JPH06334231A - ジョセフソン接合素子及びその製造方法 - Google Patents

ジョセフソン接合素子及びその製造方法

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JPH06334231A
JPH06334231A JP5121202A JP12120293A JPH06334231A JP H06334231 A JPH06334231 A JP H06334231A JP 5121202 A JP5121202 A JP 5121202A JP 12120293 A JP12120293 A JP 12120293A JP H06334231 A JPH06334231 A JP H06334231A
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josephson junction
film
layer
barrier layer
doped
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JP5121202A
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Inventor
Yuji Mizuno
裕二 水野
Masaya Osada
昌也 長田
Hideo Nojima
秀雄 野島
Masayoshi Koba
正義 木場
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 超電導層−障壁層−超電導層の構造を有する
ジョセフソン接合素子であって、前記超電導層が酸化物
高温超電導体で形成され、前記障壁層が、所定の元素が
ドープされた強誘電体で形成されているジョセフソン接
合素子。 【効果】 障壁層の強誘電体にドープする元素の量を所
望の量に制御することができ、障壁層のドープ量と膜厚
とを組み合わせて制御することにより、障壁層のコヒー
レンス長を変化させ、ジョセフソン接合の臨界電流や常
伝導トンネル抵抗等を制御し、特性を向上させることが
できる。さらに、高価なバルクの単結合物質を使う必要
がないので、コストを大幅に引き下げることができる。
従って、特性が向上するとともに、その特性にばらつき
のないジョセフソン接合素子を低コストで得ることがで
き、SQUID(超電導量子干渉素子)等に応用するこ
とが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はジョセフソン接合素子及
びその製造方法に関し、より詳細には臨界電流やコヒー
レンス長等に異方性をもつ酸化物高温超電導体を用いた
ジョセフソン接合素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら提案されているジョセフソン接合素子は、大別すると
2通りの構造のものがある。すなわち、その素子が用い
る障壁層の電気特性及び障壁層の厚みによって、超電導
層(S層)−絶縁層(I層)−超電導層(S層)の構造
をもつもの(S−I−S接合型素子)及び超電導層(S
層)−常伝導層(N層)−超電導層(S層)の構造をも
つもの(S−N−S接合型素子)がある。
【0003】このうち、前者のS−I−S接合型素子
は、2つの超電導体の間に、超電導体が有しているコヒ
ーレンス長以下に相当する膜厚の極薄絶縁膜を介在させ
た、いわゆる積層型の構造であり、この極薄絶縁膜の元
素組成比、組成均一性及び膜厚によってその接合の特性
や、信頼性などが大きく左右されることがあった。特に
酸化物超電導体はこのコヒーレンス長が短く数Å程度で
ある。このため酸化物超電導体を用いたS−I−S型接
合素子は、絶縁膜をÅオーダーで均一にする必要があっ
た。しかし、現状の技術で作ることのできる酸化物超電
導体の表面平坦性は良好でないために、その作製が困難
であるという課題があった。
【0004】後者のS−N−S接合の場合には、金、銀
等の貴金属を常伝導層として用いた例が報告されてい
る。しかし、常伝導層の抵抗率が小さいため、ジョセフ
