JPH06346173A - Ti−Al系金属間化合物基合金 - Google Patents

Ti−Al系金属間化合物基合金

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JPH06346173A
JPH06346173A JP16501593A JP16501593A JPH06346173A JP H06346173 A JPH06346173 A JP H06346173A JP 16501593 A JP16501593 A JP 16501593A JP 16501593 A JP16501593 A JP 16501593A JP H06346173 A JPH06346173 A JP H06346173A
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alloy
phase
concentration
atomic
strength
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JP16501593A
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Toshimitsu Tetsui
利光 鉄井
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度で延性に富み、また耐酸化性も優れて
いるTi−Al系金属間化合物基合金に関する。 【構成】 Al濃度:44〜48原子%、Cr濃度:
1〜5原子%、Nb濃度:4〜10原子%を含有し、残
部がTiからなり、主構成相がγ相、α2 相及びβ相の
3相であるTi−Al系金属間化合物基合金(第1合
金)及びAl濃度:44〜48原子%、Cr濃度:1
〜5原子%、Nb濃度:4〜10原子%、Ta濃度:1
〜3原子%を含有し、残部がTiからなり、主構成相が
γ相、α2 相及びβ相の3相であるTi−Al系金属間
化合物基合金(第2合金)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高比強度耐熱構造部材
(航空機用エンジン、発電用ガスタービン、自動車用エ
ンジン、高速回転体、等)に用いるに適したTi−Al
系金属間化合物基合金に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のごとく、Ti-Al 2元系において
は、Ti3 Al、TiAl及びTiAl3 の3つの金属
間化合物相が存在することが知られているが、このうち
のTiAl相はγ相と呼ばれ、正方晶のL10 型の結晶
構造を有している。このγ相は従来のTi合金と比べる
と軽量、高比強度であり、約700℃程度までは耐酸化
性も良好であるとの好ましい特性を有しているため、航
空機用エンジンなどの高温環境化での高強度が要求され
る部位に適用できるのではないかと期待されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以下の
問題があり、これまで工業製品としての実用化はなされ
ていなかった。 (1)延性が乏しく、室温では引張り変形量1%以下で
破壊する。 (2)耐酸化性が700℃以上になると急激に劣化し、
航空機用エンジン等の現用材であるNi基耐熱合金(例
えば、インコネル713C)と較べると、酸化増量値で
約10倍と劣る。 (3)常温〜高温域における強度が現用材より劣る。技
術文献での一例を示すと、リップシット(Lippsitt) ら
著の冶金学学会誌(Metallugical Transactions)第6A
号(1975年)1991頁によると、γ単相合金の引
張り強度は室温で45kgf/mm2 、800℃で36kgf/mm
2 である。一方、インコネル713Cの引張り強度は米
国 International Nickel 社の技術資料によると、室温
で86kgf/mm2 、760℃で96kgf/mm2 、870℃で
74kgf/mm2 であることより、比強度(強度を材料の密
度で除した値)換算してもγ単相合金の強度は、特に高
温域においてインコネル713Cより劣るといえる。な
お、各材料の密度はγ単相合金3.8g/cm3 、インコ
ネル713C 7.9g/cm3 である。
【0004】近年、第3元素を添加するとともに、Al
濃度を制御することにより、組織を制御して上記問題の
改善を計る試みがいくつか提案されている。例えば、特
開平1−298127号公報にはAl:33.7重量
%、Cr:1.5重量%、原子%に換算するとAl:4
7.5原子%、Cr:1.1原子%、(残部はTi)を
含有する合金が開示されている。この合金はTiAl相
(以下、γ相と称す)及びTi3 Al相(以下、α2
と称す)の2相組織であり、同公報の実施例において
は、室温引張り強度40.4kgf/mm2 、同伸び1.9%
であることが、また800℃の引張り強度41.6kgf/
mm2 、同伸び3.2%であることが開示されている。す
なわち、第3元素としてCrを1.1原子%添加し、A
l濃度を47.5原子%として、組織をγ+α2 の2相
組織とすることにより、常温延性が改善したとされてい
る。しかしながら、強度はほとんど改善されておらず、
γ単相合金とほぼ同等である。
【0005】また、同公報にはAl:32.5重量%、
Nb:14.7重量%、原子%に換算するとAl:4
8.9原子%、Nb:6.4原子%、(残部はTi)を
含有する合金が開示されている。この合金も同様にγ相
とα2 相の2相組織であり、同公報の実施例において
は、室温引張り強度38.9kgf/mm2 、同伸び2.5%
であることが、また800℃の引張り強度40.0kgf/
mm2 、同伸び4.1%であることが開示されている。す
なわち、第3元素としてNbを6.4原子%添加し、A
l濃度を48.9原子%として、組織をγ+α2 の2相
組織とすることにより、常温延性が改善したとされてい
る。しかしながら、Cr添加合金と同様に強度はほとん
ど改善されておらず、γ単相合金とほぼ同等である。
【0006】他の試みとして、特公昭59−581号公
報にはAl:33.7重量%、Ag:10.0重量%、
原子%に換算するとAl:49.6原子%、Ag:3.
