JPH06342672A - ナトリウム−硫黄電池及びその製造方法 - Google Patents

ナトリウム−硫黄電池及びその製造方法

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JPH06342672A
JPH06342672A JP5250784A JP25078493A JPH06342672A JP H06342672 A JPH06342672 A JP H06342672A JP 5250784 A JP5250784 A JP 5250784A JP 25078493 A JP25078493 A JP 25078493A JP H06342672 A JPH06342672 A JP H06342672A
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sodium
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electrolyte tube
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吉彦 蔵島
Hiromochi Tsuji
博以 辻
Akihiro Bito
章博 尾藤
Kenji Morimoto
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体電解質管が破損して、ナトリウムと硫黄
との直接反応により高温の多硫化ナトリウムが生成され
た場合でも、その多硫化ナトリウムを速やかに固化し
て、ナトリウムと硫黄との直接反応を終息抑制する。ま
た、固体電解質管と安全管の間の間隙を少なく保持し、
そこに存在するナトリウムを少なくして、固体電解質管
の破損時の急激な温度上昇を防止する。 【構成】 有底円筒状の固体電解質管4の内側と外側に
陰極室R1及び陽極室R2を形成する。固体電解質管4
の内側に耐食性を有する金属材料よりなる有底円筒状の
安全管8を近接配置する。陰極室R1内にはナトリウム
Naを収容し、陽極室R2内には硫黄Sを収容する。電
池動作温度で陽極室R2の圧力が陰極室R1の圧力より
も高くなるように設定する。電池動作温度で固体電解質
管4と安全管8との間隙gが0.01mmから0.1m
mの範囲となるように設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 この発明は、電力貯蔵用等の二
次電池として利用されるナトリウム−硫黄電池及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 従来のナトリウム−硫黄電池において
は、有底円筒状の固体電解質管の内側と外側に陰極室及
び陽極室が形成され、その陰極室内にはカートリッジが
配設されている。そして、そのカートリッジの内部から
カートリッジと固体電解質管との間の間隙部に陰極活物
質としてのナトリウムが供給され、陽極室内には陽極活
物質としての硫黄が収容されている。そして、290〜
350℃の動作温度に加熱された状態で、陰極室のナト
リウムがナトリウムイオンとなって固体電解質管を透過
して陽極室の硫黄と反応して、放電が行われるようにな
っている。
【0003】この種のナトリウム−硫黄電池において
は、その動作中に固体電解質管が破損した場合、陰極室
のナトリウムと陽極室の硫黄とが直接反応して、発熱を
伴いながら多硫化ナトリウムを生成する。そして、この
多硫化ナトリウムの腐食性と発熱反応による高温とか
ら、金属製の容器が溶けてしまうという危険があった。
また、この反応はナトリウムと硫黄とが存在している限
り、継続して発生するものであった。
【0004】このような反応を抑制するために、例えば
特開平2−112168号公報に示すように、カートリ
ッジと固体電解質管との間の間隙部に、耐食性を有する
アルミニウムやステンレス等の金属材料よりなる有底円
筒状の安全管を配設したナトリウム−硫黄電池が、従来
から提案されている。そして、このナトリウム−硫黄電
池では、固体電解質管の内側に滞留するナトリウムの量
を少なくするようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 ところが、この従来
構成のナトリウム−硫黄電池においては、固体電解質管
と安全管との間隙が0.1mmから0.5mmの範囲に
設定されている。そのため、ナトリウムと硫黄との直接
反応によって生成される多硫化ナトリウムが固化するこ
となく、固体電解質管と安全管との間隙に沿って沈降
し、ナトリウムと硫黄との直接反応が続行されて、十分
な安全性を確保することができないという問題があっ
た。
【0006】加えて、放電反応が進行すると安全管内の
ナトリウム量が減少するため、ナトリウムによる浮力に
よって安全管が浮き上がり、固体電解質管と安全管の間
の間隙が広くなって、そこに存在するナトリウムが増加
する。そのため、異常時に固体電解質管が破損した場
合、その間隙に存在するナトリウムと硫黄が反応して急
激な温度上昇を伴うという問題があった。
【0007】この発明は、このような従来の技術に存在
する問題に着目してなされたものである。その第1の目
的は、固体電解質管が破損して、ナトリウムと硫黄との
直接反応により高温の多硫化ナトリウムが生成された場
合でも、その多硫化ナトリウムを速やかに固化して、ナ
トリウムと硫黄との直接反応を終息抑制することがで
き、大事故に繋がるおそれを防止することができるナト
リウム−硫黄電池を提供することにある。
【0008】また、第2の目的は、固体電解質管と安全
管の間の間隙を少なく保持して、そこに存在するナトリ
ウムを少なく維持し、固体電解質管が破損した場合の急
激な温度上昇を防止して安全性を向上させることができ
るナトリウム−硫黄電池を提供することにある。
【0009】また、第3の目的は、固体電解質管が破損
しても陰極室のナトリウムが陽極室に浸入することを防
止し、大事故に繋がるおそれを回避することができるナ
トリウム−硫黄電池を提供することにある。
【0010】しかも、第4の目的は、固体電解質管が破
損し、ナトリウムと硫黄との直接反応によって電池内の
温度が上昇した場合に、固体電解質管と安全管との間隙
を下部ほど先に閉塞させてナトリウムの供給を断ち、事
故が継続するおそれを防止できるナトリウム−硫黄電池
を提供することにある。
【0011】さらに、第5の目的は安全管の浮き上がり
を防止して固体電解質管と安全管の間の間隙を保持して
安全性を確保できるナトリウム−硫黄電池を提供するこ
とにある。
【0012】また、この発明の第6の目的は、固体電解
質管と安全管とを所定間隙をおいて容易に組み付けるこ
とができるナトリウム−硫黄電池の製造方法を提供する
