JPH0633294A - 表面明度の高いクロムめっき鋼板 - Google Patents

表面明度の高いクロムめっき鋼板

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JPH0633294A
JPH0633294A JP18643692A JP18643692A JPH0633294A JP H0633294 A JPH0633294 A JP H0633294A JP 18643692 A JP18643692 A JP 18643692A JP 18643692 A JP18643692 A JP 18643692A JP H0633294 A JPH0633294 A JP H0633294A
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石 利 明 白
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藤 寿 勝 加
Satoru Sato
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Abstract

(57)【要約】 【構成】板面粗度の平坦度面積率が80%以上であり、
明度測定(45°−45°法)値がいずれの方向から測
定しても40以上を有する表面明度の高いクロムめっき
鋼板。 【効果】本発明のクロムめっき鋼板は明度の大きい、明
るい色調に仕上がり、胴板にメタリック調で印刷を施し
ても、薄錫目付に近い色調で仕上がる、合理的な経済的
なクロムめっき鋼板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、美麗な印刷模様を施し
た飲料缶等に用いられる缶用鋼板で、色調を明るく仕上
げることのできる表面明度の高いクロムめっき用鋼板に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、缶用鋼板として製造されている
クロムめっき鋼板は高耐食性を有しており、しかも製造
原価が安価であることから飲料缶等に広く用いられてい
る。しかし、クロムめっき鋼板に美麗な印刷模様を施す
ためには、従来は、鋼板に白塗料を塗装した上に印刷を
行うことが常識とされてきた。白塗装後、印刷を施して
も得られる色調はパステルカラー調で落ち着いたうすい
色、淡い色に限られた。このような色調が好まれたデザ
イン、印刷模様もある。最近になって、嗜好、ファッシ
ョンの多様化が広まり、食缶の缶外面の印刷模様におい
ても、金属光沢を有する色調、あるいは金属光沢を利用
した色調も要求されだした。これに対して、通常のぶり
き、あるいは薄錫目付ぶりき(LTS)は、錫めっきを
施してあるため容易に金属光沢の色調を出せるが高価で
ある。
【0003】従来のクロムめっき鋼板では、クロムめっ
きの付着量が少ないために、下地鋼板の暗黒色の色調あ
るいはめっきクロム特有の暗黒色の色調のため光沢度が
低く、消費者が好む明るい金属光沢を有する赤色系、青
色系、黄色系の色調を得ることが難しく、それに適した
インクに改善してもその程度はほど遠いものであった。
【0004】従って、従来はクロムめっき鋼板で色調の
明るい印刷模様を求めること自体が常識外れとされてい
た。しかし、クロムめっき鋼板の特長を活かした明るい
印刷模様が得られるものも要求された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かくして本発明の目的
はクロムめっき鋼板の特長を活かし、色調を明るく仕上
げることのできるクロムめっき鋼板を提供することであ
る。
【0006】本発明者らは、缶用鋼板に使用されている
多くのクロムめっき鋼板について、白塗装を施さず、直
接に透明プライマー(通称サイズコート)を塗装後、赤
インキ、青インキ、黄色インキの3原色を印刷、焼き付
けた後、肉眼観察による色調の判定及び明度計、光沢度
計による色調及び光沢度の定量評価を行った。その結
果、以下のことを新たに見い出した。
【0007】(1)赤インキ、青インキ、黄色インキの
色(銘柄)によって明るく仕上がったり、暗く仕上がる
ものがあり、インキの種類による差がある。 (2)使ったクロムめっき鋼板でも同様のばらつきがあ
る。しかし、赤インキを印刷して明るく仕上がるクロム
めっき鋼板は、青インキも黄色インキも明るく仕上が
る。反対に暗く仕上がるものは、いずれも暗く仕上が
る。 (3)肉眼観察の官能検査による色調及び光沢度の評価
は、同一検査員に良いものと、悪いものとを与えて評価
させれば区分けはできるが、多くの検査員に多くのサン