7原子%、(残部はTi)を含有する合金が開示されて
いる。また、特公昭62−215号公報にはAl:3
3.3重量%、Mn:2.1重量%、原子%に換算する
とAl:47.1原子%、Mn:1.4原子%、(残部
はTi)を含有する合金が開示されている。更に、米国
特許第4,294,615号明細書にはAl:34.8
重量%、V:3.4重量%、原子%に換算するとAl:
48.7原子%、V:2.5原子%、(残部はTi)を
含有する合金が開示されている。これらの合金は、いず
れも常温延性はある程度改善されているものの、強度は
逆に低下し、γ単相合金よりもさらに低くなっている。
【0007】以上示した5種類の第3元素を添加したT
i−Al系合金の耐酸化性は次の通りである。 (1)Ag、Mn、Vを各々添加した合金・・・・・γ
単相合金より劣る。 (2)Crを添加した合金・・・・γ単相合金とほぼ同
等である。 (3)Nbを添加した合金・・・・γ単相合金より優れ
ているインコネル713Cよりは劣る。 要約すると、先に示したγ単相合金の問題点を改善すべ
く、第3元素を添加するとともにAlの濃度を制御し、
組織をγ+α2 の2相組織にする試みがこれまで種々な
されてきたが、いずれも不十分であると言える。すなわ
ち、常温延性はある程度改善されたものの強度はほとん
ど改善されていない。また、耐酸化性はNb添加合金を
除き改善されていない。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、従来技術の合金と同様の常温延性をもち、強度、
耐酸化性で従来技術を凌駕するTi−Al系金属間化合
物基合金を提供することを目的とする。
【0009】
【問題を解決するための手段】本発明者は上述のような
観点から、種々の添加元素を含有するTi−Al系合金
において、組成、組織と機械的特性及び耐酸化性等の関
係を研究した結果、以下の(a)〜(e)に示す知見を
得るに至った。
【0010】(a) Ti-Al2元系においてAl濃度:4
2〜52原子%(残部はTi)の範囲の合金の機械的特
性を調査したところ、Al濃度:50原子%未満の合金
の特性が優れていることが分かった。また、この理由と
して、組成の変化に伴なう次の材料因子の変化が関与し
ていることが分かった。 Al濃度:50原子%以上では構成相はγ単相であ
り、粗大な等軸組織となる。一方、Al濃度:50原子
%未満では構成相はγ+α2 の2相であり、微細なラメ
ラー組織となる。また、Al濃度の減少に伴ないα2
の割合は増加する。すなわち、Ti-Al 2元系では材料因
子的には構成相がγ+α2 の2相で、ラメラー組織とな
ることによって機械的特性は改善することが分かった。
また、Al濃度:50原子%未満の合金についてはAl
濃度と機械的特性には次の関係があることが分かった。 延性:Al濃度:46〜48原子%付近が最も優れ
ており、更にAl濃度が減少すると低下する。 硬さ:Al濃度が減少するほど上昇する。 先に述べたようにAl濃度が減少すると、第2相である
α2 相の割合が増加するが、この結果よりα2 相は延性
向上のためにはある程度必要であるが、多量に存在しす
ぎると逆に延性に悪影響を及ぼすことが分かった。また
一般に、延性がある材料では硬さと強度は相関関係(硬
さが高いほど強度は高い)があるため、Ti−Al系合
金においても延性が得られれば、α2 相は多いほど強度
の向上に有効であることが分かった。なお、 Ti-Al2元
系合金において機械的特性が優れている合金、すなわ
ち、Al濃度46〜48原子%(残部はTi)を含有す
る合金を以下(a)の合金と称す。
【0011】(b)第3元素としてNbを添加したTi
−Al系合金において、Al濃度:44〜50原子%、
Nb濃度:2〜14原子%、(残部はTi)の合金の特
