JPH0634631A - アナログ−デジタル信号系を用いる試料中の検体の存在の測定、この測定を行なうための装置およびこの測定を行なう方法 - Google Patents

アナログ−デジタル信号系を用いる試料中の検体の存在の測定、この測定を行なうための装置およびこの測定を行なう方法

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JPH0634631A
JPH0634631A JP32742791A JP32742791A JPH0634631A JP H0634631 A JPH0634631 A JP H0634631A JP 32742791 A JP32742791 A JP 32742791A JP 32742791 A JP32742791 A JP 32742791A JP H0634631 A JPH0634631 A JP H0634631A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 均質結合測定を実施する方法及び装置を提供
すること。 【構成】 試料の検体濃度の変化からオン/オフ応答を
生じうる測定系は、検体濃度より実質的に小さい検体解
離定数を有する高親和力結合成分を含み、この結合成分
は検体未添加の最初の状態で実質的な数の結合部位が空
いてなければならず、空いている結合部位の濃度はオン
/オフ切換のための検体閾濃度を決定する。測定系は結
合部位が実質的に完全に満たされた後過剰の検体が存在
する時を決める手段をも含み、この手段は結合成分の検
体に対する親和力よりも実質的に小さい検体に対する親
和力を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液体中の検体の濃度の測
定に関する。
【0002】この新規な方法は機器または複雑な実験室
での実験を使用せずに正確な定量的情報を得ることを可
能にする。本発明は特に均質結合測定または相分離工程
無しで読むことができる測定に関する。本発明はこれら
均質結合測定を実施する装置および方法にも関する。
【0003】
【従来の技術】従来の測定法は発生信号のアナログ−ア
ナログ(A/A)測定を用いる。A/A測定では発生信
号強度は入力信号に相応して変化する。例えば競合的免
疫測定では、置換リガンドの量は検体と呼ぶ関心のある
添加分子の濃度とS字形相関を示す。このS字形置換曲
線を測定しそして検体濃度を決定する標準曲線として使
用する。
【0004】本発明は検体濃度の決定にアナログ−デジ
タル(A/D)測定を利用する。この型の測定では、異
なる検体濃度(アナログ入力)からの応答は信号の存否
(デジタル出力)を決定する。A/D測定では信号強度
は一般に重要ではなく、一般的には測定されない。むし
ろ信号の存否のみが重要である。
【0005】アナログ−デジタル化学スイッチの従来例
は、従来技術において必ずではないが、還元−酸化(レ
ドックス)化学を含んでいた。米国特許第4,059,
407号および米国特許出願SN924,414(19
86年12月16日出願)およびSN075,817
(1987年7月20日出願)参照。
【0006】また米国特許出願SN160,595(1
988年2月26日出願)は電子トランスフェラーゼに
アナログ−デジタル測定を使用することを教示してい
る。
【0007】本発明は免疫診断において従来使用されて
きた技法と共に非レドックスアナログ−デジタル化学ス
イッチを用いる。
【0008】競合的結合測定を行なう多くの方法が従来
知られている。これらの方法は2つの部類に分けること
ができる:一般に均質結合測定法と呼ばれる完全に一液
相中で行なわれる測定法;およびここで多相測定法と呼
ぶ、液相から固相を分離する必要のある測定法。従来の
放射線免疫測定法(RIA)は、サンドイッチ測定法が
そうであるように、多相測定法の一例である。これらの
測定法では、信号発生種を含む結合成分が固相に結合ま
たは固相に転化される(例えば沈殿により)。固相は結
合成分に結合していない信号を含む液相から分離され
る。結合した信号の量が測定されそして検体濃度の決定
に使用される。この分離の複雑さは多数の試薬および洗
滌工程を必要としそして高価な測定装置およびオペレー
タ訓練の必要性を大幅に増大させる。
【0009】上記測定法の複雑さは、すべての試薬を溶
液中で混合しそして結果を直接読む均質免疫測定法の開
発をなさしめた。米国特許第4,442,204号5−
9欄参照。現今の均質測定法は、信号と結合して複合体
を形成する結合成分を用いる競合測定法である。結合成
分は抗体、免疫蛋白質、酵素、または検体に対し高い親
和力を有する同様の化合物であることができる。検体は
ここで定める結合成分により結合されうる、蛋白質、代
謝物、医薬および医薬代謝物、環境汚染物質、有機分
子、または同様の分子を包含するいかなる化学的または
生物的分子であってもよい。信号分子は典型的には、結
合成分に結合した時に信号が、結合成分がない時とは異
なる測定しうる活性を有するように検体と同等に結合す
る測定可能信号を生ずる分子である。競合測定法におい
て、結合成分の結合部位は信号でほぼ完全にみたされて
いる。検体を結合成分−検体解離定数に近い濃度まで添
加しそして信号と結合部位について競合させる。次に機
器を用いて信号活性を測定し、検体濃度の決定に使用す
る。
【0010】均質結合測定法は比較的簡易なためかなり
の商業的発展をとげた。例えばアボット(Abbott)社が
市場に出したTDx(商標)測定法は信号分子として蛍
光分子を使用する。この信号分子は遊離の場合、結合成
分に結合している場合よりも速いタンブリング速度を有
する。このタンブリング速度の相違は円偏光蛍光の相違
を生じさせ、これを蛍光偏光計で測定する。
【0011】市場に出ている他の均質測定法はSyva Dia
gnostics社のEMIT(商標)試験である。この試験で
は信号は、結合成分に結合した場合遊離の場合と異なる
活性を有する酵素−検体コンジュゲートである。分光光
度計を用いて試料中の酵素活性の量を測定し、そしてこ
の値を検体濃度の計算に使用する。
【0012】Microgenics 社により市場に出されClin.C
hem.32、1637−1641頁(1986年)に記載
されているCEDIA(商標)均質結合測定法は多段階
信号発生系を使用する。β−ガラクトシダーゼサブユニ
ット断片を検体と共有結合させる。この酵素断片は結合
成分に結合した場合補断片との自己集合を阻止される。
コンジュゲートが結合成分と結合していない場合、自己
集合が起って測定可能なβ−ガラクトシダーゼ活性が生
ずる。
【0013】これらのおよび他の均質結合測定法は米国
特許第4,340,688、3,817,837および
4,043,872号により詳細に記載されている。こ
れら均質免疫測定法はすべてアナログ−アナログ(A/
A)測定を利用する。本発明は上記の、そしてまたすべ
ての均質結合測定法をいかにして或特定条件下でA/D
測定に変換しうるかを教示する。
【0014】本発明以前には、免疫測定法は感度増大に
関心が集まっていた。従って信号の強度を記録するA/
A信号法が用いられた。従来の測定法の感度は検体−信
号コンジュゲートの濃度が結合成分と1:1の比である
場合に増大する。この比において、検体濃度の変化は結
合した信号の最大の変化をもたらす。添加したすべての
検体が信号置換反応に貢献する。記録される測定値は信
号の存否よりも遊離信号の存在量である。
【0015】アナログ−デジタル測定では、信号発生成
分は結合成分の全濃度の一部である。A/D測定が“オ
フ”から“オン”応答へ飛ぶ検体濃度を“検体閾濃度”
と呼ぶ。A/D測定ではすべての検体が信号を発生する
のではない。特に、閾濃度より低いすべての検体分子は
信号を生じない。この点でA/D測定は測定の容易さが
増大する代りに感度を放棄する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】複雑な手順または機器
