JPH06346203A - 磁歪の小さい珪素鋼板及びその製造方法及び使用方法 - Google Patents

磁歪の小さい珪素鋼板及びその製造方法及び使用方法

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JPH06346203A
JPH06346203A JP5134769A JP13476993A JPH06346203A JP H06346203 A JPH06346203 A JP H06346203A JP 5134769 A JP5134769 A JP 5134769A JP 13476993 A JP13476993 A JP 13476993A JP H06346203 A JPH06346203 A JP H06346203A
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JP
Japan
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steel sheet
strain
silicon steel
tensor
stress
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Withdrawn
Application number
JP5134769A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Masui
浩昭 増井
Masahito Mizogami
雅人 溝上
Hodaka Honma
穂高 本間
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 方向性電磁鋼板のトランス騒音の原因は鋼板
の磁歪に負う所が大きい。本発明ではこの磁歪の原因を
理論と実験から詰めて、そのメカニズムの解明及び対策
を提供する。 【構成】 鉄の容易磁化軸〔100〕(x),〔01
0〕(y),〔001〕(z)での外力条件による弾性
エネルギーEx,Ey,EzがEx≧Ey,Ezの時に
磁歪が小さくなり、被膜張力、試料への圧縮力等の関係
で磁歪を小さくする最適条件を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は騒音特性に優れた方向性
電磁鋼板及びその製造法及び使用法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】トランス用等の磁気特性に優れた2.0
〜7.5%のSiを含んだ珪素鋼板を製造するに際し
て、絶縁特性の確保と鋼板表面に張力を与えトランスの
性能向上に必要な磁気特性を向上させ、かつ鋼板との密
着性が良好な一次被膜を形成させることは従来技術にお
いては方向性電磁鋼板の一つの重要な課題であった。す
なわち、通常の技術では脱炭を伴う一次再結晶焼鈍後に
鋼板にマグネシアと呼ばれる酸化マグネシウム(Mg
O)の微粉末を水溶させたスラリー状のものを塗り、必
要に応じて乾燥させたあと、二次再結晶焼鈍を兼ねる高
温仕上げ焼鈍工程で焼成させ、鋼板中のSiO2 やSi
との反応でフォルステライト(Mg2 SiO4)と呼ば
れるセラミックス質状の絶縁性の一次被膜を形成させ
る。これが鋼板に張力を与え、磁気特性とりわけ鉄損と
呼ばれるトランスの効率を支配する特性値を向上させる
のに有効である。
【0003】しかも、このフォルステライト形成の状態
が、二次再結晶で鋼板の結晶方位を通称GOSS方位と
呼ばれ、透磁率や磁束密度の向上に不可欠な鋼板長手方
向(圧延方向)に対して、(110)〔100〕の結晶
方位を有するやや粗大な二次再結晶粒を成長させるのに
も重要な役割りを果たしていることもよく知られてい
る。逆に、二次再結晶焼鈍昇温過程中に十分緻密な被膜
が形成されないまま二次再結晶させようとしても、鋼板
内のインヒビターと呼ばれる微細な窒化物や硫化物等が
そのままの状態で、あるいは分解して早く鋼板外に抜け
でてしまう。このため、昇温中にGOSS方位粒を優先
的に成長させ、他の方位粒の成長を抑制させる役目のイ
ンヒビター効果が発揮できず、通称、細粒と呼ばれ、G
OSS方位粒の二次再結晶粒の充分な成長が部分的ある
いは全面的に行われない、極めて磁気特性の劣る鋼板を
生み出すことになる。なお、このMgOの中に酸化チタ
ン(TiO2 等)やその他の化合物を添加させ、さらに
緻密な一次被膜を形成させることも行われる。
【0004】一方、近年アモルファスの登場に見られる
ようにエネルギー節減のため、トランスのエネルギー変
換効率に影響の大きい電磁鋼板の鉄損低減への要求は大
きく、上記の従来技術の延長ではこの要望に応えること
は困難となってきた。従来技術においては上記の方法以
外にも二次再結晶後のいわゆる製品鋼板表面に機械的、
化学的あるいはレーザー等のエネルギー照射的な方法で
溝あるいはなんらかの損傷を意図的に与え、磁区細分化
を行い、鉄損を向上せしめる方法が行われている。とこ
ろが近年鉄損等のエネルギー効率の向上に加えて、騒音
が叫ばれるようになり、この見地からの製品の製造、使
用特性が重要視されてきた。
【0005】上記の鉄損向上技術とりわけ磁区制御法は
必ずしも騒音面を最重要視していないため少なからずこ
の問題に直面せざるを得なくなってきた。方向性珪素鋼
板のトランス組立後の騒音は鋼板の磁歪特性が基本的な
問題とされており、従って、鋼板の磁歪を極力小さくす
ることが重要であることが知られている。ところが、こ
の磁歪の機構が必ずしも明確でなく、その対策も十分行
われているとはいえなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点を解明し、磁歪の小さい方向性電磁鋼板及びその
製造方法、磁歪の小さい方向性電磁鋼板を使用した騒音
の小さいトランスを供給することを目的とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは以下の通りである。 (1)Siを2〜7重量%含む方向性珪素鋼板におい
て、(110)〔100〕組織における〔100〕方向
をx方向、それと直角方向〔010〕方向、〔001〕
方向をそれぞれy,z方向とする時、それぞれ各主軸に
生ずる歪弾性エネルギーEx,Ey,Ezが、Ex≧E
y,Ezであることを特徴とする磁歪の小さい珪素鋼
板。 (2)歪弾性エネルギーを誘起する〔100〕方向の残
留圧縮力が0.3kg/mm2 以下、被膜張力が1.2kg/
mm2 以上であることを特徴とする(1)記載の磁歪の小
さい珪素鋼板。 (3)歪弾性エネルギーを誘起する〔100〕方向の残
留圧縮力が0.3kg/mm2 以下、被膜張力が1.2kg/
mm2 以上であり、鋼板表面の溝又は加工歪による鋼板面
垂直方向の圧縮応力が2kg/mm2 以下であることを特徴
とする(1)記載の磁歪の小さい珪素鋼板。 (4)歪弾性エネルギーの代わりに、歪弾性エネルギー
に磁気弾性エネルギーを加えたものを用いることを特徴
とする(1)記載の磁歪の小さい珪素鋼板。
【0008】(5)Siを2〜7重量%含む方向性珪素
鋼板の製造方法において、(110)〔100〕組織に
おける〔100〕方向をx方向、それと直角方向〔01
0〕方向、〔001〕方向をそれぞれy,z方向とし、
それぞれ各主軸に生ずる歪弾性エネルギーEx,Ey,
Ezを下記〜の方法で求め、かつEx≧Ey,Ez
とすることを特徴とする磁歪の小さい珪素鋼板の製造方
法。 鋼板長手方向X、鋼板厚み方向Y、X及びYと直角
方向をZとし、X,Y,Z方向の応力を求める。 試料軸X−Y−Z軸での応力テンソルσX−Y−Z
を結晶軸x−y−z軸での応力テンソルσx−y−zに
座標変換テンソルTを用いて下記の式により変換する。 σx−y−z=Tt ×σX−Y−Z×T 但し×はテン
ソルのかけ算 弾性歪テンソルεx−y−zを立方晶の弾性歪テン
ソルSを用いて下記式で求める。 εx−y−z=S×σx−y−z 弾性歪エネルギーEを下記式により求める。 E=σx−y−z×εx−y−z