性を調査したところ、次のことが明らかになった。 Nbは主にTiと置換し、(Ti、Al)Alで表
記される合金系を形成する。この結果、組織、機械的性
質はTi-Al 2元系合金と類似のものになる。すなわち、
Al濃度:50原子%以上より50原子%未満の合金の
方が機械的特性が優れている。延性はAl濃度:46〜
48原子%程度の合金が最も優れており、さらにAl濃
度が減少すると低下する。また、硬さはAl濃度が減少
するほど上昇する。これらの現象はTi-Al 2元系合金と
同様に第2相であるα2 相の割合に起因するものと考え
られる。 Nb添加量については添加量が多くなるほど強度
(特に、高温域の)は向上するが延性は逆に低下する。
また、14原子%程度以上になると第3相であるσ相の
割合が増加するが、このσ相は脆いため、延性、強度と
も急激に低下する。 耐酸化性はNb濃度:10原子%程度の合金が最も
優れており、Ti-Al 2元系合金と較べると酸化増量値で
言って1/10程度になる。 すなわち、第3元素としてNbを添加したTi-Al 2元系
合金において、機械的特性、耐酸化性が優れている合金
はAl濃度:46〜48原子%、Nb濃度6〜10原子
%程度を含有する合金である。なお、この合金を以下
(b)の合金と称す。
【0012】(c)第3元素としてCrを添加したTi
−Al系合金において、Al濃度:42〜52原子%、
Cr濃度:1〜7原子%、(残部はTi)の合金の特性
を調査したところ、次のことが明らかになった。
(a)、(b)と同様にAl濃度:50原子%未満の合
金の機械的特性が優れている。更に詳細に言うと、 (Cr添加量が1原子%の場合)Ti-Al 2元系合金と比
較した場合、Al濃度:46〜48原子%の合金は延性
は向上するが強度は向上しない。一方、Al濃度:44
原子%以下の合金は強度、延性ともに低下する。これは
Ti-Al 2元系合金と同様にAl濃度の減少に伴ない、α
2 相の割合が増加し過ぎたためと考えられる。 (Cr添加量が2〜5原子%の場合)Al濃度:44〜
48原子%の合金は常温では延性、強度ともTi-Al 2元
系合金を上回る。この合金の主構成相はγ相、α2 相及
びβ相(bcc構造)の3相であり、Al濃度の減少に
伴い第2相であるα2 相及びβ相の割合は増加する。機
械的特性が向上した理由としては、材料因子的にはbc
c構造であり変形性に富むβ相が生成することにより延
性が向上したことが考えられる。また、Al濃度の減少
に伴いα2 相の割合が増加したため、強度が向上したこ
とが考えられる。なお、β相はTi-Al 2元系で見られた
α2 相増加に伴う延性低下を補い、α2相が本来もって
いる強度を発揮させる働きをもつことが分かった。但
し、上記合金は800℃程度以上の高温域では強度は急
激に低下する。これはβ相の高温強度が低いためと考え
られる。 (Cr添加量が7原子%の場合)Al濃度にかかわらず
強度は低下する。これはCr添加量の増加に伴いγ相、
α2 相に比べると低強度であるβ相の割合が増加するた
めと考えられる。
【0013】また、この合金の耐酸化性は次の通りであ
る。 (Cr添加量が1原子%の場合)Ti-Al2元系合金と大
差ない。 (Cr添加量が2原子%の場合)Ti-Al2元系合金より
は優れているが、(b)の合金と比べると劣る。 すなわち、第3元素としてCrを添加したTi−Al系
合金において、機械的特性、耐酸化性が優れている合金
はAl濃度:44〜48原子%、Cr濃度:2〜5原子
%(残部はTi)を含有する合金である。なお、この合
金は以下(c)の合金と称す。
【0014】(d)CrとNbを添加したTi−Al系
合金において、Al濃度:42〜52原子%、Cr濃
度:0〜9原子%、Nb濃度:0〜14原子%、(残部
はTi)の合金の特性を調査したところ、特性が優れて
いる組成範囲はAl濃度:44〜48原子%、Cr濃