ソン素子としての性能を表すIc n 積が小さ過ぎる等
の理由で、いまだ実用化されていないのが現状である。
【0005】また、酸化物強誘電体の1種であるSrT
iO3 にNbをドープした、NbドープSrTiO3
常伝導層に用いたS−N−S接合も報告されている。し
かし、その例では市販のNbをドープしたSrTiO3
単結晶基板をスパッタして作製しているために、ドープ
するNbの量をコントロールすることができないという
問題があった。さらに、NbドープSrTiO3 単結晶
基板は非常に高価であるためコストがかかり過ぎるとい
う問題があった。
【0006】従って、実用性のある電子デバイスとして
用いるふさわしいS−N−S接合素子を製造するには、
障壁層に用いる強誘電体中のNb,Laのドープ量を制
御することが要求される。そして、その制御により、コ
ヒーレンス長を改善するとともに、ジョセフソン特性を
最適化すること、さらに、超電導層上の強誘電体膜のヘ
テロエピタキシャル成長、強誘電体膜上の超電導層のヘ
テロエピタキシャル成長及び製造上のコストの低減が要
求されている。
【0007】本発明は上記の課題に鑑みなされたもので
あり、実用性のあるS−N−S型接合素子を低コストで
製造することができるジョセフソン接合素子及びその製
造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、超電導
層−障壁層−超電導層の構造を有するジョセフソン接合
素子であって、前記超電導層を酸化物高温超電導体で形
成し、さらに前記障壁層として、所定の元素が0.00
1〜5wt%でドープされた強誘電体で形成されている
ジョセフソン接合素子が提供される。
【0009】また、超電導層−障壁層−超電導層の構造
を有するジョセフソン接合素子であって、前記障壁層
を、強誘電体を構成する元素と所定の元素とを酸素雰囲
気下で多元蒸着により形成するジョセフソン接合素子の
製造方法が提供される。
【0010】本発明におけるジョセフソン接合素子は、
基板上に形成されている。この際、基板上に直接形成し
てもよいが、所望の素子を形成した上に絶縁膜等を形成
した後、ジョセフソン接合素子を形成してもよい。この
基板の材料としては特に限定されるものではなく、例え
ば、酸化物単結晶からなるものを用いることができる。
具体的には、SrTiO3(100)、MgO(10
0)、YSZ(100)、LaAlO3 (100)、L
aGaO3 (100)、NdGaO3 (100)等が挙
げられる。
【0011】ジョセフソン接合素子を構成する超電導層
としては、酸化物高温超電導体が好ましい。具体的に
は、YBa2 Cu3 7-X (ただしXは0〜1)、Bi
2 Sr 2 Ca2 Cu3 10+X、Bi2 Sr2 CaCu2
8+X 、Ba1-X X BiO3、LnBa2 Cu3
7-X (ここでLn=Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,D
y,Ho,Er,Tm,Yb),SrX Ca1-X CuO
2+Y ,SrX Ca1-X CuO2-Y,Nd2-X CeX Cu
4-Y 及び(BiX Pb1-X 2 SrCa2Cu3
10+Y(Xは0〜1,Yは0〜1)等からなるものを用い
ることができる。これら超電導層は、公知の方法、例え
ば、反応性蒸着法、スパッタ法、レーザ蒸着法、イオン
ビーム法又はCVD法等により、ペロブスカイト構造の
結晶構造で形成することができる。この際の膜厚は、約
500〜2000Åが好ましい。
【0012】上記超電導層の間に挟持される障壁層とし
ては、所望の元素がドープされた強誘電体酸化物がこの
ましい。具体的には、Nb又はLa等がドーピングされ
たSrTiO3、PrBa237-X(ただしXは0〜
1)、Bi2Sr2CaCu23等からなるものを用いる
ことができる。この障壁層の形成は、強誘電体酸化物
を、ドープする元素、例えばNb又はLaとともに、酸
素雰囲気中、あるいはオゾン、酸素ラジカル又はその両
方を含んだ酸素活性雰囲気中、酸素プラズマ雰囲気中又
はそれらの混合雰囲気中において、各元素ごとに抵抗加