【0009】(6)歪弾性エネルギーを誘起する〔10
0〕方向の残留圧縮力が0.3kg/mm2 以下、被膜張力
が1.2kg/mm2 以上とすることを特徴とする(5)記
載の磁歪の小さい珪素鋼板の製造方法。 (7)歪弾性エネルギーを誘起する〔100〕方向の残
留圧縮力を0.3kg/mm2 以下、被膜張力が1.2kg/
mm2 以上とし、鋼板表面の溝又は加工歪による鋼板面垂
直方向の圧縮応力を2kg/mm2 以下とすることを特徴と
する(5)記載の磁歪の小さい珪素鋼板の製造方法。 (8)歪弾性エネルギーの代わりに、歪弾性エネルギー
に磁気弾性エネルギーを加えたものを用いることを特徴
とする(5)記載の磁歪の小さい珪素鋼板の製造方法。
【0010】(9)Siを2〜7重量%含む方向性珪素
鋼板を所定の大きさに切断しトランスに組み込む使用方
法において、(110)〔100〕組織における〔10
0〕方向をx方向、それと直角方向〔010〕方向、
〔001〕方向をそれぞれy,z方向とし、それぞれ各
主軸に生ずる歪弾性エネルギーEx,Ey,Ezを下記
〜の方法で求め、かつEx≧Ey,Ezとなるよう
にすることを特徴とする磁歪の小さい珪素鋼板の使用方
法。 鋼板長手方向X、鋼板厚み方向Y、X及びYと直角
方向をZとし、X,Y,Z方向の応力を求める。 試料軸X−Y−Z軸での応力テンソルσX−Y−Z
を結晶軸x−y−z軸での応力テンソルσx−y−zに
座標変換テンソルTを用いて下記の式により変換する。 σx−y−z=Tt ×σX−Y−Z×T 但し×はテン
ソルのかけ算 弾性歪テンソルεx−y−zを立方晶の弾性歪テン
ソルSを用いて下記式で求める。 εx−y−z=S×σx−y−z 弾性歪エネルギーEを下記式により求める。 E=σx−y−z×εx−y−z
【0011】(10)歪弾性エネルギーを誘起する〔1
00〕方向の圧縮応力を0.3kg/mm2 以下、とするこ
とを特徴とする(9)記載の磁歪の小さい珪素鋼板の使
用方法。 (11)歪弾性エネルギーの代わりに、歪弾性エネルギ
ーに磁気弾性エネルギーを加えたものを用いることを特
徴とする(9)記載の磁歪の小さい珪素鋼板の使用方
法。
【0012】以下に本発明を詳細に説明する。方向性珪
素鋼板の二次再結晶はGoss方位と呼ばれる{11
0}〈001〉方位の粒を二次再結晶焼鈍(仕上げ焼鈍
とも呼ばれる)時に十分成長させることが肝要である。
これは一次再結晶焼鈍(一次焼鈍または脱炭焼鈍とも呼
ぶ)の中のある特定粒のみを粗大再結晶させるもので、
この時にインヒビター(Inhibitor)と呼ばれ
るAlN等の微細析出物を仕上げ焼鈍前に十分作ってお
くことが技術上必要であることがよく知られている。そ
して、このために必要な窒素を鋼溶製時に添加すること
が行われる。鋼溶製時に十分低炭素化した鋼では脱炭機
能よりも一次焼鈍後の表面層の酸化物層を変えて、被膜
反応に有利な形にすることがむしろ重要な役割となる。
【0013】仕上げ焼鈍前の鋼板にMgOを主体とする
通称MgOパウダーというものをスラリー状に鋼板表面
に塗布し、仕上げ焼鈍工程で被膜生成及び二次再結晶を
行わせしめるのが一つの方法である。通常は上記のMg
2 SiO4 (フォルステライト)からなる被膜(一次被
膜)の上に最終的にリン酸、クロム酸等からなる張力の
あるかつ絶縁性の被膜(二次被膜)を塗布することが行
われる。
【0014】このようにしてGOSS方位の揃った母材
に十分高い張力と絶縁性を有する被膜を表面に付与され
た方向性珪素鋼板が製造可能である。しかしながら、実
際にこのようにほぼ完璧に作り込まれた鋼板でもトラン
スに組み込まれて使用すると、程度の差はあっても、騒
音が生じることが知られている。これは鋼板の磁歪特性
がトランス組む込みされる過程で、あるいは本来的に鋼
板の固有の磁歪が大きかったことにより、この磁歪が大
きくなったものと一般的には考えられる。もちろん、ト
ランス組立そのものによる騒音の発生もある。たとえ
ば、締め込み方法や、音のシールド不備等である。しか
しながら、トランスメーカーはそれぞれノーハウを有し
ており、一般的には磁歪以外の要因はそれなりに手を打
っている。
【0015】本発明はこの磁歪が種々の応力条件で変化
してくることに着目し、従って、その間に普遍的な法則
があるのではないかという点に注目した。その結果、G
OSSのx方向(〔100〕方向、鋼板長手方向)の容
易磁化軸への歪弾性エネルギーExと直角方向(y方向
=〔010〕、z方向〔001〕)のEy,Ezとの比
が磁歪発生に支配的であることを知見した。この理由は
次のように考えられる。磁歪の発生原因は90°磁壁の
移動であり、180°磁壁は関与しないことが知られて
いる。90°磁壁の生成はEy,EzとExとの大きさ
の関係であることが本発明で明らかとなった。具体的に
はEy,Ez>Exを満たす場合90°磁壁の生成ひい
ては磁歪が活発になることがわかった。
【0016】図1は本発明の計算で方向性珪素鋼板の製
品試料の長手(GOSS)方向に引張力、圧縮力を与え
た場合のEy,Ez,Exの比較をしたものである。一
方、図2はそれぞれでの、磁歪の大きさを調べたもので
あるが両者は良く対応している。つまり、圧縮力が働く
場合はEy,Ez>Exとなり、この時は、磁歪は大き
い。一方、引張力の働く時やフリー(外力なし)の場合
はEy,Ez≦Exとなるが、この時は磁歪は大変小さ
い。図3に計算を導入するための結晶方位関係を図示し
てある。
【0017】計算方法は次の通りである。 (1)鋼板長手方向X、鋼板厚み方向Y、X及びYと直
角方向をZとし、X,Y,Z方向の応力を求める。 (2)試料軸X−Y−Z軸での応力テンソルσX−Y−
Zを結晶軸x−y−z軸での応力テンソルσx−y−z
に座標変換テンソルTを用いて下記の式により変換す
る。 σx−y−z=Tt ×σX−Y−Z×T 但し×はテン
ソルのかけ算 (3)弾性歪テンソルεx−y−zを立方晶の弾性歪テ
ンソルSを用いて下記式で求める。 εx−y−z=S×σx−y−z (4)弾性歪エネルギーEを下記式により求める。 E=σx−y−z×εx−y−z
【0018】この計算方法により、いかなる外力条件で
も計算が可能であり、被膜張力、磁区制御のための鋼板
への溝(Groove)によるz方向(板面垂直方向)
の応力の影響も計算可能である。これらの応力は、上記
のσX−Y−Zにテンソル表示を入れて計算される。そ
して、結晶軸x−y−zの応力及び歪が求まり最終的に
結晶軸の歪エネルギーが求まる。さらには、試料への引
張力、圧縮力とこれらの応力の組み合わせについても計
算が可能である。さらには、GOSS方位のずれ角(α
=板面内回転、β=板厚方向のもぐり角、γ=GOSS
長手方向(〔100〕方向))の軸のまわりの回転角)
を有する場合のそれらの外力の交絡も導かれる。
【0019】従って、この計算手法を使うことによっ
て、磁歪の発生条件が計算可能であるため、方向性珪素
鋼板の使用特性から見た騒音制御に極めて有用であるこ
とがわかった。材料を製造する側から見た場合にもGO
SS方位の集積度(磁束密度B8 に効いてくる)、被膜
張力の大きさ、鋼板残留圧縮応力(製造工程中の最終工
程のフラットニング焼鈍工程で主に発生)の許容限界等
がわかり、工業的にも有用である。図4はいわゆるプレ
イン材と称する磁区制御を行わない製品での被膜張力と
試料長手方向の外力条件(圧縮、引張、フリー)とEx
とEy,Ezの関係を示している。
【0020】一方、図5はこの条件下での磁歪のデータ
である。外力とEx,Ey,Ez、外力と磁歪のそれぞ
れに良い相関が認められる。この結果からも推測される
ように鋼板に試料長手方向の外力なし、つまりフリーの
状態においてはEy,Ez≦Exの領域が多く、磁歪が
発生しにくいことがわかる。一方、圧縮力ではこの条件
を満たすことは容易ではないが、たとえば−0.3kg/
mm2 の圧縮下においては被膜張力1.2kg/mm2 以上で
あれば、Ey,Ez≦Exとなり、磁歪は発生しにくい