無しに試料中の検体濃度を正確に測定する効果的な測定
法に対するニーズが当該分野に存在する。測定は簡単に
行なえなければならず、そして結果は容易に読めなけれ
ばならない。更に、このような測定を行なう装置に対す
るニーズが当該分野に存在する。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は当該分野のこれ
らニーズを満たすのを助ける。本発明によれば検体濃度
が所定の閾値を超えた場合に試料中の検体の存在を信号
で送る新規測定法が開示される。
【0018】この測定は検体に結合する結合成分の或量
を含み、該結合成分は検体閾濃度より実質的に小さい検
体解離定数を有する。結合成分は最初は検体の結合して
いない空いた結合部位の所定量を有する。これらの条件
下で、添加された検体は、最初は空いている結合部位が
使いつくされる点までほぼ完全に結合成分に結合する。
検体がこの点を超えて添加されると、それはi)溶液中
に遊離検体として存在し、これは他の試薬と相互作用し
て信号を生ずることができる;かまたはii)最初の状態
で信号発生手段が結合成分に結合されているなら、結合
成分に結合している信号発生手段を置換する。系中の他
の結合定数はA/D測定における結合成分−検体親和力
と同じであるべきでない。測定系が、置換された信号発
生手段または遊離検体が他の試薬に結合することを必要
とするなら、置換された信号または遊離検体はそれらが
結合成分に対し示すよりも実質的に小さい親和力でそう
すべきである。最初は空いている結合部位の量は、検体
閾濃度の存在下で実質的に全部の最初は空いている結合
部位が試料中の実質的に全部の検体により満たされるよ
うに選ばれる。
【0019】測定系は試料中の検体濃度が検体閾濃度を
超える場合に信号を発生する手段をも含む。信号発生手
段は、結合成分の検体に対する親和力よりも実質的に小
さいまたは無視しうる、検体に対する親和力を有する。
従って検体が最初に結合成分の利用できる結合部位のす
べてを満たす。検体濃度が閾値を超えた時にのみ信号を
発生するのに遊離検体が得られる。
【0020】上記測定を実施する方法も提供される。
【0021】本発明は更に上記測定を実施する装置を提
供する。この装置は一組の区画室を含み、各区画室は最
初空いている結合部位を異なる量で有する結合成分と信
号発生手段を含む。
【0022】用語“結合成分”は関心のある検体と結合
して結合成分−検体複合体を形成するあらゆる分子を含
む。それは酵素、抗体、免疫蛋白質例えばIgG、Ig
M等、並びにIgGのFab断片のような上記抗体およ
び蛋白質の、関心のある検体と結合しうる断片を包含す
る。用語“抗体”は抗体全体およびその結合能を有する
断片を包含する。LおよびH鎖抗体領域の遺伝子融合に
より形成される組換蛋白質も“抗体”の定義に含まれ
る。
【0023】酵素の触媒能と対立するものとしての酵素
の結合能が、関係する活性であるなら、酵素を結合成分
として使用しうる。例えば、酵素は二成分反応の一成分
と結合しうる。第二成分の不在下ではこの結合は反応に
ならないであろう。
【0024】使用しうる追加的結合成分はカリウムイオ
ンに対する結合成分としてのバリダマイシン;カルシウ
ムイオンに対する結合成分としてのエチレングリコール
四酢酸(EGTA);第2鉄イオンおよび他の2価およ
び3価金属イオンに対する結合成分としてのN,N,
N′,N′−エチレンジアミン四酢酸(EDTA);お
よび関心のある検体と結合して結合成分−検体複合体を
形成するクラウンエーテル、受容体、キレート化剤およ
び他の同様の結合物質を包含する。
【0025】本発明では、結合成分の濃度は用いる結合
成分の結合部位の濃度を指す。多数の結合部位を有する
結合成分例えばIgGまたはIgMの場合、容易に明ら
かなように、実濃度は結合部位の濃度よりも低い。
【0026】結合の特異性は結合成分の望ましい特徴で
あるが、絶対的特異性は必要でない。一般に、結合成分
は検体以外の分析試料成分に対し高親和力結合を示すべ
きでない。また、結合成分は検体より非常にモル過剰で
あるいかなる成分に対してもより低い親和力結合を有す
べきでない。そのような成分は結合成分の結合部位につ
いて検体と競合しているであろう。従って、EDTAは
第2鉄イオン検体のみを含む液体における優れた結合成
分であろう。第2鉄イオン検体をマグネシウムおよび他
の2価金属イオンと共に含む試料液はEDTAよりも特
異性の大きい結合成分の使用を必要とする。
【0027】本発明は一般に、測定しうる親和力定数を
有する結合成分に限られる。或幅の親和力定数を有する
結合成分は、定数の幅が、検体濃度が結合成分解離定数
より大きいことを決定しうるに充分なだけ狭い場合にの
み通常使用しうる。
【0028】用語“検体”は、ここで定義する結合成分
により結合されうる、蛋白質、代謝物、医薬および医薬
代謝物、環境汚染物質、有機分子等を包含するあらゆる
化学的または生物的分子を指す。用語“結合成分”がキ
レート化剤を記載するのに使用される場合、“検体”は
キレート化されるイオン性物質を指す。
【0029】用語“検体閾濃度”はA/D測定が“オ
フ”から“オン”応答へ飛ぶ検体濃度を指す。検体閾濃
度以下では実質的に測定可能信号は存在せず、一方検体
閾濃度以上では信号が検出される。検体閾濃度は典型的
には診断装置の製造においてセットされる。
【0030】例えば、本発明の一態様では、測定系は一
組の区画を含み、各区画は異なる検体閾濃度を有する。
好ましい態様では、区画閾値は装置に沿った距離の函数
として互いに直線的関係にある。装置に沿って信号が走
る距離は従って検体濃度に対応する。測定しうるいかな
る応答変化も信号として作用しうる。色の変化、特に無
色から着色への変化またはその逆が有用である。“オ
ン”信号が色の発生なら、検体濃度が検体閾濃度以上の
区画に着色バーが生ずる。このバーは検体濃度が閾値、
即ち装置が読みとれる濃度、と等しい位置で終る。この
装置は、信号として作用する水銀が温度計に沿って走る
距離を読むことにより温度を測定する温度計に類似して
いる。
【0031】親和力定数は或物質が他の物質と結合する
固有の傾向を数値で定める。一般にそれらはいくつかの
該定数を互いに比較する時に使用される。数値が大きい
ほど親和力は大きい。解離定数は複合体がその構成成分
に分解する固有の傾向を数値で定める。それらは一般に
該定数を濃度と比較する時に使用される。親和力定数K
aと解離定数Kdは次式の関係にある: A+B<====>A−Bにおいて Ka=1/Kd=[A−B]/([A][B]) 従ってこれら2つの定数は互いに逆数である。例えば1
-6Mの検体を含有する溶液は、結合成分が検体濃度よ
り実質的に小さい隔離定数、例えば10-10 M(即ち親
和力定数1010-1)、を有するなら、最初は空いてい
る結合部位を含む結合成分に定量的に結合する。これら
の定数は本発明の記載中で互換的に使用される。
【0032】A/D測定と従来の均質免疫測定の間には
2つの明瞭な差異がある。第1の相違は、A/D測定で
は結合部位の有意な濃度は検体添加前の最初の状態では
空いている。これら空いている結合部位は添加された検
体を滴定し、それを溶液から除去してそれが信号発生成
分と反応するのを防ぐ。これに対し、従来のA/A均質
免疫測定は、A/D測定と同じ成分のあるものを使用す
るが、添加された検体各分子を測定可能な信号に転化す
ることを目指している。これら2つの測定形態の相違を
図1および図2に示す。
【0033】図1および図2のグラフの相違は、A/D
測定とA/A測定とで明瞭に異なる条件を使用させるこ
とになる。A/A反応に添加された検体のすべての分子
は、信号発生能が使いつくされるまで信号発生状態と相
互作用する。これに対しA/D測定では、添加された検
体は緊密結合性−非信号発生状態(空いた結合部位)
と、該部位が満たされる(閾)まで反応する。これら空
いた部位を満たした後にのみ検体は信号発生状態と反応
する。容易に明らかなように、すべての現今のおよび未
来の均質A/A測定法を、適当な緊密結合性−非信号状
