JPH06326043A - 非晶質シリコン膜およびその製造方法 - Google Patents

非晶質シリコン膜およびその製造方法

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JPH06326043A
JPH06326043A JP6043827A JP4382794A JPH06326043A JP H06326043 A JPH06326043 A JP H06326043A JP 6043827 A JP6043827 A JP 6043827A JP 4382794 A JP4382794 A JP 4382794A JP H06326043 A JPH06326043 A JP H06326043A
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silicon film
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 非晶質シリコンを基本成分とし、塩素原子を
0.005〜5原子%、水素原子を3〜25原子%含有
し、且つ初期欠陥密度が3×1015個/cm3以下であ
ることを特徴とする非晶質シリコン膜。 【効果】 従来の技術では困難であった高い光感度、低
い欠陥密度、且つ長期に渡り優れた耐光劣化特性を維持
する非晶質シリコン膜、並びに該非晶質シリコン膜を高
い形成速度で、更に光学的禁制帯幅を1.75〜2.5
eVの範囲で任意に制御できる製造方法も提供する。該
非晶質シリコン膜は、太陽光発電等に応用される光電変
換素子用膜として極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、太陽光発電に代表され
る光電変換素子等に好適に利用される新規な非晶質シリ
コン膜、及びその製造方法に関する。より詳細には、初
期欠陥密度が小さく且つ光による劣化が極めて少ない非
晶質シリコン膜、及び形成速度を著しく向上させた非晶
質シリコン膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、非晶質シリコンは高い光導電率お
よび低い暗導電率等の優れた電気的特性を有すること、
また耐久性が高く無公害であることから、太陽光発電に
代表される光電変換素子を構成する材料として利用され
ている。
【0003】非晶質シリコン膜の一般的な製造方法とし
ては、ケミカル・ベーパー・デポジション(以下、CV
Dという)法、具体的には、高周波プラズマCVD法、
光CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD
法、熱CVD法等が知られている。これらの方法の中で
も、特に高周波プラズマCVD法が好適に使用されてい
る。
【0004】この方法は、モノシラン(SiH4)、或
いはジシラン(Si26)等を主原料ガスとし、該主原
料ガスを真空容器内へ導入し、真空容器内に設置された
対向する電極間に高周波電力を印加することによって高
周波プラズマを形成して原料ガスを分解し、電極上に設
置された基材上に非晶質シリコン膜を形成するものであ
る。この製造方法では、非晶質シリコン膜は6〜10n
m/分の速度で基材上に析出する。得られた非晶質シリ
コン膜の光学的禁制帯幅は一般的に1.7〜1.75e
V程度となり、初期欠陥密度は膜析出直後で1×1016
個/cm3以下であり、光導電率と暗導電率の比(以
下、光感度という)は非常に優れたものとなる。即ち、
低い暗導電率且つ高い光導電率を有する非晶質シリコン
膜が得られ、その結果、該非晶質シリコンの光電変換素
子等への応用が可能となっている。
【0005】非晶質シリコン膜を光電変換素子とする場
合に必要な光電特性は、高い光感度、並びに高い光導電
率である。光感度は光に対する電子、正孔等のキャリー
の発生の強さを表し、一方光導電率は得られる光電流の
大きさに関係し、いづれも最終的に光電変換効率に効い
てくる。
【0006】また、特開昭54−145537公報によ
れば、該非晶質シリコン膜中に水素原子を10〜40原
子%、好適には15〜30原子%含有させることが十分
な光電特性を保持するのに効果的であり、電子写真用像
形成部材への適用が可能になることが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法により得られる非晶質シリコン膜は、膜析出直
後では優れた光電特性、すなわち高い光導電率と大きい
光感度を示すものの、光照射による経時的な膜の光導電
率、暗導電率の低下が大きく、実用レベルでの使用を考
慮した場合まだ耐光劣化特性の点で不十分であった。ま
た、その製造方法に関しても、非晶質シリコンの析出速
度が遅いために、膜の形成に多大の時間を要し、製造コ
ストを下げることが出来なかった。
【0008】詳しくは、かかる非晶質シリコン膜は、経
時的な光の照射によりその光電特性が比較的短時間で低
下する傾向があった。具体的には、エアマス(AM)
1.5の光線を100mW/cm2 の強度で該非晶質シ
リコン膜に照射した場合に、非晶質シリコン膜中の欠陥
密度は増加し、10,000分間の光照射で欠陥密度は
1×1017個/cm3以上となり、且つ光照射した後の
非晶質シリコンの光導電率、及び暗導電率は初期値の5
%以下となることが知られている。該光導電率、暗導電
率は、それぞれ光を照射している場合の導電率、光を照
射していない時の導電率を意味する。
【0009】上述の光劣化は、非晶質シリコン膜を光劣
化を受けやすい太陽電池の光電変換層として使用する場
合、素子の耐久性を決定する上で極めて重要な因子とな
る。従って、非晶質シリコン膜の光照射に伴う欠陥密度