ことが明らかとなった。このことは電磁鋼板の製造工程
の最終のフラットニング工程で鋼板に−0.3kg/mm2
より小さい圧縮力でかつ、被膜張力を1.2kg/mm2
上与えれば製品の磁歪は少なくとも製造段階では未然に
防げることを意味している。当然ながらトランス組立時
にこの条件を守るべく適正加工(特に圧縮を抑える)こ
とが望ましい。
【0021】さらに磁区制御と称し鋼板表面に溝をつけ
たり、レーザー等のエネルギー照射を行うことで鋼板板
面に垂直な方向(いわゆるZ方向)に応力を与えると、
Ey,Ez,Exの関係は大きく変化してくる。図6は
Z方向に1kg/mm2 の応力を与えた場合であるが、E
y,Ezが上昇し、Exが下降するためにEy,Ez≦
Exの領域が狭くなり、磁歪が発生しやすいことがわか
る。図7はZ方向に3kg/mm2 の応力を与えた場合であ
るが、Ey,Ezがさらに上昇し、Exがさらに下降す
るためもはや引張力や外力フリーでも被膜張力のこの程
度の範囲ではEy,Ez>Exは変えられず磁歪の発生
は避け難い。
【0022】次に結晶方位の集積度との関係を述べる必
要がある。一般に方向性珪素鋼板のB8 (800A/m
の磁界をかけた時の磁束密度、単位テスラ)はこの方位
集積度と関係していることが知られている。ところでこ
の方位集積度はGOSS方位の二次再結晶((110)
〔100〕)が前述のα,β回転と直接関係しており、
つまり磁歪へのB8 の影響は、このα,β回転とEy,
Ez,Exの大小関係をみれば良いことがわかる。図8
はα,β,γ回転角とそれらの関係を試料長手方向への
外力下で計算したものである。これから解るようにγ回
転は〔100〕方位からのずれはないのでB8 も変わら
ないが、一方、Ey,Ez,Exの変化もない。それに
対して、α,β回転ではEy,Ezは回転とともに大き
くなり、Exは逆に小さくなる。つまり、傾向的には磁
歪が発生しやすい方向にあることがわかる。
【0023】しかしながらこの例のように単純に試料方
向の外力下での方位差のみでは、あまり大きな変化があ
るとはいえない。次に述べるように被膜張力等の組み合
わせでは差も大きくなることが明らかとなっており、従
って従来から言われている方位集積度と磁歪との関係も
本発明の中で明らかにされたことになる。図9は試料長
手方向の外力はない状態で被膜張力のみを与えた場合の
α,β,γ回転角とEy,Ez,Exとの関係を示して
いる。α回転(面内回転)で影響がないのは当然だが、
β回転で、Ey,Ezの上昇が見られ、Exの減少が見
られ、一般的にもβ回転による磁歪への影響と呼応して
いる。γ回転ではEyとEzとが挙動が異なるが、幾何
学的に考えて異っているのが、当然と考えられる。
【0024】なお磁歪に関してなぜ弾性エネルギーがこ
のように影響が大きいかに触れる必要がある。一般的に
過去の研究によれば、磁歪、すなわち90°磁壁の生成
を支配する要因は磁気弾性エネルギーEa=−(3/
2)λ100 σγi (ここでγiは応力σの〔100〕
(i=1),〔010〕(i=2),〔001〕(i=
3)容易磁化軸への方向余弦、λ100 は容易磁化軸〈1
00〉の磁化による伸び歪を表す)と純粋に応力による
容易磁化軸〈100〉への歪弾性エネルギーの和(Co
mbined Energyとする)に支配されると考
えられる。しかしながらいちいちCombined E
nergy(Ex′(〔100〕,Ey′(〔01
0〕),Ez′(〔001〕))を計算することは工業
的には煩雑である。図10はこれらのエネルギーの関係
を図1と比較して示した。
【0025】図10で明らかのように弾性エネルギーは
相対的に磁気弾性エネルギーより大きく、弾性エネルギ
ーEx,Ey,Ezの関係はCombined Ene
rgy Ex′,Ey′,Ez′の関係と対応してお
り、ExとEy,Ezとの大小関係はCombined
Energy Ex′とEy′,Ez′との大小関係
とほぼ類似している。つまり、磁歪の程度を表す90°
磁壁の生成しやすさを本発明の簡便な弾性エネルギーで
比較することの工業的意義が認められる。但し、磁歪を
小さくする応力条件を上記Combined Ener
gy Ex′,Ey′,Ez′の大小で規定すること
は、本発明の主旨に反するものでない。
【0026】たとえばα,β,γ角を変えて、種々の被
膜張力、圧縮応力・引張応力、及び溝方向(Z方向)残
留応力の条件下での弾性(歪)エネルギーと磁気弾性エ
ネルギーを本法で求めると、表1のようになる。Com
bined Energyはこの両者の和となる。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】これを使って、試料の多軸組み合わせや応
力として、試料長手方向応力と、横方向の応力を種々変
えて90°磁壁の発生条件、すなわち、磁歪の発生条件
を求めると図11の中で、Combined Ener
gy差ΔE′=EX ′−EY′(EZ ′)≦0の部分と
なる。
【0030】このように実トランスを考慮した実用上の
応用にも本法は使える。
【0031】ここで磁気弾性エネルギーの求め方は応力
成分から前記の(1),(2)までの方法で計算し、
〔100〕,〔010〕,〔001〕主軸への応力を求
め、これに−(3/2)λ100 を乗じる方法である。λ
100 は〈100〉方向に磁化した時の伸び歪で珪素鋼板
では通常は23×10-6程度の値である。
【0032】さて、ここで珪素鋼板の製造方法を述べ
る。前述のように本発明が可能な珪素鋼板はSiを主と
して含有する。Siは2%未満では鉄損が劣化するが、
一方、7%超では硬くなりすぎて冷間加工に耐えられな
い。一般にAlを含有し、Si3 4 以外にAlN、ま
た鋼中のSが多い場合はMnSを主要インヒビターとす
る鋼がよく使われるが、本発明はSi以外は鋼成分を特
に限定するものではない。もちろん、Si,Al以外
に、P,S,Mn,Sn,Cu,Se,Sb,B,N
b,Ti,V,Cr,Ni,Bi等の他の添加元素を付
加的に添加させ、磁気特性の向上をはかることは本発明
の基本を変えるものではない。
【0033】以下主要元素の適正範囲を述べる。Siは
本発明においては上記のようにフォルステライト形成及
び低鉄損化のために最低2.0%は必要である。一方、
5%を超えると二次再結晶で十分なGOSS方位の再結
晶粒の確保がむずかしいので好ましくは5%以下が良
い。AlはAlNインヒビター形成に有効であり、鋼溶
製時に酸可溶Alで最低0.010%は必要である。し
かし本発明では酸可溶Al量で0.05%を超えると適
量のAlNが生成されないばかりか、Al2 3 生成量
も多くなり鋼の清浄度を損ない、かつ磁気特性に悪影響
をもたらす。
【0034】NはSi3 4 及びAlNのインヒビター
を形成するのに不可欠であり、本発明においては、鋼溶
製時に最低0.0030%は必要である。一方、0.0
150%を超えるとAlやSiを食いすぎて二次再結晶
に好ましくない。Sはこれを積極的に利用する場合は鋼
溶製時に最低0.008%はMnSをインヒビターとし
て有効に使うのに必要である。一方0.06%超ではM
nSが凝集して好ましくはない。二次再結晶前になんら
かの方法で侵硫する方法でも同様の効果が期待できる。
Mnも、インヒビターにMnSを利用する場合は、Mn
S生成に必要で鋼溶製時に最低0.03%は確保すべき
である。しかし0.20%を超えるとかえってMnSは
できにくい。
【0035】Cは熱延でのγ量確保及び適度の熱間変形
抵抗を得るために必要で鋼溶製時に最低0.001%は
本発明の磁気特性確保に必要である。0.12%を超え
ると、一次再結晶焼鈍時に好ましい集合組織が得にく
い。二次再結晶の安定化のためには好ましくは0.03
〜0.10%が良い。Pも0.15%以下であれば磁束
密度向上に好ましい働きがある。Sn及びCuは本発明
ではPと共存する時に鉄損低減に極めて有効である。そ
の一種以上の合計が0.02%未満ではその効果は認め
