JPH06333508A - カラー陰極線管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蛍光面に対するシャドウマスクのビーム通過
孔の位置ずれを少なくする。 【構成】 蛍光面に対向して配置されたシャドウマスク
を備え、このシャドウマスクは、そのビーム通過孔がＸ
方向に延在するブリッジに画されてＹ方向に並設された
複数の透孔からなる透孔列をＸ方向に沿って複数個並設
させて形成されているとともに、該Ｘ方向に一致づけら
れる両辺がＹ方向に張力が加えられて配置されているカ
ラー陰極線管において、Ｘ方向に沿って並設されている
それぞれの透孔列を複数のグループに分け、各グループ
の間に位置づけられる透孔列におけるブリッジの数が他
の透孔列のブリッジの数より少なくなっているかあるい
は全くないものとなっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カラー陰極線管に係
り、特に、それに備えられるシャドウマスクの改良に関
する。

【０００２】

【従来の技術】カラー陰極線管に備えられるシャドウマ
スクのうちいわゆるスロット型と称されるものが知られ
ている。

【０００３】その電子ビーム透過孔が、Ｘ方向（水平方
向）に延在するいわゆるブリッジに画されてＹ方向に並
設された複数の透孔からなる透孔列をＸ方向に沿って複
数個並設させて形成されている。

【０００４】そして、このようなスロット型シャドウマ
スクは、そのＸ方向に一致づけられる両辺がＹ方向であ
って互いに離間する方向に張力が加えられた状態で配置
されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成からなるカラー陰極線管は、そのスロット型シ
ャドウマスクがそのＸ方向に一致づけられる両辺におい
てＹ方向に張設されるため、ポアソン比に基づいてＹ方
向に一致づけられる他の両辺がその内側に湾曲するよう
に変形し易すくなるという問題が指摘された。

【０００６】このように、シャドウマスクのＹ方向に一
致づけられる両辺がその内側に湾曲すると、該両辺の近
傍における電子ビーム透過孔がそれに対応する蛍光面と
の関係で位置ずれを起こすことになる。

【０００７】それ故、本発明はこのような事情に基づい
てなされたものであり、その目的とするところのもの
は、蛍光面に対するシャドウマスクのビーム通過孔の位
置ずれを極力少なくすることのできるカラー陰極線管を
提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明によるカラー陰極線管は、基本的に
は、蛍光面に対向して配置されたシャドウマスクを備
え、このシャドウマスクは、そのビーム通過孔がＸ方向
に延在するブリッジに画されてＹ方向に並設された複数
の透孔からなる透孔列をＸ方向に沿って複数個並設させ
て形成されているとともに、該Ｘ方向に一致づけられる
両辺がＹ方向に張力が加えられて配置されているカラー
陰極線管において、Ｘ方向に沿って並設されているそれ
ぞれの透孔列を複数のグループに分け、これら各グルー
プの間に位置づけられる透孔列におけるブリッジの数が
他の透孔列のブリッジの数より少なくなっているかある
いは全くないものとなっていることを特徴とするもので
ある。

【０００９】

【作用】このようにしたカラー陰極線管によれば、その
シャドウマスクのＸ方向に一致づけられる両辺において
常時Ｙ方向に張力が加えられて配置されていることか
ら、Ｙ方向に一致づけられる他の両辺はその内側に湾曲
するように変形し易い傾向になる。

【００１０】しかし、本願発明によるシャドウマスク
は、Ｘ方向に沿って並設されているそれぞれの透孔列を
複数のグループに分け、これら各グループの間に位置づ
けられる透孔列におけるブリッジの数が他の透孔列のブ
リッジの数より少なくなっているかあるいは全くないも
のとなっている。

【００１１】このことは、シャドウマスクのＸ方向に一
致づけられる両辺に加えられる張力による他の両辺のそ
の内側に湾曲させる力は、ブリッジの数が少ない（ある
いは全くない）透孔列にその透孔列の数に応じた分担に
より吸収されることを意味する。

【００１２】したがって、Ｙ方向に一致づけられる両辺
における変形の度合いが極めて少なくなり、蛍光面に対
するビーム通過孔の位置ずれを少なくすることができる
ようになる。

【００１３】

【実施例】図２は、本発明によるカラー陰極線管の一実
施例を示す全体断面図である。

【００１４】同図において、電子をビームとして放射す
る電子銃構体２がある。この電子銃構体２はＲ（赤
色）、Ｇ（緑色）、Ｂ（青色）用の各電子銃の一体構造
からなり、それぞれの電子銃から電子ビームを照射する
ようになっている。

