JPH0634299Y2 - 包装用仕切板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、巻取管に巻かれたフィルム、糸、又は紙と
いったような芯孔を有する巻取体を集合包装する際に使
用する、包装用の仕切板に関するものである。

〔従来の技術〕

近年、巻取管に巻かれた製品、例えば巻取りフィルム、
巻糸体、又は巻取紙といったような芯孔を有する巻取製
品を輸送するに際しては、包材コストの低廉化と物流効
率の向上を図るために、その包装が益々集合化され、且
つ大型化される傾向にある。

例えば、巻糸体の集合包装に例をとってみれば、特公昭
53−28839号公報にその一例が示されているように、多
数の巻糸体を林立した状態で多段に積み重ねて梱包する
ことが行われている。

この従来例にしたがった巻取体の集合包装を第８図を参
照して説明すると、１はフォークリフトを用いて昇降で
きるパレット、２はこのパレット１の上に載置した段ボ
ール製の箱型のトレイで、トレイ２の底にはダンボール
製の包装用仕切板３を敷いてある。この包装用仕切板３
には、巻取体４の中心を板面上の所定の位置に固定する
ための多数の孔５が正配列又は千鳥配列に設けられてい
る。多数の巻取体４は、このような包装用仕切板３を介
して三層に積載され、各層の巻取体４は、夫々、上下の
包装用仕切板３に設けられている上記孔５によって、そ
の上下端を直接又は間接的に位置ぎめされて林立し、正
配列あるいは千鳥配列に整列されている。このように集
合包装された巻取体の集合包装体６は、それらの上に嵌
合する箱状の蓋（図示せず）を被せた上、それに締付バ
ンド（図示せず）を掛けると、これをコンテナ等の輸送
手段に段積みして輸送できる。

ところでこのような集合包装は、一個の集合包装体の中
に包装する巻取体の数を増せば増す程、その包装コスト
と輸送コストを低減できるのであるが、近年巻取体の１
個当たりの形状が大型化し、その重量が益々増大したた
め、その梱包作業及び解梱作業が非常に困難となってき
た。例えば、巻取フィルムに例をとると、最近の巻取フ
ィルムはその径が30cm近くにも達し、しかも１個当たり
の重量が20kgにも達しているので、このような重量物を
各層毎に夫々、12個宛正配列（４行×３列）して第８図
に示したような配列状態に集合包装しようとすれば、最
下層のものを除く上層（２層目及び３層目）の、中間列
（２列目）の中間行（２行目及び３行目）のものは、20
kg以上の重さのものを、手許から40cm以上も離れた位置
に積み上げなけばならないことになるので、その作業が
非常に困難であった。

〔考案が解決しようとする問題点〕

もっとも、巻取体の集合包装に使用する包装用仕切板
に、前記特公昭53−28839号公報によって提案されてい
るような（第９図参照）、２つの片に離合自在に分割さ
れた分割方式の仕切板3a・3bを用いると、上記の問題点
をある程度解消できるのであるが、それでもなお、この
特公昭53−28839号公報に開示されている包装用仕切板3
a・3bは、巻取体がパッケージされた状態において、包
装用仕切板3a・3bを重ね合わせ方向より見たとき、片3a
・3bが交互に位置されていなければ、同一平面上の各片
3a・3b間を、巻取体４とその上方位又は下方位の他の平
面上の仕切板（片3a又は3b）を介して間接的に連結せし
めることが出来ないので、巻取体を４層以上に積層する
際には、３段目の高さまで、すべての巻取体を積層し、
その上に片3a・3bを載置した上でなければ、４層目以上
の巻取体を、仕切板（片3a・3b）の上に載置できない、
といった問題点があった。すなわち、この４層目以上の
積載作業がやはり困難であるといった問題があった。

また、そればかりではなく、この特公昭53−28839号公
報に開示されている包装用仕切板3a・3bには次のような
問題点もあった。すなわち、部材の種類及び数が多くな
ってその保管ならびに作業性が悪くなる他、積層された
上下の巻取体の層の間に敷かれる仕切板が、何れも、水
平方向においては分割線に沿って２以上の片に分割され
た状態のままになっており、該分割線に沿って分割され
た各片の間が、同一の水平位置においては全く連結され
ていないので、巻取体の積み重ね作業時や輸送時に、上
記分割線において揺れや荷割れを生じ易い、といった致
命的な問題点があった。

そこで従来技術では、このような大型でしかも重量があ
る巻取フィルムの場合には、それを２箱に分けて、各箱
内の各層には、例えば夫々６個宛といったような２列に
並べうる範囲の少ない数の巻取体を２列に並べて包装し
ていた。

