JPH0632933A - 発泡性スチレン系樹脂粒子 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子

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JPH0632933A
JPH0632933A JP21336792A JP21336792A JPH0632933A JP H0632933 A JPH0632933 A JP H0632933A JP 21336792 A JP21336792 A JP 21336792A JP 21336792 A JP21336792 A JP 21336792A JP H0632933 A JPH0632933 A JP H0632933A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スチレン系単量体と共役ジエン化合物とが重
合又は共重合して構成された耐衝撃性スチレン系樹脂か
ら成る発泡性粒子の熱安定性を改良し、熟成を容易且つ
確実にしようとするものである。 【構成】 耐衝撃性スチレン系樹脂を構成する共役ジエ
ン化合物と同じ共役ジエン化合物を、少量単量体の形で
発泡性粒子中に含ませる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、発泡性スチレン系樹
脂粒子に関するものであり、とくにゴム状弾性を持った
発泡性スチレン系樹脂粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂からなる発泡性粒子は、
容器のような複雑な形状の発泡体を作るのに広く用いら
れている。その発泡体を作るには予備発泡の工程と、発
泡成形の工程とが必要とされる。予備発泡の工程とは、
発泡性スチレン系樹脂粒子(以下、これを発泡性粒子と
いう)を加熱して、バラバラの発泡した粒子を作る工程
である。発泡成形の工程とは、バラバラの発泡した粒子
から発泡した成形体を作る工程であって、それには成形
体の形状を持った型窩内にバラバラの発泡した粒子を詰
め込み、型窩内に水蒸気を吹き込んで粒子を加熱し、粒
子を発泡させるとともに型窩内で互いに融着させて、成
形体とする方法が行われる。
【0003】発泡性粒子を構成する樹脂としては、初め
は専らスチレンの単独重合体が用いられ、次いでスチレ
ンとスチレン誘導体との共重合体が用いられた。この場
合のスチレン誘導体とは、例えはα−メチルスチレン、
α−エチルスチレン、ビニルスチレンのようなものであ
る。しかし、これらの重合体及び共重合体は、何れも剛
性が強く、そのために衝撃によって破壊され易いという
欠点を持っていた。従って、このような重合体及び共重
合体を発泡させて作った発泡体は、柔軟性に乏しく衝撃
によって破壊され易いという欠点を持っていた。
【0004】発泡体としては、柔軟性や弾性に富んだも
のを必要とする分野も多い。また、衝撃によって破壊さ
れにくくする必要もある。そこで、スチレンの重合体又
は共重合体を改質してこれに幾らかのゴム様弾性を加
え、発泡体を幾分柔軟にするとともに、衝撃によって割
れにくくしようとする試みがなされた。
【0005】その試みは、スチレン系単量体のほかに、
ブタジエンのような共役ジエン化合物を用いることによ
ってなされた。すなわち、共役ジエン化合物をスチレン
系単量体と共重合させて共重合体として用いたり、共役
ジエン化合物の共重合体をスチレンの単独又は共重合体
に混合して樹脂組成物として用いたりすることによっ
て、耐衝撃性を改善し、これを発泡性粒子とすることが
試みられた。
【0006】このような試みは、特許公報に数多く示さ
れている。例えば、特公昭47−17465号公報は、
スチレンブロックとブタジエンブロックとを含んだブロ
ック共重合体とスチレン系樹脂とを混合して樹脂組成物
とし、これに発泡剤を含ませて発泡性粒子とすることを
記載している。特開昭54−158467号公報も同じ
ようなことを記載している。また、特公昭47−184
28号公報は、スチレンとブタジエンとの共重合体に発
泡剤を含ませて発泡性粒子とすることを記載している。
また、特公昭58−35616及び特公昭58−356
17号公報は、ニトリルと共役ジエン化合物とが共重合
してなるゴム状共重合体をスチレン系樹脂と混合して樹
脂組成物とし、これに発泡剤を含ませて発泡性粒子とす
