JPH06333354A - 負圧利用浮動ヘッドスライダ及び回転円板記憶装置 - Google Patents

負圧利用浮動ヘッドスライダ及び回転円板記憶装置

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JPH06333354A
JPH06333354A JP11696493A JP11696493A JPH06333354A JP H06333354 A JPH06333354 A JP H06333354A JP 11696493 A JP11696493 A JP 11696493A JP 11696493 A JP11696493 A JP 11696493A JP H06333354 A JPH06333354 A JP H06333354A
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裕充 時末
Hidekazu Kodaira
英一 小平
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宏司 上利
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 記録媒体の半径位置のスライダの浮上量をほ
ぼ一定にし、流入側軸受面への塵埃付着を回避し、また
シーク時の外乱に対する浮上量変動を押える。 【構成】 一対のサイドレール15と、トランスデュー
サ11を搭載したセンターレール20の流入側に設けた
クロスレール18と、それらで囲まれた逆ステップ状の
凹部19とを有し、サイドレール15は、中央より流入
側にくびれ部21を設け、流出側に向けて浮上面幅が広
がり、かつ流出端まで達しない形状を有し、クロスレー
ル18は、流入端まで達してほぼ同一平面で形成され、
テーパ部が廃止される。流入端部の両側に第2の凹部を
設けてもよい。 【効果】 サイドレールの正の圧力を低減し、スライダ
小形化により負圧力が減少しても浮上の速度特性をほぼ
一定に保つことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスク装置及び
光磁気ディスク装置等の走行する記憶媒体面上を微小な
浮上隙間で浮上する浮動ヘッドスライダに係り、特に浮
上面形状を改良し、リニア及びロータリー等のアクセス
機構に関係なく任意の半径位置で浮上量を概ね一定に
し、スライダの浮上特性を向上することのできる負圧利
用浮動ヘッドスライダ、磁気スライダ及び回転円板記憶
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の正圧を利用した磁気ディスク装置
用浮動ヘッドスライダは、例えば特開平2-101688号公報
に記載されているテーパフラット形スライダのように、
スライダの浮上面は傾斜面と平面部とを有する2本のサ
イドレールとセンターレールとからなる。センターレー
ルは流入端幅が狭く流出端幅が広くなり、流出端の端面
にトランスデューサを搭載している。サイドレールは流
入端における幅を越えずかつ流出端まで達してなく、各
レールは幅がほぼ一定のブリード部を介し隔離された構
造である。
【0003】類似の例として特開平4-17176号公報によ
る開示がある。3つの浮上面を前後に分離し流入側の両
側端にテーパフラットレールを配置し、中央流出端部の
みに平板レールを配置する構造である。また、従来の負
圧利用浮動ヘッドスライダとして特開昭60-101781号公
報による開示がある。スライダのクロスレールの流出側
に負圧発生用の負圧ポケットを設け、スライダの両サイ
ドに設けたサイドレールの長手方向中央部のレール幅を
流入側、流出側より狭くした構造である。
【0004】類似の例として米国特許(USP)5062017号の
開示がある。負圧凹部の両サイドのサイドレールのくび
れ部を流入端から約1/3の位置にし、くびれ部の幅を
レール幅の約1/2にし、くびれ部及びクロスレールの
深さを負圧凹部より浅い第2の段差で構成する構造であ
る。
【0005】その他の類似の例として米国特許(USP)480
2042号による開示がある。スライダの流出端に全幅に渡
ってヘッド部さらにクロスバーを設けた構造である。負
圧凹部は、流出端まで達してなくヘッド部又はクロスバ
ーの前に横溝を設けている。
【0006】また、その他の類似例として特開昭60-211
