JPH06336022A - 記録ヘッド認識方法とこれを実施する記録装置 - Google Patents

記録ヘッド認識方法とこれを実施する記録装置

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JPH06336022A
JPH06336022A JP12639093A JP12639093A JPH06336022A JP H06336022 A JPH06336022 A JP H06336022A JP 12639093 A JP12639093 A JP 12639093A JP 12639093 A JP12639093 A JP 12639093A JP H06336022 A JPH06336022 A JP H06336022A
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Hiromitsu Hirabayashi
弘光 平林
Norifumi Koitabashi
規文 小板橋
Hitoshi Sugimoto
仁 杉本
Masaya Uetsuki
雅哉 植月
Miyuki Matsubara
美由紀 松原
Hitoshi Nishigori
均 錦織
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 精度の高い合理的な記録ヘッドの認識方法を
実施する記録装置。 【構成】 少なくとも1つ以上のインク吐出口、温度検
出手段、加熱手段を有する記録ヘッドを少なくとも1つ
以上キャリッジ上に搭載し、測定した前記記録ヘッドの
吐出ヒータ特性a、ダイオードセンサ特性(温度検出手
段の温度特性)b、吐出ヒータ熱特性c及びサブヒータ
熱特性(加熱手段の熱特性)dの各データを本体に入力
し、記憶装置に記憶してある前回測定値と比較して各記
録ヘッド特性の認定を行い、記録ヘッド特性の認定が終
了すれば記録モードに入り、記録ヘッド特性が異状値を
示すときにはエラーモードに入り本体はエラー表示を行
う、また各記録ヘッド特性値は記憶装置に格納する記録
装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録装置の画像品位及
びスループット向上を計った記録ヘッド認識方法とこれ
を実施する記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、複写機、ファクシミリ等の記
録装置は、画像情報に基づいて、紙やプラスチック薄板
等の被記録材上にドットパタ−ンからなる画像を記録し
ていくように構成されている。
【0003】記録装置は、記録方式によりインクジェッ
ト式、ワイヤドット式、サ−マル式、レ−ザ−ビ−ム式
等に分けることができ、そのうちのインクジェット式
(インクジェット記録装置)は、記録ヘッドの吐出口か
らインク(記録液)滴を吐出飛しょうさせ、これを被記
録材に付着させて記録するように構成されている。
【0004】近年、数多くの記録装置が使用されるよう
になり、これらの記録装置に対して、高速記録、高解像
度、高画像品質、低騒音などが要求されている。このよ
うな要求に応える記録装置として、前記インクジェット
記録装置を挙げることができる。このインクジェット記
録装置では、ノズル内のインク中に熱エネルギーを印加
して発泡を生起し、該発泡力によって記録ヘッドからイ
ンクを吐出させて記録を行うため、上記要求を満たすの
に必要なインクの吐出の安定化、インク吐出量の安定化
は記録ヘッドの温度管理が非常に重要になっている。
【0005】このため、従来のインクジェット記録装置
にあっては、記録ヘッド部に、温度検知手段を設けてヘ
ッドの温度を検出するいわゆるクローズドループ方式
や、もしくはヘッドへの投入エネルギーからヘッド温度
の推移を演算推定する温度演算方式によってヘッド温度
を検出し、該記録ヘッドの検出温度に基づいて該記録ヘ
ッドの温度を所望範囲に制御する方法あるいは、上記2
つを併用する方法が採られていた。例として、特開平5
- 31906号公報では熱的に安定な状態で記録ヘッド
上の温度検知手段からの検知温度と、演算推定された演
算温度との差を用いて演算時に使用する値(テーブル
等)を補正して高精度化を達成している。また、特開平
5- 31918号公報では記録ヘッド上の温度検知手段
を非記録時、あるいは温度変化の無いタイミングに記録
装置本体内蔵の環境温度検知手段によって上記記録ヘッ
ドの温度検知手段の補正を行っている。さらに、特開平
5- 64890号公報では、上記温度検知手段による検
知温度と上記演算温度との比を演算温度補正に用いてい
る。これらの例は、交換方式の記録ヘッドの問題点であ
る上記温度検知手段のバラツキや記録ヘッド個々の熱時
定数の差や吐出時の熱効率の差などのヘッド特性を補正
する方法である。
【0006】上記温度演算方式の手段の概略は、対象物
の温度の挙動(昇温温度)を、単位時間あたりに投入し
たエネルギーによって昇温した対象物の温度が単位時間
経過後毎に何度に降温していくかを予め設定して於き、
現在の対象物の温度を過去の各単位時間あたりに昇温し
た温度が現時点に於いて何度に降温しているかの総和を
演算することにより推定するものである。
【0007】上記温度制御用のヒ−タとしては、記録ヘ
ッド部に接合した加熱用のヒ−タ部材や、熱エネルギ−
を利用して飛しょう的液滴を形成し、記録を行うインク
ジェット方式の記録装置、すなわち、インクの膜沸騰に
よる気泡成長によりインク液滴を吐出させるものに於い
ては吐出用ヒ−タが用いられる。また、上記吐出用ヒ−
タを用いる場合に発泡しない程度に通電する必要があ
る。
【0008】また、近年になってラップトップパソコン
に代表される可搬型のOA機器の登場により、可搬型の
プリンタ−等に於いても、高品位なものが求められるよ
うになってきた。その様な可搬型のものについては、構
造上、小型化設計の為、特にヘッドやインクタンクが交
換可能タイプのものが今後さらに主流になっていくと考
えられる。又、ホ−ムパ−ソナルユ−スのワ−プロ、パ
ソコン、ファクシミリの増大によるメンテナンス性の面
からも、ますます交換可能なカ−トリッジタイプのもの
が主流になっていくと考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
交換可能な記録ヘッドの各特性(温度検知手段の特性バ
ラツキ等)を記録装置本体が測定するとカラープリンタ
の場合複数ヘッドを測定する必要があり、プリンタの立
ち上げ動作のたびに非常に時間がかかってしまう。ある
いは、ヘッド特性を記録ヘッド自体に記憶させる場合、
記憶させる手間と記憶手段(例えば、ROM等)を記録
ヘッド毎に持つので非常にコストがかかる。又、記録ヘ
ッドにヘッド特性用接点を持たせその組み合わせで各種
特性を検知する方式は、情報量の分上記接点と読み取り
用の配線が必要であり装置の大型化、コストアップが問
題になっていた。
【0010】本発明の目的は、より精度の高い記録ヘッ
ドの判別を従来の考え方を一層して異なる要素に着目し
て、合理的な記録ヘッド認識方法とこれを実施する記録
装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このため、この発明に係
る記録ヘッド認識方法とこれを実施する記録装置は、少
なくとも1つ以上のインク吐出口、温度検出手段、加熱
手段を有する記録ヘッドを少なくとも1つ以上キャリッ
ジ上に搭載し、前記記録ヘッドの吐出ヒータ特性、温度
検出手段の温度特性、吐出ヒータ及び加熱手段の熱特性
を測定・記憶し、前回測定値と比較することを特徴とす
る構成により、前記の目的を達成しようとするものであ
る。
【0012】
【作用】具体的代表例として、本発明は、インクジェッ
ト記録ヘッドのインク吐出用発熱素子を駆動する駆動条
件を決定するための情報であって、記録ヘッドから得ら
れる少なくとも複数の情報を用いて、該記録ヘッドの継
続使用か交換後の記録ヘッドかを判別する記録ヘッド認
識方法を提供するものである。このように、インク吐出
用発熱素子を駆動する駆動条件を決定するための情報に
着目することで、実際の駆動時のばらつきや記録品位を