の増加、及び光導電率と暗導電率の低下を低く抑える事
が望まれていた。さらに、非晶質シリコン膜の析出速度
は製造コストを決定するための重要な因子であり、析出
速度のさらなる増加が望まれている。
【0010】CVD法において、上述した課題、即ち光
劣化に対する耐光劣化特性及び析出速度を改善するため
の方法は、いくつか提案されている。
【0011】例えば、耐光劣化特性に関しては、ジャパ
ニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス
(Jpn.J.Appl.Phys)、30巻、881
〜884頁(1991年)に、高周波プラズマCVD法
において、予めマイクロ波によって励起された水素とア
ルゴンとの混合ガスを、膜析出空間に供給しながら原料
ガスであるシラン化合物を該空間へ断続的に供給し、シ
リコンを加熱基材上に析出させることにより光劣化を改
良する方法が記載されている。しかしながら、この方法
によって耐光劣化特性は多少改善されるものの、耐光劣
化特性を十分に発揮させるためには、非晶質シリコン膜
を析出させる基材表面温度を300℃以上の高温に設定
しなければならなかった。基材表面を高温に保持するた
めには、基材を耐熱性に優れた高価な材料に限定しなけ
ればならない他、作製に多大のエネルギーを費やす必要
がある。このことは、例えこの非晶質シリコン膜を太陽
光発電に応用しても、その作製に要したエネルギーを回
収することが困難になることを意味する。また、上記方
法は、シラン化合物を断続的に励起されたガスと接触さ
せる操作を必須とする。その結果、シラン化合物ガスの
供給によるシリコン析出時間よりもシラン化合物ガスを
供給せずにプラズマのみで基材表面を処理する時間が長
くなり、シリコン膜の析出速度を充分に上げることがで
きないという問題を有する。また、上記文献中の実験結
果としては、光導電率の経時変化のみ記述されており、
欠陥密度および暗導電率の経時的変化は示されていな
い。
【0012】一方、析出速度の改善に関しては、特開昭
59−159167号公報に、電子サイクロトロン共鳴
により励起した水素ガスをSiH4(モノシラン)ガス
と接触させて非晶質シリコン膜を製造する方法が示され
ている。該公報によれば、この方法により、基板上に非
晶質シリコン膜を200〜300nm/分という速い成
長速度で生成させることができ、且つ、得られた非晶質
シリコン膜は光感度に代表される光電特性が優れたもの
であることが示されている。しかしながら、この方法
は、非晶質シリコン膜の析出速度に関しては改善が認め
られたものの、得られる非晶質シリコン膜そのものの耐
光劣化特性は未だ充分ではなかった。即ち、経時的な光
照射によって、その光電特性が比較的短時間で低下する
傾向がある。
【0013】従って、耐光劣化特性の優れた非晶質シリ
コン膜並びに該膜を速い成長速度で製造することが可能
な技術の開発が望まれていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成すべく鋭意研究を重ねた。その結果、原料ガスと
して特定のシラン化合物を使用し、且つ該原料ガスと電
子サイクロトロン共鳴により励起された水素含有ガスと
を特定の条件下で接触させることにより、非晶質シリコ
ン膜を速い生成速度で製造することができ、且つ得られ
た非晶質シリコン膜は極めて優れた耐光劣化特性を有し
光電特性を長時間実用的範囲に充分確保し得ることを見
い出だし、本発明を完成するに至った。
【0015】即ち、本発明は、非晶質シリコンを基本成
分とし、塩素原子を0.005〜5原子%、水素原子を
3〜25原子%含有し、且つ初期欠陥密度が3×1015
個/cm3以下であることを特徴とする非晶質シリコン
膜である。
【0016】他の発明は、電子サイクロトロン共鳴によ
って励起され、プラズマ化された水素含有ガスと式Si
XCl4-X(但し、Xは0〜3の整数である)で表され
るクロロシラン化合物とを、該水素含有ガス中の水素と
クロロシラン化合物中の塩素との原子比(H/Cl)が
0.1〜50となるように混合後、200〜500℃に
加熱された基材表面と接触させることにより該基材表面
にシリコンを析出させることを特徴とする非晶質シリコ
ン膜の製造方法である。
【0017】本発明の非晶質シリコン膜において、優れ
た耐光劣化特性と十分な光電特性を発揮させるために
は、非晶質シリコンを基本成分とする非晶質シリコン膜
中に含まれる塩素原子と水素原子の含有量が、それぞれ
0.005〜5原子%、3〜25原子%となるように調
節することが必要である。さらには塩素原子の含有量を
0.01〜1原子%、水素原子の含有量を6〜20原子
%に調整することがより好ましい。
【0018】水素含有量のみが上記範囲を満し、塩素含
有量が0.005原子%未満となる膜は、析出直後は実
用範囲を満たす程度に大きい光感度を有する膜が得られ
るが、耐光劣化特性を充分に発揮させることはできな
い。また、塩素含有量が5原子%より大きくなった場合
においては、析出直後の非晶質シリコン膜の光感度が低
下し、且つ初期欠陥密度の増加が認められ、太陽電池等
の光電変換素子用膜として必要な性能を達成することが
できない。さらに、塩素含有量が上記範囲を満たし、水
素含有量が上記範囲を満足しない膜は、光感度が著しく
低下し、且つ初期欠陥密度の増加も認められる。
【0019】塩素原子、および水素原子が上記特定範囲
にある本発明の非晶質シリコン膜の光学的禁制帯幅は
1.75〜2.5eVとなる。該光学的禁制帯の大きさ
は、非晶質シリコン膜中に含まれる塩素原子と水素原子
の量によって、それぞれ独立に制御可能となることが本
発明の特徴である。従来技術によって得られる膜中に塩
素を含まない膜の光学的禁制帯幅は一般に1.7〜1.