671号公報による開示がある。スライダの両サイドに設
けた正圧サイドレールと負圧凹部とをグルーブにより分
離し、負圧凹部はバッファパッドにより形成する構造で
ある。
【0007】これらスライダを搭載するアクセス機構と
して、従来はディスクの半径方向に直線的に移動して位
置決めするリニア方式と、回転軸を中心に揺動して所定
の半径位置に位置決めするロータリー方式とがある。
【0008】従来の磁気ディスク装置は、小形化、大容
量化の傾向にあり、その実現手段の一つとして面記録密
度を高める方法がある。特に線密度を高めるためスライ
ダの浮上量を狭小化する必要があり、ディスク上のトラ
ックから他のトラックへの移動動作であるシーク時の加
振や、円板うねりによる加振等の各種外乱に対し、浮上
量変動を小さく押える必要がある。さらに、再生ヘッド
に高密度記録に適した磁気抵抗素子(以下、MRヘッド
と称す)を用いた場合や、内周から外周にわたって線記
録密度をほぼ一定にする記録方式(以下、一定密度記録
方式と称す)においてはディスク上の任意の位置の浮上
量をほぼ一定にする技術が重要になる。
【0009】そのためには、スライダの基本浮上特性の
うち、ディスクの内周と外周の速度差による浮上量の変
化(以下、浮上の速度特性と称す)がない又は小さい特
性やディスク回転時のディスク接線方向に対するスライ
ダ長手方向(流出入方向)とのなす角(以下、ヨー角と
称す)が付いた時のスライダ浮上量の低下(以下、ヨー
角特性と称す)がないか又は小さい特性が要求される。
ところが、正圧のみを使う従来技術、例えば、特開平2-
101688号公報に記載されているテーパフラット形スライ
ダは一般的に正圧力が速度とともに増加するため、内周
と外周との速度が2倍になると浮上量は約1.5から
1.6倍となり、リニア方式アクセス機構では、ディス
クの内外周で浮上量を一定にすることは不可能である。
またヨー角特性も悪く、ヨー角が付いたときのスライダ
浮上量の低下も大きい。
【0010】従来ロータリー方式では、外周側の浮上の
速度特性による浮上量の増加をヨー角特性による浮上量
の低下で相殺して浮上量を一定にする手段が取られてい
た。しかしシーク動作中にスライダに流入する気体はデ
ィスク速度に対しシーク速度分だけヨー角が加わる(以
下、シーク時ヨー角と称す)こととなり大きな浮上量低
下を招く。今後の低浮上量の装置ではディスクとの接触
頻度が急増し、最悪の場合は接触による損傷が発生す
る。特開平4-17176号公報記載のスライダも同様であ
る。
【0011】一方、浮上の速度特性を改良するため負圧
を利用する手段がある。従来のサイドレール後端にヘッ
ドを搭載する負圧利用浮動ヘッドスライダとして例えば
特開昭60-101781号公報による開示がある。サイドレー
ルが一定幅のテーパフラット形で問題のあるヨー角特性
の改善を、正圧レールの中央部幅を狭くし前後の幅を十
分広く取る形状で実現している。しかしこのためサイド
レールの実質的レール中心間距離が縮小し、スライダ長
手方向の回転軸回りの空気膜剛性(以下、ロール剛性と
称す)の大幅な減少を招いた。具体的には、(a)実質
的レール中心間距離の約2乗に比例する減少、(b)く
びれ部位置より流出側が平板軸受化することによって空
気膜反力自体が減少する、の2点である。ロール剛性の
低下は、シーク時のシーク加速度によってスライダ重心
と回転中心との相違に起因したロール方向(幅方向)の
浮上量低下(以下、加速度沈み込みと称す)を増大し、
最悪の場合、ディスクとの接触による損傷が発生する。
本方式の負圧利用スライダではヨー角特性とロール剛性
とがトレードオフの関係にあり両立が困難であった。ま
た、ロール剛性の低下は、スライダの加工、組み立てで
発生するスライダ幅方向の誤差に対して大きな浮上量の
変化又は低下をもたらし、生産の観点から問題である。
【0012】また、コンタクトスタートストップ時にク
ロスレールがディスク面の粗さや突起を削り、発塵の原
因になること、及び浮上中クロスレール部に進入した塵
埃の排出部がなく、クロスレール流入側端部への付着成
長やクロスレール部への進入による塵埃を介した接触に
よるディスク面の損傷があった。
【0013】米国特許(USP)5062017号もほ
ぼ同様である。ただし、サイドレールのくびれ部及びク
ロスレール部と負圧部の深さとを異なって構成してい
る。これには2種類のマスクを使って2回加工する必要
があり、マスクの位置合わせや深さ加工誤差による浮上