ことにある。
【0013】加えて、第7の目的は、固体電解質管と安
全管との間により安全性を高めるための間隙を形成して
容易に組み付けることができるナトリウム−硫黄電池の
製造方法を提供することにある。
【0014】そして、第8の目的は、絶縁リングに陽極
容器と陰極金具を熱圧接合すると同時に、固体電解質管
と安全管との間隙を設定でき、製造工数を減少させるこ
とができて、製造コストを低減できるナトリウム−硫黄
電池の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】 上記の第1、第2の目
的を達成するために、請求項1に記載のナトリウム−硫
黄電池の発明では、有底筒状の固体電解質管の内側と外
側に陰極室及び陽極室を形成し、固体電解質管の内側に
金属材料よりなる有底筒状の安全管を近接配置し、陰極
室内にはナトリウムを収容すると共に、陽極室内には硫
黄を収容してなるナトリウム−硫黄電池において、電池
動作温度で前記固体電解質管と安全管との間隙が0.0
1mmから0.1mmの範囲となるように設定したこと
を特徴とするものである。
【0016】また、第1〜第3の目的を達成するため
に、請求項2に記載の発明では、電池の充電時及び放電
時にわたって、陽極室の圧力が陰極室の圧力よりも高い
ことを特徴とするものである。
【0017】さらに、第1〜第4の目的を達成するため
に、請求項3に記載の発明では、電池の動作温度におい
て、固体電解質管と安全管との間隙が上部より下部の方
が小さいことを特徴とするものである。
【0018】第1〜第5の目的を達成するために、請求
項4に記載の発明では、前記陰極室内の上部空間に放電
時において安全管の浮き上がりを防止する弾性部材を配
置したことを特徴とするものである。
【0019】また、上記第6の目的を達成するために、
請求項5に記載のナトリウム−硫黄電池の製造方法の発
明では、有底筒状の固体電解質管の内側と外側に陰極室
及び陽極室を形成し、固体電解質管の内側に金属材料よ
りなる有底筒状の安全管を近接配置し、陰極室内にはナ
トリウムを収容すると共に、陽極室内には硫黄を収容し
てなるナトリウム−硫黄電池において、前記固体電解質
管内に安全管を挿入した後、安全管の内部から圧力を付
与して、安全管を固体電解質管の内周面と接触するよう
に変形させ、この状態で固体電解質管及び安全管を電池
動作温度よりも高い温度まで加熱した後に冷却して、固
体電解質管と安全管との間に、電池動作温度で0.01
mmから0.1mmの範囲の間隙が形成されるようにし
たことを特徴とするものである。
【0020】さらに、前記第6、第7の目的を達成する
ために、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の
発明において、前記安全管の開口端部側の加熱温度を安
全管の底部側の加熱温度より高く設定したことを特徴と
するものである。
【0021】加えて、上記の第6、第7の目的を達成す
るために、請求項7に記載の発明では、有底筒状の固体
電解質管の内側と外側に陰極室及び陽極室を形成し、固
体電解質管の内側に金属材料よりなる有底筒状の安全管
を近接配置し、陰極室内にはナトリウムを収容すると共
に、陽極室内には硫黄を収容してなるナトリウム−硫黄
電池において、前記安全管の周壁に予め軸線方向へ延び
る凹凸状の溝を形成し、その安全管を固体電解質管内に
挿入した状態で、安全管の内部から圧力を付与して、安
全管を固体電解質管の内周面と接触するように変形さ
せ、固体電解質管と安全管との間に、電池動作温度で
0.01mmから0.1mmの範囲の間隙が形成される
ようにしたことを特徴とするものである。
【0022】また、前記第6〜第8の目的を達成するた
めに、請求項8に記載の発明では、有底筒状の固体電解
質管の開口端部外周に絶縁リングを接合し、この絶縁リ
ングに陽極金具又は陽極容器と陰極金具とを熱圧接合
し、前記固体電解質管の内側と外側に陰極室及び陽極室
を形成すると共に、固体電解質管の内側に耐食性を有す
る金属材料よりなる有底筒状の安全管を近接配置し、前
記陰極室内にはナトリウムを収容し、かつ陽極室内には
硫黄を収容してなるナトリウム−硫黄電池において、前
記固体電解質管内に安全管を挿入した後、安全管の内部
から圧力を付与して、安全管を固体電解質管の内周面と
接触又は一定の間隙を有するように変形させ、この状態
で固体電解質管及び安全管を電池動作温度よりも高い温
度まで加熱して、絶縁リングに陽極金具又は陽極容器と
陰極金具を熱圧接合した後、冷却して、固体電解質管と
安全管との間隙を、電池動作温度では0.01〜0.1
mmとなるように設定したことを特徴とするものであ
る。
【0023】
【作用】 上記のように構成されたこの発明のナトリウ
ム−硫黄電池においては、電池動作温度で固体電解質管
と安全管との間隙が0.01mmから0.1mmの範囲
となるように極めて狭く設定されている。このため、ナ
トリウムと硫黄との直接反応により高温の多硫化ナトリ
ウムが生成された場合でも、その多硫化ナトリウムを速
やかに固化することができる。従って、ナトリウムと硫
黄との直接反応を終息抑制することができて、大事故に
繋がるおそれを防止することができる。
【0024】また、この発明のナトリウム−硫黄電池で
は、電池の充電時及び放電時にわたって、陽極室の圧力
が陰極室の圧力よりも高く設定されている。そのため、
異常時に固体電解質管が破損したとき、陰極室より陽極
室へのナトリウムの浸入が効果的に防止される。
【0025】しかも、電池の動作温度において、固体電
解質管と安全管との間隙が上部より下部の方が小さくな
るように設定されている。このため、異常時に電池内の
温度が上昇したとき、固体電解質管と安全管との間隙が
下部ほど早く閉塞されて、ナトリウムの供給が停止さ
れ、安全性が確保される。
【0026】また、この発明のナトリウム−硫黄電池で
は、陰極室内の上部空間に放電時において安全管の浮き
上がりを防止する弾性部材を配置した。このため、放電
時に陰極室内のナトリウムが減少して安全管に浮力が生
じても、弾性部材がこの安全管を押さえて、その浮き上
がりを防止する。従って、固体電解質管と安全管との間
に存在するナトリウム量が増加することがなく、固体電
解質管が破損した場合の急激な温度上昇を防止すること
ができる。
【0027】さらに、この発明のナトリウム−硫黄電池
の製造方法においては、固体電解質管内に安全管が挿入
された後、安全管の内部から圧力が付与されて安全管が
固体電解質管の内周面と接触するか、又は固体電解質管
との間に一定の間隔が形成される。この状態で、固体電
解質管と安全管が電池動作温度よりも高い温度まで加熱
され、その後冷却されることにより固体電解質管と安全
管との間に所定の間隙、すなわち0.01mmから0.