しかしながら、１個のパレット上に並べて載せうる数
（例えば36個）の巻取体を、上記したような事情からわ
ざわざ２組に分けて各別の包装箱内に収容するというこ
とは、どう考えても包装経済上、包材コスト及び必要と
する作業量の面で不経済であるばかりでなく、隣接して
並べた２組の集合包装体の間に２つの包装箱の側板が存
在しているということは、その分、パレットに大きい床
面積を必要とするということになるので、場合によって
は、それがコンテナの寸法から割り出されるパレット寸
法を僅かに越過することになるが故、該パレットに２つ
の集合包装体を配列しづらい場合も出てくる。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、上記の問題点を解決して、１個の集合包装
体の中に、上記したような大型でしかもその重量が大き
い巻取体を、２層以上に積み重ね且つ各層に夫々７個以
上配列する場合において、２層目以上の上層階の中間列
の中間行に、重い巻取体を楽に積み重ねることができ、
しかも積み重ねられた巻取体が揺れや荷割れ等を起こす
おそれのない、包装用仕切板を提供しようとするもので
ある。

この考案は芯孔を有する巻取体を林立した状態で多段に
積み重ねて集合包装する際、上段の物体と下段の物体間
にはさんで使用する包装用仕切板であって、該仕切板
に、巻取体の芯孔に嵌合する巻取体の中心位置固定手段
を嵌合できる孔が、３列以上の列をなしてあけられてい
るものにおいて、該仕切板に、この仕切板を上記孔の列
に沿って折り曲げるための折線が、２つの孔の列の中間
位に配して、一本以上形成されていること、を特徴とす
るものである。

〔作用〕

この考案にしたがった包装用仕切板には、芯孔を有する
巻取体の端部を芯孔の位置において直接又は間接的に固
定するため板面に３列以上の列をなしてあけられている
孔の位置を避けて、この仕切板を孔の列に沿って折り曲
げるための折線が、２つの孔の列の中間位に配して、少
なくとも１箇所以上に形成されているので、この包装用
仕切板は、これを使用して多数の巻取体を、梱包箱内に
次のような手順で積み上げることができる。すなわち、
巻取体を３列に並べて積層する場合について説明すると
（第２〜６図参照）、 梱包箱のトレイ内に敷かれた包装用仕切板の上に、先
ず１層目の互いに隣接している第１列目と第２列目の巻
取体をセットする。

１層目の巻取体の列の上に第２列目の孔と第３列目の
孔の間に折線が施された包装用仕切板をセットし、この
仕切板の、それが既にセットされた巻取体の上方をカバ
ーしていない部分を、上記折線に沿って下向きに折り曲
げておく。

次に、２層目の互いに隣接する第１列目と第２列目の
巻取体を、上記でセットされた包装用仕切板の上にセ
ットする。このとき、第３列目の巻取体の積み込み位置
は１層目の巻取体の上にセットされた包装用仕切板によ
って塞がれていないので、第２列目の巻取体の積み重ね
作業は、トレイの中に足を踏み入れてこれを行うことが
できる。

上記同様にして、包装用仕切板と上層の巻取体を
順次セットすると、その積層段数に制約を受けることな
く、巻取体をセットすることができ、（４段以上も可
能）、 このようにして、第１列と第２列目の各層の巻取体を
全部セットし終わったところで、各層の巻取体間にセッ
トされている各包装用仕切板の、それが既にセットされ
た巻取体の上方をカバーしていない部分を、順次前記折
線に沿って夫々上向きに一旦折り返しながら、第３列目
の各層の巻取体をこのトレイ内に順次セットする。上記
のようにすると、各層の巻取体はその上下端を、各層の
巻取体間に夫々一枚宛セットされたこの考案の包装用仕
切板でもって、該包装用仕切板の所定の位置に保持され
た状態にセットされる。

上記〜は、巻取体を３列に並べて積層する場合の包
装用仕切板の使用例についてその作用を説明したが、巻
取体を４列以上に並べて積層する場合には、包装用仕切
板の２個所以上に折線を形成しておき、先ず２つの折線
間の部分に巻取体を積層した後、順次２つの折線の外側
の部分に巻取体を積層すると、上記同様の作業手順でも
って、該包装用仕切板の所定の位置に巻取体をセットす
ることができる。

〔実施例〕

一実施例を第１〜６図について説明すると、第１図に示
した包装用仕切板11は、各層に巻取体12を12ヶ宛正配列
（３列×４行）して多段積みする場合に使用するもの
で、この包装用仕切板11の板面には、12ヶの孔13が３列
×４行に正配列して形成されており、図面上左側から第
２列目の孔13の列と第３列目の孔13の列のほぼ中間位に
配して、これらの孔の列に沿って折線14が形成されてい
る。

