JPH0633097B2 - 硬貨収納袋等の封印具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、硬貨収納袋等の封印具に関するものであ
る。

従来の技術 本発明者は先に、この種の封印具として、中空部を有す
るケースと、これの中間部内に収められた紐押え片と、
１本の紐とによって構成された封印具を提案した（特開
昭59-64884号公報参照）。この先提案による封印具は、
ケースを介してあたかも２重に形成された紐の輪状部内
に硬貨収納袋の口部を入れて、紐の両端を引張って引出
すことにより、袋の口部が紐の輪状部によって引き締め
られるとともに、ケース内で紐押え片によって紐の中間
部が押え止められて、硬貨収納袋をきわめて簡単に封印
することができる非常に便利なものである。しかしなが
ら、先提案にかかる封印具では、紐の引出し長さが非常
に長く、紐による袋の締付けおよび引き出した紐の後始
末が面倒であるという問題があった。

発明の目的 この発明は、上記の問題を解決し、硬貨収納袋等の封印
を非常に簡単にかつ確実に行なうことができ、しかも封
印のさい紐の引出し長さが従来の半分ですみ、被封印物
の締付けおよび引出した紐の後始末を容易に行ない得る
封印具を提供することを目的とするものである。

発明の構成 この発明による硬貨収納袋等の封印具は、前壁を有する
ケースと、左右両側に紐押え突部を有する紐押え片と、
１本の紐とによって構成され、前記ケースは上半体と下
半体とからなり、下半体の下側壁上に前壁が設けられ、
前壁の左右両側に紐挿通孔があけられており、上半体の
上側壁に紐押え片固定用突部が下方突出状に設けられて
おり、上半体と下半体とが一体に接合されて紐押え片固
定用突部と前壁との間に紐押え片が固定されるとともに
紐押え片固定用突部とケースの左右両側壁との間に紐挿
通孔に連なる紐挿通用間隙が形成されており、紐が所要
長さの略中央部で折返されて、その折返し部がケース上
半体の紐押え片固定用突部の後面に掛け合せられ、この
折返し部より一側の紐部分の始端部がケースの同側の紐
挿通用間隙およびこれに連なる紐挿通孔を通ってその前
端より外側に取り出されて被封印物引絞り用第１輪状部
が形成され、同紐部分の中間部がケースの他側の紐挿通
孔前端より再びケース内に入れられ、この紐挿通孔およ
びこれに連なる紐挿通用間隙を通過して同紐部分の先端
部がケースの後部より外側に取り出されており、また、
折返し部より他側の紐部分の始端部がケースの同側の紐
挿通用間隙およびこれに連なる紐挿通孔を通ってその前
端より外側に取り出されて被封印物引絞り用第２輪状部
が形成され、同紐部分の中間部がケースの他側の紐挿通
孔前端より再びケース内に入れられ、この紐挿通孔およ
びこれに連なる紐挿通用間隙を通過して同紐部分の先端
部がケースの後部より外側に取り出されており、ケース
の左右の紐挿通用間隙の一方の上下に挿通された紐部分
の始端部と他方の紐部分の中間部、およびケースの左右
の紐挿通用間隙の他方の上下に挿通されたもう一方の紐
部分の始端部と他方の紐部分の中間部とが、それぞれ左
右の紐挿通用間隙内に斜め後方に突出した紐押え片の左
右の紐押え突部に当接せしめられている。

作 用 上記のような本発明にかかる硬貨収納袋等の封印具は、
第１および第２輪状部内に被封印物が嵌め入れられた状
態においてケースの後部外側の紐の折返し部と両端部が
同時に引っ張られることにより、第１および第２輪状部
の大きさが共に減少して、被封印物がこれらの輪状部に
よって引き絞られ、両輪状部が最も引き絞られると、紐
は、折返し部より一方の紐部分の始端部と他方の紐部分
の所要の中間部、および折返し部よりもう一方の紐部分
の始端部と他方の紐部分の所要の中間部との４箇所で、
左右の紐挿通用間隙内に斜め後方に突出した紐押え片の
左右の紐押え突部によってそれぞれ押え止められ、紐が
ケースの前方へ引き出すことができなくなり、被封印物
が封印される。