特性のばらつき、また製作時間による加工コストの増加
等の点で問題となる点について考慮がされていなかっ
た。クロスレールの深さが1〜2μmと浅く塵埃の問題
は同様である。
【0014】その他の負圧利用スライダとして、米国特
許(USP)4802042号、特開昭60−2116
71号による開示がある。これらは、ヨー角特性に対す
る配慮がされておらず浮上量変動の点で問題がある。ロ
ータリー方式の場合は浮上量を一定にすることもできな
い。
【0015】以上の従来技術スライダでは正圧発生面の
流入側に傾斜面を有するテーパフラット形を用いてい
る。テーパフラット形スライダでは、テーパ部に浮上隙
間の増加に起因する塵埃が付着し正圧発生の減少により
浮上量の低下が起こることが知られている。そしてこの
テーパ部に付着した塵埃はコンタクト スタート スト
ップ(以下、CSSと称す)しても容易には取れない。
負圧利用スライダにおいて正圧レールのテーパ部へ塵埃
が付着した場合、負圧力の発生はほとんど変化しないた
め浮上量の低下はさらに急激なものとなり、ディスクと
の接触による損傷が発生の可能性が高く信頼性が確保で
きない。また、スライダの小形化(例えば長さ2mm以
下)によって浮上面が大幅に減少した場合の負圧力の確
保が問題となる。従来のテーパフラット形スライダがレ
ール幅の3乗に比例し、最大値に上限がないのに対し、
負圧力は面積にほぼ比例し、また最大値も大気圧雰囲気
では-1kg/cm2の制限がある。スライダの小形化によって
正圧力に対し負圧力を確保できなくなる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来の負圧利用浮動ヘ
ッドスライダにあっては、記憶媒体の小形化、大容量化
に伴い線密度を高めるため浮上量を狭小化する必要があ
り、サイドレールが一定幅のテーパフラット形でヨー角
特性の改善を、正圧レールの中央部幅を狭くし前後の幅
を十分広く取る形状として実現しているが、サイドレー
ルの実質的なレール中心間距離が縮小してロール剛性の
大幅な減少を招き、かつ加速度沈み込みを増大し、ディ
スクとの接触による損傷が発生し問題となる点について
考慮がされていなかった。またロール剛性の低下は、ス
ライダの加工、組み立てで発生するスライダ幅方向の誤
差に対して大きな浮上量の変化又は低下をもたらし、生
産の観点から問題である。
【0017】そしてコンタクト スタート ストップ時
にクロスレールがディスク面の粗さや突起を削り発塵の
原因になること、浮上中にクロスレールに進入した塵埃
の排出部がなく、クロスレール流入端部への付着成長や
クロスレールへの進入による塵埃を介した接触によるデ
ィスク面の損傷の問題点が考慮されていなかった。
【0018】さらにサイドレールのくびれ部及びクロス
レールと負圧部の深さとを異なって形成した構成では、
2種類のマスクを使って2回加工する必要があり、マス
クの位置合わせや深さ加工誤差による浮上特性のばらつ
き、製作時間による加工コストの増加等の点で問題とな
る点について考慮がされていなかった。
【0019】その他の負圧利用スライダでは、ヨー角特
性に対する配慮がされておらず浮上量変動の点で問題が
あり、ロータリー方式の場合は浮上量を一定にすること
もできず問題である。
【0020】テーパフラット形スライダでは、テーパ部
への塵埃付着による正圧発生の減少により浮上量の低下
が起こり、ディスクとの接触による損傷が発生の可能性
が高く信頼性確保の観点から問題となる点が考慮されて
いなかった。また、スライダの小形化によって正圧力に
対し負圧力を確保できなくなる点が考慮されていなかっ
た。
【0021】本発明の目的は、小型化したスライダの浮
上の速度特性と、ヨー角特性とが優れ、アクセス機構の
方式に関係なくディスク上の任意の位置の浮上量をほぼ
一定にし、かつ浮上量変動を小さく押え安定浮上する低
浮上量に適した負圧利用浮動ヘッドスライダ、磁気スラ
イダ及び回転円板記憶装置を提供することにある。
【0022】また、本発明の他の目的は、スライダの流
入側の気体軸受面への塵埃付着を回避し低浮上量に適
し、また浮上特性が良好で耐摺動性に優れた負圧利用浮
動ヘッドスライダ、磁気スライダ及び回転円板記憶装置
を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明に係る負圧利用浮動ヘッドスライダは、回転
する記憶媒体に対向して配置され、流出入方向と交叉す