1mmの間隙が容易に形成される。その結果、固体電解
質管と安全管との間隙が電池動作温度では所定間隙が保
持される。
【0028】さらに、ナトリウム−硫黄電池の製造方法
では、安全管の周壁に予め軸線方向へ延びる凹凸状の溝
が形成されているため、固体電解質管と安全管との間隙
が容易かつ確実に形成される。
【0029】加えて、この発明の製造方法においては、
絶縁リングに陽極金具又は陽極容器と陰極金具を熱圧接
合する操作とともに、固体電解質管と安全管とを接触又
は一定の間隙を有するように変形した後、冷却する。従
って、熱圧接合と同時に固体電解質管と安全管との間隙
を形成することができる。
【0030】また、この発明の方法では、安全管の開口
端部側の加熱温度を安全管の底部側の加熱温度より高く
設定したことから、冷却後に形成される固体電解質管と
安全管との間隙が安全管の開口端部より底部で小さくな
る。従って、異常時には安全管の底部側の隙間が早く閉
塞されて、間隙に存在するナトリウムがなくなりナトリ
ウムと硫黄の反応が抑制されて、安全性が向上する。
【0031】
【実施例】 (第1実施例) 以下、請求項1〜3に記載の発明を具体化したナトリウ
ム−硫黄電池の一実施例を、図1及び図2に基づいて詳
細に説明する。
【0032】図1に示すように、陽極容器1は有底円筒
状に形成されている。アルファアルミナよりなる絶縁リ
ング2は陽極容器1の上端開口部に接合固定され、その
上面には陰極蓋3が接合固定されている。ベータアルミ
ナ等よりなる有底円筒状の固体電解質管4は絶縁リング
2の下端内周に接合固定され、この固体電解質管4の内
側には陰極室R1が区画形成されると共に、外側には陽
極室R2が区画形成されている。
【0033】カートリッジ5は前記陰極室R1内に配設
され、このカートリッジ5内には陰極活物質としてのナ
トリウムNaが収容されている。小孔6はカートリッジ
5の底部に設けられ、この小孔6を通してカートリッジ
5内のナトリウムNaが、カートリッジ5と安全管8と
の間の間隙部に供給される。窒素ガスやアルゴンガス等
の不活性ガスGはカートリッジ5の上部空間に所定の圧
力で封入され、この不活性ガスGによりカートリッジ5
内のナトリウムNaが小孔6から流出する方向へ加圧さ
れている。
【0034】カーボンマット等よりなる陽極用導電材7
は前記陽極室R2内に収容され、この陽極用導電材7に
は陽極活物質としての硫黄Sが含浸されている。また、
この実施例においては、290〜350℃の電池動作温
度で、陽極室R2の圧力が陰極室R1の圧力よりも高く
なるように設定されている。
【0035】有底円筒状の安全管8は前記カートリッジ
5と固体電解質管4との間の間隙部に配設され、ナトリ
ウムや多硫化ナトリウムに対して耐食性を有するアルミ
ニウム、アルミニウム合金、ステンレス等の金属材料か
ら形成されている。また、この実施例においては、29
0〜350℃の電池動作温度で、固体電解質管4と安全
管8との間の間隙gが0.01mmから0.1mmの範
囲となるように設定されている。
【0036】そして、放電時に前記カートリッジ5の小
孔6から供給されるナトリウムNaが、この安全管8と
カートリッジ5との間の間隙内で上方に移動された後、
安全管8の上端を乗り越えて、安全管8と固体電解質管
4との間の間隙g内で下方に移動され、さらに、固体電
解質管4をナトリウムイオンとなって透過して、陽極室
R2側へ移動されるようになっている。
【0037】次に、前記のように構成されたこの実施例
のナトリウム−硫黄電池について作用を説明する。さ
て、このナトリウム−硫黄電池の完全充電完了状態にお
いては、大半のナトリウムNaがカートリッジ5内に貯
留されている。この状態で放電を開始すると、カートリ
ッジ5の上部空間に封入された不活性ガスGの圧力によ
り、カートリッジ5内のナトリウムNaが小孔6を通っ
て流出され、安全管8とカートリッジ5との間の間隙内
で上方に移動される。その後、ナトリウムNaは安全管
8の上端を乗り越えて、安全管8と固体電解質管4との
間の間隙g内で下方に移動され、さらに、固体電解質管
4をナトリウムイオンとなって透過して、陽極室R2側
へ移動される。そして、このナトリウムNaが陽極室R
2内の硫黄Sと反応して、多硫化ナトリウムが生成され
る。
【0038】この電池の動作中において、固体電解質管
4が破損した場合には、陰極室R1のナトリウムNaと
陽極室R2の硫黄Sとが直接反応して、高温の多硫化ナ
トリウムが発生する。ところが、この実施例において
は、電池動作温度で陽極室R2の圧力が陰極室R1の圧
力よりも高くなるように設定されているため、固体電解
質管4の破損時に、陽極活物質としての硫黄Sが陽極室
R2内から陰極室R1側へ確実に侵入して、ナトリウム
Naと硫黄Sとの直接反応場所を、固体電解質管4と安
全管8との間隙gに限定することができる。
【0039】そして、このような圧力設定をすることに
より、固体電解質管4の破損直後におけるナトリウムN
aと硫黄Sとの反応場所は勿論のこと、多硫化ナトリウ
ムが生成された後の反応場所も、固体電解質管4と安全
管8との間隙gに限定することができて、反応を安全に
推移させることができる。
【0040】さらに、この実施例においては、電池動作
温度で固体電解質管4と安全管8との間の間隙gが0.
