JPH0633717A - 可変バルブタイミング機構付き動弁系構造 - Google Patents

可変バルブタイミング機構付き動弁系構造

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JPH0633717A
JPH0633717A JP4189762A JP18976292A JPH0633717A JP H0633717 A JPH0633717 A JP H0633717A JP 4189762 A JP4189762 A JP 4189762A JP 18976292 A JP18976292 A JP 18976292A JP H0633717 A JPH0633717 A JP H0633717A
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JP
Japan
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rocker arm
valve
sub
arm
cam
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JP4189762A
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Inventor
Shinichi Murata
真一 村田
Masahiko Kubo
雅彦 久保
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Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
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Publication date
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  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、可変バルブタイミング機構付き動
弁系構造に関し、制作性や小型化や剛性を考慮しなが
ら、振動や騒音の低減及びメンテナンスフリー化を実現
できるようにすることを目的とする。 【構成】 エンジンにそなえられた吸気弁又は排気弁2
と、低速用カム12と、高速用カム13と、低速用カム
12によって駆動されうるメインロッカアーム14と、
高速用カム13によって駆動されるサブロッカアーム1
5と、サブロッカアーム15をメインロッカアーム14
に対する連係状態を切り換えうるモード切換手段とをそ
なえ、弁2へ当接しメインロッカアーム14に対して枢
着されたスイングアーム80と、メインロッカアーム1
4とスイングアーム80との相対位相を調整する液圧式
ラッシュアジャスタ81とが設けられ、スイングアーム
80及び液圧式ラッシュアジャスタ81をメインロッカ
アーム14と上記サブロッカアーム15との間に配設す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンにそなえられ
た吸気弁や排気弁等をクランクシャフトの回転に対応し
て開閉駆動する動弁系に関し、特に、上記弁のバルブタ
イミングを低速用と高速用とで切り換えうる、可変バル
ブタイミング機構付き動弁系構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車社会の成熟とともにエンジンに
対する要求は益々高度化,多様化の傾向を強め、エンジ
ン性能に加えて、振動や騒音の低減,メンテナンスフリ
ー化が進められている。
【0003】例えばエンジン性能の向上のために、自動
車等に用いられるOHC(オーバーヘッドカムシャフ
ト)式エンジンにおいて、吸気バルブや排気バルブを開
閉する動弁系を操作してこれらの吸排バルブの開閉タイ
ミングを変更するようにした装置が開発されている。こ
のような装置(即ち、可変バルブタイミング機構)で
は、例えばカムシャフトに高速用カムと低速用カムとを
装備して、これらの高速用カムと低速用カムとのうちの
いずれかを選択して使用することで、運転状態に対応し
た吸排バルブの開閉タイミングを得られるようになって
いる。
【0004】なお、高速用カムは、高速運転に対応した
開閉タイミングをえることのできるカムプロフィルをそ
なえ、低速用カムは、低速運転に対応した開閉タイミン
グを得ることのできるカムプロフィルをそなえている。
このような高速用カムと低速用カムとの選択機構とし
て、ロッカアーム式カム装置では、ロッカアームを相互
に連結したり、連結を解除したりすることにより、高速
用カムによりバルブを駆動したり、低速用カムによりバ
ルブを駆動したりして、運転状態に対応した吸排バルブ
の開閉タイミングを得ることが行なわれている。
【0005】ところで、一般に、ロッカアームとバルブ
とのクリアランス調整を行なうために、ロッカアームの
バルブ当接部にアジャストスクリュー(タペットねじ)
を設けている。しかし、このアジャストスクリューの場
合、アジャストスクリューとバルブのステム端部との間
に隙間が生じる可能性があり、隙間があると、ロッカア
ームの揺動によるバルブ駆動時に、アジャストスクリュ
ーがバルブステム端部に当接して打撃音を生じることが
あった。特に、可変バルブタイミング機構付きの動弁系
では、ロッカアームとバルブとのクリアランス調整が適
切になされていないと、ロッカアーム同士を相互に連結
しようとする際に、所要の動作が阻害されたりして、バ
ルブタイミングの調整が円滑に行なえなくなるというお
それもある。
【0006】これを回避するには、常に、ロッカアーム
とバルブとのクリアランスを管理して、アジャストスク
リューの端部等の磨耗に応じてアジャストスクリューの
螺合状態を調整しなくてはならなかった。そこで、可変
バルブタイミング機構付きの動弁系において、振動や騒
音の低減,メンテナンスフリー化を進めようと、特開昭
61−81510号公報にて開示された動弁装置が提案
された。この動弁装置では、ロッカアームのバルブ当接
部に、アジャストスクリューに代えて、ハイドロリック
ラッシュアジャスタ(以下、HLAと略す。)を組み込
んで、ロッカアームとバルブとのクリアランスを自動調
整できるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の特開
昭61−81510号公報にて開示された動弁装置で
は、HLAがロッカアームのバルブ当接部に配置されて
いるので、動弁系のバルブ側換算重量が大きくなって、
バルブの動特性の低下を招いて、設計通りにはバルブが
作動しないおそれがある。
【0008】このため、特にエンジンの高回転時の出力
と耐久性に課題が生じる。また、ロッカアームのバルブ
当接部はロッカアームの揺動中心から離れているので、
この当接部に配置されたHLAもロッカアームの揺動中
心から離れており以下の不具合がある。つまり、特にエ
ンジンの高回転時に、HLAがロッカアームの揺動によ
る加速度と遠心力とを受けて、HLAに内蔵されたチェ
ックバルブボールが暴れ易くなるので、HLA内の高圧
室のオイルが流出してバルブリフトロスが拡大するよう
になり、エンジンの出力と耐久性についての課題が益々
重大になる。
【0009】そこで、ロッカアームとは別個に、ロッカ
アームに対して位相調整できるアーム(スイングアー
ム)を設けて、このスイングアームをバルブに当接こせ
るとともにロッカアームとスイングアームとの間に相互
の位相を自動調整しうるHLAを介設することを考え
た。この場合、動弁系の部材が増加するので、各部の配
置等により、以下のような課題が生じる。
【0010】低速用カムと高速用カムとの距離が近く
なるように配置されると、これらのカムをカムシャフト
とともに鋳造する場合、型抜けが悪化する。 低速用カムと高速用カムとの距離が近くなるように配
置されると、低速用カムを研磨する時に、低速用カムよ
りも突出している高速用カムに砥石が干渉するおそれが
ある。
【0011】例えば2バルブタイプの場合などでは、
動弁系の全幅が増加して、設計自由度が小さくなるおそ
れがある。 高速運転時には、高速カムのリフトが、高速用のロッ
カアーム(サブロッカアーム)からピストン(プランジ
ャ)を介して、ロッカシャフトに伝わり、低速用のロッ
カアーム(メインロッカアーム)からスイングアームを
通じてバルブへ伝達される。この動力伝達時、ロッカシ
ャフトに捩じれが生じて、動弁系全体剛性の低下の要因
になる。
【0012】本発明はこのような課題に鑑みて提案され
たもので、制作性がよく小型化でき且つ十分な剛性を確
保しながら、振動や騒音の低減及びメンテナンスフリー
化を確実に実現できるようにした、可変バルブタイミン
グ機構付き動弁系構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の可変
バルブタイミング機構付き動弁系構造は、エンジンにそ
なえられた吸気弁又は排気弁と、低速時バルブタイミン
グ用のカムプロフィルをそなえ該エンジンのクランクシ
ャフトの回転に対応して回動する低速用カムと、高速時