保証でき、同等の記録ヘッドが交換されたときには新た
に駆動条件を設定し直さずに記録を開始できるので、設
定に要する無駄がなく且つ高品位を保つことができる。
また、この条件を基準に採用することで、記録条件を設
定し直すべきものがより明確となるため、記録が像のば
らつきを減少できる。
【0013】また、上記複数情報は、記録ヘッドの吐出
ヒータ自体の物理的特性に関する情報と記録ヘッドの温
度検出用に使用される素子自体の物理的特性に関する情
報を含むか、記録ヘッドの上記発熱素子を駆動して得ら
れる温度変化情報と記録ヘッドの温度調節に使用される
加熱素子を駆動して得られる温度変化情報とを含むこと
で、より正確さを明確にする。更に、インクジェット記
録ヘッドのインク吐出用発熱素子を駆動する駆動条件を
決定するための情報であって記録ヘッドの第1の構成発
熱要素を駆動することで得られる温度変化情報と記録ヘ
ッドの別の第2構成要素自体の物理的特性と、を用いて
該記録ヘッドの継続使用か交換後の記録ヘッドかを判別
する記録ヘッド認識方法では、情報の判別を最小化で
き、例えば4ヘッド部を一体化した記録ヘッドでは、判
別をより正確且つ判別すべき情報数も減少できる利点が
ある。
【0014】ここで、本発明の上位応用概念を挙げる
と、1)ヘッド特性値を用いて記録ヘッドのIDとす
る、2)ヘッド特性値に暫定・確定の定義付けを行う、
3)記録ヘッドの熱的状態でヘッド特性測定の実施可否
を判断する、4)ヘッド特性補正時のランク許容値を通
常立ち上げ時と異ならせることが好ましいもので、その
詳細は実施例の説明から理解できよう。特に、これら4
つの手段を用いるとベストモードである。以下に示す説
明で、熱的状態が安定で温度変化が少ない場合を本発明
実施例中ではでは、印字ヘッド上のダイオードDiセンサ
の温度変化が10秒間に0. 2℃以下と定義したが、温
度検出手段及びその変化幅の大小はこれに限った訳では
なく、それぞれの測定目的に応じて変えても良い。
【0015】
【実施例】図8に本実施例が適用されるシリアル方式イ
ンクジェットカラープリンターを示す。記録ヘッド1は
複数のノズル列を有しインク滴を吐出することにより記
録媒体上にドット形成により画像記録を行うデバイスで
ある。( 本図では、記録ヘッド固定レバーに被われて直
接図中には示されていない。)又、後述の様に本例では
複数色のインク滴を吐出可能なように、複数の印字ヘッ
ドが一体となって記録ヘッド1を形成している。異なる
印字ヘッドからは異なる色インクが吐出され、これらの
インク滴の混色により記録媒体上に色画像が形成され
る。印字データはフレキシブルケーブル10によりプリ
ンタ本体の電気回路から印字ヘッドに伝達される。印字
ヘッド列1K(黒)、1C(シアン)、1M(マゼン
タ)、1Y(イエロー)は、本図では4色分の記録ヘッ
ドが一体となって構成されている。そして記録ヘッド1
はキャリッジ3に着脱自在になっている。往走査ではこ
の順番でインクを吐出する。例えばレッド(以下R)を
作る場合、まずマゼンタ(以下M)が記録媒体上に着弾
されそのあとMのドット上にイエロー(以下Y)が着弾
されてレッドのドットとして見えるようになる。以下同
様にグリーン(以下G)の場合はC、Yの順番に、ブル
ー(以下B)ではC、Mの順番にそれぞれ着弾し色を形
成する。ただし、各印字ヘッドは一定間隔(P1)をも
って配置されているため、例えばGのベタ印字をすると
きCを印字した後2*P1分遅れてYの印字が行われ
る。即ち、Cベタの上にYベタを印字することになる。
このキャリッジ3は不図示の位置検知手段によりキャリ
ッジの走査速度及び印字位置を検出して主走査方向の移
動制御を行う。この動力源はキャリジ駆動モータであ
り、タイミングベルト8により伝達されてガイド軸6、
7上を移動する。この主走査動作中に印字が行われる。
桁方向の印字動作は片方向印字と両方向印字がある。通
常、片方向印字はキャリッジがホームポジション(以下
HP)から反対方向に移動する時(往方向)のみ印字
し、HPに戻る方向(復方向)は印字動作を行わない。
即ち、高精度の印字が可能となる。それに対して両方向
印字は、往、復両方向とも印字動作を行う。よって高速
度の印字が可能になる。
【0016】副走査方向の送りは不図示の紙送りモータ
ーにより駆動されたプラテンローラ11により記録媒体
12が送られる。同図矢印c方向に給紙され、印字位置
に到達したら上記印字ヘッド列により印字動作が行われ
る。
【0017】次にキャリッジ上の記録ヘッドについて述
べる。図11及び図12に示すようにキャリッジ3内に
はK、C、M、Yのインクを各々吐出する4つの印字ヘ
ッド(図9)とインクを貯蔵、供給するインクタンク2
bk、2c、2m、2yとが搭載されている。これら4
つのインクタンクは各々キャリッジ3に着脱可能な構成
で、インクが無くなった時点で新たなインクタンクを色
別に交換することができる。
【0018】記録ヘッド固定レバー4は、記録ヘッド1
をキャリッジ3に位置ぎめ固定するためのものであり、
キャリッジ3のボス3bと記録ヘッド固定レバー4の穴
4aが回転自在に嵌合しており、記録ヘッド1は上記レ
バーの開閉によって記録ヘッドが交換可能になる。ま
た、記録ヘッド固定レバー4とキャリッジ3のストッパ
3dが噛み合うことによって上記記録ヘッド1をキャリ
ッジ3上に正確に固定する。さらに、記録ヘッド1上部
の接点群111は不図示の記録ヘッド固定レバーにある
対応接点群と接合する。これら接点群が接合することに
より4色分の印字ヘッドの吐出ヒータ及びサブヒータ駆
動の駆動信号、前述のヘッド特性、ダイオードセンサ値
等が記録装置本体から送信あるいは検知可能となる。
【0019】記録ヘッド1の詳細について説明する。図
9、10に示すように、印字ヘッドは列状に設けられた
複数個の吐出口1Aよりインク滴を吐出させるために、
印加電圧が供給され熱エネルギーを発生させる電気熱変
換体(以下吐出ヒータ1B)が各吐出口毎にヒータボー
ド20G上に配設されている。そして駆動信号の印加に
よって、前記吐出ヒータ1Bを加熱しインク滴を吐出さ
せる。ヒータボード20Gには、吐出ヒータ1Bが複数
個並んで配置された吐出ヒータ列20Dが配設され、そ
の近傍にインク滴を吐出しないダミー抵抗20Eが配設
される。前記ダミー抵抗20Eは、吐出ヒータ1Bと同
様の条件で作成されたものであるためこの抵抗値を測定
することにより一定電圧を印加した場合の吐出ヒータの
生成エネルギー(Watt/時)が検知できる。吐出ヒータ
の発生エネルギーは、印加電圧V(Volt)、吐出ヒータ
抵抗値R(Ω)のときV2 /Rで算出できるので、上記
抵抗体のバラツキによって吐出ヒータは特性が変ること
になる。これら抵抗体は、製作時のバラツキとして、例
えば±15%のバラツキを有する場合がある。この吐出
ヒータ特性のバラツキを検知して各記録ヘッド毎に最適
な駆動条件を設定することにより記録ヘッドの高寿命
化、高画質化が可能となる。
【0020】また、本方式のインクジェットプリンタは
インクに熱エネルギーを投入しインク吐出をさせている
ため記録ヘッドの温度管理が必要となる。そのためヒー
タボード上にはダイオードセンサ20Cが配設され吐出
ヒータ近傍の温度を測定しインク吐出あるいは温度調節
用の投入エネルギーを制御している。
【0021】また、インクの物性として低温時の高粘度
化等による吐出不良を防止するためインク吐出とは別に
ヒータボード上に電気熱変換体(以下サブヒータ20
F)を有している。サブヒータ20Fに投入されるエネ
ルギーもダイオードセンサ20Cによる温度管理がなさ
れる。サブヒータ20Fも吐出ヒータ1Bと同様の条件
で作成されたため、前記ダミー抵抗20Eの抵抗値を測
定することによりそれらの抵抗値バラツキが検知でき
る。
【0022】ここで、ヘッド温度演算アルゴリズムにつ
いて説明する。
【0023】(制御全体の流れの概要)前述の通り、イ
ンクジェット記録装置にあっては、記録ヘッドの温度を
一定領域内に制御する事によって吐出、吐出量の安定化
が図られ、高画像品位の記録が可能になる。該安定した
高画像品位の記録を実現する為の、記録ヘッドの温度の
演算検出手段、該温度に応じた最適駆動制御方法等の概