プルを与えて、評価をさせると、良い順番に並べさせる
などの評価をさせてもばらつきが大きく、必ずしも一致
しないのが常であり、評価の定着化が難しかったが、定
量化できる明度測定法を開発した。 (4)従来のクロムめっき鋼板では、十分に明るく仕上
がる鋼板は見られなかったが、傾向として明るい鋼板と
暗い鋼板がある。 (5)暗く見えるものでも鋼板の見る角度によって、色
調、光沢度が異なる。例えば、圧延方向で観察すると色
調は暗いが、その印刷板を圧延直角方向からまたは45
°方向から観察すると明るく見える等、観察する角度に
よって異なるクロムめっき鋼板もある。
【0008】本発明者らは上記(3)で説明したクロム
めっき鋼板について、明るく見えた鋼板と暗く見えた鋼
板を分類し、それぞれについて印刷、プライマー塗膜を
剥離し、電子顕微鏡により、クロムめっき鋼板の表面分
析を行った結果、明るく見える鋼板の板面粗度は、小さ
な凹凸が多く、その凹凸に方向性が小さく、圧延方向と
圧延直角方向45°方向での差が小さいことを知見し
た。
【0009】缶用鋼板の板面粗度について、以下の3種
類がJIS G3315(1984)に明記されてい
て、これに準じて製造されている。
【0010】本発明は缶用鋼板の内でも、特に缶外面の
表面美麗を競い合う3ピース缶胴用に主に用いられる鋼
板の提供を目的とするが、これは、大板で塗装印刷を施
した後、一缶当りにスリット剪断して、丸く缶胴に加工
後、主にナイロンフィルムで接合して仕上げるものであ
る。このような缶用鋼板の表面仕上げは上記のB又はR
が用いられている。
【0011】従来、B又はRの板面粗度は、焼鈍後に行
う調質圧延機の二種類のワークロール(#1スタンドワ
ークロールおよび#2スタンドワークロール)の表面粗
度を転写して作成されている。
【0012】即ち、#1スタンドワークロールで、先ず
山と谷を形成し、その後、砥石目(スクラッチ目)のあ
る#2スタンドワークロールで圧延を行うので、ダル目
の山部のみにスクラッチ目が圧延方向に直線状で転写さ
れて、原板の板面粗度が仕上がる。従って、板面粗度は
山谷の高さ、深さの大きさ及び砥石目の深さ、大きさに
よって決まるので、目的に応じて、山谷、砥石目の大小
を調整したロールを用いることを基本として、長年製造
されてきた。
【0013】このような板面粗度を有する原板にクロム
めっきを施して肉眼観察すると明度が低く、暗い色調に
なり好ましくない。さらに圧延方向で明度を測定した場
合、圧延方向は明るく見えるが、圧延直角方向で観察し
た場合、入射光が砥石目で反転され、反射光が散乱する
ため極端に明度が悪くなり、全体として悪くなることを
知見した。
【0014】そこで本発明者らは明度を良くするための
条件を研究した結果、板面粗度を三次元粗さ計で測定
し、その中に傾斜角(θ)が±5°以内に入るものを光
が散乱しない平坦部に相当するとして整理すると、その
平坦面積率が80%以上で構成されていると明度が40
以上になることを知見し本発明を完成するに至った。
【0015】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば板
面粗度の平坦度面積率が80%以上であり、明度測定
(45°−45°法)値がいずれの方向から測定しても
40以上を有する表面明度の高いクロムめっき鋼板が提
供され、上記本発明の目的が達成される。ここで平坦度
面積率は以下の如くに測定、定義される。即ち、鋼板の
表面を触針式粗さ計にて測定して得られる粗さ曲線か
ら、一定ピッチ毎の平均傾斜を求め、このうちある勾配
以下の全体に占める割合を平坦面積率と定義する。
【0016】以下、図1に示した粗さ曲線に基づいて具
体的に説明する。測定ピッチをΔx(一定)とすると、
測定ピッチ間の平均傾斜Ziは次式(1)で算出され
る。 Zi =Δyi /Δx(=yi −yi-1 /Δx)=tanθi ……式(1) このようにして得られたnケの平均傾斜Zi を分布図と
して表現すると、例えば図2のようになる。図2におい
て横軸は平均傾斜Z、縦軸は分布の割合T(%)であ
る。なお、この図2において横軸の目盛単位(傾斜分割
巾)はαとしている。平均傾斜Zが零もしくは零近傍で
ある割合が高いほど平坦部が多いことになる。そこで、
平均傾斜Zが式(2)の範囲内にある部分が平坦な部分
であるとすると −2α≦Z≦2α ……式(2) 平坦面積率W2αは次式(3)で計算される。
【0017】
【数1】
【0018】本発明においては、測定ピッチ(Δx)、
傾斜分割巾α、測定数は以下の通りである。 Δx=2μm α=0.03 n=80,000 (圧延方向 500点、板巾方向 10μm間隔で16
0本)
【0019】又、本発明のクロムめっき鋼板の粗度Ra