バルブタイミング用のカムプロフィルをそなえ該クラン
クシャフトの回転に対応して回動する高速用カムと、該
低速用カムに当接して該低速用カムによって駆動されう
るメインロッカアームと、該高速用カムに当接して該高
速用カムによって駆動されるサブロッカアームと、該サ
ブロッカアームを該メインロッカアームに連係させない
非連係モードと連係させる連係モードとを切り換えうる
モード切換手段とをそなえ、上記弁に当接して該弁を駆
動する弁当接部をそなえるとともに上記メインロッカア
ームに対して相対位相を可変に枢着されたスイングアー
ムが設けられるとともに、上記メインロッカアームと該
スイングアームとの相対位相を調整する液圧式ラッシュ
アジャスタが設けられて、上記のスイングアーム及び液
圧式ラッシュアジャスタが上記メインロッカアームと上
記サブロッカアームとの間に配設されていることを特徴
としている。
【0014】
【作用】上述の本発明の可変バルブタイミング機構付き
動弁系構造では、エンジンのクランクシャフトの回転に
対応して低速用カム及び高速用カムが回転し、これらの
低速用カム及び高速用カムに連動してメインロッカアー
ムが作動する。そして、このメインロッカアームがスイ
ングアームを揺動させて、このスイングアームを通じ
て、上記吸気弁又は排気弁が開閉駆動される。
【0015】この時、モード切換手段を通じてサブロッ
カアームが該メインロッカアームに連係しない非連係モ
ードに設定されると、メインロッカアームは、低速用カ
ムのカムプロフィルに応じて運動して、スイングアーム
により、上記吸気弁又は排気弁が低速時バルブタイミン
グで開閉駆動される。一方、モード切換手段を通じてサ
ブロッカアームが該メインロッカアームに連係する連係
モードに設定されると、メインロッカアームはサブロッ
カアームと一体に運動するようになる。
【0016】これにより、メインロッカアームは、サブ
ロッカアームを通じて、高速用カムのカムプロフィルに
応じて運動して、スイングアームにより、上記吸気弁又
は排気弁が高速時バルブタイミングで開閉駆動される。
この時、メインロッカアームとスイングアームとの間に
介装された液圧式ラッシュアジャスタが、スイングアー
ムとメインロッカアームとの相対位相を自動的に調整し
て、低速用カムとメインロッカアームとの相対位相,高
速用カムとサブロッカアームとの相対位相及びスイング
アームとメインロッカアームとの相対位相が適性に保持
されて、スイングアームと弁とのクリアランスも適性に
保持されるようになる。
【0017】また、上記のスイングアーム及び液圧式ラ
ッシュアジャスタが上記メインロッカアームと上記サブ
ロッカアームとの間に配設されているので、低速用カム
と高速用カムとを離隔させることができる。そして、弁
の駆動時における軸径の実質的な剛性が高められる。
【0018】
【実施例】以下、図面により、本発明の実施例について
説明すると、図1〜13は本発明の第1実施例としての
可変バルブタイミング機構付き動弁系構造を示すもの
で、図1はその要部構成を示す模式的な斜視図、図2は
その模式的な断面図(図1のA−A矢視断面図)、図3
はその液圧式ラッシュアジャスタの装着状態を示す断面
図(図2のB−B矢視断面図)、図4はそのモード切換
手段の装着状態を示す断面図(図2のC−C矢視断面
図)、図5はその変形例の要部構成を示す模式的な斜視
図、図6はその変形例を示す模式的な断面図(図5のA
−A矢視断面図)、図7はその変形例の液圧式ラッシュ
アジャスタの装着状態を示す断面図(図6のB−B矢視
断面図)、図8はその変形例のモード切換手段の装着状
態を示す断面図(図6のC−C矢視断面図)、図9はそ
の液圧式ラッシュアジャスタを示す模式的な縦断面図、
図10はそのカムプロフィルを示す図、図11は第1実
施例の構造の利点を示す図、図12はその変形例の構造
の利点を示す図、図13はその他の変形例を示す模式的
な断面図であり、図14〜21は本発明の第2実施例と
しての可変バルブタイミング機構付き動弁系構造を示す
もので、図14はその要部構成を示す模式的な側面図、
図15はその模式的な平面図、図16はそのモード切換
手段の装着状態を示す模式的な断面図(図14のA−A
矢視断面図)、図17はその液圧式ラッシュアジャスタ
の装着状態を示す断面図(図16のB−B矢視断面
図)、図18はそのサブロッカアームを示す断面図(図
15のC−C矢視断面図)、図19はその変形例の要部
構成を示す模式的な側面図、図20はその変形例のモー
ド切換手段の装着状態を示す模式的な断面図(図16に
対応する断面図)、図21はその変形例のサブロッカア
ームを示す断面図(図18に対応する断面図)である。
【0019】まず、第1実施例について説明すると、こ
の実施例の動弁系には、図1に示すように、吸気弁又は
排気弁(以後、単に弁という)が1つだけそなえられて
おり、この弁2を開閉駆動すべく、動弁系が構成され
る。この動弁系は、エンジンのクランクシャフトの回転
に対応して回動するカム12,13と、これらのカム1
2,13によって駆動されるロッカアーム14,15と
をそなえている。
【0020】カム12,13は、いずれもエンジンのク
ランクシャフトの回転に連動して回転するカムシャフト
11に設けられており、このうちカム12は、低速時バ
ルブタイミング用のカムプロフィルをそなえた低速用カ
ムであり、カム13は、高速時バルブタイミング用のカ
ムプロフィルをそなえた高速用カムであり、互いに同一
のベース円径を有している。なお、低速用カム12及び
高速用カム13のカムプロフィルは、図10に示すよう
になっており、高速用カム13のカムプロフィル3b
が、低速用カム12のカムプロフィル3aを包含するよ
うに設定されている。
【0021】ロッカアーム14,15は、いずれもロー
ラ付きロッカアームであり、ロッカアーム14は、メイ
ンロッカアームであり、スイングアーム80を介して、
弁2に当接して、この弁2の開閉駆動を行なう。また、
ロッカアーム15は、メインロッカアーム14を介して
弁2に当接して、この弁2の開閉駆動を行なう。メイン
ロッカアーム14は、図2に示すように、ロッカシャフ
ト16を一体に設けられている。このロッカシャフト1
6はエンジンのシリンダヘッド1等に設けられた軸受部
1Aに枢支されており、メインロッカアーム14は、ロ
ッカシャフト16を中心に旋回できるようになってい
る。
【0022】メインロッカアーム14の中間部には、図
1,2に示すように、低速用カム12に当接しうる低速
用ローラ18がそなえられている。この低速用ローラ1
8は、メインロッカアーム14の中間部に軸支された軸
18Aにローラベアリング18Bを介して滑らかに回動
しうるように枢支されている。つまり、軸18Aは、ス
イングアームシャフトを兼ねている。
【0023】スイングアーム80は、メインロッカアー
ム14に対して揺動可能に枢着されている。ここでは、
低速用ローラ18の軸18Aに、スイングアーム80の
中間部が枢着されている。このスイングアーム80の一
端には、弁2のステム6端部に当接する弁当接部80C
が設けられている。また、このスイングアーム80の他
端には、このスイングアーム80とメインロッカアーム
14との相対位相を調整できるように液圧式ラッシュア
ジャスタ(ハイドロリックラッシュアジャスタ,略して
HLA)81が介装されている。
【0024】そして、HLA81の軸心線とスイングア
ーム80の揺動軸心(スイングアームシャフト18Aの
軸心)との距離aが、スイングアーム80の揺動軸心と
弁2の軸心線との距離bよりも大きくなるように(つま
り、a>bになるように)その距離関係が設定されてい
る。また、HLA81は、図9に示すように、ボディ8
1A内にプランジャ81Bを内蔵されている。プランジ
ャ81Bとボディ81Aとの間には高圧室81Gが形成
されており、この高圧室81Gの内部には、プランジャ
81Bをボディ81Aから離隔する方向に付勢するスプ
リング81Jが介装されている。
【0025】プランジャ81Bの先端側には、プランジ
ャキャップ81Dが当接されており、ボディ81Aの下
端からプランジャキャップ81Dの先端までを結ぶHL
A81の軸長が、スプリング81Jの付勢力により拡大
しうるようになっている。なお、プランジャキャップ8
1Dは、プランジャキャップリテーナ81Eに保持され
てボディ81Aから抜けないようにそなえられている。
【0026】また、プランジャ81Bの内部には、リザ
ーブ室81Fが形成されており、このリザーブ室81F
には、図2に示す油路(作動液体供給路)16Cを通じ
て、作動液体としての作動油を供給されるようになって
いる。また、このリザーブ室81Fの下部(プランジャ
81Bの基端)には、高圧室81Gに通じる孔81Lが
穿設されている。
【0027】さらに、この孔81Lを閉塞するように、
チェックバルブ機構81Cがそなえられている。このチ
ェックバルブ機構81Cには、チェックバルブリテーナ
81Iの内部に、チェックバルブボール81Hをそなえ
て構成されている。このチェックバルブボール81H
は、孔81Lを閉塞すべく、チェックバルブスプリング
81Kにより孔81Lへ当接されている。