態の付加により本発明によるA/D測定法に変換しう
る。
【0034】図1および図2はA/DとA/A測定との
間の明瞭な相違を図で示す。以下に更に記載するよう
に、添加された検体のすべては空いている結合部位が満
たされるまでは該部位にのみ結合することはA/D測定
の重要な特徴である。この添加された検体は該部位に、
信号発生状態と相互作用する遊離検体が得られないよう
に本質的に完全に(以後に記載するように)結合しなけ
ればならない。
【0035】本質的に完全な結合を高めるために、空い
た部位の解離定数が関心のある検体の濃度よりかなり小
さいことが重要である。実際、超緊密結合のためのこの
要件は、測定しうる検体の低い方の濃度に限界をつけ
る。何故ならば、抗体の解離に物質的限度が存在するか
らである。
【0036】これら低濃度の限度は従来の均質免疫測定
には同程度には存在しない。表面的複雑さを取去った従
来の均質免疫測定はすべて次式にあてはまる:
【数1】 Ab=抗体、An=検体、S=信号生成系 前記のように、信号生成系Sは直接または反応系の他の
成分との組合せで信号を発生しうる。
【0037】上式で概括される反応は見掛解離定数Ka
により定められる。系はKa値付近の領域でのみ検体濃
度の変化に敏感である。Kaよりかなり低い検体濃度で
は、検体濃度の増分変化は信号強度の無視しうる変化し
か生じない。Kaよりかなり高い濃度では、本質的にす
べての信号は既に遊離なので、検体濃度の増分変化に応
答して生ずる信号の変化はやはり無視しうる。これに対
し、検体濃度がKa濃度付近の場合には検体濃度の増分
変化は信号強度の有意な変化を生ずる。
【0038】この状況は図3にグラフで示されている。
この図はKaが10-7Mの典型的結合成分−検体解離曲
線を示す。このグラフは検体濃度の増分変化が解離定数
10-7M付近に広がる範囲でのみ信号強度の有意な変化
を生じ、有用な範囲幅は約1.4ログ単位であることを
確認する。
【0039】典型的A/D応答をこの同じログスケール
で図4に示す。A/D測定は閾値における検体濃度が結
合成分−検体解離定数から実質的に離れていることを要
する。A/D測定は従来の意味の測定範囲をもたず、代
りに論理値ゼロ即ち無信号状態から論理値1即ち信号状
態への急な移行が起る。この移行点は、このグラフに描
かれた系では−14にある結合成分−検体解離定数から
遠い。これら解離定数の相違はA/Dと従来のA/A測
定を区別する主要な特徴である。A/A測定では、有用
な測定範囲は系検体の見掛解離定数付近に分布してい
る。A/D測定では、測定範囲は結合成分の空いた結合
部位の解離定数より有意に大きい検体濃度である。
【0040】現存の均質測定技術をA/D測定に適合さ
せる方法を含む本発明のいくつかの態様を開示する。こ
れらの態様は以下の3つの部類に分けることができ、こ
れらの中で説明の目的のみでそして本発明の範囲を限定
することなく、結合成分を抗体として表わす:
【数2】 態様1は(1)或量の最初は空いている結合部位を有し
そして検体と結合したとき信号を生じない結合成分と、
(2)実質的により低い検体結合親和力を有し検体と結
合したとき信号を生ずる信号発生手段または受容体、を
利用する。この態様では、検体が最初は空いている結合
部位をほぼ満たした後、追加的検体が受容体と相互作用
して信号を生ずる時に、デジタル”オン”信号が生ず
る。このように、信号発生手段は、検体濃度が結合成分
の最初は空いている結合部位の濃度よりも高い時にの
み、それに結合する検体を有する。他のすべての場合、
結合成分は検体とほぼ定量的に結合して検体が受容体に
結合するのを妨げる。後記実施例1および2は態様1を
説明する。
【0041】態様2および3は態様1の変形である。態
様2は結合成分に結合した場合未結号の場合とは異なる
応答を生ずる信号手段を利用する。態様1におけるよう
に、結合成分−検体解離定数(1/K1 )は閾濃度より
も実質的に小さい。最初の状態は或濃度の最初は空いて
いる結合部位と或濃度の信号発生手段で満たされた結合
部位からなる。最初は空いている結合部位の濃度が検体
閾濃度を決定する。最初は空いている結合部位がほぼ満
たされた時、追加的検体が結合成分から信号を追出して
測定可能応答を生ずる。すべての均質結合測定技術に共
通の結合成分反応をA/D測定に利用しうる。
【0042】第3の態様も結合成分に最初に結合してい
る分子の追出しにより生ずる信号を含む。この分子は
“補因子”と呼ばれる。検体により追出された時、遊離
補因子は“因子”と呼ばれる親和力のより低い成分に結
合して信号を生ずる。補因子は最初、結合成分の結合部
位の濃度より小さい濃度で存在する。従って残りの最初
は空いている結合部位が検体閾濃度を決定する。好まし
い態様では、因子は酵素であり、一方補因子は補欠分子
族、補酵素、または酵素活性に必要な調節成分である。
この態様も、結合成分−検体解離定数が検体閾濃度より
も有意に小さいことおよび補因子に対する因子の親和力
が結合成分補因子親和力よりも小さいことを必要とす
る。
【0043】態様1 態様1の反応は2つの平衡式により定められる:
【数3】 アナログ−デジタル測定は、入ってくる信号、即ち検体
濃度が、検体に対する実質的に異なる親和力を有する2
つの異なる状態の間で分配された時に可能である。この
状況で、検体は、親和力の高い方の状態が完全に満たさ
れた時にのみ親和力の低い方の状態に分配される。
【0044】図5は検体閾濃度に隣接する領域で検体−
受容体濃度を検体全濃度に対してプロットしたものであ
る。抗体濃度は10-8Mにセットされ、受容体濃度は1
-5Mにセットされた。10-8Mの抗体濃度は閾値を1
-8Mにセットし、この濃度は大部分の医薬および代謝
中間体の正常な生理的濃度よりも小さく、そしてホルモ
ンおよび他の微量生物活性成分の測定に関心のある範囲
内にある。抗体−検体親和力定数K1 は1012-1、受
容体−検体親和力定数K2 は106 -1であった。この
図は検体閾濃度1×10-8Mより小さい濃度における本
質的にゼロから閾値より上へ増加する検体濃度までの検
体−受容体濃度の変化を示す。
【0045】図5はA/D切換の要点を示す:検体−受
容体濃度は閾値の左側の無視しうる値(論理値0)から
閾値の右側の検出可能値(論理値1)へ急速に増加す
る。どちらの状態の実値も一定または重要でない。A/
D信号方式では信号が弱から強へ急速に増加する閾濃度
が重要である。この信号増加に必要な検体濃度の増加が
切換分解能である。
【0046】結合成分の最初空いている結合部位の数は
閾値を決定する。前記のように、2つの状態が検体に対
し実質的に異なる親和力を有することがA/D測定の重
要な特徴である。結合定数の比は添加検体分子に対する
2つの状態の相対的親和力を不充分にしか表示しない。
例えば、低い方の結合状態の非常に高い相対的濃度は高
い結合状態の低い濃度のそれに匹敵する全親和力を有し
うる。これら2つの状態に対する検体の相対的親和力は
それらの結合定数のおよびそれらの濃度の比に比例す
る。この相対的親和力は、結合成分の親和力定数と結合
成分の濃度の積を受容体の親和力定数と受容体の濃度の
積で割った値として定義される分配比により最もよく表
わされる。これは数学的に
【数4】 に等しい。
【0047】この同等性は結合定数K1 およびK2 の数
学的定義に由来する。斯てこの分配比は添加検体分子が
検体−受容体複合体よりも抗体−検体複合体を形成する
傾向を表わす。第1表のデータは分配比の絶対値が親和
力定数の比よりも切換分解能をかなり良く予言すること
を示す。10,000の分配比は900以上の切換分解
能を与え、そして100の分配比は、親和力定数の比が
100倍変っていても、12の切換分解能を与えた。1
0の分配値は分解能の劣る切換を生じ、一方10より小
さい値はA/D挙動を生じなかった。質量比および平衡
定数が共に反応の程度に影響を及ぼすという認識は十分
に確立されているが、分配比の概念は当該分野で充分に
知られていない。K1 およびK2 の定義に由来するこの
簡単な比はこの態様の重要な特徴、即ち添加検体分子の
