JPH0633493B2 - ガラス状炭素電極の製造方法 - Google Patents

ガラス状炭素電極の製造方法

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JPH0633493B2 JP60175632A JP17563285A JPH0633493B2 JP H0633493 B2 JPH0633493 B2 JP H0633493B2 JP 60175632 A JP60175632 A JP 60175632A JP 17563285 A JP17563285 A JP 17563285A JP H0633493 B2 JPH0633493 B2 JP H0633493B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱硬化性の炭化可能な樹脂を硬化及び熱分解
することによりガラス状炭素電極を製造する方法に関す
る。
〔従来の技術〕
ガラス状炭素は電極材料として電気化学分野で多方面に
使用されている。特に活性化された形のガラス状炭素
は、活性化に際して得られる大きな表面(粗面度>10
)によつて、特別な意義を有する。これに関する例は
電子化学エネルギー蓄積装置(西ドイツ特許出願公開第
3011701号及び特開昭56−147426号公報
参照)及び電気医療器具への使用(西ドイツ特許出願公
開第2613072号公報参照)、すなわち電気化学二
重層コンデンサにおける活性化されたガラス状炭素電極
の使用及び特に心臓ペースメーカでの刺激電極としての
使用である。
多くの利用分野において、特に層厚が1mmよりも薄い板
状の電極が必要とされる。この場合の出発物質として
は、熱分解によつてガラス状炭素に変わり得る不溶性
で、特に網状化されたプラスチツクから成るシート又は
フイルムが適している(西ドイツ特許出願公開第301
1702号公報参照)。熱分解により炭素が多量に残存
し、従つて良好な炭素収量を得ることのできる有利な網
状化プラスチツクはフエノール−フオルムアルデヒド樹
脂及びフラン樹脂である。
しかしながら上記種類のプラスチツクから薄いシート又
はフイルムを製造する場合には一連の障害が発生する。
すなわちこの親水性の樹脂は流し込み型をぬらさないこ
とから、樹脂の網状化後にスムーズな型抜きを行うこと
ができない。更に大きな表面張力が疎水性基材への均一
で薄い樹脂の分配を阻止する。また抽出不能のプラスチ
ツクからシートを製造する場合におけるような溶剤の使
用は、最終生成物を高価なものとし、その上気孔形成の
危険を含んでいる。
またガラス状炭素電極を製造するため、適当な間隔で互
いに分離して固定された2枚の平らな板により形成され
る間隙に樹脂を流し込み、その中で網状化する方法も実
施可能である。この場合硬化後に得られた板から電極素
材を型抜きし、熱分解する。しかしこの方法はその都度
少数の製品を製造し得るにすぎず、従って連続的に製造
が不可能であることからコスト高である。更にこの方法
でも薄型の電極を製造することはできない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的は、冒頭に記載した熱硬化性の炭化可能な
樹脂からガラス状炭素電極を製造する方法において、費
用の点でも有利な方法で均一な厚さの薄型電極を連続的
に製造することを可能にする方法を得ることにある。
〔問題点を解決するための手段〕 この目的は本発明によれば、少くとも14個の炭素原子
を有する一般式RCOOR′で示される熱分解可能の有機脂
肪アルコール又は脂肪酸の誘導体1〜10容量%を樹脂
に添加し、樹脂を疎水性の基材上に薄層状に拡げ、引続
き硬化及び熱分解することによつて達成される。
〔発明の効果〕
本発明方法によつて所望の厚さで均一な層厚を有する薄
型のガラス状炭素電極を連続的に製造することができ、
この電極は特に波状性及び平面性に関しては、要求され
る高度の幾何的寸法精度を満すものである。
このためには特に樹脂を添加した特殊な有機化合物が有
効である。これらの化合物は界面活性である。すなわち
樹脂の表面張力を減少させ、また樹脂が薄層状に特にプ
ラスチツクからなる疎水性の基材上に均一に拡げられる
ことを可能にする。界面活性物質は1〜10容量%の量
で樹脂に添加される。この場合個々の量は樹脂フイルム
の所望の厚さに応じて決められる。有利には4〜5容量
%が使用される。
混合物の形でも使用可能である樹脂に添加される化合物
