JPH06344404A - 射出成形法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 射出成形法において最終充填位置の最もひけ
の発生し易い部位にタイミングよく樹脂圧力をかけ、成
形品内の圧力を均一化し、成形品のひけならびに変形を
大幅に低減して外観良好な成形品を成形する。 【構成】 射出成形品を成形する方法において、ゲート
を設定するにあたり、成形品を充填させるのに必要な位
置のゲートＧ₁ 以外にコーナー付近などひけの発生し易
い位置にもゲートＧ₂ を設定し、該ゲートＧ₂ について
は、通常の充填の際には開かず、充填が略完了した時点
もしくは完了直前にゲートを開いて樹脂を流入させ、樹
脂圧力を加える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】射出成形においては成形品の表面
にひけと称するへこみが発生し、外観上、大きな障害と
なっている。本発明はかかるひけを防止するための射出
成形法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の射出成形においては、ゲートは、
充填過程において常に開の状態であり、溶融樹脂が、ス
プルー・ランナー・ゲートと順に流れて、多数ゲートが
ある場合は、樹脂がゲートに到達した順に成形品部に流
入し、ゲートから流れた樹脂は、圧力損失を受けながら
流動して成形品部に樹脂が充填される。このため、樹脂
の最終充填位置近くでは、流動途中で、溶融樹脂の熱
が、金型側に移動して粘度も高くなり、通常、流動距離
とともに流動抵抗が大きくなることから、最終充填位置
では、この成形品において、流動抵抗が最大となる為、
スプルー先端に圧力をかけても、最終充填位置近くで
は、ほとんど圧力がかからないため、ひけ等の不具合が
発生していた。そこで、従来この対策として、製品肉厚
を厚くして、圧力損失を減らし、端末まで、高い圧力が
かかるようにする。ゲート径を大きくして、ゲート部の
圧力損失を低減し、十分樹脂圧力がかかるようにし、保
圧時間を十分かけることにより、ひけの低減をはかって
いた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら樹脂流動
をよくするため、ゲート径を拡大する、成形品の厚みを
厚くするなどの対策は、成形上さまざまな不具合を発生
する。まずゲート径の拡大はゲートの冷却固化する時間
が延び、この間、圧力をかけ続けなければならない（も
しゲートシール前に保持圧力をかけるのを止めると、ゲ
ートから成形品側に圧縮して送り込んだ樹脂が逆流して
しまう。）ため、ゲートのシール時間が延び、成形時間
も延びてしまい、コストアップの原因となってしまう。
また成形品の厚みを厚くするにしても、成形品に使用す
る樹脂量が多くなり、さらに成形品の金型内での冷却速
度も遅くなることから、所定温度にて取り出す時間（高
い温度で取り出すと変形の原因となるため、成形品が一
定の温度以下になるまで金型内で冷却する。）も多くか
かり、これもコストアップの原因となってしまう。

【０００４】また、成形品のひけを防止する為、リブ・
ボスの形状や位置に制限を受けたり、肉厚を厚くする等
については、著しくデザインの自由度に制限を設けるこ
とになり、製品設計上好ましくない。また、ゲート径・
成形品肉厚を大きくするにしても最終充填位置では、圧
力が低くなることは、妨げず、効果として不十分であ
る。

【０００５】本発明は上述の如き実状に着目し、これに
対処すべく、より効果的なひけ防止手段を見出すことを
課題とし、特にゲートの設定位置と、その開閉タイミン
グに注目して最終充填位置の最もひけの発生し易い部位
にタイミングよく樹脂圧力をかけ、成形品内の圧力を均
一化し、成形品のひけならびに変形を大幅に低減して外
観良好な成形品を成形することを目的とするものであ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】即ち、上記目的を達成す
る本発明方法の特徴は、従来方式のゲートにおける成形
品の最終充填位置近くに更にゲートを設け、従来方式の
ゲートによる溶融樹脂の充填がほぼ完了した時点もくし
は完了直前に上記ゲートを開いて樹脂を流入させ、従来
方式では圧力がかかりにくい成形品部位に樹脂圧力をか
けることにある。なお、従来方式では圧力がかかりにく
い上記成形品部位に対しゲートを開くタイミングはタイ
マーまたは金型内にセットしたセンサーによってゲート
バルブを動かすことによって行なわれる。

【０００７】

【作用】上記本発明方法により成形した場合、金型内に
充填した際、最も樹脂圧力が低下した箇所に、十分な樹
脂圧力がかかるため、ひけを著しく低減させる。またほ
とんど１次ゲート（成形品内に溶融樹脂を充填させるに
必要なゲート）で成形品内が充填した後、２次ゲート
（最終充填位置に設けたゲートまたは、ひけ発生位置近
くに設けたゲートを開く為、当初から全てゲートを開い
ていた場合と比較して、ウエルドライン（成形時におい
て樹脂の２つ以上の流れが完全に融合しないときに生じ
る接合部にできる線状のムラをいう）の数を低減する。

【０００８】

【実施例】以下、更に添付図面により本発明の実施例を
説明する。

【０００９】図１は本発明方法を実施する射出成形機の
金型構造の１例を示しており、図において１は固定側取
付け盤、２は可動側取付け盤で、固定側取付け盤１の中
央にロケートリングが嵌着され、更にその中心部にスプ
ルーブッシュ４が嵌着されている。

【００１０】そして、固定側取付け盤１と可動側取付け
盤２の間において、固定側取付け盤１内面にはランナー
はらい盤５と、固定側型板６が順次、配設され、これら
を通して溶融樹脂の通路をなすスプルー７、ランナー８
及びゲート９が夫々設けられていると共に、反対側の可
動側取付け盤２の内面には可動側型板１０が取り付けら
れている。