要を以下に記す。
【0024】(1)目標温度の設定 以下説明する吐出量安定化の為のヘッド駆動制御は、ヘ
ッドのチップ温度を制御の基準とする。即ちヘッドのチ
ップ温度を、その時点で吐出している1ドットあたりの
吐出量を検出する代用特性としている。しかし、チップ
温度が一定であってもタンク内のインク温度は環境温度
に依存するので吐出量は異なる。この差異を解消する目
的で、環境温度別に(即ちインク温度別に)吐出量が同
等になるヘッドのチップ温度を定めた値が目標温度であ
る。目標温度は目標温度テーブルとして予め設定してお
く。本実施例で使用する目標温度テーブルを図24に記
す。
【0025】(2)記録ヘッド温度の演算手段 記録ヘッド温度を過去の投入エネルギーから推定演算す
る。演算手段は、記録ヘッドの温度推移を単位時間当た
りの離散値の積み重ねとして扱う離散値積み重ね演算手
段と、該離散値に応じた記録ヘッドの温度の温度推移を
投入可能なエネルギーの範囲内で予め演算しておきテー
ブル化した既演算テーブル手段と、該テーブルが単位時
間当たりの投入エネルギーと経過時間の2次元のマトリ
ックスで構成されている2次元テーブル構成手段とを有
する。本発明に於ける温度演算アルゴリズム手段に於い
ては更に、複数の熱伝導時間の異なる部材を組み合わせ
て構成されている記録ヘッドをモデル的に実際よりも少
い数の熱時定数で代用するモデル化手段と、該モデル単
位(熱時定数)毎に必要演算間隔と必要データ保持時間
を分けて個々に演算を行う演算アルゴリズム手段と、熱
源を複数設定し個々の熱源毎に上記モデル化単位で昇温
幅を演算し後に加え合わせてヘッド温度を演算する複数
熱源演算アルゴリズム手段を設けたことを特徴としてな
す。
【0026】(3)PWM制御 各環境化でヘッドが上記目標温度テーブルに記されてい
るチップ温度で駆動が行われれば吐出量の安定化は図ら
れる。だがチップ温度は印字duty等に応じて時々変
動しており一定ではない。吐出量の安定化を図る目的
で、ヘッドの駆動をマルチパルスPWM駆動にし、温度
に依存させずに吐出量の制御を行う手段がPWM制御で
ある。本実施例では、ヘッド温度とその環境化での目標
温度との差により、その時点で最適な波形/幅のパルス
を規定したPWMテーブルを予め設定して於き、吐出駆
動条件を定める。
【0027】(4)サブヒータ駆動制御 PWM駆動を行っても所望の吐出量が得られない場合
に、サブヒータを駆動することによってヘッド温度を目
標温度に近づける制御がサブヒータ制御である。ヘッド
温度を所定の温調温度に制御する。
【0028】(温度予測制御)本製品に於いて記録ヘッ
ドの温度を推定する基本式は以下の熱伝導の一般式に準
じる。
【0029】・ 加熱時 △temp=a{1−exp[−m*T]} ……(1) ・ 加熱の途中から冷却 △temp=a{exp[−m(T−T1 )]−exp[−m*T]}……(2) 但し、 temp;物体の昇温温度 a;熱源による物体の平衡温度 T;経過時間 m;物体の熱時定数 T1 ;熱源を取り去った時間 記録ヘッドを集中定数系として扱えば、熱時定数毎に印
字Dutyに応じて上記(1),(2) を計算する事により、
理論上は記録ヘッドのチップ温度は推定できる。
【0030】しかし一般には処理速度の問題から上記演
算をそのまま行う事は困難である。 ・ 厳密には全ての構成部材が異なる時定数を持ってお
り、また部材間で時定数が生じるので、演算回数が膨大
になる。
【0031】・ 一般的にMPUでは直接指数演算は行
えないので、近似計算を行うか換算表から求めるなどし
なくてはならず演算時間が短縮できない。
【0032】上記問題を次にあげるモデル化、及び演算
アルゴリズムで解決している。
【0033】(1)モデル化 前記構成よりなる記録ヘッドにエネルギーを投入し、該
記録ヘッドの昇温過程のデータをサンプリングしたとこ
ろ、図25のような結果を得た。
【0034】但し、上表中縦軸は、Ln(1ー△t/
a) →a;平衡温度 横軸は、経過時間 上記構成よりなる記録ヘッドは厳密には多くの熱伝導時
間の異なる部材の組み合わせで構成されているが、上記
ログ変換を行った昇温データと経過時間の関数の微分値
が一定である範囲に於いては(即ち上表に於ける傾きが
一定であるA、B,Cの範囲に於いては)、実用上単一
部材の熱伝導として扱えることを示している。
【0035】以上の結果から本実施例では、熱伝導に関
するモデルに於いては記録ヘッドを2つの熱時定数で取
り扱うこととする。(上記結果では、3つの熱時定数を
持つモデル化を行う方がより正確に回帰が行えることを
示しているが、上表のBとCのエリアに於ける傾きがほ
ぼ等しいと判断し演算効率を優先して本実施例では2つ
の熱時定数で記録ヘッドをモデル化するものである。)
具体的には、一方の熱伝導は0.8秒で平衡温度まで昇
温する時定数を有するもののモデル化であり(上表では
Aの領域に相当)、もう一方は512秒で平衡温度まで
昇温する時定数を有するもののモデル化である(上表で
はB及びCの領域のモデル化である)。更には、本実施
例では記録ヘッドを以下のように扱いモデル化する。
【0036】・熱伝導中の温度分布は無視できるものと
し全て集中定数系で扱う。
【0037】・熱源は、印字のためのヒートと、サブヒ
ータのヒートの2つを想定する。図26にモデル化した
熱伝導の等価回路を記す。
【0038】(2)演算アルゴリズム 本実施例でのヘッド温度の演算は、前記の熱伝導の一般
式を以下のように展開して用いる。
【0039】<EX.熱源ON後nt時間経過後の温度
の推定手段>
【0040】
【数1】
【0041】以上のように展開したことにより、<1> 式
が<2ー1>+<2-2>+<2-3>+----+<2-n>と一致する。ここで、 <2ーn> 式;時刻0からtまで加熱し、時刻tからntま
で加熱をOFFした場合の、時刻ntに於ける対象物の
温度に等しい。
【0042】<2ー3> 式;時刻(n-3) から(n-2) まで加熱
し、時刻(n-2) からntまで加熱をOFFした場合の、
時刻ntに於ける対象物の温度に等しい。
【0043】<2ー2> 式;時刻(n-2) から(n-1) まで加熱
し、時刻(n-1) からntまで加熱をOFFした場合の、
時刻ntに於ける対象物の温度に等しい。
【0044】<2ー1> 式;時刻(n-1) からn まで加熱した
場合の時刻ntに於ける対象物の温度に等しい。
【0045】上記式の合計が<1> 式に等しいということ
は、即ち対象物1の温度の挙動(昇温温度)を、単位時
間あたりに投入されたエネルギーによって昇温した対象
物1の温度が、単位時間経過後毎に何度に降温していく
かを求め(各々の<2-1> 式、<2-2> 式---<2-n>式に相
当)、現在の対象物1の温度は過去の各単位時間あたり
に昇温した温度が現時点に於いて何度に降温しているか
の総和を求める(<2-1>+<2-1>+-----<2-n>)ことにより
演算推定することが可能であることを示す。
【0046】以上から本実施例では、前記のモデル化に
より記録ヘッドのチップ温度の演算は4回(熱源2*熱
時定数2)行う。
【0047】4回の演算の為の夫々の、必要演算間隔、
データ保持時間を図27に示す。
【0048】また前記ヘッド温度を演算する、投入エネ
ルギーと経過時間の2次元のマトリックスからなる演算
表を図28から図31に記す。
【0049】図28は、熱源;吐出ヒータ、時定数;シ
ョートレンジの部材群、の演算表、図29は、熱源;吐
出ヒータ、時定数;ロングレンジの部材群、の演算表、
図30は、熱源;サブヒータ、時定数;ショートレンジ
の部材群、の演算表、図31は、熱源;サブヒータ、時
定数;ロングレンジの部材群、の演算表、である。
【0050】上表に記す通り、0.05秒間隔で、
(1)ショートレンジで代表される熱時定数の部材が、
吐出の為のヒータの駆動で何度昇温しているか(△Tm
h)、(2)ショートレンジで代表される熱時定数の部
材が、サブヒータの駆動で何度昇温しているか(△Ts
h)、1.0秒間隔で、(3)ロングレンジで代表され
る熱時定数の部材が、吐出の為のヒータの駆動で何度昇
温しているか(△Tmb)、(4)ロングレンジで代表
