JPH06336523A - ポリエステル成形品 - Google Patents

ポリエステル成形品

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JPH06336523A
JPH06336523A JP6085844A JP8584494A JPH06336523A JP H06336523 A JPH06336523 A JP H06336523A JP 6085844 A JP6085844 A JP 6085844A JP 8584494 A JP8584494 A JP 8584494A JP H06336523 A JPH06336523 A JP H06336523A
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JP
Japan
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polyester
strain
molded article
elastic modulus
polyester copolymer
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Application number
JP6085844A
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English (en)
Inventor
Yoshiharu Kimura
良晴 木村
Hideki Yamane
秀樹 山根
Shigeru Komatsuzaki
茂 小松崎
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低歪みにおける初期弾性率の低さと高歪みに
おける機械的強度の高さとを兼ね備え、かつ生分解性を
持ち、生体の軟組織と接触させて使用する医療用器材ま
たは人工器官に適した成形品の提供。 【構成】 3−ヒドロキシブチレート単位と4−ヒドロ
キシブチレート単位からなり、4−ヒドロキシブチレー
ト単位の含有量が60モル%を上廻り95モル%以下で
ある生分解性ポリエステル共重合体と場合により用いら
れる結晶性生分解性ポリエステルとを含有するポリエス
テル成形品であって、該成形品が延伸により得られたも
のであることを特徴とするポリエステル成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリエステル成
形品に関し、さらに詳しくは、生体の軟組織と接触させ
て使用する医療用器材または人工器官のためのポリエス
テル成形品に関する。
【0002】
【従来技術】生分解性のポリエステル共重合体であっ
て、式
【0003】
【化1】 で表わされる3−ヒドロキシブチレート(以下、3HB
という)単位、及び式
【化2】 で表わされる4−ヒドロキシブチレート(以下、4HB
という)単位からなり、3HB単位を40〜97モル%
有する共重合体が柔軟性に富むこと、及び前記共重合体
を用いてしなやかでかつ強靱な成形品が得られることが
知られている(特開昭64−48821号公報第1頁左
下欄第5〜9行、第4頁左下欄第1〜7行)。しかし、
前記共重合体を用いた成形品は低歪みにおける初期弾性
率の低さと高歪みにおける機械的強度の高さを兼ね備え
たものではなかった。
【0004】一方、結晶性のポリ〔(R)−3HB〕に
非晶性のポリ〔(R,S)−3HB〕を混合することに
より、結晶性のポリ〔(R)−3HB〕を単独で用いた
場合に比べ、引張強度の低下、破断時歪みの増加が観察
され、柔軟性、強靱性が改善されることが知られている
〔Yoshiharu Kumagai and Yo
shiharu Doi,Macromol.Che
m.,Rapid Commun.,vol.13,p
p.179−183(1992)〕。しかし前記混合物
を用いた成形品の低歪みにおける初期弾性率は必ずしも
低くなかった。
【0005】以上述べたとおり、生分解性と低歪みにお
ける初期弾性率の低さとを兼ね備えた成形品は知られて
いなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低歪
みにおける初期弾性率の低さと高歪みにおける機械的強
度の高さとを兼ね備え、かつ生分解性を持ち、生体の軟
組織と接触させて使用する医療用器材または人工器官に
適した成形品を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、3−ヒ
ドロキシブチレート単位と4−ヒドロキシブチレート単
位からなり、4−ヒドロキシブチレート単位の含有量が
60モル%を上廻り95モル%以下である生分解性ポリ
エステル共重合体を含有するポリエステル成形品であっ
て、該成形品が延伸により得られたものであることを特
徴とするポリエステル成形品に関する。
【0008】本発明の第二は、成形品の応力−歪み曲線
において、低弾性率の領域が、歪みが生じ始める点から
破断時歪みに至る領域の1/20以上の範囲にわたって
おり、この低弾性率領域に続いて、応力−歪み曲線の傾
きが低弾性率領域での傾きより低下することなく、より
大きな傾きを有する高弾性率の領域が存在するものであ
