビスノールAジメ
タクリレートとスリレンの共重合体、4,4′−ビス
(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドとスチレ
ンとの共重合体、3,3′−ジビニルビフェニルと4,
4′−ビス(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)−
2,2′−ジフェニルプロパンとの共重合体、または、
一種または二種以上のポリイソシアネートと一種または
二種以上のポリオールおよび/または一種または二種以
上のポリチオールとを含む単量体混合物を重合して得ら
れるプラスチック基材などである。
【0016】また、下記構造式(I)で表されるヘキサ
メチレンジイソシアナートの環状三量体よりなる成分
と、
【0017】
【化1】
【0018】下記構造式(II)で表されるジオール化合
物よりなる成分と、
【0019】
【化2】
【0020】下記構造式(III)で表される化合物より
なる成分と、
【0021】
【化3】
【0022】ジビニルベンゼンと、芳香族基を有するラ
ジカル重合反応性化合物よりなる成分とからなるプラス
チック基材を用いることもできる。
【0023】こうしたプラスチックレンズの染色性を改
善するために、染色する前に予め前処理を行う際に用い
られる化合物を具体的に挙げると、水酸基を有するベン
ゾフェノン系化合物としては、2,2′−ジヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベン
ゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメ
トキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキ
シ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−
ベンゾフェノン−5−スルフォン酸等である。水酸基を
有するベンゾトリアゾール系化合物では、例えば、2−
(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−t−アミ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキ
シ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−
3′,5′−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾ
トリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−
ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチル
ベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2
−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミ
ル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラ−
ヒドロフサリマイドメチル)−5−メチルフェニル〕ベ
ンゾトリアゾール等が挙げられる。また、サリシレート
系化合物としては、p−t−ブチルフェニルサリシレー
ト、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサ
リシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等が挙
げられるが、これら2種以上の混合物であってもよい
し、上記した化合物に限定されるものではない。
【0024】プラスチックレンズを染色する際におい
て、前処理を行うための溶液の調整は、上記のベンゾフ
ェノン系、ベンゾトリアゾール系及びサリシレート系化
合物を均一に溶解するものであれば、特に制限されるも
のではない。水溶液で調整することが望ましいが、水だ
けでは溶解しにくいので、溶解させるために、適宜、有
機溶剤を添加することも可能である。この時、添加され
る有機溶剤は、特に、限定されるものではないが、危険
性及び毒性のない、メタノール、エタノール、ブタノー
ル、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノ
ール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、ter
t−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタ
ノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノー
ル、または、これら2種以上の混合物等が挙げられる。
【0025】上記のベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ
ール系及びサリシレート系化合物の水溶液中での化合物
の溶解量は、水溶液1l中に1g〜150gであり、そ