は、一般式RCOOR′の脂肪アルコール及び脂肪酸の誘導
体であり、これは少くとも14個の炭素原子を有する。
この場合脂肪アルコール(R′OH)とは一級高級アルコ
ール、例えばラウリルアルコール(C1225OH)、ミリ
スチルアルコール(C1429OH)、セチルアルコール
(C1633OH)及びステアリルアルコール(C1837O
H)を意味する。脂肪酸(RCOOH)は脂肪族の飽和又は不
飽和カルボン酸、例えばラウリン酸(C1123COOH)、
ミリスチン酸(C1327COOH)、パルミチン酸(C15
31COOH)、ステアリン酸(C1735COOH)及び油酸(C
1733COOH)である。
本発明方法では、次のタイプの化合物RCOOR′が使用さ
れる。
a) 不飽和の性質であつてもよい短鎖の脂肪族基Rを
有する脂肪アルコール誘導体。この場合有利にはステア
リルメタクリラート(C35COOC1837)が使用され
る。
b) 短鎖の脂肪族基R′を有する脂肪酸誘導体、特に
ラウリン酸エチル(C1123COOC25)、並びにパルミ
チン酸エチル(C1531COOC25)及びステアリン酸ブ
チル(C1735COOC49)。
c) 脂肪酸、すなわちR′=Hの化合物。この場合有
利には油酸(C1733COOH)が使用される。
上記形式の化合物は熱分解可能でなければならず、また
ガラス状炭素の電気化学的特性を実際に損つてはならな
い。ガラス状炭素電極を製造する場合、これらの化合物
の極性をそれぞれ樹脂に適合させることが有利である。
本発明方法では、炭化可能の樹脂として有利にはフルフ
リルアルコール又はフエノール−フラン樹脂が使用され
る。しかし他の熱硬化性の炭化可能な樹脂、例えばフエ
ノール−ホルムアルデヒド樹脂を使用することもでき
る。
熱硬化性樹脂又はプラスチツクの硬化は塩基性又は酸性
の化合物を用いて行うことができる。本発明方法では硬
化剤として一般に強酸が使用され、有利にはp−トルオ
ールスルホン酸が使用される。硬化それ自体は、温度1
50〜200℃及び硬化時間約1〜5時間で行うのが有
利である。
熱分解は有利には1100℃までの温度で行われる。熱
分解により熱硬化性プラスチツクは炭化され、その際ガ
ラス状炭素に変化する。同時に樹脂に添加された有機物
の熱分解も行われる。熱分解時間は一般に約12〜36
時間(加熱及び冷却時間を含めて)、有利には約12時
間である。その際最終温度は約1〜5時間維持される。
本発明方法によるガラス状炭素電極の製造は例えば次の
ようにして行うことができる。樹脂に必要量の硬化剤及
び界面活性物質を添加し、次いでガス抜きし、引続き混
合物を薄い層状で、プラスチツクからなる疎水性のシー
トに注ぎ、約60〜80℃の温度に加熱する。その際支
持シートは有利にはポリエチレン、ポリテトラフルオロ
エチレン又はポリプロピレンから成る。約5〜20分後
にフレキシブルな自己支持性のシートが得られ、その表
面は有機化合物の添加により薄い油状フイルムで覆われ
ている。この油状フイルムは室温で付加的に粘着阻止効
果をもたらし、従つて例えば連続処理工程で粗生成物
質、すなわち粗製シートの巻き上げが可能となる。
粗製シートから電極素材を所望の形に型抜きし、空気中
で150〜200℃の温度で、有利には黒鉛板の間に集
積して硬化する。次の熱分解処理(不活性ガス雰囲気中
で)は、有利には同様に黒鉛板間で行われる。このよう
にして電極の平面性が保証される。電極素材を仕上げる
場合、ポリマーが熱分解中に線状に約20%収縮するこ
とも考慮すべきである。
本発明方法では粗製シートの製造を有利には二工程で行
うこともできる。すなわち樹脂の重合は二工程で行われ
る。この場合第一工程で、出発物質をまず多少とも粘着
性の樹脂にまで前縮合することにより樹脂プレポリマー
が製造される。この樹脂プレポリマーは室温で数時間、
場合によつては数日間まで貯蔵可能である。次いで第二
工程で樹脂プレポリマーは他の硬化剤の添加下に、また
熱の供給下に完全に重合させられる。すなわち粗製シー
トに変えられる。この二工程の場合、界面活性剤は一般
に第二工程で、すなわち樹脂プレポリマーに添加される
が、出発混合物にすでに添加されていてもよい。次いで
得られた粗製シートから仕上げられた電極素材が先に記
載したようにして硬化および熱分解される。
熱分解に際して得られたガラス状炭素電極は有利には更
に活性化することができる。この場合電極の表面にnm
範囲(10-9m及びそれ以下の)の孔を有する微小多孔
