JPH0632877B2 - プレス機械 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ この発明はプレス機械に係り、さらに詳細には、プレス
機械のフレームに回転自在に支承された偏心軸（クラン
ク軸）の回転によってラムが上下動されるクランクプレ
スに関する。

［発明の技術的背景およびその問題点］ 偏心軸（クランク軸）の回転によってラムが上下動され
る型式のクランクプレス機械においては、偏心軸とラム
はコネクティングロッドを介して連動連結されている。
この種のプレス機械においては、たとえばダイハイト等
を調節するために、コネクティングロッドの１部に螺子
調節機構が設けられ、コネクティングロッドの全体的長
さが調節自在に構成されている。すなわち、従来におい
ては、コネクティングロッドとラムとの枢支連結部と前
記螺子調節機構は直列的配置であるので、コネクティン
グロッドは比較的長くならざるを得ないものであった。
また、上述のごとき型式のプレス機械においては、コネ
クティングロッドとラムとの枢支連結部はラムの上面付
近あるいは上方位置に位置するものである。

したがって従来においては、コネクティングロッドが比
較的長くなることによる強度的問題や、プレス機械が全
体的に高く大きくなる問題および前記枢支連結部がラム
の上方に位置することにより、偏心軸の回転によりコネ
クティングロッドの傾斜が大きなとき、ラムの上下動を
案内するラムガイド部に比較的大きな負荷が作用する等
の問題がある。

［発明の目的］ この発明は上記のごとき従来の問題に鑑みて発明したも
ので、その目的は、コネクティングロッドの長さを変更
することなしにダイハイト等を調節でき、かつラムガイ
ド部に作用するモーメントが比較的小さな新規なプレス
機械を提供することである。

［発明の概要］ 上記目的を達成するために、この発明においては、プレ
ス機械のフレームに上下動自在に支承されたラムにナッ
ト部材を回転可能に装着し、このナット部材内に位置調
節自在に螺着された螺子部材とコネクティングロッドの
下端部とを連結ピンを介して枢支連結してなるものであ
る。また、上記連結ピンの位置を、ラムの上下幅のほぼ
中央部付近に設けてなるものである。

［発明の実施例］ 第１図を参照するに、プレス機械（１）のフレーム
（３）は、四角形状のベッド（５）の各角部に複数の支
柱（７）を立設し、各フレーム（７）によって上部フレ
ーム（９）が支持された態様の門型の構成を成してい
る。上記ベッド（５）の上方位置には、ベッド（５）上
に装着される下型と対応する上型を支持するラム（１
１）が上下動自在に設けられている。前記上部フレーム
（９）内には、駆動モータ（図示省略）によって回転さ
れる偏心軸（クランク軸）（１３）が回転自在に支承さ
れており、この偏心軸（１３）とラム（１１）とは、複
数のコネクティングロッド（１５）を介して連動連結さ
れている。したがって、偏心軸（１３）の回転によって
ラム（１１）が上下動されることが理解されよう。

第２図を参照するに、各支柱（７）の平断面形状は４角
形状であり、各支柱（７）が対向した２面には、前記ラ
ム（１１）を上下に案内するガイドレール（１７）が設
けられており、ラム（１１）の各角部には、各ガイドレ
ール（１７）に沿って転動する複数組のガイドローラ
（１９）が上下に離隔して回転自在に設けられている。
より詳細には、一対のガイドローラ（１９）は、ラム
（１１）の角部に互に直交して設けられた固定軸（２
０）に回転自在に支承されており、各ガイドローラ（１
９）を案内する前記ガイドレール（１７）は位置調節可
能に設けられている。

すなわち、各ガイドレール（１７）がガイドローラ（１
９）を案内する案内面の反対側の面は円弧面（１７Ｃ）
に形成しており、上下方向に延伸したガイドレール支持
部材（２１）の円弧面（２１Ｃ）と面接触してある。そ
して、各ガイドレール（１７）は、複数のボルト（２
３）を介することにより、円弧面（２１Ｃ）に沿って僅
かに調節可能であるように、ガイドレール支持部材（２
１）に取付けられている。したがって、ガイドレール
（１７）とガイドローラ（１９）とは正確に線接触とな
るように調節され得るものである。