される熱時定数の部材が、サブヒータの駆動で何度昇温
しているか(△Tsb)、以上の演算を適時行い、△T
mh、△Tsh、△Tmb、△Tsbを加え合わせる事
によって(=△Tmh+△Tsh+△Tmb+△Ts
b)その時点でのヘッド温度を演算する事が出来る。
【0051】上記のように、複数の熱伝導時間の異なる
部材を組み合わせて構成されている記録ヘッドをモデル
的に実際よりも少い数の熱時定数で代用するモデル化手
段を用いたことにより、 ・ 忠実に全ての熱伝導時間の異なる部材及び部材間の
熱時定数別に演算処理を行うのと比較して、演算精度を
さほど落とすことなく格段に演算処理量を減少すること
ができる。
【0052】・ また、時定数を判断基準としてモデル
化したことにより、少ない処理回数で且つ演算精度を落
とさずに演算処理することが可能となる。(例えば上記
の例で説明すれば、時定数毎にモデル化をしなかった場
合、必要演算処理間隔は時定数の小さいA領域で定まり
50msecが必要演算間隔になり、離散化データのデ
ータ保持時間は時定数の大きいB,C領域で定まり51
2secが必要データ保持時間となる。即ち50mse
c間隔で過去512秒分の10240データを積み上げ
演算処理することとなり、本実施例の場合と比較して数
百倍の演算処理回数となる。) 以上のように、記録ヘッドの温度推移を単位時間当たり
の離散値の積み重ねとして扱う離散値積み重ね演算手段
と、該離散値に応じた記録ヘッドの温度の温度推移を投
入可能なエネルギーの範囲内で予め演算しておきテーブ
ル化した既演算テーブル手段と、該テーブルが単位時間
当たりの投入エネルギーと経過時間の2次元のマトリッ
クスで構成されている2次元テーブル構成手段とを有す
る従来の温度演算アルゴリズムに加え、複数の熱伝導時
間の異なる部材を組み合わせて構成されている記録ヘッ
ドをモデル的に実際よりも少い数の熱時定数で代用する
モデル化手段と、該モデル単位(熱時定数)毎に必要演
算間隔と必要データ保持時間を分けて個々に演算を行う
演算アルゴリズム手段と、熱源を複数設定し個々の熱源
毎に上記モデル化単位で昇温幅を演算し後に加え合わせ
てヘッド温度を演算する複数熱源演算アルゴリズム手段
を設けたことにより、記録ヘッドの温度の推移を全て演
算処理にて演算処理することが可能となる。
【0053】更には、後述する記録ヘッドの温度を一定
量域内に制御するPWM駆動制御、サブヒータ制御が適
切に行え、吐出、吐出量の安定化が図られ、高画像品位
の記録が可能になる。
【0054】(PWM制御)次に、図面を参照して本実
施例の吐出量制御方法を詳細に説明する。
【0055】図20は分割パルスを説明するための図で
ある。同図において、VOPは駆動電圧、P1 は複数の分
割されたヒートパルスの最初のパルス(以下、プレヒー
トパルスという)のパルス幅、P2 はインターバルタイ
ム、P3 は2番目のパルス(以下、メインヒートパルス
という)のパルス幅である。T1 ,T2 ,T3 はP1,
P2 ,P3 を決めるための時間を示している。駆動電圧
VOPは、この電圧を印加される電気熱変換体がヒータボ
ードと天板とによって構成されるインク液路内のインク
に熱エネルギーを発生させるために必要な電気エネルギ
ーを示すものの一つである。その値は電気熱変換体の面
積,抵抗値,膜構造や記録ヘッドの液路構造によって決
まる。分割パルス幅変調駆動法は、P1 ,P2 ,P3 の
幅で順次パルスを与えるものであり、プレヒートパルス
は、主に液路内のインク温度を制御するためのパルスで
あり、本発明の吐出量制御の重要な役割を荷っている。
このプレヒートパルス幅はその印加によって電気熱変換
体が発生する熱エネルギーによってインク中に発泡現象
が生じないような値に設定される。
【0056】インターバルタイムは、プレヒートパルス
とメインヒートパルスが相互干渉しないように一定時間
の間隔を設けるため、およびインク液路内インクの温度
分布を均一化するために設けられる。メインヒートパル
スは液路内のインク中に発泡を生ぜしめ、吐出口よりイ
ンクを吐出させるためのものであり、その幅P3 は電気
熱変換体の面積,抵抗値,膜構造や記録ヘッドのインク
液路の構造によって決まる。
【0057】例えば、図21(A)および(B)に示す
ような構造の記録ヘッドにおけるプレヒートパルスの作
用について説明する。同図(A)および(B)は、本発
明を適用可能な記録ヘッドの一構成例を示すそれぞれイ
ンク液路に沿った概略縦断面図および概略正面図であ
る。同図において、電気熱変換体(吐出ヒータ)は上記
分割パルスの印加によって熱を発生する。この電気熱変
換体はこれに分割パルスを印加するための電極配線等と
ともにヒータボード上に配設される。ヒータボードはシ
リコンにより形成され、記録ヘッドの基板をなすアルミ
板によって支持される。天板には、インク液路等を構成
するための溝が形成されており、天板とヒータボード
(アルミ板)とが接合することによりインク液路や、こ
れにインクを供給する共通液室が構成される。また、天
板には吐出口が形成され、それぞれの吐出口にはインク
液路が連通している。
【0058】図22は吐出量のプレヒートパルス依存性
を示す線図であり、図において、V0 はP1 =0[μs
ec]のときの吐出量を示し、この値は図21に示すヘ
ッド構造によって定まる。図22の曲線aに示されるよ
うに、プレヒートパルスのパルス幅P1 の増加に応じ
て、吐出量Vd はパスル幅P1 が0からP1LMTまで線形
性を有して増加し、パルス幅P1 がP1LMTより大きい範
囲ではその変化が線形性を失い、パルス幅P1MAXで飽和
し最大となる。このように、パルス幅P1 の変化に対す
る吐出量Vd の変化が線形性を示すパルス幅P1LMTまで
の範囲は、パルス幅P1 を変化させることによる吐出量
の制御を容易に行える範囲として有効である。
【0059】パルス幅がP1MAXより大きい場合、吐出量
Vd はVMAX より小さくなる。この現象は上記範囲のパ
ルス幅を有するプレヒートパルスが印加されると電気熱
変換体上に微小な発泡(膜沸騰の直前状態)を生じ、こ
の気泡が消泡する前に次のメインヒートパルスが印加さ
れ、上記微小気泡がメインヒートパルスによる発泡を乱
すことによって吐出量が小さくなる。この領域をプレ発
泡領域と呼びこの領域ではプレヒートパルスを媒介にし
た吐出量制御は困難なものとなる。
【0060】図22に示すP1 =0〜P1LMT[μs]の
範囲の吐出量とパルス幅との関係を示す直線の傾きをプ
レヒートパルス依存係数と定義すると、プレヒートパル
ス依存係数: KP =ΔVdP/ ΔP1 [ng/μsec・dot] となる。この係数KPは温度によらずヘッド構造・駆動条
件・インク物性等によって定まる。すなわち、図22中
曲線b,cは他の記録ヘッドの場合を示しており、記録
ヘッドが異なると、その吐出特性が変化することが分か
る。このように、記録ヘッドが異なるとプレヒートパル
スP1の上限値P1LMTが異なるため、後述するように記
録ヘッド毎の上限値P1LMTを定めて吐出量制御を行う。
【0061】すなわち、インクジェット記録ヘッドの吐
出量を決定する別の要因として、記録ヘッドの温度(イ
ンク温度)がある。
【0062】図23は吐出量の温度依存性を示す線図で
ある。同図の曲線aに示すように、記録ヘッドの環境温
度TR (=ヘッド温度TH )の増加に対して吐出量Vd
は直線的に増加する。この直線の傾きを温度依存係数と
定義すると、温度依存係数: KT =ΔVdT/ΔTH [ng/℃・dot] となる。この係数KT は駆動条件にはよらず、ヘッドの
構造・インク物性等によって定まる。図23においても
他の記録ヘッドの場合を曲線b,cに示す。 以上、図
22および図23に示す関係を用いることによって本発
明にかかる吐出量制御を行うことができる。
【0063】上記例ではダブルパルスでのPWM駆動制
御の説明であったが、トリプルパルス等マルチパルスで
あっても良く、また、シングルパルスでメインパルス幅
を変調するメインパルスPWM駆動方式であっても良
い。
【0064】本実施例では、前記目標温度と、ヘッド温
度の温度差(△T)から一元的にPWM値が設定される