ることを記載している。しかし、これらの発泡性粒子
は、以下に述べる熟成の点で大きな欠点を持っていた。
【0007】一般に、発泡性粒子は、発泡剤を含ませて
発泡性粒子としたあとで、数日ないし数拾日間低温下に
貯蔵したのちでなければ、これを発泡に供し得ないとさ
れた。なぜならば、発泡剤を含ませた直後のポリスチレ
ン粒子を加熱して予備発泡させると、得られた発泡性粒
子は、不均一に発泡したり、気泡が粗大になったり、高
倍率に発泡させることができなかったりしたからであ
る。ところが、上記のように低温下に貯蔵したのち予備
発泡させると、微細な気泡を持って均一によく発泡する
に至ったからである。発泡性粒子を製造した後の上述の
貯蔵は、一般に熟成と呼ばれ、発泡性粒子の製造におい
ては欠くべからざる工程だとされて来た。
【0008】熟成には、さらに厄介な問題が付随した。
それは、熟成したあとで発泡性粒子を高い室温下に放置
すると、発泡性粒子が熟成の効果を失うということであ
る。例えば、20℃の温度に1ケ月貯蔵して熟成した発
泡性粒子を、輸送のために夏期35℃の気温下に数時間
置いただけで、発泡性粒子は熟成の効果を失い、これを
発泡させると、粗大な気泡を生じて不均一に発泡するこ
ととなった。そのために、熟成後の保管にも細心の注意
が必要とされた。
【0009】共役ジエン化合物によって耐衝撃性を改良
された発泡性粒子は、ポリスチレンを材料とする発泡性
粒子よりも、一層熟成の効果を喪失し易かった。それ
は、ゴム改質されたスチレン系樹脂で作った発泡性粒子
は、改質されない発泡性粒子に比べて、熟成後さほど高
くない温度に短時間置いただけで、直ちに熟成の効果を
失うこととなったからである。だから、改質された発泡
性粒子では、熟成並びに熟成後の保管に一層の注意が必
要とされた。このことは、一言で云えば、改質された発
泡性粒子は、改質されない発泡性粒子よりも熱安定性に
おいて劣る、と云うことに帰する。そこで改質された発
泡性粒子の熱安定性の改良が、解決すべき重要な課題と
して浮上した。
【0010】発泡性粒子の熟成を改良する試みも知られ
ている。例えば、特開平4−39339号公報は、D−
ソルビトールとベンズアルデヒドとの反応生成物を発泡
性粒子に添加して熟成を改良すべきことを提案してい
る。しかし、この提案は、樹脂がスチレンの単独重合体
のように剛性を持っている場合に効果があるだけで、改
質された発泡性粒子に対してはさほど顕著な効果をもた
らさない。そのほか、改質された発泡性粒子に対して効
果のある提案は、見あたらない。
【0011】他方、熟成には直接関係ないが、発泡性粒
子に共役ジエン化合物を使用する試みは色々となされて
来た。例えば、特公昭44−3829号公報は、ポリス
チレン又はスチレンとアクリロニトリルとの共重合体粒
子に電離性放射線を照射して、共役ジエン化合物をグラ
フト重合させるとともに、未反応の共役ジエン化合物を
発泡剤として残して、発泡性粒子とすることを教えてい
る。しかし、これは発泡性粒子の変わった製造方法を提
唱したに過ぎず、熟成を全く意識していない。またこの
教示は、共役ジエン化合物を発泡剤とすることを目的と
しているから、共役ジエン化合物を多量に残す必要があ
り、その重量は実施例においても重合体に対して5重量
%以上となる。
【0012】また、特公昭52−33678号公報は、
光により分解し易い重合体を製造する方法を記載し、ス
チレン系重合体粒子にスチレン単量体と共役ジエン化合
物とをグラフト重合させることを教えている。また、そ
の公報は、こうして得られた重合体粒子に発泡剤を含ま
せると、発泡性粒子とすることができることを教えてい
る。しかし、そこでは共役ジエン化合物が粒子の表面に
多く集まってグラフト重合すると、得られた樹脂が光に
よって分解され易くなることが考えられているだけで、
共役ジエン化合物を単量体のままに残すこと、及び発泡
剤を含ませたあとの発泡性粒子の熟成については全く考
えられていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上に述べ
たゴム改質のスチレン系樹脂製発泡性粒子が熱安定性に
おいて劣る点を改良しようとするものである。すなわ
ち、この発明は、ゴム改質されたスチレン系樹脂を用い
て作られた発泡性粒子の熟成を容易にし、また熟成後出
荷などのために夏期に高い気温下に置かれても、熟成の