られず、一方0.50%超では一次被膜が十分できず、
好ましくはない。
【0036】次に化学成分以外の本発明の製造方法につ
いて述べる。鋼を転炉または電気炉等で出鋼し、必要に
応じて精錬工程を加えて成分調整を行った溶鋼を連続鋳
造法、造塊分塊圧延法あるいは熱延工程省略のための薄
スラブ連続鋳造法等により、厚さ30〜400mm(薄ス
ラブ連続鋳造法では50mm以下)のスラブとする。ここ
で30mmは生産性の下限であり、400mmは中心偏析で
Al2 3 等の分布が異常になることを防ぐための上限
である。また50mmは冷速が小さくなって粗大粒が出て
くることを抑制するための上限である。
【0037】該スラブをガス加熱、電気利用加熱等によ
り1000℃以上で再加熱を行い、引き続き熱間圧延を
行って厚さ10mm以下のホットコイルとする。ここで1
000℃はAlN溶解の下限である。MnSを利用する
時は1250℃以上が好ましい。1400℃超では表面
肌があれが出やすい。また10mmは適正な析出物を生成
する冷速を得る上限である。なお、薄スラブ連続鋳造法
では直接コイル状にすることも可能であり、そのために
は10mm以下が好ましい。このように作ったホットコイ
ルを再び800〜1250℃で焼鈍し、しかる後に水
冷、空冷その他、あるいはそれらの組み合わせで適宜磁
性向上をはかることもしばしば行われる。ここで800
℃はAlN再溶解の下限であり、1250℃はAlN粗
粒化防止の上限である。
【0038】かかる処理工程の後、ホットコイルを直接
またはバッチ的に酸洗後冷間圧延を行う。冷間圧延は圧
下率60〜95%で行うが、60%は本発明で再結晶可
能な限界であり、好ましくは70%以上が一次焼鈍で
{111}〔112〕方位粒を多くして、二次再結晶焼
鈍時のGOSS方位粒の生成を促進させる下限であり、
一方95%超では二次再結晶焼鈍で首振りGOSS粒と
称するGOSS方位粒が板面内回転した磁気特性に好ま
しくない結晶粒が生成される。以上はいわゆる一回冷延
法で製造する場合だが、なお、二回冷延法と称して冷延
−焼鈍−冷延を行う場合は、一回目の圧下率は10〜8
0%、二回目の圧下率は50〜95%となる。ここで1
0%は再結晶に必要な最低圧下率、80%と95%はそ
れぞれ二次再結晶時に適正なGOSS方位粒を生成させ
るための上限圧下率、また50%は二回冷延法において
は一次焼鈍時の{111}〔112〕方位粒を適正に残
す下限圧下率である。
【0039】なお、通称パス間エージングと称し、冷間
圧延の途中で鋼板を適当な方法で100〜400℃の範
囲で加熱することも磁気特性の向上に有効である。10
0℃未満ではエージングの効果がなく、一方、400℃
超では転位が回復してしまう。一回冷延法でも二回冷延
法でも一次再結晶焼鈍を行うわけであるが、この焼鈍で
脱炭を行うことは有効である。前述のようにCは二次再
結晶粒の成長に好ましくはないばかりか、不純物として
残ると鉄損の劣化を招く。なお、鋼の溶製時にCを下げ
ておくと脱炭工程が短縮化されるばかりが{111}
〔112〕方位粒も増やすので好ましい。なお、この脱
炭焼鈍を兼ねる一次再結晶焼鈍工程で適正な露点を設定
することで後の一次被膜生成に必要な酸化層の確保が行
われる。一次再結晶焼鈍温度は700〜950℃が好ま
しい。ここで700℃は再結晶可能な下限温度であり、
950℃は一次再結晶の粗大粒の発生を抑制する上限温
度である。
【0040】さらに本発明で重要な点は脱炭を兼ねる一
次再結晶焼鈍での酸化量が酸素量(〔O〕量)で25〜
1200ppm で、かつFeO/SiO2 が0.50以下
が好ましい。〔O〕が25ppm 未満では一次被膜生成に
必要な最低の酸素量が確保できず、一方〔O〕が120
0ppm 超では必然的に酸化膜中のSiO2 量、FeO量
が多くなり、酸化膜の厚みも増すため、高温仕上げ焼鈍
中でのグラス被膜分解反応を行うに際し不利となる。好
ましくは〔O〕量で400〜800ppm である。一方F
eO/SiO2 は0.50%以下が好ましいが、これは
0.50超では高温仕上げ焼鈍前半のグラス被膜形成反
応性が極端に増し、前半でのフォルステライト形成量が
増大するため、後のフォルステライトの分解反応工程で
十分に反応が進行しない。
【0041】さらに一次焼鈍後にアンモニアガス等を使
って、鋼板に窒化することも必要により行われる。これ
でAlNを鋼中に富化させ、後の二次再結晶でより方位
集積度の高い鋼板が製造可能となり、磁歪にも好ましい
からである。一次再結晶焼鈍後、酸化マグネシウム(M
gOを主成分とする。以下MgOと呼ぶ)パウダーを水
または水を主成分とする水溶液に溶かしスラリー状にし
て鋼板に塗布する。この際、後の二次際結晶焼鈍時にM
gOパウダーの溶融を容易にさせ、フォルステライト生
成反応を促進させる目的で、適当な化合物を微量添加す
ることも行われる。TiO2 を添加する場合は1〜15
%が好ましいが、ここで1%はフォルステライト反応促
進効果を発揮する下限であり、15%超ではMgOが少
なくなってかえってフォルステライト反応が進まない。
【0042】Sb2 (SO4 3 等のアンチモン系の化
合物はMgOを比較的低温で溶融させるのに効果があ
り、添加を行う場合は0.05〜5%が好ましい。ここ
で、0.05%は上記低温溶融を起こす下限であり、一
方、5%を超える場合は多すぎてMgOのフォルステラ
イトの本来の反応を不活性化する。Na2 4 7 等の
ボロン系の化合物及びそれと同様の作用を持つストロン
チウム・バリウム系、炭・窒化物系の化合物は、アンチ
モン系よりは比較的高温でMgOを溶融させるのに効果
があり、添加する場合は0.05〜5%が好ましい。こ
こで、0.05%は上記の効果を発揮する下限であり、
一方5%超ではやはりMgOのフォルステライトの本来
の反応を不活性化するので好ましくない。
【0043】なおこれらの化合物は互いに複合して添加
することも可能である。ただし、アンチモン系の低温溶
融型とボロン系の高温溶融型の化合物を混ぜて使用する
時は、その効果は高温溶融型に近いことになるが、本発
明の主旨と矛盾するものではなく、その場合は本発明の
高温溶融型の昇温速度をとることが好ましい。
【0044】なお、ここで添加する化合物の%はMgO
の重量を100%とした時の重量比を%で示してある。
またMgOの水和水分も重要であり、本発明では0.5
〜5%に制約される。0.5%未満ではマグネシアの反
応性が劣化し、一方、5%超では鋼板間の露点が高くな
って昇温時前段で追加酸化を生じ表面に酸化膜のむらを
生じて均一な一次被膜を得ることができない。フォルス
テライトの生成はMgOと鋼板中の表面濃化したSiが
反応し、 2MgO+SiO2 →Mg2 SiO4 の反応を起こしたものと一般的に考えられている。
【0045】ところで珪素鋼板の製造工程とこれらの鋼
板の性質とはどのようにコントロールできるのであるの
か、という点について検討してみた。上述のように一次
被膜の形成過程と珪素鋼板の諸性質との因果関係が明確
になれば、当然被膜張力の改善のため工業的にそれを製
造に反映させることができることになる。Sb系の化合
物をMgOに微量添加した場合、MgOの溶融は比較的
低温で行われるので、たとえば二次再結晶焼鈍の昇温速
度を比較的小さくした方がより早くフォルステライトの
生成を促進させ、優れた一次被膜を生成させ易いことに
なる。なおアンチモン(Sb)系の化合物とは当実験で
用いたSb2 (SO4 3のみならずSbを含む他の化
合物を含む。一方、同じ低融点化合物でもボロン(B)
系の化合物をMgOに微量添加した場合は、MgOの溶
融はSb系の化合物よりも比較的高温で行われるので、
たとえば二次再結晶焼鈍の昇温速度を比較的大きくした
方がより早くフォルステライトの生成を促進させる。な
お、ボロン(B)系はNa系のみならずNaの代わりに
Ca,Mg等を含む化合物やほう酸(H3 BO3 )やほ
う酸ソーダも含まれる。
【0046】さらに、アンチモン系よりも高融点系とい
う点でストロンチウム・バリウム系、炭・窒化物系、硫