熱、電子ビーム加熱又はクヌーセン・セルを用い、各蒸
発源材料の蒸発量を独立に制御した反応性蒸着等によ
り、多元的に形成することが特徴である。酸素雰囲気に
て行う場合には、酸素ラジカルを発生させながら行うこ
とが好ましい。その際の反応容器内の圧力は8×10-6
〜1×10-4Torr程度、基板の温度は約700〜9
00℃程度が好ましい。そして、蒸着が終了したのち、
基板温度を100〜300℃程度低くして、10〜60
分間程度保持することにより蒸着膜の結晶性を向上させ
ることができる。つまり、障壁層は結晶配向が特定の方
向にそろったヘテロエピタキシャルに成長させている。
いいかえると、障壁層の結晶構造は上記超電導層の結晶
構造と略同じ、例えば、ペロブスカイト構造の結晶構造
であることが好ましい。このような結晶構造の制御は基
板の種類、超電導層の温度等を制御することにより行う
ことができる。また、強誘電体酸化物にドーピングされ
るNb又はLaの量は、強誘電体酸化物の重量に対して
0.001〜5wt%程度が好ましい。ドーピング量の
制御は、例えば、Nb又はLa等を強誘電体を構成する
元素と共に多元蒸着する際に、Nb又はLaの蒸着レー
トを電子ビーム、抵抗加熱等のエネルギーを制御する
か、あるいは適当な治具を用いることによって行うこと
ができる。この場合の適当な治具としては、融点が十分
高く、かつ蒸着材料と反応しにくいSUS、アルミニウ
ム等の金属やセラミック等の板に孔をあけたものを用い
ることができる。この際の障壁層の膜厚は、約100〜
数1000Åが好ましく、約200〜300Åがより好
ましい。
【0013】また、本発明におけるジョセフソン接合素
子に用いる電極は、通常電極材料として用いられる材
料、例えばAg、Al、Au、Ti等を用いて、公知の
方法、例えば真空蒸着法、スパッタ法等により形成する
ことができる。本発明におけるジョセフソン接合素子の
形態としては、プレーナ型やサンドイッチ型等、特に限
定されるものではない。
【0014】プレーナ型のジョセフソン接合素子の一例
としては、基板上に形成された超電導層に、基板に至る
溝が形成され、その溝を埋め込むように、超電導層上に
障壁層が形成されたものがある。つまり、2つの超電導
層が溝内に埋め込まれた障壁層により分離され、障壁層
を挟持したものである。この場合の超電導層は上記の方
法により形成することができる。また、溝の形成は反応
性イオンエッチング、イオンビームエッチング等の異方
性ドライエッチング法により行うことができる。この際
の溝の深さは、基板上に形成された超電導層の膜厚によ
り適宜調節することができ、通常は基板に至る深さが好
ましい。また、溝の幅は0.03〜0.15μm程度が
好ましい。
【0015】サンドイッチ型のジョセフソン接合素子
は、基板上に超電導層、障壁層及び超電導層が順次積層
されたもので、所望の形状にエッチングする際には、フ
ォトリソグラフィ工程によりレジスト保護膜等を形成
し、反応性イオンエッチング、イオンビームエッチング
等の異方性ドライエッチング法を適応することが好まし
い。
【0016】
【作用】本発明におけるジョセフソン接合素子によれ
ば、超電導層−障壁層−超電導層の構造を有するジョセ
フソン接合素子であって、前記超電導層を酸化物高温超
電導体で形成し、さらに前記障壁層として、所定の元素
が0.001〜5wt%でドープされた強誘電体で形成
されているので、ジョセフソン接合の臨界電流や常伝導
トンネル抵抗が制御される。
【0017】また、本発明におけるジョセフソン接合素
子の製造方法によれば、障壁層の強誘電体にドープする
元素の量を所望の量に制御することができる。そして、
障壁層のドープ量と膜厚とを組み合わせて制御すること
により、障壁層のコヒーレンス長が変化することとな
り、ジョセフソン接合の臨界電流や常伝導トンネル抵抗
が制御される。
【0018】
【実施例】以下に本発明に係るジョセフソン接合素子の
実施例を図面に基づいて説明する。 実施例1 図1及び図2はプレーナ型ジョセフソン接合素子10で
ある。このジョセフソン接合素子10においては、Sr