る幅方向のそれぞれの側に設けた一対の正圧発生面と、
幅方向の中央に流出端まで延設されかつ流出端面にトラ
ンスデューサを搭載した中央正圧発生面と、それぞれの
正圧発生面と中央正圧発生面とに流入側で同一浮上面を
形成して接続するクロスレールとよりなる気体軸受面を
有し、かつクロスレールとそれぞれの正圧発生面と中央
正圧発生面のそれぞれに囲まれた逆ステップ状の凹部を
有する負圧利用浮動スライダにおいて、それぞれの正圧
発生面の浮上面は、流出入方向のほぼ中央に設けた一つ
のくびれ部により流入側より流出側に向けて浮上面幅を
狭めたのち浮上面幅が広がり、かつ流出端より離間する
位置に至る形状を有し、中央正圧発生面は、ほぼ中央よ
り流出側に向けて浮上面幅が広がる形状を有し、クロス
レールは、流入端より凹部に至る全幅を正圧発生面に形
成されている構成とする。
【0024】そして回転する記憶媒体に対向して配置さ
れ、流出入方向と交叉する幅方向のそれぞれの側に設け
た一対の正圧発生面と、幅方向の中央に流出端まで延設
されかつ流出端面にトランスデューサを搭載した中央正
圧発生面と、それぞれの正圧発生面と中央正圧発生面と
に流入側で同一浮上面を形成して接続するクロスレール
とよりなる気体軸受面を有し、かつクロスレールとそれ
ぞれの正圧発生面と中央正圧発生面のそれぞれに囲まれ
た逆ステップ状の凹部を有する負圧利用浮動スライダに
おいて、それぞれの正圧発生面の浮上面は、流出入方向
のほぼ中央に設けた一つのくびれ部により流入側より流
出側に向けて浮上面幅を狭めたのち浮上面幅が広がり、
かつ流出端より離間する位置に至る形状を有し、中央正
圧発生面は、ほぼ中央より流出側に向けて浮上面幅が広
がる形状を有し、クロスレールに、流入端部のそれぞれ
の側に凹部とほぼ同じ深さの第2の凹部を設けるととも
に、それぞれの第2の凹部より凹部に至る範囲を正圧発
生面で形成した構成でもよい。
【0025】またクロスレールは、流入端部に傾斜面を
設けてある構成でもよい。
【0026】さらに気体軸受面は、記憶媒体側でかつ流
出方向に凸曲率を有する曲面で形成されている構成でも
よい。
【0027】そして磁気ヘッドスライダにおいては、前
記いずれか一つの負圧利用浮動ヘッドスライダに、磁気
抵抗素子を搭載した構成とする。
【0028】また回転円板記憶装置においては、前記い
ずれか一つの負圧利用浮動ヘッドスライダを装着した構
成とする。
【0029】さらに回転円板記憶装置においては、前記
いずれか一つの負圧利用浮動ヘッドスライダを装着し、
記憶媒体は半径方向に記録エリアを分割し、それぞれの
記録エリアの記録密度がほぼ等しく記録再生されている
構成とする。
【0030】
【作用】本発明によれば、スライダの両側の一対の正圧
発生面の流入側にテーパ部がない構造は、浮上中に浮上
面に塵埃付着が発生してもCSSもしくはディスク面へ
の近接により取り除くことが可能となり、テーパ部への
塵埃付着による正圧発生の減少による浮上量の低下がな
くなる。また、浮上面の両側に窪み(凹部)を設け、テ
ーパ部を減らす構造でも正の圧力発生へのテーパ部の寄
与率を低くしているためテーパ部への塵埃付着による正
圧発生の減少により浮上量の低下が小さく押えられる。
【0031】また、スライダの両側の一対の正圧発生面
の流入側にテーパ部がないもしくは両側窪み(第2の凹
部)を設け、テーパ部を減らす構造は、従来のテーパフ
ラット形に比べてテーパ部での正の圧力上昇がなくなる
もしくは押えられて平板軸受に近い特性が得られ、速度
の増加に対する発生浮上力が小さくなる。一方、速度の
増加によりスライダの浮上姿勢角が大きくなると、流出
端まで達していない浮上面の隙間が増大して空気流が流
出側へ流れ、その分、くびれ部の後方(流出側)で発生
する浮上力が小さくなる。その結果、スライダが小形化
し負圧面積が小さくなり、クロスレールの流出側の逆ス
テップ状の凹部に働く負圧力が小さくても中央正圧発生
面の流出端は負圧力の発生が小さい低速度で早く浮上
し、速度の増加による負圧力の増加と正圧の浮上力とが
釣合うように働き浮上量変化を押えるように作用する。
【0032】また、スライダの両側の一対の正圧発生面
に長手方向(流出入方向)のほぼ中央に流入側より流出
側に向けてレール幅が一旦狭まるくびれ部を設け、流出
側に向けてレール幅が広がる形状により、ヨー角がない
場合の正圧発生面の有効面積とヨー角がある場合の正圧
発生面の有効面積との変化が小さく押えられる。通常、