01mmから0.1mmの範囲となるように設定されて
いる。このため、ナトリウムNaと硫黄Sとの直接反応
によって高温の多硫化ナトリウムが生成された場合で
も、その多硫化ナトリウムが固体電解質管4と安全管8
との間隙gに沿って沈降することはなく、間隙gの途中
で固化する。そのため、固体電解質管4の破損部分が閉
塞され、ナトリウムNaと硫黄Sとが分離状態に保持さ
れる。従って、ナトリウムNaと硫黄Sとの直接反応を
速やかに終息抑制することができて、大事故に繋がるお
それを確実に防止することができる。
【0041】ちなみに、固体電解質管4と安全管8との
間隙gを種々に変更すると同時に、陽極室R2の圧力を
陰極室R1の圧力より高くなるように設定した場合と、
しなかった場合について、固体電解質管4を過充電によ
り強制的に破損させて、温度上昇試験を行った。その結
果を図2に示す。この結果より、固体電解質管4と安全
管8との間隙gが0.15mm(直径差で0.30m
m)よりも小さくなったとき、温度上昇が次第に小さく
なり、間隙gが0.1mm(直径差で0.20mm)よ
りも小さくなったとき、温度上昇が急激に減少すること
が確認された。しかも、上記のような圧力設定をした場
合には、圧力設定しない場合に比べて間隙gが0.1m
mより小さくなったときの温度上昇が極めて少ない。
【0042】これは、固体電解質管4の破損直後におけ
るナトリウムNaと硫黄Sとの反応量がその後に続く反
応性に影響を及ぼすためである。そして、初期の反応量
が所定値以下の場合には温度上昇が小さく、反応生成物
である多硫化ナトリウムが固化してナトリウムNaと硫
黄Sとが分離状態に維持され反応は終息する。ところ
が、初期の反応量が所定値を越える場合には、多硫化ナ
トリウムが固化しないで、ナトリウムNaと硫黄Sとの
反応が続行して、温度上昇が継続するものと推定され
る。
【0043】この場合、ナトリウムNaと硫黄Sとの初
期反応量とは、固体電解質管4の表面当たりの反応量を
指すものであり、この実施例ではナトリウムNaと硫黄
Sとの反応が、固体電解質管4と安全管8との間隙gで
生じるため、固体電解質管4の表面当たりのナトリウム
Naの量で、この反応量を規制することができる。な
お、この試験において、固体電解質管4と安全管8との
間隙部gの体積は、室温で間隙部g内に濡れ性の良好な
例えばプロピルアルコール等の液体を注入して、その重
量と比重から求めた。
【0044】このように、固体電解質管4と安全管8と
の間隙gを0.1mmよりも小さくすることにより、温
度上昇が制限されて、電池の燃焼等に繋がる危険を回避
できることがわかった。一方、電池の動作時において固
体電解質管4と安全管8との間隙gが0.01mmより
も小さいと、通電に伴う発熱により安全管8が膨脹して
間隙gがなくなり、陰極として動作できなくなるおそれ
がある。このため、通常の温度上昇を30℃まで許容す
るものとして、固体電解質管4と安全管8との間隙g
を、電池動作温度で0.01mmよりも大きく設定する
必要があった。
【0045】なお、陽極室R2の圧力を陰極室R1の圧
力より高くする場合、陰極室R1の通常の圧力に対して
3気圧以下の圧力の範囲内で陰極室R1の圧力より高く
設定される。
【0046】次に、固体電解質管4の破損箇所について
の上下位置とその位置での陽極容器1表面の温度を測定
した結果を図3(a),(b)に示した。なお、実施例
では固体電解質管4と安全管8との間隙が上部よりも下
部の方が小さい場合を示す。また、各位置における温度
は陽極容器1の表面で測定した値である。破損位置は解
体して調査した。
【0047】この図3に示したように、従来例では固体
電解質管4の中央位置より下部では相当の発熱があって
温度上昇が大きく、底部では450℃に達している。そ
れに比べて、実施例では固体電解質管4の下部における
固体電解質管4と安全管8との間隙が小さくナトリウム
の供給が断たれることから、その温度上昇が抑制され底
部で390℃にとどまっている。 (第2実施例)次に、請求項5に記載の発明を具体化し
たナトリウム−硫黄電池の製造方法の一実施例を、図4
に基づいて説明する。
【0048】さて、この実施例においては、例えば固体
電解質管4として外径が40.0mmで、肉厚が1.7
mmで、長さが350mmのものを用い、安全管8とし
て外径が35.6mmで、肉厚が1.0mmのものを用
いる。そして、図4(a)に示すように、まず固体電解
質管4内に予め熱処理して焼なました安全管8を挿入す
る。その後、図4(b)に示すように、安全管8の内部
からチューブ等を用いて水圧等の圧力を付与して、安全
管8を固体電解質管4の内周面と接触するように変形さ
せる。
【0049】この状態で、固体電解質管4及び安全管8
を電池動作温度(350℃)よりも高い温度(450
℃)まで加熱処理した後に冷却する。すると、電池動作
温度と熱処理温度との差に基づく固体電解質管4と安全
管8との熱膨張差によって、図4(c)に示すように、
固体電解質管4と安全管8との間に、電池動作温度で
0.01mmから0.1mmの範囲の間隙gが形成され
る。なお、450℃の場合には、間隙gは0.04mm
(直径差で0.08mm)である。
【0050】このように製造することにより、金属材料
製の安全管8をセラミック焼結体である固体電解質管4