信号発生状態体およびより高い親和力の非信号発生状態
の間での分配、を表示するのに理想的に適している。
【0048】 第1表1 /K2 の函数としてのA/D切換分解能 [受容体]/[抗体]=1000 [受容体−検体] K1 /K2 検体合計 1E8 1E6 1E5 1E4 ……………………………………………………………………………………………… 7.00E-09 2.43E-13 2.30E-11 2.10E-10 1.27E-09 8.00E-09 4.69E-13 3.91E-11 3.24E-10 1.63E-09 9.00E-09 9.80E-13 8.09E-11 5.31E-10 2.06E-09 1.00E-08 2.99E-11 2.97E-10 9.05E-10 2.55E-09 1.10E-08 9.10E-10 9.99E-10 1.48E-09 3.12E-09 分解能 929 12 3 2 分配比 10,000 100 10 1 [抗 体]=10-8M [受容体]=10-5M K2 =常に106 -11 は変える 分解能は検体を9nモルから11nモルに増した時にみられる信号増加として定 義される。分配比は結合定数の比(K1 /K2 )を受容体対抗体の比で割った値 として定義される。
【0049】A/D切換では、添加検体は結合成分の最
初は空いている結合部位(このような部位が存在すれ
ば)に結合する。この定量的結合が起ることを確実にす
るために、結合成分−検体解離定数は閾値での検体の濃
度より有意に小さくなければならない。この臨界比は数
学的に 結合比=(K1 )[閾値] に等しい。ここでK1 =結合成分−検体親和力定数、
[閾値]=閾値における検体の濃度。
【0050】高分解能の切換には1,000に等しいか
またはこれより大きい結合比が必要である。この結合比
が高いほど切換分解能は大きい。斯て、10,000の
比は非常に高い分解能を生じ、逆に100の比はA/D
挙動を生じない。この約1,000またはそれ以上の結
合比の要求は前記A/D測定の顕著な特徴の数学的表示
である。閾値以下で存在する時、本質的に全部の検体が
結合成分により結合され、溶液中に遊離していないこと
が重要である。この緊密な結合はこの臨界結合比により
達成される。この要求はA/D切換技術で測定しうる検
体濃度の実用的下限を抗体の解離定数より約1,000
ないし約10,000倍高くセットする。モノクローナ
ル抗体製造の最近の進歩、特に抗体またはFab断片の
クローニングおよび細菌源からの選択を含む方法は、従
来可能と考えられていたよりも高い親和力の抗体を入手
可能にした。今や1015-1を超える新和力定数を有す
る抗体を得ることができると考えうる。10,000の
高分解能結合比および非常に高い親和力の抗体はA/D
測定を、殆んどの従来の均質免疫測定により達成しうる
より低い濃度範囲である10-11 モルの範囲に至らせる
であろう。
【0051】要するに、ここに示されたデータはA/D
挙動が観察されるであろう条件を予言することを可能に
する。この態様において、A/D切換は、 1) 分配比が少なくとも約10、好ましくは少なくと
も約100、より好ましくは少なくとも約1,000で
ある、 2) 結合比が少なくとも約1,000、好ましくは
1,000より大、より好ましくは少なくとも約10,
000である、 場合にすべて起る。
【0052】これらの比は好ましい値を表わし、そして
これらの値以外の比も受容しうる結果を与えうる。
【0053】態様1における結合成分は好ましくは検体
に対し高新和力定数を有する抗体である。抗体、特にマ
ノクロール抗体の構造および選択は当該分野でよく知ら
れている。抗体断片および遺伝子工学で作られた抗体も
当業者によく知られており、そして適当な場合使用しう
る。モノクローナル抗体以外の結合成分も本発明で容易
に使用しうる。
【0054】態様1の信号発生手段または受容体は、検
体と相互作用して触媒活性の変化、可視色吸収、蛍光ま
たは同様の変化を受けるいかなる化合物でもよい。特
に、触媒活性の変化を受ける成分は有用である。という
のはそのような受容体は自己増幅信号として作用するか
らである。例えば、信号発生手段は検体により賦活また
は阻害される酵素であることができる。ジギトキシン検
体を挙げると、受容体はNa + + −ATPアーゼのF
1断片であることができる。当該分野でよく知られてい
るように、ジギトキシンはこのATPアーゼの強い阻害
剤である。ATPアーゼにより触媒される反応、即ちA
TPのADPおよびPi への転化は、結合成分の濃度が
ジギトキシン濃度を超える区画で通常進行する。ジギト
キシン濃度が結合成分濃度より大きい区画では、過剰の
ジギトキシンがATPアーゼを阻害して反応を止める。
この例では、“オン/オフ”デジタル信号はATPアー
ゼの活性であり、そしてアナログ入力はジギトキシン濃
度である。
【0055】態様2 態様2は第2のA/D測定系を提供する。態様2は、基
本的には態様1と同じであるが、最初は空いている結合
部位が満たされた時信号を発生する方法が異なる。態様
1では、過剰の検体が受容体に結合して信号を生ずる。
態様2および態様3では過剰の検体は、結合成分に既に
結合している信号発生分子に取って代る。態様2では追
出された分子が直接信号を発生し、一方態様3では追出
された分子単独では不活性で、他の成分に結合して信号
を発生する。
【0056】現存の均質測定技術を態様2に適用しう
る。例えば米国特許第3,817,837号はSyva社に
よりEMIT(商標)として市場に出されている、信号
が酵素である技術を記載している。米国特許第4,42
0,568、4,492,762、4,510,25
1、4,585,862、4,593,089、4,7
48,110、4,751,190および4,902,
630号はAbbott Diagnostics社によりTDx(商標)
として市場に出されている、信号発生分子が蛍光分子で
あり、信号がレーザー誘起蛍光の偏光の変化である技術
を記載している。これらの現存の均質測定技術は、本発
明で用いる信号のアナログ−デジタル測定よりも、従来
のアナログ−アナログ測定を用いる。
【0057】この態様で起る反応は、前の態様で遭遇し
た式と類似しているが同一ではない2つの平衡式により
表わされる。
【0058】
【数5】 典型的には信号は、発生信号量が結合状態と有利状態と
では異なるような仕方で検体に共有結合する信号発生分
子である。
【0059】説明の容易さのため、本発明の範囲を限定
することなく、以下の説明では態様2の信号を、結合成
分抗体に結合した時阻害され、そして遊離の時活性な酵
素検体コンジュゲートと名指す。
【0060】態様2は検体に対し高親和力を有する結合
成分および該結合成分に結合する信号発生手段を必要と
する。この信号系は結合した時と未結号時で異なる活性
を有する。好ましくは信号系は抗体に結合した時触媒活
性を有しない酵素からなる。この酵素は抗体に未結合の
時充分な触媒活性を示す。このような酵素の製造法は当
該分野でよく知られている。米国特許第3,817,8
37および4,043,872号参照。一般に検体は酵
素に酵素活性部位に隣接して共有結合する。または酵素
は多数の検体分子で覆われて充分な量の抗体を結合さ
せ、酵素活性を完全に阻害する。
【0061】態様2に関して3つの所見を述べることが
できる。
【0062】第一に、A/D測定は多数の空いている結
合部位を必要とするが、酵素により占められる抗体部位
の百分率は広範囲にわたり重要でない。A/D応答の分
解能は酵素の濃度を抗体濃度の1%から10%にまたは
50%にさえ増大させても影響されない。閾値は、この
増大により最初は空いている抗体部位の数が変るので、
変るけれども。
【0063】第二に、抗体は酵素に対する親和力が検体
に対するそれよりも小さいのが、より大きい“オン”信
号を生じるので有利である。他の理論を排斥することな
く、この結果は恐らく次のように説明しうる。親和力定
数が同じ場合、結合部位の競合で過剰の検体は酵素より