効果を簡単には喪失しない発泡性粒子を提供できること
としたものである。
【0014】
【課題解決のための手段】この発明者は、ゴム改質され
たスチレン系樹脂発泡性粒子について色々と検討を重ね
た結果、その樹脂を構成している共役ジエン化合物を単
量体の形で発泡性樹脂粒子内に少量含ませると、ここに
熱安定性の良い発泡性粒子の得られることを見出した。
【0015】この発明者は、さらに研究を続けた結果、
熱安定性の良い発泡性粒子を得るためには、発泡性粒子
を構成している樹脂が特定の組成のものでなければなら
ないことを確認した。特定の組成とは、スチレン系単量
体が60−97重量%と、共役ジエン化合物が3−30
重量%とで樹脂が構成されていなければならない、とい
うことである。すなわち、樹脂はスチレン系単量体と共
役ジエン化合物とが上記範囲内の割合で直接共重合した
ものであってもよいし、またその各々が第三の単量体と
共重合し、それら共重合体が混合されて作られた樹脂組
成物であってもよい。何れにしても、スチレン系単量体
と共役ジエン化合物とは、重合又は共重合して樹脂を構
成しているが、それを単量体に直して割合を見ると、そ
の割合は上述の範囲内にあることを必要としている。
【0016】さらに、この発明者は、改質された発泡性
粒子が良好な熱安定性を持つためには、樹脂を構成して
いる共役ジエン化合物と同じ共役ジエン化合物が、単量
体の形で樹脂中に含まれていることが必要であることを
確認した。必要な共役ジエン化合物の量は、樹脂100
重量部に対して0.01−0.5重量部という少量で足
りることを確認した。この発明は、このような知見に基
づいて完成されたものである。
【0017】この発明は、発泡剤を含んだスチレン系樹
脂粒子であって、そのスチレン系樹脂は60−97重量
%のスチレン系単量体と、3−30重量%の共役ジエン
化合物とが重合又は共重合して構成されており、上記発
泡剤は飽和脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素又はハロゲ
ン化脂肪族炭化水素から選ばれて、上記樹脂100重量
部に対し4−12重量部含まれており、上記スチレン系
樹脂はさらに0.01−0.5重量部の上記共役ジエン
化合物を単量体の形で含んでいることを特徴とする、発
泡性スチレン系樹脂粒子を要旨とするものである。
【0018】この発明で用いることのできるスチレン系
樹脂は、スチレン系単量体と共役ジエン化合物とが、重
合又は共重合したものであることが必要とされる。スチ
レン系単量体は樹脂中で60−97重量%を占め、共役
ジエン化合物は樹脂中で3−30重量%を占めているこ
とが必要とされる。
【0019】この発明で用いることのできるスチレン系
樹脂は、前述のように、60−97重量%のスチレン系
単量体と、3−30重量%の共役ジエン化合物とが、直
接共重合したものであってもよい。このような樹脂は、
耐衝撃性スチレン、一般にはハイインパクトスチレンと
呼ばれて市販されている。この発明では、市販の耐衝撃
性スチレンを用いることができる。
【0020】この発明で用いることができるスチレン系
樹脂は、スチレン系単量体と共役ジエン化合物とが、そ
れぞれ別々に単独で重合又は共重合して、単独重合体又
は共重合体を作っており、それら重合体又は共重合体を
混合して組成物としたものであってもよい。
【0021】また、この発明で用いることのできるスチ
レン系樹脂は、スチレン系単量体が他の第三の単量体と
共重合して第一の共重合体を作っており、共役ジエン化
合物が他の第三又は第四の単量体と共重合して第二の共
重合体を作っており、これら第一の共重合体と第二の共
重合体とを混合して樹脂組成物としたものであってもよ
い。
【0022】上に述べた第三又は第四の単量体としては
色々なものを用いることができる。例を挙げれば、無水
マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸のような有機酸
類、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルのようなア
クリル酸アルキルエステル類、N−フェニルマレイミド
のようなN−置換マレイミド類、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリルのようなシアン化ビニル単量体などを
用いることができる。