ヨー角が付いた場合、流入側の浮上面の浮上量が低下す
るがスライダの中央側よりのレール幅の広がりはその浮
上面の浮上力増加に働き、スライダの幅方向の傾きを抑
制する作用がある。特に両側の流出端まで達しないで、
正圧発生面の後端をサイドから流出端中央に向けた傾斜
線分を持つように形成することにより、ヨー角がない場
合よりヨー角がある場合の方がくびれ部の流出側のレー
ル長さを長くすることができ、ヨー角による浮上量低下
を押えるように作用する。また、圧力がスライダ長手方
向前後に分離できるため、ピッチ方向の剛性が高められ
る。
【0033】さらに、両側の一対の正圧発生面をスライ
ダの流出端まで達しない構造で、かつ中央正圧発生面幅
をトランスデューサの搭載可能幅にする構造により、ス
ライダ浮上中の最低浮上量の位置を中央正圧発生面の流
出端にでき、ロール方向(幅方向)の浮上量変動に対抗
する力を一対の正圧発生面によるロール剛性が担当する
ため、スライダ幅より狭い中央正圧発生面の流出端幅に
対応して浮上量変動がし難く作用する。特にロール方向
の浮上量変動時も中央正圧発生面の流出端が最低浮上量
となるように一対の正圧発生面の後端を決め、そこから
中央正圧発生面の流出端に向けた傾斜線分を有する構造
とすることにより、最低浮上量の可能性を中央正圧発生
面の流出端と決定でき、かつロール剛性を高めることを
可能にする。
【0034】
【実施例】本発明の第1の実施例を図1を参照しながら
説明する。図1に示すように、回転する記憶媒体に対向
して配置するスライダ12の気体軸受面13は、流出方
向と交叉する幅方向の両側に設けた一対の正圧発生面
(以下、サイドレールと称す)15と、幅方向の中央に
流出端まで延設されかつ流出端面にトランスデューサ1
1を搭載した中央正圧発生面(以下、センターレールと
称す)20とよりなり、サイドレール15は流入側から
流出側に向けてレール幅が一旦狭まるくびれ部21を有
する。くびれ部21は、スライダ12の長手方向(流出
入方向)中央より流入側に設けている。本実施例ではレ
ールの内側を変化させ幅を変化させている。その角度は
磁気ディスク装置に搭載した場合のヨー角の最大値と最
内周におけるシーク時ヨー角との和と同程度である。く
びれ部21の流出側の幅方向に広がりを持った後部軸受
面24はサイドレール後端22で終っており、スライダ
の流出端より離間する位置に至る形状を有している。サ
イドレール15とセンターレール20の流入側はクロス
レール18により流入端までほぼ同一平面内でつながれ
ている。クロスレール18、サイドレール15及びセン
ターレール20の内側面で囲まれた凹部が逆ステップ状
負圧部(以下、負圧ポケット部と称す)19を形成す
る。クロスレール18は流入端まで達している。センタ
ーレール20の幅はスライダの中央より流出側に向けて
広がり、三角形状の広がり部26を形成し流出端に達す
る構造としている。負圧ポケット19はイオンミリング
等で加工されその深さは約10μm以下と浅く形成され
て構成されている。
【0035】本実施例の気体軸受の動作を図1及び図2
を参照しながら説明する。図2は本実施例の圧力分布の
斜視図である。記録媒体の回転に伴う空気流は、スライ
ダの気体軸受面13の連続的なくさび形すきま変化によ
り流入側から除々に圧縮されてほぼ直線状に圧力上昇A
し、両側の空気流はサイドレール15を進み、スライダ
の幅方向中央部を除く空気流はクロスレール18を経て
逆ステップ状に広がった負圧ポケット部19で膨張し雰
囲気圧力より低い圧力即ち負圧Eになり、流出端へ進
む。センタレール20は、レール幅の狭い流入側では両
側の負圧ポケット部19の負圧の影響で負圧となり、広
がり部26を持つ流出側で正圧を発生する。サイドレー
ル15を進む空気流は、くびれ部21によるサイドレー
ル幅の減少によるサイドフローと負圧ポケットへの流れ
込みにより、急激な圧力降下Bを起こし、その後、後部
軸受面24で再び圧力は上昇し、前後に圧力のピークC
を作る。さらにサイドレール後端22で一旦弱い負圧に
なり雰囲気圧力に戻る。
【0036】本実施例によれば、スライダ12の両側の
サイドレール15の流入側にテーパ部がない(つまり、
変曲点を持たない気体軸受面13)構造は、従来のテー
パフラット形スライダで問題となったテーパ部への塵埃
付着による正圧発生の減少により浮上量の低下の問題を
なくすことができる。本構造では浮上中に気体軸受面1