【0028】このチェックバルブ機構81Cでは、リザ
ーブ室81Fに作動油が供給されて圧力が上がると、チ
ェックバルブボール81Hがチェックバルブスプリング
81Kに抗して駆動されて、孔81Lが開通し、高圧室
81Gに作動油が供給され保持されるようになってい
る。したがって、HLA81の軸長が、スプリング81
Jの付勢力により拡大すると、リザーブ室81Fの作動
油圧力が上がって、チェックバルブ機構81Cを通じて
高圧室81Gに作動油が供給され高圧室81G内の油圧
が保持されるようになっている。
【0029】このようなHLA81は、クリアランス調
整しようとする2部材間の一方の部材に、ボディ81A
側を埋設固定してプランジャキャップ81D側を可動と
するか、プランジャキャップ81D側を埋設固定してボ
ディ81A側を可動とするかのいずれかにより配設され
て、可動であるプランジャキャップ81Dの先端部又は
ボディ81Aの基端部等を他方の部材に当接させるよう
に設置される。
【0030】この実施例の動弁系では、HLA81は、
メインロッカアーム14の揺動軸側基部14Bに、ボデ
ィ81A側を埋設固定してプランジャキャップ81D側
を可動とするように設置されている。そして、揺動軸側
基部14Bは、メインロッカアーム14の本体部分とサ
ブロッカアーム15との間に挟まれるように位置してお
り両側のロッカアーム14,15よりもやや窪んだ部分
にHLA81の装備穴が形成されている。HLA81
は、このような揺動軸側基部14Bの装備穴に、上向き
(キャップ81Dを上にした向き)に装着されている。
【0031】そして、ここでは、プランジャキャップ8
1D側には、カバー81Mがメインロッカアーム14に
可動に設置されている。そして、プランジャキャップ8
1Dはこのカバー81Mを介してスイングアーム80の
下面に当接している。また、このHLA81に油圧を供
給するための油路16Cは、ロッカシャフト16の軸心
部分に形成されている。
【0032】したがって、スイングアーム80とメイン
ロッカアーム14との相対位相が変化して、対応する部
分のクリアランスが拡大すると、スプリング81Jの付
勢力によりプランジャキャップ81D及びカバー81M
が外方(図3中、上方)へ突出してHLA81の軸長が
拡大しながら、上記のスイングアーム80とメインロッ
カアーム14と弁2とのクリアランス、ひいては、スイ
ングアーム80を介したメインロッカアーム14と弁2
とのバルブクリアランスを調整するようになっている。
【0033】このとき、チェックバルブ機構81Cを通
じて高圧室81G内の油圧が保持され、クリアランス調
整後にも、スイングアーム80とメインロッカアーム1
4との間が所定の押圧力状態に保持され、バルブクリア
ランス状態が安定して維持されるようになっている。一
方、サブロッカアーム15は、図2,4に示すように、
その筒状基部15Bにおいて、ロッカシャフト16(つ
まり、メインロッカアーム14)に対して回転できるよ
うに軸支されており、その揺動端部15Aに、高速用カ
ム13に当接しうる高速用ローラ19をそなえている。
この高速用ローラ19も、サブロッカアーム15の揺動
端部15Aに軸支された軸19Aにローラベアリング1
9Bを介して滑らかに回動しうるように枢支されてい
る。
【0034】このサブロッカアーム15とロッカシャフ
ト16との間には、サブロッカアーム15がロッカシャ
フト16に対して回転自在であってメインロッカアーム
14と連係動作しないモード(非連係モード)と、サブ
ロッカアーム15がロッカシャフト16と一体回転して
メインロッカアーム14と連係動作するモード(連係モ
ード)とを切り換えうるモード切換手段として、油圧ピ
ストン機構17が設けられている。
【0035】このモード切換手段としての油圧ピストン
機構17は、図2,4に示すように、ロッカシャフト1
6に形成されたピストン室内に、ロッカシャフト16の
直径方向に可動に配設されたピストン17Aをそなえて
いる。このピストン17Aの一端(図4中の下側端部、
この端部を基端部という)側の軸心部には凹面が形成さ
れており、この凹面とサブロッカアーム15の筒状基部
15Bの内周面との間に、油圧室17Gが形成されてい
る。
【0036】さらに、ピストン17Aの基端部の外周に
は、鍔状部17Hが形成され、ピストン室の内壁には段
部17Iが設けられており、これらの鍔状部17Hと段
部17Iとの間に、スプリング17Bが圧縮状態で介装
されている。したがって、このピストン17Aは、スプ
リング17Bにより基端部側へ付勢されている。また、
サブロッカアーム15の筒状基部15Bの所要の位置に
は、このピストン17Aの他端(図4中の上側端部であ
り、以下、この端部を先端部という)が進入しうる穴1
7Cが形成されている。
【0037】そして、上記の油圧室17Gへは、ロッカ
シャフト16の軸心部分に形成された油路16Aから作
動油が導かれるようになっており、油圧室17Gへ作動
油が供給されると、スプリング17Bの付勢力に抗して
ピストン17Aがその先端部側へ駆動されて、ピストン
17Aの先端部が穴17Cに嵌入するようになってい
る。一方、油圧室17Gへの作動油供給が絶たれると、
スプリング17Bの付勢力によってピストン17Aが基
端部側へ駆動されて、ピストン17Aの先端部が穴17
Cから脱するようになっている。
【0038】つまり、油圧室17Gへ作動油が供給され
ると、ピストン17Aの先端部の穴17Cへの嵌入によ
り、サブロッカアーム15がロッカシャフト16と一体
回転してメインロッカアーム14と連係動作するモード
(連係モード)となり、油圧室17Gへの作動油供給が
絶たれると、ピストン17Aの先端部の穴17Cからの
離脱により、サブロッカアーム15がロッカシャフト1
6に対して回転自在であってメインロッカアーム14と
連係動作しないモード(非連係モード)となるように設
定されている。
【0039】なお、油圧室17G内の奥部には、チェッ
クボール17Jがそなえられており、油圧室17G内の
油圧が保持されるようになっている。また、ロッカシャ
フト16及びサブロッカアーム15の筒状基部15Bに
は、油圧室17Gへの作動油の一部を外部に漏出させて
作動油圧を所定範囲内に調整しうる油孔17Dが設けら
れている。
【0040】また、上述の油圧室17Gへの作動油の供
給は、図示しない作動油供給系を通じて行なわれるよう
になっている。この作動油供給系は、エンジン等によっ
て駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプで加圧され
た作動油を所要の油圧に調整する調圧手段と、この調圧
手段で調圧された作動油を上記の油路16Aを通じて油
圧室17Gへ供給する供給状態と供給しない供給停止状
態とを切り換えうる切換弁とをそなえている。そして、
切換弁を例えばソレノイドバルブで構成して、図示しな
いコントローラによって、この切換弁を電子制御できる
ように構成することが考えられる。これにより、エンジ
ン回転数等に応じて切換弁を制御しながら、上述のサブ
ロッカアーム15の連係モードと非連係モードとを適切
に切り換えることができる。
【0041】ところで、図2に示すように、弁2のバル
ブステム6上端にはスプリングリテーナ5が設けられ、
シリンダヘッド1側にはスプリングリテーナ7が設けら
れており、これらのスプリングリテーナ5,7の間に、
バルブスプリング4が介装されている。これにより、弁
3は閉鎖方向つまりバルブステム6の上端側へ付勢され
ている。したがって、メインロッカアーム14も、この
バルブスプリング4を通じてカム12側へ付勢されてお
り、バルブスプリング4の付勢力がメインロッカアーム
14の揺動時の復帰力として作用するようになってい
る。
【0042】これに対して、サブロッカアーム15は、
連係モード時にはメインロッカアーム14と一体化して
バルブスプリング4の付勢力を受けるが、非連係モード
時には、これを受けないので、カム13側へ付勢する手
段を設けて、サブロッカアーム15を、カム13に追従
できるようにする必要がある。そこで、サブロッカアー
ム15には、ロストモーション機構20が設けられてい
る。
【0043】このロストモーション機構20は、図4に
示すように、シリンダヘッド1等に設けられたロストモ
ーションホルダ(図示略)と、このロストモーションホ
ルダ1Bに固定されたアウタケース20Aと、このアウ
タケース20A内に進退自在で且つアウタケース20A
から離脱しないように設けられたインナケース20B
と、これらのアウタケース20Aとインナケース20B
との間に介装されたスプリング20Cと、インナケース
20Bの端部に形成された当接部20Dとからなってい
る。そして、この当接部20Dに、サブロッカアーム1
5に設けられたレバー部15Cが当接しており、ロスト
モーション機構20のスプリング20Cの付勢力によっ
て、サブロッカアーム15がカム13側に押し付けられ
て、カム13に応じて所定の動きを行なうようになって
いる。
【0044】なお、ロストモーションスプリング20C
のバネ力は、高速用セカンダリロッカアーム15にはた
らく慣性力に対抗できるように設定されている。ところ
