JPH0634332U - セラミックフィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】濾波特性を損なうことなく、スプリアスを低減
する。 【構成】共振子20の表面にも電極21を設け、この電極21
に、入力側リード線１または出力側リード線２を延長し
て接続する。 【効果】スプリアスが減少するのに加え、外部振動や衝
撃に対する強度が向上する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、短冊形の二つの圧電振動子と、これらの圧電振動子の間に取付けら れた共振子を備えるセラミックフィルタの構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図６に従来のこの種のセラミックフィルタの構造例を示す。打ち抜き部11を設 けた薄板状の絶縁体からなる枠体10の表面には、入力導出用電極12と出力導出用 電極13が形成され、裏面にはアース導出用電極（図示せず）が設けてある。打ち 抜き部11には１個の短冊状の共振子20と、その両側に２個の短冊状の圧電振動子 30が、それぞれ平行に配置されている。共振子20はセラミックあるいは金属板な どで構成され、少なくとも裏面には金属電極が設けられている。圧電振動子30は 厚み方向に分極された圧電板の表裏二面に電極31を設けたもので、長さ方向の伸 び振動を行う。

【０００３】 一方の圧電振動子30の表面の電極31と入力導出用電極12は、伸び振動の節とな る略中央部をリード線１で接続され、他方の圧電振動子30の表面の電極31と出力 導出用電極13も略中央部をリード線２で接続されている。 ３は、打ち抜き部11を横切って両端を枠体10のアース導出用電極に接続した導 線からなる結合子である。二つの圧電振動子30及び共振子20の裏面の電極は、こ の結合子３上に接続固定されている。枠体10に設けられた入力導出用電極12、出 力導出用電極13、アース導出用電極には、それぞれ入力端子４、出力端子５、ア ース端子６が半田付けされ、これら３本の端子４、５、６は枠体10から同一方向 に平行に突出している。図中、リード線１、２の両端の円、及び端子４、５の端 部の円は半田を示している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

短冊形の圧電振動子や共振子は、主振動である長さ振動に付随して、幅方向と 厚み方向の振動も励振される。圧電振動子と共振子の厚みは通常０.3〜０.5ｍｍ 程度になされるが、幅は製造を容易にするために厚みに比べて大きく選ばれる。 このため、幅振動は特に励振され易く、しかも、素子の長さを短くして小型にす るほど、主振動の周波数と幅振動の周波数が近づいてしまう。その結果、従来は 図３に破線で示すような周波数特性となり大きなスプリアスＳを生じていた。

【０００５】

【考案の目的】

本考案は、濾波特性を損なうことなく、共振子の幅方向の振動を抑えてスプリ アス特性を改善することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、共振子の表面にも電極を設け、この電極に入力側リード線または出 力側リード線を接続した構成を特徴とする。

【０００７】

【実施例】

図１は本考案の一実施例を示すものである。なお、従来と共通する部分には以 下の図においても同一の符号を付し重複する説明は省略する。 20は、短冊形のセラミック絶縁板の表面及び裏面に電極21を設けた共振子であ る。圧電振動子30は、短冊形の圧電セラミック板の両面に電極31を設けたもので あり、その厚み方向に分極してある。 図１に示すセラミックフィルタは、入力側のリード線１を延長して、共振子20 の表面電極21にも接続することにより、圧電振動子30と共振子20を裏面側だけで なく、表面側においても連結してある。この結果、共振子20における幅方向の振 動が抑えられると同時に幅振動の周波数が変わり、従来、圧電振動子30と共振子 20のそれぞれの幅振動と厚み振動によって強く発生していたスプリアスが減少す る。

【０００８】 図１のような構成のセラミックフィルタを試作し、周波数特性を測定したとこ ろ、図３に実線で示すような結果が得られた。破線で示す従来品の特性と比較す ると、従来品のスプリアスレベルＡが１０ｄＢ弱であったのに対し、本考案の構 成におけるスプリアスレベルＢは約１８ｄＢとなり、８ｄＢ以上改善されたこと が分かる。

【０００９】 図２は、本考案の別な構成例を示すものである。この例では、出力側のリード 線２を延長して共振子20の表面電極21に接続し、共振子20と出力側の圧電振動子 30を裏面側ばかりでなく表面側でも連結したものである。この場合も入力側リー ド線１で連結した場合と全く同様なスプリアス低減効果が得られる。

【００１０】 共振子20の数は１個に限らず、２個以上設けられることがある。図４及び図５ は、２個の共振子20を具えたセラミックフィルタに本考案を適用した場合の実施 例を示すものである。図４は、一方の共振子20の表面電極21に入力側リード線１ を接続し、他方の共振子20の表面電極21に出力側リード線２を接続したものであ る。また、図５は、二つの共振子20とも、その表面電極21に入力側リード線１を 接続した構成としたものである。 共振子20は、圧電振動子30と同じ圧電セラミック材料で構成してもよい。ただ し、その場合には分極しないで用いる必要がある。

【００１１】

【考案の効果】

本考案によれば、共振子20の幅方向の振動が抑制されスプリアスが著しく減少 する。また、従来の圧電共振子20は端部の裏面が結合子３で支持されていただけ なのに対し、本考案では表面の略中央部も支持されることになるので、長さ振動 によるメイン波形に影響を与えることなく外部からの衝撃や振動に対して強くな り、信頼性が向上する効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の第１実施例を示す平面図

【図２】 本考案の第２実施例を示す平面図

【図３】 本考案と従来品の周波数特性図

【図４】 本考案の第３実施例を示す平面図

【図５】 本考案の第４実施例を示す平面図

【図６】 従来例を示す平面図

【符号の説明】

１ 入力側リード線 ２ 出力側リード線 ３ 結合子 10 枠体 20 共振子 21 電極 30 圧電振動子 31 電極

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧電板の表面と裏面に電極が設けられ厚
   み方向に分極された短冊形の二つの圧電振動子と、表面
   と裏面に電極が設けられた短冊形の少なくとも一つの共
   振子とを具え、共振子を内側にして圧電振動子と共振子
   を互いに平行に配置して、圧電振動子と共振子の裏面の
   電極を共通な結合子で連結し、入力側リード線を一方の
   圧電振動子の表面の電極に接続し、出力側リード線を他
   方の圧電振動子の表面の電極に接続するとともに、共振
   子の表面の電極に、入力側リード線または出力側リード
   線を接続したことを特徴とするセラミックフィルタ。