る請求項1記載のポリエステル成形品に関する。
【0009】本発明の第三は、3−ヒドロキシブチレー
ト単位及び4−ヒドロキシブチレート単位からなり、4
−ヒドロキシブチレート単位の含有量が60モル%を上
廻り95モル%以下である生分解性ポリエステル共重合
体と結晶性生分解性ポリエステルとを含有するポリエス
テル成形品であって、該成形品が延伸により得られたも
のであることを特徴とするポリエステル成形品に関す
る。
【0010】本発明の第四は、医療用器材または人工器
官のためのものである請求項1、2または3記載のポリ
エステル成形品に関する。以下、本発明を詳細に説明す
る。
【0011】(3HB・4HBポリエステル共重合体に
ついて)本発明に用いる3HB単位及び4HB単位から
なる生分解性のポリエステル共重合体(以下、3HB・
4HBポリエステル共重合体と称する)は、式
【化3】 で表わされる3HB単位、及び式
【化4】 で表わされる4HB単位から構成されている。3HB・
4HBポリエステル共重合体は、60モル%を上廻り9
5モル%以下の4HB単位を含有するものである。4H
B単位の含有量が60モル%以下では、ポリ(3HB)
に近い結晶性を示し、成形品の柔軟性が低下する。95
モル%を超えると、ポリ(4HB)に近い結晶性を示
し、やはり成形品は柔軟にはならない。このように4H
B単位の含有量が60モル%を上回り95モル%以下の
場合には、4HB単位の含有量が上記範囲を外れる場合
に較べて、結晶性が低くなり、また二次転移温度(T
g)も−50〜5℃程度と低いため、前記共重合体は常
温でゴム状の物性を示す。この場合は結晶部がゴムの架
橋点に当たる役割を果し、成形品中に細かな結晶部が適
量形成される。その結果、4HBのモル比が60モル%
を上回り95モル%以下の範囲にある共重合体それ自体
を賦形した成形体を延伸して得られた成形品は、図2の
応力−歪み曲線で代表される「スキンタイプの物性」が
顕著にあらわれる。ここで「スキンタイプの物性」と
は、動物の生体軟組織に特有の性質のことである。「ス
キンタイプの物性」をもつ成形品は、生体の軟組織と接
触させて使用する医療用器材または人工器官に特に適し
ている。
【0012】前記共重合体は必要に応じ本発明の主旨を
損なわない範囲で他の単位を含んでいても良い。そのよ
うな単位としては、例えば、式
【化5】 で表わされる3−ヒドロキシバリレート単位等が挙げら
れる。
【0013】本発明に用いる生分解性の3HB・4HB
ポリエステル共重合体は、融点が、通常、37〜100
℃、好ましくは40〜80℃、更に好ましくは45〜6
0℃、数平均分子量が、通常、20,000〜5,00
0,000、好ましくは50,000〜2,000,0
00、より好ましくは100,000〜1,000,0
00(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によ
るポリスチレン標準試料換算値)のものである。分子量
が小さすぎると高歪みにおける機械的強度が低下する。
大きすぎると3HB・4HBポリエステル共重合体が得
られにくく、成形、延伸が困難となり、充分な柔軟性が
得にくくなる。融点が低すぎると、生体軟組織と接触さ
せて使用することが困難になるほか、室温での弾性率及
び引張強度が不安定になる。高すぎると、成形時の温度
を高くする必要があり、成形品の製造上好ましくない。
【0014】本発明に用いる生分解性の3HB・4HB
ポリエステル共重合体は、通常、ヒドロキシブチレート
重合体生産能を有する菌体を培養した後の菌体から3H
B・4HBポリエステル共重合体を抽出することにより
得られる。代表的な生分解性3HB・4HBポリエステ
ル共重合体の製造方法は、例えば、特開昭64−488
21号公報第2頁右下欄第1行〜第4頁右上欄第18
行、特開平1−222788号公報第2頁左下欄第2行
〜第4頁左上欄第4行、特開平1−304891号公報
第2頁左下欄第11行〜第4頁左上欄第17行、特開平
2−27992号公報第2頁左下欄第2行〜第4頁左上
欄第3行、特開平4−325094号公報第2欄第19
行〜第3欄第39行、特開平4−326932号公報第
2欄第7行〜第4欄第2行に記載されている。
【0015】これら公知の代表的方法においては、ヒド
ロキシブチレート重合体生産能を有する菌体を、ヒドロ
キシブチレートの基質となる炭素源とクエン酸の存在下
に、培地または培養液の窒素および/またはリンを制限
して培養し、菌体内に共重合体を蓄積せしめる。なお、
ポリエステル生成のための培養に先立って菌体を増殖さ
せるための前段培養を行ってもよい。
【0016】前記菌体の例としては、アルカリゲネス
フェカリス(ATCC8750)、アルカリゲネス ル
ーランディ(ATCC15749)、アルカリゲネス
ラタス(ATCC29712)、アルカリゲネス アク
アマリヌス(ATCC14400)、アルカリゲネス
ユウトロファス(ATCC17699)等のアルカリゲ
ネス属が挙げられる。培地は菌体が資化し得る物質であ
れば特に制限されない。その例としては、酵母エキス、
ポリペプトン、肉エキスの如き天然物;グルコースの如
き糖類;硫酸アンモニウムの如き無機窒素化合物;リン
酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、硫酸マグネシ