化物系、塩化物系もボロン系と同等の作用が認められ
る。これらの化合物を総称して非アンチモン系と呼ぶこ
とにする。このように二次再結晶焼鈍の昇温速度はとり
わけ本発明では重要である。すなわち、MgO中に添加
する化合物の種類によって昇温速度を変化させることが
必要である。アンチモン系の化合物をMgOに添加する
場合は、800℃〜最高到達温度の平均昇温速度は毎時
0.1〜80℃の比較的小さいことが必要である。ここ
で0.1℃/時は工業的昇温速度の下限であり、一方前
述のようにMgOがアンチモン系の化合物の添加では低
温で溶融するため、より早く確実にフォルステライトの
生成を行っておく必要があり、それには昇温速度は80
℃/時以下にしておく必要がある。一方、ボロン系、ス
トロンチウム・バリウム系、炭・窒化物系及び塩化物系
では上記平均昇温速度は毎時5〜400℃が好ましい。
すなわち、高温溶融型の化合物の添加ではMgOの溶融
を比較的高温で起こすため、早く高温に到達するため5
℃/時以上の昇温速度が必要であり、一方、400℃/
時超では二次再結晶そのものがインヒビターとの関係で
十分行われない。なお、TiO2 等の酸化物を添加させ
高温反応を容易にすることが行われるが、本発明の上記
の添加物の効果はその酸化物の添加量に関係なく発揮さ
れるので、本発明においてはMgOにTiO2 等の酸化
物が添加されても、これをプレインと称してベース材の
一部とみなしている。
【0047】なお、近年アモルファス並みの低鉄損の材
料が珪素鋼板でも要求される場合があるが、この場合や
あるいは特別の用途、たとえば硬い被膜を有するがため
の珪素鋼板切断時の工具寿命の低減を要求される場合
に、鋼板のいわゆる一次被膜と呼ばれるフォルステライ
トの量を極力少なくするか、あるいはなくす方法がとら
れることがある。これらの材料はその目的上磁区制御し
て使用されることが多い。このような鋼板には従来法で
は通常、二次被膜と呼ばれる張力性の絶縁コーティング
や、さらに高張力のコーティングであるゾルゲル法やイ
オンプレーティング、化学蒸着法等が施される場合が多
いが、このような場合にも本発明の方法は極めて有効で
ある。
【0048】このように珪素鋼板の特性にとりわけ本発
明では磁歪の改善に重要な支配要因となる一次被膜は本
発明により、その組成分布の解明及びそれと相関を有す
る製造方法との組み合わせにより、ある程度自由にコン
トロールすることが可能となった。二次再結晶を兼ねる
仕上げ焼鈍は最高到達温度を1100〜1300℃で行
うのが好ましい。1100℃は二次再結晶が行われる下
限の温度であり、一方1300℃超は結晶粒が粗大化し
すぎて鉄損の劣化を招く。この二次再結晶焼鈍で重要な
点は以下の通りである。
【0049】本発明ではMgOパウダーへ特殊添加物の
効果でフォルステライトを主成分とする一次被膜が極端
に少なくなるか、なくなるので、焼鈍中に二次再結晶に
必要な窒素系のインヒビター(AlN,Si3 4 等)
も仕上げ焼鈍中に逃げ易い傾向にあるが、一方、MnS
をインヒビターとして積極的に使用する場合はMnSの
インヒビターの機能も重要であり、この時は仕上げ焼鈍
の雰囲気ガス中の窒素分圧(P N2 )を40%以下とす
ることで、鋼中へのNの侵入を防ぐことが必要で、これ
により安定した二次再結晶を得ることが可能である。も
し800℃〜最高到達温度の温度範囲でNが多く侵入す
るとAlNが多すぎ、MnSのような適度の強さのイン
ヒビターと異なり、二次再結晶焼鈍での健全なGOSS
方位の結晶粒の成長が期待できない。
【0050】しかしながらMnSを積極的に使用せず、
AlNにインヒビター機能を依存する場合はむしろ、仕
上げ焼鈍中の800〜1050℃のN2 分圧を上げた方
が好ましいことが多く、20%以上にする。なお、70
0℃未満ではNの侵入は行われず、最高到達温度超では
二次再結晶等が完了してしまう。さらに好ましくは水素
雰囲気でこの焼鈍を行えば、極めて優れたGOSS方位
の二次再結晶が得られることも本発明の成果である。
【0051】さて、本発明では二次再結晶を終了したあ
と、ヒートフラットニング焼鈍や絶縁被膜を塗布する前
後のいわゆる製品板に鋼板表面に最大部の深さの平均が
50μm以下の溝または加工歪を鋼板の圧延長手方向か
ら45°〜90°の方向に、機械的、化学的、光学的、
熱的、電気的その他のエネルギー照射的な方法で間隔を
開けて規則的な配列で付与せしめることが重要である。
これはこの溝によって製品の磁区細分化がより細かくす
ることが可能で鉄損低減に寄与するからである。
【0052】この溝の付与の仕方は溝付きロール、溝付
きまたは刃型プレス等の機械的方法、レーザー、プラズ
マ等のエネルギー照射方法、水、油等を高圧で吹き付け
る方法、酸等による化学的腐食、電気的腐食による方
法、あるいはそれらを組み合わせ方法等基本的に手段は
どれでも良い。溝の形成方法は前述の通りであるが、溝
の最大部の平均の深さが50μm超では深すぎて磁束の
円滑な流れを妨げてかえって鉄損も悪くなる。好ましく
は30μm以下が良い。溝は規則的に配列されている方
が良い。これは磁区細分化が規則的に行われるからであ
る。通常鋼板長手方向に対し45°から直角までの角度
を有するほぼ一定のピッチで刻まれることが好ましい。
45°未満では磁区細分化の方向が磁性に好ましい結晶
学的方位と合わないからである。また、溝のピッチは2
〜20mmが好ましい。2mm未満では磁区細分化が進みす
ぎて90°磁区が増え、鉄損も磁歪も悪い。一方、20
mm超では磁区細分化の効果が出ない。
【0053】なお、以上が本発明の珪素鋼板の製造方法
での重要な部分であるが、工業的にはさらに絶縁特性や
磁気特性を向上させる目的で、二次再結晶後の鋼板に有
機質や無機質による絶縁被膜を有する高張力被膜(コー
ターロール法やゾルゲル法)を熱処理等と組み合わせて
塗布したり、ゾルゲル法等で塗布することがとりわけ重
要である。とりわけフォルステライト等の高張力特性を
有する一次被膜が極端に少ないか、ない場合はそれを補
完するべく高張力特性を有する絶縁被膜を塗布すること
が効果的である。
【0054】さて、本発明で重要な点は上記の製造法以
外に磁歪の発生条件と種々の応力条件との関係である。
その基本的な考えを述べる必要がある。まずその基本骨
子は以下の通りである。 (1)Siを2〜7%(重量%)を含む方向性珪素鋼板
の製造において、通称GOSS方位と呼ばれる(11
0)〔100〕の〔100〕方向(鋼板長手方向)をx
とし、直角の〔010〕,〔001〕方向をそれぞれ
y,z方向とする時、各主軸に生ずる歪弾性エネルギー
をそれぞれEx,Ey,Ezとする時、Ex≧Ey,E
zを満たすようにする磁歪の小さい珪素鋼板を製造する
方法。
【0055】(2)上記(1)の方向性珪素鋼板の使用
に当たって、通称GOSS方位と呼ばれる(110)
〔100〕の〔100〕方向(鋼板長手方向)をxと
し、直角の〔010〕,〔001〕方向をそれぞれy,
z方向とする時、各主軸に生ずる歪弾性エネルギーをそ
れぞれEx,Ey,Ezとする時、Ex≧Ey,Ezを
満たすようにし、磁歪を小さくして上記(1)の珪素鋼
板を使用する方法。
【0056】上記(1),(2)においてEx,Ey,
Ezを計算するのに以下の手法を使用すること。 1)鋼板長手方向X、鋼板厚み方向Y、X及びYと直角
方向をZとし、X,Y,Z方向の応力を求める。 2)試料軸X−Y−Z軸での応力テンソルσX−Y−Z
を結晶軸x−y−z軸での応力テンソルσx−y−zに
座標変換テンソルTを用いて下記の式により変換する。 σx−y−z=Tt ×σX−Y−Z×T 但し×はテン
ソルのかけ算 3)弾性歪テンソルεx−y−zを立方晶の弾性歪テン
ソルSを用いて下記式で求める。 εx−y−z=S×σx−y−z 4)弾性歪エネルギーEを下記式により求める。 E=σx−y−z×εx−y−z ここで実際に計算した式の一例を表2に示す。
【0057】
【表3】
【0058】まずここで言えることはExとEy,Ez