度:1〜5原子%、Nb濃度:4〜10原子%(残部は
Ti)であり、以下の特徴をもつことが分かった。 主構成相は(c)の合金と同様にγ相、α2 相及び
β相の3相であり、Al濃度が低下するほど第2相であ
るα2 相及びβ相の割合は増加する。 延性は(c)の合金とほぼ同等であるが、強度は
(c)の合金より優れており、特に、800℃以上の高
温域では著しく優れている。この理由としてはβ相に固
溶したNbがβ相を固溶強化したことが考えられる。 耐酸化性は(c)の合金よりは優れており、(b)
は合金とほぼ同等である。 すなわち、Al濃度:44〜48原子%、Cr濃度:1
〜5原子%、Nb濃度:4〜10原子%(残部はTi)
を含有する合金はγ単相合金の問題であった延性、強度
及び耐酸化性をいずれも大幅に改善できることが分かっ
た。また、従来技術の合金と比べた場合においても延性
は大差ないものの、強度及び耐酸化性ではこれを遙かに
凌駕することが分かった。なお、この合金を以下(d)
の合金と称す。
【0015】(e)(d)の合金に1〜3原子%のTa
を添加した合金の特性は次の通りである。 主構成相は(c)、(d)の合金と同様にγ相、α
2 相及びβ相の3相である。 延性は(d)の合金と比べると若干劣るものの、強
度は(d)の合金よりもさらに優れている。この理由と
しては、Nbと置換しβ相に固溶したTaがβ相の延性
を若干低下させたが、同時にβ相をさらに固溶強化した
ことが考えられる。 耐酸化性は(d)の合金とほぼ同等である。 すなわち、Al濃度:44〜48原子%、Cr濃度:1
〜5原子%、Nb濃度:4〜10原子%、Ta濃度:1
〜3原子%を含有する合金は(d)の合金とほぼ同等の
特性をもつが、(d)の合金と較べると強度はさらに優
れており、延性は若干劣ることが分かった。なお、この
合金を以下(e)の合金と称す。
【0016】本発明は上記知見に基づいてなされたもの
で、(1)Al濃度:44〜48原子%、Cr濃度:1
〜5原子%、Nb濃度:4〜10原子%を含有し、残部
がTiからなり、主構成相がγ相、α2 相及びβ相の3
相であることを特徴とするTi−Al系金属間化合物基
合金(第1合金)、あるいは(2)Al濃度:44〜4
8原子%、Cr濃度:1〜5原子%、Nb濃度:4〜1
0原子%、Ta濃度:1〜3原子%を含有し、残部がT
iからなり、主構成相がγ相、α2 相及びβ相の3相で
あることを特徴とするTi−Al系金属間化合物基合金
(第2合金)である。
【0017】
【作用】以下、上記Ti−Al系金属間化合物基合金を
構成する各成分量の限定理由を各成分の作用と共に説明
する。 (1)Al Al濃度が44原子%未満になるとβ相の割合が必要以
上に増加し過ぎるため強度が低下する。一方、Al濃度
が48原子%を越えるとα2 相の割合が必要以上に減少
し過ぎるため、強度、延性とも低下する。 (2)Cr β相を安定化させる働きをもつが、Cr濃度が5原子%
を越えるとβ相の割合が必要以上に増加し過ぎるため強
度が低下する。一方、Cr濃度が1原子%未満になると
添加効果が認められなくなる。 (3)Nb 強度並びに耐酸化性を向上させる働きをもつが、Nb濃
度が10原子%を越えると非常に脆いNb2 Al相(σ
相)が多量に生成するため延性が低下する。一方、Nb
濃度が4原子%未満になると添加効果が認められなくな
る。 (5)Ta 第2合金は強度をさらに向上させる働きをもつが、同時
に若干の延性低下をもたらす。Ta濃度が3原子%を越
えると延性が低下しすぎる。一方、Ta濃度が1原子%
未満になると添加効果が認められなくなる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。純
度99.9%のTi、純度99.99%のAl、純度9
9.9%のCr、純度99.9%のNb及び純度99.