実施例 つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。

なお、この明細書において、前後、左右および上下とは
第１図を基準とし、前とは第１図上側、後とは同下側を
いい、また左とは同図左側、右とは同図右側をいい、上
とは同図図面紙葉の表側、下とは同裏側をいうものとす
る。

図面において、硬貨収納袋(2) を封印するための封印具
(1) は、前壁(7) を有するＡＢＳ樹脂等の合成樹脂製の
筒形ケース(3) と、ケース(3) の内に収められかつ左右
両側に紐押え突部(13)(13)を有する紐押え片(4) と、ナ
イロン等の合成樹脂あるいは麻等よりなる１本の紐(5)
とによって構成されている。ケース(3) の大きさは、例
えば長さ１６mm、巾１１mmおよび高さ５mm程度である。

ケース(3) 内に収められる紐押え片(4) は、ステンレス
等の金属によってつくられている。紐押え片(4) は中央
の略Ｕ形の折曲げ状先端部(12)と、これの両端より斜め
後方に伸びる紐押え突部(13)(13)とよりなり、かつ平面
よりみて略逆Ｙ形を有している。紐押え片(4) の折曲げ
状先端部(12)はケース(3) の前壁(7) 中央部に設けられ
た嵌込み用凹部(11)に嵌め込まれている。ケース前壁
(7) の左右両側に凹溝(17)(17)に連なる紐挿通孔(18)(1
8)があけられている。

ケース(3) の上側壁(10)に紐押え片固定用突部(20)が下
方突出状に設けられている。この突部(20)は紐押え片
(4) の略Ｕ形の折曲げ状先端部(12)の内側に嵌め込まれ
る細長い先端部(21)を有している。そしてこの突部(20)
によって紐押え片(4) がケース(3) の前壁(7) に押え止
められるとともに、突部(20)とケース(3) の左右両側壁
(9)(9)との間に紐挿通孔(18)(18)に連なる紐挿通用間隙
(19)(19)が形成され、また突部(20)とケース前壁(7) と
の間には紐押え片(4) 左右両側の紐押え突部(13)(13)が
揺動し得るだけの空間部(22)が形成されている。ケース
(3) の左右両側壁(9)(9)内面中央の上部紐挿通孔(18)(1
8)の入口部分には段部(14)(14)が設けられている。

１本の紐(5) が所要長さの略中央部で折返されて、その
折返し部(5a)がケース下側壁(8) の後面に掛け合せら
れ、この折返し部(5a)より一側の紐部分(15)の始端部(1
5a) がケース(3) の同側の紐挿通用間隙(19)およびこれ
に連なる紐挿通孔(18)を通ってその前端より外側に取り
出されて被封印物引絞り用第１輪状部(16)が形成され、
同紐部分(15)の中間部(15b) がケース(3) の他側の紐挿
通孔(18)前端より再びケース(3) 内に入れられ、この紐
挿通孔(18)およびこれに連なる紐挿通用間隙(19)を通過
して同紐部分(15)の先端部(15c) がケース(3) の後部よ
り外側に取り出されている。また、折返し部(5a)より他
側の紐部分(25)の始端部(25a) がケース(3) の同側の紐
挿通用間隙(19)およびこれに連なる紐挿通孔(18)を通っ
てその前端より外側に取り出されて被封印物引絞り用第
２輪状部(26)が形成され、同紐部分(25)の中間部(25b)
がケース(3) の他側の紐挿通孔(18) 前端より再びケー
ス(3) 内に入れられ、この紐挿通孔(18)およびこれに連
なる紐挿通用間隙(19)を通過して同紐部分(25)の先端部
(25c) がケース(3) の後部より外側に取り出されてお
り、ケース(3) の左右の紐挿通用間隙(19)(19)の一方に
挿通された紐部分(15)の始端部(15a) と紐部分(25)の中
間部(25b) 、およびケース(3) の左右の紐挿通用間隙(1
9)(19)の他方の上下に挿通された紐部分(25)の始端部(2
5a) と紐部分(15)の中間部(15b) とが、それぞれ左右の
紐挿通用間隙(19)(19)内に斜め後方に突出した紐押え片
(4) の左右の紐押え突部(13)(13)に当接せしめられてい
る。