で、メインロッカアーム14の弁2とのバルブクリアラ
ンスは、HLA81によって自動調整されるが、連係モ
ード時に、メインロッカアーム14がサブロッカアーム
15と一体に運動する際のバルブクリアランスは、非連
係モード時のものとは異なるので、何らかの手段で連係
モード時(即ち、高速時)のバルブクリアランスを調整
できるようにしたい。なお、ここで考えているバルブク
リアランスの調整とは、主として組み付け時の初期調整
のことである。
【0045】そこで、この動弁系構造では、高速用ロー
ラ19として外径の異なるものを複数種用意しておき、
連係モード時にメインロッカアーム14のバルブクリア
ランスが適切になるように、適切な外径のものを選択し
て、サブロッカアーム15に高速用ローラ19を組み付
けるようにしている。また、この動弁系では、低速用ロ
ーラ18が高速用ローラ19よりも軽量な材料で形成さ
れている。つまり、高速用ローラ19が一般的な鉄系の
金属材料等で形成されるのに対して、低速用ローラ18
は、セラミック等の軽量で且つ所要の耐磨耗性を有する
材料で形成されている。
【0046】本発明の第1実施例としての可変バルブタ
イミング機構付き動弁系構造は、上述のように構成され
ているので、エンジンの低速回転時には、油圧室17G
内の作動油圧を排除して、ピストン17Aを穴17C内
から離脱させる。これにより、サブロッカアーム15が
ロッカシャフト16に対して回転自在であってメインロ
ッカアーム14と連係動作しないモード(非連係モー
ド)となる。そして、メインロッカアーム14は、低速
用カム12に当接して駆動される低速用ローラ18を通
じて、低速用カム12の低速時バルブタイミング用のカ
ムプロフィルに応じて駆動され、スイングアーム80を
介して弁2が駆動される。
【0047】この結果、弁2は、低速回転時に適したバ
ルブタイミングで駆動されて、エンジンが効率よく作動
する。一方、エンジンが高速回転になると、図示しない
油圧供給系を通じて、油圧室17G内に作動油圧を供給
して、ピストン17Aを穴17C内に嵌入させる。これ
により、サブロッカアーム15がロッカシャフト16と
一体になってメインロッカアーム14と連係動作するモ
ード(連係モード)となる。そして、メインロッカアー
ム14は、高速用カム13に当接して駆動される高速用
ローラ19及びサブロッカアーム15を通じて、高速用
カム13の高速時バルブタイミング用のカムプロフィル
に応じて駆動され、スイングアーム80を介して弁2が
駆動される。
【0048】この結果、弁2は、高速回転時に適したバ
ルブタイミングで駆動されて、エンジンが効率よく作動
する。そして、本動弁系の作動時には、メインロッカア
ーム14とスイングアーム80との間に介装されたHL
A81が、スイングアーム80とメインロッカアーム1
4との相対位相を自動的に調整するので、スイングアー
ム80とメインロッカアーム14との相対位相が適性に
保持されて、スイングアーム80を介してメインロッカ
アーム14と弁2とのクリアランスが、特別にメンテナ
ンスを要することなく、常に適性に保持されるようにな
る。このため、動弁系に生じやすい振動や騒音が低減さ
れるとともに、可変バルブタイミング機構の信頼性が向
上する効果がある。
【0049】また、この実施例では、HLA81がメイ
ンロッカアーム14の揺動中心上に配設されているの
で、動弁系のバルブ側換算重量の増加が抑えられて、弁
2の動特性が向上し、特にエンジンの高速運転時にも、
弁2が適切に作動するようになって、特に高速性能を中
心としてエンジンの出力性能を向上させることができ
る。
【0050】さらに、HLA81がメインロッカアーム
14の揺動中心上に配設されていることで、HLA81
のチェックバルブボール81Hに加わる加速度及び遠心
力が抑えられて、HLA81が適切に作動する。このた
め、可変バルブタイミング機構が適切に作動できるよう
になり、エンジンの総合性能(出力及や燃費等を含む性
能)を向上させることができる。
【0051】また、スイングアーム80とHLA81と
の間にはたらく力をP1とし、スイングアーム80と弁
2との間にはたらく力をP2として、HLA81の軸心
線とスイングアーム80の揺動軸心との距離aと、スイ
ングアーム80の揺動軸心と弁2の軸心線との距離bと
に基づいて、スイングアーム80におけるモーメントを
考えると、 P1・a=P2・b の関係が成り立つ。
【0052】ところで、この構造では、HLA81の軸
心線とスイングアーム80の揺動軸心との距離aが、ス
イングアーム80の揺動軸心と弁2の軸心線との距離b
よりも大きく(つまり、b<a)設定されているので、
b/a<1となり、上式を変形して、b/a=P1/P
2より、P1/P2<1、即ち、P1<P2となる。つ
まり、HLA81にはたらく力P1は弁2にはたらく力
P2よりも、小さくなる。
【0053】このため、HLA81を弁2の位置に設け
る場合よりも、HLA81の負担を軽減でき、HLA8
1を小容量の小型のものに設定できる。この結果、動弁
系の重量を削減でき、動弁系の高速性能の向上や、ひい
ては、エンジン全体の重量を低減することができる。当
然ながら、HLA81の軸心線とスイングアーム80の
揺動軸心との距離aと、スイングアーム80の揺動軸心
と弁2の軸心線との距離bとのてこ比の設定は、b/a
<1の条件のもとに自由に行なえ、手持ちのHLA81
の能力に合わせて、このてこ比(b/a)を設定するこ
ともできる。
【0054】また、高速運転時には、高速カム13のリ
フトは、サブロッカアーム15からピストン(プランジ
ャ)17Aを介して、ロッカシャフト16に伝わり、さ
らにメインロッカアーム14からスイングアーム80を
通じて弁2へ伝達される。この時、サブロッカアーム1
5の揺動をメインロッカアーム14に伝達するロッカシ
ャフト16には捩じれが生じて、動弁系全体剛性の低下
の要因になる。
【0055】しかし、この構造では、HLA81が、メ
インロッカアーム14とサブロッカアーム15との間の
揺動軸側基部14Bに配設されているので、図11の
(A)に距離Cで示すように、ピストン(プランジャ)
17Aとスイングアーム80の中心とが接近した位置に
なって、ロッカシャフト16の捩じれの動弁系全体剛性
への影響が軽減される。
【0056】なお、図11の(B)は、HLA81及び
スイングアーム80を、動弁系の一端に設けた例を示
し、この例におけるピストン(プランジャ)17Aとス
イングアーム80の中心との距離Dと、本構造の距離C
とを対比すると、本構造の距離Cが小さいことがわか
る。また、図11中、距離Aは動弁系の全体幅を示す。
このような構造により、弁2の動特性が向上して、弁2
が設計通りに作動する。したがって、エンジンの出力性
能等が向上し、動弁系の耐久性も向上する。
【0057】また、メインロッカアーム14とサブロッ
カアーム15との間の揺動軸側基部14Bに配設される
と、低速用カム12と高速用カム13との間に十分な距
離を確保できるため、カム12,13をカムシャフト1
1とともに鋳物で製造する場合にも、型の抜け悪化の心
配が解消されて、加工性が向上する。さらに、低速用カ
ム12と高速用カム13との間に十分な距離を確保でき
ることで、低速用カム12を研磨する時に、低速用カム
12よりも突出している高速用カム13に砥石が干渉す
るおそれが解消される効果もある。
【0058】さらに、スイングアーム14が、低速用ロ
ーラ18の軸18Aに軸支される構造なので、この部分
の構造が簡素になり、動弁系をよりコンパクトに構成で
き設計自由度が高まるとともに、耐久性の向上にも寄与
しうる。また、HLA81に作動油を供給するための油
路16Cを、ロッカシャフト16の軸心部分に形成する
ことにより、油路16Cの加工を容易に行なえるととも
に、構造が簡素となり、作動油の供給を確実に行なえる
ようになって、HLA81の信頼性が向上する。
【0059】この可変バルブタイミング機構は、さら
に、油圧ピストン機構17の構造も簡素で小型であっ
て、しかも、ロッカアーム16の軸心上付近に設置され
るために、設計自由度が高まるとともに、動弁系のバル
ブ側換算重量の増加が抑えられる。このため、メインロ
ッカアーム14に低速用ローラ18をそなえ、サブロッ
カアーム15に高速用ローラ19をそなえることができ
る。そして、これらのローラ18,19を介して、低速
用カム又は高速用カムに当接させることで、このカムへ
の当接部分の磨耗が抑制されて、動弁系が長期間にわた
って、所要の性能を維持できるようになる。
【0060】また、HLA81は、メインロッカアーム
14とサブロッカアーム15との間に位置したメインロ
ッカアーム14の揺動軸側基部14Bの窪んだ部分に、
上向き(キャップ81Dを上にした向き)に装着される
ので、HLA81は、脱落の心配がなく、組み立て作業
性がよいという利点もある。ここで、この第1実施例の
変形例について説明すると、上述の実施例では、吸気弁
又は排気弁(弁)が1つだけそなえられた場合を説明し
たが、この弁を、2つ対になるようにそなえた動弁系の
構成もある。
【0061】すなわち、図5に示すように、弁が2つそ