れを溶解させるための有機溶剤の添加量は、水溶液1l
中に0ml〜500mlである。また、必要に応じて、
界面活性剤、各種分散剤、酸化防止剤、安定剤、その他
の添加剤を添加することができる。
【0026】プラスチックレンズを染色する際におけ
る、前処理を行うための水溶液の温度は、30℃〜10
0℃で、好ましくは50℃〜95℃の範囲である。前処
理時間は、1秒〜1時間であり、好ましくは30秒から
30分の範囲である。前記したベンゾフェノン系、ベン
ゾトリアゾール系及びサリシレート系化合物の水溶液中
に浸漬後、分散染料を用いて浸漬染色方法により染色を
行う。
【0027】本発明で用いられる分散染料は、例えば、
ビスタプラックスブルー、ビスタプラックスイエロー
C、ビスタプラックスレッド、ビスタプラックスグレ
ー、セイコーブラウンD、ダイヤコートグリーンD、ダ
イヤコートアンバーD、ニコンライントブラウン、ニコ
ンライトグレー、ニコンライトブルー、ニコンライトピ
ンク等が挙げられる。これらの染料には、適宜、染色助
剤を加えることもできる。
【0028】染料溶液は、溶液中の分散染料の分散性を
高めるために、染色液を攪拌することが望ましい。
【0029】本発明により製造されるプラスチックレン
ズは、結果として、水酸基を有するベンゾフェノン系化
合物、水酸基を有するベンゾトリアゾール系化合物及び
サリシレート系化合物から選ばれる少なくとも1種の化
合物がプラスチックレンズ基材の表面から浸透してなる
層を有するものとなる。
【0030】
【作用】本発明のプラスチックレンズの製造方法におい
て、染色工程の前処理として、レンズ基材に含浸させ
る、水酸基を有するベンゾフェノン系化合物、水酸基を
有するベンゾトリアゾール系化合物及びサリシレート系
化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物は、例え
ば、ベンゾフェノンのフェニル基に水酸基を有するもの
として、
【0031】
【化4】
【0032】ベンゾトリアゾールのフェニル基に水酸基
を有するものとして、
【0033】
【化5】
【0034】サリシレートとして、フェニルサリシレー
トを例示すれば、
【0035】
【化6】
【0036】のような基本的骨格を有する。
【0037】このように、いずれも水酸基を有するた
め、レンズ基材表面に水が引き寄せられ、基材の表面が
膨潤して染色性がよくなる。さらに、上記化合物は、含
浸によりプラスチックレンズ表面に均一に存在するた
め、染色のムラもなくなると考えられる。また、上記化
合物は、フェノール系水酸基の近くに酸素原子や窒素原
子のような非共有電子対を持っているため、次のよう
に、水素結合による環形成を行う。
【0038】
【化7】
【0039】このため、光エネルギーを吸収し、無害な
熱エネルギーとして放出することにより、染料の劣化を
促進させる光から、保護する機能を有する。即ち、上記
化合物は、紫外線吸収剤の役割を果たすため、染色品の
耐光性もよく、これに対して、フェノール系化合物では
こうした機能がなく、フェノール系化合物で前処理して
染色したプラスチックレンズに比較して、本発明方法に
基づく染色プラスチックレンズは、耐光性が優れたもの
となる効果もある。また、上記化合物は、フェノール系
化合物のような毒性もなく取扱上に問題がない。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0041】以下の実施例で製作されるレンズは、図1
に模式的に示す構造を有する。すなわち、レンズ基材1
の両面の表面からその近傍に、ベンゾフェノン系、ベン
ゾトリアゾール系、および、サリシレート系のうちのい
ずれかの化合物と、染料とが浸透している層2が存在
し、さらに、それより深い位置で、染料のみが浸透して
いる層3とを有する。図1から明らかなように、染料
は、層2および層3にわたって浸透している。以下に、
このレンズの製作に関する実施例について説明する。
【0042】〔実施例1〕スチレン系樹脂製プラスチッ
クレンズ基材を、次の工程で作製した。
【0043】第1行程:1−メタクリロキシ−3−(2
−フェニルフェノキシ)−2−プロパノール(純度9
9.2重量%)9.71重量部とヘキサメチレンジイソ
シアネートの環状三量体(イソシアネート基含有量2
3.1重量%、イソシアネート基を純度の基準とすると
きの有効分子量545)8.41重量部と2,2−ビス
〔3,5−ジブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)
フェニル〕プロパン4.88重量部とジビニルベンゼン
15.00重量部とα−メチルスチレン45.00重量
部とを混合した。
【0044】この混合物に、ウレタン化反応触媒として
ジブチルチンジラウレートを、混合物に対して0.01
重量%の割合で加え、60℃で2時間、ウレタン化反応
を行って生成物を得た。
【0045】第2行程:第1行程で得られた生成物に、
1−メタクリロキシ−3−(2−フェニルフェノキシ)
−2−プロパノール(純度99.2重量%)17.0重
量部を加えて混合した。
【0046】この混合物に、ラジカル重合触媒としてラ
ウリルパーオキサイドを、この混合物に対して1.0重