好まれない。これに対し、親和力定数が100倍検体に
有利な場合、過剰の検体は必ず部位競合に勝つ。
【0064】最後に、抗体−酵素解離定数(1/K2
と酵素濃度の比が重要である。この定数のより大きい差
は切換におけるより小さな雑音に相当する。切換“雑
音”はステレオの無線受信における空電に類似してい
る。この比の効果は酵素結合比: 酵素結合比=[酵素](K2 ) として定義される。非常に高い分解能のA/D信号送り
には約103 の比が必要である。100より有意に小さ
い比は充分な分解能のA/D挙動を与えない。
【0065】ここでも他の理論を排斥することなしに、
この結果は恐らく次のように説明しうる。酵素は、空い
ている結合部位より過剰の検体により置換され放出され
るまでは抗体に完全に結合していることが重要である。
この定量的結合は、検体の定量的結合が閾値より有意に
小さい抗体−検体解離定数を必要とするのと全く同様
に、酵素の濃度よりも有意に小さい抗体−酵素解離定数
を必要とする。
【0066】態様2によりA/D測定系を作るには以下
の追加的因子を考慮すべきである。
【0067】第一に、部位競合は酵素“オフ”速度より
早くは進行しえない。ここで、 K2 =kオン/kオフ “オン”速度は検体の抗体への結合の速度であり、そし
て一般に拡散律速であることが見出されている。拡散律
速反応は109 -1-1の範囲の速度定数を有する。斯
て、この値をkオンに対し使用すれば、kオフを各平衡
定数K2 で計算しうる。このkオフの値は酵素の抗体か
らの放出の速度を支配し、これは検体の酵素を置換し信
号を発生する速度を支配する。
【0068】kオフの動力学的制限は本発明の態様2お
よび3を用いて測定しうる下限濃度に実用的制限を加え
る。例えば10-10 Mの濃度の検体を測定するには10
-10Mまたはそれより小さい酵素濃度が必要である。約
100より大きい酵素結合比の要求は10-10 -1より
大きいK2 の抗体を使用しなければならないことを意味
する。斯て、もしK2 が1013-1でkオンが10-9
-1-1なら、kオフは10-4-1に等しい。反応の半減
期は式: T1/2 =ln 2/k により表わされる。
【0069】従って、上記計算されたkオフは6,93
1秒または約2時間の半減期を有する。充分な測定には
約2半減期より長い反応時間を要し、これは4時間以上
かかることになる。この反応時間は従来の免疫測定に比
べて有利であるが、ここでのもくろみの一部である簡単
な交替部位試験には受容しえない。
【0070】これら動力学的制限は、検体閾値および酵
素濃度が1uMにセットされる場合には現われない。1
-9-1の酵素/抗体親和力定数K2 は1,000の高
分解能酵素結合比を与える。これら条件下でのオフ速度
定数kオフは1秒-1であり、そして半減期は0.693
秒である。上記例はオフ速度半減期がK2 のログと直線
関係にあることを示す。K2 が1010-1の時、半減期
は約6.93秒であり、そしてK2 が1011-1の時、
半減期は69.3秒である。従って、1011-1のK2
を有する抗体はA/D条件下で3分以内に10-8Mの検
体を測定しうる。
【0071】考慮すべき第二の因子は酵素−抗体複合体
により示される残留活性による切換分解能へのマイナス
の影響である。残留活性は酵素−検体コンジュゲーショ
ンの特性により影響される。検体が、ランダム連結とは
対照的に酵素活性部位付近で酵素に連結した場合に最適
効果が得られる。
【0072】信号の雑音を減らすには結合した酵素は不
活性でなければならない。図6に示すように、検体−酵
素コンジュゲートのランダム合成は、酵素活性部位から
離れた領域への検体の連結を生じうる。或場合には、抗
体がこのコンジュゲートに、酵素の活性に影響を及ぼす
ことなく結合しうる。図6中の限定合成経路は検体を活
性部位の近くに連結する方法を描写する。酵素阻害剤
を、開裂可能部位を有するリンカー、例えばジオールに
より蛋白質変性反応性基に結合する。結合した阻害剤−
酵素(I)は不活性である。しかし、過沃素酸塩での処
理および透析は酵素活性を復活させる。次に検体を直接
にかまたは追加的リンカーを介して、開裂した部位へ結
合する。この手順は検体を酵素活性部位付近にのみ結合
する。得られる酵素は不利には活性を殆んどまたは全く
有しないことがある。これは長さの増大したリンカーア
ームの使用により直すことができる。中間体(II)は常
に活性を試験すべきである。IIの不十分な活性は反応性
基を変えることによりまたは阻害剤リンカーへの反応性
基の長さを増大させることにより解消しうる。
【0073】要約すると、態様2のA/D信号送りは以
下の条件が満たされる時に起る: 1)態様1で定義した結合比が少なくとも約1,00
0、好ましくは1,000より大、そしてより好ましく
は少なくとも約10,000である; 2)酵素結合比が少なくとも約100、好ましくは少な
くとも約1,000、そしてより好ましくは少なくとも
約10,000である;および 3)閾値をセットするためにいくつかの空いている結合
部位が存在するように抗体濃度が酵素濃度よりも大き
い。
【0074】A/D信号強度は以下のことにより高めら
れる: 1)抗体に対する酵素の量を増すこと。後記実施例1−
3では、酵素を抗体の1%から10%ないし50%に増
した時、切換分解能は影響されず、一方信号強度はこれ
により100倍増大した。
【0075】2)抗体−検体親和力定数の抗体−酵素親
和力定数に対する比を増すこと。抗体親和力は、上記2
の点の要求のため、有意に減らしえないことに留意すべ
きである。
【0076】後記実施例2は態様2を説明する。
【0077】態様3 以下の式は態様3を説明する:
【数6】 態様3はA/D応答を得るのに検体−補因子信号系を用
いる。添加検体が結合成分から補因子を追出すと、補因
子は因子と反応して測定可能な信号を生ずる。補因子は
FADまたはNADのような補酵素であることができ、
一方因子は補因子の不在下では触媒活性のないアポ酵素
であることができる。酵素アロステリックエフェクタ
ー、ホルモンおよび他の同様の化合物を包含する他の賦
活分子もこの態様で補因子として使用しうる。前記のよ
うに、補因子と因子の対は、単量体酵素の自己集合性成
分(個々の成分は独立した別の活性を有しない)である
こともできる。それらは結合した時エネルギー転移また
は螢光を生ずる螢光分子で標識された自己集合性分子対
であることもできる。他のこのような補因子−因子対も
この態様で容易に使用しうる。唯一の要件は補因子−因
子の組合せが、組合せが離れている時に不在の信号を生
ずることである。
【0078】態様3に関しては以下の所見を述べうる。
【0079】第一に、切換分解能は最初満たされている
抗体部位と最初空いている抗体部位の比、または抗体と
補因子の比により影響される。これは、この比が切換分
解能に殆んどまたは全く影響しない態様2と対照的であ
る。1/100から1/10への比の低下は切換分解能
(分解能は検体濃度の10%変化あたりの信号の増加倍
数と定義される)を309から225へ低下させ、一方
信号強度(5)を5倍増大させた。比を更に1/2に増
大させても信号強度は感じられるほど増大しなかったが
一方切換分解能に対する影響は甚だ不利であった。本発
明のこの態様を使用する場合、個々の用途のニーズに依
って、信号強度の増大と分解能の増大の間で注意深い選
択をしなければならない。これは補因子濃度が信号を検
出しうる限界でできるだけ低くなければならないことを
示唆する。これはA/D信号系の一般的性質の言い直し
である:信号強度はアナログ−アナログ条件下で観察さ
れるものに比べて低い。この強度の損失により分析の新
しい可能性が得られるのである。
【0080】この信号強度の損失に故に、酵素または他
の触媒のような自己増幅性信号が本発明で特に有用であ
る。例えばもし因子がFAD−検体コンジュゲートで補
因子がグルコースオキシダーゼアポ酵素なら、信号は活
性グルコースオキシダーゼであろう。
【0081】第二に、K1 対K2 の比が増大すると信号