なえられており、これらの弁2,3を開閉駆動すべく、
動弁系が構成される。したがって、弁2,3を駆動すべ
くこれらに当接するスイングアーム80′の端部は、図
5,6に示すように、二股に別れており、各弁2,3の
ステム6端部に当接するように2つの弁当接部80
C′,80C′が設けられている。
【0062】このように、1つのスイングアーム80′
により複数の弁2,3を精度良いタイミングで同時に駆
動するには、スイングアーム80′の各弁当接部80
C′,80C′と、各弁2,3のステム6端部とのクリ
アランスを適切に調整する必要がある。そこで、この変
形例の可変バルブタイミング機構付き動弁系構造では、
図7,8に示すように、バルブ2,3の一方又は両方の
バルブステム6の端部に、シム82を装着して、クリア
ランス調整を行なっている。つまり、クリアランス状態
に合わせて、適当な厚みのシム82を装着することで、
クリアランス調整を行なうことができる。
【0063】この変形例の動弁系構造は、これらのスイ
ングアーム80′の弁当接部80C′,80C′付近の
構造以外は、実施例のものと同様に構成され、実施例の
ものと同様の作用及び効果を得ることができる。また、
この2弁タイプのものでは、これらの2弁がカムシャフ
ト11及びロッカシャフト16の軸線方向に配列される
ので、動弁系のシャフト方向幅を大きくするおそれがあ
る。特に、バランスを考慮して、図5,6に示すよう
に、スイングアーム80′の中心線に対して等距離の位
置にこれらの2弁を配置しているので、スイングアーム
80′の位置によっては、例えば弁2,3の一方が、ロ
ッカシャフト16の端部から突出してしまうことが考え
られる。
【0064】しかし、この構造では、HLA81が、メ
インロッカアーム14とサブロッカアーム15との間の
揺動軸側基部14Bに配設されているので、スイングア
ーム80′もメインロッカアーム14とサブロッカアー
ム15との間、つまり、動弁系のシャフト方向幅の中央
に配設されることになりピストン(プランジャ)17A
とスイングアーム80′の中心とが接近した位置になっ
て、ロッカシャフト16の捩じれの動弁系全体剛性への
影響が軽減されるとともに、弁2,3が、ロッカシャフ
ト16の端部から突出してしまうことが回避され、動弁
系のシャフト方向幅が抑えられる。
【0065】例えば、図12の(A)は、本構造の配置
を示し、図12の(B)は、HLA81及びスイングア
ーム80′を、動弁系の一端に設けた例を示し、この例
におけるピストン(プランジャ)17Aとスイングアー
ム80′の中心との距離Dと、本構造の距離Cとを対比
すると、本構造の距離Cが小さいことがわかる。また、
このように動弁系の一端に設けた場合、動弁系の全体幅
が距離Dとバルブ分だけ大きくなってしまうことがわか
る。
【0066】さらに、第1実施例の変形例として、動弁
系構造に休筒機構をそなえたものも考えられ、図13を
参照して説明する。つまり、図13に示すように、この
動弁系は、第1実施例のものに、休筒機能を加えたもの
であり、低速用カム12にサブロッカアーム26を当接
させるようにして、メインロッカアーム24は、このサ
ブロッカアーム26を介して低速用カム12により駆動
されるようになっている。また、実施例の場合と同様
に、高速用カム13にはサブロッカアーム15が当接し
ており、メインロッカアーム24は、このサブロッカア
ーム15を介して高速用カム13により駆動されるよう
になっている。
【0067】メインロッカアーム24は、ロッカシャフ
ト16を一体に設けられている。このロッカシャフト1
6はエンジンのシリンダヘッド1等に設けられた軸受部
1Aに枢支されており、メインロッカアーム24は、ロ
ッカシャフト16を中心に旋回できるようになってい
る。このメインロッカアーム24には、その揺動端側
に、ピン80B′を介してスイングアーム80′が枢着
されている。なお、この例でも、前述の変形例と同様
に、弁が2つそなえられており、図5に示すものとほぼ
同様に、スイングアーム80′の一端に形成された弁当
接部80C′,80C′がこれらの弁2,3に当接して
いる。
【0068】このスイングアーム80の他端には、前述
の変形例と同様に、スイングアーム80′とメインロッ
カアーム24との相対位相を調整できるようにHLA8
1が介装されている(図7参照)。これにより、実施例
のものと同様に、スイングアーム80′を介して、メイ
ンロッカアーム24の弁2,3に対するクリアランスが
自動調整されるようになっている。
【0069】サブロッカアーム15は、第1実施例のも
のと同様に構成されており、その筒状基部15Bにおい
て、ロッカシャフト16(つまり、メインロッカアーム
24)に対して回転できるように軸支されており、その
揺動端部15Aに、高速用カム13に当接しうる高速用
ローラ19をそなえている。この高速用ローラ19も、
サブロッカアーム15の揺動端部15Aに軸支された軸
19Aにローラベアリング19Bを介して滑らかに回動
しうるように枢支されている。
【0070】一方、サブロッカアーム26は、サブロッ
カアーム15と同様にローラ付きロッカアームであり、
その筒状基部26Bにおいて、ロッカシャフト16(つ
まり、メインロッカアーム24)に対して回転できるよ
うに軸支されている。このサブロッカアーム26の揺動
端部26Aには、低速用カム12に当接しうる低速用ロ
ーラ18がそなえられている。この低速用ローラ18
は、揺動端部26Aに軸支された軸18Aにローラベア
リング18Bを介して滑らかに回動しうるように枢支さ
れている。
【0071】これらのサブロッカアーム26,15とロ
ッカシャフト16との間には、サブロッカアーム26,
15がロッカシャフト16に対して回転自在であってメ
インロッカアーム24と連係動作しないモード(非連係
モード)と、サブロッカアーム26,15がロッカシャ
フト16と一体回転してメインロッカアーム24と連係
動作するモード(連係モード)とを切り換えうるモード
切換手段として、油圧ピストン機構27,17が設けら
れている。
【0072】このうちサブロッカアーム15についてそ
なえられる油圧ピストン機構17は、前述の第1実施例
のものとほぼ同様に構成される。また、サブロッカアー
ム26についてそなえられる油圧ピストン機構27は、
ロッカシャフト16に形成されたピストン室内に、ロッ
カシャフト16の直径方向に可動に配設されたピストン
27Aをそなえている。このピストン27Aの一端(図
13中の下方側端部であり、以下、この端部を基端部と
いう)側とサブロッカアーム26の筒状基部26Bの内
周面との間に、スプリング27Bが圧縮状態で介装され
ている。したがって、このピストン27Aは、スプリン
グ27Bにより他端(図13中の上方側端部であり、以
下、この端部を先端部という)側へ付勢されている。
【0073】そして、サブロッカアーム26の筒状基部
26Bの内周面のうち、ピストン27Aの先端部側に
は、穴が形成されて蓋27Eで閉塞されており、この穴
の内壁とピストン27Aの先端部との間に、油圧室27
Gが形成されている。この油圧室27G内にはピストン
27Aの先端部が進入できるようになっている。そし
て、上記の油圧室27Gへは、ロッカシャフト16の軸
心部分に形成された油路16Bから作動油が導かれるよ
うになっており、油圧室27Gへ作動油が供給される
と、スプリング27Bの付勢力に抗してピストン27A
が基端部側へ駆動され、ピストン27Aの先端部が穴2
7Cから離脱して、一方、油圧室27Gへの作動油供給
が絶たれると、スプリング27Bの付勢力によってピス
トン27Aが先端部側へ駆動され、ピストン27Aの先
端部が穴27Cに嵌入するようになっている。
【0074】つまり、油圧室27Gへの作動油供給時
に、ピストン27Aの先端部の穴27Cへの嵌入によ
り、サブロッカアーム26がロッカシャフト16に対し
て回転自在であってメインロッカアーム24と連係動作
しないモード(非連係モード)となり、油圧室27Gへ
の作動油供給が絶たれると、ピストン27Aの先端部の
穴27Cからの離脱により、サブロッカアーム26がロ
ッカシャフト16と一体回転してメインロッカアーム2
4と連係動作するモード(連係モード)となるように設
定されている。
【0075】そして、上述の油圧室17G,27Gへの
作動油の供給は、図示しない作動油供給系を通じて行な
われるようになっている。この作動油供給系は、エンジ
ン等によって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプ
で加圧された作動油を所要の油圧に調整する調圧手段
と、この調圧手段で調圧された作動油を上記の油路16
A,16Bを通じて油圧室17G,27Gへ供給する供
給状態と供給しない供給停止状態とをそれぞれ独立して
切り換えうる切換弁とをそなえている。そして、切換弁
を例えばソレノイドバルブで構成して、図示しないコン
トローラによって、この切換弁を電子制御できるように
構成することが考えられる。これにより、エンジン回転
数等に応じて切換弁を制御しながら、上述のサブロッカ
アーム15,26の連係モードと非連係モードとを適切
に切り換えることができる。