は、通常0.1〜0.4μmであることが好ましい。
【0020】板面粗度の平坦度面積率が80%以上、好
ましくは85%以上とするには、例えば以下の方法を挙
げることができる。即ち、前述した調質圧延の工程にお
いて#1スタンド、#2スタンドのワークロールいずれ
をもダル目とし#1スタンドで形成したダル目を、#2
スタンドロールのダル目で、さらに山を低く、小さな山
に分割することで達成できる。ここで#2スタンドの圧
下力を大きくして、#1スタンドワークロールで形成さ
れたダル目の山を、大きくつぶして山高さを低くするこ
とも有効な方法である。
【0021】このような板面粗度は、圧延方向と直角方
向(45度方向)の粗度差が小さい、即ち方向性の小さ
い滑らかな粗度であり、圧延方向(L方向)から観察し
ても、直角方向(C方向)から観察しても反射光量が多
いため、明るい色調に仕上がる。
【0022】圧延方向と直角方向の粗度差を小さくする
ためには、従来、常識的に使われていた砥石で研磨した
ロールに代わって、ロール研磨後、微細な超硬質な鋼粉
を高速でロール表面に噴射させて、微細なダル状表面に
仕上げたロールを使うことで図3に示すように達成でき
る。
【0023】このように調質圧延を行った後、クロムめ
っき処理を行うことにより本発明のクロムめっき鋼板を
得ることができる。
【0024】本発明によれば飲料缶の胴板等に用いられ
るクロムめっき鋼板の色調を明るくするために、板面粗
度の平坦面積率を80%以上としたため、明るい色調に
仕上がるようになり、その色調は錫薄目付ぶりきに近づ
き、以前はクロムめっき鋼板といえば暗いものとのイメ
ージを払拭できるまでになった。従って、メタリック調
印刷を施す缶材にも広く使用できるようになった。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。常法で製造した0.32mmの冷延鋼板を焼鈍後、
調質圧延を施すに際し、表1に示すように#1スタンド
(入側スタンド)のワークロール粗度と、#2スタンド
(出側スタンド)のワークロール粗度を変化させ、圧延
し、クロムめっき鋼板に仕上げ、平坦度面積率を測定
し、引き続きクロムめっきラインで常法で、金属クロム
量100mg/m2 、水和酸化クロム量10mg/m2
目標でめっきし、静電塗油後、クロムめっき鋼板として
仕上げ、明度(45°−45°法)を測定した。その結
果、本発明鋼板は明度が改善されている。また、赤、
青、黄色のインキで印刷しても明るい色調で仕上がっ
た。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明のクロムめっき鋼板は明度の大き
い、明るい色調に仕上がり、胴板にメタリック調で印刷
を施しても、薄錫目付に近い色調で仕上がる、合理的な
経済的なクロムめっき鋼板である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鋼板表面の粗さ曲線の傾斜角を示す図であ
る。
【図2】 鋼板表面の粗さ曲線の傾斜角(θ)の分布を
示す図である。
【図3】 L方向板面粗度と明度との関係を、L方向、
C方向、D方向の板面粗度差をパラメータとして示した
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加 藤 寿 勝 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 佐 藤 覚 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板面粗度の平坦度面積率が80%以上であ
    り、明度測定(45°−45°法)値がいずれの方向か
    ら測定しても40以上を有する表面明度の高いクロムめ
    っき鋼板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4830703A (en) * 1984-08-10 1989-05-16 Kabushiki Kaisha Toshiba Single crystal growth apparatus
US4894206A (en) * 1986-09-22 1990-01-16 Kabushiki Kaisha Toshiba Crystal pulling apparatus
US5896762A (en) * 1994-08-24 1999-04-27 Alpha Corporation Theft preventing device

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