前記ガイドレール（１７）の垂直度を調節するために、
前記ガイドレール支持部材（２１）には上下に離隔して
それぞれ空隙部（２５）が形成されており、各空隙部
（２５）のほぼ中央部には、支柱（７）に水平に取付た
支持ピン（２７）の先端部（２９）が位置されている。
支持ピン（２７）の先端部（２９）は截頭角錐形に形成
されており、この先端部（２９）とガイドレール支持部
材（２１）の空隙部（２５）の内面との間には、それぞ
れ楔部材（３１）が介在してあり、各楔部材（３１）は
調節ボルト（３３）によって位置調節可能に支持されて
いる。

上記構成により、各楔部材（３１）の位置を調節するこ
とにより、各ガイドレール支持部材（２１）を水平方向
に位置調節することができ、ガイドレール（１７）の垂
直度を調節し得ることが理解されよう。すなわち、この
実施例によれば、ラム（１１）の上下動の案内を正確に
行なうことができるものである。

第２図、第３図を参照するに、ラム（１１）の左右両側
部付近には、ほぼ円筒形状の支持ポスト（３５）が立設
してある。各支持ポスト（３５）は、第２図より明らか
なように、ラム（１１）の前後方向（第２図においては
上下方向）のほぼ中央部に位置しており、かつ第１図に
概略的に示されるように、ラム（１１）の上下幅のほぼ
中央部付近に位置してある。各支持ポスト（３５）内に
は、円筒形状のナット部材（３７）が回転自在かつ僅か
に上下動可能に嵌合されている。そして、上記ナット部
材（３７）内に上下位置調節自在に螺入された螺子部材
（３９）に連結ピン（４１）を介して前記コネクティン
グロッド（１５）の下端部が枢支連結されている。

より詳細には、支持ポスト（３５）の底部付近には、フ
ランジ部（４３ｆ）を備えた円筒形状のジヤミング解除
ブロック（４３）が上下動可能に嵌入してあり、このジ
ヤミング解除ブロック（４３）の上部に前記ナット部材
（３７）が支承されており、ナット部材（３７）の上方
向への離脱は、支持ポスト（３５）に固定された円筒形
状のガイド筒部材（４５）によって防止されている。上
記ジヤミング解除ブロック（４３）のフランジ部（４３
ｆ）と支持ポスト（３５）の底部との間に形成された環
状部には、圧油を充填した環状のチューブ部材（４７）
が介在してあり、このチューブ部材（４７）は適宜材質
の保護カバー（４９）によって保護されている。

上記チューブ部材（４７）は、ジヤミング解除ブロック
（４３）または支持ポスト（３５）の適宜一方に取付け
られるもので、本実施例においては、リング状の締付部
材（５１）と複数のボルト（５３）によってフランジ部
（４３ｆ）の下面に取付けられている。上記チューブ部
材（４７）は、ジヤミング解除ブロック（４３）に取付
けた開閉弁（５５）や適宜の配管（５７）を介して、ラ
ム（１１）に装着したアキュムレータ（５９）（第２図
参照）に接続されている。したがって、開閉弁（５５）
を開閉することにより、チューブ部材（４７）内の油圧
をアキュムレータ（５９）へ排出したり、あるいはアキ
ュムレータ（５９）から圧油の供給を受けることができ
る。

前記ナット部材（３７）を回転するために、前記ラム
（１１）には、後述するウォームギヤ（６３）及びウォ
ーム（６５）を備えてなるウォーム機構が設けられてい
る。第３図により明らかなように、前記ウォーム機構は
前記ナット部材（３７）の外側に位置し、かつ前記ナッ
ト部材（３７）内の螺子部材（３９）および連結ピン
（４１）とほぼ同程度の高さ位置に設けられている。