【0076】また、サブロッカアーム26,15を、カ
ム12,13に追従させるために、第1実施例のものと
同様なロストモーション機構20がそれぞれ設けられて
いる。特に、ここでは、低速用のサブロッカアーム26
にも高速用のサブロッカアーム15にも同一のロストモ
ーション機構20が設置されている。また、この動弁系
でも、低速用ローラ18が高速用ローラ19よりも軽量
な材料で形成されている。つまり、高速用ローラ19が
一般的な鉄系の金属材料等で形成されるのに対して、低
速用ローラ18は、セラミック等の軽量で且つ所要の耐
磨耗性を有する材料で形成されている。
【0077】ところで、低速用のサブロッカアーム26
にも高速用のサブロッカアーム15にも同一のロストモ
ーション機構20を設置するのは、以下の理由による。
前述のように、サブロッカアーム26,15のうち、低
速側のサブロッカアーム26のロストモーション機構2
0は、バルブの駆動モードが高速用駆動モードに切り換
わってからの高速回転域でロストモーション作用を要求
されるが、この低速用のサブロッカアーム26にはたら
く慣性力は、速度に応じて大きくなり、また低速用カム
12の弁開角の狭いカムプロフィルに起因しても大きく
なる。このため、一般的には、ロストモーション機構2
0のロストモーションスプリング20Cのバネ力もこれ
をカバーできるように大きく設定する必要がある。
【0078】つまり、一般的には、低速用サブロッカア
ーム26の慣性力は、高速用サブロッカアーム15の慣
性力に比べて大きくなり、それぞれに最低限要求される
ロストモーションスプリング力も低速用のものは、高速
用のものよりも大きいものが要求される。しかしなが
ら、このサブロッカアーム26に設けられた低速用ロー
ラ18は、高速用のサブロッカアーム15に設けられた
高速用ローラ19よりも軽量な材料で形成されているの
で、この分だけサブロッカアーム26の重量が低減され
て、サブロッカアーム26の慣性力が低減する。つま
り、このサブロッカアーム26では、低速用ローラ18
の軽量分だけ慣性力が低減する。
【0079】したがって、低速用のサブロッカアーム2
6に最低限要求されるロストモーションスプリング力
が、従来よりも小さくなって、高速用のものに近くな
る。このため、低速用のサブロッカアーム26に最低限
要求されるロストモーションスプリング力をクリアでき
る大きさのロストモーションスプリング力を高速用のサ
ブロッカアーム15に設定しても、高速側に加わるロス
トモーションスプリング力の過剰分は極めて僅かなもの
になる。したがって、低速用のサブロッカアーム26に
も高速用のサブロッカアーム15にも同一のロストモー
ション機構20を設置しても、大きなロスを招くことは
ない。
【0080】むしろ、このように両サブロッカアーム2
6に同一のロストモーション機構20を設置することに
より、部品の共用化によるコスト低減や、ロストモーシ
ョン機構20の誤った組み付け(誤組み)の回避等の大
きな利点を期待できる。ところで、この変形例でも、1
つのスイングアーム80′により複数の弁2,3を精度
良いタイミングで同時に駆動するには、スイングアーム
80′の各弁当接部80C′,80C′と、各弁2,3
のステム6端部とのクリアランスを適切に調整する必要
がある。
【0081】そこで、この変形例の可変バルブタイミン
グ機構付き動弁系構造では、前述の変形例のものと同様
に、ステム6の端部にシム82を装着して、クリアラン
ス調整を行なっている(図7,8参照)。この変形例の
動弁系構造は、上述の部分の構造以外は、実施例のもの
と同様に構成されている。
【0082】このような構成の場合にも、実施例のもの
と同様の作用及び効果を得ることができる。次に、本発
明の第2実施例について説明すると、この可変バルブタ
イミング機構付き動弁系構造は、図14,15に示すよ
うに、スリッパ型のロッカアーム83,84をそなえ、
これらのロッカアーム83,84の間に、スイングアー
ム88が設けられている。
【0083】これらのロッカアーム83,84は、ロッ
カシャフト89に枢支されており、ロッカアーム83
は、図14に示すように、低速用カム12に当接するス
リッパ86をそなえたメインロッカアームであり、ロッ
カアーム84は、図18に示すように、高速用カム13
に当接するスリッパ87をそなえたサブロッカアームで
ある。
【0084】なお、低速用カム12及び高速用カム13
は、第1実施例のものと同様に構成されており、それぞ
れ、図10に示すように、低速時バルブタイミング用の
カムプロフィル及び高速時バルブタイミング用のカムプ
ロフィルをそなえている。スイングアーム88は、一端
でロッカシャフト89に枢支されており、他端には弁
2,3に当接する弁当接部88A,88Aが設けられて
いる。そして、このスイングアーム88の中間部には、
液圧式ラッシュアジャスタ(ハイドロリックラッシュア
ジャスタ,略してHLA)81が当接されている。
【0085】このHLA81は、スイングアーム88と
メインロッカアーム83との相対位相を調整するもの
で、メインロッカアーム83に設けられたHLA装着部
83Aに下向きに突出するように装着される。このHL
A81の構造は、前述のとおりであり、ここでは、HL
A81が、プランジャキャップ81D側を埋設してボデ
ィ81A側を可動側として突出させ装着される。
【0086】このHLA81への作動油供給は、ロッカ
シャフト89の軸心に形成された油路(作動液体供給
路)90Aとメインロッカアーム83に形成されてこの
油路90Aと連通する油路(作動液体供給路)91とを
通じて、図示しない作動油供給系により行なわれるよう
になっている。ところで、メインロッカアーム83とサ
ブロッカアーム84との間には、高速用のサブロッカア
ーム15が、メインロッカアーム24と連係動作するモ
ード(連係モード)と、メインロッカアーム24と連係
動作しないモード(非連係モード)とに切り換えうるモ
ード切換手段85が設けられている。
【0087】このモード切換手段85は、油圧ピストン
機構で構成されており、両ロッカアーム83,84のス
リッパ装着側とは逆の端部に設けられており、図16に
示すように構成される。つまり、モード切換手段として
の油圧ピストン機構85は、ロッカアーム84,83の
端部84B,83Bに、ロッカシャフト89と平行に形
成られたプランジャ室85A及び85Dと、このプラン
ジャ室85A内に収納されたプランジャ85B及びプラ
ンジャ室85D内に収納され案内プランジャ85Cとを
そなえている。
【0088】2つのプランジャ室85A,85Dは、サ
ブロッカアーム84及びメインロッカアーム83が各カ
ム13,12のベース円部分と接触しているとき(即
ち、バルブ非駆動時)に同軸上に整合する同形の円筒状
穴である。したがって、バルブ非駆動時には、プランジ
ャ85Bと案内プランジャ85Cとが直列に整合するよ
うになっている。また、プランジャ85Bはプランジャ
室85Aに丁度収納されうるように軸長を設定さてい
る。
【0089】また、案内プランジャ85Cの端部には、
案内プランジャ85Cをプランジャ85B側へ付勢する
リターンスプリング85Eが設けられている。したがっ
て、リターンスプリング85Eの付勢力が有効に発揮さ
れると、案内プランジャ85Cとともにプランジャ85
Bが押圧されて、プランジャ85Bがプランジャ室85
Aに収納された状態となる。
【0090】一方、ロッカアーム84の端部84Bに
は、プランジャ室85Aに通じる油路92が形成されて
おり、この油路(作動液体供給路)92はロッカシャフ
ト89の軸心に形成された油路(作動液体供給路)90
Bと連通している。そして、これらの油路90B,92
を通じて、プランジャ室85Aに作動油が供給されるよ
うになっている。
【0091】プランジャ室85Aに作動油が供給される
と、プランジャ85Bがリターンスプリング85Eの付
勢力に抗してプランジャ室85Aから突出するように駆
動されて、プランジャ85Bがメインロッカアーム83
のプランジャ室85D内に嵌入する。これにより、サブ
ロッカアーム15が、メインロッカアーム24と連係動
作するモード(連係モード)が実現するようになってい
る。
【0092】逆に、プランジャ室85Aへの作動油供給
が絶たれると、プランジャ85Bがリターンスプリング
85Eの付勢力によりプランジャ室85A内に収納され
て、プランジャ85Bがメインロッカアーム83のプラ
ンジャ室85Dから外れる。これにより、サブロッカア
ーム15が、メインロッカアーム24と連係動作しない
モード(非連係モード)が実現するようになっている。
【0093】なお、HLA81及びプランジャ室85A
への作動油供給は、図示しない作動油供給系を通じて行
なわれるようになっている。この作動油供給系は、エン
ジン等によって駆動される油圧ポンプと、この油圧ポン
プで加圧された作動油を所要の油圧に調整して油路90
A及び油路90Bへ送給する調圧手段とをそなえてい
る。なお、油路90A及び油路90Bはいずれもロッカ
シャフト89の軸心に同時に加工され、ボール93によ
って仕切られている。
【0094】プランジャ室85Aへの作動油供給につい
