JPH06327952A - 混合溶液の分離方法 - Google Patents

混合溶液の分離方法

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JPH06327952A
JPH06327952A JP11729493A JP11729493A JPH06327952A JP H06327952 A JPH06327952 A JP H06327952A JP 11729493 A JP11729493 A JP 11729493A JP 11729493 A JP11729493 A JP 11729493A JP H06327952 A JPH06327952 A JP H06327952A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 気化浸透法で混合溶液を分離するにあたっ
て、分離性能を高める。 【構成】 混合溶液1が導入される溶液室2と減圧室3
との間に混合溶液1に接触されない状態で透過膜4を設
ける。減圧室3を減圧して溶液室2内で発生する混合溶
液1の蒸気を溶液室2から減圧室3へと透過膜4を透過
させることによって混合溶液1を分離する。このように
して混合溶液1を分離するにあたって、透過膜4として
置換アセチレン系ポリマーの膜を用いる。透過膜4は混
合溶液1に直接接触しないために膨潤等で分離性能が低
下することがない。またケイ素を有する置換アセチレン
系ポリマーの膜は微細孔を有しており、分離される液成
分は透過膜の微細孔を通過して減圧室側から溶液室側に
透過される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気化浸透法と称される
透過膜を用いた混合溶液の分離方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】水−アルコールの混合溶液など、2以上
の液成分が混合された混合溶液を分離する手法の一つと
して浸透気化法が従来から提供されている。この浸透気
化法は図3にその原理を示すように、透過膜4で分離槽
5を上側の溶液室2と下側の減圧室3とに仕切り、溶液
室2内に混合溶液1を導入して透過膜4に混合溶液1を
接触させた状態で減圧室3内を減圧することによって、
混合溶液1中の特定の成分を透過膜4に優先的に浸透拡
散させると共に透過膜4を浸透して透過したこの成分を
透過膜4の減圧室3側の表面から気化させるようにした
ものであり、このようにして透過膜4を浸透透過させた
成分を捕集することによって混合溶液から特定成分を分
離採取することができるのである。しかし、この浸透気
化法においては混合溶液1が透過膜4に直接接触した状
態にあり、一般に高分子材料で形成される透過膜4は混
合溶液によって膨潤されることが多々ある。そしてこの
ように透過膜4が膨潤される等すると透過膜4の膜機能
が低下し、混合溶液1の分離性能は著しく損なわれるお
それがある。
【0003】そこで本発明者等によって気化浸透法とも
称すべき手法が開発されており、この気化浸透法を用い
た混合溶液の分離方法は特開昭63−162003号等
で既に提供されている。すなわちこの方法は図1にその
原理を示すように、減圧室3と混合溶液1が導入される
溶液室2とを混合溶液1に接触させない状態の透過膜4
で仕切り、減圧室3を減圧して溶液室2内で発生する混
合溶液1の蒸気を透過膜4に浸透させると共に溶液室2
側から減圧室3側へと透過させるようにしたものであ
る。この方法では透過膜4は混合溶液1に接しないため
に透過膜4の膨潤による膜機能の低下等の問題がなく、
混合溶液1の分離性能を高めることができるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように気化浸透
法は従来の浸透気化法よりも高い分離性能で混合溶液1
を分離することができる。しかしこの気化浸透法におい
ても透過膜4自体の性能の影響を大きく受けるものであ
り、透過膜4によっては分離性能が十分でない場合もあ
る。
【0005】従って本発明は、気化浸透法においてさら
に特定の透過膜4を選定することによって混合溶液1の
分離性能を高めることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、混合溶液1が
導入される溶液室2と減圧室3との間に混合溶液1に接