よう制御する。該△TとPWM値の関係を図32に記
す。
【0065】図中、「温度差」とは上記△Tを現し、
「プレヒート」とは上記P1を現し、「インターバル」
とは上記P2を現し、「メイン」とは上記P3を現す。
また「セットアップタイム」とは記録命令が入力されて
から実際に上記P1が立ち上がるまでの時間を現す。
(主にはドライバーの立ち上がりまでの余裕時間であり
本発明の要部をなす値ではない)。また「重み」とは、
ヘッド温度を演算する為に検出する印字ドット数に掛け
合わせる重み係数である。同じドット数を印字していて
も、例えば7μsのパルス幅で印字しているのと4.5
μsのパルス幅で印字しているのとではヘッド温度の昇
温に差が生じてしまう。このパルス幅変調に伴う昇温の
差を、どのPWMテーブルが選択されているかによって
補正する手段として該「重み」を用いる。
【0066】(全体フロー制御)次に図33、図34を
用いて制御系全体の流れを説明する。
【0067】図33は、吐出の為のPWM駆動値、及び
サブヒータ駆動時間を設定するための割り込みルーチン
である。本割り込みルーチンは50msec毎に発生す
る。よって印字中なのか休止中なのか、またサブヒータ
の駆動が必要な環境なのか不要な環境なのかには関係な
く、常に50msec毎にPWM値、サブヒータ駆動時
間が更新される。まず、50msecの割り込みがかか
ると、直前までの50msec間の印字duytが参照
される(S2010)。但し、この時参照される印字d
utyとは(PWM制御)の項で説明した様に実際に吐
出したドット数にPWM値毎の重み係数が掛け合わされ
た値である。該50msec間のdutyと過去0.8
秒間の印字履歴から熱源が吐出ヒータで、時定数がショ
ートレンジの部材群の昇温温度(△Tmh)を演算する
(S2020)。次に同様に50msec間のサブヒー
タの駆動dutyが参照され(S2030)、該50m
sec間のサブヒータの駆動dutyと過去0.8秒間
のサブヒータの駆動履歴から熱源がサブヒータで、時定
数がショートレンジの部材群の昇温温度(△Tsh)を
演算する(S2040)。そして、後述するメインルー
チンで計算されている、熱源が吐出ヒータで、時定数が
ロングレンジの部材群の昇温温度(△Tmb)と、熱源
がサブヒータで、時定数がロングレンジの部材群の昇温
温度(△Tsb)を参照し、それらを加え合わせる事に
よって(=△Tmh+△Tsh+△Tmb+△Tsb)
ヘッド温度を算出する(S2050)。
【0068】次に目標温度を目標温度テーブルから設定
し(S2060)、ヘッド温度と目標温度との温度差
(△T)を求める(S2070)。該温度差△TとPW
Mテーブル及びサブヒータテーブルから、△Tに応じた
最適ヘッド駆動条件であるPWM値、及びサブヒータ駆
動時間が設定される。
【0069】図34はメインルーチンである。ステップ
3010で印字命令が入ると過去1秒間の印字duty
を参照する(S3020)。但し、この時参照される印
字dutyとは(PWM制御)の項で説明した様に実際
に吐出したドット数にPWM値毎の重み係数が掛け合わ
された値である。該1秒間のdutyと過去512秒間
の印字履歴から熱源が吐出ヒータで、時定数がロングレ
ンジの部材群の昇温温度(△Tmb)を演算し、50m
sec後との割り込み時に用意に参照できるように定め
られたメモリー位置に格納更新する(S3030)。次
に同様に1秒間のサブヒータの駆動dutyが参照され
(S3040)、該1秒間のサブヒータの駆動duty
と過去512秒間のサブヒータの駆動履歴から熱源がサ
ブヒータで、時定数がロングレンジの部材群の昇温温度
(△Tsb)を演算する。△Tmbを格納更新した場合
と同様、50msec後との割り込み時に用意に参照で
きるように定められたメモリー位置に格納更新する(S
3050)。
【0070】そして50msec毎の割り込みが入る毎
に更新されていくPWM値、及びサブヒータ駆動時間に
従って印字及びサブヒータの駆動を行う。
【0071】本実施例では吐出量、及びヘッド温度を制
御するためにダブルパルス、シングルパルスのPWMを
用いたが、トリプルパルス以上のパルスのPWMを用い
ても良い。
【0072】また、ヘッドチップ温度が印字目標温度よ
りも高温で、小さいエネルギーのPWMで駆動していて
もヘッドチップ温度を低下出来ない時などには、キャリ
ッジの走査速度を制御しても良く、またはキャリッジの
走査開始タイミングを制御しても良い。
【0073】<ヘッド特性測定>前述のように最適なヘ
ッド駆動を行うには、記録ヘッドの各種特性を記録装置
本体が認識しなくてはならない。さらに本例では記録ヘ
ッド1は交換可能な構成になっているためヘッド交換時
には必ず上記ヘッド特性を測定する。測定項目は 1)吐出ヒータ特性(ダミーヒータ抵抗値) 2)ダイオードセンサ特性(ダイオードセンサ出力) 3)サブヒータ熱特性 4)吐出ヒータ熱特性 の4種類である。
【0074】ヘッド特性測定の全体を図14に示す。ヘ
ッド特性を本体側が測定する項目は上記4種類を本実施
例では示している。図14中aを吐出ヒータ特性、bを
Diセンサ特性、cを吐出ヒータ特性、dをサブヒータ熱
特性の測定を表す。各々本体側とヘッドとの間にエネル
ギー投入及び温度測定等の入出力がありその測定結果を
受けて各ヘッド特性の認定を行う。その後第2実施例で
示すような暫定あるいは確定の定義付けを行っても良
い。ヘッド特性の認定が終了すれば記録モードに入り記
録可能な状態になる。あるいは、ヘッド特性結果が異常
値を示す場合にはエラーモードに入り本体はエラー表示
を行う。また、各ヘッド特性値は記憶装置に格納さる。
この記憶値を用いてヘッドが交換されたかあるいは同一
ヘッドであるかの判別を行う。
【0075】以下、各ヘッド特性の詳細を述べる。
【0076】第1に吐出ヒータ特性は、ダミー抵抗20
E(図10)の抵抗値を測定する。印字ヘッドの駆動に
定電圧駆動を用いる場合、吐出ヒータの抵抗値が判れば
どの程度エネルギーを投入すればよいか判る。本例では
吐出ヒータ抵抗値のバラツキに対応して駆動電圧投入時
間を可変にし最適駆動を行っている。即ち、吐出ヒータ
特性(ヘッドランク)毎に図32に示すようなPWMテ
ーブルを別々に有している。
【0077】第2にダイオードセンサ特性の測定をおこ
なう。記録装置本体に内蔵されているサーミスタによる
測定温度から環境温度を測定する。基準温度(例えば2
5℃)でのダイオードセンサ基準出力電圧及び温度- 出
力電圧特性(傾き値)は予め判っているため上記環境温
度下でのダイオードセンサ出力電圧を上記傾き値を用い
て基準温度(25℃)条件に換算し、ダイオードセンサ
基準出力電圧との比較によってダイオードセンサの特性
を測定する。ダイオードセンサーの出力はヘッド温度に
よって左右されるため記録ヘッドが本体温度と異なった
り、急激な温度変化が有る時にはダイオードセンサの特
性は測定出来ず、熱的に安定するまで待つ必要がある。
【0078】第3にサブヒータの熱特性測定を行う。サ
ブヒータは低温時にインクの吐出特性が低下しないよう
に一定温度(例えば25℃)にヘッド温度を保つ働きを
する。前述のヘッド温度演算アルゴリズムで述べたよう
に温度演算用にサブヒータの演算表を予め記録装置本体
が有している。この演算表の中身は印字ヘッドの温度変
化を一定時間毎に記述したもの(Diセンサからみた熱の
伝わり方)であるが印字ヘッドの部材間の接合具合や、
吐出量の大小、ヒータ駆動用本体電源のバラツキ等で実
際は各印字ヘッド毎に異なっている。一例として、蓄熱
し易い印字ヘッドから蓄熱しにくい印字ヘッドまでの温
度変化を3つに分割し前述の演算用テーブルを3つ持た
せた。テーブルの中身としては蓄熱し易いヘッドは同じ
エネルギー(デューティ)を投入しても温度上昇が高い
ため数値は大きくなる。逆に蓄熱しにくい印字ヘッドは
すぐに放熱してしまうためテーブル中の数値は小さめの
値となる。ここでは中心的な熱伝導を示す印字ヘッドの
テーブルを中心テーブル2としそれをはさむように温度
変化大テーブル3(蓄熱しやすい)と温度変化小テーブ
ル1(蓄熱しにくい)を有している。
【0079】このテーブル選択を行うのがサブヒータ熱