との関係で、なぜ90°磁壁が生じやすいかと言う点で
ある。磁歪は一般的には磁気異方性との関係で生じると
言われている。しかしながら、鉄のように容易磁化軸が
x〔100〕,y〔010〕,z〔001〕方位を向
き、かつGOSS製品板のように自発磁化がx方向に向
いている場合、180°磁区でも90°磁区でも異方性
エネルギーは小さく、この場合は結晶内部に外力がある
と、その応力の各磁区x〔100〕,y〔010〕,z
〔001〕への弾性エネルギーEx,Ey,Ezの相対
関係が180°磁区、90°磁区の生成を促すことが予
測される。
【0059】本発明ではEx<Ey,Ezの時に、90
°磁区(90°磁壁)の生成が行われることを明らかに
した。これは直感的にも分かりやすく直角なY,Zの磁
区のエネルギーがXの磁区のそれよりも大きいと90°
磁区が生成しやすくなることを示している。ところで結
晶体での弾性エネルギー計算は上記の方法が好ましく、
実際はX方向への外力(試料主軸方向の圧縮引張力)、
被膜張力、溝による板面垂直方向応力等を上記の計算式
に入れて計算を行う。図1,4,6,7,8,9はこう
して求めたものである。
【0060】その結果さらに下記の方法が確立できた。 (3)鋼板長手方向(GOSS方位(110)〔10
0〕の〔100〕またはそれに近い方向)への残留圧縮
力を0.3kg/mm2 以下とし、かつ、被膜張力を1.2
kg/mm2 以上とする磁歪を小さくする方法。 (4)磁区制御の目的のために鋼板板面に溝または加工
歪を付与させる場合、鋼板板面垂直方向の残留応力を2
kg/mm2 以下とし、かつ、鋼板長手方向(GOSS方位
(110)〔100〕の〔100〕に近い方向)への圧
縮力を0.2kg/mm2 以下とし、なおかつ鋼板の被膜張
力を1.2kg/mm2 以上とする磁歪を小さくする方法。
ここで被膜張力とはフォルステライトを主体とするいわ
ゆる一次被膜及びさらに塗布される絶縁性のコーティン
グの両方を指している。
【0061】まず鋼板長手方向(GOSS方位(11
0)〔100〕の〔100〕に近い方向)への圧縮力が
Ex<Ey,Ezに最も影響することが、計算上でも判
る。特に圧縮力が0.3kg/mm2 超ではその影響は大き
く、被膜張力をことさら大きくしなければこの影響は維
持されるが、一方、0.3kg/mm2 以下においては、被
膜張力が1.2kg/mm2 以上あれば、磁歪の発生は少な
く抑えられることが明らかとなった。ここで圧縮力は残
留応力でも実荷重下の応力でも良い。同様に鋼板板面に
溝を付与させる場合、鋼板板面垂直方向の残留応力は2
kg/mm2 以下であり、かつ、鋼板長手方向(GOSS方
位(110)〔100〕の〔100〕に近い方向)への
圧縮力が0.2kg/mm2 以下であり、なおかつ鋼板の被
膜張力を1.2kg/mm2 以上とすることにより、磁歪発
生を少なくできることが明らかとなった。
【0062】なお、本発明で重要なことは仮に圧縮力が
0.3kg/mm2 以下において、被膜張力が1.2kg/mm
2 以上であっても、上記のEx<Ey,Ezであれば磁
歪の発生は少なく抑えることができないことが明らかと
なった点である。同様に、鋼板板面に溝を付与させる場
合、鋼板板面垂直方向の残留応力を2kg/mm2 以下、か
つ、鋼板長手方向(GOSS方位(110)〔100〕
の〔100〕に近い方向)への圧縮力を0.2kg/mm2
以下とし、なおかつ鋼板の被膜張力を1.2kg/mm2
上としても、上記のEx<Ey,Ezであれば磁歪の発
生は少なく抑えることができないことが明らかとなっ
た。
【0063】なお、通常溝を付与し、鋼板板面垂直方向
の残留応力を発生させる場合は磁区制御材では行われる
ので、この制約は磁区制御材に適用されることが多い。
鋼板板面垂直方向(Z方向)の残留応力を2kg/mm2
では、図7に示すように鋼板長手方向(GOSS方位
(110)〔100〕の〔100〕に近い方向)にかか
る外力が圧縮力であればなおさら磁歪の発生は防ぎ難
い。被膜張力を極端に大きくすれば可能性はでてくる
が、現実的にその手段がない。従って現時点では磁区制
御材は磁区制御後に、焼鈍等で板面垂直方向の残留応力
を軽減させ、かつ、鋼板長手方向(GOSS方位(11
0)〔100〕の〔100〕に近い方向)への圧縮力が
0.2kg/mm2 以下となるようにし、かつ、被膜張力を
1.2kg/mm2以上とすることが好ましい。トランス組
立後の後処理でもこの方向で行われることが、磁歪ひい
ては騒音抑制にも好ましい。
【0064】
【実施例】表3の化学成分を有する鋼を表2の製造方法
で方向性電磁鋼板を製造した。なお、ここで脱炭(一
次)焼鈍のFeO/SiO2 は0.10〜0.50にあ
り、また酸素量は400〜1000ppm の範囲にあっ
た。一方C−1〜C−3以外は冷間圧延中に250℃の
パス間エージングを施した。一次焼鈍後この鋼板にパウ
ダーを塗布したが、パウダーは水に溶解させスラリー状
にして塗布後、350℃で乾燥させた。MgOの水和水
分は1〜3%とした。表で、%はMgOの重量を100
%とした時の重量比率である。しかる後に、700℃〜
最高到達温度の平均昇温速度をA−7、A−8は3℃/
時間、F−3〜F−5は100℃/時間、他は15℃/
時間で二次再結晶焼鈍を行った。さらにフラットニング
処理を施した。この際一部を除きリン酸系の高張力の絶
縁被膜(二次被膜)を加熱塗布した。一部磁区制御を施
した。ここで、鋼符号A−7,B−3,B−4及びF−
1〜F−4はAlを含む酸化物を使用したゾルゲル法で
絶縁被膜コーティングを施し、特にF−4,F−5はフ
ォルステライトの一次被膜を作らずに、F−4は直接ゾ
ルゲル法で、二次被膜のみを行ったものである。また、
G−1〜G−7はフォルステライトを極めて少なく生成
させるかまたはなくし、これにリン酸系の張力被膜(G
−1,G−2)、ゾルゲル法(G−3〜6)及びCVD
法(G−7)を施した。
【0065】B8 、鉄損の測定はエプスタイン法を使用
した。B8 (800A/m)の磁束密度、単位はテスラ
及びW17/50 (50Hzで1.7テスラの時の鉄損、単位
はワット/kg)、これの磁歪特性を試料長手方向(GO
SSの〔100〕方位またはそれに近い方向)への外力
(圧縮力等)、被膜張力、また、磁区制御を行った場合
は溝による板面垂直方向(Z方向)応力を測定して磁歪
との関係を求め、一方トランス組立後の磁歪も試料長手
方向(GOSSの〔100〕方位またはそれに近い方
向)への外力(圧縮力等)との関係で求めた。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】
【表9】
【0072】表3で明らかなようにプレイン材において
は試料長手方向(GOSSの〔100〕方位またはそれ
に近い方向)への圧縮力が0.3kg/mm2 より小さい場
合は、被膜張力が1.2kg/mm2 以上であれば、Ex≧
Ey,Ezを満たす場合は磁歪は軽微である。またG−
6のようにEx<Ey,Ezの場合は、磁歪は不良であ
る。
【0073】また磁区制御を行った場合は、溝による板
面垂直方向(Z方向)残留応力が2kg/mm2 以下で、試
料長手方向(GOSSの〔100〕方位またはそれに近
い方向)への圧縮力が0.2kg/mm2 より小さい場合
は、被膜張力が1.2kg/mm2以上で、かつ、Ex≧E
y,Ezを満たす場合であれば、磁歪は軽微である。C
−4のようにEx<Ey,Ezの場合は磁歪は不良であ
る。これは鋼板製造工程にとどまらず、トランス組立時
にも適用できる。なお、化学成分が本発明らから外れた
D−1,2、E−1,2においてはこの限りではない。
【0074】
【発明の効果】本発明により、磁歪の小さい方向性電磁
鋼板及び騒音の小さいトランスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板の応力とEx,Ey,Ezの関係を示す図
表である。
【図2】鋼板の応力と磁歪の関係を示す図表である。