75eV程度であり、該光学的禁制帯幅を1.75〜
2.5eVの範囲に制御することは製造上極めて困難で
あった。また、得られた膜の耐光劣化特性に関しても十
分な向上が認められない。
【0020】本発明においては、非晶質シリコン膜中に
水素および塩素を導入しその含有量を変えることによっ
て、光学的禁制帯幅を上記範囲に極めて簡単に制御する
ことができる。
【0021】本発明の非晶質シリコン薄膜においては、
更に初期欠陥密度が3×1015個/cm3以下であるこ
とが必須である。光照射後の欠陥密度は当然ながら初期
欠陥密度よりも低くなることはない。従って、非晶質シ
リコン膜中の塩素原子及び水素原子が前記特定範囲に入
っていても、初期欠陥密度が3×1015個/cm3を超
える場合は、該非晶質シリコン膜を太陽電池等の光電変
換素子として用いた場合、光電変換効率等の電気特性の
低下が大きいため好ましくはない。
【0022】尚、本発明において、初期欠陥密度とは、
膜析出直後の劣化が始まっていない膜の初期未結合手
数、すなわちシリコンを基本成分とする化学結合中にお
いて結合に関与していないボンドの1立方センチメート
ル当りの数である。劣化が始まっていない膜の初期未結
合手数(初期欠陥密度)とは、一般に基材上に析出させ
た後光を暴露させていない膜の未結合手の数を意味す
る。但し、膜を太陽光線を初めとする光を照射しない状
態で1ヶ月以上の長期に渡って保存した場合も未結合手
数の増加が認められないため、このような場合も初期欠
陥密度とすることができる。また、膜を析出後、欠陥密
度を測定するまでの間不可避的に室内で多少の光に暴露
されるが、この場合も初期未結合手数の増加は認められ
ず初期欠陥密度とすることができる。
【0023】この初期欠陥密度は、光照射を行うことに
より一般に経時的に増加する。本発明の非晶質シリコン
膜も欠陥密度は多少は増加するが、従来の膜と比較して
この増加率は著しく低いことが特長である。
【0024】ところで、この欠陥密度が増加した非晶質
シリコン膜を150℃以上の温度で30分間以上真空中
あるいは大気下で熱処理すると、初期の欠陥密度まで回
復するいわゆる熱アニール効果が観測される。従って上
記熱処理を施すことにより、一旦光照射で劣化した非晶
質シリコン膜においても、初期欠陥密度を再現して確認
することができる。
【0025】本発明の非晶質シリコン膜は、従来の方法
で得られる膜と比較して光学的禁制帯幅が広く且つ耐光
劣化特性が向上しているために、太陽電池等の光電変換
素子の光を入射させる側の光電変換層として使用する場
合、太陽光線の短波長成分の光をさらに有効に吸収する
ことが可能となるばかりでなく、さらに太陽電池等の素
子の安定性が向上することから素子の設計上有利な点が
生じる。具体的には、短波長感度に優れ、且つ耐光劣化
特性に優れた該非晶質シリコン膜を光の入射側に使用
し、従来の製造方法により得られる非晶質シリコン膜は
さらに奥の層として両膜の積層を行うと、太陽光線の波
長をより広く吸収することができる。その結果として、
光電変換素子の特性の向上が可能となる等優れた特徴を
有する太陽電池等の素子の形成を行うことができる。
【0026】本発明の非晶質シリコン膜は、シリコン原
子、塩素原子、および水素原子を構成元素とするもので
あるが、該元素以外にも、酸素、窒素、炭素等の元素が
原子状態、或いは分子状態で膜中に約0.5原子%以下
の濃度で不可避的に存在している場合がある。これら不
可避的に混入する原子の存在による本発明の非晶質シリ
コン膜の光電特性および耐光劣化特性は変化は特に認め
られない。
【0027】本発明の非晶質シリコン膜において、非晶
質シリコンを基本成分とし、塩素原子を0.03〜1原
子%、水素原子を6〜20原子%含有し、且つ初期欠陥
密度が3×1015個/cm3以下である非晶質シリコン
膜が、初期欠陥密度及び欠陥密度の経時的増加が少ない
という特性に加えて、特に高い光導電率及び大きい光感
度有するという点で好適な膜である。
【0028】本発明の非晶質シリコン膜の製造方法は特
に限定されないが、以下代表的な方法を説明する。
【0029】サイクロトロン共鳴によって励起されプラ
ズマ化された水素含有ガスと式SiHXCl4-X(但し、
Xは0〜3の整数である)で表されるクロロシラン化合
物とを、該水素含有ガス中の水素とクロロシラン化合物
中の塩素との原子比(H/Cl)が0.1〜50となる
ように混合後、該混合ガスを200〜500℃に加熱さ
れた基材表面と接触させることにより該基材表面にシリ
コンを析出させて非晶質シリコン膜を製造することがで
きる。
【0030】本発明において、電子サイクロトロン共鳴
によりプラズマ化される水素含有ガス(以下、プラズマ
生成ガスという)は、少なくとも水素を含有するガスで
あれば特に制限されない。上記水素は、非晶質シリコン
膜の形成において、他の条件との組み合わせにより原料
ガスに起因する塩素の該シリコン膜内への残存率を調整
し、本発明の効果である優れた耐光劣化特性を有する非
晶質シリコン膜を得るために必要である。従って、上記
プラズマ生成ガスは、水素を10容量%以上、好ましく
は60〜100容量%含有するものが好ましく、特水素
ガスのみからなる場合がピンホール等の物理的欠陥の発
生が極めて少なく好適である。プラズマ生成ガスに水素
以外のガスが存在する態様において、該ガスとしては、
例えば、アルゴン、ヘリウム、キセノン、ネオン等のシ
リコン膜の生成において不活性なガスが特に制限なく使
用される。また、上記プラズマ生成ガス中には、本発明
の効果を著しく阻害しない範囲、一般に50容量%以下
の範囲でプラズマ生成ガスに原料ガスであるクロロシラ
ン化合物を混合して供給することも可能である。
【0031】本発明において、プラズマ生成ガスを電子
サイクロトロン共鳴により励起してプラズマ化する方法
は限定されるものではなく、公知の方法が特に制限なく
採用される。即ち、磁場と電磁波との相互作用によっ
て、電磁波の共鳴吸収を起こし、サイクロトロン運動を
起こす現象を利用する方法が全て実施できる。例えば、