特性測定である。同一エネルギー投入時の熱特性毎の昇
降温を図13に示す。中心的な昇降温を線図aに、蓄熱
分が多く昇温が高い場合を線図bに、蓄熱分が低く昇温
が低い場合を線図cに各々示す。まず、エネルギー投入
前にタイミングT1で温度を測定する。次にエネルギー
投入終了前後のタイミングT2での温度を測定する。最
後に降温後のタイミングT3で温度測定を行う。この時
テーブル選択のための測定値として 測定値=2×(T2での温度)- (T1での温度)-
(T1での温度) を算出する。もしターゲットの印字ヘッドが蓄熱しやす
いならしきい値2よりもおおきな値を示すので演算テー
ブルは温度変化大テーブル3を選択する。逆に、しきい
値1よりも小さいなら蓄熱しにくいヘッドとして温度変
化小テーブル1を選択する。また上記測定値がしきい値
1としきい値2の間なら標準的な印字ヘッドとして中心
テーブル2を選択する。
【0080】テーブル1:測定値<しきい値1 テーブル2:しきい値1=<測定値=<しきい値2 テーブル3:しきい値2<測定値 となる。
【0081】本例では、T2- T1=T3- T2とした
がしきい値のとり方によってはこの限りではない。
【0082】このように演算テーブルを個々の印字ヘッ
ド熱特性毎に設定することにより、一律に演算値に熱特
性測定から得られた係数の積算による方式よりも印字デ
ューティー毎に上記係数が別に設定でき、かつ演算負荷
が低い等の有益な効果がある。
【0083】第4に吐出ヒータの熱特性測定を行う。測
定動作は上記サブヒータ熱特性測定方法と同じであるが
駆動するのは吐出ヒータになる。
【0084】本実施例は、ヘッド特性測定項目に対して 1)優先順位を設定する。
【0085】2)一回測定した特性値を数値化し記憶す
る。(ランク分け) 3)記憶した特性値と新たに測定した特性値とを比較す
る。
【0086】ことにより記録ヘッド自体の識別(ID)
が設定可能になりヘッド特性測定時間の短縮化・効率化
を図る。
【0087】まず、吐出ヒータ、ダイオードセンサの測
定値をランク分けして管理する。この方式だと過去の測
定値と比較したり、記録装置本体に記憶・保存する場合
に簡単に取り扱いが出来非常に有用である。
【0088】<吐出ヒータ特性>吐出ヒータ特性は前述
のようにダミー抵抗20Eの値で表される。本実施例で
は、上記ダミー抵抗20Eのバラツキが272. 1Ω±
約15%の例を場合を説明する。図3に示すように抵抗
値のバラツキを13ランクに分割する。中心値をランク
7とし、1ランク中の抵抗値幅は約8Ωで全体バラツキ
の約2. 3%となっている。このランク数は細かく分割
した方が高精度のヘッドランク設定が可能だがその分記
録装置本体側のランク読み取り回路も高精度化が必要で
ある。記録装置がヘッドランクを読み取った後、記録装
置本体中の記憶部材(EEPROM、NVRAM 等)に書き込む場
合上記1〜13の数字を4ヘッド分各々記憶することに
なる。
【0089】<ダイオードセンサ特性>前述のヘッドラ
ンク同様にダイオードセンサ(以下Diセンサ)もその特
性を同様の理由からランク分けする。Diセンサは、温度
- 出力電圧の比例係数(以下傾き)はセンサ個々でそれ
ほどバラツキが無いが(本例のヘッド温度管理に用いる
場合)、オフセット(同一温度下での出力値バラツキ)
がセンサ個々にかなりバラツキを有している。そのため
同一出力電圧を得てもDiセンサの特性(ランク)が判ら
ないと絶対値としてのヘッド温度が判らない。Diセンサ
ランクの説明図を図4に示す。横軸が温度、縦軸がDiセ
ンサの出力電圧であり、各ランクの中心値を線図にして
ある。実際は各ランク毎に電圧値は幅を有して隣のラン
クに接している。あるヘッドのDiセンサが20℃(サー
ミスタ温度とヘッド温度が同一と見なされる時にサーミ
スタ温度とDiセンサ温度を一致させる)の時に1. 12
5Vの出力であったとする。前述のように傾きはほぼ一
定値で本例の場合、 -5. 0[mV/℃] である。よって25℃時に換算すると出力電圧は1. 1
Vになる。このようにDiセンサの出力電圧値を傾き値を
用いて25℃環境に換算しその換算値を予め用意してあ
る換算表と比較してランクを決定する。本例のDiセンサ
は25℃での出力電圧のバラツキが、 1. 1±0. 05[V] であるため、前述の傾き値- 5. 0mV/℃から同一出
力電圧で±10℃のバラツキが生ずる。よって総ランク
数を10ランクに設定すれば1ランク中の温度バラツキ
は2℃に、20ランクに設定すれば1℃になりヘッド温
度管理に必要な精度で上記ランク数が決定する。ただし
分割ランク数が多くなればその分電圧検出幅が狭くなる
ため検出回路の精度も必要になる。このようにランク分
けされたDiセンサのランクを各色ヘッド毎に記憶する。
【0090】<サブヒータ・吐出ヒータ特性>サブヒー
タ・吐出ヒータの特性値として、前述の演算テーブル番
号を各ヒータのランク値としてきおくする。
【0091】上記の通りランク設定された印字ヘッドは
各色毎に吐出ヒータ、Diセンサのランク値を有し、上記
ランク数を並べて数値化すると例えば4色ヘッドの場合
各色の情報を記述して77672031(ヘッドランク
KCMY、DiセンサランクKCMY)の様に上記記録ヘ
ッドの特性を表現できる。同様にサブヒータ熱特性、吐
出ヒータ熱特性の測定によって得られた結果を数値化し
て記憶しておけば記録ヘッド特性を表現する数字列(以
下記録ヘッド特性番号)ができる。前述の説明から表現
すると例えば7767203122232221(ヘッ
ドランクKCMY、DiセンサランクKCMY、サブヒー
タ熱特性KCMY、吐出ヒータ熱特性KCMY)のよう
になる。本例では4つのヘッドを有する記録装置を示し
たが、1つのヘッドのみを有するあるいは4つ以上のヘ
ッドを有する記録装置においても上記ヘッドIDの取り
扱いは十分有効であり、ヘッド認識として利用できる。
【0092】ここで先に述べたように印字ヘッド特性に
優先順位を設ける。一例として優先度を高い方から低い
方に並べると以下のようになる。
【0093】1)吐出ヒータ特性(ダミーヒータ抵抗
値) 2)ダイオードセンサ特性(ダイオードセンサ出力) 3)サブヒータ熱特性 4)吐出ヒータ熱特性 優先度の高い測定項目は無条件に測定するが上記順番に
特性測定を行って印字ヘッドの特性値(ランク値)が以
前の記憶値と同一なら、それより低い優先度の測定項目
は記録ヘッド自体も以前と同一と見なしそれより優先順
位の低い項目の測定を省略し記録ヘッド特性番号中の以
前の記憶値を用いて各特性とする。図1には3)サブヒ
ーター熱特性までの測定を行い、上記記録ヘッド特性番
号と比較して同一なら以下の4)吐出ヒータ熱特性は測
定しない場合のフローを示してある。又、図2には2)
Diセンサ特性まで測定を行いそれ以下の項目は上記記録
ヘッド特性番号が同一なら測定せずに以前の記憶値を用
いる場合を示してある。以上説明したように、印字ヘッ
ドの諸特性を数値化し記憶することによって記録ヘッド
自体の認識番号(以下ID番号)として利用できる。こ
のID番号を用いることにより記録ヘッド諸特性測定の
時間短縮が可能となった。上記の優先順位は、測定の必
要度や測定時間によって決定されるので第1実施例に示
したのが全てではない。前述のランクをより高精度対応
に細かく分割すれば吐出ヒータ特性のみで同一ヘッドか
どうかを判断して記録ヘッド特性を決定しても良い。ま
た、図1- 1のeに示すようにヘッド側からの情報を読
み取るだけの場合、例えばヘッド側の接点数をカウント
したり、ヘッド上の記憶装置中のヘッド特性値を読み取
る方式においても上記IDの考え方は使用できる。
【0094】(第2実施例)本例では、Diセンサのラン
ク値をさらに定義付け(暫定・確定)を行い記録ヘッド
特性測定の簡略化と精度向上を達成する。本実施例では
Diセンサランクのみに暫定・確定の区別をつけた。前述
のようにDiセンサのランク測定はDiセンサ近傍温度変化
が無く一定温度になっていないと正確に測定できない。
そのため従来の方法ではDiセンサの値がある程度一定に
なるまで待ってからランク測定を行っていた。そのため
常にヘッド特性測定時に時間がかかっていた。そこで一