【図3】試料軸(X−Y−Z)及び結晶軸(x−y−
z)を示す説明図である。
【図4】被膜張力とEx,Ey,Ezの関係を示す図表
である。
【図5】被膜張力と鋼板の応力と磁歪の関係を示す図表
である。
【図6】被膜張力と鋼板の応力とEx,Ey,Ezの関
係を示す図表である(鋼板面に垂直方向の応力=1kg/
mm2 )。
【図7】被膜張力と鋼板の応力とEx,Ey,Ezの関
係を示す図表である(鋼板面に垂直方向の応力=3kg/
mm2 )。
【図8】ずれ角度(α,β,γ)とEx,Ey,Ezの
関係を示す図表である(鋼板長手方向への応力有り)。
【図9】ずれ角度(α,β,γ)とEx,Ey,Ezの
関係を示す図表である(被膜張力有り)。
【図10】鋼板の応力と、弾性歪エネルギーと磁気弾性
エネルギーとEx,Ey,Ez,Ex′,Ey′,E
z′の関係を示す図表である。
【図11】鋼板への応力とΔE′と磁歪発生の有無を表
す図表である。
【手続補正書】
【提出日】平成6年7月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは以下の通りである。 (1)Siを2〜7重量%含む方向性珪素鋼板におい
て、(110)〔100〕組織における〔100〕方向
(鋼板長手方向)をx方向、それと直角方向〔010〕
方向、〔001〕方向をそれぞれy,z方向とする時、
それぞれ各主軸に生ずる歪弾性エネルギーEx,Ey,
Ezが、Ex≧Ey,Ezであることを特徴とする磁歪
の小さい珪素鋼板。 (2)歪弾性エネルギーを誘起する〔100〕方向の残
留圧縮力が0.3kg/mm2 以下、被膜張力が1.2kg/
mm2 以上であることを特徴とする(1)記載の磁歪の小
さい珪素鋼板。 (3)歪弾性エネルギーを誘起する〔100〕方向の残
留圧縮力が0.2kg/mm2 以下、被膜張力が1.2kg/
mm2 以上であり、鋼板表面の溝又は加工歪による鋼板面
垂直方向の応力が2kg/mm2 以下であることを特徴とす
る(1)記載の磁歪の小さい珪素鋼板。 (4)歪弾性エネルギーの代わりに、歪弾性エネルギー
に磁気弾性エネルギーを加えたものを用いることを特徴
とする(1)記載の磁歪の小さい珪素鋼板。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】(5)Siを2〜7重量%含む方向性珪素
鋼板の製造方法において、(110)〔100〕組織に
おける〔100〕方向(鋼板長手方向)をx方向、それ
と直角方向〔010〕方向、〔001〕方向をそれぞれ
y,z方向とし、それぞれ各主軸に生ずる歪弾性エネル
ギーEx,Ey,Ezを下記〜の方法で求め、かつ
Ex≧Ey,Ezとすることを特徴とする磁歪の小さい
珪素鋼板の製造方法。 鋼板長手方向X、鋼板方向Y、X及びYと直角方
向をZとし、X,Y,Z方向の応力を求める。 試料軸X−Y−Z軸での応力テンソルσX−Y−Z
を結晶軸x−y−z軸での応力テンソルσx−y−zに
座標変換テンソルTを用いて下記の式により変換する。 σx−y−z=Tt ×σX−Y−Z×T 但し×はテン
ソルのかけ算 弾性歪テンソルεx−y−zを立方晶の弾性歪テン
ソルSを用いて下記式で求める。 εx−y−z=S×σx−y−z 弾性歪エネルギーEを下記式により求める。 E=σx−y−z×εx−y−z
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】(6)歪弾性エネルギーを誘起する〔10
0〕方向の残留圧縮力が0.3kg/mm2 以下、被膜張力
が1.2kg/mm2 以上とすることを特徴とする(5)記
載の磁歪の小さい珪素鋼板の製造方法。 (7)歪弾性エネルギーを誘起する〔100〕方向の残
留圧縮力を0.2kg/mm2 以下、被膜張力が1.2kg/
mm2 以上とし、鋼板表面の溝又は加工歪による鋼板面垂
直方向の応力を2kg/mm2 以下とすることを特徴とする
(5)記載の磁歪の小さい珪素鋼板の製造方法。 (8)歪弾性エネルギーの代わりに、歪弾性エネルギー
に磁気弾性エネルギーを加えたものを用いることを特徴
とする(5)記載の磁歪の小さい珪素鋼板の製造方法。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】(9)Siを2〜7重量%含む方向性珪素
鋼板を所定の大きさに切断しトランスに組み込む使用方
法において、(110)〔100〕組織における〔10
0〕方向(鋼板長手方向)をx方向、それと直角方向
〔010〕方向、〔001〕方向をそれぞれy,z方向
とし、それぞれ各主軸に生ずる歪弾性エネルギーEx,
Ey,Ezを下記〜の方法で求め、かつEx≧E
y,Ezとなるようにすることを特徴とする磁歪の小さ
い珪素鋼板の使用方法。 鋼板長手方向X、鋼板方向Y、X及びYと直角方
向をZとし、X,Y,Z方向の応力を求める。 試料軸X−Y−Z軸での応力テンソルσX−Y−Z
を結晶軸x−y−z軸での応力テンソルσx−y−zに
座標変換テンソルTを用いて下記の式により変換する。 σx−y−z=Tt ×σX−Y−Z×T 但し×はテン
ソルのかけ算 弾性歪テンソルεx−y−zを立方晶の弾性歪テン
ソルSを用いて下記式で求める。 εx−y−z=S×σx−y−z 弾性歪エネルギーEを下記式により求める。 E=σx−y−z×εx−y−z
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】本発明はこの磁歪が種々の応力条件で変化
してくることに着目し、従って、その間に普遍的な法則
があるのではないかという点に注目した。その結果、G
OSSのx方向(〔100〕方向、鋼板長手方向)の容
易磁化軸(磁化容易軸ともいう)への歪弾性エネルギー
(弾性歪エネルギー又は弾性(歪)エネルギーともい
う)Exと直角方向(y方向=〔010〕、z方向〔0
01〕)のEy,Ezとの比が磁歪発生に支配的である
ことを知見した。この理由は次のように考えられる。磁
歪の発生原因は90°磁壁の移動であり、180°磁壁
は関与しないことが知られている。90°磁壁の生成は
Ey,EzとExとの大きさの関係であることが本発明
で明らかとなった。具体的にはEy,Ez>Exを満た
す場合90°磁壁の生成ひいては磁歪が活発になること
がわかった。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】図1は本発明の計算で方向性珪素鋼板の製
品試料の長手(GOSS)方向に引張力、圧縮力を与え
た場合のEy,Ez,Exの比較をしたものである。一
方、図2はそれぞれでの、磁歪の大きさを調べたもので
あるが両者は良く対応している。つまり、圧縮力が働く
場合はEy,Ez>Exとなり、この時は、磁歪は大き
い。一方、引張力の働く時やフリー(外力なし)の場合
はEy,Ez≦Exとなるが、この時は磁歪は大変小さ
い。図3に計算を導入するための結晶方位関係を図示し
てある。なお、GOSS方位の場合は、x方向(〔10
0〕方向)はX方向(鋼板長手方向)と完全に一致する
が、若干のずれを伴うこともある。この場合も本発明の
主構成部分はなんら影響されない。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】計算方法は次の通りである。 (1)鋼板長手方向X、鋼板方向Y、X及びYと直角
方向をZとし、X,Y,Z方向の応力を求める。 (2)試料軸X−Y−Z軸での応力テンソルσX−Y−
Zを結晶軸x−y−z軸での応力テンソルσx−y−z
に座標変換テンソルTを用いて下記の式により変換す
る。 σx−y−z=Tt ×σX−Y−Z×T 但し×はテン
ソルのかけ算 (3)弾性歪テンソルεx−y−zを立方晶の弾性歪テ
ンソルSを用いて下記式で求める。 εx−y−z=S×σx−y−z (4)弾性歪エネルギーEを下記式により求める。 E=σx−y−z×εx−y−z
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】この計算方法により、いかなる外力条件で