性構造が形成される。有利には空気中で450〜500
℃の温度で熱処理(約3〜5時間)することによつて行
う活性化により、ガラス状炭素電極の二重層容量を更に
高めることができる。
電気化学的二重層コンデンサにおける使用の他に、本発
明方法により製造したガラス状炭素電極は例えば電気医
療器具にも使用可能である。
〔実施例〕
次に本発明を実施例に基づき更に詳述する。
1.樹脂−プレポリマーの製造 フルフリルアルコール150mlに約50℃で、エタノ
ール中のp−トルオールスルホン酸の1%溶液5mlを
加え、撹拌しながら2時間以内に約90℃の温度に加熱
する。反応混合物をこの温度で2時間保持する。その際
凝縮水及びフルフリルアルコールの少量が分別される。
引続き室温で冷却する。こうして得られた樹脂プレポリ
マーは2.5Pa・s(22℃で)の粘度を有し、室温で
数日間貯蔵可能である。
2.シートの製造 樹脂プレポリマー20gに室温で、エタノール中のp−
トルオールスルホン酸の20%溶液0.5ml並びにステ
アリルメタクリラート(4.3容量%)1mlを加える。
5分間撹拌し、引続き15分間オイル真空ポンプでガス
抜きする。その際次に行うシートの流し込み成形処理で
水泡形成をきたすことになる溶剤、水及びフルフリルア
ルコールの残分を除去する。次いでこの混合物を、75
℃に加熱した金属板に張られたポリプロピレンシート
(厚さ30μm)に注ぎ、ドクタで層厚0.5mmに拡げ
る。連続的に処理する場合には、混合物をクロスヘツド
シユーによりシート上に塗布する。樹脂は支持シートを
ぬらさないようにし、そうすることにより支持シートは
重合後容易に除去することができる。約3〜5分後に樹
脂のゲル化点に達し、約10分後支持シートを金属板か
ら取り除き、室温に冷却し、次いで重合されたフルフリ
ルアルコールから成るフレキシブルな自己支持性のシー
トを支持シートから引きはがす。
3.ガラス状炭素電極の製造 フレキシブルなシートから所望の型で電極素材を型抜き
する。この素材を黒鉛板の間に挿入し、空気中で1時間
180℃で熱処理、すなわち硬化する。その際黒鉛板は
電極素材の変形及び硬化時における同時焼結を阻止す
る。必要な場合には、硬化した素材を、後続の熱分解前
に機械的に処理することができる。熱分解するために素
材を新たに黒鉛板の間に挿入し、次いで12時間以内に
1100℃までの温度で不活性ガス下に熱分解する。こ
の場合もまた黒鉛板は、電極の平面性を保証するのに役
立つ。更に材料が多孔性であることによつて、緊密な成
層体にもかかわらず熱分解ガスを急速に除去することが
できる。最終温度を1時間保つ熱分解処理で、硬化され
た素材は線状に約20%収縮し、密度は1.26g・cm-3
ら1.51g・cm-3に増大する。上記記方法で製造されたガ
ラス状炭素電極はなお一層活性化することができる。こ
のためには該電極を例えば約470℃の温度で、5時間
空気中で加熱する。これは有利には循環空気炉で行う
が、この炉では±10℃の均一な温度が保証される。
本発明方法により製造されたガラス状炭素電極の電気化
学的特性を確認するために、二重層のインピーダンス測
定が行われた。この場合以下の結果が得られた(3.6モ
ルのH2SO4で)。常法により製造された(研摩された
ガラス状炭素からの)電極は12〜16μF・cm-2の二
重層容量を有する。これに対し本発明方法(ステアリル
メタクリラートを使用する)により製造されたガラス状
炭素電極は、活性化しない1Hzで1mF・cm-2までの容
量を有し、これは電極表面が確実に粗面であることを意
味する。活性化後、本発明によるガラス状炭素電極の容
量は、通常のガラス状炭素から成る活性化された電極の
容量よりも小さいが、この場合その差違は周波数に依存
する。通常の活性化ガラス状炭素は1Hzで330mF・c
m-2及び100Hzで180mF・cm-2の値を示すが、本発
明による活性化ガラス炭素は250mF・cm-2及び160m
F・cm-2である。
ラウリン酸エチルを使用して(ステアリルメタクリラー
トの代りに)製造された本発明によるガラス状炭素電極
は1Hzで290mF・cm-2及び100Hzで165mF・cm
-2の値を示した。高周波での活性化ガラス状炭素電極の
二重層容量に対する界面活性物質の影響は低周波での場
合よりも少ない。
粗製シートを製造するために本発明方法では例えば次の
ように実施することもできる。市販のフエノール−フラ