強度は増大する。態様2におけるように、一旦検体が最
初は空いている結合部位を実質的に満たすと、それは結
合成分に対して補因子と競合する。検体が補因子よりも
強い結合成分に対する親和力を有するなら、検体はこの
競合に勝ち、大部分の補因子を追出して信号を生ずる。
【0082】第三に、K2 対K3 の比が低下すると信号
分解能は低下する(雑音が増大する)。これは態様1で
も観察された。K2 対K3 の比は補因子に対する抗体と
酵素の相対的親和力を表わす。A/D信号系はこれら親
和力が実質的に遠く離れていることを必要とする。斯
て、空いている抗体結合部位が存在する限り、抗体は補
因子に対する競合に常に勝つべきである。ホロ酵素は、
検体が補因子を抗体結合部位から追出した時にのみこの
系中に存在すべきである。充分な切換分解能のためには
約1,000より大きい、そしてより好ましくは104
より大きいK2 /K3 比が有利である。この比が大きい
ほどA/D切換の分解能は大きい。
【0083】最後に、態様1および2におけるように、
態様3も結合比が有利には少なくとも約1,000、好
ましくは約1,000より大、より好ましくは少なくと
も約10,000であることを必要とする。この結合比
は最初は空いている結合部位が検体を結合する能力を表
わす。100またはそれより小さい比で試験を行なった
場合、結果はここに開示されたA/D測定の代りに従来
のA/A測定に至る。
【0084】この態様は態様2の酵素結合比に類似の臨
界的特徴を共有する;補因子結合比。この比は結合成分
の補因子に対する親和力定数と補因子の濃度の積として
定義される。この定数は好ましくは約1,000より
大、より好ましくは約10,000より大であるべきで
ある。態様2におけるように、この臨界的比は、補因子
が検体により置換されるまでは結合成分に完全に結合し
ていることを保証する。後記実施例3は態様3を説明す
る。
【0085】態様1では、低エネルギー状態は結合成分
であり、一方信号を生ずる高エネルギー状態は受容体で
ある。低および高エネルギー状態間の検体親和力定数の
差はこれら状態間のエネルギー差を表わす。A/D信号
送りを生ずるには実質的なエネルギー差(分配比)を必
要とする。
【0086】要約すると、この態様ではA/D測定は、 −結合比が約1,000に等しいかまたはそれより大き
い; −K2 対K3 の比が約104 に等しいかまたはそれより
大きい; −抗体が補因子より過剰に存在して或数の最初は空いて
いる結合部位を作り、その濃度が閾値を定める; −補因子結合比(K2 * [補因子])が約1,000、
より好ましくは10,000に等しいかまたはそれより
大きい、 場合に可能である。切換分解能および信号強度は −最初は空いている抗体結合部位対補因子で満たされて
いる部位の比ができるだけ高く、好ましくは9:1の比
に、より好ましくは99:1の比に保たれる; −K1 対K2 の比が1より大、好ましくは10またはそ
れより大である、 場合に増大する。
【0087】要約 従来のアナログ−アナログ測定は検体と信号発生状態と
の相互作用を含む。アナログ−デジタル測定は検体が信
号を生じない低エネルギー状態と信号を発生する高エネ
ルギー状態の間で分配される時はいつでも可能である。
【0088】態様2および3では、低エネルギー状態は
最初は空いている結合部位への検体の結合に相当し、こ
こでは検体は競合を行なわない。高エネルギー状態は既
に信号により占められている部位への検体の結合を含
む。
【0089】本発明を一般的に記載したが、より完全な
理解が以下の特定実施例を参照して得ることができる。
これら実施例は説明の目的のためにのみここに示すもの
であり、限定を意図するものではない。
【0090】
【実施例】例1 一連の試験管に、5mg/mlの卵アルブミンを含有する等
張燐酸塩緩衝液中のジギトキシン抗体を、5×10-8
から5×10-7Mまで次第に増える濃度で添加する。抗
体−ジギトキシン結合定数はあらかじめ4×1013-1
と測定されている。10-8MのNa+ + −ATPアー
ゼF1断片も添加する。各試験管に10-7Mのジギトキ
シンを添加し、次にATPを添加する。ATPアーゼ活
性を検査するに、10-7M以上の抗体を有する試験管中
に見出される。それ以下の抗体濃度の試験管は、ATP
アーゼ活性のジギトキシンによる阻害のため、活性を有
しない。ATPアーゼ活性は任意の便宜な方法を用いて
測定しうる。特に有用な方法は次のような発色カップリ
ング活性を含む。
【0091】
【数7】 例2 メトトレキセート(1mM)を水中で5倍モル過剰の1
−エチレン−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボ
ジイミドと反応させた。pH8.5に調整したアミノカ
プロン酸水溶液を最終濃度50mMまで添加し、そして
反応を室温で一夜進行させた。誘導体化メトトレキセー
トを水中の0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)と80
%メタノール、0.1%TFAの間で行なわれるC18
逆相カラム上でのセミ分取スケールHPLCにより精製
した。精製した薬品を水に溶解し、そして凍結乾燥し
た。化合物を再び水に溶解して過剰のカルボジイミドと
反応させた。1mM HCl中で処理したトリプシン
(TPCK)を反応に添加して4℃で1週間反応させ
た。反応を1mM HCl、100mM NaClに対
して透析し、そして凍結乾燥した。トリプシンの分析は
酵素分子あたり平均3.1のメトトレキセートが凍結し
たことを示した。
【0092】メトトレキセート結合定数1.5×109
-1のマウスモノクローナル抗体を選び、これはトリプ
シン活性を完全に阻害することを示した。抗体阻害トリ
プシン(1×10-6M)を6%セラチン、25mM燐酸
カリウム、pH7.8の緩衝液と混合し、そして3ミル
(インチの千分の1)の湿潤層に流した。この相を6%
ゼラチンおよび3%低分子量デキストラン中の抗体5×
10-6ないし5×10-4Mを含有する湿潤厚さ3ミルの
抗体勾配層で被覆した。膜を乾燥し、0.06インチ幅
のストリップに切断し、そして長方形のプラスチック毛
細管の底に膜とプラスチックの間隔10.6ミルで置い
た。毛細管の頂部はあらかじめトリプシンに対する色素
基質である。N−p−トシル−アルグ−p−ニトロアニ
リドを含有するゼラチン溶液で被覆した。
【0093】血清溶液をトリクロロ酢酸(5%)で処理
して蛋白質を沈澱させ、次に臨床遠心機中で回転させ
る。上澄液を除去し、10mMのK3 PO4 を添加し、
そして溶液をKHCO3 でpH7に調整する。この溶液
を毛細管中に入れると、5分以内に着色バーが現れる。
着色バーの長さはメトトレキセート濃度を示す。着色バ
ーの長さは2時間以上安定であり、そして−20℃で貯
蔵することにより無期限に安定化しうる。この装置を図
7に図式で示す。
【0094】例3 E.coliラクZ遺伝子をClin.Chem.32、1637−16
41頁(1986年)に説明されているように組換えD
NA技術により作って酵素受容体および酵素供与体断片
を生じさせた。ジゴキシンを酵素供与体断片に共有結合
させた。ジゴキシン親和力定数が3×1010-1のマウ
スモノクローナル抗体を得、これは2×109 -1のジ
ゴキシン−酵素供与体コンジュゲートに対する親和力を
有することを示した。コンジュゲートは1.5×104
-1の酵素受容体に対する親和力を有することも示され
た。ゼラチン中の抗体の溶液の次第に増えるアリコート
をマイクロタイター板に加えそしてゆるい空気流下で乾
燥した。抗体濃度(100μ1に水和した時)は35段
階の次第に増える直線濃度において0.1μM比の抗体
部位が満たされるようにコンジュゲートを抗体溶液に添
加した。2μMのクロロフェノールレッド−β−D−ガ
ラクトピラノシドを含有する10μM酵素供与体の溶液
を各ウエルに添加しそして再び乾燥した。
【0095】これらの板は−20℃で1年以上活性を失
うことなく貯蔵しうる。それらは100mMのpH7.