ては、さらに、調圧手段で調圧された作動油を上記の油
路90B,92を通じてプランジャ室85Aへ供給する
供給状態と供給しない供給停止状態とを切り換えうる切
換弁がそなえられる。そして、切換弁を例えばソレノイ
ドバルブで構成して、図示しないコントローラによっ
て、この切換弁を電子制御できるように構成することが
考えられる。これにより、エンジン回転数等に応じて切
換弁を制御しながら、上述のサブロッカアーム84の連
係モードと非連係モードとを適切に切り換えることがで
きる。
【0095】また、この動弁系構造も、1つのスイング
アーム88により複数の弁2,3を精度良いタイミング
で同時に駆動するために、スイングアーム88の各弁当
接部88A,88Aと、各弁2,3のステム6端部との
クリアランスを適切に調整する必要がある。そこで、本
実施例に関する図には示さないが、例えばステム6の端
部にシム82(図7,8参照)を装着するなどして、ク
リアランス調整を行なっている。
【0096】本発明の第2実施例としての可変バルブタ
イミング機構付き動弁系構造は、上述のように構成され
ているので、エンジンの低速回転時には、プランジャ室
85A内の作動油圧を排除して、プランジャ85Bをプ
ランジャ室85A内に収納する。これにより、サブロッ
カアーム84がロッカシャフト89に対して回転自在で
あってメインロッカアーム83と連係動作しないモード
(非連係モード)となる。そして、メインロッカアーム
83は、低速用カム12に当接して駆動されて、低速用
カム12の低速時バルブタイミング用のカムプロフィル
に応じて駆動され、スイングアーム88を介して弁2,
3が駆動される。
【0097】この結果、弁2,3は、低速回転時に適し
たバルブタイミングで駆動されて、エンジンが効率よく
作動する。一方、エンジンが高速回転になると、図示し
ない油圧供給系を通じて、プランジャ室85Aに作動油
圧を供給して、プランジャ85Bをメインロッカアーム
83のプランジャ室85D内に嵌入させる。
【0098】これにより、サブロッカアーム84がメイ
ンロッカアーム83と連係動作するモード(連係モー
ド)となる。そして、メインロッカアーム83は、高速
用カム13に当接して駆動されるサブロッカアーム84
を通じて、高速用カム13の高速時バルブタイミング用
のカムプロフィルに応じて駆動され、スイングアーム8
8を介して弁2,3が駆動される。
【0099】この結果、弁2,3は、高速回転時に適し
たバルブタイミングで駆動されて、エンジンが効率よく
作動する。そして、本動弁系の作動時には、メインロッ
カアーム83とスイングアーム84との間に介装された
HLA81が、スイングアーム88とメインロッカアー
ム83との相対位相を自動的に調整するので、スイング
アーム88とメインロッカアーム83との相対位相が適
性に保持されて、スイングアーム88を介してメインロ
ッカアーム83と弁2,3とのクリアランスが、特別に
メンテナンスを要することなく、常に適性に保持される
ようになる。このため、動弁系に生じやすい振動や騒音
が低減されるとともに、可変バルブタイミング機構の信
頼性が向上する効果がある。
【0100】また、この実施例では、HLA81が、メ
インロッカアーム83の揺動中心側寄りに配設されてい
るので、動弁系のバルブ側換算重量の増加が抑えられる
とともに、HLA81のチェックバルブボール81Hに
加わる加速度及び遠心力が抑えられて、HLA81が適
切に作動する。このため、可変バルブタイミング機構が
適切に作動できるようになる。
【0101】さらに、スイングアーム88が、ロッカシ
ャフト89に軸支される構造なので、部品点数が削減さ
れて構造が簡素になり、部品コスト,組立コストを削減
できる効果がある。また、動弁系をより軽量でコンパク
トなものに構成できるようになり、動弁系重量の増加を
抑制でき、バルブの動特性を向上させることができる。
このため、エンジンの出力性能の向上に寄与しうる効果
と、設計自由度が高まって、耐久性の向上にも寄与しう
る効果がある。
【0102】また、HLA81に作動油を供給するため
の油路90Aは、ロッカシャフト89の軸心部分に形成
しているので、油路90Aの加工が容易で且つ構造が簡
素であり、作動油の供給を確実に行なHLA81の信頼
性が向上する。この第2実施例の各ロッカアーム83,
84は、スリッパ型のものが使用されているが、これら
のロッカアーム83,84をローラ付きのものにするこ
とも考えられる。
【0103】つまり、図19〜21に示すように、各ロ
ッカアーム83,84のカム12,13との当接部に
は、低速用カム12に当接しうる低速用ローラ18,低
速用カム12に当接しうる高速用ローラ19がそなえら
れている。低速用ローラ18は、メインロッカアーム8
3に設けられた軸18Aにローラベアリング18Bを介
して滑らかに回動しうるように枢支され、高速用ローラ
19は、サブロッカアーム84に設けられた軸19Aに
ローラベアリング19Bを介して滑らかに回動しうるよ
うに枢支されている。
【0104】また、これらのローラ18,19につい
て、第1実施例と同様に、低速用ローラ18を高速用ロ
ーラ19よりも軽量な材料で形成することが考えられ
る。例えば、高速用ローラ19が一般的な鉄系の金属材
料等で形成されるのに対して、低速用ローラ18は、セ
ラミック等の軽量で且つ所要の耐磨耗性を有する材料で
形成するのである。
【0105】そして、この動弁系は、上述以外の部分
は、第2実施例のものと同様に構成されている。このよ
うな構成により、この変形例でも、第2実施例のものと
ほぼ同様の作用及び効果に加えて、ロッカアーム83,
84がローラ18,19を介して低速用カム又は高速用
カムに当接することで、このカムへの当接部分の磨耗が
抑制されて、動弁系が長期間にわたって、所要の性能を
維持できるようになる利点が付加される。
【0106】なお、上述の各実施例及び変形例では、低
速用ローラ18が高速用ローラ19よりも軽量な材料で
形成されているが、必ずしもこのように設定する必要は
ない。勿論、第2実施例のように、ローラをそなえない
ロッカアームでもよい。また、作動液体供給路の配設箇
所についても、メインロッカアームの揺動軸内に限定さ
れるものでない。
【0107】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の可変バル
ブタイミング機構付き動弁系構造によれば、エンジンに
そなえられた吸気弁又は排気弁と、低速時バルブタイミ
ング用のカムプロフィルをそなえ該エンジンのクランク
シャフトの回転に対応して回動する低速用カムと、高速
時バルブタイミング用のカムプロフィルをそなえ該クラ
ンクシャフトの回転に対応して回動する高速用カムと、
該低速用カムに当接して該低速用カムによって駆動され
うるメインロッカアームと、該高速用カムに当接して該
高速用カムによって駆動されるサブロッカアームと、該
サブロッカアームを該メインロッカアームに連係させな
い非連係モードと連係させる連係モードとを切り換えう
るモード切換手段とをそなえ、上記弁に当接して該弁を
駆動する弁当接部をそなえるとともに上記メインロッカ
アームに対して相対位相を可変に枢着されたスイングア
ームが設けられるとともに、上記メインロッカアームと
該スイングアームとの相対位相を調整する液圧式ラッシ
ュアジャスタが設けられて、上記のスイングアーム及び
液圧式ラッシュアジャスタが上記メインロッカアームと
上記サブロッカアームとの間に配設されるという構成に
より、以下のような利点や効果がある。
【0108】液圧式ラッシュアジャスタにより、スイ
ングアームとメインロッカアームとの相対位相が自動的
に調整されて、スイングアームとメインロッカアームと
の相対位相が適性な状態に保持されて、スイングアーム
を介してメインロッカアームと弁とのクリアランスが、
特別にメンテナンスを要することなく、常に適性に保持
されるようになる。このため、可変バルブタイミング機
構の信頼性が向上する効果がある。
【0109】低速用カムと高速用カムとの距離を離隔
させることができ、各カムをカムシャフトとともに鋳造
する場合、型抜けの悪化を回避できる。 低速用カムと高速用カムとの距離を離隔させることが
でき、低速用カムを研磨する時に、低速用カムよりも突
出している高速用カムに砥石が干渉するおそれが回避さ
れる。
【0110】例えば2バルブタイプの場合などでは、
動弁系の全幅が抑制されて、設計自由度が大きくなっ
て、本動弁系の搭載性が向上する。 軸系に生じる捩じれの動弁系全体剛性への影響が軽減
されて、弁の動特性が向上して、弁が設計通りに作動す
る。したがって、エンジンの出力性能等が向上し、動弁
系の耐久性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての可変バルブタイミ
ング機構付き動弁系構造の要部構成を示す模式的な斜視
図である。
【図2】本発明の第1実施例としての可変バルブタイミ
ング機構付き動弁系構造の模式的な断面図(図1のA−
A矢視断面図)である。
【図3】本発明の第1実施例としての可変バルブタイミ
ング機構付き動弁系構造の液圧式ラッシュアジャスタの