の内周面に沿わせて、所定の微小間隙gを形成した状態
で容易に組付配置することができ、安全性を飛躍的に向
上させることができる。 (第3実施例)次に、請求項7に記載の発明を具体化し
たナトリウム−硫黄電池の製造方法の一実施例を、図5
及び図6に基づいて説明する。
【0051】さて、この実施例においては、例えば固体
電解質管4として外径が40.0mmで、肉厚が1.7
mmで、長さが350mmのものを用い、安全管8とし
て外径が35.6mmで、肉厚が1.0mmのものを用
いる。また、図5(a)及び図6に示すように、安全管
8の周壁には予め軸線方向へ延びる凹凸状の溝9を形成
しておく。この溝9は深さ0.01〜0.1mmで凸部
の個数は10個、その延べ周長は円周長の50%であ
る。
【0052】そして、図5(a)及び図6に示すよう
に、安全管8を固体電解質管4内に挿入した状態で、安
全管8の内部からチューブ等を用いて水圧等の圧力を付
与して、安全管8を固体電解質管4の内周面と接触する
ように変形させる。すると、図5(b)に示すように、
前記凹凸状の溝9によって、固体電解質管4と安全管8
との間には、電池動作温度で0.01mmから0.1m
mの範囲の間隙gが形成される。
【0053】従って、この実施例においても、金属材料
製の安全管8をセラミック焼結体である固体電解質管4
の内周面に沿わせて、所定の微小間隙gを形成した状態
で容易に組付配置することができ、安全性を飛躍的に向
上させることができる。 (第4実施例)次に、請求項4に記載の発明を具体化し
た実施例について図7〜図9に従って説明する。
【0054】図7に示すように、弾性部材としての皿ば
ね10は陰極室R1の上部において、その外周縁が安全
管8の上端面に支持され、その中心部が収容容器として
のカートリッジ5の上端面に接触している。図8に示す
ように、この皿ばね10の中心は複数の放射状をなす線
状体11により構成され、カートリッジ5に対する下方
への付勢力が強くならないようになっている。この皿ば
ね10の付勢力があまり大きいとカートリッジ5の底部
が安全管8を介して固体電解質管4を強く押さえるた
め、固体電解質管4が破損するおそれがあって好ましく
ない。なお、この皿ばね10はステンレス鋼で形成さ
れ、耐熱性及び耐ナトリウム性を有している。
【0055】また、図9(a)に示すように、カートリ
ッジ5の底面には突起16が4箇所に設けられ、カート
リッジ5が下方へ付勢されたときこの突起16が安全管
8を押圧してカートリッジ5と安全管8間の間隙を保持
し、ナトリウムの流路を塞がないようにしている。な
お、この突起16に代えて、図9(b)に示すようなリ
ブ17を複数箇所に設けてもよい。
【0056】さて、この実施例では陰極室R1内の上部
空間に皿ばね10を配置して安全管5内に設けられたカ
ートリッジ5の上方への移動を阻止するようにした。一
方、電池の放電時においてはカートリッジ5内のナトリ
ウムがナトリウムイオンとなって固体電解質管4を透過
して陽極室R2へ移動するため、カートリッジ5内のナ
トリウムが減少する。このとき、カートリッジ5内のナ
トリウムの重量が小さくなり、カートリッジ5外のナト
リウムによりカートリッジ5には浮力が生じる。
【0057】しかし、カートリッジ5の上端面中央には
皿ばね10の線状体11が接触状態で配置されているこ
とから、カートリッジ5の浮力をこの皿ばね10が弾性
力により適度な力をもって受け止めることができる。そ
のため、放電時におけるカートリッジ5の浮き上がりを
確実に防止することができる。従って、固体電解質管4
と安全管8との間に存在するナトリウム量を増加させる
ことがなく、固体電解質管4が破損した場合の急激な温
度上昇を防止することができる。加えて、従来のように
カートリッジ5が浮き上がって充電時に元の位置へ戻ら
ないというような事態が防止される。その結果、電池の
安全性が向上する。 (第5実施例)さらに、請求項4に記載の発明を具体化
した実施例について図10,11に従って説明する。
【0058】図11(a),(b)に示すように、弾性
部材としての板ばね14は両側部に折曲形成された浮き
上がり防止部14aを有している。図10に示すよう
に、この板ばね14が陰極室R1の上部において、その
両端が絶縁リング2に設けられた段差15に係合され
て、上方への移動が防止される。また、板ばね14は両
側位置に設けられた浮き上がり防止部14aが安全管8
の上端面に接して、安全管8の浮き上がりを防止してい
る。
【0059】さて、この実施例では安全管8の上端面が
板ばね14の浮き上がり防止部14aに当接しているこ
とから、ナトリウムによる安全管8の浮力をこの板ばね
14が受け止めることができる。そのため、放電時にお
ける安全管8の浮き上がりを直接かつ確実に防止するこ
とができ、電池の安全性が向上する。 (第6実施例)次に、請求項8に記載の発明を具体化し
たナトリウム−硫黄電池の製造方法の第6実施例を、図
15(a)〜(e)及び図16,17に基づいて説明す
る。
【0060】図15(a)に示すように、ベータアルミ
ナ製の固体電解質管4は絶縁リング2の下端内周に接合
固定されている。図15(b)に示すように、アルミニ
ウム製の安全管8は固体電解質管4内に挿入され、安全
管8と固体電解質管4との間隙g0 が0.2〜0.45