4の燐酸塩緩衝液を含有する濃度が0.082ないし2
31μMのジゴキシンの未知溶液100μlの添加によ
り活性化しうる。6分間培養後に結果を読む。ジゴキシ
ンが存在するウエルでは、閾値より大きい濃度は暗赤色
であり、これに対し最初に空いている抗体結合部位が添
加ジゴキシンより過剰に存在する管では、最初の色のま
まである。この測定はウエルの試料添加用自動ピペット
と組合せたマイクロタイターリーダーによって有利に読
むことができる。
【0096】数学的モデル化 本発明はまた本発明の態様の数学的モデル化法を含む。
このモデル化は、一旦使用する成分の結合定数がわかれ
ば、A/D切換の分解能を実験前に決定しうる点で極め
て有用である。このモデル化は新規測定法の開発におい
てA/D挙動について得なければならない必要な定数を
予言するのに一層有用である。この事前の知識はモノク
ローナル抗体および他の結合成分のスクリーニングに大
きな助けとなる。
【0097】各態様に対する方程式は次の通りである。
【0098】態様11 =〔抗体−検体〕/(〔抗体〕〔検体〕) K2 =〔検体−受容体〕/(〔受容体〕〔検体〕) 抗体合計=〔抗体〕+〔抗体−抗体〕 受容体合計=〔受容体〕+〔受容体−検体〕 検体合計=〔検体〕+〔抗体−検体〕+〔受容体−検
体〕態様 2 K1 =〔抗体−検体〕/(〔抗体〕〔検体〕) K2 =〔検体−信号〕/(〔抗体〕〔信号〕) 抗体合計=〔抗体〕+〔抗体−検体〕+〔抗体−信号〕 検体合計=〔検体〕+〔抗体−検体〕 信号合計=〔信号〕+〔抗体−信号〕態様 3 K1 =〔抗体−検体〕/(〔抗体〕〔検体〕) K2 =〔検体−補因子〕/(〔抗体〕〔補因子〕) K3 =〔補因子−因子〕/(〔補因子〕〔因子〕) 抗体合計=〔抗体〕+〔抗体−検体〕+〔抗体−補因
子〕 検体合計=〔検体〕+〔抗体−検体〕 補因子合計=〔補因子〕+〔抗体−補因子〕+〔補因子
−因子〕 因子合計=〔因子〕+〔補因子−因子〕 これら3つの連立方程式セットのすべてをみるに、それ
らは交さ項を含むことがわかる。これら交さ項は方程式
をいかなる既知の代表的方法によっても解けない連立二
次方程式に変換する。これら方程式の解の殆どは虚数を
必要とする。この代表的解の欠如と極端な数学的複雑さ
はA/D測定の真価を早期に認めることを阻んだことは
疑いない。
【0099】これら方程式の解はコンピュータシミュー
レーション技術の使用により近似的に求めることができ
る。特に有用なのは加州パロアルトのTutsim Products
Inc.から得られるシミュレーションプログラムTutsim
(商標)である。このシミュレーションプログラムはデ
ジタルコンピュータをアナログコンピュータに変換す
る。上記方程式を模擬するアナログフローチャートを、
定数入力ブロックを全成分の濃度および結合定数にセッ
トして作る。計算をアベンドから防ぎそして解答を物理
的に得ることができる限界へ強制るためにこのフローチ
ャートに時定数および限界ブロックを加える。プログラ
ムをスタートさせ、出力を10,000計算ごとにサン
プル抽出する。計算は殆どまたは全く変化のない状態に
落着き、これは平衡に達したことを示す、次に計算され
た濃度を前記方程式に試すことができる。次に1つの因
子の濃度(例えば検体濃度)を変え、計算を再スタート
して次の平行点を得ることができる。態様1−3に合う
TUTSIM(商標)プログラムを図8〜図10に挙げる。
【0100】図8はA/D態様1へのアナログシミュレ
ーションプログラムに相当する。このプログラムは示さ
れた数値における各点を見出すために行なう。conブ
ロックは検体、抗体および受容体の合計濃度および結合
定数にセットする。sumブロックは遊離検体、抗体お
よび受容体の濃度を得るために使用する。検体−抗体お
よび検体−受容体の濃度を計算するためにmulブロッ
クで遊離成分濃度を使用し、次にその出力をsumブロ
ックにフィードバックする。floブロックはこの閉ル
ープ系をアベンドから防ぐ時定数として作用する。li
mブロックは中間濃度を実数の値に限定し、adlブロ
ックはデータを好都合にプリントアウトする。操作プロ
グラムTutsim(商標)はTutsim Products から購入し
た。プログラムは386コンパチブルmathコプロセッサ
チップを備えるDell 310.DOSコンピュータで行なった。
尚図8中の符号の説明を第2表に示す。
【0101】 第2表 図8の符号の説明 1, con ;抗体合計 2, con ;検体合計 3, con ;受容体 4, con ;K1 5, con ;K2 10, sum,1,−13 ;遊離抗体 11, fio,10 ;アナログ遅延 12, mul,11,4,21 ;抗体−検体 13, lim,12 ;抗体−検体を実数解に限定 14, adl,13 ;[検体−抗体] 20, sum2,−13,−33 ;遊離抗体 21, fio,20 ;アナログ遅延 30, sum,3,−33 ;遊離受容体 31, fio,30 ;アナログ遅延 32, mul,21,31,5 ;検体−受容体 33, lim,32 ;検体−受容体を実数解に限定 34, adl,33 ;[検体−受容体] 図9は態様2へのTutsim(商標)解答に相当する。信号
強度を親和力比K1 /K2 の函数として調べる。結果を
図11および図12に示す。これらの図で閾値は9×1
-8Mにセットし、酵素の号計量は10-8Mである。図
11で比1(第3表のケース1)においてK1 およびK
2 は共に1012である。閾値より大きい検体濃度におけ
る信号は利用しうる酵素の約10%しか表わさないこと
に留意すべきである。図12でK1 /K2 比100にお
いてK1 は1014に増大する。信号強度は10倍増大す
る;利用しうる酵素の100%が放出される。第3表の
ケース5および6はK1 /K2 比10は中間量で信号強
度を利用しうる酵素の約40%に増大させることを示
す。尚図9の符号の説明を第4表に示す。
【0102】
【表1】 第4表 図9の符号の説明 1, con ;検体合計 2, con ;抗体合計 3, con ;酵素合計 4, con ;K1 5, con ;K2 10, sum,1,−13 ;遊離検体 11, fio,10 ;アナログ遅延=1000 12, mul,11,4,21 ;抗体−検体 13, lim,12 ;抗体−検体を実数に限定 14, adl,13 ;[抗体−検体] 20, sum,2,−13,−23 ;遊離抗体 21, fio,20 ;アナログ遅延=1000 22, mul,21,5,31 ;抗体−酵素 23, lim,22 ;抗体・酵素を実数に限定 24, adl,23 ;[抗体−酵素] 30, sum,3,−23 ;遊離酵素 31, fio,30 ;アナログ遅延=1000 32, adl,31 ;[酵素] 図10は態様3のためのアナログシミュレーションプロ
グラムに相当する。このプログラムは、floヒストリ
ーブロックの時定数を1,000 から10,000に増したこと以
外は図8の説明に示したように行なった。解答を実数の
値に限定するために追加約lim(限定)ブロックを導
入した。このプログラムはこの態様のあらゆる可能な組
合せにおいて実数の値を生ずることができなかった。し
かし、A/D測定により占められる多次元空間において
優れた結果が得られた。尚図10の符号の説明を第5表
に示す。
【0103】 第5表 図10の符号の説明 1 con :検体合計 2 con :抗体合計 3 con :補因子合計 4 con :酵素合計 5 con :K1 抗体+検体 6 con :K2 抗体+補因子 7 con :K3 酵素+補因子 10 con 1 −14 :検体(×2) 11 fio 10 :アナログ遅延=1000 12 lim 11 :限定[検体]×(2) 13 mul 12 5 22 :抗体−検体(×5) 14 lim 13 :×5を実数に限定 15 adl 14 :[抗体−検体] 20 sum 2 −14 −24 :遊離抗体(×1) 21 fio 20 :アナログ遅延=1000 22 lim 21 :×1を実数に限定 23 mul 22 6 32 :抗体−補因子(×6) 24 lim 23 :×6を実数に限定 25 adl 24 :[抗体−補因子] 30 sum 3 −24 −34 :遊離補因子(×3) 31 fio 30 :アナログ遅延=1000 32 lim 31 :×3を実数に限定 33 mul 32 7 42 :ホロ酵素(×7) 34 lim 33 :×7を実数に限定 35 adl 34 :[ホロ酵素] 40 sum 4 −34 :アポ酵素(×4) 41 fio 40 :アナログ遅延=1000 42 lim 41 :×4を実数に限定 要するに、本発明は溶液中の検体の濃度を決定する新規
で有効な測定法を提供する。この測定法は、結合成分技
術を用いて、検体の濃度を決定するアナログ−デジタル
信号系を利用する。この新規測定法は複雑な機器または
方法無しに迅速で簡単な測定を可能にする。これらの測
定法は手で保持する持運び可能な温度計様の装置により
行ないうる。
【0104】本発明を詳細に記載したが、当業者にはこ
こに述べた本発明の精神および範囲を逸脱することなく
多くの変更および変形がそこになされうることが明らか
であろう。本発明は特許請求の範囲によってのみ限定さ
れうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各添加検体分子が測定可能な信号に変換される