【0023】スチレン系単量体としては、スチレンのほ
かα−メチルスチレン、P−メチルスチレンなどを用い
ることができる。共役ジエン化合物としては、ブタジエ
ン、イソプレン、1、3−ペンタジエン、1、3−ヘキ
サジエンなどを用いることができる。スチレン系単量体
から作られた重合体はポリスチレンとして市販されてい
る。共役ジエン化合物の単独重合体はポリブタジエン、
ポリイソプレンなどとして市販されている。また、スチ
レン系単量体と共役ジエン化合物との共重合体は、スチ
レン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジ
エンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック
共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、な
どとして市販されている。そのほか、第三の単量体との
共重合体としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重
合体が市販されている。この発明では、これらのものを
混合して用いることができる。
【0024】共役ジエン化合物の重合体又は共重合体
は、その中の二重結合の一部又は大部分が、水素添加さ
れていてもよい。
【0025】重合体又は共重合体を混合して樹脂組成物
とするには、これらを混合したのち、これを押出機又は
カレンダーロールに投入して加熱下に混練する。混練し
たものは、これを直ちに切断して粒子とすることが好ま
しい。粒子は、その大きさを0.1−10mmの範囲内
にすることが好ましい。
【0026】スチレン系単量体と共役ジエン化合物と
が、それぞれ60−97重量%及び3−30重量%含ま
れた共重合体又は樹脂組成物は、何れにしてもポリスチ
レンが持つ剛性と発泡適性と、共役ジエン化合物の重合
体が持つゴム状弾性とを兼ね備えたものとなっている。
従って、これにプロパン、ブタンのような発泡剤を含ま
せると、あとで水蒸気加熱することにより容易に発泡
し、得られた発泡体は弾性に富んだものとなる。
【0027】発泡剤としては、これまでポリスチレンの
発泡剤として知られて来たものを用いる。その発泡剤
は、大きく分けて飽和脂肪族炭化水素、脂環族炭化水
素、ハロゲン化脂肪族炭化水素の3種類に分類すること
ができる。そのうち、飽和脂肪族炭化水素は、例えばプ
ロパン、ブタン、ペンタンであり、脂環族炭化水素は、
例えばシクロヘキサンであり、ハロゲン化脂肪族炭化水
素は、例えば塩化メチル、ジクロロジフルオロメタンで
ある。これらの発泡剤は、常圧の下での沸点が何れも1
00℃以下のものであって、改質されたスチレン系樹脂
中に容易に染み込ませることができるものである。
【0028】発泡剤は、樹脂100重量部に対し4−1
2重量部を含ませるのが好ましい。その理由は、4重量
部未満では発泡性粒子を高倍率に発泡させることが困難
だからであり、また12重量部を越えると、発泡性粒子
が加熱時に急激に発泡して、発泡倍率を制御することが
困難となるからである。
【0029】この発明に係る発泡性粒子は、樹脂を構成
しているジエン化合物と同じジエン化合物が、粒子中に
含まれていることを最大の特徴としている。また、含ま
れているジエン化合物は、単量体の形をしていて、その
量が樹脂100重量部に対し0.01−0.5重量部の
範囲内であることも特徴としている。同じジエン化合物
というのは、例えば樹脂がスチレンとブタジエンとの共
重合体で構成されているときは、そこに含まれているジ
エン化合物はブタジエンでなければならないと云う意味
である。この場合に、単量体の形で含まれているジエン
化合物が、イソプレンであると、熟成の効果が達成でき
ないことになるからである。
【0030】この発明に係る発泡性粒子を作るには、例
えば次のようにする。まず、60−97重量%のスチレ
ン系単量体と3−30重量%の共役ジエン化合物とが、
重合又は共重合してなる樹脂を選定し、これを0.1−
10mmの大きさの粒子とする。この粒子を撹拌機付き
の耐圧容器に入れ、これを水性媒体中に懸濁させ、上述
の発泡剤を圧入するとともに共役ジエン化合物を圧入す
る。このとき、必要ならば容器内を加熱する。こうし
て、発泡剤とジエン化合物を樹脂粒子に含浸させる。そ
の後、残留している発泡剤と共役ジエン化合物とを除い