TiO3(100)単結晶基板1上に酸化物高温超電導
体としてYBa2Cu37-x膜2が積層され、平面視ダ
ンベル形状にパターン化されている。そして、そのブリ
ッジ部には基板1に至る、長さlの間隔を有する溝2a
が形成されている。YBa2Cu37-x膜2のブリッジ
部上には、Nbがドープされた強誘電体酸化物であるS
rTiO3膜3が、平面視ダンベル形状で、YBa2Cu
37-x膜2と垂直に交わり、溝2aを埋設するように形
成されている。
【0019】以下、このようなプレーナ型ジョセフソン
接合素子10の製造方法について説明する。まず、Sr
TiO3(100)単結晶基板1上に、所望の領域が露
出するようにパターニングされたメタルマスクを重ね、
酸化物高温超電導体であるYBa2Cu37-x膜2を、
反応性蒸着法によって基板1にc軸配向するように成膜
した。この際、反応容器内の圧力を2×10-4Torr
程度に保持し、オゾンを10%程度含んだ酸素ラジカル
を照射し、基板1の温度を約750℃で、YBa2Cu3
7-x膜2の膜厚が約2000Å、Y:Ba2:Cu3
1:2:3となるように成膜した。
【0020】次いで、電子ビームリソグラフィ法を用い
て、所望の形状、例えばダンベル形状に形成されたYB
2Cu37-x膜2のブリッジ部に、線幅l=約0.1
μm、深さ約2500Å程度の溝2aを形成した。この
溝2aはその下部が基板1に達している。この際、Ar
のイオンビームを基板1に垂直に照射するドライエッチ
ングにより溝2aを形成した。
【0021】その後、溝2aを含む所望の領域が露出す
るようにパターニングされたメタルマスクを重ね、溝2
aを埋めるように、NbドープSrTiO3膜3を、基
板1と同様の(100)配向するように、反応性蒸着法
で成膜した。この際、反応容器内の圧力を8×10-6
orr、基板温度を800℃に保持し、オゾン10%を
含有する酸素雰囲気中で、蒸着源としてSr,Ti,N
bを用い、Srを抵抗加熱、Ti,Nbを電子ビーム加
熱によって、Sr:Tiの組成比が2:1となり、Nb
ドープ量がSrTiO3の重量比に対して0.1%とな
るように、膜厚約3000Åで成膜した。また、SrT
iO3膜3の結晶性を向上させるために蒸着終了後、基
板温度を600℃で保持して1時間程度ポストアニール
を行った。
【0022】そして、YBa2Cu37-x膜2上に、酸
化物高温超電導体と反応しにくい貴金属である銀を、マ
スクを用いて真空蒸着法により蒸着し、電極4を形成す
る。このような工程を経て、プレーナ型S−N−Sジョ
セフソン接合素子10が作製される。なお、今回作製し
た素子のサイズは、50μm×50μmである。また、
超電導層にYBa2Cu37-x、障壁層にNbドープS
rTiO3を用いている。障壁層つまりN層のコヒーレ
ンス長は、NbドープSrTiO3薄膜の形成時にNb
ドープ量を変化させることにより、制御することができ
るものである。本発明では、Nbのドープ量を0.1w
t%として、ξN=約35Åの障壁層、つまりN層のコ
ヒーレント長が得られた。
【0023】なお、本実施例において形成されたNbド
ープSrTiO3薄膜は、X線回折及びRHEEDの観
察の結果、結晶構造が立方晶のペロブスカイト構造で、
格子定数が約3.9Åであった。
【0024】図3に本実施例で作製したプレーナ型ジョ
セフソン接合素子10のI−V特性の測定結果を示す。
これによると、T=77Kにおいて、電圧0での有限な
大きさの電流(超電導電流)及び電流−電圧曲線の形状
から、ジョセフソン接合が実現できていることが分か
る。
【0025】このジョセフソン接合素子において、コヒ
ーレンス長に比べて障壁層の厚みが大きいにも関わら
ず、ジョセフソン特性が得られているのは、酸化物高温
超電導体に酸化物常伝導障壁層の中間層を用いた接合を
形成した場合における長距離近接効果が起こっている可
能性が考えられる。
【0026】実施例2 図4〜図7はサンドイッチ型ジョセフソン接合素子20
である。このジョセフソン接合素子20においては、S
rTiO3(100)単結晶基板11上に下部酸化物高