3に塵埃付着が発生してもCSSもしくはディスク(記
録媒体)面への近接により取り除くことが可能となる。
その結果、塵埃に対する信頼性を確保することができ
る。
【0037】また、本実施例の構造では、サイドレール
15は平板軸受に近い直線的な正の圧力上昇特性を得
る。その結果、従来のテーパフラット形に比べて記憶媒
体の速度の増加に対する発生浮上力の増加が小さくな
る。また速度の増加によりスライダ12の浮上姿勢角が
大きくなる。すると流出端まで達していない浮上面の隙
間は増大し、空気流が流出側にながれてその分、くびれ
部21の流出側の後部軸受面24で発生する浮上力は小
さくなる。その結果、スライダ12が2mm以下に小形
化し負圧ポケット部19の面積が小さくなり、負圧ポケ
ット部19に働く負圧力が小さくてもセンターレール2
0の流出端の浮上量は負圧力の発生が小さい低速度で早
く浮上し、速度の増加による負圧力の増加と正圧の浮上
力とが釣合うように働き浮上量変動を押えることができ
る。
【0038】また、スライダ12のサイドレール15
は、ヨー角に対応した流入端からくびれ部21まで先狭
まりと、くびれ部21からサイドレール後端22までの
先広がりとの後部軸受面24の構造により、ヨー角の有
無によるくびれ部21を通る外側面との平行線で囲まれ
たサイドレール15の面積の変化を小さくし、かつ流入
端より全幅に渡るクロスレール18によりヨー角特性を
向上している。さらに本構造によりヨー角がついて気体
が流入する側のサイドレール15の後部軸受面22の正
圧の発生を大きくし、ヨー角が付いた場合のスライダの
幅方向の傾きを防止している。
【0039】本実施例のサイドレール15の軸受面24
がサイドレール後端22で終っておりスライダの流出端
まで達しない構造は、気体軸受のロール剛性の低下を押
さえつつ、シーク時のシーク加速度によるロール方向
(幅方向)の浮上量変動に影響を与える腕長さをセンタ
ーレール20の流出端幅に減らし、センターレールの浮
上量低下を小さく押える効果がある。
【0040】本実施例は気体軸受面の形状が単純であ
り、加工時の寸法誤差による浮上量のばらつきを押える
効果がある。
【0041】また、内外周間の任意の位置の浮上量を概
ね一定にすることができ、トランスデューサとして磁気
抵抗素子を用いることにより高記憶密度化した磁気ヘッ
ドスライダを構成することができる。
【0042】図3は本発明の第2の実施例を示す斜視図
である。サイドレール15とセンターレール20の流入
側部はクロスレール18により流入端までほぼ同一平面
内で接続されており、両側のサイドレール15の流入端
部に窪み(第2の凹部)25を設けた構成である。窪み
25の深さは負圧ポケット部19とほぼ同じである。
【0043】本実施例によれば、流入端まで達したクロ
スレール18の流入側の両サイドに設けた窪み25によ
り流入側に正の圧力の発生が偏るのを防ぎ、かつ小さく
押えることができる。その結果、スライダ小形化により
負圧面積が減少し負圧力が減少しても浮上の速度特性を
ほぼ一定に保つことができる。本実施例は、テーパ部を
持たないため塵埃付着に関し、前記と同様の効果があ
る。
【0044】図4は本発明の第3の実施例を示す斜視図
である。サイドレール15とセンターレール20の流入
端部はクロスレール18によりほぼ同一平面内で接続さ
れ流入側に向けてテーパ部14を設け、両側のサイドレ
ール15の流入端部に窪み25を設けた実施例である。
【0045】本実施例によれば、サイドレール15の流
入端部の窪み25により正圧レール部のテーパ部をなく
すまたは減らす構造によりサイドレール15の正圧発生
量を調節できる。その結果、スライダ小形化により負圧
面積が減少し負圧力が減少しても浮上の速度特性をほぼ
一定に保つことができる。また、正の圧力発生へのテー
パ部14の寄与率を低くでき、テーパ部14への塵埃付
着による正圧発生の減少による浮上量の低下の問題を小
さく押えることができる。結局、塵埃に対する信頼性を
確保することができる。
【0046】図5は本発明の第4の実施例を示す斜視図
である。サイドレール15の流入端部に設けた窪み(第
2の凹部)28が流れ方向に平行部と広がり部とから形
成され、また、それぞれの後部軸受面24は、サイドレ
ール後端22がセンターレール20側で流出端にほぼ平
行する平行線と内側が側面にほぼ平行する平行線とを有
し、それぞれの平行線のなす角度θが90°以上に形成