量%の割合で加え、これをガラス製モールド中に注入
し、40℃で10時間、60℃で4時間、80℃で2時
間、90℃で1時間と段階的に反応条件を変えてラジカ
ル共重合反応を行った。
【0047】染色の前処理溶液を、2,2′−ジヒドロ
キシ−4−メトキシベンゾフェノンを10g、有機溶剤
としてエタノールを50mlと純水を加えて1lとして
調整した。染色液は、ニコンライトブラウンを2g、1
lの純水に分散させた。染色液槽内は攪拌しておいた。
これらの前処理溶液及び染色液を90℃に加熱した。
【0048】上記のスチレン系樹脂製プラスチックレン
ズ基材をまず、前処理溶液に1分浸漬して、水で洗浄
し、その後、染色液に10分間浸漬染色を行った。
【0049】この結果、染色レンズは、視感透過率54
%で、蛍光灯の下で、凸面を下にしてレンズを回転させ
て見ても染色ムラは認められなかった。
【0050】また、同様にして、前処理時間を10分間
にして、染色を行ったところ、視感透過率が32%で、
蛍光灯の下で、凸面を下にしてレンズを回転させて見て
も染色ムラの認められないレンズが染色できた。
【0051】〔実施例2〕染色の前処理溶液を、2−
(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾールを10g、有機溶剤として2−プロパノール
を50mlと純水を加えて1lとして調整した。染色液
は、ニコンライトグレーを2g取り、それを1lの純水
に分散させた。この時、染色液槽内を攪拌していた。こ
れらの前処理溶液と染色液を90℃に加熱した。
【0052】実施例1で用いたのと同じプラスチックレ
ンズ基材を、前処理溶液に1分間浸漬して水で洗浄し、
その後、染色液に10分間浸漬染色した。
【0053】その結果、染色レンズは、視感透過率55
%で、蛍光灯の下で、凸面を下にしてレンズを回転させ
て見ても、染色ムラは認められなかった。
【0054】〔実施例3〕次のようにして、硫黄含有ポ
リウレタン系プラスチックレンズ基材を作製した。
【0055】m−キシレンジイソシアネート100重量
部と、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプ
トプロピオネート130重量部と、離型剤としてリン酸
ジ−n−ブチル1重量部と、重合開始剤としてジブチル
錫ジクロライド0.02重量部と、紫外線吸収剤として
2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール0.2重量部とを混合し、1×
10~1Torrの真空下で冷却しながら30分間脱気を
行った。
【0056】次に、ガラス製のレンズ成形用型と合成樹
脂製ガスケットを組み合わせて成形用鋳型を作成し、前
記混合物を注入した。室温から120℃まで15時間か
けて連続的に昇温し、120℃で2時間保持して重合を
行った。重合終了後、ガスケットを外し、レンズ成形用
型からレンズを取り外し、硫黄含有ポリウレタン系レン
ズを得た。
【0057】得られたレンズは、無色透明で、屈折率が
1.597と高く、アッベ数が34と良好な光学特性を
持ち、歪がなく、耐衝撃性、切削性及び研磨性も優れて
いた。
【0058】この基材を、実施例1で用いた前処理溶液
と染色液で、実施例1と同様にして1分間前処理し、1
0分間浸漬染色した。
【0059】この結果、視感透過率58%で、蛍光灯の
下で凸面を下にしてレンズを回転させて見ても染色ムラ
はなかった。
【0060】〔実施例4〕染色の前処理溶液として、フ
ェニルサリシレートを10g、有機溶剤としてエタノー
ルを50mlと純水を加えて1lとして調整した。
【0061】染色液は、ニコンライトブラウンを2g取
り、それを1lの純水に分散させた。この時、染色液槽
内を攪拌しておいた。これら前処理溶液と染色液を90
℃に加熱した。
【0062】実施例1で用いたのと同じプラスチックレ
ンズ基材を、前処理溶液に1分間浸漬して水で洗浄し、
さらに染色液に10分間、浸漬染色した。
【0063】その結果、視感透過率60%の染色レンズ
を得た。このレンズを蛍光灯の下で、凸面を下にしてレ
ンズを回転させて見ても染色ムラは認められなかった。
【0064】〔比較例1〕染色液として、ニコンライト
ブラウン2gを純水1lに分散させて、90℃に加熱し
た。この時、染色液槽内は攪拌していた。
【0065】実施例1で用いたプラスチックレンズ基材
を、前処理なしで、染色液に10分間浸漬染色を行っ
た。
【0066】この結果、染色レンズは、視感透過率65
%で、蛍光灯の下で、凹面を下にして、レンズを見る
と、一目で染色ムラが分かるほど、酷いものであった。
【0067】次に、本発明による前処理で製造されたレ
ンズと、フェノール系化合物で前処理して製造されたレ
ンズとの耐光性試験結果を以下に示す。
【0068】〔実施例5〕染色の前処理溶液として、
2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾ
フェノン50g有機溶剤として、エタノールを100m
lと純水を加えて1lとして調整した。染色液はニコン
ライトブラウン2gを、純水1lに分散させて、攪拌し
た。これらの前処理溶液と染色液は、90℃に加熱して