温超電導体としてYBa2Cu37-x膜12、強誘電体
層としてNbがドープされたSrTiO3膜13、上部
酸化物高温超電導体としてYBa2Cu37-x膜14
が、順次積層されて形成されている。また、下部のYB
2Cu37 -x膜12上及び上部のYBa2Cu37-x
14上に電極17、15及び19がそれぞれ形成されて
いる。
【0027】以下、このようなサンドイッチ型ジョセフ
ソン接合素子20の製造方法について説明する。まず、
実施例1と同様にSrTiO3(100)を基板として
用いる。そして、反応性蒸着法により、基板温度を68
0℃と設定し、他の条件は上記実施例1と同様に酸化物
高温超電導体であるYBa2Cu37-X12を基板の面
に対してa軸配向するように成膜する。
【0028】次いで、Nbをドープした強誘電体酸化物
であるSrTiO3膜13をYBa2Cu37-X12上に
(100)配向でヘテロエピタキシャル成長させる。そ
の場合の条件は、実施例1と同様にして形成することが
できる。この際のSrTiO 3膜13の膜厚は約200
Åであった。そして、SrTiO3膜13上に上部酸化
物高温超電導体としてYBa2Cu37-x膜14を、上
記と同様にa軸配向でヘテロエピタキシャルに成膜す
る。
【0029】次いで、YBa2Cu37-x膜14上全面
に、銀の薄膜15を真空蒸着によって蒸着する。そし
て、銀薄膜15上に、フォトリソグラフィ工程により、
接合を形成する大きさを有するレジストの保護層25を
形成する。その後、レジストの保護層25をマスクとし
て、Arイオンビームにより、YBa2Cu37-X膜1
2が露出するまでエッチングをおこなう。続いて、所望
の領域が露出するようにパターニングされたメタルマス
クを用いて、YB2Cu3 7-X膜12上に銀電極17を
蒸着、形成する。
【0030】さらに、上部YB2Cu37-X膜14上に
も電極を形成するために、YB2Cu 37-X膜12上の
電極以外の領域及び銀薄膜15上以外の領域に、フォト
リソグラフィ工程によりレジストの保護層18を形成す
る。そして、ワイヤリングのための銀薄膜28を、先の
保護層18を付けた部分に重なるように蒸着した後、A
rイオンビームでパターニングを行うことにより上部Y
2Cu37-X膜14上に、一体となった電極15、1
9を形成する(図4)。この場合の素子の接合部分のサ
イズは、50μm×50μmである。
【0031】このようにして作製したサンドイッチ型ジ
ョセフソン素子20のI−V特性を図8に示す。これに
よると、T=77Kにおいて、電圧0での有限な大きさ
の電流(超電導電流)及び電流−電圧曲線の形状から、
ジョセフソン接合が実現できていることが分かる。
【0032】本実施例においては、障壁層つまりN層の
コヒーレンス長は、NbドープSrTiO3薄膜の形成
時にNbドープ量を変化させることにより、制御するこ
とができるものである。本発明では、Nbのドープ量を
0.1wt%として、ξN=約35Åの障壁層、つまり
N層のコヒーレント長が得られた。
【0033】なお、本実施例において形成されたNbド
ープSrTiO3薄膜は、X線回折及びRHEEDの観
察の結果、結晶構造が立方晶のペロブスカイト構造で、
格子定数が約3.9Åであった。
【0034】試験例 本発明のジョセフソン接合素子を構成する障壁層におい
て、強誘電体酸化物にドープする元素の量を変化させた
場合の強誘電体酸化物膜の電気特性を試験した。この場
合のドープ元素はNb、強誘電体酸化物としてはSrT
iO3単結晶を用いた。
【0035】まず、反応性蒸着法において、蒸着源とし
てSr,Ti,Nbを用い、Srを抵抗加熱又は電子ビ
ーム加熱、Ti,Nbを電子ビーム加熱によって基板上
に蒸着させ、Nbのドープ量を種々変化させた。この
際、SrとTiの蒸着レートがSr:Ti=2:1にな
るように制御した。この際の蒸着は8×10-6Torrで、
オゾン10%を含む酸素雰囲気中で行った。基板はホル
ダーに装着した後、SrTiO3(100)単結晶を9
00℃に加熱し、回転させながら蒸着した。
【0036】また、蒸着終了後に基板温度を600℃程