て、常温下に樹脂粒子を取り出して発泡性粒子とする。
【0031】この発明に係る発泡性粒子は、熱安定性が
良好であるという特性を持っている。一般的に云えば、
この発泡性粒子は、ゴム改質された樹脂で作られた発泡
性粒子であるから、改質されない発泡性粒子よりも、よ
り低い温度で長期間貯蔵してようやく熟成を完成させ得
る筈のものである。ところが、この発明の発泡性粒子
は、上述のジエン化合物を含んでいるために、比較的高
い温度で短期間貯蔵するだけで熟成を完了することがで
き、また、熟成後に比較的高い気温に長時間放置して
も、熟成の効果を喪失しないという利点を持っている。
【0032】熟成結果の良否は、発泡性粒子を発泡させ
るとすぐにわかる。熟成結果が悪いときは、予備発泡さ
せて得られた粒子の断面を見ると、粒子が表面と内部と
で状態を異にしている。例えば、表面では気泡が微細で
白く不透明に見えるが、内部では気泡が粗大で透明に見
えるという明確な相違が見られる。気泡の数は、顕微鏡
により容易に測定できる。
【0033】
【発明の効果】この発明によれば、60−97重量%の
スチレン系単量体と、3−30重量%の共役ジエン化合
物とが重合又は共重合しているスチレン系樹脂を用いる
ので、その樹脂は、ポリスチレンのような発泡性と、ポ
リスチレンとゴムとの中間の弾性と剛性とを持ってい
る。このような樹脂の粒子に、飽和脂肪族炭化水素、脂
環族炭化水素又はハロゲン化脂肪族炭化水素から選ばれ
た発泡剤を含ませ、発泡剤の量を樹脂100重量部に対
し4−12重量部としたので、得られた樹脂粒子は、こ
れを加熱すると、ポリスチレンのように発泡して成形体
にすることができ、こうして得られた成形体はポリスチ
レンにゴム状の弾性を付与したような柔軟な発泡体とな
る。また、この粒子は、0.01−0.5重量部の共役
ジエン化合物を単量体の形で含んでいるので、熟成が容
易であり、また熟成の効果を喪失しにくくなっている。
従って、熟成に伴う従来の難点を解決したものとなって
いる。この点で、この発明の効果は大きい。
【0034】以下に実施例と比較例とを挙げて、この発
明のすぐれている所以を具体的に明らかにする。以下の
実施例及び比較例において、単に部及び%と云うのは、
重量部及び重量%の意味である。
【0035】
【実施例1】 (発泡性粒子の製造)ブタジエン含有量が7.2%、ス
チレン含有量が92.8%の耐衝撃性スチレン樹脂を使
用し、これを押出機に投入して直径が0.8mm、長さ
が1mmのペレットに成形した。
【0036】内容積が50リットルの撹拌機付き耐圧密
閉容器に、ピロリン酸マグネシウム40g、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム2gを水24kgに溶解し
た水溶液を入れ、この中に上記ペレット20kgを投入
した。その後、容器内を100℃に昇温し、ノルマルペ
ンタン(発泡剤)2kgとブタジエン(共役ジエン化合
物)13gを圧入し、100℃に8時間保持して、発泡
剤と共役ジエン化合物とをペレットに含浸させた。その
後30℃まで冷却して、容器内に残留している発泡剤と
共役ジエン化合物とを取り除き、ペレットを水溶液から
分離して発泡性粒子を得た。この発泡性粒子は樹脂10
0重量部あたりノルマルペンタンを7.4部と、単量体
の形のブタジエンを0.04部含んでいた。
【0037】この発泡性粒子を10℃又は25℃で数日
間貯蔵し、毎日その中から若干個を取り出して予備発泡
させ、発泡状態を調べて熟成が完了するに必要な日数を
調べた。その日数は10℃で貯蔵した場合に2日、25
℃で貯蔵した場合に4日であった。こうして熟成の完了
した発泡性粒子を嵩倍数40倍に発泡させ、20℃の空
気中に24時間放置したのち、これを300×200×
100mmの金型内に詰め込み、この金型内に0.5K
g/cm2 Gの水蒸気を40秒間吹き込んで、粒子をさ
らに発泡させるとともに互いに融着させて発泡成形体を
得た。
【0038】得られた発泡成形体は均一微細に発泡して
おり、収縮のない外観の良好なものであった。
【0039】別に、熱安定性試験のために上記の熟成し
た発泡性粒子を40℃に5時間保管したのち、直ちに嵩
倍数40倍に予備発泡させた。得られた発泡粒子の気泡
数を測定したところ、表面において100−140個/
mm2 、内部において100−140個mm2 であり、
均一微細に発泡していた。また得られた発泡粒子を上と