ウムの如き無機塩;が挙げられる。
【0017】ヒドロキシブチレートの基質となる炭素源
として用いられる化合物の例としては、4−ヒドロキシ
酪酸、4−クロロ酪酸の如き酪酸誘導体;4−ヒドロキ
シ酪酸ナトリウム等、前記酪酸誘導体の無機塩;γ−ブ
チロラクトン;下記一般式 HO(CH2)nOH (n=2,4,6,8,10,
12) で表される脂肪族ジオール類;が挙げられる。使用量は
特に制限されないが、好ましくは3〜100g/1、特
に好ましくは3〜50g/1とする。使用量を変えるこ
とにより3HB・4HBポリエステル共重合体の4HB
単位含量を変えることができる。一般に、使用量が増え
ると4HB単位含量は高くなる傾向にある。
【0018】60モル%を上廻る4HB単位を含有する
ポリエステル共重合体を得るには、クエン酸および/ま
たはクエン酸塩を培養系に加えることが好ましい。クエ
ン酸塩の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩お
よびアンモニウム塩が挙げられる。クエン酸やクエン酸
塩の量は、使用した微生物の菌株および所望の共重合体
組成などによって異なるが、培地もしくは培養液1リッ
トルに対し、通常、0.3〜40g程度、好ましくは1
〜30g程度である。使用量が多すぎると得られる共重
合体の量が減少する。
【0019】ポリエステル生成のための培養に先立って
菌体を増殖させるための前段培養を行った場合には、前
段の培養によって得られた培養液から微生物の菌体を、
ろ過および遠心分離のような通常の固液分離手段により
分離回収し、回収された菌体を後段の培養に付するか、
または、前段の培養において窒素および/またはリンを
実質的に枯渇させて、菌体を分離回収することなく、こ
の培養液を後段の培養に移行させることができる。
【0020】ポリエステル生成のための培養により得ら
れた培養液から、例えば、ろ過および遠心分離などの通
常の固液分離手段によって菌体を分離回収し、この菌体
を洗浄、乾燥して乾燥菌体を得る。該乾燥菌体から、常
法により、クロロホルムやアセトンのような有機溶剤で
3HB・4HBポリエステル共重合体を抽出し、この抽
出液にヘキサンのような貧溶媒を加えて共重合体を沈殿
させることにより、3HB・4HBポリエステル共重合
体が得られる。
【0021】ポリエステル生成のための培養及び場合に
より行われる前段培養においては、pHを、通常、6〜
10、好ましくは6.5〜9.5とし、好気的に培養す
る。溶存酸素濃度は、通常、0.5〜40ppm、好ま
しくは5〜20ppmとする。培養温度は、通常、20
〜40℃程度、好ましくは25〜35℃程度とする。こ
れらの条件をはずして培養した場合には、乾燥菌体内に
生成蓄積するポリエステル量が極めて低くなり、工業的
に製造するには有利ではない。
【0022】(結晶性生分解性ポリエステル)本発明に
使用する結晶性生分解性ポリエステルは、結晶構造をと
り、かつ酵素分解を受けるものである。本発明において
は、数平均分子量が、通常、10,000〜5,00
0,000、好ましくは20,000〜1,000,0
00、より好ましくは100,000〜500,000
(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポ
リスチレン標準試料換算値)のものを使用する。分子量
が小さすぎると、低歪みにおける初期弾性率、高歪みに
おける機械的強度ともに改良されない。大きすぎると成
形品を得ることが困難になる。また、室温での弾性率及
び引張強度の安定性の点から、融点が40℃以上のもの
が好ましく、60℃以上のものがより好ましい。そのよ
うな結晶性生分解性ポリエステルとしては、例えば、ポ
リ乳酸、ポリグリコール酸、ポリグラクチン、ポリプロ
ピオラクトン、ポリ〔(R)−3HB〕、ポリ〔(S)
−3HB〕、ポリカプロラクトン等が挙げられる。その
中でも、入手の容易さ、成形品の柔軟性の観点から、ポ
リ〔(R)−3HB〕が好ましい。
【0023】(ポリエステル成形品)本発明のポリエス
テル成形品は、通常、3HB・4HBポリエステル共重
合体それ自体を、あるいはこの共重合体と結晶性生分解
性ポリエステルからなる組成物を所望の公知の形状、例
えば、繊維、フィルム、チューブなどの形状に賦形した
成形体を延伸することにより得られる。前記賦形の方法
は特に限定されない。その方法としては、例えば、溶融
紡糸、乾式紡糸、溶融押出、プレス、溶液流延、浸漬等
が挙げられる。より具体的には、繊維の製造は、例え
ば、紡糸温度100〜200℃にて溶融紡糸する方法;
クロロホルム、アセトンなどの有機溶媒に溶解したポリ
エステル共重合体のドープを乾式紡糸する方法;等によ
り行う。フィルムの製造は、例えば、溶融押出;クロロ
ホルム、アセトンなどの有機溶媒溶液を用いた溶液流
延;等、チューブの製造は、例えば、溶融押出、浸漬
等、いずれも公知の方法により行なうことができる。
【0024】本発明のポリエステル成形品は、延伸され
て、分子が配向されていることを特徴とする。延伸は、
通常、結晶性高分子からなる繊維、フィルム、チューブ
などにみられる方法によればよい。その一例としては所
定延伸温度に保持された雰囲気中で張力を加え、該張力