触されない状態で透過膜4を設け、減圧室3を減圧して
溶液室2内で発生する混合溶液1の蒸気を溶液室2から
減圧室3へと透過膜4を透過させることによって混合溶
液1を分離するにあたって、透過膜4として置換アセチ
レン系ポリマーの膜を用いることを特徴とするものであ
る。
【0007】また本発明にあって、溶液室2内の混合溶
液1を加熱すると共に透過膜4を混合溶液1の加熱温度
よりも低温に保持しながら、混合溶液1の分離をおこな
うことができる。さらに本発明にあって、置換アセチレ
ン系ポリマーとしてポリ(1−アルキルジメチルシリル
−1−プロピン)を用いることができる。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。図1は既
述のように本発明の気化浸透法による液分離の原理装置
の一例を示すものであり、透過膜4で分離槽5を上側の
減圧室3と下側の溶液室2とに仕切り、溶液室2内に導
入される混合溶液1の液面と透過膜4の下面との間に空
間を形成させて透過膜4には混合溶液1が接触しないよ
うにしてあり、減圧室3には真空ポンプなどを接続して
減圧するようにしてある。混合溶液1としては醗酵アル
コールからアルコールを濃縮分離する場合における水と
アルコールとの混合溶液など、2以上の液成分が混合さ
れたものが用いられるものである。
【0009】そして本発明では、透過膜4としてケイ素
を有する置換アセチレン系ポリマーの膜を用いる。この
ケイ素を有する置換アセチレン系ポリマーは一般構造式
が次の(A)式で示されるものである。
【0010】
【化1】
【0011】(A)式のRは特に限定されるものではな
いが、ケイ素を有する置換アセチレン系ポリマーの具体
例としては次のものを例示することができる。
【0012】
【化2】
【0013】本発明ではケイ素を有する置換アセチレン
系ポリマーとしてはこれらのうち、式(1)〜(6)の
ポリ(1−アルキルジメチルシリル−1−プロピン)が
特に好ましい。ケイ素を有する置換アセチレン系ポリマ
ーによって透過膜4を作成するにあたっては、ケイ素を
有する置換アセチレン系ポリマーを溶剤に溶かし、これ
を流延して溶剤を蒸発させることによって容易におこな
うことができる。このケイ素を有する置換アセチレン系
ポリマーの透過膜4を用いることによって、混合溶液1
中の複数の液成分のうち、最も透過膜4に対する親和性
の高い液成分を選択的に分離することができるものであ
る。ケイ素を有する置換アセチレン系ポリマーの透過膜
4は一般的に水よりもアルコールに対する親和性が高い
ので、水−アルコール混合溶液からアルコールを選択的
に分離することができる。
【0014】しかして図1の装置において、透過膜4と
してケイ素を有する置換アセチレン系ポリマーの膜を用
い、減圧室3内を減圧すると、溶液室2内において混合
溶液1から蒸発される蒸気が透過膜4に接触すると透過
膜4に浸透して拡散され、この蒸気は減圧室3のほうが
溶液室2内よりも高い減圧状態にあるために透過膜4を
透過して減圧室3側に至り、透過膜4の表面から減圧室
3内に気化する。このとき透過膜4は混合溶液1の蒸気
中の成分のうち透過膜4と親和性の高い成分を優先的に
浸透させて拡散させるものであり、従って蒸気のうち透
過膜4と親和性の高い成分が優先的に透過膜4を透過す
ることになり、減圧室3側に至った液は透過膜4に対す
る親和性の高い成分の濃度が高められることになる。例
えば混合溶液1として水−エタノール溶液を使用して水
とエタノールとを分離する場合、ケイ素を有する置換ア
セチレン系ポリマーの透過膜4はエタノールを優先的に
透過させるので、減圧室3に至った液はエタノール濃度
が高められることになり、エタノール成分を濃度高く分
離した状態で減圧室3から回収することができるのであ
る。
【0015】そしてこのように気化浸透法の工法でケイ
素を有する置換アセチレン系ポリマーの透過膜4を用い
ると、高い分離性能で液分離をおこなうことができるも
のであり、特に注目すべきは透過膜4を液が透過する速
度を極めて高く得ることができるということである。透
過膜4として例えばポリジメチルシロキサン(シリコ
ン)膜を用いた場合よりも透過速度は一般に100倍前
後の高い速度を得ることができ、本発明では実用的なレ
ベルの透過速度にまで達しているものである。ケイ素を
有する置換アセチレン系ポリマーの透過膜4は、走査型