され、さらにセンターレール20の流出側は側面とほぼ
平行する平行部を有して構成された実施例である。
【0047】本実施例によれば、浮上中の窪み28への
塵埃の堆積が軽減され、本実施例でも前記と同様の効果
がある。また、角度θを90°以上とすることにより、
エッチング加工による成形形状を精度よくすることが可
能となり、さらに、センターレール20の流出側の平行
部は浮上量測定時のレール位置決めの自動化を可能と
し、浮上量測定位置精度が向上する効果がある。
【0048】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、例えは窪み25,28の形状、大きさは仕
様に応じて定めればよい。また、気体軸受面は平面でも
よく、また記憶媒体側でかつ流出入方向に微小凸曲率
(例えば数十nm)を持つ曲面で構成することによりC
SS時の粘着を回避し、浮上を早める効果がある。
【0049】図6は本発明の負圧利用浮動ヘッドスライ
ダを搭載したリニア形磁気ディスク装置(回転円板記憶
装置)を示す図である。キャリッジ44にガイドアーム
43が結合され、ガイドアーム44にトランスデューサ
支持装置42が連結され、トランスデューサ支持装置4
2の先端部にトランスデューサ11を搭載したスライダ
12が装着されている。スライダ12はボイスコイルモ
ータ45で駆動され回転する記録媒体41の半径方向に
進退する。本実施例により内外周間の任意の位置の浮上
量を概ね一定にすることができ、かつ浮上量変動が小さ
く安定して浮上するため、スライダの浮上量の微小化が
可能となり記録媒体の高密度記憶を実現できる。さらに
本発明の負圧利用浮動ヘッドスライダを用いることによ
り回転円板の半径方向に記録エリアを分割し、各エリア
の記録密度がほぼ等しくなり記録媒体の高密度記憶を実
現できる。
【0050】図7は本発明の負圧利用浮動ヘッドスライ
ダを搭載したロータリー(インライン)形の磁気ディス
ク装置を示す一部断面斜視図である。キャリッジ44に
結合されたトランスデューサ支持装置42の先端部にト
ランスデューサ11を搭載したスライダ12が装着され
ている。本実施例によっても前記と同様の効果が得られ
る。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、気体軸受面のサイドレ
ールの正の圧力を低減して調節でき、スライダ小形化に
より負圧面積が減少し負圧力が減少しても浮上の速度特
性をほぼ一定に保つことができる。また、ヨー角特性に
優れ、アクセス機構の方式に関係なくディスク上の任意
の位置の浮上量をほぼ一定にすることができる。
【0052】さらに、サイドレールのテーパ部を廃止し
たため流入側気体軸受面への塵埃付着を回避もしくは低
減することができ、テーパ部への塵埃付着による正圧発
生の減少により浮上量の低下を防止することができる。
浮上中に気体軸受面に塵埃付着が発生してもCSSもし
くはディスク面への近接により取り除くことが可能とな
る。その結果、塵埃に対する信頼性を確保することがで
きる。
【0053】さらに、シーク時の加速度による浮上量変
動を小さく押え安定浮上する負圧利用浮動ヘッドスライ
ダを得ることができる。
【0054】また、浮上面形状の単純化により加工性を
向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す斜視図である。
【図2】図1の圧力分布を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施例を示す斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施例を示す斜視図である。
【図5】本発明の第4の実施例を示す平面図である。
【図6】本発明のスライダを搭載した磁気ディスク装置
を示す図である。
【図7】本発明のスライダを搭載した他の磁気ディスク
装置を示す図である。
【符号の説明】