の方向に分子を配向させる方法が挙げられる。具体的に
は、例えば、ニップローラを用いて分子を配向させる。
フィルムの場合には1軸延伸または2軸延伸も可能であ
る。延伸倍率は、通常、2〜12倍、好ましくは3〜9
倍、より好ましくは5〜7倍である。結晶性生分解性ポ
リエステルを併用する場合、延伸温度は、通常、0〜6
0℃(ただし、3HB・4HBポリエステル共重合体及
び結晶性生分解性ポリエステルの融点未満とする)、好
ましくは10〜45℃、より好ましくは20〜40℃と
する。3HB・4HBポリエステル共重合体のみを用い
る場合、延伸温度は、通常、25〜60℃(ただし、前
記共重合体の融点未満とする)、好ましくは30〜55
℃、より好ましくは35〜45℃である。延伸を行わな
い場合や、上記倍率や温度を外して延伸を行った場合に
は、低歪みにおける初期弾性率の低さと高歪みにおける
機械的強度の高さを兼ね備えたポリエステル成形品を得
ることが困難となる。
【0025】3HB・4HBポリエステル共重合体それ
自体を賦形した成形体を延伸してなる本発明のポリエス
テル成形品は、多くの結晶性高分子の延伸配向させた成
形品とは対照的な引張特性を示し、その応力−歪み曲線
が特徴的である。すなわち、添付図1の応力−歪み曲線
に例示されるように、一般の結晶性高分子の繊維は小さ
い歪みで降伏値を示し、歪みの増大とともに伸長し、最
後に応力が上昇して破断する。これとは対照的に、本発
明のポリエステル共重合体繊維の代表的なものは、図2
の応力−歪み曲線に例示されるように、弾性率が低い領
域(1)、弾性率が高い領域(2)、次いで弾性率が低
い領域(3)を経て破断にいたる(図2は、4HB単位
含量75モル%、3HB単位含量25モル%のポリエス
テル共重合体からなる繊維を延伸した成形品の応力−歪
み曲線の一例である。なお、図1および図2において、
横軸は、歪みのない繊維の長さをaとして、歪みを生じ
た繊維の長さを示している)。換言すれば、本発明のポ
リエステル共重合体繊維の代表的なものは、引張強さ
(破断時応力)を破断時歪みで除した値よりも小さい初
期弾性率を有している。
【0026】3HB・4HBポリエステル共重合体それ
自体を賦形した成形体を延伸してなる本発明のポリエス
テル成形品は、その応力歪み曲線において、次の要件
(イ)および(ロ)を満足することを特徴としている。 (イ) 低弾性率(初期弾性率)の領域:(1)〔横軸
上の長さ(b−a)〕が、歪みが生じ始める点aから破
断時歪みdに至る領域〔(1)+(2)+(3)〕〔横
軸上の長さ(d−a)〕の1/20以上、好ましくは1
/10以上にわたっている。 (ロ) 上記低弾性率の領域(1)に続いて、応力歪み
曲線の傾き(弾性率)が低弾性率の領域(1)での傾き
(初期弾性率)より低下することなく、より大きな傾き
を有する高弾性率の領域(2)が存在する。
【0027】本発明の成形品が3HB・4HBポリエス
テル共重合体それ自体を賦形した繊維である場合、初期
弾性率と、引張強さを破断時歪みで除した値の比が1.
0以下のものが好ましい。本発明の成形品が3HB・4
HBポリエステル共重合体それ自体を賦形したフィルム
やチューブであり、1軸延伸したものである場合、フィ
ルムの大きさ(縦、横の比率)や厚さ、チューブの径や
厚さなどにもよるが、一般に、初期弾性率と、引張強さ
を破断時歪みで除した値の比が6以下のものが好まし
く、4以下のものがより好ましく、2以下のものが特に
好ましく、なかでも1.5以下のものが最も好ましい。
【0028】本発明のポリエステル成形品において、3
HB・4HBポリエステル共重合体に特定の割合で結晶
性生分解性ポリエステルという固い材料を混合すると、
高歪みにおける機械的強度を低下させることなく、低歪
みにおける初期弾性率をより小さくすることができると
いうことはまったく予想できない驚くべき結果であっ
た。その理由は、結晶性生分解性ポリエステルを混合す
ることにより3HB・4HBポリエステル共重合体の結
晶化が抑制され、この状態が低歪みにおいても維持され
るためと考えられる。3HB・4HBポリエステル共重
合体と結晶性生分解性ポリエステルを併用する場合は、
3HB・4HBポリエステル共重合体と結晶性生分解性
ポリエステルの重量比は、通常、99/1〜50/50
(重量%)、好ましくは95/5〜65/35(重量
%)である。この範囲を外れると、低歪みにおける初期
弾性率が3HB・4HBポリエステル共重合体のみを用
いた場合に比べて低下しない。
【0029】本発明のポリエステル成形品は必要に応じ
他の成分を本発明の趣旨を損なわない範囲で含んでいて
もよい。その例としては、キチン、コラーゲン等の生分
解性物質等が挙げられる。
【0030】本発明のポリエステル成形品は延伸後に熱
固定処理を行ったものでもよい。ここにいう熱固定処理
とは、延伸後の成形品を、通常、1〜120分間、好ま
しくは10〜30分間、延伸時と同じ温度及び倍率のも
とで、張力をかけた状態で処理することである。熱固定
処理後のポリエステル成形品は、張力を解放することに
より、延伸直後の長さの60〜70%程度まで収縮す
る。熱固定処理を行うことにより、延伸による効果をよ
り確実なものとすることができる。
【0031】本発明のポリエステル成形品は、3HB・
4HBポリエステル共重合体と結晶性生分解性ポリエス