度に保ったままで1時間程度のポストアニールを行うこ
とにより、蒸着膜の結晶性の向上を図った。この際のS
rTiO3膜の膜厚は3000Å程度であった。また、
蛍光X線分析(XRF)及びラザフォード後方散乱法
(RBS)によって作成した膜に含まれるNbのドープ
量を測定したところ、0.001〜5wt%の範囲でN
bを含む膜が作成された。
【0037】このようにして作製した、種々のNbドー
プ量を有するSrTiO3膜の中から、4つのサンプル
を選んで測定した電気特性の測定結果を図9及び図10
に示す。図9はホール移動度、図10はキャリア濃度の
温度特性を示している。図9及び図10において、*は
Nbドープ量がSrTiO3の重量に対して0.001
%、×は0.04%、○は0.4%、△は1.5%、□
は5%であった。また、X線回折、RHEED観察の結
果から、今回作製したNbドープSrTiO3膜が基板
上に(100)配向し、結晶性も良好であることが分か
った。
【0038】例えば、図9及び図10において、温度7
7Kでのキャリア濃度が9.5×1018〔cm-3〕、ホー
ル移動度が4×102〔cm2 /V・s〕の例(図9及び
図10中、×)では、Seto and Van Duserの関係式か
ら、
【0039】
【数1】
【0040】ここで、hはプランク定数、μは移動度、
Bはボルツマン定数、m*は電子の有効質量で、この場
合は2me(meは自由電子質量)に等しくnはキャリア
濃度である。障壁層NbドープSrTiO3(0.04
%)のコヒーレンス長ξN(T=77K)=5.1〔n
m〕を得ることができる。
【0041】上記と同様に温度77Kでのキャリア濃度
が4.5×1019〔cm-3〕、ホール移動度が1.9×1
2 〔cm2 /V・s〕の例(図9及び図10中、○)で
は、障壁層NbドープSrTiO3(0.4%)のコヒ
ーレンス長ξN(T=77K)=2.2〔nm〕を得る
ことができる。また、キャリア濃度が1.1×10
20〔cm-3〕、ホール移動度が8.5×10 1〔cm2 /V
・s〕の例(図9及び図10中、△)では、障壁層Nb
ドープSrTiO3(1.5%)のコヒーレンス長ξ
N(T=77K)=1.9〔nm〕を得ることができ、
キャリア濃度が4.3×1020〔cm-3〕、ホール移動度
が7×101〔cm2 /V・s〕の例(図9及び図10
中、□)では、障壁層NbドープSrTiO3(5%)
のコヒーレンス長ξN(T=77K)=2.7〔nm〕
が求められる。
【0042】さらに、キャリア濃度が2.2×10
18〔cm-3〕、ホール移動度が5.6×10-1〔cm2 /V
・s〕の例(図9及び図10中、*)では、障壁層Nb
ドープSrTiO3(0.001%)のコヒーレンス長
ξN(T=77K)=4.4×10 -1〔nm〕を得るこ
とができる。
【0043】これらの結果から、強誘電体であるSrT
iOに所定の元素、つまりNbが、5wt%以下の範囲
でドープされている場合には、コヒーレント長が1.9
〔nm〕≦ξN≦5.1〔nm〕の範囲に制御されてい
ることが分かった。また、Laをドープした場合もほぼ
同様の結果が得られた。
【0044】
【発明の効果】本発明におけるジョセフソン接合素子に
よれば、超電導層−障壁層−超電導層の構造を有するジ
ョセフソン接合素子であって、前記超電導層が酸化物高
温超電導体で形成され、前記障壁層が、所定の元素が
0.001〜5wt%でドープされた強誘電体で形成さ
れているので、ジョセフソン接合の臨界電流や常伝導ト
ンネル抵抗等が制御され、特性が向上した素子を得るこ
とができる。
【0045】また、本発明におけるジョセフソン接合素
子の製造方法によれば、障壁層の強誘電体にドープする
元素の量を所望の量に制御することができる。そして、
障壁層のドープ量と膜厚とを組み合わせて制御すること
により、障壁層のコヒーレンス長を変化させることがで
き、ジョセフソン接合の臨界電流や常伝導トンネル抵抗
を制御することにより、特性を向上させることができ
る。
【0046】さらに、従来より用いられているような、
所望の元素がドープされた障壁層を作製する場合に、高