【００１５】また、電子銃構体２に対向して蛍光面１が
配置され、この蛍光面１はマトリックス状に配置された
各画素の領域を備えたものとなっている。

【００１６】この蛍光面１の一画素に相当する領域に
は、電子ビームの照射によってそれぞれＲ（赤色）、Ｇ
（緑色）、Ｂ（青色）を発光する各蛍光体を隣接させて
備えてなり、このように構成される一画素は、前記電子
銃構体２の各電子銃からの電子ビームが後述するシャド
ウマスク構体１０によって色選択を受け対応する蛍光体
に照射することによって、所定の色を呈するようになっ
ている。

【００１７】前記電子銃構体２および蛍光面１はそれぞ
れガラスから構成される外囲器３によって内包され、前
記蛍光体１は前記外囲器３のうちフェースプレート部３
Ａと称される部分の内壁面に被着されて配置されたもの
となっている。ここで、フェースプレート部３Ａは、陰
極線管の表示部となるものであり、観察者は前記フェー
スプレート部３Ａを通して前記蛍光面１の発色を認識す
ることができるようになっている。

【００１８】なお、前記外囲器３は、前記電子銃構体２
を内包する部分をネック部３Ｂ、このネック部３Ｂと前
記フェースプレート部３Ａとの間の部分をファンネル部
３Ｃと称している。

【００１９】外囲器３のファンネル部３Ｃの外周には偏
向コイル４が配置され、この偏向コイル４によって、前
記電子銃構体２からの電子ビームを前記蛍光面１上の各
画素に順次照射していくための走査（スキャン）を行う
ようになっている。

【００２０】この場合において、前記電子銃構体２を構
成する各電子銃からのそれぞれの電子ビームの対応する
蛍光体へ色選択を行うためのシャドウマスク構体１０が
スプリング懸架装置９を介して前記蛍光面１と対向して
配置されている。

【００２１】すなわち、このシャドウマスク構体１０
は、蛍光面１上の各隣接するＲ、Ｇ、Ｂ画素に対応して
電子ビーム通過孔が設けられた鉄板からなる薄板材を備
え、該電子ビーム通過孔を介して各電子銃からのそれぞ
れ電子ビームに対応する色の蛍光体を発光させる成分だ
けを通過させるようになっている。

【００２２】図３は、前記シャドウマスク構体１０の一
実施例を示した斜視図である。

【００２３】同図は、いわゆるスロット型シャドウマス
クと称されるものである。

【００２４】薄板から構成されるシャドウマスク１２が
あり、このシャドウマスク１２面には規則正しく配列さ
れた電子ビーム通過孔が形成されている。

【００２５】そして、この電子ビーム通過孔は次のよう
にして配列されて形成されている。

【００２６】すなわち、図中、Ｙ方向に延在する長孔に
その長手方向に等間隔でＸ方向に延在するブリッジ１５
が一体的に形成されてなり、これにより、Ｙ方向に沿っ
て該ブリッジ１５に画された複数の電子ビーム透過孔１
４ａ、１４ｂ、１４ｃ、…により並設された透孔列１４
が形成されている。そして、このように形成された透孔
列１４は、Ｘ方向に沿って複数個並設されている。この
場合における透孔列１４と隣接する透孔列１４を画する
薄板はグリル１６と称されている。

【００２７】なお、互いに隣接するそれぞれの透孔列１
４における各透孔どうしは互いに半ピッチ分ずれて配置
されたものとなっている。

【００２８】このように構成されたシャドウマスク１２
は、特に本実施例において、図１に示すように、Ｘ方向
に沿って並設されているそれぞれの透孔列１４を複数の
グループＧ₁、Ｇ₂、Ｇ₃、…に分け、各グループの間に
位置づけられる透孔列１４Ａ、１４Ｂ、…におけるブリ
ッジ１５が全くないものとなっている。

【００２９】そして、このような配列で電子ビーム透過
孔が形成されたシャドウマスク１２は、そのＸ方向に一
致づけられる両辺にマスク溶接バー１６が備えられ、こ
れら各マスク溶接バー１６は、シャドウマスク１２のＹ
方向に一致づけられる両辺に備えられる各支持アーム１
７によって、それぞれ離間される方向に附勢力が加えら
れている。これにより、シャドウマスク１２それ自体
は、Ｘ方向に一致づけられる両辺がＹ方向に張力が加え
られることになる。