ケース(3) の前端部には、横断面円弧形の紐ゆるみ止め
突部(23)が設けられている。これは封印状態において硬
貨収納袋(2) とケース(3) との接触面積を少なくするこ
とにより、ケース(3) が上下に揺動することに起因する
紐(5) のゆるみを阻止するためのものである。したがっ
てこのような突部(23)は横断面円弧形でなくても、たと
えば略三角形状であってもよく、またケース(3) の前端
部自体が円弧形あるいは三角形のような横断面形状を有
するものであってもよい。

ケース(3) はたとえばＡＢＳ等の合成樹脂製であって、
これは金型により成形された上半体(3a)と下半体(3b)と
によって構成されており、前記前壁(7) は下半体(3b)
に、紐押え片固定用突部(20)は上半体(3a)に設けられて
おり、第４図に示すようにこれらの紐押え片(4) と紐
(5) とを所定の配置に組み合わせたのち、上半体(3a)と
下半体(3b)の左右両側縁部を例えば高周波溶接により一
体に接合することにより、封印具(1) がつくられるもの
である。

このような封印具(1) を用いて硬貨収納袋(2)がつぎの
ようにして封印される。

すなわち、封印具(1) の紐(5) の第１輪状部(16)と第２
輪状部(26)とはケース(3) を介してあたかも２重の輪を
形成しており、これらの第１および第２輪状部(16)(26)
内に硬貨収納袋(2) の口部を嵌め入れ、この状態におい
てケース(3) の後部外側の紐(5) の折返し部(5a)と両端
部(15c)(25c)とを同時に引っ張る。すると、第１および
第２輪状部(16)(26)の大きさ大幅に減少して、硬貨収納
袋(2) の口部がこれらの輪状部(16)(26)によって引き絞
られ、両輪状部(16)(26)が最も引き締められたさいに
は、紐(5) の中間部の４箇所が紐押え片(4) の紐押え突
部(13)(13)によってしっかりと押え止められるととも
に、紐(5) の同部分がケース(3) の左右両側壁(9)(9)の
段部(14)(14)と掛り合う。この状態はもはや紐(5) を硬
貨収納袋(2) 側に引き出すことができず、袋(2) の封印
が完了する。なお、紐(5) の折返し部(5a)と両端部(15
c)(25c)とを同時に引っ張って、紐(5) を合計４本の部
分で引き出すため、従来のように紐(5) の両端部(15c)
(25c)のみを引っ張って紐(5) を２本の部分で引き出す
場合に比べて引出し長さが半分になるものである。

紐押え片(4) は、図示のものはステンレス鋼板製である
が、これに限らず、紐押え片(4) は逆Ｙ形を有するジュ
ラコン等の合成樹脂成形品によりつくられていてもよ
い。

なお、上記実施例においては、紐(5) の第１１および第
２輪状部(16)(26)が硬貨収納袋(2) の口部に１回だけ巻
き付けられているが、これらの輪状部(16)(26)を２回あ
るいはそれ以上巻きつけて封印することもできる。

またケース(3) の左右両側壁(9)(9)の内面、および紐押
え片(4) の紐押え突部(13)(13)の先端の少なくとも一方
に、紐一部食込み用凹部を設けてもよい。封印具(1) の
形状は略直方体であるが、これはその他の形状であって
もよい。

また上記実施例では、この発明の封印具(1) によって銀
行の硬貨収納袋(2) を封印する場合を示したが、これに
限らず、この発明の封印具(1) は、その他郵便物収納袋
等の種々のものを封印するために使用し得るものであ
る。