価なバルクの単結合物質を使う必要がないので、コスト
を大幅に引き下げることができる。
【0047】従って、特性が向上するとともに、その特
性にばらつきのないジョセフソン接合素子を低コストで
得ることができ、SQUID(超電導量子干渉素子)等
に応用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るジョセフソン接合素子のプレーナ
型の一実施例を示す概略平面図である。
【図2】図2のA−A′線の概略断面図である。
【図3】図1に示すプレーナ型ジョセフソン接合素子の
I−V特性を示す図である。
【図4】本発明に係るジョセフソン接合素子のサンドイ
ッチ型の一実施例を示す概略断面図である。
【図5】サンドイッチ型ジョセフソン接合素子の製造方
法を説明するための工程図である。
【図6】サンドイッチ型ジョセフソン接合素子の製造方
法を説明するための工程図である。
【図7】サンドイッチ型ジョセフソン接合素子の製造方
法を説明するための工程図である。
【図8】図4に示すサンドイッチ型ジョセフソン接合素
子のI−V特性を示す図である。
【図9】本発明に係るジョセフソン接合素子における障
壁層に種々のドープ量でNbをドープした場合のキャリ
ア濃度と温度との関係を示す図である。
【図10】本発明に係るジョセフソン接合素子における
障壁層に種々のドープ量でNbをドープした場合のホー
ル濃度と温度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1、11 基板 2、12、14 YB2Cu37-X膜 3、13 NbドープSrTiO3膜 4、15、17、19 Ag電極 10、20 ジョセフソン接合素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木場 正義 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導層−障壁層−超電導層の構造を有
    するジョセフソン接合素子であって、前記超電導層を酸
    化物高温超電導体で形成し、さらに前記障壁層として、
    所定の元素が0.001〜5wt%でドープされた強誘
    電体で形成されていることを特徴とするジョセフソン接
    合素子。
  2. 【請求項2】 超導電層の結晶構造がペロブスカイト構
    造であり、かつ障壁層が超電導層の結晶構造と同じペロ
    ブスカイト構造を有する強誘電体で形成されている請求
    項1記載のジョセフソン接合素子。
  3. 【請求項3】 強誘電体にドープされている元素がNb
    及びLaのいずれかである請求項1乃至2のいずれかに
    記載のジョセフソン接合素子。
  4. 【請求項4】 超電導層−障壁層−超電導層の構造を有
    するジョセフソン接合素子であって、前記障壁層を、強
    誘電体を構成する元素と所定の元素とを酸素雰囲気下で
    多元蒸着により形成することを特徴とするジョセフソン
    接合素子の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017198866A1 (fr) * 2016-05-20 2017-11-23 Thales Dispositif comprenant une jonction josephson
JP2019536261A (ja) * 2016-11-15 2019-12-12 ノースロップ グラマン システムズ コーポレイションNorthrop Grumman Systems Corporation 超伝導デバイスの製造方法

Cited By (3)

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FR3051603A1 (fr) * 2016-05-20 2017-11-24 Thales Sa Dispositif comprenant une jonction josephson
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