テルが共に生分解性であるため、リパーゼ・エステラー
ゼ等による酵素分解または加水分解を受ける。そのた
め、本発明のポリエステル成形品はある程度体液と接触
させることにより分解する。
【0032】本発明のポリエステル成形品は、低歪みに
おける初期弾性率の低さと高歪みにおける機械的強度の
高さを兼ね備え、かつ柔軟性、強靱性と生分解性を兼備
しているため、生体軟組織と接触させて使用する医療用
材料として優れている。
【0033】本発明のポリエステル成形品は生分解しな
い成形品とすることもできる。その方法としては、例え
ば、表面をポリウレタンなどの抗血栓性材料で被覆する
方法等が挙げられる。
【0034】本発明のポリエステル成形品を用いた医療
用材料としては、例えば、創傷被覆材の基材、癒着防止
材、縫合糸等の医療用器材;公知の構造を有する人工血
管、人工皮膚、人工臓器、人工筋肉等の人工器官;等が
挙げられる。
【0035】本発明の成形品の好ましい態様を以下に示
す。 (1) 3−ヒドキシブチレート単位及び4−ヒドロキ
シブチレート単位からなり、4−ヒドロキシブチレート
単位の含有量が60モル%を上廻り95モル%以下であ
る生分解性ポリエステル共重合体と結晶性生分解性ポリ
エステルとを含有するポリエステル成形品であって、該
成形品が延伸により得られたものであることを特徴とす
るポリエステル成形品。 (2) 結晶性生分解性ポリエステルがポリ〔(R)−
3HB〕である前記(1)記載のポリエステル成形品。 (3) 生分解性3HB・4HBポリエステル共重合体
の数平均分子量が20,000〜5,000,000で
ある前記(1)または(2)記載のポリエステル成形
品。 (4) 結晶性生分解性ポリエステルの数平均分子量が
10,000〜5,000,000である前記(1)、
(2)または(3)記載のポリエステル成形品。 (5) 生分解性3HB・4HBポリエステル共重合体
の数平均分子量が20,000〜5,000,000
で、かつ結晶性生分解性ポリエステルの数平均分子量が
10,000〜5,000,000である前記(1)、
(2)、(3)または(4)記載のポリエステル成形
品。 (6) 生分解性3HB・4HBポリエステル共重合体
と結晶性生分解性ポリエステルの重量比が99/1〜5
0/50(重量%)の範囲内である前記(1)、
(2)、(3)、(4)または(5)記載のポリエステ
ル成形品。 (7) 数平均分子量が20,000〜5,000,0
00である生分解性3HB・4HBポリエステル共重合
体と、数平均分子量が10,000〜5,000,00
0である結晶性生分解性ポリエステルの重量比が99/
1〜50/50(重量%)の範囲内である前記(1)、
(2)、(3)、(4)、(5)または(6)記載のポ
リエステル成形品。 (8) 延伸倍率を2〜12倍の範囲内として延伸した
ものである前記(1)、(2)、(3)、(4)、
(5)、(6)または(7)記載のポリエステル成形
品。 (9) 延伸温度が0〜60℃の範囲内であってかつ生
分解性3HB・4HBポリエステル共重合体及び結晶性
生分解性ポリエステルのいずれの融点よりも低い温度に
おいて延伸したものである前記(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)、(6)、(7)または(8)
記載のポリエステル成形品。 (10)延伸後に熱固定処理を行ったものである前記
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、
(7)、(8)または(9)記載のポリエステル成形
品。 (11)延伸温度が0〜60℃の範囲内でありかつ生分
解性3HB・4HBポリエステル共重合体及び結晶性生
分解性ポリエステルのいずれの融点よりも低い温度で延
伸し、更に延伸温度と同じ温度で熱固定処理を行なった
ものである前記(1)、(2)、(3)、(4)、
(5)、(6)、(7)、(8)、(9)または(1
0)記載のポリエステル成形品。 (12)3−ヒドロキシブチレート単位及び4−ヒドロ
キシブチレート単位からなり、4−ヒドロキシブチレー
ト単位の含有量が60モル%を上廻り95モル%以下で
ある生分解性ポリエステル共重合体を含有するポリエス
テル成形品であって、該成形品が延伸により得られたも
のであることを特徴とするポリエステル成形品。 (13)生分解性3HB・4HBポリエステル共重合体
の数平均分子量が20,000〜5,000,000で
ある前記(12)記載のポリエステル成形品。 (14)延伸倍率を2〜12倍の範囲内として延伸した
ものである前記(12)または(13)記載のポリエス
テル成形品。 (15)延伸温度が0〜60℃の範囲内であってかつ生
分解性3HB・4HBポリエステル共重合体の融点より
も低い温度において延伸したものである前記(12)、
(13)または(14)記載のポリエステル成形品。 (16)延伸後に熱固定処理を行ったものである前記
(12)、(13)、(14)または(15)記載のポ
リエステル成形品。 (17)延伸温度が0〜60℃の範囲内でありかつ生分
解性3HB・4HBポリエステル共重合体の融点よりも
低い温度で延伸し、更に延伸温度と同じ温度で熱固定処
理を行なったものである前記(12)、(13)、(1