装着状態を示す断面図(図2のB−B矢視断面図)であ
る。
【図4】本発明の第1実施例としての可変バルブタイミ
ング機構付き動弁系構造のモード切換手段の装着状態を
示す断面図(図2のC−C矢視断面図)である。
【図5】本発明の第1実施例としての可変バルブタイミ
ング機構付き動弁系構造の変形例の要部構成を示す模式
的な斜視図である。
【図6】本発明の第1実施例としての可変バルブタイミ
ング機構付き動弁系構造の変形例の模式的な断面図(図
5のA−A矢視断面図)である。
【図7】本発明の第1実施例としての可変バルブタイミ
ング機構付き動弁系構造の変形例の液圧式ラッシュアジ
ャスタの装着状態を示す断面図(図6のB−B矢視断面
図)である。
【図8】本発明の第1実施例としての可変バルブタイミ
ング機構付き動弁系構造の変形例のモード切換手段の装
着状態を示す断面図(図6のC−C矢視断面図)であ
る。
【図9】本発明の第1実施例としての可変バルブタイミ
ング機構付き動弁系構造の液圧式ラッシュアジャスタを
示す模式的な縦断面図である。
【図10】本発明の第1実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造のカムプロフィルを示す図で
ある。
【図11】本発明の第1実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造の利点を示す図である。
【図12】本発明の第1実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造の変形例の利点を示す図であ
る。
【図13】本発明の第1実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造の他の変形例の模式的な断面
図(図6に対応する断面図)である。
【図14】本発明の第2実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造の要部構成を示す模式的な側
面図である。
【図15】本発明の第2実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造の模式的な平面図である。
【図16】本発明の第2実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造のモード切換手段の装着状態
を示す模式的な断面図(図13のA−A矢視断面図)で
ある。
【図17】本発明の第2実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造の液圧式ラッシュアジャスタ
の装着状態を示す断面図(図15のB−B矢視断面図)
である。
【図18】本発明の第2実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造のサブロッカアームを示す断
面図(図14のC−C矢視断面図)である。
【図19】本発明の第2実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造の変形例の要部構成を示す模
式的な側面図(図14に対応する断面図)である。
【図20】本発明の第2実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造の変形例のモード切換手段の
装着状態を示す模式的な断面図(図16に対応する断面
図)である。
【図21】本発明の第2実施例としての可変バルブタイ
ミング機構付き動弁系構造の変形例のサブロッカアーム
を示す断面図(図18に対応する断面図)である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド 1A 軸受部 1B ロストモーションホルダ 2,3 吸気弁又は排気弁(弁) 4 バルブスプリング 5,7 スプリングリテーナ 6 バルブステム 11 カムシャフト 12 低速用カム 13 高速用カム 14 メインロッカアーム 14A 揺動端部 14B,14C スクリュー装着部 15 サブロッカアーム 15A 揺動端部 15B 筒状基部 15C レバー部 16 ロッカシャフト 16A 油路 17 モード切換手段としての油圧ピストン機構 17A ピストン 17B スプリング 17C 穴 17D 油孔 17G 油圧室 17H 鍔状部 17I 段部 17J チェックボール 18 低速用ローラ 18A 軸 18B ローラベアリング 19 高速用ローラ 19A 軸 19B ローラベアリング 20 ロストモーション機構 20A アウタケース 20B インナケース 20C スプリング 20D 当接部 21,22 アジャストスクリュー 24 メインロッカアーム 24A 揺動端部 24B,24C スクリュー装着部 26 ロッカアーム 26B 筒状基部 26A 揺動端部 27 モード切換手段としての油圧ピストン機構 27A ピストン 27B スプリング 27C 穴 27D 油孔 27G 油圧室 27H 鍔状部 27I 段部 27J チェックボール 80,80′ スイングアーム 80C,80C′ 弁当接部 81 液圧式ラッシュアジャスタ(ハイドロリックラッ
シュアジャスタ,略してHLA) 81A ボディ 81B プランジャ 81C チェックバルブ機構 81D プランジャキャップ 81E プランジャキャップリテーナ 81F リザーブ室 81G 高圧室 81H チェックバルブボール 81I チェックバルブリテーナ 81J スプリング 81K チェックバルブスプリング 81L 孔 81M カバー 82 シム 83 メインロッカアーム 83A HLA装着部 84 サブロッカアーム 83B,84B ロッカアーム端部 85 モード切換手段 85A,85D プランジャ室 85B プランジャ 85C 案内プランジャ 85E リターンスプリング 86,87 スリッパ 88 スイングアーム 88A,88A 弁当接部 89 ロッカシャフト 90A,90B,91,92 油路(作動液体供給路) 93 ボール

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンにそなえられた吸気弁又は排気
    弁と、低速時バルブタイミング用のカムプロフィルをそ
    なえ該エンジンのクランクシャフトの回転に対応して回
    動する低速用カムと、高速時バルブタイミング用のカム
    プロフィルをそなえ該クランクシャフトの回転に対応し
    て回動する高速用カムと、該低速用カムに当接して該低
    速用カムによって駆動されうるメインロッカアームと、
    該高速用カムに当接して該高速用カムによって駆動され
    るサブロッカアームと、該サブロッカアームを該メイン
    ロッカアームに連係させない非連係モードと連係させる
    連係モードとを切り換えうるモード切換手段とをそな
    え、上記弁に当接して該弁を駆動する弁当接部をそなえ
    るとともに上記メインロッカアームに対して相対位相を
    可変に枢着されたスイングアームが設けられるととも
    に、上記メインロッカアームと該スイングアームとの相
    対位相を調整する液圧式ラッシュアジャスタが設けられ
    て、上記のスイングアーム及び液圧式ラッシュアジャス
    タが上記メインロッカアームと上記サブロッカアームと
    の間に配設されていることを特徴とする、可変バルブタ
    イミング機構付き動弁系構造。
JP4189762A 1992-07-16 1992-07-16 可変バルブタイミング機構付き動弁系構造 Withdrawn JPH0633717A (ja)

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EP93110381A EP0583584B1 (en) 1992-07-16 1993-06-29 Valve operating system structure with variable valve timing mechanism
DE69302059T DE69302059T2 (de) 1992-07-16 1993-06-29 Ventilsteuerungsvorrichtung mit Mechanismus zur Veränderung der Ventilsteuerzeit
AU41660/93A AU644319B1 (en) 1992-07-16 1993-06-30 Valve operating system structure with variable valve timing mechanism
US08/092,439 US5353756A (en) 1992-07-16 1993-07-14 Valve operating system structure with variable valve timing mechanism
KR1019930013318A KR950014401B1 (ko) 1992-07-16 1993-07-15 가변밸브 타이밍기구부착 밸브 구동계 구조

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