プラズマ生成ガスに電磁波および磁場を同時に作用させ
る態様が一般的である。
【0032】上記電磁波としては、マイクロ波、超短波
(VHF)等の電磁波が使用され、特に、マイクロ波を
使用した場合、安定的にプラズマを形成することが可能
である。また、磁場は、投入電力により磁場の強度が調
節できる電磁石を使用することが好ましい。上記電磁波
の供給パワーは、一般に20W〜2kWであり、好まし
くは100W〜600Wである。また、磁場は、発散磁
場、ミラー磁場等特に制限されないが、875ガウス以
上の強度でシリコン膜の析出空間内に形成するように制
御することが好ましい。
【0033】本発明において、原料ガスとして、式Si
XCl4-X(但し、Xは0〜3の整数である)で表され
るクロロシラン化合物を使用することが、得られる非晶
質シリコン膜の耐光劣化特性を改良するために極めて重
要である。即ち、前記したように電子サイクロトロン共
鳴CVD法において、原料ガスとしてモノシラン等の塩
素化されていないシラン化合物を使用する方法は公知で
ある。しかしながら、かかる原料ガスを使用した場合、
本発明の目的である優れた耐光劣化特性を有する非晶質
シリコン膜を得ることは困難である。
【0034】上記クロロシランを具体的に例示すれば、
テトラクロロシラン、トリクロロシラン、ジクロロシラ
ン等が挙げられる。特にジクロロシランは、1気圧下で
の沸点が8.3℃で取扱が容易であるため好ましく用い
られる。
【0035】上記クロロシラン化合物は、単独で存在す
ることが一般的であるが、本発明の効果を著しく阻害し
ない範囲で、他のクロロシラン化合物、或いは水素や不
活性ガスで希釈して供給することも可能である。但し、
水素で希釈した場合は後述する水素と塩素との原子比
(H/Cl)の水素分にこの希釈水素が含まれることを
勘案してガス量を制御する必要がある。
【0036】本発明において、プラズマ化された水素含
有ガスとクロロシラン化合物よりなる原料ガスとの混合
比は、該水素含有ガス中の水素とクロロシラン化合物中
の塩素との原子比(H/Cl)が0.1〜50、好まし
くは5〜10となるように設定することが必要である。
即ち、かかる原子比が0.1より小さい場合、基材上に
析出するシリコンはパウダー状となりしかも光導電率は
殆ど測定されない等、光電変換特性の低下が著しく光電
変換素子として適さないシリコン膜となる。また、上記
原子比が50より大きい場合も同様に、得られる非晶質
シリコン膜の光電変換特性の低下が著しく、光電変換素
子を形成するには適さない。
【0037】本発明において、シリコンの析出は、上記
混合ガスを基材表面に接触させることにより行われる。
かかる基材は、特に限定されるものではなく素子形成時
のプロセス及び用途に応じて適宜選択される。例えば、
形成される非晶質シリコン薄膜を光電変換素子における
光電変換層として使用する場合、基材としては、石英ガ
ラス、ソーダライムガラス、単結晶シリコン、多結晶シ
リコン、金属、セラミックス、耐熱性ポリマー、透明導
電体等が使用できる。
【0038】また、上記非晶質シリコンの析出におい
て、基材表面の温度は、200〜500℃、好ましく
は、200〜350℃の温度に調節することが必要であ
る。即ち、基材表面の温度が200℃より低い場合で
も、大きい光感度を有する非晶質シリコン膜を得ること
は可能であるが、光照射によって耐光劣化特性の低下が
観測され、本発明による効果が十分に発揮されない。ま
た、基材表面温度が500℃を超えた場合は、得られる
非晶質シリコン膜の光電変換特性の低下が著しく、光電
変換素子を形成するには適さず、本発明の目的を達成す
ることができない。上記基材表面の温度の調節は、公知
の手段が特に制限なく採用される。一般には、基板支持
台に装着したヒーターによって行う方法、赤外線ランプ
によって行う方法、高周波誘導加熱によって行う方法等
が好適に採用される。
【0039】また、本発明において、非晶質シリコンの
形成は、上記した条件を満足するものであれば、その他
の条件は公知の方法がとくに制限なく採用される。例え
ば、シリコン膜形成時の圧力は0.1〜10mTorr
の範囲が好ましく、さらには0.5〜5mTorrの範
囲がより好ましい。
【0040】本発明の製造方法において、電子サイクロ
トロン共鳴によって励起されプラズマ化された水素ガス
と式SiHXCl4-X (但し、Xは0〜3の整数であ
る)で表されるクロロシラン化合物とを、該水素ガス中
の水素とクロロシラン化合物中の塩素との原子比(H/
Cl)が3.5〜30となるように混合後、該混合ガス
を200〜350℃に加熱された基材表面と接触させる
ことにより該基材表面にシリコンを析出させる非晶質シ
リコン膜の製造方法が、ピンホール等の物理的欠陥の発
生が極めて少なく、シリコン膜中の塩素含有量の制御が
容易で、しかも前述の高い光導電率および大きい感度を
有する好ましい非晶質シリコン膜が得られるという点で
好適な製造方法である。
【0041】本発明の製造方法は、従来の製造方法と比
較して、本発明を達成するための膜をより低温で析出さ
せることが可能となる。低温での作製は、コストおよび
耐熱性の点で基材の選択範囲を広くし、また作製に要す
るエネルギーを削減することができる。
【0042】本発明を実施するための装置はとくに制限
されるものでない。代表的な装置を例示すれば、図1に
示す装置が挙げられる。即ち、プラズマ生成室2と成膜
室1からなり、プラズマ生成室2には、マイクロ波発生
装置4と電磁石5とがそれぞれ作用するように配置され
ると共に、両者の作用を受ける位置にプラズマ生成ガス
供給口6が接続される。また、成膜室には、ヒーター1
0を内蔵した支持台9が設けられ、その上に基材3がセ
ットされる。上記プラズマ生成室2と成膜室1とは連通
していて、該成膜室1のかかる連通部と支持台9との間
に原料ガスを供給し得るような位置に原料ガス供給口7
が接続される。
【0043】また、装置内は、真空ポンプ11により、
一定の圧力に調節される。尚、12は、圧力調節のため
のバルブであり、8は、ガスの流量をそれぞれ調節する
流量調節器である。