4)、(15)または(16)記載のポリエステル成形
品。 (18)前記(1)、(2)、(3)、(4)、
(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、
(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、
(16)または(17)記載のポリエステル成形品より
なる医療用器材。 (19)表面が非分解性材料で被覆されている前記(1
8)記載の医療用器材。 (20)前記非分解性材料がポリウレタンである前記
(19)記載の医療用器材。 (21)前記(1)、(2)、(3)、(4)、
(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、
(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、
(16)、(17)、(18)、(19)または(2
0)記載のポリエステル成形品よりなる人工器官。
【0036】
【実施例】以下、参考例、実施例、比較例に基づいて、
本発明を具体的に説明する。
【0037】参考例1(3HB・4HBポリエステル共
重合体の製造) 培地A(酵母エキス10g,ポリペプトン10g,肉エ
キス5g,(NH42SO45gを脱イオン水に溶解し
て1リットルとし、pH7.0に調整したもの)200
mlを2リットルのフラスコに入れ、菌体〔アルカリゲ
ネス ユウトロファス(ATCC17699)〕を28
℃で24時間培養し、遠心分離により菌体B0を分離し
た。
【0038】培地B(Na2HPO4 4.4g,KH2
PO4 1.2g,MgSO40.2g,4−ヒドロキシ
酪酸ナトリウム15.0g,クエン酸ナトリウム5.0
gを脱イオン水に溶解して1リットルとし、pH7.0
に調整したもの)1リットル当たり菌体B0の4gを懸
濁させた。この懸濁液100mlを500mlの坂口フ
ラスコに入れ、28℃で48時間培養し、遠心分離によ
り菌体B1を分離した。
【0039】得られた菌体B1を蒸留水で洗浄し、これ
を減圧乾燥して乾燥菌体Bd1を得た。このようにして
得られた乾燥菌体Bd1から熱クロロホルムでポリエス
テル共重合体を抽出し、抽出液を濃縮後、多量のヘキサ
ンに滴下してポリエステル共重合体を沈殿させ、該沈殿
をろ取、乾燥してポリエステル共重合体を分離し、生分
解性3HB・4HBポリエステル共重合体P1を得た。
【0040】この生分解性3HB・4HBポリエステル
共重合体P1は、収量が、1.1g/リットル、組成は
4HB75%、3HB25%、Tgは−43℃、融点は
53℃、数平均分子量は約620,000であった。な
お、組成は、1H−NMR〔溶媒:重クロロホルム〕で
分析し、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマト
グラフィー法によるポリスチレン標準試料換算値で示し
た。
【0041】参考例2 懸濁液の量を100mlの代わりに50mlにする以外
は参考例1と同様にして菌体B0を培養し、遠心分離に
より菌体B2を分離し、更に乾燥菌体Bd2を得た。該
菌体Bd2を用いた以外は参考例1と同様にして生分解
性3HB・4HBポリエステル共重合体P2を得た。ポ
リエステル共重合体P2は、収量1.2g/リットル、
組成が4HB65%、3HB35%、Tgは−35℃、
融点は50℃、数平均分子量は約60万であった。
【0042】参考例3 培地Bの代わりに培地C(クエン酸ナトリウムを20.
0g用いた以外は培地Bと同様に調整したもの)を用
い、培養時間を8時間とする以外は参考例1と同様にし
て菌体B0を培養し、遠心分離により菌体B3を分離
し、更に乾燥菌体Bd3を得た。該菌体Bd3を用いた
以外は参考例1と同様にして生分解性3HB・4HBポ
リエステル共重合体P3を得た。ポリエステル共重合体
P3は、収量が0.4g/リットル、組成が4HB92
%、3HB8%、Tgは−49℃、融点は51℃、数平
均分子量は約53万であった。
【0043】参考例4 培地Bの代わりに培地D(クエン酸ナトリウムを含有し
ない以外は培地Bと同様に調整したもの)を用い、懸濁
液の量を100mlの代わりに50mlにする以外は参
考例1と同様にして菌体B0を培養し、遠心分離により
菌体B4を分離し、更に乾燥菌体Bd4を得た。該菌体
Bd4を用いた以外は参考例1と同様にして生分解性3
HB・4HBポリエステル共重合体P4を得た。ポリエ
ステル共重合体P4は、収量が1.2g/リットル、組
成が4HB45%、3HB55%、Tgは−11℃、融
点は151℃、数平均分子量は約60万であった。
【0044】参考例5 培地Bの代わりに培地E(クエン酸ナトリウムを1.7
g用いた以外は培地Bと同様に調整したもの)を用いる
以外は参考例1と同様にして菌体B0を培養し、遠心分
離により菌体B5を分離し、更に乾燥菌体Bd5を得
た。該菌体Bd5を用いた以外は参考例1と同様にして
生分解性3HB・4HBポリエステル共重合体P5を得
た。ポリエステル共重合体P5は、収量が1.1g/リ
ットル、組成が4HB55%、3HB45%、Tgは−
20℃、融点は148℃、数平均分子量は約58万であ
った。
【0045】参考例6 培地Bの代わりに培地F(クエン酸ナトリウムを25.