全く同様に発泡成形体とした。発泡成形体も均一微細に
発泡しており、収縮のない外観の良好なものであった。
これにより、熟成後40℃に5時間保管しても、熟成効
果を喪失しないことが明らかとなった。
【0040】
【実施例2】実施例1と同じ耐衝撃性スチレン樹脂を用
い同様に実施したが、ただブタジエンの圧入量を増して
35gとして発泡性粒子を作った。発泡性粒子は、樹脂
100部あたりノルマルペンタンを7.3部と、単量体
の形のブタジエンを0.11部含んでいた。
【0041】この発泡性粒子を実施例1と同様に処理し
て熟成が完了するに必要な日数を調べた。その日数は1
0℃に貯蔵した場合に2日、25℃で貯蔵した場合に3
日であった。こうして熟成の完了した発泡性粒子を用い
て、実施例1と全く同様に発泡させ、その後発泡成形体
とした。得られた予備発泡粒子も発泡成形体も均一微細
に発泡しており、収縮のない外観の良好なものであっ
た。
【0042】また熱安定性試験のために、上記の熟成し
た発泡性粒子を40℃に5時間保管したのち、直ちに嵩
倍数40倍に予備発泡させた。得られた発泡粒子の気泡
数を測定したところ、表面80−120個/mm2 、内
部80−120個mm2 であり、均一微細であった。さ
らに得られた発泡粒子を使用して上と全く同様にして発
泡成形体を得た。得られた発泡成形体は均一微細に発泡
しており、収縮のない外観の良好なものであった。
【0043】
【実施例3】実施例1と同じ耐衝撃性スチレン樹脂を用
い、同様に実施したが、ただブタジエンの圧入量をさら
に増して115gとして発泡性粒子を作った。発泡性粒
子は、樹脂100部あたりノルマルペンタンを7.4部
と、ブタジエン単量体を0.37部含んでいた。
【0044】この発泡性粒子を実施例1と同様に処理し
て熟成が完了するのに必要な日数を調べた。その日数は
10℃で1日、25℃で2日であった。こうして熟成の
完了した発泡性粒子を用いて、その後は実施例1と全く
同様にして予備発泡粒子を作り、その後発泡成形体を作
った。得られた予備発泡粒子も発泡成形体も均一微細に
発泡しており、収縮のない外観の良好なものであった。
【0045】また熱安定性試験のために、上記の熟成し
た発泡性粒子を40℃に5時間保管したのち、直ちに嵩
倍数40倍に予備発泡させた。得られた発泡粒子の気泡
数を測定したところ、表面において80−120個/m
2 、内部において80−120個/mm2 であり、均
一微細であった。さらに得られた発泡粒子を使用して、
上と全く同様にして発泡成形体を得た。得られた発泡成
形体も均一微細に発泡しており、収縮のない外観の良好
なものであった。
【0046】
【比較例1】この比較例は、実施例1においてブタジエ
ンを全く用いないこととした以外は、実施例1と全く同
様にして発泡性粒子を作った。この発泡性粒子は、樹脂
100部あたりノルマルペンタンを7.2部含んでい
た。
【0047】この発泡性粒子を実施例1と同様に処理し
て熟成が完了するに必要な日数を調べた。その日数は1
0℃で8日、25℃で21日であった。こうして熟成の
完了した発泡性粒子を用いて実施例1と全く同様にして
発泡させその後発泡成形体を作った。得られた発泡成形
体は均一微細に発泡しており、収縮のない外観の良好な
ものであった。
【0048】また熱安定性試験のために、上記の熟成し
た発泡性粒子を40℃に5時間保管したのち、直ちに嵩
倍数40倍に予備発泡させた。得られた発泡粒子の気泡
数を測定したところ、表面100−140個/mm2
内部4個/mm2 以下であり不均一であった。さらに得
られた発泡粒子を使用して上と全く同様にして発泡成形
体を得た。得られた発泡成形体は、不均一に発泡してお
り、収縮した外観の劣ったものであった。従って、熟成
後に40℃に5時間保管したために、熟成の効果が失わ
れていることが明確となった。
【0049】
【比較例2】この比較例は、実施例1においてブタジエ
ンの圧入量を減らして2gのブタジエンを圧入すること
とした以外は、実施例1と全く同様にして発泡性粒子を
作った。この発泡性粒子は、樹脂100部あたりノルマ
ルペンタンを7.5部、ブタジエンを0.006部含ん
でいた。
【0050】この発泡性粒子を実施例1と同様に処理し
て熟成が完了するに必要な日数を調べた。その日数は1
0℃で7日、25℃で19日であった。こうして熟成の
完了した発泡性粒子を用いて実施例1と全く同様にして