発明の効果 この発明による封印具(1) は、上述のように、前壁(7)
を有するケース(3) と、左右両側に紐押え突部(13)(13)
を有する紐押え片(4) と、１本の紐(5) とによって構成
されており、ケース(3) の後面に掛け合せられた紐(5)
の折返し部(5a)の左右の紐部分(15)(25)が、それぞれの
始端部(15a)(25a)および所要の中間部(15b)(25b)の４箇
所で紐押え片(4) の紐押え突部(13)(13)に当接せしめら
れており、硬貨収納袋等の被封印物(2) を封印するに
は、封印具(1) の第１および第２輪状部(16)(26)内に被
封印物(2) の口部を嵌め入れたのち、紐(5) の折返し部
(5a)と両端部(15c)(25c)を同時に後方に引張って紐(5)
を引き絞るだけでよいので、封印作業が非常に簡単であ
り、しかも紐(5) の引出し長さが従来の半分ですみ、被
封印物(2) の締付けおよび引き出した紐(5) の後始末を
容易に行うことができるとともに、紐(5) をケース(3)
の後面に掛け合せられた折返し部(5a)で切断してもケー
ス(3) の前方へ紐(5) を引き出すことはできず、したが
って、一旦、紐(5) を切断した後は、封印具(1) を再使
用することはできず、封印具(1) の改ざんを確実に防止
して、被封印物(2) の封印を確実に行い得るという効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示すもので、第１図は本発明
品により硬貨収納袋を封印した状態の部分切欠き拡大平
面図、第２図は第１図II−II線に沿う拡大断面図、第３
図は第１図III−III線に沿う拡大断面図、第４図は本発
明品の組合わせ前の状態の拡大斜視図である。 (1) ……封印具、(2) ……硬貨収納袋（被封印物）、
(3) ……ケース、(4) ……紐押え片、(5) ……紐、(5a)
……折返し部、(7) ……前壁、(8) ……下側壁、(9)(9)
……左右側壁、(10)……上側壁、(13)……紐押え突部、
(15)(25)……紐部分、(15a)(25a)……始端部、(15b)(25
b)……中間部、(15c)(25c)……先端部、(16)(26)……第
１および第２輪状部、(18)……紐挿通孔、(19)……紐挿
通用間隙、(20)……紐押え片固定用突部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】前壁(7) を有するケース(3) と、左右両側
   に紐押え突部(13)(13)を有する紐押え片(4) と、１本の
   紐(5) とによって構成され、前記ケース(3) は上半体(3
   a)と下半体(3b)とからなり、下半体(3b)の下側壁(8) 上
   に前壁(7) が設けられ、前壁(7) の左右両側に紐挿通孔
   (18)(18)があけられており、上半体(3a)の上側壁(10)に
   紐押え片固定用突部(20)が下方突出状に設けられてお
   り、上半体(3a)と下半体(3b)とが一体に接合されて紐押
   え片固定用突部(20)と前壁(7) との間に紐押え片(4) が
   固定されるとともに紐押え片固定用突部(20)とケース
   (3) の左右両側壁(9)(9)との間に紐挿通孔(18)(18)に連
   なる紐挿通用間隙(19)(19)が形成されており、紐(5) が
   所要長さの略中央部で折返されて、その折返し部(5a)が
   ケース上半体(3a)の紐押え片固定用突部(20)の後面に掛
   け合せられ、この折返し部(5a)より一側の紐部分(15)の
   始端部(15a) がケース(3) の同側の紐挿通用間隙(19)お
   よびこれに連なる紐挿通孔(18)を通ってその前端より外
   側に取り出されて被封印物引絞り用第１輪状部(16)が形
   成され、同紐部分(15)の中間部(15b) がケース(3) の他
   側の紐挿通孔(18)前端より再びケース(3) 内に入れら
   れ、この紐挿通孔(18)およびこれに連なる紐挿通用間隙
   (19)を通過して同紐部分(15)の先端部(15c) がケース
   (3) の後部より外側に取り出されており、また、折返し
   部(5a)より他側の紐部分(25)の始端部(25a) がケース
   (3) の同側の紐挿通用間隙(19)およびこれに連なる紐挿
   通孔(18)を通ってその前端より外側に取り出されて被封
   印物引絞り用第２輪状部(26)が形成され、同紐部分(25)
   の中間部(25b) がケース(3) の他側の紐挿通孔(18)前端
   より再びケース(3) 内に入れられ、この紐挿通孔(18)お
   よびこれに連なる紐挿通用間隙(19)を通過して同紐部分
   (25)の先端部(25c) がケース(3) の後部より外側に取り
   出されており、ケース(3) の左右の紐挿通用間隙(19)(1
   9)の一方の上下に挿通された紐部分(15)の始端部(15a)
   と紐部分(25)の中間部(25b) 、およびケース(3) の左右
   の紐挿通用間隙(19)(19)の他方の上下に挿通された紐部
   分(25)の始端部(25a) と紐部分(15)の中間部(15b) と
   が、それぞれ左右の紐挿通用間隙(19)(19)内に斜め後方
   に突出した紐押え片(4) の左右の紐押え突部(13)(13)に
   当接せしめられている硬貨収納袋等の封印具。