9%のTaを原料として用い、非消耗電極式アーク溶解
炉によって、後記表Aに示す組成のインゴットを作製し
た。次に、このインゴットを1000℃で100時間焼
鈍した後、機械加工により平行部の直径5mm、標点間距
離22mmの丸棒状引張試験片を切り出して引張試験を実
施した。引張試験は室温及び800℃の2温度において
破断に至るまで実施した。また、同じインゴットより1
5mm×20mm×2mmの平板状の酸化試験片を切り出し、
エメリー紙で1000番まで研磨した後、酸化試験を行
った。試験温度は900℃であり、大気中で100時間
保持した後の酸化増量値により耐酸化性を評価した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】例1〜6はTi-Al 2元系合金の結果である
が、Al濃度:46〜48原子%のものの機械的性質が
優れていることが分かる。またAl濃度:48原子%と
46原子%を比較した場合、46原子%の方が若干強度
は高く、延性は低いが、これは46原子%の方がα2
の割合が多いためと考えられる。例7〜22はNbを添
加したTi−Al系合金の結果であるが、これより以下
のことが分かる。 ○ Al濃度についてはTi-Al 2元系合金と同様に46
〜48原子%のものの機械的性質が優れている。 ○ Al濃度:46〜48原子%の合金においては、N
b濃度10原子%まではNb濃度が多くなるほど強度は
上昇するが延性は逆に低下する。一方、Nb濃度:14
原子%では強度、延性ともに低下するが、これはσ相の
割合が多くなったためと考えられる。 ○ 耐酸化性はNb濃度10原子%の合金が最も優れて
おり、酸化増量値で言ってTi-Al 2元系合金の1/10
程度である。
【0023】例23〜42はCrを添加したTi−Al
系合金の結果であるが、これより以下のことが分かる。 ○ Cr濃度が1原子%の合金の場合、Al濃度46〜
48原子%のものの機械的性質が優れているが、Ti-Al
2元系合金と比較した場合、延性は向上するが強度は大
差ない。 ○ Cr濃度が2〜5原子%の合金の場合、Al濃度4
4〜48原子%のものは室温では延性、強度ともTi-Al
2元系合金を上回る。しかしながら、800℃では強度
は2元系合金と大差なくなる。 ○ Cr濃度が7原子%合金の場合、Al濃度に係わら
ず強度はTi-Al 2元系合金よりも低くなる。 ○ 耐酸化性はCr濃度が1原子%の合金でTi-Al 2元
系合金と大差ない。Cr濃度が2原子%以上の合金では
2元系合金よりは優れているが、Nb添加合金と比べる
と劣る。
【0024】例43〜80はCrとNbを添加したTi
−Al系合金の結果であり、このうち例43〜54はA
l濃度の、例55〜66はCr濃度の、また例67〜8
0はNb濃度の影響を検討したものである。これらの結
果より以下のことが分かる。 ○ 機械的性質についてはAl濃度は44〜48原子%
の合金が、Cr濃度は1〜5原子%の合金が、またNb
濃度は2〜10原子%の合金が優れている。 ○ 耐酸化性についてはAl,Cr濃度の影響は小さ
く、Nb濃度が主に影響を及ぼしており、Nb濃度:4
〜10原子%の合金の特性が優れている。
【0025】すなわち、機械的特性、耐酸化性ともに優
れている組成はAl濃度:44〜48原子%、Cr濃
度:1〜5原子%、Nb濃度:4〜10原子%(残部は
Ti)であり、例では45、46、47、51、52、
53、56、57、58、62、63、64、69、7
0、71、76、77、78である。これらの本発明合
金(第1合金)の特性をTi-Al 2元系合金で特性が優れ
ている合金(例3、4)、Nbを添加したTi−Al系
合金で特性が優れている合金(例12、13、16、1
7)、Crを添加したTi−Al系合金で特性が優れて
いる合金(例29、30、31、34、35、36)と
比較すると以下の通りである。 ○ 室温の破断強度は本発明合金(第1合金)が53〜
63kgf/mm2 であるのに対し、2元系合金では45〜4
7kgf/mm2 、Nbを添加した合金では57〜65kgf/mm
2 、Crを添加した合金では45〜56kgf/mm2 であ
る。 ○ 室温の延性は本発明合金(第1合金)が1.6〜
2.6%であるのに対し、2元系合金では1.0〜1.