0g用いた以外は培地Bと同様に調整したもの)を用
い、培養時間を4時間とする以外は参考例1と同様にし
て菌体B0を培養し、遠心分離により菌体B6を分離
し、更に乾燥菌体Bd6を得た。該菌体Bd6を用いた
以外は参考例1と同様にして生分解性3HB・4HBポ
リエステル共重合体P6を得た。ポリエステル共重合体
P6は、収量が0.2g/リットル、組成が4HB97
%、3HB3%、Tgは−50℃、融点は52℃、数平
均分子量は約45万であった。
【0046】実施例1 ポリエステル共重合体P1を、オリフィス径0.5mm
のノズルを装着した15mmφ単軸押出機を用いてノズ
ル温度190℃にて溶融紡糸して、単繊維繊度600デ
ニールの未延伸糸を得た。紡糸直後の未延伸糸は透明で
あったが、30分後には結晶化のため白化した。未延伸
糸を室温でデシケーター中に1週間放置して、結晶化を
完了した。
【0047】結晶化したポリエステル共重合体未延伸糸
f10を、表1に示す温度の雰囲気中でニップロール間
にて延伸し、さらに延伸温度と同一温度にて張力をかけ
た状態で20分間熱固定処理して、延伸熱処理糸を得
た。延伸熱処理糸は張力を解放すると延伸直後の長さの
60〜70%に収縮した。本発明の成形品である延伸熱
処理糸F11、F12、F13、F14、F15の延伸
条件および引張試験の結果を表1に示す。比較のため
に、未延伸糸(f10)および延伸せず熱処理のみ施し
た糸(f11)の物性も表1に示す。なお、引張試験は
各糸を室温に戻した後に行った。
【0048】引張試験は、インストロン型引張試験機
(TOM−200D、新興通信工業製)を用いて、引張
速度200mm/min、室温で行った。初期弾性率
は、応力−歪み曲線を求め、該曲線の歪み10%におけ
る傾きとして求めた。引張強さ及び破壊時歪みは、試料
が破壊した時の引張強さ及び歪みとして求めた。
【0049】同様に、ポリエステル共重合体P2、P
3、P4、P5、P6を各々紡糸して未延伸糸f20、
f30、f40、f50、f60を得、次いで結晶化さ
せ、延伸し、熱固定処理して、延伸熱処理糸F21、F
31、F41、F42、F51、F61を得た。延伸熱
処理糸F21、F31、F41、F42、F51、F6
1の延伸条件と引張試験の結果を表1に示す。また比較
のため、未延伸糸f20、f30、f50、f60及び
延伸せず熱処理のみ施した糸f41の物性も表1に示
す。なお、引張試験は各糸を室温に戻した後に行った。
【0050】
【表1】
【0051】本発明の延伸熱処理糸F11、F12、F
13、F14、F15、F21、F31はいずれも、破
断時歪みの1/10の歪みでは、低い初期弾性率を示
し、応力−歪み曲線は、歪みのない状態から少なくとも
破断時歪みの1/10の歪みの範囲では低弾性率の領域
(1)にあり、図2のように低弾性率の領域(1)に連
続して高弾性率の領域(2)の存在が認められた。ま
た、表1から明かなように、本発明の延伸熱処理糸はい
ずれも、初期弾性率[A]と、引張強さ[B]を破断時
歪み[C]で除した値[D]の比(すなわち、[A]/
[D])が1以下となった。したがって、本発明の延伸
熱処理糸は、「スキンタイプの物性」が顕著にあらわれ
たものである。これに対し、4HB単位の含有量が小さ
すぎるポリエステル共重合体を用いた延伸熱処理糸F4
1、F42、F51および4HB単位の含有量が大きす
ぎるポリエステル共重合体を用いた延伸熱処理糸F61
は、初期弾性率[A]と、引張強さ[B]を破断時歪み
[C]で除した値[D]の比(すなわち、[A]/
[D])が1を超えるため、「スキンタイプの物性」が
顕著にあらわれない。
【0052】実施例2 ポリエステル共重合体P1をクロロホルムに溶解して濃
度約1.5重量%の溶液とし、該溶液を直径9cmのシ
ャーレに流延し、室温で1昼夜、さらに減圧下40℃で
5時間乾燥し、フィルムfi10を得た。フィルム温度
が190℃になるように、フィルムfi10を2分間ホ
ットプレスして成形し、40℃に冷却して、厚さ100
μmのフィルムfi11を得た。fi11を、長さ2c
m、幅1cmに切り、40℃で6倍に長手方向に1軸延
伸し、そのまま40℃にて20分間熱固定処理を施し
て、延伸熱処理フィルムFI11を得た。同様に、ポリ
エステル共重合体P4を用いて、延伸熱処理フィルムF
I41を得た。フィルムFI11、FI41ともに、張
力を解放すると延伸直後の長さの60〜70%に収縮し
た。各フィルムを室温に戻した後の引張試験の結果を表
2に示す。
【0053】実施例3 実施例1と同じポリエステル共重合体P10(数平均分
子量約14万)、P40(数平均分子量約13万)を用
いた他は、実施例2と同様にして、厚さ100μmのフ
ィルムfi101、fi401を得た。各フィルムを用
いて、実施例2と同様の方法で、延伸熱処理フィルムF
I101、FI401を得た。フィルムFI101、F
I401ともに、張力を解放すると延伸直後の長さの6
0〜70%に収縮した。各フィルムを室温に戻した後の
引張試験の結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】本発明の成形品である延伸熱処理フィルム
FI11、FI101はいずれも、破断時歪みの1/1
0の歪みでは、低い初期弾性率を示し、応力−歪み曲線
は、歪みのない状態から少なくとも破断時歪みの1/1
0の歪みの範囲では低弾性率の領域(1)にあり、図2
のように低弾性率の領域(1)に連続して高弾性率の領
域(2)の存在が認められた。また、表2から明かなよ
うに、本発明の延伸熱処理フィルムはいずれも、初期弾
性率[A]と、引張強さ[B]を破断時歪み[C]で除
した値[D]の比(すなわち、[A]/[D])が2以
下となった。したがって、本発明の延伸熱処理フィルム
は、「スキンタイプの物性」が顕著にあらわれたもので
ある。これに対し、4HB単位の含有量が小さすぎるポ
リエステル共重合体を用いた延伸熱処理フィルムFI4