発泡させ、その後発泡成形体とした。得られた発泡成形
体は均一微細に発泡しており、収縮のない外観の良好な
ものであった。
【0051】熱安定性試験のために、上記の熟成した発
泡性粒子を40℃に5時間保管したのち、直ちに嵩倍数
40倍に予備発泡させた。得られた発泡粒子の気泡数を
測定したところ、表面100−140個/mm2 、内部
4個/mm2 以下であり不均一であった。さらに得られ
た発泡粒子を使用して、上と全く同様にして発泡成形体
を得た。得られた発泡成形体は不均一に発泡しており、
収縮した外観の劣るものであった。従って、熟成後に4
0℃に5時間保管したために熟成の効果が失われている
ことが明らかであった。
【0052】
【比較例3】この比較例は、実施例1においてブタジエ
ンの圧入量を多くして250g圧入した以外は、実施例
1と全く同様にして発泡性粒子を作った。この発泡性粒
子は、樹脂100部あたりノルマルブタンを7.3部、
ブタジエンを0.79部含んでいた。
【0053】この発泡性粒子を実施例1と同様に処理し
て熟成が完了するに必要な日数を調べた。その日数は1
0℃で6日、25℃で12日であった。こうして熟成の
完了した発泡性粒子を用いて実施例1と全く同様にして
発泡させ、その後発泡成形体とした。こうして得られた
発泡成形体は均一微細に発泡しており、収縮のない外観
の良好なものであった。
【0054】熱安定性試験のために、上記の熟成した発
泡性粒子を40℃に5時間保管したのち、直ちに嵩倍数
40倍に予備発泡させた。得られた発泡粒子の気泡数を
測定したところ、表面4−60個/mm2 、内部4個/
mm2 以下であり不均一であった。さらに得られた発泡
粒子を使用して、上と全く同様にして発泡成形体を得
た。得られた発泡成形体は不均一に発泡しており、収縮
した外観の劣るものであった。従って、熟成後に40℃
に5時間保管したために、熟成の効果が失われているこ
とが明らかとなった。
【0055】
【比較例4】この比較例は、樹脂を構成しているジエン
化合物と同じジエン化合物を用いないと、熟成の効果が
得られない例である。その詳細は次のとおりである。
【0056】この比較例は、実施例1においてブタジエ
ンの代わりにイソプレン35gを用いることとした以外
は、実施例1と全く同様にして発泡性粒子を作った。こ
の発泡性粒子は、樹脂100部あたりノルマルペンタン
を7.6部とイソプレン単量体0.13部を含んでい
た。
【0057】この発泡性粒子を実施例1と同様に処理し
て、熟成が完了するのに必要な日数を調べた。その日数
は10℃で8日、25℃で20日であった。こうして熟
成の完了した発泡性粒子を用いて実施例1と全く同様に
して発泡させ、その後発泡成形体とした。得られた予備
発泡粒子も発泡成形体も均一微細に発泡しており、収縮
のない外観の良好なものであった。
【0058】また、熱安定性試験のために、上記の熟成
した発泡性粒子を40℃に5時間保管したのち、直ちに
嵩倍数40倍に予備発泡させた。得られた発泡粒子の気
泡数を測定したところ、表面100−140個/m
2 、内部4個/mm2 以下であり不均一であった。さ
らに得られた発泡粒子を使用して、上と全く同様にして
発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は不均一に発泡
しており、収縮した外観の劣るものであった。従って、
熟成後に40℃に5時間保管したために熟成の効果が失
われていることが明確となった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡剤を含んだスチレン系樹脂粒子であ
    って、そのスチレン系樹脂は60−97重量%のスチレ
    ン系単量体と、3−30重量%の共役ジエン化合物とが
    重合又は共重合して構成されており、上記発泡剤は、上
    記スチレン系樹脂の軟化点より低い沸点を持った飽和脂
    肪族炭化水素、脂環族炭化水素又はハロゲン化脂肪族炭
    化水素から選ばれて、上記樹脂100重量部に対し4−
    12重量部含まれ、上記スチレン系樹脂はさらに0.0
    1−0.5重量部の上記共役ジエン化合物を単量体の形
    で含んでいることを特徴とする、発泡性スチレン系樹脂
    粒子。
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