番時間のかかるDiセンサのランク測定に暫定・確定の定
義付けを行ってヘッド特性測定時間の短縮化を実現す
る。図5に実施例のフローを示す。本例もヘッドランク
が異なったら(あるはヘッド交換の時)別ヘッドと見な
してヘッド特性測定を全て行う。この時にDiセンサラン
クは一回目の測定値なので暫定値として記憶しておく。
次のヘッド特性測定時、例えばコンセントをONした時
にヘッドランクを測定し同一ランクであったら次にDiセ
ンサランクが確定値かチェックする。前回の記憶値は暫
定値であるため再度Diセンサランク測定を行う。この測
定で前回記憶の暫定ランク値と4色とも同一ランクであ
ったならこれらのランク値が正しいDiセンサランクと見
なして確定値として記憶する。また、2回目の測定で1
色でも同一ランクでなかった場合、別ヘッドと見なして
Diセンサランクを暫定値とし、サブヒータ熱特性、吐出
ヒータ熱特性の測定を行う。これはヘッドランク(シー
ト抵抗値の組み合わせ)が同一でもその他のヘッド特性
が異なる記録ヘッドを想定している。本例では2回の測
定で同一ランクであったら確定としたが、3回以上の測
定で同一ランクになったら確定値になるように設定して
も良い。このように一旦Diセンサランクが確定値になっ
たら同一ヘッドとみなしてヘッドランク以外の測定を省
略することで温度が安定するまでの時間待つ必要がなく
なったので、一旦Diセンサランクが確定してからの(記
録ヘッドの交換はあまりしないのですぐに確定値にな
る)ヘッド特性測定をごく短時間で終了できる。暫定値
テーブルとして前述の中心演算テーブルを運用する方式
でもよい。
【0095】(第3実施例)本例はヘッド特性測定時に
温度変化の有無を判断する。図6に本実施例のフローを
示す。まずヘッドランクが同一でない場合は別ヘッドが
搭載されたとしてDiセンサ近傍に温度変化が有る無しに
かかわらずヘッド特性測定を全て行わなくてはならな
い。そのかわり例えばDiセンサランクは、暫定値として
記憶し再度の測定を待つ(第2実施例と同様)。次にDi
センサの温度変化を調べる。Diセンサはランク値が決定
していなくても温度変化は認識できるので一定時間内の
温度バラツキを調べてDiセンサ近傍の温度が安定してい
るか判断する。一例として本実施例では、10秒間に
0. 2℃以上の変化を温度変化有りと定義している。温
度変化有りと判断されたらDiセンサのランク測定には不
適当なのでこの条件下ではランク測定(出力電圧測定)
を行わず前回のDiセンサランク値を利用する。この時第
2実施例同様に暫定・確定の区別を用いる。前回記憶の
Diセンサランクが確定値であれば記録ヘッドは前回特性
測定時と同一のものが搭載されているとして前回記憶し
た特性値を用いる。また、前回記憶のDiセンサランクが
暫定値であったなら上記暫定値を用いる。サブヒータ・
吐出ヒータ熱特性は本例では再測定を行ったがDiセンサ
ランクが暫定値であるためサブヒータ・吐出ヒータ熱特
性も前回の値、あるいは前述の中心テーブルを暫定値と
して用いても構わない。この場合前記印字ヘッド近傍の
温度変化の影響をサブヒータ・吐出ヒータ熱特性測定時
に受けずにすむ。ただし、あくまで暫定値の使用である
ため可能な限り早急に各ヘッド特性の再測定を行う必要
がある。
【0096】上記温度変化が無いと判断された時は、Di
センサランクの測定が短時間で可能であるので測定を行
い、測定結果と前回記憶値と比較して同一であればDiセ
ンサランク確定とし同一ヘッドと見なしてサブヒータ・
吐出ヒータ熱特性は前回記憶値を用いる。また上記比較
の結果同一でなかったらDiセンサランクを暫定値、別ヘ
ッドと見なしてサブヒータ・吐出ヒータ熱特性を再測定
する。
【0097】以上説明したようにDiセンサランク測定前
にDiセンサの温度変化によって上記ランク測定を行うか
行わないかの区別をすることにより正確なランク測定が
達成され、特性値の暫定・確定と組み合わせることによ
り、上記温度変化が有ってDiセンサランク測定が不適切
な時でも精度の高いランク運用が可能となった。また、
ヘッドランクが同一でDiセンサランクが確定値であった
なら温度変化に無関係に各ヘッド特性を前回の記憶値を
用いるようにしても構わない。
【0098】(第4実施例)本例では前記のヘッド特性
測定終了後、再ヘッド特性測定を行う。通常の記録装置
立ち上げ時(前述のヘッド特性測定を必ず行う場合)に
は暫定値等の中心的な特性値を用いて上記立ち上げ時間
を短縮し記録装置を使用可能にする。その後上記再ヘッ
ド特性測定(以下ヘッド特性補正)を記録装置をユーザ
が使用してない時に行うことによって暫定値としてのヘ
ッド特性値からより正確な確定値を認識してヘッド制御
の精度を高める。この時のフローを図7に示す。本例の
場合Diセンサ測定タイミングとして記録装置が記録ヘッ
ドが熱発生しない時間が60分したら行う。この熱発生
とは吐出ヒータ駆動およびサブヒータ駆動の時に発生す
る。従って過去60分の間に吐出ヒータ及びサブヒータ
のどちらも駆動されなかったら熱発生無しと判断し記録
ヘッド近傍の温度変化が無いとしてDiセンサランク測定
を実行する。本例での熱発生無し時間を60分としたの
は第11、12図に示すように記録ヘッドが複数個(4
つ)一体となっていること及び位置ぎめ固定されている
キャリッジ3部に放熱用の肉抜きを行うスペースが十分
でなかったためでありヘッド、キャリッジ形態あるいは
必要としているDiセンサランクの精度によって上記時間
の長短が決定する。次に測定されたDiセンサランク値を
前回記憶値と比較し同一だったら確定値として記憶す
る。この確定値を用いて再度サブヒータ・吐出ヒータ熱
特性測定を行い最終的な記録ヘッド特性値とする。また
上記Diセンサランクが同一でない場合、この測定結果は
暫定値として記憶し再び熱発生無し連続60分待ちシー
ケンスに入る。
【0099】図7では一回Diセンサランクが確定してサ
ブヒータ・吐出ヒータ熱特性を測定したら上記ヘッド特
性補正が終了するがDiセンサランク確定・サブヒータ・
吐出ヒータ熱特性測定終了後に最初の熱発生無し連続6
0分シーケンスに戻って常に補正動作を繰り返すルーチ
ンにしても構わない。
【0100】さらに本例は前述のヘッド特性値であるラ
ンクに許容範囲を設定して同一ランク、同一ヘッドの判
断を行う。例えば実施例1〜3に示したヘッド特性測定
時は、とりあえず記録装置を使用可能にするために立ち
上げ時間短縮を第一優先として同一ヘッド・同一ランク
(Diセンサ・サブヒータ・吐出ヒータ)の判断を±2ラ
ンク以内の場合とする。この様に判断基準をある程度幅
を持たせて設定することによって測定等のバラツキ分を
含んでも同一ヘッドと認識可能となり過去の記憶値を使
用するため立ち上げ時間の短縮が可能となる。ヘッド特
性補正時には正確さを第一優先として同一ランク許容範
囲を±1ランク以内に設定する。このように許容範囲を
狭くしたことで各特性のランク値が確定になった時は正
確なランク値設定が可能となった。このような許容精度
範囲は必要に応じて上記の値に限定されることなはい。
【0101】また、ヘッド認識時に上記ランク値を用い
る場合の変形例として各色ランク値の測定前後の差の絶
対値の和がある値よりも小さい時に同一と見なす方法が
あげられる。
【0102】ランク測定前の記憶値が、 6- 7- 8- 7(ヘッドランクKCMY) として、ランク測定後の測定値が 6- 6- 8- 8(ヘッドランクK’C’M’Y’) であった時、上記各色ランク値の測定前後の差の絶対値
の和は |K- K’|+|C- C’|+|M- M’|+|Y- Y’|・・(1)式 より |6- 6|+|7- 6|+|8- 8|+|7- 8|=2 と表される。前述の方式では上式が4まで同一ヘッドと
認識する可能性があるが(1)式の方式によればより高
精度のヘッド判別が可能となる。本説明はヘッドランク
の値を用いたが各ヘッド特性値を全てあるいは任意の特
性値を用いてヘッド判別に使用できる。
【0103】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、記録用
発熱素子の駆動条件を決定する上での情報を複数利用し