mmに設定されている。図15(c)に示すように、ゴム
製のチューブ10は安全管8内に挿入され、そのチュー
ブ20内に水Wが圧入されて安全管8の内側から60kg
/cm2の水圧が加えられる。そして、安全管8を固体電解
質管4の内面に沿わせるようにして膨張圧着させる。
【0061】この場合、安全管8と固体電解質管4との
間にはわずかな一定間隙g1 、すなわち0.05〜0.
07mmの間隙が形成される。その場合、この間隙g1
固体電解質管4の内径に対して0.4%以下に設定する
ことにより、後の加熱工程で安全管8を固体電解質管4
に確実に密着させることができる。ただし、固体電解質
管4がセラミックの一種であるベータアルミナにより形
成されており、真円状に形成することが困難であること
から、予め安全管8を固体電解質管4に密着させておく
ことが望ましい。すなわち、固体電解質管4に発生する
直径のばらつき、つまり公差に対応させておく方がその
後に形成される間隙g2 を所定値に保持するために好ま
しい。また、前記水圧は固体電解質管4の強度と安全管
8の材質や厚さなどに応じて適切な値に設定される。そ
して、その後このチューブ20を安全管8内から抜き出
す。
【0062】図15(d)に示すように、絶縁リング2
の下面には蝋材21を介して上端が内側へ折曲形成され
た陽極容器1が配置されるとともに、陽極容器1の内側
に加圧治具22が配置される。絶縁リング2の上面には
蝋材21を介して陰極金具23が配置されると同時に、
その上に加圧治具22が配置される。この蝋材21とし
ては、アルミニウム−シリカ−マグネシウム系のものや
アルミニウム−マグネシウム系のものが使用される。そ
して、この状態で装置全体がアルミニウムの酸化を防止
するため真空下、例えば1×10-4torrの真空下に置か
れ、550℃に加熱されるとともに、両加圧治具12が
約6kg/mm2の圧力に加圧される。この熱圧接合(TC
B)により、絶縁リング2に陽極容器1と陰極金具23
が接合される。この熱圧接合は通常500〜600℃の
温度範囲で行われる。このとき、真空状態に保持する操
作に代えて、窒素などの不活性ガスの雰囲気下で操作し
てもよい。なお、図17に示すように、陽極容器1と絶
縁リング2との間に陽極金具24が介装される場合に
は、熱圧接合により、絶縁リング2に陽極金具24が接
合される。
【0063】その後、電池の動作温度である330℃ま
で冷却されると、ナトリウムの移動が許容される0.0
5〜0.06mmの間隙g2 が形成される。次いで、さら
に冷却されて、常温に戻される。このとき、図15
(e)に示すように、安全管8と固体電解質管4との間
に0.15〜0.16mmの間隙g3 が形成される。
【0064】この間隙g3 の形成過程を図16によって
説明すると、30℃では安全管8の外径は固体電解質管
4の内径より寸法がわずかに小さく、一定の間隙g1
形成されている。次に、550℃までヒータにより加熱
すると、アルミニウム製の安全管8はベータアルミナ製
の固体電解質管4より熱膨張率が大きいため、固体電解
質管4の内側に位置する安全管8は固体電解質管4に密
着し、初期の間隙g1はなくなる。
【0065】ちなみに、熱膨張率はアルミニウムが24
×10-6/℃、ベータアルミナが7.2×10-6/℃で
ある。次に、その状態から電池の動作温度である330
℃まで冷却すると、安全管8の方が固体電解質管4より
収縮が大きいことから、安全管8と固体電解質管4との
間に一定の間隙g2 が形成される。すなわち、この間隙
2 は活物質であるナトリウムの移動を許容するもの
で、0.05〜0.06mmの範囲である。そして、さら
に冷却して室温に戻すと、その間隙g3 は0.15〜
0.16mmとなる。
【0066】このように、この実施例では絶縁リング2
に陽極容器1と陰極金具23とを熱圧接合する作業を行
うときに、同時に間隙形成を行うことができるため、作
業が容易で、能率が良く、工程を簡略化することができ
る。そして、安全管8と固体電解質管4との間隙g3
電池動作温度では所定間隙g2 として保持され、異常高
温度ではその間隙g2 が閉塞され、その部分へのナトリ
ウムの供給が絶たれる。そのため、ナトリウムと硫黄と
の反応が停止され、電池の安全性を確保することができ
る。
【0067】加えて、固体電解質管4が破損すると、そ
の破損部位で内部短絡が起きてその部分で電流集中によ
りジュール熱が発生する。しかし、この実施例では前述
のようにナトリウムの供給が絶たれることから、破損部
位での異常高温の発生が防止される。 (第7実施例)次に、請求項6に記載の発明を具体化し
た第7実施例について説明する。
【0068】この実施例では、第6実施例とは加熱条件
が異なる。すなわち、安全管8の底部側の温度を開口端
部側の温度より低い450℃に設定し、安全管8の上下
方向で温度勾配を設ける。この場合、図16に示すよう
に、加熱後動作温度まで冷却したとき、安全管8の底部
側は温度差が少ないので、その収縮量が少ない。そのた
め、図18に示すように、安全管8の底部側と固体電解
質管4との間隙g4 は、安全管8の開口端部側と固体電
解質管4との間隙g2 に比べて狭くなる。
【0069】従って、電池の異常時に温度上昇したと
き、安全管8の底部側の間隙g4 が先に閉塞される。ナ