【0044】上記装置において、プラズマ生成ガスは、
プラズマ生成ガス供給口6より、流量調節器8により流
量を制御された後、プラズマ生成室2に供給され、そこ
でマイクロ波発生装置4からのマイクロ波と電磁石5の
磁場により、電子サイクロトロン共鳴によって励起さ
れ、プラズマ化される。上記プラズマ化されたガスは、
連通部より成膜室1に供給され、原料ガス供給口7よ
り、流量調節器8により流量を制御された原料ガスと混
合された後、ヒーター10によって一定温度に加熱され
た基材3に接触させることにより該基材表面に非晶質シ
リコン膜が形成される。
【0045】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発
明の方法によれば、45〜90nm/分程度あるいはそ
れ以上の速い膜析出速度で、耐光劣化特性に優れた高品
質の非晶質シリコン膜を製造することが可能となり、そ
の工業的価値は極めて大きい。
【0046】さらに、本発明により得られた非晶質シリ
コン膜は、長期に渡る連続した光照射に対しても、光導
電率、暗導電率、及び光感度に代表される光電特性の経
時的劣化が極めて小さいため、非晶質系光電変換素子に
おける光電変換層として使用した場合に、長期間安定し
て使用することが可能となる。この光電特性の光劣化が
小さい理由の一つとして、初期欠陥密度が小さくしかも
欠陥密度の経時的増加が少ない事に起因しているものと
推測される。
【0047】また、該非晶質シリコン膜は光導電率は従
来品と同じく高い値を維持したまま暗導電率が1〜2桁
低下し、この結果、光感度が向上した。この暗導電率の
低下は初期欠陥密度が小さいこと並びに塩素原子を含有
していることに起因しているものと推測される。しか
も、該非晶質シリコン膜は光学的禁制帯幅が広く、この
結果、太陽光線の短波長成分を有効に吸収することが可
能となり太陽光線をより効率的に利用することができ
る。
【0048】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するため、実施
例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0049】尚、実施例及び比較例において、得られた
非晶質シリコン薄膜の耐光劣化特性、1立方センチメー
トルあたりの膜中の未結合手の数(欠陥密度)および膜
中の塩素含有量は以下の方法によって測定した。
【0050】(1)耐光劣化特性 非晶質シリコン薄膜に赤外光をフィルターにより遮断し
たキセノンランプ光(500mW/cm2)を照射し、
光導電率の光照射時間依存性を調べた。この時、光照射
時間は20、000分間一定とし、光照射中の非晶質シ
リコン薄膜の表面温度の上昇を防ぐために、試料ホルダ
ーを水冷することによって表面温度は常に40℃とし
た。導電率の測定は、基材上に析出した非晶質シリコン
膜上に真空蒸着により電極間隔0.02cm、電極長
3.8cmの一対のアルミニウム電極を形成し、該電極
間に100Vの直流電圧を定電圧電源により印加し、電
極間に流れる電流を測定することにより行った。光を照
射しない暗い状態で測定した場合の導電率を暗導電率、
500mW/cm2の強度のキセノンランプを照射した
場合の導電率を光導電率とした。
【0051】(2)欠陥密度 アモルファスシリコン・アンド・リレイテッド・マテリ
アルズ(AMORPHOUS SILICON AND
RELATED MATERIALS)297〜32
7頁(1988年)に記載されている一定光電流測定法
によって測定し、膜析出直後の膜を劣化させる前の膜中
の欠陥密度を初期欠陥密度、また、光照射により膜を劣
化させた時の欠陥密度を劣化欠陥密度として示した。
【0052】(3)塩素含有量 2次イオン検出質量分析装置(SIMS:SECOND
ARY ION MASS SPECTROSCOP
Y)により塩素濃度の定量を行い、塩素含有量とした。
【0053】実施例1 図1に示す装置を使用して以下の条件で非晶質シリコン
膜を形成した。
【0054】まず、プラズマ生成ガスとして高純度水素
を20SCCM、プラズマ生成室に供給し、ECRプラ
ズマを形成した。この時、マイクロ波投入電力は300
W、磁場は875ガウスに設定した。この状態で、原料
ガスであるジクロロシランを2.5SCCM成膜室へ供
給し、ガスプラズマと加熱基材とを、接触させることに
より、非晶質シリコン膜を析出した。このとき、成膜装
置内へ供給する水素ガス中の水素原子とジクロロシラン
ガス中の塩素原子との原子比(H/Cl)は、8であ
る。
【0055】基材温度230℃、反応圧力は3mTor
rに設定し、12分間で700nmの膜を得、形成速度
は58nm/分であった。尚、基材には石英ガラスを2
枚使用した。
【0056】触針法によって、一方の石英基材上の膜厚
を測定し、また、該基材を用い光学的測定を行った。他
方の石英基材には、アルミニウム電極を形成して、電気
的な測定を行った。
【0057】以上の測定の結果、得られた非晶質シリコ
ン膜の特性は、光学的禁制帯幅1.83eV、500m
W/cm2の光照射下における光導電率1.2×10-5
S/cm、暗導電率2×10-13 S/cm、光感度6×
107、活性化エネルギー1.05eVであった。膜中
の水素含有量は19原子%であった。SIMSにより膜
中の塩素含有量の定量を行った結果、0.5原子%の塩
素が検出された。また、膜中の初期欠陥密度は3×10
15/cm3であった。
【0058】さらに、得られた非晶質シリコン膜の耐光
劣化特性の測定結果を表1、表2、表3に示す。
【0059】表1には最上段に、光導電率の初期の測定
値を示し、以下、初期値を1として各時間における測定
値を初期値に対する比率で示した。表2には、最上段
に、暗導電率の初期の測定値を示し、以下、初期値を1
として各時間における測定値を初期値に対する比率で示
した。また、表3には、最上段に、初期欠陥密度を示
し、以下、各時間における劣化欠陥密度を示した。
【0060】尚、表1、2とも初期値を1として規格化