上記ウォーム機構と連動するために、前記ナット部材
（３７）にはキー（６１）が取付けてあり、このキー
（６１）は前記支持ポスト（３５）に回転自在に支承さ
れたリング状のウオームギヤ（６３）に形成されたキー
溝に上下動可能に係合されている。上記ウオームギヤ
（６３）は、支持ポスト（３５）の内側の側面部に回転
自在に支持されたウオーム（６５）と噛合してある。各
ウオーム（６５）の軸端部にはそれぞれスプロケット
（６７）が取付けられており、各スプロケット（６７）
に掛回したチェン（６９）は、ラム（１１）の上面に装
着されたダイハイト調整モータ（７１）に備えられた駆
動スプロケット（７３）に掛回されている。

以上のごとき構成により、ダイハイト調整モータ（７
１）を駆動すると、駆動スプロケット（７３）、チェン
（６９）およびスプロケット（６７）を介してウオーム
（６５）が回転され、かつウオームギヤ（６３）が回転
される。ウオームギヤ（６３）の回転によりキー（６
１）を介してナット部材（３７）が適宜に回転され、螺
子部材（３９）の位置が調節されることとなる。すなわ
ち、螺子部材（３９）に対してナット部材（３７）が上
下に位置し、ラム（１１）の上下位置が調節され、ダイ
ハイトが調節されることとなる。

また、前述のごとく偏心軸（１３）を回転し、ラム（１
１）を上死点から下降せしめて、ベッド（５）に装着さ
れた下型とラム（１１）に装着されたれ上型とによって
ワークピースの加工を行なうとき、加圧力は、コネクテ
ィングロッド（１５）から連結ピン（４１）、螺子部材
（３９）、ナット部材（３７）、ジヤミング解除ブロッ
ク（４３）およびチューブ部材（４７）内の圧油を介し
てラム（１１）に伝達される。上記のごとくラム（１
１）を下降せしめてワークピースの加工を行なうとき、
ジヤミングを生じてラム（１１）が下死点付近において
動かなくなったときには、開閉弁（５５）を開いてチュ
ーブ部材（４７）内の圧油をアキュムレータ（５９）へ
排除可能な状態にする。その後、偏心軸（１３）を回動
せしめると、チューブ部材（４７）が縮小されて、ラム
（１１）に対してコネクティングロッド（１５）等が下
降でき、偏心軸（１３）は下死点を通過することができ
る。したがって、偏心軸（１３）を上死点へ復帰せしめ
ることによってラム（１１）を、停止した位置から上昇
できる。すなわちジヤミングを解消することができるこ
ととなり、ジヤミングを生じた原因を除去すると共に、
アキュムレータ（５９）からチューブ部材（４７）内に
圧油を供給した後、開閉弁（５５）を閉じることによ
り、次の加工が再開可能となる。

なお、既に明らかなように、この実施例によれば、ダイ
ハイトを調節するための螺子調節機構は、ラム（１１）
とコネクティングロッド（１５）との枢支連結部に構成
されているので、ダイハイトの調節によっても、偏心軸
（１３）からラム（１１）とコネクティングロッド（１
５）との枢支連結位置までの寸法は常に一定に保持され
る。よってコネクティングロッド（１５）の全体的長さ
を比較的短く構成でき、プレス機械全体を比較的低く構
成できるものである。また、ラム（１１）とコネクティ
ングロッド（１５）との枢支連結位置は、ラム（１１）
の上下幅のほぼ中央部に位置するので、ラム（１１）の
ガイド部に作用するモーメントは比較的小さなものとな
る。さらに、ジヤミング解消のための油圧チャンバー
は、チューブ部材によって構成されるので、圧油が全く
洩れるようなことがないものである。