【００３０】なお、それぞれの前記マスク溶接バー１６
はＸ方向のみに若干湾曲されており、これにともなっ
て、シャドウマスク１２それ自体もＸ方向にのみ若干湾
曲されている。

【００３１】また、シャドウマスク１２の表面にはＸ方
向に延在する防振ワイヤ１９が、その両端を支持アーム
１７に支持されて張架されている。

【００３２】このようにしたカラー陰極線管によれば、
そのシャドウマスク１２のＸ方向に一致づけられる両辺
において常時Ｙ方向に張力が加えられて配置されている
ことから、Ｙ方向に一致づけられる他の両辺はその内側
に湾曲するように変形し易い傾向になる（たとえば図３
の点線に示したごとく）。

【００３３】しかし、本願発明によるシャドウマスク１
２は、Ｘ方向に沿って並設されているそれぞれの透孔列
１４を複数のグループＧ₁、Ｇ₂、Ｇ₃、…に分け、これ
ら各グループの間に位置づけられる透孔列１４Ａ、１４
Ｂ、…におけるブリッジ１５が全くないものとなってい
る。

【００３４】このことは、シャドウマスク１２のＸ方向
に一致づけられる両辺に加えられる張力による他の両辺
のその内側に湾曲させる力は、ブリッジが全くない透孔
列１４の部分に吸収されることを意味する。

【００３５】したがって、Ｙ方向に一致づけられる両辺
における変形の度合いが極めて少なくなり、蛍光面１に
対するビーム通過孔の位置ずれを少なくすることができ
るようになる。

【００３６】上述した実施例によれば、所定の透孔列１
４において全くブリッジ１５を存在させないものを配置
させたものである。しかし、これに限定されることはな
く、たとえば図４に示すように、該透孔列１４に数個の
ブリッジ１５Ａが備えられているようにしてもよい。要
は、他の透孔列１４におけるブリッジ１５より少なけれ
ば、その数に応じて効果を奏するようになることから、
このようにしてもよいことはいうまでもない。

【００３７】また、上述した実施例によれば、全くブリ
ッジ１５を存在させない透孔列、あるいは数個のブリッ
ジ１５Ａを備えた透孔列は、そのいずれにあっても一個
とし、その両脇において通常通りのブリッジを備える透
孔列が所定の数だけ並設されたものである。しかし、こ
れに限定されることはなく、全くブリッジ１５を存在さ
せない透孔列、あるいは数個のブリッジ１５Ａを備えた
透孔列は、二個並設されて形成されたものであってもよ
いことはいうまでもない。このようにした場合、隣接さ
れるグリル通しの絡みが生じることはないからである。

【００３８】また、上述した実施例によれば、シャドウ
マスク１２はそのＸ方向に若干湾曲したシリンドリカル
型のものについて説明したものである。しかし、これに
限定されることはない。ＸＹ方向のいづれにおいても平
坦ないわゆるフラット型のシャドウマスクにおいても適
用できることはいうまでもない。

【００３９】

【発明の効果】本発明によるカラー陰極線管によれば、
蛍光面に対するシャドウマスクのビーム通過孔の位置づ
れを極めて少なくすることができるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるカラー陰極線管に備えられるシャ
ドウマスクの一実施例を示す平面図である。

【図２】本発明によるカラー陰極線管の一実施例を示す
全体断面図である。

【図３】本発明によるカラー陰極線管の備えられるシャ
ドウマスク構体の斜視構成図である。

【図４】本発明によるカラー陰極線管の備えられるシャ
ドウマスクの他の実施例を示す平面図である。

【符号の説明】

１２ シャドウマスク １４ 透孔列 １５ ブリッジ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 蛍光面に対向して配置されたシャドウマ
   スクを備え、このシャドウマスクは、そのビーム通過孔
   がＸ方向に延在するブリッジに画されてＹ方向に並設さ
   れた複数の透孔からなる透孔列をＸ方向に沿って複数個
   並設させて形成されているとともに、該Ｘ方向に一致づ
   けられる両辺がＹ方向に張力が加えられて配置されてい
   るカラー陰極線管において、 Ｘ方向に沿って並設されているそれぞれの透孔列を複数
   のグループに分け、各グループの間に位置づけられる透
   孔列におけるブリッジの数が他の透孔列のブリッジの数
   より少なくなっているかあるいは全くないものとなって
   いることを特徴とするカラー陰極線管。