を行っており、経過時間に対してこの値の低下率が小さ
いほど、耐光劣化特性が優れていることを示している。
表3は経時的な欠陥密度の増加を規格化しないで示して
おり、経過時間による増加が小さいほど耐光劣化特性が
優れていることを示している。
【0061】実施例2 実施例1において、基材温度のみを280℃に変更し
て、同様な条件下で、実験を行った。このとき、成膜装
置内へ供給する水素ガス中の水素原子とジクロロシラン
ガス中の塩素原子との原子比(H/Cl)は8である。
以上の条件の下で15分間で700nmの膜を得、膜形
成速度は48nm/分であった。
【0062】また、得られた非晶質シリコン膜の評価は
実施例1と同様に行った。その結果、光学的禁制帯幅
1.81eV、500mW/cm2の光照射下における
光導電率5.7×10-6 S/cm、暗導電率2×10
-13 S/cm、光感度2.9×107、活性化エネルギ
ー0.95eVであった。
【0063】膜中の水素含有量は16原子%であった。
SIMSにより膜中の塩素含有量の定量を行った結果、
0.05原子%の塩素が検出された。また、初期欠陥密
度は、2×1015/cm3であった。
【0064】さらに、得られた非晶質シリコン膜の耐光
劣化特性の測定結果を、実施例1同様、表1、2、3に
示す。
【0065】実施例3 プラズマ生成ガスとして高純度水素を40SCCM、プ
ラズマ生成室に供給し、ECRプラズマを形成した。こ
の時、マイクロ波投入電力は300W、磁場は875ガ
ウスに設定した。この状態で、原料ガスであるジクロロ
シランを1SCCM成膜室へ供給し、ガスプラズマと加
熱基材とを接触させることにより非晶質シリコン膜を析
出した。このとき、成膜装置内へ供給する水素ガス中の
水素原子とジクロロシランガス中の塩素原子との原子比
(H/Cl)は40である。
【0066】基材温度230℃、反応圧力は4mTor
rに設定し、14分間で700nmの膜を得、形成速度
は50nm/分であった。他は実施例1と同様にした。
【0067】得られた非晶質シリコン膜の特性は、光学
的禁制帯幅1.85eV、500mW/cm2の光照射
下における光導電率3×10-6S/cm、暗導電率4×
10- 13 S/cm、光感度7.5×106、活性化エネ
ルギー1.1eVであった。膜中の水素含有量は20原
子%であった。SIMSにより膜中の塩素含有量の定量
を行った結果、0.03原子%の塩素が検出された。ま
た、膜中の初期欠陥密度は2.5×1015/cm3であ
った。さらに耐光劣化特性を測定し、表1、2、3に示
した。
【0068】比較例1 基材温度を180℃に変更すること以外は、実施例1と
同様のな条件下で実験を行って、厚さ700nmの膜を
得た。このとき、成膜装置内へ供給する水素ガス中の水
素原子とジクロロシランガス中の塩素原子との原子比
(H/Cl)は、8である。膜形成速度は60nm/分
であった。
【0069】また、得られた非晶質シリコン膜の評価は
実施例1と同様に行った。その結果、光学的禁制帯幅
1.86eV、500mW/cm2 の光照射下における
光導電率1.1×10-5 S/cm、暗導電率8×10
-14 S/cm、光感度1.4×108、活性化エネルギ
ー1.1eVであった。
【0070】膜中の水素含有量は20原子%であった。
SIMSにより膜中の塩素含有量の定量を行った結果、
1原子%の塩素が検出された。また、膜中初期欠陥密度
は7×1015/cm3であった。
【0071】さらに、得られた非晶質シリコン膜の耐光
劣化特性の評価結果を、実施例1同様、表1、2、3に
示す。
【0072】比較例2 原料ガスをジクロロシランからモノシランガスに変更す
ること以外は、実施例1と同様の条件下で実験を行っ
た。この時、モノシラン流量は7SCCMとした。 ま
た、得られた非晶質シリコン膜の評価は実施例1と同様
に行った。その結果、光学的禁制帯幅1.76eV、5
00mW/cm2の光照射下における光導電率7.3×
10-5 S/cm、暗導電率2×10-11 S/cm、光
感度3.7×106、活性化エネルギー0.85eVで
あった。膜中の水素含有量は8原子%であり、赤外吸収
スペクトル測定結果からは塩素に起因するピークは観測
されなかった。SIMSにより膜中の塩素含有量の定量
を行った結果、塩素は検出限界以下であった。初期欠陥
密度は2×1015/cm3であった。得られた非晶質シ
リコン膜の耐光劣化特性の測定結果を、実施例1同様、
表1、2、3に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】実施例4 プラズマ生成ガスとして高純度水素を20SCCM、プ
ラズマ生成室に供給し、ECRプラズマを形成した。こ
の時、マイクロ波投入電力は400W、磁場は875ガ
ウスに設定した。この状態で、原料ガスであるジクロロ
シランを2.5SCCM成膜室へ供給し、ガスプラズマ
と加熱基材とを接触させることにより非晶質シリコン膜
を析出した。このとき、成膜装置内へ供給する水素ガス
中の水素原子とジクロロシランガス中の塩素原子との原
子比(H/Cl)は8である。
【0077】基材温度230℃、反応圧力は3mTor
rに設定し、11.5分間で700nmの膜を得、形成
速度は61nm/分であった。他は実施例1と同様にし
た。
【0078】得られた非晶質シリコン膜の特性は、光学
的禁制帯幅1.83eV、500mW/cm2の光照射
下における光導電率8×10-6S/cm、暗導電率5×
10- 13 S/cm、光感度1.6×107、活性化エネ
ルギー1.1eVであった。膜中の水素含有量は4.5
原子%であった。SIMSにより膜中の塩素含有量の定
量を行った結果、0.01原子%の塩素が検出された。
また、膜中の初期欠陥密度は3×1015/cm3であっ
た。さらに耐光劣化特性を測定し、表4、5、6に示し
た。
【0079】実施例5 プラズマ生成ガスとして高純度水素を20SCCM、プ
ラズマ生成室に供給し、ECRプラズマを形成した。こ
の時、マイクロ波投入電力は300W、磁場は875ガ
ウスに設定した。この状態で、原料ガスであるジクロロ