従来のA/A均質測定法を示す説明図である。
【図2】有意な数の最初は空いている結合部位を添加検
体が滴定して検体を溶液から除去し、それが信号発生成
分と反応するのを防ぐA/D測定法を示す説明図であ
る。
【図3】モノクローナル抗体について〔抗体−検体〕を
log〔検体〕に対しプロットした従来法の結合曲線を
示すグラフである。
【図4】本発明の態様2からとったA/D結合曲線を示
すグラフである。
【図5】本発明の態様1において予じめセットされた閾
値に非常に近い領域で信号発生性の検体−受容体を全検
体濃度に対しプロットしたグラフ。
【図6】ランダムおよび限定合成経路を描いた切換分解
能およびコンジュゲート合成を示す説明図である。
【図7】抗体勾配測定装置を示す説明図である。
【図8】A/D態様1へのTutsimアナログシミュレーシ
ョンプログラムを示す説明図である。
【図9】態様2へのTutsim解答を示す説明図である。
【図10】態様3のためのアナログシミュレーションプ
ログラムを示す説明図である。
【図11】K1 /K2 の函数としての信号強度を示すグ
ラフである(K1 /K2 =1の場合)。
【図12】K1 /K2 の函数としての信号強度を示すグ
ラフである(K1 /K2 =100の場合)。

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料の検体濃度が所定の検体閾濃度を超
    える場合に試料中の検体の或濃度での存在を信号送りす
    る測定であって、 上記検体を結合しうる或量の結合成分、および試料の検
    体濃度が上記検体閾濃度を超える場合に信号を発生する
    手段を含み、 上記結合成分は上記検体閾濃度より実質的に小さい検体
    解離定数を有し、上記結合成分は所定量の空いている結
    合部位を有し、この所定量の空いている結合部位は、上
    記閾濃度の検体の存在において上記空いている結合部位
    の実質的に全部が試料中の検体の実質的に全部によって
    満たされるように選ばれ、 上記信号発生手段は検体に対する結合成分の親和力より
    も実質的に小さい検体に対する親和力を有する前記測
    定。
  2. 【請求項2】 上記結合成分が抗体である請求項1の測
    定。
  3. 【請求項3】 結合比が少なくとも約1,000である
    請求項1の測定。
  4. 【請求項4】 結合比が1,000より大きい請求項3
    の測定。
  5. 【請求項5】 結合比が少なくとも約10,000であ
    る請求項4の測定。
  6. 【請求項6】 検体が閾値より大きい濃度である場合に
    信号を発生する手段が検体の存在で活性の変化を受ける
    触媒である受容体を含む請求項1の測定。
  7. 【請求項7】 上記受容体が、検体と結合した場合に触
    媒活性の変化を受ける蛋白質触媒であり、そして上記検
    体が蛋白質触媒の阻害剤、賦活剤、補因子またはエフェ
    クタである請求項6の測定。
  8. 【請求項8】 分配比が少なくとも約10である請求項
    7の測定。
  9. 【請求項9】 分配比が少なくとも約100である請求
    項8の測定。
  10. 【請求項10】 分配比が少なくとも約1,000であ
    る請求項9の測定。
  11. 【請求項11】 上記結合成分が抗体である請求項6の
    測定。
  12. 【請求項12】 結合比が少なくとも約1,000であ
    る請求項6の測定。
  13. 【請求項13】 結合比が約1,000より大きい請求
    項12の測定。
  14. 【請求項14】 結合比が少なくとも約10,000で
    ある請求項13の測定。
  15. 【請求項15】 信号発生手段が上記結合成分の利用で
    きる結合部位の一部を満たし、そして閾濃度より過剰の
    検体が上記結合部位から信号発生手段を置換して信号を
    発生させる請求項1の測定。
  16. 【請求項16】 上記信号発生手段が検体−信号コンジ
    ュゲートを含む請求項15の測定。
  17. 【請求項17】 上記検体−信号コンジュゲートが検体
    −酵素コンジュゲートを含み、上記結合成分と結合した
    場合にコンジュゲートの酵素が阻害される請求項16の
    測定。
  18. 【請求項18】 上記検体−信号コンジュゲートが検体
    −蛍光コンジュゲートを含み、上記結合成分に結合した
    場合にコンジュゲートの蛍光分子が、上記結合成分に結
    合していない場合に対して蛍光挙動に検出可能な変化を
    経る請求項16の測定。
  19. 【請求項19】 上記結合成分が抗体である請求項16
    の測定。
  20. 【請求項20】 コンジュゲート結合定数が少なくとも
    約1,000である請求項16の測定。
  21. 【請求項21】 コンジュゲート結合定数が約1,00
    0より大きい請求項20の測定。
  22. 【請求項22】 コンジュゲート結合定数が約10,0
    00より大きい請求項20の測定。
  23. 【請求項23】 結合成分の検体に対する親和力とコン
    ジュゲートに対する親和力の比が約1よりも大きい請求
    項16の測定。
  24. 【請求項24】 親和力定数比が約10より大きい請求
    項23の測定。
  25. 【請求項25】 信号発生手段が上記結合成分の利用可
    能な結合部位の一部を満たし、 閾濃度より過剰の検体が上記結合成分の結合部位から上
    記信号発生手段を置換し、 上記信号発生手段が上記結合成分と結合していない場合
    に遊離状態の因子と結合して信号発生手段−因子複合体
    を形成することができ、それにより信号を発生し、そし
    て上記因子の信号発生手段に対する親和力が結合成分の
    信号発生手段に対する親和力よりも有意に小さい請求項
    1の測定。
  26. 【請求項26】 上記信号発生手段が検体−補因子コン
    ジュゲートを含む請求項25の測定。
  27. 【請求項27】 コンジュゲート結合定数が少なくとも
    約1,000である請求項26の測定。
  28. 【請求項28】 コンジュゲート結合定数が約1,00
    0よりも大きい請求項27の測定。
  29. 【請求項29】 コンジュゲート結合定数が約10,0
    00よりも大きい請求項27の測定。
  30. 【請求項30】 結合成分の検体に対する親和力とコン
    ジュゲートに対する親和力の比が約1より大きい請求項
    26の測定。
  31. 【請求項31】 親和力定数比が約10より大きい請求
    項30の測定。
  32. 【請求項32】 上記補因子が酵素サブユニット断片を
    含み、そして上記因子が上記酵素の他の断片を含む請求
    項26の測定。
  33. 【請求項33】 上記補因子が蛍光分子を含み、そして
    上記因子が上記補因子の蛍光を変える分子を含む請求項
    26の測定。
  34. 【請求項34】 上記補因子が触媒分子の活性を変えう
    る分子を含み、そして上記因子が補因子の結果として変
    えられた活性を有する触媒分子である請求項26の測
    定。
  35. 【請求項35】 上記因子が補因子の不在下で不活性で
    ある酵素またはアポ酵素であり、そして上記補因子が上
    記酵素またはアポ酵素に活性を媒介する分子である請求
    項34の測定。
  36. 【請求項36】 上記因子が不活性であるが添加補酵素
    と自発的に結合して活性酵素を生じうるアポ酵素であ
    り、そして上記補因子が溶液中で遊離の場合に上記アポ
    酵素と反応しうる補酵素−検体コンジュゲートである請
    求項34の測定。
  37. 【請求項37】 上記結合成分が抗体である請求項26
    の測定。
  38. 【請求項38】 一組の区画を含み、各区画が、 所定量の空いている結合部位を有する結合成分、および
    信号発生手段、を含む、請求項1の測定を行なうための
    装置。
  39. 【請求項39】 各区画が、 上記信号発生手段の少なくとも1つの層、および上記結
    合成分の少なくとも1つの層、を含む請求項38の装
    置。
  40. 【請求項40】 上記結合成分が抗体である請求項38
    の装置。
  41. 【請求項41】 試料中の検体の濃度が所定の検体閾濃
    度を超えるかどうかを決定する測定を行なう方法であっ
    て、 A.測定反応容器に 1.上記検体と結合する或量の結合成分、 ここで上記結合成分は上記検体閾濃度よりも実質的に小
    さい検体解離定数を有し、そして上記結合成分は結合し
    た検体を有しない所定量の結合部位を有し、空いている
    結合部位の量は、上記閾濃度の検体の存在下で、上記空
    いている結合部位の実質的に全部が試料中の上記検体の
    実質的に全部により満たされるように選ばれる、 2.試料の検体濃度が上記検体閾濃度を超えた場合に信
    号を発生する手段、 ここで上記手段は上記検体に対し無視しうる親和力を有
    する、を供給し、そして B.上記測定容器に或量の試料検体を添加する、ことを
    含む前記方法。
  42. 【請求項42】 上記結合成分が抗体である請求項41
    の方法。
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