1、FI401は、初期弾性率[A]と、引張強さ
[B]を破断時歪み[C]で除した値[D]の比(すな
わち、[A]/[D])が2を超えるため、「スキンタ
イプの物性」が顕著にあらわれない。
【0056】実施例で得られた各糸及びフィルムを、リ
ン酸緩衝液中で、Rhizopusdelemarに由
来するリパーゼLipase(生化学工業製)およびR
hizopus arrhizusに由来するリパーゼ
により処理したところ、いずれも分解することが確認さ
れた。
【0057】実施例4 3HB・4HBポリエステル共重合体P1とポリ
〔(R)−3HB〕(Aldrich品・融点180
℃、数平均分子量約500,000)を80/20(重
量%)の比率でクロロホルムに溶解し、濃度約1.5重
量%の溶液状組成物を用いた他は、実施例2と同様にし
て、フィルムfi70を得た。フィルム温度が190℃
になるように、フィルムfi70を1分間ホットプレス
で加熱し、急冷して、厚さ100μmのフィルムfi7
1を得た。このフィルムを用いた他は、実施例2と同様
にして、延伸熱固定フィルムFI71を得た。フィルム
FI71は張力を解放すると延伸直後の長さの60〜7
0%に収縮した。フィルムFI71を室温に戻した後の
引張試験の結果を表3に示す。
【0058】実施例5〜6 3HB・4HBポリエステル共重合体P1とポリ
〔(R)−3HB〕を表3に示す比率で用いた他は実施
例4と同様にして、延伸熱固定フィルムF81、F91
を得、引張試験を行った。引張試験は各フィルムを室温
に戻した後で行った。結果を表3に示す。
【0059】比較例 3HB・4HBポリエステル共重合体P1を用いなかっ
た他は実施例4と同様にしてフィルムfi0を得た。し
かし、フィルムfi0は非常に硬く、実施例4と同様の
方法では延伸することができなかった。フィルムfi0
を用いて、実施例4と同様にして引張試験を行った。実
施例2における延伸熱固定フィルムFI11の引張試験
値と合わせ、結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】表3から明らかなように、3HB・4HB
ポリエステル共重合体とポリ〔(R)−3HB〕からな
るフィルムFI71、FI81、FI91の場合には、
ポリ〔(R)−3HB〕を使用しないフィルムFI11
および3HB・4HBポリエステル共重合体を使用しな
いフィルムfi0に比べ、低歪みにおける初期弾性率の
顕著な低下が観測された。
【0062】実施例7〜10 3HB・4HBポリエステル共重合体P1とポリ
〔(R)−3HB〕を表4に示す比率で用い、25℃で
延伸および熱固定処理した他は、実施例4と同様にして
フィルムFI72、FI82、FI92、FI12を
得、引張試験を行った。引張試験は各フィルムを室温に
戻した後で行った。比較例の引張試験値と合わせ、結果
を表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】表4から明らかなように、3HB・4HB
ポリエステル共重合体とポリ〔(R)−3HB〕からな
るフィルムFI72、FI82、FI92の場合には、
ポリ〔(R)−3HB〕を使用しないフィルムFI12
および3HB・4HBポリエステル共重合体を使用しな
いフィルムfi0に比べ、低歪みにおける初期弾性率の
顕著な低下が観測された。
【0065】実施例4〜10で得られた各フィルムをリ
ン酸緩衡液中でRhizopusdelemarに由来
するリパーゼ(生化学工業製)およびRhizopus
arrhizusに由来するリパーゼ(ベーリンガーマ
ンハイム製)により処理したところ、いずれも分解する
ことが確認された。
【0066】
【発明の効果】本発明のポリエステル成形品は、低歪み
における弾性率の低さと高歪みにおける機械的強度の高
さを兼ね備え、かつ柔軟性、強靱性、生分解性をもつ。
本発明のポリエステル成形品は、医療用器材、人工器官
等、生体軟組織と接触させて使用する医療用材料として
有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の結晶性高分子を用いた繊維の応力−歪み
曲線の一例。
【図2】本発明のポリエステル共重合体繊維の応力−歪
み曲線の一例。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3−ヒドロキシブチレート単位と4−ヒ
    ドロキシブチレート単位からなり、4−ヒドロキシブチ
    レート単位の含有量が60モル%を上廻り95モル%以
    下である生分解性ポリエステル共重合体を含有するポリ
    エステル成形品であって、該成形品が延伸により得られ
    たものであることを特徴とするポリエステル成形品。
  2. 【請求項2】 成形品の応力−歪み曲線において、低弾
    性率の領域が、歪みが生じ始める点から破断時歪みに至
    る領域の1/20以上の範囲にわたっており、この低弾
    性率領域に続いて、応力−歪み曲線の傾きが低弾性率領
    域での傾きより低下することなく、より大きな傾きを有
    する高弾性率の領域が存在するものである請求項1記載
    のポリエステル成形品。
  3. 【請求項3】 3−ヒドロキシブチレート単位及び4−
    ヒドロキシブチレート単位からなり、4−ヒドロキシブ
    チレート単位の含有量が60モル%を上廻り95モル%
    以下である生分解性ポリエステル共重合体と結晶性生分
    解性ポリエステルとを含有するポリエステル成形品であ
    って、該成形品が延伸により得られたものであることを
    特徴とするポリエステル成形品。
  4. 【請求項4】 医療用器材または人工器官のためのもの
    である請求項1、2または3記載のポリエステル成形
    品。
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