［発明の効果］ 以上のごとき実施例の説明より理解されるように、要す
るに本発明は、フレーム（７）に設けたガイド部によっ
て上下動自在に案内されるラム（１１）に、上部側が開
口したナット部材（３７）を回転可能に装着して設ける
と共に、このナット部材（３７）を回転するたのウォー
ム機構を前記ラム（１１）に設け、前記ナット部材（３
７）内に上下位置調節自在に螺着した螺子部材（３９）
に設けた連結ピン（４１）を、前記ウォーム機構とほぼ
同程度の高さ位置に設け、前記フレーム（７）に回転自
在に支承された偏心軸（１３）によって上下動されるコ
ネクティングロッド（１５）の下端部を前記連結ピン
（４１）に枢支連結してなるものである。

また、コネクティングロッド（１５）とラム（１１）と
を枢支連結した連結ピン（４１）の位置は、ラム（１
１）の上下幅のほぼ中央部付近である。

上記構成より明らかなように、本発明においては、フレ
ーム（７）に設けたガイド部にラム（１１）が上下動自
在に案内されているものであり、このラム（１１）に取
付た回転自在なナット部材（３７）内に上下位置調節自
在に螺着した螺子部材（３９）に設けた連結ピン（４
１）は、上記ナット部材（３７）を回転するためにラム
（１１）に設けたウォーム機構とほぼ同程度の高さ位置
に設けてある。そして、前記ラム（１１）を上下動する
ためのコネクティングロッド（１５）の下端部は前記連
結ピン（４１）に枢支連結してある。

すなわち本発明によれば、ラム（１１）がフレームに直
接的に上下動自在に案内されていること、およびコネク
ティングロッド（１５）の下端部がナット部材（３７）
内に位置し、かつナット部材（３７）を回転するための
ウォーム機構とほぼ同程度の高さ位置であることによ
り、ラム（１１）を上下動自在に案内する案内部とナッ
ト部材（３７）とコネクティングロッド（１５）の下端
部とがほぼ同一高さになり、前記コネクティングロッド
（１５）を上下動するための偏心軸（１３）からラム
（１１）の下面までの寸法を比較的小さくでき、プレス
機械の全体的高さを低くできるものである。

また、ラム（１１）を上下動自在に案内する案内部とナ
ット部材（３７）とコネクティングロッド（１５）の下
端部とがほぼ同一高さになることにより、上記案内部か
らコネクティングロッド（１５）の下端部を枢支連結し
た連結ピン（４１）までの寸法が比較的小さくなる。し
たがって、偏心軸（１３）の回転によりコネクティング
ロッド（１５）の上端部が揺動しつつ上下動することに
よって連結ピン（４１）の部分に水平分力が作用し、こ
の水平分力により前記案内部に作用するモーメントは比
較的小さくなるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るプレス機械を概略的に示した正面
図、第２図は第１図におけるII−II線に沿った拡大断面
図、第３図は第２図におけるIII−III線に沿った拡大断
面図である。 （３）……フレーム、（１１）……ラム （３７）……ナット部材、（３９）……螺子部材 （１３）……偏心軸 （１５）……コネクティングロッド （４１）……連結ピン

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フレーム（７）に設けたガイド部によって
   上下動自在に案内されるラム（１１）に、上部側が開口
   したナット部材（３７）を回転可能に装着して設けると
   共に、このナット部材（３７）を回転するたのウォーム
   機構を前記ラム（１１）に設け、前記ナット部材（３
   ７）内に上下位置調節自在に螺着した螺子部材（３９）
   に設けた連結ピン（４１）を、前記ウォーム機構とほぼ
   同程度の高さ位置に設け、前記フレーム（７）に回転自
   在に支承された偏心軸（１３）によって上下動されるコ
   ネクティングロッド（１５）の下端部を前記連結ピン
   （４１）に枢支連結してなることを特徴とするプレス機
   械。
2. 【請求項２】コネクティングロッド（１５）とラム（１
   １）とを枢支連結した連結ピン（４１）の位置は、ラム
   （１１）の上下幅のほぼ中央部付近であることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項に記載のプレス機械。