シランを3SCCM成膜室へ供給し、ガスプラズマと加
熱基材とを接触させることにより非晶質シリコン膜を析
出した。このとき、成膜装置内へ供給する水素ガス中の
水素原子とジクロロシランガス中の塩素原子との原子比
(H/Cl)は6.7である。
【0080】基材温度200℃、反応圧力は4mTor
rに設定し、12.5分間で750nmの膜を得、形成
速度は60nm/分であった。他は実施例1と同様にし
た。
【0081】得られた非晶質シリコン膜の特性は、光学
的禁制帯幅1.84eV、500mW/cm2の光照射
下における光導電率1×10-5S/cm、暗導電率3×
10- 13 S/cm、光感度3.3×107、活性化エネ
ルギー1.1eVであった。膜中の水素含有量は20原
子%であった。SIMSにより膜中の塩素含有量の定量
を行った結果、3原子%の塩素が検出された。また、膜
中の初期欠陥密度は2.5×1015/cm3であった。
さらに耐光劣化特性を測定し、表4、5、6に示した。
【0082】実施例6 プラズマ生成ガスとして高純度水素を2.5SCCM、
プラズマ生成室に供給し、ECRプラズマを形成した。
この時、マイクロ波投入電力は300W、磁場は875
ガウスに設定した。この状態で原料ガスであるジクロロ
シランを5SCCM成膜室へ供給し、ガスプラズマと加
熱基材とを接触させることにより非晶質シリコン膜を析
出した。このとき、成膜装置内へ供給する水素ガス中の
水素原子とジクロロシランガス中の塩素原子との原子比
(H/Cl)は0.5である。
【0083】基材温度230℃、反応圧力は3mTor
rに設定し、13分間で700nmの膜を得、形成速度
は54nm/分であった。他は実施例1と同様にした。
【0084】得られた非晶質シリコン膜の特性は、光学
的禁制帯幅1.83eV、500mW/cm2の光照射
下における光導電率7×10-6S/cm、暗導電率3×
10- 13 S/cm、光感度2.3×106、活性化エネ
ルギー1.1eVであった。膜中の水素含有量は22原
子%であった。SIMSにより膜中の塩素含有量の定量
を行った結果、2原子%の塩素が検出された。また、膜
中の初期欠陥密度は3×1015/cm3であった。さら
に耐光劣化特性を測定し、表4、5、6に示した。
【0085】比較例3 プラズマ生成ガスとして高純度水素を20SCCM、プ
ラズマ生成室に供給し、ECRプラズマを形成した。こ
の時、マイクロ波投入電力は300W、磁場は875ガ
ウスに設定した。この状態で、原料ガスであるジクロロ
シランを1.5SCCM成膜室へ供給し、ガスプラズマ
と加熱基材とを接触させることにより非晶質シリコン膜
を析出した。このとき、成膜装置内へ供給する水素ガス
中の水素原子とジクロロシランガス中の塩素原子との原
子比(H/Cl)は13.3である。
【0086】基材温度115℃、反応圧力は2.8mT
orrに設定し、11分間で700nmの膜を得、形成
速度は64nm/分であった。他は実施例1と同様にし
た。
【0087】得られた非晶質シリコン膜の特性は、光学
的禁制帯幅1.89eV、500mW/cm2の光照射
下における光導電率7×10-7S/cm、暗導電率1×
10- 13 S/cm、光感度7×106、活性化エネルギ
ー1.2eVであった。膜中の水素含有量は30原子%
であった。SIMSにより膜中の塩素含有量の定量を行
った結果、2原子%の塩素が検出された。また、膜中の
初期欠陥密度は2×1015/cm3であった。さらに耐
光劣化特性を測定し、表4、5、6に示した。
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】
【0091】比較例4 プラズマ生成ガスとして高純度水素を20SCCM、プ
ラズマ生成室に供給し、ECRプラズマを形成した。こ
の時、マイクロ波投入電力は300W、磁場は875ガ
ウスに設定した。この状態で、原料ガスであるジクロロ
シランを1.5SCCM成膜室へ供給し、ガスプラズマ
と加熱基材とを接触させることにより非晶質シリコン膜
を析出した。このとき、成膜装置内へ供給する水素ガス
中の水素原子とジクロロシランガス中の塩素原子との原
子比(H/Cl)は13.3である。
【0092】基材温度520℃、反応圧力は2.8mT
orrに設定し、17分間で700nmの膜を得、形成
速度は41nm/分であった。他は実施例1と同様にし
た。
【0093】得られた非晶質シリコン膜の特性は、光学
的禁制帯幅1.73eV、500mW/cm2の光照射
下における光導電率3×10-7S/cm、暗導電率4×
10- 10 S/cm、光感度7.5×102、活性化エネ
ルギー0.8eVであった。膜中の水素含有量は1.5
原子%であった。SIMSにより膜中の塩素含有量の定
量を行った結果、0.01原子%の塩素が検出された。
また、膜中の初期欠陥密度は8×1016/cm3であ
り、光照射による大幅な欠陥密度の上昇が確認され光電
変換素子を形成するには適さない非晶質シリコン膜であ
った。
【0094】比較例5 実施例1において、プラズマ生成ガスである水素と、原
料ガスであるジクロロシランの流量比を変更して非晶質
シリコン膜の形成を行った。即ち、水素流量5SCC
M、ジクロロシラン流量60SCCMとし、その他の条
件は、実施例1と同一にした。このとき、成膜装置内へ
供給する水素ガス中の水素原子とジクロロシランガス中
の塩素原子との原子比(H/Cl)は0.083であ
る。
【0095】得れた非晶質シリコン膜の評価は、実施例
1と同様に行った。その結果、光学的禁制帯幅2.2e
V、500mW/cm2 の光照射下における光導電率1
×10-12 S/cm、暗導電率5×10-13 S/cm、
活性化エネルギー0.6eVであり、光導電性がほとん
ど観測されないため、初期欠陥密度の測定は困難であっ
た。従って、光電変換素子を形成するには適さない非晶
質シリコン膜であった。 膜中の水素含有量は5原子%
であり、SIMSにより膜中の塩素含有量の定量を行っ
た結果、10原子%の塩素が検出された。
【0096】比較例6 プラズマ生成ガスとして高純度水素を30SCCM、プ