電子顕微鏡による観察によってポリマー粒子間に1〜2
nm程度の微細孔が存在することが確認されており、液
はこのポリマー粒子間の微細孔を通過して透過膜4内を
浸透透過していると考えられるものであり、シリコン膜
等のように膜を構成するポリマーの分子間を液分子が浸
透する場合に比べて遙に高い透過速度を得ることができ
る理由はここにあるものと考えられる。ちなみに、図1
の装置において減圧室3内を減圧すると、溶液室2内も
減圧状態になり、この点からもケイ素を有する置換アセ
チレン系ポリマーの透過膜4には微細孔が存在すること
が確認される。
【0016】図2は気化浸透法による液分離の原理装置
の改良された一例を示すものであり、このものでは溶液
室2内の混合溶液1を加熱すると共に透過膜4を冷却す
るようにしてある。混合溶液1の加熱は溶液室2を加熱
浴7に浸漬しておこなう他、溶液室2の外周に加熱ジャ
ケットを取り付けたり、溶液室2内にヒータを取り付け
たり、さらには分離槽5の全体を加熱したり、任意の方
法でおこなうことができる。この加熱は、少なくとも分
離槽5が置かれている雰囲気温度よりも高い温度に混合
溶液2を昇温させるようにすればよく、加熱の温度は何
等規制されない。透過膜4の冷却は、例えば透過膜4の
周囲にジャケット8を取り付けてジャケット8に冷媒を
通すことによっておこなうことができる。この冷却は透
過膜4の温度が溶液室2の混合溶液1の液温より低く保
つことができるものであればよい。また、この図2の装
置で液分離をおこなう場合には、混合溶液1として沸点
の異なる2以上の液成分が混合されたもの、例えば水と
エタノール( 沸点78. 3℃) との混合溶液2や水とメ
タノール( 沸点64. 1℃) との混合溶液2などを使用
するものであり、さらにケイ素を有する置換アセチレン
系ポリマーの透過膜4に対して親和性の高い液成分が混
合溶液2中で最も沸点の低い成分となっているものを用
いるものである。
【0017】このものにあって、減圧室3を減圧すると
共に溶液室2内の混合溶液1を加熱すると、混合溶液1
の各成分のうち沸点の低い液成分が蒸発され易いため
に、透過膜4に達する蒸気は沸点の低い液成分の濃度が
高くなっており、そしてこの沸点の低い液成分が選択的
に透過膜4を優先して透過されるために、透過膜4を透
過させて分離する液成分の濃度を高めることができ、混
合溶液1の分離性能を高めることができるのである。し
かもこのとき、上記のように透過膜4を冷却することに
よって、混合溶液1の分離性能を一層高めることができ
る。その理由は明らかではないが、溶液室2において混
合溶液1から蒸発した蒸気がこの透過膜4に至ると、透
過膜4による冷却作用で蒸気中の沸点の高い液成分は沸
点の低い液成分よりも凝縮され易く、従って沸点の高い
液成分は会合され易くなって分子の集合形態が大きくな
り、この結果、沸点の高い液成分は透過膜4の微細孔を
より透過し難くなると共に、これに伴って沸点の低い液
成分が透過膜4の微細孔をより優先して透過されること
になるためである、と予想される。このように混合溶液
1を加熱すると共に透過膜4を冷却することによって、
透過膜4を透過させて分離する液成分の濃度を高めるこ
とができることになるのである。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例によって例証する。 (実施例1)1−トリメチルシリル−1−プロピン(チ
ッソ株式会社製)17ミリリットルを精製トルエン40
ミリリットルに溶解し、凍結脱気した(試料液Aとす
る)。また塩化タルタン(TaCl5 )71ミリリット
ルを精製トルエン6ミリリットルに溶解し、凍結脱気し
た(試料液Bとする)。さらに精製トルエン1容量部と
精製メタノール9容量部を混合して試料液Cを調製し
た。
【0019】上記試料液Aと試料液Bをそれぞれ80℃
に加熱した後、試料液Aと試料液Bを混合して封管中で
80℃の加熱温度を維持することによって、塩化タルタ
ンを触媒として重合反応をおこなった。3時間経過後、
試料液Cを1000ミリリットル添加して、メタノール
を反応停止剤として反応を停止させた。次に、重合物を
濾過して乾燥することによって、ポリ(1−トリメチル
シリル−1−プロピン)〔前記の化学構造式(1)のも
の:以下PTMSPと略称する〕を得た。得られたPT
MSPの分子量は、重量平均分子量が6×106 、数平