3%、Nbを添加した合金では0.8〜1.2%、Cr
を添加した合金では1.5〜2.4%である。 ○ 800℃の破断強度は本発明合金(第1合金)が4
8〜55kgf/mm2 であるのに対し、2元系合金では40
〜43kgf/mm2 、Nbを添加した合金では50〜57kg
f/mm2 、Crを添加した合金では37〜43kgf/mm2
ある。 ○ 800℃の延性は本発明合金(第1合金)が5.3
〜10.2%であるのに対し、2元系合金では4.7〜
5.2%、Nbを添加した合金では3.3〜4.5%、
Crを添加した合金では8.2〜13.4%である。 ○ 900℃で100時間保持した後の酸化増量は本発
明合金(第1合金)が2.5〜4.8mg/cm2 であるの
に対し、2元系合金では25.1〜26.4mg/cm2
Nbを添加した合金では2.4〜3.7mg/cm2 、Cr
を添加した合金では17.5〜22.8mg/cm2 であ
る。
【0026】すなわち、以上示した実施例より本発明合
金(第1合金)は強度及び耐酸化性はNb添加合金と同
等であり、2元系合金及びCr添加合金より優れている
ことが分かる。また延性はCr添加合金と同等であり、
2元系合金及びNb添加合金より優れていることが分か
る。
【0027】下記表Bの例81〜107はCr,Nb,
Taを添加したTi−Al系合金の結果であり、このう
ち例81〜86はAl濃度の、例87〜91はCr濃度
の、例92〜97はNb濃度の、また例98〜107は
Ta濃度の影響を検討したものである。これらの結果よ
り以下のことが分かる。 ○ 機械的性質についてはAl濃度は44〜48原子%
の合金が、Cr濃度は1〜5原子%の合金が、Nb濃度
は2〜10原子%の合金が、またTa濃度は1〜3原子
%の合金が優れている。 ○ 耐酸化性についてはAl,Cr,Ta濃度の影響は
小さく、Nb濃度が主に影響を及ぼしており、Nb濃度
4〜10原子%の合金が優れている。
【0028】
【表4】
【0029】すなわち、機械的特性、耐酸化性ともに優
れている組成はAl濃度:44〜48原子%、Cr濃
度:1〜5原子%、Nb濃度:4〜10原子%、Ta濃
度:1〜3原子%(残部はTi)であり、例では83、
84、85、88、89、90、94、95、96、9
9、100、101、104、105、106である。
これらの本発明合金(第2合金)の特性をTi-Al 2元系
合金で特性が優れている合金(例3、4)、Nbを添加
したTi−Al系合金で特性が優れている合金(例1
2、13、16、17)、Crを添加したTi−Al系
合金で特性が優れている合金(例29、30、31、3
4、35、36)、本発明合金(第1合金)(例45、
46、47、51、52、53、56、57、58、6
2、63、64、69、70、71、76、77、7
8)と比較すると以下の通りである。
【0030】○ 室温の破断強度は本発明合金(第2合
金)が60〜68kgf/mm2 であるのに対し、2元系合金
では45〜47kgf/mm2 、Nbを添加した合金では57
〜65kgf/mm2 、Crを添加した合金では45〜56kg
f/mm2 、本発明合金(第1合金)では53〜63kgf/mm
2 である。 ○ 室温の延性は本発明合金(第2合金)が1.2〜
2.0%であるのに対し、2元系合金では1.0〜1.