たことで、従来からは予想できない効果を達成できる。
【0104】特に、本発明の実施例では、 1)ヘッド特性値を用いて記録ヘッドのIDとすること 2)ヘッド特性値に暫定・確定の定義付けを行うこと 3)記録ヘッドの熱的状態でヘッド特性測定の実施を判
断すること 4)ヘッド特性補正時のランク許容値を通常立ち上げ時
と異ならせること によって記録装置の立ち上げ時間の短縮化及び各ヘッド
特性測定の高精度化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例のヘッド特性測定シーケンスを示
すフローチャート。
【図2】 第1実施例の変形例を示すフローチャート。
【図3】 ヘッドランクと吐出ヒータ抵抗値を示す図。
【図4】 Diセンサの温度- 出力電圧の関係を示す図
【図5】 第2実施例のヘッド特性測定シーケンスを示
すフローチャート。
【図6】 第3実施例のヘッド特性測定シーケンスを示
すフローチャート。
【図7】 第4実施例のヘッド特性測定シーケンスを示
すフローチャート。
【図8】 従来例の記録装置全体を示す斜視図。
【図9】 印字ヘッドの構造を示す斜視図。
【図10】 印字ヘッドのヒータボード内を示す図。
【図11】 キャリッジを示す斜視図。
【図12】 記録ヘッドをキャリッジ上に搭載した図。
【図13】 熱特性測定時のヘッド昇降温を示す図。
【図14】 ヘッド特性測定を示すブロック図
【図15】 分割パルスを示す図。
【図16】 印字ヘッド構造を示す図。
【図17】 吐出量のP1 依存性を示す図。
【図18】 吐出量の温度依存性を示す図。
【図19】 目標温度- 環境温度変換テーブル。
【図20】 記録ヘッドの昇温過程を示す図。
【図21】 モデル化した熱伝導等価回路
【図22】 温度演算用時間区分一覧表
【図23】 吐出ヒータ・ショートレンジ演算テーブル
【図24】 吐出ヒータ・ロングレンジ演算テーブル
【図25】 サブヒータ・ショートレンジ演算テーブル
【図26】 サブヒータ・ロングレンジ演算テーブル
【図27】 温度差- PWM値テーブル
【図28】 PWM/サブヒータ駆動条件設定ルーチン
【図29】 メインルーチン
【符号の説明】
1 記録ヘッド 2 インクタンク 3 キャリッジ 4 記録ヘッド固定レバー 6 ガイド軸 7 ガイド軸 8 タイミングベルト 9 プーリ 10 フレキシブルケーブル 11 プラテンローラ 12 メディア 1A 吐出口 1B 吐出ヒータ 20C Diセンサ 20D 吐出ヒータ列 20E ダミー抵抗 20F サブヒータ 20G ヒータボード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 植月 雅哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 松原 美由紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 錦織 均 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つ以上のインク吐出口、温
    度検出手段、加熱手段を有する記録ヘッドを少なくとも
    1つ以上キャリッジ上に搭載し、前記記録ヘッドの吐出
    ヒータ特性、温度検出手段の温度特性、吐出ヒータ及び
    加熱手段の熱特性を測定・記憶し、前回測定値と比較す
    ることを特徴とする記録装置。
  2. 【請求項2】 記録ヘッドの各ヘッド特性を数値化し記
    録ヘッド自体の判別用情報とすることを特徴とする記録
    ヘッド認識方法。
  3. 【請求項3】 前記記録ヘッドの各ヘッド特性に優先順
    位を設定し優先順位の高い方から同一ヘッドかどうかの
    判断を行うことを特徴とする請求項2の記録ヘッド認識
    方法。
  4. 【請求項4】 前記優先順位のあるレベルでそれ以下の
    ヘッド特性項目は測定せずに同一ヘッド・別ヘッドの判
    断を行うことを特徴とする請求項2の記録ヘッド認識方
    法。
  5. 【請求項5】 前記記録ヘッドの各ヘッド特性に暫定・
    確定の定義付けを行い確定値になるまで前記ヘッド特性
    測定をあるタイミングで行うことを特徴とする請求項2
    乃至請求項4の何れかの記録ヘッド認識方法。
  6. 【請求項6】 前記ヘッド特性測定を記録ヘッド近傍に
    温度変化が実質的に無い時に行うことを特徴とする請求
    項5の記録ヘッド認識方法。
  7. 【請求項7】 前記数値化されたヘッド特性(ヘッド特
    性値)を用いて同一ヘッド・別ヘッドの比較を行う時、
    前回記憶値と最新測定値との差がある範囲(ヘッド特性
    許容範囲)内であれば同一ヘッドと見なす請求項2乃至
    請求項6何れかの記録ヘッド認識方法。
  8. 【請求項8】 前記同一ヘッドと見なすヘッド特性許容
    範囲が記録装置立ち上げのヘッド特性測定時とそれ以外
    のヘッド特性測定時で異なる請求項7の記録ヘッド認識
    方法。
  9. 【請求項9】 ヘッド温度推定演算手段及び複数の演算
    用記録ヘッド熱特性記述テーブルを有する記録装置であ
    って、前記温度検知手段によるヘッド熱特性測定結果を
    用いて前記記録ヘッド熱特性記述テーブルの選択を行う
    ことを特徴とする請求項1の記録装置。
  10. 【請求項10】 インクジェット記録ヘッドのインク吐
    出用発熱素子を駆動する駆動条件を決定するための情報
    であって、記録ヘッドから得られる少なくとも複数の情
    報を用いて、該記録ヘッドの継続使用か交換後の記録ヘ
    ッドかを判別する記録ヘッド認識方法。
  11. 【請求項11】 上記複数情報は、記録ヘッドの吐出ヒ
    ータ自体の物理的特性に関する情報と記録ヘッドの温度
    検出用に使用される素子自体の物理的特性に関する情報
    を含む請求項10の記録ヘッド認識方法。
  12. 【請求項12】 上記複数情報は、記録ヘッドの上記発
    熱素子を駆動して得られる温度変化情報と記録ヘッドの
    温度調節に使用される加熱素子を駆動して得られる温度
    変化情報とを含む請求項10の記録ヘッド認識方法。
  13. 【請求項13】 インクジェット記録ヘッドのインク吐
    出用発熱素子を駆動する駆動条件を決定するための情報
    であって記録ヘッドの第1の構成発熱要素を駆動するこ
    とで得られる温度変化情報と記録ヘッドの別の第2構成
    要素自体の物理的特性と、を用いて該記録ヘッドの継続
    使用か交換後の記録ヘッドかを判別する記録ヘッド認識
    方法。
  14. 【請求項14】 上記記録ヘッドは複数インクを吐出す
    るための複数のインク吐出部を備え、上記第1、2構成
    要素は該複数インク吐出部の異なる吐出部にある構成要
    素を含む請求項13の記録ヘッド認識方法。
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EP94303812A EP0626266B1 (en) 1993-05-27 1994-05-26 Recording apparatus controlled with head characteristics and recording method
US08/250,509 US6224182B1 (en) 1993-05-27 1994-05-27 Recording apparatus controlled with head characteristics and recording method
US09/776,921 US6631969B2 (en) 1993-05-27 2001-02-06 Recording apparatus controlled with head characteristics and recording method

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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