均分子量が4×105 であった。
【0020】このようにして得られたPTMSP1gを
精製トルエン49gに溶解し、これを製膜用ガラス板上
に流延し、1週間自然乾燥することによって、厚さ38
μmの膜を得た。このPTMSPの膜を透過膜として用
い、図1に示す装置で混合溶液を分離した。混合溶液と
しては表1に示す1重量%、5重量%、10重量%、3
0重量%、70重量%の濃度でエタノールを含む水−エ
タノール溶液を用い、混合溶液の温度40℃、透過膜の
周辺温度40℃に調整すると共に、減圧室を0.01T
orrに減圧して混合溶液の分離操作をおこない、減圧
室で捕集される透過液を回収した。
【0021】このようにして減圧室から回収した透過液
のエタノール濃度を測定すると共に透過液が透過膜を透
過する速度を透過速度として測定した。さらに回収した
透過液のエタノールの分離係数αEtOHを算出した。この
分離係数αEtOHは次の式から算出される。 αEtOH=(YEtOH/YH2O )/(XEtOH/XH2O ) ここでXEtOHとXH2O は溶液室に導入される混合溶液の
エタノールの重量分率と水の重量分率、YEtOHとYH2O
は減圧室で捕集された透過液のエタノールの重量分率と
水の重量分率であり、従ってαEtOHが1以上の数値であ
ると、透過膜を透過する液はエタノールの分量が水の分
量よりも大きいということになり、αの数値が大きい程
エタノールが優先的に透過膜を透過するということを意
味する。透過液の透過速度、透過液のエタノール濃度、
分離係数αEtOHを表1に示した。また混合溶液のエタノ
ール濃度と透過液のエタノール濃度の関係を図1のグラ
フに示す。
【0022】(比較例1)シリコーン(信越化学工業株
式会社製「KE10」)7gに硬化剤(信越化学工業株
式会社製「キャタリストRA」)0.25g、ベンゼン
49gを混合し、これを攪拌した後に製膜用ステンレス
板上に流延し、6時間自然乾燥することによって、厚さ
100μmのシリコーンゴム膜を得た。このシリコーン
ゴム膜を透過膜として用い、実施例1と同様にして10
%濃度でエタノールを含む水−エタノール溶液を分離
し、減圧室で捕集される透過液を回収した。透過液の透
過速度、透過液のエタノール濃度、分離係数αEtOHを表
1に示した。
【0023】
【表1】
【0024】表1にみられるように、PTMSP膜を気
化浸透法の透過膜として用いた実施例1のものは、シリ
コーンゴム膜を気化浸透法の透過膜として用いた比較例
1のものよりも透過液のエタノール濃度が高いと共に分
離係数が高く、さらに透過速度に大きな差があることが
確認される。 (実施例2)実施例1で得たPTMSPの膜を透過膜と
して用い、図2に示す装置で混合溶液を分離した。混合
溶液としては表1に示す1重量%、5重量%、10重量
%、30重量%、70重量%の濃度でエタノールを含む
水−エタノール溶液を用い、混合溶液の温度を40℃に
加熱すると共に透過膜を冷却して透過膜の周辺の温度を
20℃に調整し、減圧室を0.01Torrに減圧する
ことによって混合溶液の分離操作をおこない、減圧室で
捕集される透過液を回収した。
【0025】この透過液の透過速度、透過液のエタノー
ル濃度、分離係数αEtOHを表2に示す。また混合溶液の
エタノール濃度と透過液のエタノール濃度の関係を図4
のグラフに示す。
【0026】
【表2】
【0027】表1と表2の比較、及び図4のグラフでの
比較にみられるように、混合溶液の温度と透過膜の温度
が同じ実施例1のものよりも、混合溶液を加熱すると共
に透過膜を冷却するようにした実施例2のもののほう
が、透過液のエタノール濃度が高いと共に分離係数が高
いことが確認される。 (実施例3)実施例1で得たPTMSP膜を透過膜とし
て用い、混合溶液として10重量%の濃度でエタノール
を含む水−エタノール溶液を用い、混合溶液の温度を4
0℃に加熱すると共に透過膜の周辺の温度が表3のよう
になるように透過膜を温度調整し、減圧室を0.01T
orrに減圧することによって混合溶液の分離操作をお
こない、減圧室で捕集される透過液を回収した。
【0028】この透過液の透過速度、透過液のエタノー
ル濃度、分離係数αEtOHを表3に示す。また透過膜の温
度と透過液のエタノール濃度の関係を図5のグラフに示
す。
【0029】
【表3】
【0030】(比較例2)比較例1で得たテフロン膜を
透過膜として用い、また混合溶液として10重量%の濃