3%、Nbを添加した合金では0.8〜1.2%、Cr
を添加した合金では1.5〜2.4%、本発明合金(第
1合金)では1.6〜2.6%である。 ○ 800℃の破断強度は本発明合金(第2合金)が5
2〜63kgf/mm2 であるのに対し、2元系合金では40
〜43kgf/mm2 、Nbを添加した合金では50〜57kg
f/mm2 、Crを添加した合金では37〜43kgf/mm2
ある。本発明合金(第1合金)では48〜55kgf/mm2
である。 ○ 800℃の延性は本発明合金(第2合金)が4.4
〜8.1%であるのに対し、2元系合金では4.7〜
5.2%、Nbを添加した合金では3.3〜4.5%、
Crを添加した合金では8.2〜13.4%、本発明合
金(第1合金)では5.3〜10.2%である。 ○ 900℃で100時間保持した後の酸化増量は本発
明合金(第2合金)が2.6〜5.6mg/cm2 であるの
に対し、2元系合金では25.1〜26.4mg/cm2
Nbを添加した合金では2.4〜3.7mg/cm2 、Cr
を添加した合金では17.5〜22.8mg/cm2 であ
る。本発明合金(第1合金)では2.5〜4.8mg/cm
2 である。
【0031】すなわち、以上示した実施例より本発明合
金(第2合金)は強度は2元系合金、Cr添加合金、N
b添加合金及び本発明合金(第1合金)のいずれよりも
優れていることが分かる。一方延性は2元系合金及びN
b添加合金よりも優れているが、Cr添加合金及び本発
明合金(第1合金)よりは劣ることが分かる。また、耐
酸化性はNb添加合金及び本発明合金(第1合金)と同
等であり、2元系合金及びCr添加合金より優れている
ことが分かる。
【0032】以下、参考のため、表A及び表Bのうちの
代表的な例の金属組織を示す走査電子顕微鏡写真をあ
げ、金属組織の差異を説明する。図1はTi-Al 2元系合
金の例4の金属組織を示す走査型電子顕微鏡写真であ
り、ここで黒っぽく見える母相はγ相であり、針状にみ
える相はα2 相である。図2はNbを添加したTi−A
l系合金の例17の金属組織を示す走査型電子顕微鏡写
真であり、ここで黒っぽく見える母相はγ相であり、針
状にみえる相はα2 相であり、またα2 相に付着してい
る白い微小な相はσ相である。図3はCrとNbを添加
したTi−Al系合金の例47(本発明の第1合金)の
金属組織を示す走査型電子顕微鏡写真であり、ここで黒
っぽく見える母相はγ相であり、針状にみえる相はα2
相であり、また白い相はβ相である。図4はCrとNb
とTaを添加したTi−Al系合金の例95(本発明の
第2合金)の金属組織を示す走査型電子顕微鏡写真であ
り、ここで黒っぽく見える母相はγ相であり、針状にみ
える相はα2 相であり、また白い相はβ相である。
【0033】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明によれば、高強
度で延性に富み、また耐酸化性も優れ、航空機用エンジ
ン、発電用ガスタービン等の性能向上を図ることができ
る等、産業上極めて有用なTi−Al系金属間化合物基
合金を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ti-Al2元系合金の一例の金属組織を示す走査
型電子顕微鏡写真。
【図2】Nbを添加したTi−Al系合金の一例の金属
組織を示す走査型電子顕微鏡写真。
【図3】CrとNbを添加したTi−Al系合金(本発
明の第1合金)の一例の金属組織を示す走査型電子顕微
鏡写真。
【図4】CrとNbとTaを添加したTi−Al系合金
(本発明の第2合金)の一例の金属組織を示す走査型電
子顕微鏡写真。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al濃度:44〜48原子%、Cr濃
    度:1〜5原子%、Nb濃度:4〜10原子%を含有
    し、残部がTiからなり、γ相、α2 相及びβ相を主構
    成相とすることを特徴とするTi−Al系金属間化合物
    基合金。
  2. 【請求項2】 Al濃度:44〜48原子%、Cr濃
    度:1〜5原子%、Nb濃度:4〜10原子%、Ta濃
    度:1〜3原子%を含有し、残部がTiからなり、γ
    相、α2 相及びβ相を主構成相とすることを特徴とする
    Ti−Al系金属間化合物基合金。
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Cited By (4)

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