この包装用仕切板11によって、例えば36個の巻取体12を
集合包装するには、次のように作業する。

i.先ず、第２・３図に示してあるように、パレット（図
示せず）の上に載置されたトレイ15の中に包装用仕切板
11を入れて、それをトレイ15の底板上に敷くのである
が、この包装用仕切板11には、予め上記各孔13にプラス
チック製のキャップ16を嵌めておき、この包装用仕切板
11は、該キャップ16が上向きに突出するようにこれを敷
く。

ii.次に、左側から第１列目と第２列目の上記各キャッ
プ16に、夫々、巻取体12の芯孔17の下部を嵌合させて、
第１列目と第２列目の巻取体12をトレイ15内の仕切板11
の上にセットする（第２・３図）。このとき、第２列目
の巻取体12のセット作業は、トレイ15の中に入って行う
ことができる。

iii.既にセットされた１層目の２列の巻取体12の各芯孔
17に、夫々上方から、巻取体12の高さにほぼ等しい長さ
を有する紙管18を挿入すると、該紙管18は、各巻取体12
の上端面から突出した状態になる。

iv.上記紙管18の突出部に夫々孔13を嵌合させて、既に
セットされた１層目の２列の巻取体12の上に、この考案
にしたがった包装用仕切板11を載せ、この包装用仕切板
11が第２列目の巻取体12の外にはみ出している部分を、
折線14に沿って下向きに折り曲げておく（第４図）。

v.次に、包装用仕切板11の上に突出している紙管18に、
各巻取体12の芯孔17の各下端部を嵌合させて、２層目の
第１列目と第２列目の巻取体12を、前記ivでセットされ
た包装用仕切板11の上にセットする。このときの第２列
目の巻取体12のセット作業は、先にセットされた包装用
仕切板11の突出部分が下向きに折り曲げられているの
で、トレイ15の中に足を踏み入れて行うことができる。

vi.上記iii、iv、ｖ同様にして、３層目の巻取体12をセ
ットするための紙管18及び包装用仕切板11をセットした
上で、その上に３層目の巻取体12をセットすると、第５
図の状態になる。

vii.2列目の巻取体12の外側に垂れ下がっている各包装
用仕切板11の部分を、夫々折線14に沿って一旦上向きに
折り曲げた上（第５図鎖線）、それを水平に戻すと、各
仕切板11の間に１〜３層目の第３列目の巻取体12をセッ
トすると共に、１層目と２層目の巻取体12の芯孔17に紙
管18を挿入することができる。

viii.3層目の第３列目の巻取体12をセットし終わった上
で、３層目の巻取体12の上に包装用仕切板11を載せ、該
仕切板11の孔13を貫いて、各巻取体12の芯孔17の上端部
に夫々キャップ16を挿入すると、この包装用仕切板11
は、３層目の巻取体12の上にセットされる（第６図）。
19はその上に被せた蓋である。

この考案にしたがった包装用仕切板11に形成される孔13
の数及び折線14の数並びにそれらの位置は、上記実施例
に限定されるものではないのであって、他の実施例にお
いては、第７図ａ〜ｊに示してあるように、これを任意
の列間に配して任意数形成しうる。

〔考案の効果〕

この考案にしたがった包装用仕切板は、それを折線に沿
って折り曲げると、トレイ内の、すでに積み上げられて
いる巻取体に最も近い位置に足場を確保して、巻取体を
包装用仕切板の上に積み上げたり、巻取体を包装用仕切
板の上から取り崩したりすることができるので、その作
業性が飛躍的に向上する。

しかも、この包装用仕切板は、それを使用して大型の集
合包装を行っても、それが特公昭53−28839号公報に開
示されているような分割板ではなく、１枚の板であるか
ら、荷揺れや荷割れを生じない、といった長所をもって
いる。

またこの考案の包装用仕切板は、大型で重量が大きい巻
取体の大型集合包装を可能ならしめたことによって、包
材コストの低下を図り、巻取体を集合包装する際の単位
包装当たりの寸法を、例えば海上輸送用コンテナのよう
な輸送手段から割り出された寸法に適合させて、それを
大型化しても、作業性よく且つ荷割れしないように巻取
体を梱包できるので、この点は、物流効率の向上を図る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る包装用仕切板の一実施例を示し
た平面図、第２〜６図はその使用状態を作業順に示した
もので、第２図は１層目の巻取体を一部セットした状態
のトレイの縦断正面図、第３図は同平面図、第４図は最
初の２層目の巻取体をセットする直前の状態を示したト
レイの縦断正面図、第５図は最初の３層目をセットした
状態のトレイの縦断正面図、第６図は梱包し終わった集
合包装体の縦断正面図、第７図ａ〜ｊは多数の他の実施
例を示した包装用仕切板の平面略図、第８図は従来の包
装用仕切板の使用例を示した集合包装状態の斜視図、第
９図は包装用仕切板の従来例を示した平面図である。 11…包装用仕切板、 12…巻取体、 13…孔、 14…折線Ｙ、 15…トレイ、 16…キャップ（巻取体の中心位置固定手段）、 17…芯孔、 18…紙管（巻取体の中心位置固定手段）、 19…蓋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】芯孔を有する巻取体を林立した状態で多段
   に積み重ねて集合包装する際、上段の物体と下段の物体
   間にはさんで使用する包装用仕切板であって、該仕切板
   に、巻取体の芯孔に嵌合する巻取体の中心位置固定手段
   を嵌合できる孔が、３列以上の列をなしてあけられてい
   るものにおいて、該仕切板に、この仕切板を上記孔の列
   に沿って折り曲げるための折線が、２つの孔の列の中間
   位に配して、一本以上形成されていること、を特徴とす
   る包装用仕切板。