ン樹脂20gにp−トルオールスルホン酸の20%溶液
2.5ml及び油酸(4.5容量%)1mlを添加し、次いで
5分間撹拌し、引続き10分間ガス抜きする(オイル真
空ポンプで)。次いで混合物を75℃に加熱したポリプ
ロピレンシートに注ぎ、ドクタで配分する。約10分後
に厚さ0.2〜0.3mmのフレキシブルな自己支持性のシート
が得られる。このシートを先に記載した方法で薄い、平
坦なガラス状炭素電極に更に加工する。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも14個の炭素原子を有する一般
    式RCOOR′で示される熱分解可能の有機脂肪アルコ
    ール又は脂肪酸の誘導体1〜10容量%を樹脂に添加
    し、その樹脂を疎水性の基材上に薄層状に拡げ、引続き
    硬化及び熱分解することを特徴とする熱硬化性の炭化可
    能な樹脂を硬化及び熱分解することによりガラス状炭素
    電極を製造する方法。
  2. 【請求項2】フルフリルアルコールをベースとする樹脂
    を使用することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の方法。
  3. 【請求項3】フエノール−フラン樹脂を使用することを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】樹脂にステアリルメタクリラートを添加す
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第3項
    のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】樹脂にラウリン酸エチル又は油酸を添加す
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第3項
    のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】樹脂をp−トルオールスルホン酸で硬化す
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第5項
    のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】樹脂を150〜200℃の温度で硬化する
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第6項の
    いずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】熱分解を1100℃までの温度で実施する
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項ないし第7項の
    いずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】電極を活性化することを特徴とする特許請
    求の範囲第1項ないし第8項のいずれか1項に記載の方
    法。
JP60175632A 1984-08-13 1985-08-09 ガラス状炭素電極の製造方法 Expired - Lifetime JPH0633493B2 (ja)

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DE19843429768 DE3429768A1 (de) 1984-08-13 1984-08-13 Verfahren zur herstellung von glaskohlenstoff-elektroden
DE3429768.5 1984-08-13

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Publication Number Publication Date
JPS6148586A JPS6148586A (ja) 1986-03-10
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DE3562222D1 (en) 1988-05-26
DE3429768A1 (de) 1986-02-20
JPS6148586A (ja) 1986-03-10
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