トリウム−硫黄電池においては、この安全管8の底部側
に破損部分があるときに、温度上昇が大きく、この部分
は異常時には危険な領域となる。そのため、この部分に
ナトリウムが供給されなくなることにより、ナトリウム
と硫黄の反応の継続が停止され、安全性が向上する。
【0070】なお、この発明は前記実施例の構成に限定
されるものではなく、この発明の趣旨から逸脱しない範
囲で、例えば以下のように構成を任意に変更して具体化
することも可能である。 (a)安全管8の材料として、アルミニウムやステンレ
スの外に、アルミニウム合金や超塑性合金、例えば二相
ステンレス鋼や銅などを使用すること。 (b)図12に示すように、第4実施例における弾性部
材として、外周縁の線状体12と直径方向に延びる複数
の線状体11とから構成すること。 (c)図13及び図14に示すように、弾性部材を中心
部の円板13とその外周部から放射状に延びる複数の線
状体11とから構成すること。 (d)弾性部材として板ばねやコイルばねを用いるこ
と。 (e)安全管8を押さえるように付勢部材を構成するこ
と。 (f)弾性部材として、耐食性と耐熱性に優れたインコ
ネル(Ni−Cr−Fe系合金)などを用いること。 (g)第6又は第7実施例において、ゴム製のチューブ
20内に水以外の液体やエアなどの気体を圧入するこ
と。 (h)第7実施例で、安全管8の開口端部より底部側の
温度を電池の動作温度からTCBに必要な温度の範囲内
で適宜の温度に設定したり、複数の温度に設定したりす
ること。
【0071】
【発明の効果】 この発明は、以上説明したように構成
されているため、次のような優れた効果を奏する。この
発明のナトリウム−硫黄電池によれば、固体電解質管が
破損して、ナトリウムと硫黄との直接反応により高温の
多硫化ナトリウムが生成された場合でも、その多硫化ナ
トリウムを速やかに固化して、ナトリウムと硫黄との直
接反応を終息抑制することができ、大事故に繋がるおそ
れを防止することができる。
【0072】さらに、固体電解質管と安全管の間の間隙
を少なく保持して、そこに存在するナトリウムを少なく
維持でき、固体電解質管が破損した場合の急激な温度上
昇を防止して安全性を向上させることができる。
【0073】また、固体電解質管が破損しても陰極室の
ナトリウムが陽極室に浸入することを防止し、大事故に
繋がるおそれを回避することができる。しかも、固体電
解質管が破損し、ナトリウムと硫黄との直接反応によっ
て電池内の温度が上昇した場合に、固体電解質管と安全
管との間隙を下部ほど先に閉塞させてナトリウムの供給
を断って、事故が継続するおそれを防止することができ
る。
【0074】加えて、安全管の浮き上がりを防止して固
体電解質管と安全管の間の間隙を保持して安全性を確保
することができる。その上、固体電解質管と安全管の間
の間隙を少なく保持して、そこに存在するナトリウム量
を少なく維持し、固体電解質管が破損した場合の急激な
温度上昇を防止して安全性を向上させることができる。
【0075】また、この発明のナトリウム−硫黄電池の
製造方法によれば、固体電解質管と安全管とを、所定間
隙をおいた状態で容易に組み付けることができる。さら
に、この発明の方法によれば、固体電解質管と安全管と
の間により安全性を高めるための間隙を形成して容易に
組み付けることができる。そして、絶縁リングに陽極容
器と陰極金具を熱圧接合すると同時に、固体電解質管と
安全管との間隙を設定でき、製造工数を減少させること
ができて、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を具体化したナトリウム−硫黄電池
の第1実施例を示す縦断面図である。
【図2】 固体電解質管と安全管との間隙に対して、固
体電解質管の破損時における温度上昇との関係を示すグ
ラフである。
【図3】 (a)は実施例における固体電解質管の上下
位置と温度上昇を示すグラフ、(b)は従来例における
固体電解質管の上下位置と温度上昇を示すグラフであ
る。
【図4】 この発明を具体化したナトリウム−硫黄電池
の製造方法の第2実施例を示す断面図である。
【図5】 この発明を具体化したナトリウム−硫黄電池
の製造方法の第3実施例を示す断面図である。
【図6】 図5(a)のA−A線における断面図であ
る。
【図7】 この発明を具体化したナトリウム−硫黄電池
の第4実施例を示す縦断面図である。
【図8】 皿ばねを示す平面図である。
【図9】 (a),(b)はカートリッジを示す底面図
である。
【図10】 この発明を具体化したナトリウム−硫黄電
池の第5実施例を示す縦断面図である。
【図11】 (a)は板ばねを示す正面図、(b)は板
ばねを示す平面図である。
【図12】 この発明の別例としての弾性部材を示す平
面図である。
【図13】 この発明の別例を示すナトリウム−硫黄電
池の部分断面図である。
【図14】 図12の電池に用いた弾性部材の別例を示
す平面図である。
【図15】 (a)〜(e)は第6実施例のナトリウム
−硫黄電池の製造工程を示す断面図である。
【図16】 安全管と固体電解質管の間隙の温度による
変化を示すグラフである。
【図17】 陽極金具と絶縁リングとの接合状態を示す
部分断面図である。
【図18】 第7実施例のナトリウム−硫黄電池を示す
要部断面図である。
【符号の説明】