度でエタノールを含む水−エタノール溶液を用い、混合
溶液の温度を40℃に加熱すると共に透過膜の周辺の温
度が表4のようになるように透過膜を温度調整し、減圧
室を0.01Torrに減圧することによって混合溶液
の分離操作をおこない、減圧室で捕集される透過液を回
収した。この透過液の透過速度、透過液のエタノール濃
度、分離係数αEtOHを表4に示した。
【0031】(従来例)実施例1で得たPTMSPの膜
を透過膜として用い、図3に示す装置で混合溶液を分離
した。混合溶液としては10重量%の濃度でエタノール
を含む水−エタノール溶液を用い、混合溶液の温度を4
0℃に加熱すると共に、減圧室を0.01Torrに減
圧することによって混合溶液の分離操作をおこない、減
圧室で捕集される透過液を回収した。この透過液の透過
速度、透過液のエタノール濃度、分離係数αEtOHを表4
に示した。
【0032】
【表4】
【0033】表3及び表4の比較から確認されるよう
に、PTMSP膜を透過膜として用いた実施例3のもの
は、シリコーンゴム膜を透過膜として用いた比較例2の
ものよりも透過液のエタノール濃度が高いと共に分離係
数が高く、また透過速度に大きな差があった。また図5
にみられるように、透過膜を冷却することによって透過
液のエタノール濃度を高めることができることが確認さ
れる。さらに実施例3のものは、PTMSP膜を浸透気
化法の透過膜として用いた従来例のものと比較して、透
過液のエタノール濃度、分離係数、透過速度のいずれに
おいても優れていることが確認される。
【0034】
【発明の効果】上記のように本発明は、混合溶液が導入
される溶液室と減圧室との間に混合溶液に接触されない
状態で透過膜を設け、減圧室を減圧して溶液室内で発生
する混合溶液の蒸気を溶液室から減圧室へと透過膜を透
過させることによって混合溶液を分離するにあたって、
透過膜としてケイ素を有する置換アセチレン系ポリマー
の膜を用いるようにしたので、透過膜が混合溶液に直接
接触する場合のような膨潤等で分離性能が低下すること
がなく、混合溶液を分離性能高く分離することができる
ものであり、しかもケイ素を有する置換アセチレン系ポ
リマーの膜は微細孔を有しており、分離される液成分は
透過膜の微細孔を通過して減圧室側から溶液室側に透過
されるものであって、非多孔質の透過膜のように液成分
を透過膜中に拡散させて浸透させることによって透過さ
せる場合に比べて、分離される液成分が透過膜を透過す
る速度は極めて速くなり、実用的なレベルの透過速度を
得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】気化浸透法による液分離の原理装置を示す断面
図である。
【図2】気化浸透法による液分離の原理装置の改良例を
示す断面図である。
【図3】浸透気化法による液分離の原理装置を示す断面
図である。
【図4】混合溶液のエタノール濃度と透過液のエタノー
ル濃度の関係を示すグラフである。
【図5】透過膜の温度と透過液のエタノール濃度の関係
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 混合溶液 2 溶液室 3 減圧室 4 透過膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 混合溶液が導入される溶液室と減圧室と
    の間に混合溶液に接触されない状態で透過膜を設け、減
    圧室を減圧して溶液室内で発生する混合溶液の蒸気を溶
    液室から減圧室へと透過膜を透過させることによって混
    合溶液を分離するにあたって、透過膜としてケイ素を有
    する置換アセチレン系ポリマーの膜を用いることを特徴
    とする混合溶液の分離方法。
  2. 【請求項2】 溶液室内の混合溶液を加熱すると共に透
    過膜を混合溶液の加熱温度よりも低温に保持することを
    特徴とする請求項1に記載の混合溶液の分離方法。
  3. 【請求項3】 ケイ素を有する置換アセチレン系ポリマ
    ーとしてポリ(1−アルキルジメチルシリル−1−プロ
    ピン)を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の混合溶液の分離方法。
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