おいた。
【0069】実施例1で用いたものと同じプラスチック
レンズ基材を前処理溶液に5分間浸漬して水で洗浄し、
その後、染色液に10分間浸漬した。
【0070】その結果、染色レンズは、視感透過率33
%で蛍光灯の下で、凸面を下にしてレンズを回転してみ
ても、色の濃淡ムラのない染色レンズができた。
【0071】これをフェードメータ(スガ試験機(株)
製)で耐光性試験を行ったところ、色差が100時間で
7.0、200時間で8.5であった。
【0072】〔比較例2〕染色の前処理溶液としてフェ
ノールをトルエンに8wt%溶解させ、80℃に加熱し
た。染色液は、ニコンライトブラウンを2g、1lの純
水に分散させ、90℃に加熱しておいた。また、染色液
槽内は攪拌しておいた。
【0073】実施例1で用いたものと同じプラスチック
レンズ基材を、前処理液に、5分間浸漬して水で洗浄
し、その後、染色液に、10分間浸漬染色を行った。
【0074】この結果、染色レンズは、視感透過率35
%であった。これを蛍光灯の下で、凸面を下にしてレン
ズを回転してみたところ、濃淡ムラのある染色レンズで
あった。
【0075】これをフェードメータ(スガ試験機(株)
製)で耐光性試験を行ったところ、色差が100時間で
18.5、200時間で23.8であった。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、プラスチックレンズを
染色する際において、水酸基を有するベンゾフェノン系
化合物、水酸基を有するベンゾトリアゾール系化合物及
び、サリシレート系化合物の溶液に予め浸漬することに
より、染色しにくいプラスチックレンズであっても、容
易に均一且つ染色ムラなく、時間をかけずに安定した染
色品を得ることができる。
【0077】また、前処理時間を変えることにより、そ
の後の染色速度を変えることができる。高濃度に染色す
るには、前処理時間を長くし、低濃度に染色するために
は、前処理時間を短くすればよく、適宜、前処理時間を
変えることによって、所望の染色濃度に、適度な染色時
間で染色したプラスチックレンズが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例であるレンズの構造
を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
1…レンズ基材、2…層、3…層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水酸基を有するベンゾフェノン系化合物、
    水酸基を有するベンゾトリアゾール系化合物及びサリシ
    レート系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物
    が、プラスチックレンズ基材の表面から浸透してなる層
    を有することを特徴とする染色プラスチックレンズ。
  2. 【請求項2】プラスチックレンズ基材が、疎水性のプラ
    スチックレンズ基材である請求項1記載の染色プラスチ
    ックレンズ。
  3. 【請求項3】水酸基を有するベンゾフェノン系化合物、
    水酸基を有するベンゾトリアゾール系化合物及びサリシ
    レート系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の
    溶液に、プラスチックレンズ基材を浸漬した後、該プラ
    スチックレンズ基材に染色処理を行うことを特徴とする
    染色プラスチックレンズの製造方法。
  4. 【請求項4】プラスチックレンズが、疎水性のプラスチ
    ックレンズ基材である請求項3記載の染色プラスチック
    レンズの製造方法。
  5. 【請求項5】染色処理が、分散染料と界面活性剤を水中
    に分散させて調整した染色液に、加熱下で、プラスチッ
    クレンズ基材を浸漬するものである請求項3記載の染色
    プラスチックレンズの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11279957A (ja) * 1998-01-05 1999-10-12 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 高屈折率樹脂の染色方法および該方法により染色された樹脂
JP2006267469A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Seiko Epson Corp プラスチックレンズの染色方法
EP2105766A2 (en) 2008-03-26 2009-09-30 Seiko Epson Corporation Dyeing method for plastic lens
JP2011164431A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Menicon Co Ltd 染色眼用レンズの製造方法及びそれにより得られる染色眼用レンズ

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