も計算が可能であり、被膜張力、磁区制御のための鋼板
への溝(Groove)による方向(板面垂直方向)
の応力の影響も計算可能である。これらの応力は、上記
のσX−Y−Zにテンソル表示を入れて計算される。そ
して、結晶軸x−y−zの応力及び歪が求まり最終的に
結晶軸の歪エネルギーが求まる。さらには、試料への引
張力、圧縮力とこれらの応力の組み合わせについても計
算が可能である。さらには、GOSS方位のずれ角(α
=板面内回転、β=板厚方向のもぐり角、γ=GOSS
長手方向(〔100〕方向))の軸のまわりの回転角)
を有する場合のそれらの外力の交絡も導かれる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】なお磁歪に関してなぜ弾性エネルギーがこ
のように影響が大きいかに触れる必要がある。一般的に
過去の研究によれば、磁歪、すなわち90°磁壁の生成
を支配する要因は磁気弾性エネルギーEa=−(3/
2)λ100 σγi 2 (ここでγi は応力σの〔100〕
(i=1),〔010〕(i=2),〔001〕(i=
3)容易磁化軸への方向余弦、λ100 は容易磁化軸〈1
00〉の磁化による伸び歪を表す)と純粋に応力による
容易磁化軸〈100〉への歪弾性エネルギーの和(Co
mbined Energyとする)に支配されると考
えられる。しかしながらいちいちCombined E
nergy(Ex′(〔100〕,Ey′(〔01
0〕),Ez′(〔001〕))を計算することは工業
的には煩雑である。図10はこれらのエネルギーの関係
を図1と比較して示した。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】上記(1),(2)においてEx,Ey,
Ezを計算するのに以下の手法を使用すること。 1)鋼板長手方向X、鋼板方向Y、X及びYと直角方
向をZとし、X,Y,Z方向の応力を求める。 2)試料軸X−Y−Z軸での応力テンソルσX−Y−Z
を結晶軸x−y−z軸での応力テンソルσx−y−zに
座標変換テンソルTを用いて下記の式により変換する。 σx−y−z=Tt ×σX−Y−Z×T 但し×はテン
ソルのかけ算 3)弾性歪テンソルεx−y−zを立方晶の弾性歪テン
ソルSを用いて下記式で求める。 εx−y−z=S×σx−y−z 4)弾性歪エネルギーEを下記式により求める。 E=σx−y−z×εx−y−z ここで実際に計算した式の一例を表2に示す。
【手続補正16】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Siを2〜7重量%含む方向性珪素鋼板
    において、(110)〔100〕組織における〔10
    0〕方向をx方向、それと直角方向〔010〕方向、
    〔001〕方向をそれぞれy,z方向とする時、それぞ
    れ各主軸に生ずる歪弾性エネルギーEx,Ey,Ez
    が、Ex≧Ey,Ezであることを特徴とする磁歪の小
    さい珪素鋼板。
  2. 【請求項2】 歪弾性エネルギーを誘起する〔100〕
    方向の残留圧縮力が0.3kg/mm2 以下、被膜張力が
    1.2kg/mm2 以上であることを特徴とする請求項1記
    載の磁歪の小さい珪素鋼板。
  3. 【請求項3】 歪弾性エネルギーを誘起する〔100〕
    方向の残留圧縮力が0.3kg/mm2 以下、被膜張力が
    1.2kg/mm2 以上であり、鋼板表面の溝又は加工歪に
    よる鋼板面垂直方向の圧縮応力が2kg/mm2 以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の磁歪の小さい珪素鋼
    板。
  4. 【請求項4】 歪弾性エネルギーの代わりに、歪弾性エ
    ネルギーに磁気弾性エネルギーを加えたものを用いるこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁歪の小さい珪素鋼板。
  5. 【請求項5】 Siを2〜7重量%含む方向性珪素鋼板
    の製造方法において、(110)〔100〕組織におけ
    る〔100〕方向をx方向、それと直角方向〔010〕
    方向、〔001〕方向をそれぞれy,z方向とし、それ
    ぞれ各主軸に生ずる歪弾性エネルギーEx,Ey,Ez
    を下記〜の方法で求め、かつEx≧Ey,Ezとす
    ることを特徴とする磁歪の小さい珪素鋼板の製造方法。 鋼板長手方向X、鋼板厚み方向Y、X及びYと直角
    方向をZとし、X,Y,Z方向の応力を求める。 試料軸X−Y−Z軸での応力テンソルσX−Y−Z
    を結晶軸x−y−z軸での応力テンソルσx−y−zに
    座標変換テンソルTを用いて下記の式により変換する。 σx−y−z=Tt ×σX−Y−Z×T 但し×はテン
    ソルのかけ算 弾性歪テンソルεx−y−zを立方晶の弾性歪テン
    ソルSを用いて下記式で求める。 εx−y−z=S×σx−y−z 弾性歪エネルギーEを下記式により求める。 E=σx−y−z×εx−y−z
  6. 【請求項6】 歪弾性エネルギーを誘起する〔100〕
    方向の残留圧縮力が0.3kg/mm2 以下、被膜張力が
    1.2kg/mm2 以上とすることを特徴とする請求項5記
    載の磁歪の小さい珪素鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 歪弾性エネルギーを誘起する〔100〕
    方向の残留圧縮力を0.3kg/mm2 以下、被膜張力が
    1.2kg/mm2 以上とし、鋼板表面の溝又は加工歪によ
    る鋼板面垂直方向の圧縮応力を2kg/mm2 以下とするこ
    とを特徴とする請求項5記載の磁歪の小さい珪素鋼板の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 歪弾性エネルギーの代わりに、歪弾性エ
    ネルギーに磁気弾性エネルギーを加えたものを用いるこ
    とを特徴とする請求項5記載の磁歪の小さい珪素鋼板の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 Siを2〜7重量%含む方向性珪素鋼板
    を所定の大きさに切断しトランスに組み込む使用方法に
    おいて、(110)〔100〕組織における〔100〕
    方向をx方向、それと直角方向〔010〕方向、〔00
    1〕方向をそれぞれy,z方向とし、それぞれ各主軸に
    生ずる歪弾性エネルギーEx,Ey,Ezを下記〜
    の方法で求め、かつEx≧Ey,Ezとなるようにする
    ことを特徴とする磁歪の小さい珪素鋼板の使用方法。 鋼板長手方向X、鋼板厚み方向Y、X及びYと直角
    方向をZとし、X,Y,Z方向の応力を求める。 試料軸X−Y−Z軸での応力テンソルσX−Y−Z
    を結晶軸x−y−z軸での応力テンソルσx−y−zに
    座標変換テンソルTを用いて下記の式により変換する。 σx−y−z=Tt ×σX−Y−Z×T 但し×はテン
    ソルのかけ算 弾性歪テンソルεx−y−zを立方晶の弾性歪テン
    ソルSを用いて下記式で求める。 εx−y−z=S×σx−y−z 弾性歪エネルギーEを下記式により求める。 E=σx−y−z×εx−y−z
  10. 【請求項10】 歪弾性エネルギーを誘起する〔10
    0〕方向の圧縮応力を0.3kg/mm2 以下、とすること
    を特徴とする請求項9記載の磁歪の小さい珪素鋼板の使
    用方法。
  11. 【請求項11】 歪弾性エネルギーの代わりに、歪弾性
    エネルギーに磁気弾性エネルギーを加えたものを用いる
    ことを特徴とする請求項9記載の磁歪の小さい珪素鋼板
    の使用方法。
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