11 トランスデューサ 12 スライダ 13 気体軸受面 14 傾斜面 15 サイドレール(正圧発生面) 18 クロスレール 19 負圧ポケット部(凹部) 20 センターレール(中央正圧発生面) 21 くびれ部 22 サイドレール後端 24 後部軸受面 25 窪み(第2の凹部) 26 センターレール広がり部 41 記録媒体 42 トランスデューサ支持装置 43 ガイドアーム 44 キャリッジ 45 ボイスコイルモータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小平 英一 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 上利 宏司 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 松本 真明 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転する記憶媒体に対向して配置され、
    流出入方向と交叉する幅方向のそれぞれの側に設けた一
    対の正圧発生面と、前記幅方向の中央に流出端まで延設
    されかつ流出端面にトランスデューサを搭載した中央正
    圧発生面と、それぞれの正圧発生面と前記中央正圧発生
    面とに流入側で同一浮上面を形成して接続するクロスレ
    ールとよりなる気体軸受面を有し、かつ該クロスレール
    とそれぞれの正圧発生面と前記中央正圧発生面のそれぞ
    れに囲まれた逆ステップ状の凹部を有する負圧利用浮動
    スライダにおいて、それぞれの正圧発生面の浮上面は、
    前記流出入方向のほぼ中央に設けた一つのくびれ部によ
    り流入側より流出側に向けて前記浮上面幅を狭めたのち
    該浮上面幅が広がり、かつ前記流出端より離間する位置
    に至る形状を有し、前記中央正圧発生面は、前記ほぼ中
    央より流出側に向けて前記浮上面幅が広がる形状を有
    し、前記クロスレールは、流入端より前記凹部に至る全
    幅を正圧発生面に形成されていることを特徴とする負圧
    利用浮動ヘッドスライダ。
  2. 【請求項2】 回転する記憶媒体に対向して配置され、
    流出入方向と交叉する幅方向のそれぞれの側に設けた一
    対の正圧発生面と、前記幅方向の中央に流出端まで延設
    されかつ流出端面にトランスデューサを搭載した中央正
    圧発生面と、それぞれの正圧発生面と前記中央正圧発生
    面とに流入側で同一浮上面を形成して接続するクロスレ
    ールとよりなる気体軸受面を有し、かつ該クロスレール
    とそれぞれの正圧発生面と前記中央正圧発生面のそれぞ
    れに囲まれた逆ステップ状の凹部を有する負圧利用浮動
    スライダにおいて、それぞれの正圧発生面の浮上面は、
    前記流出入方向のほぼ中央に設けた一つのくびれ部によ
    り流入側より流出側に向けて前記浮上面幅を狭めたのち
    該浮上面幅が広がり、かつ流出端より離間する位置に至
    る形状を有し、前記中央正圧発生面は、前記ほぼ中央よ
    り流出側に向けて前記浮上面幅が広がる形状を有し、前
    記クロスレールに、流入端部のそれぞれの側に前記凹部
    とほぼ同じ深さの第2の凹部を設けるとともに、それぞ
    れの第2の凹部より前記凹部に至る範囲を正圧発生面で
    形成したことを特徴とする負圧利用浮動ヘッドスライ
    ダ。
  3. 【請求項3】 クロスレールは、流入端部に傾斜面を設
    けてあることを特徴とする請求項2記載の負圧利用浮動
    ヘッドスライダ。
  4. 【請求項4】 気体軸受面は、記憶媒体側でかつ流出方
    向に凸曲率を有する曲面で形成されていることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1項記載の負圧利用浮動ヘ
    ッドスライダ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の負圧
    利用浮動ヘッドスライダに、磁気抵抗素子を搭載したこ
    とを特徴とする磁気ヘッドスライダ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載の負圧
    利用浮動ヘッドスライダを装着したことを特徴とする回
    転円板記憶装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか1項記載の負圧
    利用浮動ヘッドスライダを装着し、記憶媒体は半径方向
    に記録エリアを分割し、それぞれの記録エリアの記録密
    度がほぼ等しく記録再生されていることを特徴とする回
    転円板記憶装置。
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