ラズマ生成室に供給し、ECRプラズマを形成した。こ
の時、マイクロ波投入電力は300W、磁場は875ガ
ウスに設定した。この状態で、原料ガスであるジクロロ
シランを0.5SCCM成膜室へ供給し、ガスプラズマ
と加熱基材とを接触させることにより非晶質シリコン膜
を析出した。このとき、成膜装置内へ供給する水素ガス
中の水素原子とジクロロシランガス中の塩素原子との原
子比(H/Cl)は60である。
【0097】基材温度230℃、反応圧力は3.5mT
orrに設定し、20分間で700nmの膜を得、形成
速度は35nm/分であった。他は実施例1と同様にし
た。
【0098】得られた非晶質シリコン膜の特性は、光学
的禁制帯幅1.9eV、500mW/cm2の光照射下
における光導電率7×10-7S/cm、暗導電率9×1
-14S/cm、光感度7.8×106、活性化エネルギ
ー1.2eVであった。膜中の水素含有量は27原子%
であった。SIMSにより膜中の塩素含有量の定量を行
った結果、0.02原子%の塩素が検出された。また、
膜中の初期欠陥密度は5×1015/cm3であった。こ
の膜は、光導電率が低く、光電変換層の膜としては適さ
なかった。
【0099】比較例7 実施例1において、原料ガスをジクロロシランからテト
ラフロロシランガス(SiF4)に変更して同様な条件
下で実験を行った。この時、テトラフロロシラン流量は
20SCCMとした。また、得られた非晶質シリコン膜
の評価は実施例1と同様に行った。その結果、光学的禁
制帯幅1.75eV、500mW/cm2の光照射下に
おける光導電率3.3×10-6S/cm、暗導電率2×
10-10S/cm、光感度1.7×104、活性化エネル
ギー0.8eVであった。膜中の水素含有量は6原子%
であり、赤外吸収スペクトル測定結果からは塩素に起因
するピークは観測されず、SIMSにより膜中の塩素含
有量の定量を行った結果、塩素は検出限界以下であっ
た。SIMSにより膜中のフッ素含有量の定量を行った
結果、0.1原子%のフッ素が検出された。また、初期
欠陥密度は、5×1016/cm3であり、従来の製造方
法で形成された膜と比較して5〜10倍大きい欠陥密度
を示し、且つ光感度も104台と小さいため、太陽電池
等の光電変換素子の形成には適さない非晶質シリコン膜
であった。
【0100】比較例8 成膜法を、本発明で採用した、電子サイクロトロン共鳴
を利用したCVD法から、従来、好適に用いられている
高周波CVD法に変更して実験を行った。この時、実験
条件は、膜の電気的特性が最も良好となる様に、次に示
す最適化した条件を用いた。即ち、ジクロロシラン流量
2SCCM、水素流量50SCCM、高周波投入電力4
0W、基板温度320℃となるように設定した。このと
き、成膜装置内へ供給する水素ガス中の水素原子とジク
ロロシランガス中の塩素原子との原子比(H/Cl)
は、25である。膜形成速度は12nm/分であった。
【0101】その結果、得られた非晶質シリコン膜の特
性は、光学的禁制帯幅1.86eV、500mW/cm
2の光照射下における光導電率5×10-7 S/cm、
暗導電率2×10-13 S/cm、光感度2.5×1
6、活性化エネルギー0.95eVであった。
【0102】膜中の水素含有量は12原子%であり、S
IMSにより膜中の塩素含有量の定量を行った結果、1
原子%の塩素が検出された。
【0103】また、得られた初期欠陥密度は3×1017
/cm3であり、光電特性、欠陥密度共に前記各実施例
で得られた非晶質シリコン膜と比較し劣っており、光電
変換素子を形成するには適さない非晶質シリコン膜であ
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法に使用する代表的な装置の
概念図
【符号の説明】
1 成膜室 2 プラズマ生成室 3 基材 4 マイクロ波発生装置 5 電磁石 6 プラズマ生成ガス供給口 7 原料ガス供給口 9 支持台

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶質シリコンを基本成分とし、塩素原
    子を0.005〜5原子%、水素原子を3〜25原子%
    含有し、且つ初期欠陥密度が3×1015個/cm3以下
    であることを特徴とする非晶質シリコン膜
  2. 【請求項2】 電子サイクロトロン共鳴によって励起さ
    れプラズマ化された水素含有ガスと式SiHXCl4-X
    (但し、Xは0〜3の整数である)で表されるクロロシ
    ラン化合物とを、該水素含有ガス中の水素とクロロシラ
    ン化合物中の塩素との原子比(H/Cl)が0.1〜5
    0となるように混合後、該混合ガスを200〜500℃
    に加熱された基材表面と接触させることにより該基材表
    面にシリコンを析出させることを特徴とする非晶質シリ
    コン膜の製造方法。
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JP2013536991A (ja) * 2010-09-03 2013-09-26 テル・ソーラー・アクチェンゲゼルシャフト a−Si単接合および多接合薄膜シリコン太陽電池のための向上したa−Si:H吸収体層
KR101475416B1 (ko) * 2006-11-02 2014-12-23 다우 코닝 코포레이션 플라즈마로부터 증착에 의하여 막을 형성하는 방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101475416B1 (ko) * 2006-11-02 2014-12-23 다우 코닝 코포레이션 플라즈마로부터 증착에 의하여 막을 형성하는 방법
JP2013536991A (ja) * 2010-09-03 2013-09-26 テル・ソーラー・アクチェンゲゼルシャフト a−Si単接合および多接合薄膜シリコン太陽電池のための向上したa−Si:H吸収体層

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