【００１１】また、上記金型構成において、ゲート９は
多点のゲートよりなり、固定側型板６と可動側型板１０
により形成される金型本体の製品形状空間１１は可動側
が成形製品の表面側、固定側が成形製品の裏面側となる
ように形成されており、従って、上記製品形状空間１１
まで溶融樹脂を流す湯道である前記スプール７、ランナ
ー８及び多点のゲート９はすべて成形品裏面側に配置さ
れていると共に、製品はらい出し盤１６がエジェクター
機構１４として利用され、スライド部材１５を該はらい
出し盤１６に連動させることによりエジェクター盤１２
から連動させていた場合と比較して金型部に複雑な穴や
傾斜ピンを設けることなく信頼性向上、加工性改善を果
たすと共に、省スペース性を達成し裏面側のゲート構造
の固定スペースを確保せしめている。

【００１２】勿論、上述の射出成形機は１例であり、本
発明方法の実施はこれに限るものではなく、従来、既知
のすべての型式の射出成形機においても実施可能であ
り、本発明の含むところである。

【００１３】図２は上記のような各種射出成形機におい
て本発明を実施するためのゲートの配置態様を示してお
り、図は箱型成形品の場合である。このような成形品に
はテレビの前部キャビネット、電子レンジの扉枠などの
成形品がある。このような成形品の場合、ゲートは通常
ウエルドライン位置をコーナーの目立たない位置に出す
ため、図２のように中央穴側から各辺の中央を狙って略
十字形にゲートＧ₁ を設定するのが一般的である。しか
し、この場合、コーナー部の最終充填位置近くの裏面に
ボスＢ等がある場合、樹脂圧力が十分にかからないた
め、ひけが問題となる。そこで、コーナー付近に更に図
２に示すように別途、ゲートＧ₂ を設ける。即ち、前記
ケートＧ₁ を一次ゲートとすれば後者のゲートＧ₂ は二
次ゲートである。

【００１４】そして樹脂が一次ゲートＧ₁ を通じ成形品
に流れたタイミングを見計らって即ち、一次ゲートによ
る充填が略完了した時点もしくは完了直前に上記コーナ
ーに設定した二次ゲートＧ₂ を開き、樹脂を流入させ、
樹脂圧力をかける。

【００１５】コーナーのゲートＧ₂ を開くタイミングは
タイマーまたは金型内にセットしたセンサーによってゲ
ートバルブを開くことによって可能である。また成形機
側から、例えば１次射出から２次射出に切り替わる信号
を受けるようにしてもよく、更に射出成形機のスクリュ
ー前進位置をエンコーダーから読み取り、２次ゲートを
開くようにしてもよい。

【００１６】これらゲートの開閉はコールドランナー、
ホットランナー共に使用可能であるが、ホットランナー
の方が２次ゲート側の周りの樹脂が冷却固化して動作不
良を起こす心配がないだけ適している。

【００１７】コールドランナーの場合は２次ゲート部周
辺の樹脂が固化する前に開く必要があり、２次ゲート開
時間の制約を受けることになる。

【００１８】かくして、１次ゲートにより成形品への樹
脂流入の適宜なタイミングを見計らって２次ゲートを開
にし樹脂圧力をかけることにより成形品内の圧力が１次
ゲートのみで成形した場合に比較して均一化し、収縮率
が均一化される。また２次ゲート部については金型充填
直後に開くため樹脂の流れが融合し２次ゲートによるウ
エルドラインの発生は阻止され、ひけのない外観の良好
な成形品を得ることができる。

【００１９】

【発明の効果】本発明は以上のようにゲート設定に際
し、成形品を充填させるのに必要な位置以外に、ひけの
発生し易い位置にも設定し、後者のゲートを充填させる
際には開かず、充填が略完了した時点もしくは完了直前
に開いて樹脂を流入させ樹脂圧力をかける方法であり、
最終充填位置の最もひけ易い部位に十分樹脂圧力がかか
るためひけを大幅に低減させることができると共に、成
形品内の圧力が従来の成形品を充填させるのに必要な位
置のみでゲート設定に比し均一化し、収縮率も平均化さ
せるため成形品の変形も低減することができる。

【００２０】また、２次ゲートは金型充填直後に開くた
め、その樹脂の流れは１次ゲートからの樹脂の流れと互
いに融合しウエルドラインを発生させることもなく全般
的に従来の１次ゲート方式に比し成形品の外観を良好な
らしめ、その実用的価値を高める顕著な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法を実施する射出成形機の金型構造の
１例を示す概要図である。

【図２】本発明方法におけるゲートの配置態様例を示す
説明図である。

【符号の説明】

Ｇ₁ １次ゲート Ｇ₂ ２次ゲート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高貴 一行 大阪市東住吉区針中野２丁目３−15 (72)発明者 北条 俊彦 神奈川県厚木市金田800番地 (72)発明者 小笠原 敏夫 神奈川県厚木市金田800番地 (72)発明者 深瀬 尚夫 神奈川県厚木市金田800番地 (72)発明者 川守田 四志男 神奈川県厚木市金田800番地

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 射出成形品を成形する方法において、ゲ
   ートを設定するにあたり、成形品を充填させるのに必要
   な位置以外にコーナー付近などひけの発生し易い位置に
   もゲートを設定し、該ゲートについては、通常の充填の
   際には開かず、充填が略完了した時点もしくは完了直前
   にゲートを開いて樹脂を流入させ、樹脂圧力を加えるこ
   とを特徴とする射出成形法。
2. 【請求項２】 ひけの発生し易い位置のゲートの開閉が
   タイマーまたは金型内にセットしたセンサーによって行
   なわれる請求項１記載の射出成形法。