4…固体電解質管、8…安全管、9…凹凸状の溝、R1
…陰極室、R2…陽極室、Na…ナトリウム、S…硫
黄、g,g0 ,g1 ,g2 ,g3 ,g4 …安全管と固体
電解質管との間隙、10…弾性部材としての皿ばね。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾藤 章博 名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日本碍子 株式会社内 (72)発明者 森本 健司 名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日本碍子 株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有底筒状の固体電解質管の内側と外側に
    陰極室及び陽極室を形成し、固体電解質管の内側に金属
    材料よりなる有底筒状の安全管を近接配置し、陰極室内
    にはナトリウムを収容すると共に、陽極室内には硫黄を
    収容してなるナトリウム−硫黄電池において、 電池動作温度で前記固体電解質管と安全管との間隙が
    0.01mmから0.1mmの範囲となるように設定し
    たことを特徴とするナトリウム−硫黄電池。
  2. 【請求項2】 電池の充電時及び放電時にわたって、陽
    極室の圧力が陰極室の圧力よりも高いことを特徴とする
    請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池。
  3. 【請求項3】 電池の動作温度において、固体電解質管
    と安全管との間隙が上部より下部の方が小さいことを特
    徴とする請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池。
  4. 【請求項4】 前記陰極室内の上部空間に放電時におい
    て安全管の浮き上がりを防止する弾性部材を配置したこ
    とを特徴とする請求項1に記載のナトリウム−硫黄電
    池。
  5. 【請求項5】 有底筒状の固体電解質管の内側と外側に
    陰極室及び陽極室を形成し、固体電解質管の内側に金属
    材料よりなる有底筒状の安全管を近接配置し、陰極室内
    にはナトリウムを収容すると共に、陽極室内には硫黄を
    収容してなるナトリウム−硫黄電池において、 前記固体電解質管内に安全管を挿入した後、安全管の内
    部から圧力を付与して、安全管を固体電解質管の内周面
    と接触するように変形させ、この状態で固体電解質管及
    び安全管を電池動作温度よりも高い温度まで加熱した後
    に冷却して、固体電解質管と安全管との間に、電池動作
    温度で0.01mmから0.1mmの範囲の間隙が形成
    されるようにしたことを特徴とするナトリウム−硫黄電
    池の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記安全管の開口端部側の加熱温度を安
    全管の底部側の加熱温度より高く設定したことを特徴と
    する請求項5に記載のナトリウム−硫黄電池の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 有底筒状の固体電解質管の内側と外側に
    陰極室及び陽極室を形成し、固体電解質管の内側に金属
    材料よりなる有底筒状の安全管を近接配置し、陰極室内
    にはナトリウムを収容すると共に、陽極室内には硫黄を
    収容してなるナトリウム−硫黄電池において、 前記安全管の周壁に予め軸線方向へ延びる凹凸状の溝を
    形成し、その安全管を固体電解質管内に挿入した状態
    で、安全管の内部から圧力を付与して、安全管を固体電
    解質管の内周面と接触するように変形させ、固体電解質
    管と安全管との間に、電池動作温度で0.01mmから
    0.1mmの範囲の間隙が形成されるようにしたことを
    特徴とするナトリウム−硫黄電池の製造方法。
  8. 【請求項8】 有底筒状の固体電解質管の開口端部外周
    に絶縁リングを接合し、この絶縁リングに陽極金具又は
    陽極容器と陰極金具とを熱圧接合し、前記固体電解質管
    の内側と外側に陰極室及び陽極室を形成すると共に、固
    体電解質管の内側に耐食性を有する金属材料よりなる有
    底筒状の安全管を近接配置し、前記陰極室内にはナトリ
    ウムを収容し、かつ陽極室内には硫黄を収容してなるナ
    トリウム−硫黄電池において、 前記固体電解質管内に安全管を挿入した後、安全管の内
    部から圧力を付与して、安全管を固体電解質管の内周面
    と接触又は一定の間隙を有するように変形させ、この状
    態で固体電解質管及び安全管を電池動作温度よりも高い
    温度まで加熱して、絶縁リングに陽極金具又は陽極容器
    と陰極金具を熱圧接合した後、冷却して、固体電解質管
    と安全管との間隙を、電池動作温度では0.01〜0.
    1mmとなるように設定したことを特徴とするナトリウ
    ム−硫黄電池の製造方法。
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